任天堂のリングフィット・アドベンチャーで楽しくシェプアップ

任天堂はエクササイズ・ゲームでも長い経験がある。思い出してみると、NES(北米向けファミコン)でTrack & Fieldをプレイしたことがある。はるばる来たものだ!

任天堂Swicth向けのリングフィット・アドベンチャーは大人がプレイできる本格的フィットネスゲームだ。楽しいキャラが登場するし、ユーザーに強い負担をかけないようデザインされているのでエクササイズということを忘れてしまう。。

すでにTechCrunchでも報じたが、ゲームと器具は9月に突然発表された。これまでもエクササイズ・ゲームはあまり成功していなかったが、実際にプレイしてみて驚いたのは単なるエクササイズではなく本当にゲームなっていることだった。

リングフィット・アドベンチャーに登場するキャラクターはユーザー自身と(口をきかない)魔物たちで、ドラゴというボスを追い詰めるのがゲームの筋書きだ。この魔物どもは何かひどい悪事を企んでいるとういのだが、正確にどんな悪事なのかはわからない。ゲームの後でジョイコンを拭かないとか、そんなことかもしれない。

太ももに巻くバンドと手で操作するリングのバーチャル版。操作してみるとSwitchのモーションセンサーが正確なのが実感できる

このゲームはSwitchのジョイコンを太ももに巻くレッグバンドと円形のリングコンにそれぞれ差し込む。ストラップ式のレッグバンドのほうは見たままだが、リングコンの使い方は多少説明が必要かもしれない。これは強度のある合成素材のリングでユーザーはしっかりつかんで押しつぶしたりひっぱって伸ばしたりする。

モーションセンセーがそうした運動の内容と強度を判定する。2つのコントローラーによってユーザーはジョギング、屈伸、回転などあらゆる身体動作が可能だ。

ユーザーは自分の身体能力に合わせて運動強度のレベルを設定できる。テレビ画面に道が表示され、ユーザーのジョギング動作(その場足踏みでよい)に合わせて主人公のアバターが走り出す。妨害物が降ってくるのをリングコンで払いのけるなどができる。リングコンを向けて押し込むと「空気砲」が射てる。

ringfit1

まだこの魔物にはお目にかかっていないがリングコンでやっつけるのは難しくなさそうだ

もちろんやがて魔物たちが出てくるのでさまざまな方法で撃退する。これがそれぞれ身体の各部を強化する運動になっている。リングコンを頭上に差し上げつぶしたり、腰を回したりしすることで多数の魔物をやっつけたりできる。リングとストラップという2つの器具で全身の運動を正確にトラッキングできる能力は驚異的だ。【略】

赤い連中がこっちを狙っている…

このゲームの開発には驚くべき量の努力と注意が払われているらしい。エクササイズは慎重に選ばれ、デザインされており、チュートリアルも親切だ。ユーザーのアバターはユニセックスで男性でも女性でも違和感がない。魔物も環境も細部まで作り込まれている。失敗しても手痛い罰などはなく、単にそのレベルをやり直せばよい。

全体としてこのゲームはユーザーフレンドリーでありプレッシャーをかけるのではなくエクササイズの機会を提供し、激励すること力を入れている。いつ中止してもいいしシステムは「今日はまだこれこれを終えていない」などと文句を言ったりしない。【略】

dragaux

ドラゴ、ジムに行くと確かにこういう奴がいる

このゲームを試したり友達と議論したりしているうちにこれはゲームとしてすぐれていると感じるようになった。任天堂RPGなどもさらにゲームらしいゲームの開発に青信号を出してもよいと思う。

これまでエクササイズのゲーミフィケーションというのは言うはやすく、実現できた例はほとんなかった。任天堂はSwitchが2つの部分に分割できることを利用して多様な動きを検出できるモーションセンセー・システムを構築した。これはスマートなアイディアだった。それにこのデバイスを持っているユーザーはデバイスを利用する新しいソフトウェアが出ればそれも買う可能性が高い。

小さい不満があるとすれば、ゲームをスタートする時点で選択肢が少ないことかもしれない。たとえば私はもっとジョギングしたかったし腕の運動はもっと少なくていいと思った。なにをどうしろとこと細かに指示されるのも多少うるさい。チュートリアルや指示をスキップできる「エキスパート・モード」を追加して欲しい。

リングフィト・アドベンチャーはゲームと器具を合計して80ドル(日本では7900円)だ。ゲームとしては高いが、そう考えるべきではないと思う。このソフトウェアのジムに通うお金を出したくない、時間もないという層がターゲットだ。ジムのメンバーになれば毎月50ドルから100ドルかかる。このゲームはジムに通うのと同じレベルの効果をリビングのテレビの前で楽しく達成できるのだから称賛すべきプロダクトだ。任天堂が示している価格は大変理にかなったものと思う。

【Japan編集部追記】任天堂では紹介動画をYouTubeに公開している(全編8分)。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

子供たちに誤報やフェイクニュースを見分ける方法を教えるGoogleのプログラム

Googleは米国時間6月24日、2年前から提供している子供向けのデジタルセーフティと市民権のためのカリキュラム「Be Internet Awesome」に、メディアリテラシーを取り入れることを発表した。特にいわゆる「フェイクニュース」やその他の偽のコンテンツを見分ける能力に的を絞っている。同社はカリキュラムとして6つの新しいメディアリテラシーアクティビティを用意している。それらは子供たちに、どのようにフィッシング攻撃を避ければ良いか、ボットとは何か、眼の前の情報が信用できるものかどうかをどのように検証すれば良いか、情報源をどのように評価すれば良いか、オンラインの誤報をどのように見分ければ良いか、そして偽URLを見分ける方法などを教える手助けをするものだ。

この新しいメディアリテラシークラスは、The Net Safety Collaborativeのエグゼクティブディレクターであるアン・コリアー(Anne Collier)氏、「The Teacher’s Guide to Media Literacy」(教師のためのメディアリテラシーガイド)の共同著者でありNational Association for Media Literacy Educationの共同創業であるフェイス・ローゴー(Faith Rogow)博士らの協力を得て開発された。率直に言って、この教材を一通り読むべき大人もいるだろう。

「子供たちがテクノロジーを最大限に活用するためには適切なツールとリソースが必要です。また家庭向けにはデジタルのセーフティと市民権のための優れたリソースが既に存在していますが、メディアリテラシーのためにも、さらにできることがあるのです」とGoogleのブログでの発表の中に書くのは、教育者でteachmama.comの創業者であるエイミー・マスコット(Amy Mascott)氏だ。「私は、メディアリテラシーがデジタル時代のセーフティと市民権に不可欠であると信じている多くの教育者たちと協力してきましたが、それは扱うのが難しいトピックであることには同意します」。

新しいコースは、子供たちに単純に知識を与えるだけでなく、オンラインリソースを扱う際に必要となる重要な思考スキルの育成を助ける、アクティビティと議論のネタの組み合わせも提供する。

コース資料が説明している全体テーマは、オンラインで見つけるコンテンツが必ずしも本当のものであったり信頼できるわけではない(さらには、子供たちの情報やIDを盗もうとする悪意のある活動もあるのだ)ということを、子供たちが理解することを助けるものだ。

子供たちは、フィッシングがどのような仕掛けなのか、なぜそれが脅威なのか、そしてどのようにそれを回避すれば良いかを学ぶ。そして、フィッシングに対抗するスキルを、疑わしいオンラインテキスト、投稿、友達申請、画像、そして電子メールなどに対する対応や議論を通して磨くのだ。

ボットセクションでは、AIがどのように機能するかについて学び、ボットと話すことと人間と話すことの違いを比較対照する。

それに続くメディアリテラシーセクションでは、子供たちは信頼できる情報源とは何か、情報源の動機をどのように理解すれば良いかを学び、そして「ある人が、ある分野の専門家だからといって、すべての事柄の専門家ということにはならない」ということを学ぶ。

関連する教室でのアクティビティでは、子供たちは自分がオンラインで見たことやクラスで学んでいることに関連した質問を選び、答えをオンラインで得ながら、同時に情報源が信頼できるかどうかを考えるのだ。

彼らはまた、さまざまな情報源を探す方法として、信頼できる情報源を他の信頼できる情報源と突き合わせて事実確認することを学ぶ。

「もしチェックしたい情報源の内容を裏付けることができる、信頼できる他の情報源が見つからない場合には、最初の情報源を信じるべきではありません」とカリキュラムは説明する。

子供たちはさらに、偽情報を見分けるために、情報源の信頼性をチェックするだけでなく、紛らわしいURLも参考にするように教えられる。子供たちは、こうした手段を知らないために偽情報をオンラインでシェアしてしまう人がいること、それが拡散の原因となることを教えられる。

「世の中にはあまりに自分たちの信じていることに熱中する余りに、真実を捻じ曲げて私たちを彼らに同意させようとする、たくさんの人やグループがあります。ねじれた情報がニュース記事に偽装されている場合には、それは偽情報にほかなりません」とカリキュラムは言う。

子供たちはまた、まるで本物のような名前を使っているために、フェイクニュース組織だと見破ることが難しいものもあると教えられる。

そして教材の中ではウェブサイトが使う様々なトリックを詳細に掘り下げる。例えばストーリーに関係のない写真を使うとか、あるいは「衝撃」「ゆるせない」といった人びとが興味をもつ「クリックベイトワード」に太字、下線、「!」、あるいはすべて大文字といった強調を行って、相手を説得しようとするといった手段を紹介している。

このセクションのまとめは、オンラインゲーム「Reality River」(真実の川)である。このゲームは子供たちに、川を速く渡れるように最良の判断をすることを迫る。これは、Googleのデジタルセーフティと市民権のカリキュラムのために開発された、(インターネットならぬ)Interland上で行われる。

メディアリテラシーコースの全体的な目標は、子供たちがすべてのニュースや情報をチェックする習慣を身に付けることを奨励することだ。

Googleは、新しいカリキュラムは教師と家庭の両方がオンラインで利用でき、英語、スペイン語、その他8つの言語で提供されると述べている。

Googleは、複数の都市でYMCAおよびNational PTAと提携して、オンラインセーフティに関するワークショップも開催している。

【日本版:残念ながらまだ日本語版は存在していない。サイトのFAQによれば、現在ローカル版が(部分的にでも)用意されているのは、アルゼンチン、ベルギー(オランダ語、英語、フランス語)、ブラジル、チリ、コロンビア、イタリア、メキシコ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、英国、そしてもちろん米国である。

現段階で提供されているのは主に英語版とスペイン語版である。記事中の「その他8つの言語」が何かは、Googleのサイト上にも説明がない】

[原文へ]

(翻訳:sako)

採用プロセスのゲーミフィケーション

WE ARE HIRING, vector. Card with text in hands. Message on the card WE ARE HIRING, in hands of businessman.  Isolation on background. Vector illustration flat design style. Template.

【編集部注】執筆者のRyan Craigは、University Venturesのマネージング・ディレクター。

約800万人のアメリカ市民が職を求めている一方、およそ600万件の求人が未だ掲載されていることを考えると、労働市場にはまだテクノロジーの力によって良い意味でのディスラプションが起きていないと言って良いだろう。

実際のところ、多くの企業がテクノロジーのせいで採用活動が以前より難しくなっていると感じている。というのも、全求人の約85%がオンライン上で公開され、それぞれに何百人もの応募者が殺到しているが、彼らの大部分が似通った資格(=学歴)を持っており、違いを見出すのが困難なのだ。そんな状況で採用担当者は、採用管理システム(ATS)がキーワードをもとにフィルタリングした、使えなくはないが極めて不正確な候補者リストに頼らなければならない。

ATSのフィルタリングを経た候補者の数が、例えば20〜30人だとした場合、同じくらいの数のフォールスポジティブ(誤検知)やフォールスネガティブ(見逃し)が発生している可能性が高い。つまり雇用者と応募者どちらにとっても、採用ゲームは負け戦の感があるのだ。

その影響を1番受けているのが、人員不足が深刻でかつ旧来の経歴や学歴に基いたフィルタリングが機能しづらい業界だ。コーディング業界はその2つを併せ持った典型例だと言える。各企業は新たな採用チャンネルや判断要素を探し出し、候補者数を増やしたり、より効率的に候補者を選別したりしようとやっきになっている。そこでCodinGameやCodeFightsといった企業が、ゲーミフィケーションを通じて採用活動の楽しさや喜びを取り戻そうとしている。

これまでインターネット上で、Uberのエンジニアよりうまくコーディングができるか尋ねられたことはあるだろうか?これがCodeFightsの叩きつける挑戦状だ。サンフランシスコを拠点とし、設立から2年が経った同社は、候補者の経験を問わず、アルゴリズムデータベースフロントエンドなど、数十種類の分野に渡る何千件ものコーディングチャレンジを提供することで、採用プロセスにゲーム要素を取り入れようとしている。

候補者は、ボットや他の候補者を相手に時間制限ありのコーディング対決ができるほか、Code Arcadeで自分のペースに沿ってスキルを磨くこともできる。チャレンジや対決、(”チャレンジ達成によるドーパミンの連鎖”に起因した)即座に得られる満足感など、通常のビデオゲームでも重要な要素を備えたCodeFightsには、候補者を教育すると同時に、彼らを集めてフィルタリングする目的がある。

そしてゲームで好成績を残した候補者は、じょうご状の採用プロセスを回避することができる。その証拠にCodeFightsによれば、通常の採用プロセスでは30人に1人しか採用されないのに対し、CodeFightsを経由した候補者の5人に1人が採用されている。

image003

どうやら候補者側も他の候補者を飛び越えられる仕組みを気に入っているようで、CodeFightsの発表によれば、先月の総チャレンジ数は150万件におよび、利用者の数も前クォーター中は毎月倍々ゲームで増加していた。

採用プロセスのゲーミフィケーションによって、企業はこれまでの学歴や経歴に基いた採用をやめることができる。特にコーディングの分野では、General AssemblyGalvanizeのようなブートキャンプの急激な台頭が示す通り、旧来の学校は企業側の需要についていけていないことから、新しい採用プロセスが必要とされている。

その結果、候補者はどの学校に行ったかではなく、何ができるかを基に評価されることになる。この新鮮で公平な評価体系が採用されれば、今よりも多様な候補者が集まる可能性が高い。なお、CodeFightsを通じて採用活動に参加した候補者のうち、80%は有名大学を出ておらず、サンフランシスコやニューヨークといった主要テック都市以外の出身だ。

さらに今までのCodeFightsを経た候補者のうち30%が女性で、これはシリコンバレーの平均の3倍だ。CodeFightsのサービスによって、トランスジェンダーの人もエンジニア職に就くことができた。またUber・Asana・Dropbox・Thumbtack・Evernoteといった企業が、これまでにCodeFightsを通じて社員を獲得してきた。

そして採用プロセスのゲーミフィケーションによって影響を受けるのが、コーディング業界だけというのは考えづらい。CodeFightsのファウンダー兼CEOのTigran Sloyanは、客観的に測ることのできるスキルが必要な業界において、ゲーミフィケーションこそが未来の人材募集・選定の手段だと信じている。彼の言う業界には、会計や財務など規制下にある、もしくは免許制になっている認定試験の必要な業界全てが含まれている(医療業界も例外ではない!)。

その他にも、デザインのように即座には客観的な評価ができないものの、クラウドソーシングによってパフォーマンスについての正確な評価が比較的迅速にできるような業界もその対象だ。「30年前であれば、経歴をスキルと読み換えても問題ありませんでしたが、高等教育を終えた後の人に対してもさまざまな機関やソースから素晴らしい教材が提供されている今では、その常識は通用しません。私たちは21世紀中に経歴主義に別れを告げ、スキルベース採用の時代へ入っていくことを祈っています」とSloyanは語る。

CodeFightsのようなゲームが私たちの強みに関する情報を今後形作っていく、というのは想像に難くない。さらに、学校を卒業して仕事を探しはじめるまでには、皆そのようなゲームに取り組みはじめているだろう。大学を卒業したばかりの人が過去10年間にこなした宿題の量を考えてみてほしい。もしも全ての宿題がゲーム化されていれば、その学生は膨大な数の差別化された強みを持って、終わりのない候補者の列を飛び越えることができていたばかりか、そもそもちゃんと宿題をやっていただろう。

CodeFightsと違って、宿題からは即座に満足感を得られなければ、対決や新たな発見もない。そのため、高等教育やそれ以後の教育サービスを提供する組織は、今後コースワークや宿題をゲーム化していくことになるだろう。

採用プロセスがゲーム化するにつれて、テクノロジーが採用活動のハードルを下げていくことが予想される。そして企業と候補者は、採用ゲームがもはや負け戦(=The Crying Game)ほど悲しい(もしくは予想外な)ものではないことに安堵のため息をもらすことだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter