オンラインの商談内容をAIが分析、成約につながるかどうかを検定するコグニティの新サービス

テレ検

プレゼンや営業トークなど、ビジネスコミュニケーションのAI解析技術を擁するコグニティは6月17日、新サービス「テレ検」(てれけん)を発表した。提供開始日は7月1日。テレワーク拡大に伴いオンライン商談が急増していることから、従来の営業トークがテレワークにおいても有効かAIがチェックし、成約につながるかどうかを検定できる。

サービス対象は、1トーク15分間以上の商談。月額基本料金は1契約あたり5000円(月1回以上の利用すると基本料金請求なしとなる)。1分間あたり300円で、毎月利用した分数に応じ月末締めでの支払いとなる。

テレ検は、オンライン商談に適したトーク要素の含有量などをチェックする「オンライン商談適性度」を含め、テレワークによる商談特有のトークスキル向上を助ける検定レポートサービス。新たな営業手法としてのオンライン商談トークのスキル向上を期待できるという。

また同サービスは、ビデオ会議システム・チャットシステムを問わず利用可能。利用者は、「テレ検アプリ」で商談を録画または録音しアップロードを行うと、2~5営業日後に検定結果をサイト・アプリ上で閲覧できるようになる。オンライン商談に適したトークの指導・改善にも利用できる。

検定では、1万6000件以上のトークデータベース、1500分31回のオンライン・リアル商談データを比較しながら開発した独自評価アルゴリズムによる分析を行うほか、業界・職種・商談内容を問わないとしている。検定結果では、数値やグラフで示したレポートを提示し、トークの指導にも用いやすいとしている。

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AIが営業トークを自動解析し“売れるトーク”との違いを提示、コグニティが1.9億円を調達

録音データを基に営業トークを解析し、個々に対して改善案を提示する「UpSighter」開発元のコグニティは1月15日、XTech Venturesとディップを引受先とする第三者割当増資により総額1.9億円を調達したことを明らかにした。

コグニティは代表取締役の河野理愛氏がソニーやディー・エヌ・エーを経て2013年に立ち上げたスタートアップ。2017年にグローバル・ブレインなどから約1.5億円を調達するなど過去にも複数回の資金調達を実施済みで、シリーズBとなる本ラウンドを含めると累計調達額は5億円となる。

同社が展開するUpSighterはテクノロジーを活用して、組織の営業力の底上げを手助けするサービスだ。

営業成績の良いメンバーのセールストークを録音・アップロードすることで“お手本となるトークのパターン”を検出。そのトークパターンを使って現場に合ったアルゴリズムを開発し、各メンバーの録音データと照らし合わせることで、お手本との差分や具体的な改善点を示した「自動フィードバックレポート」が一人ひとりに対して提供される仕組みだ。

解析結果の例

レポートでは営業トークの中で実際に「どのような情報が、どのくらいの割合で話されているか」を可視化。たとえば話の起点となる意見や提案、数値などの客観的根拠説明、事例の表現、具体的な説明など、それぞれの項目ごとにお手本や平均との違いをグラフにする。

その上で課題となる部分を掘り下げたり、良いトークへと変えるために必要な言い回しなどを提示。今後やるべきこととして具体的なフィードバックを提供してくれる点が特徴だ。

これまで営業スタッフの研修・教育においては“経験値”に頼るケースが多く、指導が属人化しがちであるとともにそれぞれの違いなどを明確に示すことが難しかった。河野氏によると「UpSighterを使うと数値でエビデンスを残しながら指導を受ける・指導されることが可能になる」ため口頭指導よりも納得感が高く、導入企業からは新人の営業成績の改善が早いといった評価や、成績の伸び悩むシニア従業員への指導が楽になったとの評価を受けているという。

企業の視点では営業部門の業績向上や底上げが見込めるほか、エース人材が教育に使う時間を削減することもできる。新人に向けた指導結果として、電話でのアポイントメント獲得率が64%から78%に上昇するなどの成果にも繋がっているそうだ。

特に「顧客のニーズを引き出すようなトークを必要とする顧客単価の高い金融や製薬、不動産業界の利用が多い」(河野氏)とのことで、これまでパーソルテンプスタッフやフォーバルなど上場企業を中心に120社以上に導入。UpSighterについてはOEM提供も行なっていて、すでにコンサルティングやソリューション企業など5社がOEMによる商品化に至っている。

また昨年12月には主に地銀などを対象とした金融業界向けサービスや、個人利用も可能なプレゼン解析サービスをローンチするなどUpSighterシリーズのラインナップを拡充。UpSighter自体は解析数などに応じた従量課金制で展開しているが、新サービスでは実験的に初期費用なしの月額制(SaaSモデル)での提供も始めた。

スティーブ・ジョブズや国内ビジコン優勝者のプレゼンと比較できる「UpSighter for プレゼン!」

少しだけコグニティの技術について補足しておくと、同社では「CogStructure(コグストラクチャー)」という独自開発した情報分類フレームワークを保有していて、これによってコミュニケーションを解析している。

CogStructureは人工知能研究分野における「Knowledge Representation(知識表現)」と呼ばれる領域に属し、人の思考パターンや構成を記述可能にして、推論しやすくする技術アプローチなのだそう。コグニティでは英国認知言語学者の50年前の論文をベースとして、日米両言語におけるインターネット上の様々な文書や動画の構成を記述・変換する実験から始め、独自のルールへと拡張進化させてきた。

創業から7年間かけてCogStructure変換されたデータは1万5000データ(トークや文書)以上。このデータがあるため各企業の初期検証に必要なデータ数が少なくすむほか、磨き上げたフレームワークによって固有名詞や言語差に影響されることなく構成要素を比較でき、業界やシーンが違うコミュニケーションも対象にできるという。

CogStructure変換を始めとするデータ解析のプロセスでは人の作業によるアノテーション(タグ付け)と機械学習を組み合わせて実施。アノテーションの工程では個人差を取り除くべく複雑な業務も単純な作業へ分割し、日本の工場生産方式を取り入れながら精度を担保してきた。またこの作業を国内外含む100名以上のメンバーが各地から完全リモートワークで行なっているのも面白い点だ。

今後コグニティでは大企業だけでなく中小企業や部署単位での利用など、顧客の視野をさらに広げるべくUpSighterシリーズの拡販・新サービスの開発に力を入れる計画。合わせて自動判別のためのR&Dや、IPOも視野に入れセキュリティ面を含めた会社整備を加速させる。

UpSighterは1on1 Meeting、採用面談、昇進試験など「人事領域」での利用も増えているようで、今後もこれまで蓄積したデータを軸に各事業領域のパートナー企業との協業も含め、マーケットニーズに合わせたサービスを展開していきたいという。

コグニティ代表取締役の河野理愛氏と投資家陣。前列中央が河野氏