KickstarterのCEOが4月に辞任

KickstarterのCEOであるAziz Hasan(アジズ・ハサン)氏は、米国時間3月21日に「Moving Forward, With Gratitude(感謝を込めて、前へ進む)」と題したブログで、クラウドファンディングプラットフォームのトップの座から退くことを発表した。3年間務めた同氏の最高経営責任者としての任期は、この4月4日が最後となる。取締役会が後任を探す間、同社のCOOであるSean Leow(ショーン・レウ)氏が暫定的にCEOを担う。

「私たちが一緒にやってきたことを、とても誇らしく思います。これほど情熱的で有能で献身的なチームを、変化と大きな節目と勝利と複雑なチャレンジの厳しい時期に率いたことは、身も縮むほど厳しく、そして得られるものの大きい体験でした」とハサン氏はいう。

CEOはその決定をFast Companyに打ち明け「個人的な反省」と、若い家族と過ごす時間を増やしたいことを動機として挙げた。ハサン氏がいうように彼の任期はこのサービスの強力な成長の時期となったが、最後の数年は相応の論争も経験した。

2020年にKickstarterのスタッフは組合結成を票決した。それをハサン氏はスタッフ宛の書簡で「本質的に敵対的である」と呼び、こう付け加えた、

その動きは会社としての私たちを反映していない。あるべき対話や決定の方法、あるいは進むべき進路を示していない。むしろ多くの点でそれは私たちを後退させるでしょう。しかも、私たちと彼らという対立ならすでにあります」。

さらに最近では、サービスをブロックチェーンへ移行する計画でクリエイターたちの反発を受けた。激しい批判の渦中で、Kickstarterは「心配にもっと応えることができるように」と、ユーザーからのフィードバックに耳を傾けることを約束した

レウ氏は声明で、ハサン氏の業績を強調している。

アジズは過去3年間、Kickstarterに対してCEOとして彼のクリエイティブな精神と体験を多く注いできました。彼の貢献に深く感謝するとともに、その後を継ぐ者として、すでに生まれている数々のクリエイティブなプロジェクトを育てていきたいと思います。クリエイティブなプロジェクトの力を固く信じる者として、私は次のリーダーを探す間、Kickstarterを正しい方向に進めることに専念したい」。

共同創業者で前CEOのPerry Chen(ペリー・チェン)氏も、同じ気持ちを述べている。

アジズ・ハサンは会社の危機的な時期にKickstarterのリーダーの座を引き受け、彼の任期全体を通じて思慮深く堅実な手腕を発揮しました。それには、クリエイティブなプロジェクトに対する歴史的で画期的な投資方式や、パンデミックの間のさまざまなチャレンジへの対応もありました。Kickstarterの未来のCEOを探す間、ショーン・レウが会社を率いてくれることは、非常な幸運である。彼はその長いKickstarterの任期において、会社の最も重要な企画のほとんどを一緒になって引っ張り、彼の深い経験と情熱を注いで、クリエイティブなプロジェクトに命を吹き込んできました」。

Kickstarterに参加する前、レウ氏はFacebookに勤務し、ソーシャルメディアアートサイトNeochaを共同設立していた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Nothing初のスマホは今夏発売予定、クラウドファンディングで追加資金調達へ

誰がなんと言おうと、Nothing(ナッシング)はティーザーをさらにもったいぶる方法を知っている。同ハードウェアスタートアップの弁明として、同社は米国時間3月23日朝に行われたイベントは「ロードマップ」の公開であるとし、具体的には、同社のラインアップに加わる別のデバイスに言及したが、その製品に関する情報はあまり提供しなかった。しかし同社は少なくとも、噂されていた2番目のハードウェア「Nothing Phone(1)」の発売予定を確認した。

我々は3月初め、Mobile World Congress(MWC)において、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏が企業幹部たちとミーティングを行い、ワイヤレスイヤフォンのEar(1) と同様に透明感を強調したデザインを特徴とするバージョンのデバイスを披露していたことを紹介し、このデバイスの存在を確認した。

今回のオンラインイベントで同社は、製品にSnapdragonチップが搭載されることを含め、いくつかの詳細を発表した。Qualcomm(クアルコム)がNothingに出資していることを考えれば、驚くことではない。同じくペイ氏が設立したOnePlusに似て、このデバイスはAndroidを独自に改良したNothing OSを搭載し「Nothing製品や他の世界トップブランドの製品を簡単に接続、統合するオープンでシームレスなエコシステム上に構築される」という。

エコシステムは常にNothingの戦略の中核にあり、その統合がどのようなものなのか興味深いところだ。Apple(アップル)やSamsung(サムスン)などがモバイルを中心としたソーラーシステムを構想しているのと同じように、同社は携帯電話がそのシステムのハブとして機能することを思い描いているのは間違いないだろう。Nothingは4月、OSのプレビューを提供するつもりだという。

画像クレジット:Nothing

ソフトウェアは、OnePlusがOxygenOSで提供しようと取り組んできたもの、つまり、あまり多くの追加ソフトウェアを追加せずに、Androidに手を加える形に似ているようだ。外観的には、同社の「アナログ」デザイン言語を踏襲することになる。同社は、(Androidを土台にするとはいえ)ハードウェアとともにOSレイヤーを開発することで、Appleのような道を歩もうとしているのだ。同社のヘッドフォンはすぐに対応し、AirPodsやTesla(テスラ)などの自動車を含むサードパーティ製品のサポートに取り組んでいる最中だとペイ氏はいう。

Nothingは、携帯電話のOSアップデートを3年間、セキュリティアップデートを4年間提供することを約束している。

というわけで、同社はEar(1)が確立したパターンを踏襲し、今後数カ月のあいだ、次期スマホのより詳細な情報をチラ見せしていくことになるのだろう。

携帯電話のニュースとともに、同社は、わずか2週間前に実施された7000万ドル(約84億8000万円)のシリーズBに続いて、さらにクラウドファンディングで資金を調達することを発表した。同社が目指しているのは1000万ドル(約12億1000万円)で、VCが支援したラウンドと同じ評価額で募集される。現在、事前登録を受け付けており、4月5日に正式公開される予定だ。ファンに金銭的な利益を与えることで、コミュニティの関与を促進しようとするこの戦略は、これまで同社にとって成功を収めてきた。

このデバイスは、モバイル関連のスタートアップ企業にとって厳しい、しかし期待が集まる時期に登場することになる。初代iPhoneが発売されてから15年が経ち、携帯電話への関心は薄れている。パンデミック以前から売り上げは横ばい、低迷していたが、その後のサプライチェーンの制約やチップ不足とともに、この傾向はさらに悪化している。LGやHTCのようなかつての主要プレイヤーは、この業界から完全に撤退するか、劇的に規模を縮小している。

Nothingは、Essentialの失敗から生まれたプライバシー重視のOSOMを含む、新しいモバイルスタートアップ各社の小さなムーブメントに加わることになる。ちなみにペイ氏とNothingは、EssentialのIPを買収したが、同社は最終的にその名前を使って何もしていない。

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

個人が不動産債権に投資できるプラットフォームGroundfloor、事業拡大に向け資金調達

クラウドファンディングは、企業が資金を調達する方法としてますます人気が高まっていて、投資家も注目している。不動産クラウドファンディングのプラットフォームとして初めて規制当局の認可を取得したGroundfloor(グラウンドフロア)は、2015年以来となる機関投資家からの資金調達を発表した。

Groundfloorは、モバイルネットワークの元幹部のBrian Dally(ブライアン・ダリー)氏と、超党派のJOBS(Jumpstart Our Business Startups)法の共同提案者であるNick Bhargava(ニック・バーガヴァ)氏によって2013年に創業された。アトランタを拠点とする同社は、JOBS法の下で新しいクラウドファンディングの規則が施行され、中小企業が商品を登録することなく非適格投資家から最大7500万ドル(約86億円)を資金調達できるようになった直後に、Fintech VenturesがリードしたシリーズAで500万ドル(約5億7000万円)を調達している

Groundfloorのプラットフォームは、15万人超のユーザーに不動産債権への投資を提供しており、最低投資額は10ドル(約1100円)となっている。CEOを務めるダリー氏は、プラットフォームで提供されるほぼすべての商品は非適格投資家に開放されている、と話す。Groundfloorのユーザーがこのプラットフォームを利用する理由はさまざまで、公開市場より安全な代替手段を求める新規投資家から、ブローカーを使うよりアプリを使った投資を好む経験豊富な投資家までユーザーは多岐にわたるという。

ダリー氏によると、機関投資家と同じようにリスク・リターンプロファイルにアクセスする機会を一般的な投資家に提供するためにGroundfloorを始めたとのことだ。同社はそうした投資家に「公募REIT(不動産投資信託)を買ったり、賃貸物件を丸ごと買って運用リスクや集中リスクを負ったりすることなく」不動産にアクセスする代替手段を提供している。

Groundfloor共同創業者のブライアン・ダリー氏とニック・バルガヴァ氏(画像クレジット:Groundfloor)

ダリー氏によると、同社の「秘策」は規制の枠組みの深い理解にある。「最初の製品を発売するのは、新薬の認可を待つような感じでした」と同氏は話し、最初の州で事業を行うために米証券取引委員会(SEC)から認可を得るのに2年という時間と約100万ドル(約1億1000万円)を要したと指摘した。同社は現在、米国50州のうち49州で証券を販売し、35州で不動産プロジェクトに資本を貸し出している。

Groundfloorは、融資を受ける不動産投資家の実績や経験を重視し、6つの要素でリスクを判断して各ローンにグレードを割り当てるアルゴリズムを使ってプラットフォーム上のローンを引き受けている、とダリー氏は説明する。そして、Groundfloorの投資家はこのスコアをもとに、自分のリスク許容度に見合った配分を決定することができると、同氏は続けた。

Groundfloorは、2021年秋に開始した貯蓄・投資アプリのStairsなど、新たな債務投資商品を追加してプラットフォームを拡大し、現在では投資資産2200万ドル(約25億円)を抱える。Stairsでは、ユーザーは基本的に当座預金として保有する現金に対して4%から6%の利息を得ることができる。Groundfloorは、Stairsのユーザーから得た資金をもとに不動産起業家への融資を行っていて、自社で短期間保有した後に投資家に売却しているとダリー氏はいう。Stairsのユーザーには常に流動性があり、好きな時にアプリから資金を引き出せる、とダリー氏は付け加えた。同氏によると、この斬新な仕組みがSECの承認を得るまでに9カ月かかった。

「これらはRegTechの大きな課題です。多くのリーガルエンジニアリングが必要です。そのため、プロセスには多くの時間がかかりますが、それだけの価値があると考えています」とダリーは述べた。

同社は2018年、自社プラットフォームと株式クラウドファンディングプラットフォームSeedInvestを通じて自社ユーザーからの資金調達を開始し、その後4回の公開株式調達で合計3000万ドル(約34億円)を調達した。現在、個人投資家がGroundfloorの約30%を保有しているとダリー氏は話した。

今回発表されたシリーズBは、2021年に売上高が114%増の1200万ドル(約13億円)に達するなど、Groundfloorが大きく成長した後に行われた。投資家は同年、同社のすべての不動産ローンで平均リターン10%を享受した、と同社は話す。

Groundfloorの不動産ローンクラウドファンディングプラットフォーム(画像クレジット:Groundfloor)

今回のラウンドでは、イスラエルの不動産会社Medipowerから株式で580万ドル(約6億円)、クラウドファンディングプラットフォームSeedInvestを通じてGroundfloorを支援する3600人超の個人投資家から720万ドル(約8億3000万円)の出資を受け、累計調達額は1億1800万ドル(約135億円)になった。また、個人86人がGroundfloorのアプリを通じて直接このラウンドに参加し、その投資は5ドル(約82円)の転換社債で構成されている。ダリー氏は、転換社債はGroundfloorの商品の中で唯一、非適格投資家が利用できないものであり、それは部分的には同社が転換社債をほとんど調達していないためだと述べた。

Groundfloorは、今回の資金調達のニュースの中で、ショッピングセンターと小売用不動産を専門とするMedipowerとの戦略的パートナーシップを発表した。Medipowerは2022年、最大1億ドル(約115億円)、2023年にはさらに最大2億2千万ドル(約252億円)をGroundfloor上のローンに投資する計画だ。テルアビブ証券取引所でティッカーシンボル「MDPR」で取引されている同社は、プラットフォーム上の個人投資家と同じ条件でこれらのローンに投資し、他の投資家が押し出されないよう投資額を制限する予定だ。この取引の一環として、Medipowerの創業者で会長のYair Goldfinger(ヤイール・ゴールドフィンガー)氏がGroundfloorの役員会に加わる。

Medipowerの投資額は、2022年末までにGroundfloorの運用資産の25%に達する可能性があるとダリー氏はいう。同氏は、Medipowerのローン投資を非希薄な資金源とみている。というのも、MedipowerがGroundfloorに投資することで組織に認めてもらうことになり、他のソースからの収益を引き寄せると期待しているからだ。

ダリー氏は「その資本の直接的な恩恵を受けるのは、全国で新しい建設プロジェクトを行い、住宅を建設している不動産起業家たちです」と語った。

Groundfloorは、今回のラウンドで得た資金で、現在約70人で構成されているチームに新たに50人を加える予定だ。同氏によると、新規採用のうち約40%はエンジニアで、同社の成長計画、特に製品面を支えることになる。

「16万人の投資家を、今後2〜3年で100万人にする準備をしています」とダリー氏は語った。

画像クレジット:krisanapong detraphiphat / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラファンIndiegogoが信頼確保に向け正当なキャンペーン運営者に「信頼証明バッジ」発行へ

Indiegogo(インディーゴーゴー)は信頼面で問題を抱えている。それは同社が痛感していることだ。このプラットフォームは長年、Kickstarter(キックスターター)の最初の審査に通らなかったキャンペーンが集まる場所と多くの人に考えられてきた。

CEOのAndy Yang(アンディ・ヤン)氏は、2021年夏のインタビューでこう語った。

私たちのサイトでは、キャンペーンが実現しなかったり、キャンペーンが支援者と不通になったりといった失敗が何度もありましたし、私たちもそれを認めています。この2年間は、信頼と安全の観点から何ができるかを考えることに重点を置いてきました。クラウドファンディングはショッピングではないということを、支援者に理解してもらうための教育から始まりました。私たちの精算サイトでは非常にわかりやすく説明しています。しかし繰り返しになりますが、Amazon(アマゾン)や他の企業では、ボタンをクリックすれば2時間後に商品が届くと人々は教育されています。信頼という点では、これまで被害に遭われた方々のことを考えると、その通りだと思います。私たちはそのことを認めています。

Indiegogoは「支援者がより多くの情報を得た上で意思決定できるようにする」ことを目指し、数々の新しい取り組みによって、これまでの欠点に対処しようとしている。その中で、新しいTrust-Proven Badge(信頼証明バッジ)は大きな変化ではないが、企業と支援者の間に作りたいと同社が考えてきた信頼のようなものを育むための一歩となる。

「過去10年間、我々は何千ものキャンペーンを成功させてきました。そして、これらの起業家と築いた関係は、決して小さな偉業ではありません」と、Indiegogoは新機能を発表したブログポストで述べている。「我々は、Trust-Provenバッジを使用して、キャンペーン運営者の成功の記録を強調し、この情報をキャンペーンページで直接提供することで、支援者がより多くの情報に基づいた意思決定ができるようにしたいと考えています」。

同社によると、現在は最もアクティブなキャンペーン運営者の実績を確認している最中で、履行状況、キャンペーン管理、支援者からの好意的なフィードバックなどに基づいて、バッジの授与を開始する予定だ。この動きはIndiegogoのTrust & Safetyチームのより広範な徹底点検の一部で、サイト全体の関係を改善することを目的としている。今回のニュースは、クラウドファンディングが激変している中でのものだ。12月にはKickstarterがプラットフォーム全体を分散型ブロックチェーン技術に移行する計画について、幅広いユーザーから反発を受けた。直近では、長年のリワードフルフィルメントプロバイダーであるTopatoCoが、独自のクラウドファンディングサービスTopatoGoの立ち上げを発表した。

関連記事:Kickstarter、クラウドファンディングプラットフォームをブロックチェーンに移行する計画

TopatoCoの創設者でCEOのJeffrey Rowland(ジェフリー・ロウランド)氏は、新サービスについて次のように語っている。「私たちはこのサービスを長く続けてきましたが、そろそろ中間業者を排除し、自分たちですべてを行うことで関係者全員が楽になる時期だと考えています。長年にわたり、何十万個もの荷物を発送してきた私たちはそれを得意としています。毎日働く優秀な人材と、2つの倉庫、数十台のコンピューター、バン、フォークリフトを有しています。『取り扱い注意』のシールもたくさんあります。クラウドファンディングとフルフィルメントを完全に自社で行うことで、クリエイターはもっと良い取引ができ、社内プロセスを合理化し、コミュニティにより多く投資し、なぜかブロックチェーンを使わないことで環境にも貢献できます」。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」、サービス開始以降10案件すべての目標募集額を連続達成

株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」、サービス開始以降10案件すべての目標募集額を連続達成

イークラウドは1月28日、株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」において、2022年1月に募集を開始した案件が目標募集額を上回り、サービス開始以降10案件すべての目標募集額を連続達成できたと発表した。

イークラウドは、B2C・B2Bなどを問わず世の中の様々な課題に挑むベンチャー企業が個人投資家から少額ずつ資金を調達できる仕組みとして「株式投資型クラウドファンディング」を提供している。同サービスでは、非上場のベンチャー企業がインターネットを通じて1年間に1億円未満の資金調達を行える(個人投資家が投資できる金額は1社に対して1年間に50万円以下)。

2022年1月にイークラウドで募集を開始した案件が目標募集額を上回り、プラットフォームにおける調達額累計は約3億4000万円となった(1案件あたりの平均調達額は約3400万円)。株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」、サービス開始以降10案件すべての目標募集額を連続達成

現在、投資家や起業家支援機能などのベンチャーエコシステムは東京に偏在しており、資金調達額のおよそ80%は東京に集中しているとされる(日本ベンチャーキャピタル協会調べ。2019年)。その中で、イークラウドは株式投資型クラウドファンディングを通じ、日本各地のベンチャー企業の資金調達の支援を実施。2021年5月には群馬銀行とも提携を行い、地方ベンチャーの支援体制を加速させているという。同社は、今後も地方銀行との連携を強化するとしている。

クラウドファンディングGoFundMeが非営利団体向け寄付プラットフォームClassyを買収

米国時間1月13日、クラウドファンディングプラットフォームのGoFundMeが、非営利団体や事業のための資金を集めているClassyを買収すると発表した。財務内容は明らかにされていないが、これは全株式の買収だ。

GoFundMeも地域のチャリティ食堂や、コミュニティメンバーの援助など非営利の目的で使えるが、Classyは直接非営利団体そのものに協力を提供する。2010年のシードラウンド以降、ClassyはVCから合計1億8350万ドル(約209億6000万円)を調達したが、それには2021年4月のNorwest Venture Partnersがリードした1億1800万ドル(約134億8000万円)のシリーズDが含まれている。この公益法人は200名のチームを雇用しており、今後はGoFundMeの子会社として、GoFundMeとは別の法人実体として稼動するが、トップはGoFundMeのCEOであるTim Cadogan(ティム・カドガン)氏が務める。

「GoFundMeとClassyが個人や団体のためにこれまで合わせて200億ドルを調達してきたことを誇りに思っていますが、私たちが持つユニークな機会により、もっと大きなインパクトを作り出せるはずだと認識しています。米国だけでなく全世界的なインパクトになるでしょう」とカドガン氏はブログで述べている。

カドガン氏は、この買収により、個人の寄付者と非営利団体への寄付の機会を結びつけることができるようになると期待している。

「これによって、災害救助を求めている個人に誰かが寄付をすると、その人は、災害の原因である気候変動の対策活動をしている非営利団体に接続できることになる」とカドガン氏は書いている。

2021年にはGoFundMeとClassyを合わせて50億ドル(約5711億8000万円)の資金が集まったとのこと。GoFundMeは募金者から(標準的な取引手数料は別として)プラットフォーム利用料を徴収しないが、人々がキャンペーンに寄付する際、GoFundMeの運営維持に役立つチップをオプションで追加することが可能だ。デフォルトでは、チップは寄付額の15%に設定されている。

画像クレジット:GoFundMe

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Kickstarter、クラウドファンディングプラットフォームをブロックチェーンに移行する計画

クラウドファンディングプラットフォームであるKickstarterが、今後の基本プロトコルとしてブロックチェーンを採用し、「基本的にKickstarterの中核的な機能性の分散バージョンを作ることになる」オープンソースのプロトコルを作る計画を発表した。同社によるとその目標は、Kickstarter.comを含め複数のプラットフォームがそのプロトコルを採用するようになることだ。

KickstarterはKickstarter PBCと呼ばれる新しい組織を立ち上げ、そこがプロトコル開発を行う。資金はKickstarterが提供し、組織の最初の取締役会を任命、そして自らがそのプロトコル上の最初のプラットフォームの1つになる。ただしその移行の日程は未発表だ。同社はまた「独立のガバナンス研究所」を設立し、そこがプロトコルのガバナンスに関わる研究調査を公開して、コミュニティと連携していく。

これは、Kickstarterにとって興味深い道筋だ。同社にはもともと、考え方としてブロックチェーンと共通するものがあり、同じく消費者がプロジェクトをサポートでき、それらを軸にコミュニティを築き、プロダクトの成功に対し株主のような所有権を持つ。もちろんKickstarterでは、それは株ではなく完成した物理的あるいはデジタルのプロダクトであり、今後のブロックチェーンによるクラウドファンディングプラットフォームは、プロダクトの成熟とともに価値を増すプロジェクトに結びついたトークンをユーザーに与えて、その権利分有モデルを強化する。そのやり方には法的に不透明な部分もあるが、ユーザーの売り買いの実体を隠す方法は他にもたくさんある。

現状ではKickstarterは、そのプロトコルがユーザー体験に与える影響に配慮して、ゆっくり進めるようだ。「1人のユーザーとしては、これまで使い慣れてきたKickstarter体験は今後も変わらないだろう。しかし、その改良からは利益を得るだろう」と同社ブログにはある。

Web3の技術は技術者やアマチュア、そしてプロの投資家に大きな興奮をもたらしたが、主流的なユーザーの大多数は、BitcoinやEthereumなど人気の高いネットワークのエネルギー利用をめぐる議論のせいで二の足を踏んでいる。Kickstarterはこれらの懸念を、新しい業態をCeloブロックチェーンの上に置くことによって、避けて通るつもりだ。Celoはあまりエネルギー集約的ではないコンセンサスメカニズムを使っており、チームはそれを「カーボンネガティブ」と称している。そのプロトコルがCeloを使うこと以外では、KickstarterがKickstarter PBCの開発に関して提供している具体的な詳細は乏しい。

オープンソースのプロトコルを開発して、それを自分のプラットフォームも使う、という方針を目指しているテクノロジー大手は、Kickstarterばかりではない。Twitterのblueskyは、ソーシャルメディアの分散プロトコルを開発する取り組みだ。

関連記事:Twitterが描く分散化の未来、包括的なオープンスタンダードに向けた展望はインターネット極右を追い詰めるか

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

カーボンオフセットのサブスクを行うEcologiがクラウドファンディングで資金調達

人々は音楽に定額料金を支払っているのだから、カーボンオフセットにも定額料金を支払い、気候危機に対する良心の呵責を和らげようとする人だっているはずだ。そう考えた英国のEcologi(エコロジ)というスタートアップ企業は、サブスクリプション会員から集めた資金を使って、アフリカやラテンアメリカなどの地域で10日ごとに100万本の木を植えたり、インドネシアの泥炭地を保護する活動などを行っている。そうすることによって会員のカーボンフットプリントを減らし、カーボンオフセットを購入することで会員の排出した二酸化炭素を相殺するというわけだ。

Ecologiは2021年4月、プレマネー評価額1650万ポンド(約25億2000万円)でシード投資ラウンドをクローズし、リードインベスターであるGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)とEntrée Capital(アントレ・キャピタル)から、405万ポンド(約6億2000万円)の資金を調達した。

3万5000人の個人および企業が利用しているこのサブスクリプションサービスでは、会員は毎月少なくとも12本の木を植えて「自分の森を育てる」ことができ、さらに幅広い炭素削減プロジェクトに資金を提供することで、自分のカーボンフットプリントをオフセットすることができる。

2019年の設立以来、これまでブートストラップで運営してきた同社は、領収書、証明書、取締役会議事録、財務諸表などもすべて公開台帳に載せている。

現在は、英国の投資クラウドファンディングプラットフォームであるCrowdcube(クラウドキューブ)では、目標額の200万ポンド(約3億500万円)を上回る資金を集めており、プレマネー評価額は7500万ポンド(約115億円)に達している。この資金は、製品の開発、チームの拡大、米国およびEUでの事業拡大に充てられる予定だ。また、同社は現在、B-Corp(ビーコープ)認証を待っているところだという。

2022年初頭には、企業向けのリアルタイムカーボンフットプリントソフトウェア「Ecologi Zero(エコロジ・ゼロ)」の発売を予定している。

これによって同社は、Normative(ノーマティブ)、Spherics(スフェリックス)、Plan A(プランA)といった他のカーボンフットプリントSaaSスタートアップと競合することになる。

Ecologiは、9カ月間で650%以上の成長を遂げ、2020年1年間で炭素削減による効果を330%増加させたと主張している。2021年1月におけるARR(年間経常収益)は300万ポンド(約4億6000万円)だったが、2021年は850万ポンド(約13億円)のARRで終える見込みだという。

同社はこれまでに合計で2500万本以上の木を植え、120万トンのCO2を相殺したと主張する。これらの木の大部分は、マダガスカル、モザンビーク、ニカラグア、米国、オーストラリア、英国、ケニアで植えられた。さらにインドネシアの泥炭地保護、トルコにおける埋立てガスからのエネルギー生産、インドにおける廃棄籾殻からのエネルギー生産などのプロジェクトを支援している。

共同設立者でCEOのElliot Coad(エリオット・コード)氏は次のように述べている。「コミュニティ・オーナーシップは我々の活動の中心であり、過去2年間の成長の原動力となってきました。だから、当社の熱心な定額会員のみなさまに、Ecologiの株式を所有する機会を提供することは、当然のことだと考えました。そこで私たちは、2021年4月にGeneral Catalystから出資を受けて以来、この3カ月間はベンチャーキャピタルからの出資を断り、コミュニティベースのクラウドファンディングを採用したのです」。

画像クレジット:Ecologi / Ecologi co-founder Elliot Coad

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クラウドファンディング大手のIndiegogoが全プロジェクトに実現可能性の審査を適用へ、信頼性確保団体も設立

クラウドファンディング大手のIndiegogoが全プロジェクトに実現可能性の審査を適用へ、信頼性確保団体も設立

Prostock-Studio via Getty Images

大手クラウドファンディングサービスのIndiegogoは、プロジェクトチームが製品開発のための出資募集キャンペーンを立ち上げる前に、プロジェクトの実現可能性などをより詳しく審査する方針を発表しました。

これまで標榜してきた”オープンなプラットフォーム”を改め、すべてのキャンペーンに開始前審査を適用することで、実現困難なことが明白だったり出資希望者を欺くようなキャンペーンを事前に篩(ふるい)にかけることを目標に掲げています。

Indiegogoのプロダクト&顧客信頼担当VPのウィル・ヘインズ氏は、2008年のサービス立ち上げ当時はあらゆる目的のための資金調達を可能にするサービスの提供を理想に掲げていたと述べています。しかし”オープン”であることは「われわれのコミュニティが真に求めているものではないとわかった」としています。

クラウドファンディングとは本来、これまでにないものを作ろう、イノベーションを起こそうとするチームが、プロジェクトを試作~販売できる段階まで進めるため、広く一般から出資という名目で資金集めを行なうものです。

すでにできあがっている製品を早期予約割引のような格好で売りさばくようなプロジェクトも無いわけではありませんが、基本的には出資する側にも、プロジェクトが途中で失敗に終わり最終的にリワード品が手に入らないリスクを負うことが求められます。

とはいえ、決して最初から資金だけ集めてトンズラするような詐欺的プロジェクトがあってはなりません。クラウドファンディングというのは出資・支援する人のコミュニティによるイノベーションへの期待と信頼があって初めて成立するものです。そして人々はそのプラットフォームが安全かつ信頼できる場であることを期待しています。

今回のIndiegogoの変化は、そうした場を維持するために「Guidepost Program」と称する審査段階を設け、出資募集キャンペーンを開始する前に、プロジェクトが実現可能で具体的計画を用意しているかどうかを確認する取り組みを強化します。

Indiegogoでは規模の大きなプロジェクトに関しては、その実現可能性を審査をするための専門家やリソースを用意して来ましたが、今後はあらゆるキャンペーンで審査の取り組みを強化していく予定です。

また、そうした信頼性確保の取り組みを他のクラウドファンディングサービスにも実施しているGoFundMe社との提携により「Crowdfunding Trust Alliance」を設立。理想的な事例や業界の動向に関する知識を共有するために、他のクラウドファンディングサービスに参加を呼びかけることとしました。

過去には、クラウドファンディングを悪用した詐欺事件や詐欺的案件が数多く発生しています。今後もそうした問題は散発的に発生すると考えられ、出資者にもリスク負担が必要になることに変わりはありません。

対策にしっかり取り組んでいるIndiegogoだから大丈夫、ではなく、最悪はお金も品物も戻ってこないリスクが常にあることを、われわれも意識しておかなければなりません。

(Source:IndiegogoEngadget日本版より転載)

TenwaysのCGO 600は通勤に最適な都市向けベルトドライブ式電動アシスト自転車、価格約20万円から

ホンダがモバイルバッテリーをシェアサイクルに活用、電動自転車の「電池切れ」解消へ

E-Bike(電動アシスト付きスポーツ自転車)メーカーのTenways(テンウェイズ)は先頃、最初のモデルである「CGO 600」を、クラウドファンディングサイトのIndiegogo(インディゴーゴー)で発表した。価格は約20万円と、e-bikeとしては比較的手頃な価格帯の製品だが、目の肥えた顧客でも満足できそうな多くの特長を備えている。

本題に入る前に言っておかなければならないのは、CGO 600が出品されているIndiegogoのようなクラウドファンディング・プラットフォームでプロモーションされている新製品を購入するには、常に固有のリスクがあるということだ。

しかし、良いニュースは、Tenwaysがこの自転車の生産をすでに開始していると断言していることであり、それは明らかに事実のようだ。確かに、筆者に送られて来た試乗用モデルは、サイトに掲載されている最終的な仕様のハードウェアがすべて搭載されており、この主張を証明するものになっている。さらに、TenwaysはIndiegogoをマーケティング的に利用している企業であり、製品を開発・製造するための資金を集めるというよりは、製品を宣伝するためという意味合いが大きい。

画像クレジット:Tenways

では、この都市向け電動アシスト自転車は購入を検討する価値があるだろうか?短く答えれば「イエス」だ。

長く答えるなら次のようになる。

まず最初に、都市環境に最適化されたE-Bikeというものについて話しておきたい。

確かに、CGO 600は都市向けに作られているように見える。電気モーターとバッテリーは一般的なE-Bikeよりも目立たず、それによってメッセンジャーバイクを思わせるクールなスタイリングに仕上がっている。また、金属チェーンに代わりカーボンベルトドライブシステムを採用しているため、静粛性が高く、給油や調整も不要のメンテナンスフリーに近い。同様に、油圧式ディスクブレーキシステムも、それほど頻繁なメンテナンスを必要としない。

画像クレジット:Tenways

乗り心地もよく、重量は15kgと軽いので、階段を昇ったり降りたりするときにも楽に持ち運べる。スロットルはなく、ペダルアシストはトルクセンサーによって作動する仕組みだが、これがうまく機能している。

250Wのモーターは、坂道や平坦な道を走るときに十分な力を発揮して乗り手をアシストするが、さらにその出力レベルは3段階から選ぶことができる。

画像クレジット:Tenways

バッテリーは比較的小さな252Whで「理想的な条件」では1回の充電で130kmの走行が可能だとTenwaysは主張する。これはおそらく楽観的な数値だろう。しかし、130kmもの距離を通勤で走る人がどれだけいるだろうか?結局のところ、これはそういう使い方のために設計されている自転車なのだ。充電のためにバッテリーを取り外すのは簡単ではないため、自転車をそのままプラグにつないで充電する方がシンプルだろう。

Tenwaysは9月からCGO 600の出荷を始めているという。「都会的」なヒップスターであれ、平均的な通勤者であれ、このような特長を備えたルックスの良いE-Bikeを欲しくない人はいないだろう。

画像クレジット:Tenways

メーカーが公表しているTenways CGO 600の技術仕様は以下のとおりだ。

適応身長:2サイズ用意、165cm~200cmをカバー
重量:15kg
バッテリー使用可能距離:70km~130km
充電時間:100%充電まで2.5時間
最高速度:25km/h
保証期間:2年
コントロールモード:車載スマートLCDコントローラーまたはスマートフォンアプリ

車体
フレーム:航空宇宙用アルミ合金6061
フォーク:航空宇宙用アルミ合金6061
ベルト:Gates(ゲイツ)社製CDXカーボンドライブベルト、 3万kmの寿命を実現
ブレーキ:油圧式ディスク
タイヤ:CST製700C×35mm耐パンクタイヤ

電装品
モーター:カスタムデザインのリアハブモーター、最高出力250W / 最大トルク40Nm
コネクティビティ:Bluetooth
バッテリー:7Ah、252Wh
充電器:カスタムデザインの36V / 3A充電器
モバイルアプリ: iOSおよびAndroid
デジタルコントローラー:ハンドルバー搭載、3段階のペダルアシスト、パスワードによるセキュリティ電源
価格:Indiegogoでは1万4033香港ドル(約20万6000円)から

画像クレジット:Tenways

画像クレジット:Tenways

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本クラウドキャピタルがベンチャー株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」提供に向け準備開始

日本クラウドキャピタルは10月26日、財務省関東財務局において第一種金融商品取引業への変更登録が10月22日に完了したと発表した。これに伴い、新たなサービスとして、ベンチャー株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」(ファンディーノマーケット)の提供に向け、準備を進める。2021年12月1日に情報開示を目的としたサイトプレオープンを行い、12月8日のサービス開始を予定している。

FUNDINNO MARKETとは、個人投資家が、ベンチャー企業の株式をオンラインで注文可能となるサービス。日本証券業協会が提供している、地域に根差した非上場の企業などの株式売買・株式の発行により資金を集める仕組み「株主コミュニティ」制度を活用しているという。FUNDINNO MARKETにより、ベンチャー企業の株式を保有する個人投資家間の売買取引や、個人投資家からの資金を調達したい未上場企業の資金調達の場を創出するとしている。また、法人投資家の利用への拡大も順次進める。

ベンチャー企業への投資には、投資したい個人投資家と資金調達したいベンチャー企業との適切な出会いの場が限られており、同社は株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」(ファンディーノ)を通じてその機会を提供してきた。従来、ベンチャー企業の株式は流動性が乏しく、保持し続けることが一般的だったが、今回のマーケット創設に伴い、投資家はいつでもオンラインでの注文が可能となる。

FUNDINNO MARKETでは、ファン投資家の資金と応援により、IPOやM&Aなどのエグジットを目指すベンチャー企業だけでなく、地域経済を支える中小企業や社会課題解決を目指すソーシャルベンチャーなどが活用できるという。日本クラウドキャピタルは、同マーケットの創設により「フェアに挑戦できる、未来を創る」ことを実現するとしている。

FUNDINNOは、IPOやバイアウトを目指すベンチャー企業に1口10万円前後から投資できるサービス。審査を通過したベンチャー企業のみが投資家の募集を行えるという(投資家も投資適格性などの審査が必要)。FUNDINNOでは、普通株式や新株予約権への投資となり、投資先企業からのIR情報を定期的に確認できる。企業によっては投資に対してエンジェル税制を活用できる場合や、株主優待を設定している会社もあり、新しい投資体験が可能という。

北海道スペースポートHOSPOがCAMPFIREと協定、「宇宙のまちづくり」のためクラウドファンディングによる資金調達開始

北海道スペースポートHOSPOがCAMPFIREと協定を結び「宇宙のまちづくり」のためクラウドファンディングによる資金調達開始

北海道の東部海岸に面する大樹町に位置する北海道スペースポート「HOSPO」(ホスポ)を推進する北海道大樹町とSPACE COTANは10月4日、CAMPFIREとの3者間パートナーシップ協定を結び、クラウドファンディングによる資金集めを開始すると発表した。

「宇宙のシリコンバレー」を目指して、スペースポートを中心とした地域づくり、町づくりを進めるHOSPOプロジェクトは、これまで企業版ふるさと納税で、25社から2億5330万円の資金提供を受けているが、個人でも支援したいとの声を受けて、数々のクラウドファンディングを実施することにした。第1弾は「【北海道スペースポート】HOSPO LC-1クルーとして共に宇宙を目指そう!」で、5000円を寄付するとリターンとしてHOSPOプロジェクトの仲間「HOSPO LC-1クルー」になれるというもの。集めた資金はHOSPOのPR・営業・観光などの商品開発、HOSPO関連事業に使われる。

このほかに予定されているクラウドファンディングは、北海道コンサドーレ札幌との限定コラボTシャツがもらえるコース(1万6000円)、大樹町の特産品がもらえるコース(2万円)、ロケット射場に名前が刻めるコース(3万円)、ホリエモンとの宇宙交流イベントに参加できるコース(5万円)、LC-1の竣工式でテープカットができる権利がもらえるコース(100万円)、さらにはインターステラテクノロジズのロケットZEROを打ち上げる権利がもらえる10億円のコースなどもある。

HOSPOは2021年4月から本格稼働し、すでに最初のロケット射場「LC-0」は、JAXAや民間ロケット企業、大学などの航空宇宙実験に利用されている。2023年には人工衛星打ち上げロケット用の射場「LC-1」が稼働し、現在ある1000m滑走路をスペースプレーン用に300m延伸する計画もある。

応援投資型クラウドファンディングの「イークラウド」が3億円調達、採用・組織体制を強化

応援投資型クラウドファンディングの「イークラウド」が3億円調達、採用・組織体制を強化

個人の投資をベンチャー企業の資金調達にあてる「応援投資型クラウドファンディング」を運営するイークラウドは10月4日、第三者割当増資による約3億円の資金調達を発表した。引受先はGenesia Venture Fund 2号(GV-2。ジェネシア・ベンチャーズ)、セレス。累計調達額は約7億円となった。

同社の「イークラウド」は、個人投資家がスタートアップ企業を応援・成長させる「応援投資」というコンセプトの下、初期株主として非上場のスタートアップに少額から出資できるという「応援投資型クラウドファンディング」。「投資家に魅力的な投資の機会を創造し、挑戦者に新たな資金調達手段を提供する」をミッションに掲げ、投資家と企業を近い距離感でつなぐのが特徴。サービスのリリースから約1年で、個人投資家の登録者数は1000名以上、8案件の目標募集額を達成している。応援投資型クラウドファンディングの「イークラウド」が3億円調達、採用・組織体制を強化

今回調達した資金は、採用および組織体制の強化に充当する。スタートアップ企業に対する資金調達と個人投資家に対する投資機会の提供を加速させる狙い。新規サービスの展開に向け、人材募集も行っている。

どんな場所でも走れるキャタピラ採用電動スケボー「Ungoverned Vendetta」がIndiegogoで出資を募集開始

Ungoverned

Ungoverned

オーストラリアのサーファーでスケーターそしてスノーボーダーでもあるダン・ボールドウィン氏が、オフロードを含むあらゆるあらゆる場所を滑れるゴムクローラー式電動スケートボード「Ungoverned Vendetta」を開発、クラウドファンディングサイトIndiegogoで製品化に向けた出資を募集し始めました。

Vendettaはスケボーの板の下にウィールではなく、2つのモーター駆動のゴムクローラー(キャタピラ)を備えており、砂地や起伏の激しい岩場、さらには雪上での走行も可能。交換可能なバッテリーパックを備えており、フル充電状態なら体重75kgのスケーターが25km/hで約40分間走行可能です。また平坦な場所なら最高速度は50km/hに達するとのこと。加減速スロットルは有線のハンドコントローラーでコントロールします。

現在、Vendettaは走行可能なプロトタイプが10台だけ「手作業で」生産中。Indiegogoでは、このプロトタイプへの出資者を募集しています。

Vendettaの標準モデル”BLACK”の小売価格は6995豪ドル(約57万円)で、Indiegogoでの出資枠はそこから1000豪ドル値引きした6995豪ドル(約49万円)。金色カラーリングのVendetta “GOLD”版は1000豪ドル増しとなっています。

プロモーション動画では、スケーターが砂浜から森の中、雪上といった普通のスケボーが走れないような場所をわざわざ選んで軽快に走り抜ける様子が紹介されています。なかには丸太を乗り越えたり、横倒しの自転車の上を走り抜けたりと、なんでもありのフリーダムさで、眺めていればだんだん「ちょっとのってみたい」気がしてきます。

Ungoverned Vendettaと同種の電動オフロードスケートボードとしては、2005年に設立されたScarparが販売するものがあります。しかし実はこのScarparの製品も、もともとはダン・ボールドウィン氏が開発した電動スケートボードをベースに改良を加えたものです。Vendettaは、Scarparとは別に、ボールドウィン氏が新しく個人用かつ高性能な乗り物として開発を進めていると説明されています。

なおIndiegogoの説明によると、Ungoverned Vendettaはその出荷先がオーストラリア国内に限られていますが、米国、ニュージーランド、カナダ、ロシア、スウェーデンなどから問い合わせが来ているとのことです。

(Source:UngovernedIndiegogoEngadget日本版より転載)

P板.com主催のハードウェアコンテストGUGEN2021にCAMPFIRE協賛、参加者向けクラウドファンディングも提供

日本最大級のオリジナルハードウェアコンテスト「GUGEN2021」にCAMPFIRE協賛、参加者向けクラウドファンディングプログラム提供

CAMPFIREは8月26日、ハードウェア開発に挑戦する企業・団体・個人への支援を目的に、ピーバンドットコムが主催する日本最大級のオリジナルハードウェアコンテスト「GUGEN2021」に協賛すると発表した。

また購入型クラウドファンディング「CAMPFIRE」において、コンテスト参加者がクラウドファンディングを手軽に始められるオリジナルプログラム「Maker プラン」を提供する。「作品をクラウドファンディングに登録するメリット」「GUGEN2021特設ページ」を開設し案内している。

日本最大級のオリジナルハードウェアコンテスト「GUGEN2021」にCAMPFIRE協賛、参加者向けクラウドファンディングプログラム提供

GUGENは、プリント基板ネット通販サイト「P板.com」を運営するピーバンドットコムが主催するハードウェアコンテスト。「社会における課題を解決するデバイス」をテーマとし、ハードウェアエンジニアのものづくり活動を推進・支援するものとなっている。GUGENは、前身となる「電子工作コンテスト」から数えて13年目となり、CAMPFIREは一昨年の協賛に引き続き、2度目の協賛という。

「GUGEN2021」コンテスト概要

  • コンテスト詳細・応募:「GUGEN2021」サイト参照
  • 作品募集期間:2021年8月4日~10月31日
  • 体験型展示会:2021年11月13日。展示予定作品数は50作品。場所は後日発表予定
  • 展示会(オンライン):2021年12月11日。選考会エントリー予定数は10作品
  • 応募条件:オリジナルのハードウェア作品であること(市販のキット、マイコンを活用した作品でもかまわない)。使う人、見る人に「楽しさ」「便利さ」などのメリットを提供できる作品であること、未発売の作品であること(クラウドファンディングなどでの活動中の作品は応募可能。個人・グループ・法人を問わない。作品のジャンルは自由(例:デジタル機器・ファッション・住まい・食育・音楽・おもちゃ・アートなど)
  • GUGEN 審査基準:誰かの課題を解決する「未来のふつう」となるであろう、オリジナルのハードウェア・電子工作を審査対象とし、5項目の審査基準に添って審査。5項目は、「課題解決性」「実現性」「革新性」「意匠性」「キャラクター性」。なおGUGEN2021では、持続可能な開発目標(SDGs)を課題解決性の評価基準のひとつとしている
  • 賞金・賞品:大賞(1チーム)100万円(現金50万円+プリント基板・電子部品50万円相当)、優秀賞(1チーム)20万円(現金10万円+プリント基板・電子部品10万円相当)、Goodアイデア賞(1チーム)10万円(現金5万円+プリント基板・電子部品5万円相当)他、「スポンサー賞」「ほしいね賞」
  • 大賞・優秀賞・Good アイデア賞について:GUGEN審査基準およびウェブ上のほしいねボタン数を考慮し、12月の選考会・授賞式で選考(12月の選考会への参加作品は、ウェブサイト上の作品登録の審査により決定)

GUGEN参加者オリジナルプログラム「Maker プラン」

ハードウェア開発において、クラウドファンディングは「資金調達」の側面に加え、製品化の前段階で市場に挑戦することによる「市場検証」の役割も果たす。製品の検証段階でのテストマーケティングとして活用し、製品化に向けたブラッシュアップの材料にできるとしている。今回の協賛に伴い、参加者がより手軽にクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げ、ものづくりに集中できる環境を提供すべく、参加者向けのオリジナルプログラム「Maker プラン」を提供している。

また、オリジナルプログラムでは、通常のクラウドファンディングとは異なり、アイデアのお披露目・応援の場として活用できる特設サイトを用意する。

目標金額に達成しなかったとしても、期間終了日までに集まった応援購入額を獲得できるAii-in方式(手数料を除く)などプロジェクトの進捗状況に応じた適切な募集方式が可能なほか、リターンイメージなどクラウドファンディングのプロフェッショナルのサポートを受けられる。日本最大級のオリジナルハードウェアコンテスト「GUGEN2021」にCAMPFIRE協賛、参加者向けクラウドファンディングプログラム提供

「GUGEN参加者オリジナルプログラム」概要

  • 申し込み条件:GUGENにエントリーすること。応募フォーム内のクラウドファンディングの実施希望欄にチェックを入れると、「Makerプラン」の案内が送付される
  • 実施手数料:10%
  • エントリー締め切り:2021年9月27日
  • プロジェクト初回申請締め切り:10月6日
  • プロジェクト公開締め切り:10月15日
  • プロジェクト実施期間:最大3週間
  • 方式:All-or-Nothing or All-in

特典内容

  • プロジェクトテンプレート:プロジェクト本文やリターンはテンプレートを用意。GUGENの応募素材でそのままプロジェクトの作成が可能
  • オリジナル記事コンテンツ:作品作りの思いを記事コンテンツとしてリターンに設定できるようにしている。空欄を埋めると記事コンテンツになるフォーマットを用意
  • プロトタイプのリターン:CAMPFIREでは、作品がプロトタイプの状態でもリターンとして設定して支援を集めることができる

犬にも猫にも使えるスマホ並みの健康管理デバイスPetVoiceがMakuakeに登場

「ペットに健康な毎日を」を掲げるPetVoiceが、犬、猫を対象としたペットの健康管理ウェアラブルデバイスの先行予約販売を、2021年7月27日よりMakuakeで開始した。

同社は2020年7月にCEOの深田篤氏とCTOの大城啓吾氏が設立。深田氏は、家族に迎えた保護猫があまりに人間慣れしておらず、自宅で迎えた当初は怯えてストレス過多な状態であったことから、これを理解して解決してあげられるサービスが欲しいと思ったことがきっかけだったという。当初はオンライン診療サービスを考えたが、動物は病状を言葉で伝えられないため、会話以外の手段としてデータ計測とオンライン相談をセットでリリースすることにした。大城氏はSonyでXperiaの開発設計をしていたが、現在は取締役CTOとしてPet Voiceのハードウェア開発、機械学習構築等に従事しているという。

スマホ並みの高機能首輪デバイスでペットの健康状態を把握

同サービスは首輪型ウェアラブルデバイス「PetVoice CORE」、データの中継と充電を担うホームデバイス「PetVoice HOME」、そしてスマートフォンアプリの3つから構成される。アプリでは、デバイスで検知したデータが確認可能で、異変を検知したら、全国150の提携済み獣医に相談が可能だ。「獣医師からしても、ペットが家でどう過ごしているかデータがあるほうが正確な検診ができる」と深田氏はいう。

通常、体温は直腸計測を行うが、首で取得した表面温度は直腸体温との相関関係が確認されており、深部体温が推定可能だそうだ。動物の種別や毛量を入力することで、より正確に計測できるとのこと。HOME側には気温センサーもあるため、季節やエアコンの影響を調整することもできる。また、行動測定のため、COREには、加速度センサーとジャイロセンサー、地磁気センサーの3つが搭載されている。生後半年からの着用が推奨されているそうだ(ベルトで長さ調節は可能)。

安価で高性能を目指す、犬猫の両方に対応

Makuakeでは買い切りモデルとして販売し、今後は月額サブスクで販売していく予定。競合製品との比較では、高性能で安価を目指した。すでに市場に投入されている製品の価格は1万円から2万円だが、エントリーハードルを下げるためにサブスクリプションモデルを採用している。性能では、相対的に重量がさほど変わらないままで、搭載センサーを増やしており、取得可能データが多い。

主な対象としては、病院に行く機会が増えてくる高齢の犬猫を想定しているというが、具合が悪くなってからでは遅いため、健常な犬猫に対しても日常的にデータを取得することで、予防医療につなげるねらいだ。

苦労したこととして、深田氏は犬猫両方に対応させたことを挙げた。「1点目は、猫は首輪を外れやすくする(首吊り防止)、犬は外れにくくするというこれまでの前提があり、その両方に対応させること。2点目は、生態データや行動データを取得し機械学習していく上で、体格や習性など、動物の前提が大きく違うため、分析に対応すること。体格別にデータ分析をしていきたい」と述べた。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ペットPetVoiceMakuakeクラウドファンディング日本

指紋認証でロック解除できる大型スマートスーツケースを仏Kabutoが販売開始

スマートスーツケースの開発と販売を手がける仏スタートアップのKabutoが、米国時間6月2日に新しいスーツケースの販売を開始した。Kabuto Trunkという製品名で、同社製品ではこれまでで最も大きいスーツケースだ。他社のスマートスーツケースとは異なり、単にバッテリーを内蔵しただけではない。

特徴的なのは、スーツケース上部に指紋読み取り装置があることだ。最大10個の指紋を登録できる。登録した後はスマートフォンの指紋読み取りと同様に、装置に指を当てるとスーツケースのロックが解除される。

つまり、ファスナーのロックが解除される。他の人がスーツケースを使っているときやバッテリーが切れているときは、従来のスーツケースと同様に鍵で開けられる。

Kabuto Trunkはハードシェルのデザインで容量は95リットルだ。金属製のベアリングホイールとタイヤを備える。バッテリー容量は1万mAhか2万mAhのどちらかを選べる。バッテリー容量が大きくなると重くなるので、どちらを重視するかを考えて選ぶことになる。

磁石でスーツケースに取り付けるバックパックを一緒に購入するオプションもある。旅行を考慮してデザインされたバックパックの容量は9リットル、マチを2倍に広げられるようになっていて広げると18リットルになる。

画像クレジット:Kabuto

現在はKickstarter価格でスーツケースが729ドル(約8万円)、バックパック付きが1059ドル(約11万6000円)となっている。Kickstarterのキャンペーンが終了したら価格は引き上げられる予定だ。

これまでのKabuto製品と同様に、万人向けではない。普通のスーツケースより高めの価格だ。しかし重要なものを収めるための特別な方法を求める人もいる。KabutoはこれまでにFrédéric Mazzella(フレデリック・マゼラ)氏、Michel & Augustin、Bpifrance、Fabien Pierlot(ファビアン・ピエルロ)氏などから90万ユーロ(約1億2000万円)を調達した

画像クレジット:Kabuto

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Kabutoスマートスーツケースクラウドファンディングフランス

画像クレジット:Kabuto

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

中国のハードウェアメーカーたちが世界進出のためにクラウドファンディングを活用

ハイテク企業が密集している深圳の南山区で開催されたIndiegogo Chinaのイベント(画像クレジット:TechCrunch)

ここ数年、中国のハイテク企業たちは欧米市場で苦戦を強いられてきた。Huawei(ファーウェイ)とDJIは貿易制限の影響を受け、TikTok(ティックトック)とWeChat(ウィーチャット)は米国内でアプリが禁止される恐れがある。全体として国外に拠点を持つ中国企業たちは、地政学的緊張の高まりにますます警戒を強めている。

だがそんな中で、カリフォルニア州に本社を置くクラウドファンディングプラットフォームのIndiegogo(インディーゴーゴー)が、中国の消費財メーカーを対象に深圳(シンセン)でイベントを開催した。そのイベントでは、ポータブル発電機を製造するスタートアップから、53年の歴史を持つ家電大企業のMidea(ミデア)まで、さまざまな規模の企業が、Indiegogoの中国担当者が話す欧米の消費者へのアプローチ方法の説明に、熱心に耳を傾けていた。

部屋を埋めた起業家たちに対して、Indiegogo ChinaのジェネラルマネージャーであるLi Yongqin(リー・ヨンチェン)氏は「第1段階は、自分たちの声を世の中に届けることです。私たちはそれを成し遂げて来ました」と強く訴えた。「次は、勇気を持って潮目に乗り、世界中のユーザーに愛されるブランドを目指して挑戦することです」。

Mideaグループの海外eコマース事業を統括するChen Zhenrui(チェン・シェンルイ)氏は「クラウドファンディングは、消費者を理解するための極めて直接的な手段となります」という。IndiegogoやKickstarter(キックスターター)などのプラットフォームは、個人や組織が多くの人々からプロジェクト資金を調達する手段を提供する。ほとんどの場合、プロジェクト支援者は、資金を提供したプロジェクトから特典や謝礼を得ることができる。

Mideaは2020年、Indiegogo上で発売した新しいエアコンユニットのために150万ドル(約1億6000万円)を調達したが、2019年に同社が生み出した420億ドル(約4兆6000億円)の年間収益に比べれば、ほぼ無視できる金額だ。しかし、Indiegogo上での3600人の支援者からのサポートは、単なる実験以上の結果を示した。

わずか数週間でMideaは、窓枠にぴったりと収まって、騒音を遮断し、エネルギーを節約できるコンパクトなエアコンが、多くの米国の消費者を魅了することを学ぶことができたのだ。中国の他の老舗家電メーカーと同様に、Mideaも数十年前から輸出を行ってきた。

だが「これまでの海外ビジネスの大部分は、伝統的なB2Bによる輸出でした。世界に通用するブランドになるには、まだまだ遠いと思っています」とチェン氏はいう。

Mideaが初めてIndiegogoに登場したとき、キャンペーンページに「このプロジェクトは詐欺だ」というコメントを残したユーザーがいた。フォーチュン・グローバル500に選ばれた企業が、なぜIndiegogoに参加しているのかというのが理由だ。

チェン氏は当時を振り返って「そのときは何度かのやり取りを通して、お互いを知ることができました。結局そのユーザーは私たちを大いに応援してくれました」という。そしてMideaはIndiegogoの支援者たちから寄せられた何十もの提案を製品の改良に活かしたのだと付け加えた。

Indiegogo Chinaのゼネラルマネージャーであるリー・ヨンチェン氏は、会場に集まった起業家たちに、世界中のユーザーに愛されるブランドを開発するよう、強く呼びかけた(画像クレジット:TechCrunch)

中国の老舗メーカーが、クラウドファンディングに挑戦するケースがますます増えている。サウンドシステムのホワイトレーベルメーカーとして創業し、南部の沿岸都市アモイに拠点を置くPadmate(パッドメイト)が、Pamu(パム)という新しいイヤフォンブランドを立ち上げた。

PadmateのディレクターであるEdison Shen(エディソン・シェン)氏によれば、eコマースのような新しい小売チャネルによって旧来の流通業者が圧迫されているために、従来のような輸出は難しくなっているという。自身のブランドを作り、消費者に直接アプローチすることで、工場の利益率も向上する。Padmateは2018年にIndiegogoに参入し、ワイヤレスヘッドフォンのキャンペーンの1つでは660万ドル(約7億2000万円)以上を集めた。

Indiegogoに参加したプロジェクトのほとんどが、900万人が利用するそのクラウドファンディングサイトから、主流のプラットフォームへと歩みを進める、Amazon(アマゾン)へ出品し、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)へ広告を掲載するのだ。こうした米国の大規模テック企業たちは、中国内では中核的なサービスを提供していないものの、Amazonのように中国にスタッフを常駐させたり、Facebookのように現地の広告代理店と仕事をしたりと、何らかの形で中国での事業展開を行っている。

Indiegogo自身は、5年前に中国の深圳にオフィスを開設した。Indiegogoのグローバル戦略担当ゼネラルマネージャーであるLu Li(ルー・リー)氏によれば、それ以降中国を拠点とするプロジェクトが、同プラットフォームを通じて3億ドル(約328億9000万円)以上の資金を調達しているという。中国は現在、同社で最も成長している市場であり、2020年に100万ドル(約1億1000万円)以上を調達したキャンペーンの40%以上を占めている。

IndiegogoのライバルであるKickstarterも、中国からのプロジェクトが急増し、2020年の調達額は過去最高の6050万ドル(約66億3000万円)に達した。ブルックリンに拠点を置く同社は、最近中国市場の調査に協力してくれる、深圳または隣接都市である香港の請負業者を探し始めた。

「ここ数年、クラウドファンディングのコツをつかんで、自社ブランドをグローバルに展開する中国企業が増えています。そのため(中国発の)『大ヒット』キャンペーンも増えています」とリー氏は指摘する。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Indiegogo中国クラウドファンディング

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

クラウドファンディングサービス「READYFOR」(レディーフォー)を手がけるREADYFORは3月29日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約10億円の資金調達を発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、セールスフォースベンチャーズ、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、南都キャピタルパートナーズ、ベンチャーラボインベストメント、あおぞら企業投資。

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

2011年3月29日、6名の実行者たちとともにクラウドファンディングサービス「READYFOR」はスタート。10周年を迎える2021年、同社は、これまでクラウドファンディングサービス・基金運営で培ったノウハウとテクノロジーを活用し「寄付市場のデジタル化」(補助金・助成金等を含む)を推進。今後進んでいく官民連携を牽引することで「社会を持続可能にする新たな資金流通の仕組み」を実現する。実施予定の取り組みとしては、以下を挙げている。

実行者向け:継続的に活動を続けるための資金獲得の基盤へ

  • クラウドファンディングでの資金調達をよりスムーズで負担なく実施できる機能の開発
  • 継続的に資金を集められる機能の開発
  • 様々な機関から多様なお金を受け取れる機会を提供

支援者向け:想いを適切に届ける支援体験の強化

  • 企業:企業の理念・SDGs方針に合う活動や、従業員・顧客が望む未来を作る活動とのマッチングの強化
  • 自治体、財団:資金を必要としている活動と適切にマッチングを行う

2014年7月設立のREADYFORは、国内初のクラウドファンディングサービスとして、既存の金融サービス・資本主義ではお金が流れにくい分野、主にNPOや医療機関、研究分野、地域活性化などに資金調達の手段を展開。約2万件のプロジェクトに対して約200億円のお金が流れるようにしてきた(2021年3月29日時点)。

特に直近では、「より多くの想いとお金をマッチング」すべく、30社を超える企業と連携、オンライン従業員寄付やポイント寄付で5億円以上の支援金を受け付け、社会全体で実行者を支える支援のネットワークを構築している。

新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には、東京コミュニティー財団と連携し「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」(コロナ基金)を運営。これまで得てきたファンドレイジング・審査・資金分配の知見を活かし、「資金が必要な現場」に対して最短14日とスピーディにお金を届けてきたという。

その結果、国内クラウドファンディング史上最高額となる約8億7000万円の寄付金を集め(同社調べ・国内で運営している購入型・寄付型クラウドファンディングサービスの実績より)、165件の医療機関・エッセンシャルワーカーの活動に助成を行った。

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サービス開始から7年、READYFORが初の外部調達で目指すのは“資金流通メカニズムのアップデート”

カテゴリー:ネットサービス
タグ:クラウドファンディング(用語)資金調達(用語)READYFOR日本(国・地域)

ファンドに対するクラウドファンディングの上限が3月15日から引き上げ、VCはまだ注意を払っていない

ロンドンのアーリーステージを対象とするベンチャーキャピタルPassion Capitalは2021年3月第2週の初め、TechCrunchに対して、欧州のファンドとしては初めて最も新しい3番目のビークルの最終段階でクラウドファンディングする予定だと語った。具体的には富裕層限定だが、自動車に投資したい人のために約50万ドル(約5450万円)を切り出す。

創業者のEileen Burbidge(アイリーン・バーブリッジ)氏によると、このファンドは、AngelListのローリングファンドプログラムからクラウドファンディング規制の差し迫った変更まで、米国で見られるさまざまな進展に触発された。Reg CF(レギュレーション・クラウドファンディング)は現地時間3月15日月曜日から、クラウドファンディングを通じて調達できる金額を、12カ月間で107万ドル(約1億1700万円)から500万ドル(5億4500万円)に引き上げる。ほぼ5倍の増加だ。

この動きは、特にベンチャーキャピタルを民主化する最近の他のイニシアチブに続いたという点で興味深い。しかし、従来のベンチャーファンドの一部をクラウドファンディングで調達することがより大きなトレンドになるとしても、一夜にして起こるようなことではない。TechCrunchは同週、ファンド組成に関わる弁護士や管理者と話をした。彼らはクラウドファンディングの上限を5倍にするような依頼を受けておらず、登録はほとんどしていないという。

関連記事:2つの新しい取り組みがベンチャーファンドに直接投資する人々の範囲を広げる可能性

なぜか。あるファンド組成に関わる弁護士は、他の方法が利用できない場合を除き、実行可能な資金調達の方法になるとは思わないと述べた。ポートフォリオ企業に連絡先や専門知識を提供できる投資家がいることが利点になるからだ。例えばCTOをリミテッドパートナーとして数える多くのファンドについて考えて欲しい。VCは、実装しようとしているテクノロジーについて、彼らを仲間に入れることで多くを学ぶことができる。

他にも実務上の懸念がある。VCはリミテッドパートナーと個人的に知り合いになりたいと考えている。取引ごとに資本を呼び込み、投資家に確実に資金を提供してもらいたいからだ。

クラウドファンディングで調達した部分は「比較的少額の資金で数百人の株式保有者を生む可能性がある」ことを考えると「永続的で多額な管理上の負担」になる可能性もある。そう指摘するのは、世界的な法律事務所Orrickの弁護士であるMike Sullivan(マイク・サリバン)氏だ。

VCがクラウドファンディングについてあまり考えないことに関するそれほど明白ではない理由は、ファンドの内部収益率にまつわる複雑性に関係している。ベンチャーキャピタルは、バランスシートに資金を置いておきたくない。必要に応じて資本を注入したい。それまでは投資に関する時計は動き始めないからだ。これにより、後でツイートできるような、最終的なサクセスストーリーへの投資をうまく進めるための時間が増える。

クラウドファンディングの新しい上限がまだ同僚の間でレーダーに映っていない理由について尋ねられたあるファンド管理者は、キノコのように湧き出ているSPAC(特別買収目的会社)で忙しいからだと語った。

これらのブランクチェック(白紙小切手)ビークルの多くが、かなり若いテクノロジー企業を公開させることは、VCがより「普通の」投資家をこのアセットクラスに迎えるスピードを遅らせる可能性もある。SPACは個人投資家に、他の方法では手の届かない種類のハイリスク・ハイリターンのスタートアップへのアクセスを提供する。

それでも、Joe Biden(ジョー・バイデン)政権による土壇場の変更はない。将来も変更は起こりそうにもない。少なくとも、SEC議長としてのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏の指名にはまだ上院の完全な承認が必要だ。Reg CFはまさに変わろうとしている。

どのような波及効果(および機会)が生じる可能性があるのか、注意を払う価値がある。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:クラウドファンディング

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi