コワーキングスペースの「いいオフィス」が2.4億円を調達、新プランに向けシステム開発強化

コワーキングスペースの「いいオフィス」が2.4億円を調達、新プランに向けシステム開発強化

「働き方を自由にする」をテーマにコワーキングスペース事業を展開する「いいオフィス」は1月5日、第三者割当増資による合計2.4億円の資金調達を発表した。引受先は、江口勝義氏(エグチホールディングス 代表取締役)、高原直泰氏(沖縄SV CEO)、NKC ASIA、ほか個人投資家。累計資金調達額は4億円となった。

調達した資金により、店舗開拓とブランディング、さらに新プランに向けたシステム開発を強化する。

いいオフィスでは、コワーキングスペース「いいオフィス」を全国をはじめ海外にも展開。国内外問わず月額制でどこでもご利用できるサービスを提供している。国内外270店舗を運営しており、2020年度中には契約ベースで400店舗の展開を目指し、さらなる店舗開拓を進めている。

同社によると、リモートワーク・テレワークが急速に広がり、「働き方改革」が進んだ一方、労働環境が充実しているとはいえない「在宅ワーク」により、効率低下や社員の孤立化など、新たな問題も発生しているのが実情という。また、リモートワークやテレワークは「会社に行かなくていい」ではなく、「働く場所」=「快適でアクセスしやすい労働環境」を充実させることが不可欠と指摘。

電車・車を使って遠くにある快適な労働環境へ移動するのではなく、「今いる場所の近く」で、「快適で、人とのつながりを構築できる労働環境」がある「働き方の未来」を目指すという。「まるでコンビニのように働く場所」にアクセスできれば、「働き方」はより自由になるとしている。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:いいオフィス(企業)コワーキング資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)リモートワーク / テレワーク(用語)日本(国・地域)

コワーキングのWeWorkがライバルのSpaciousを買収

現在The We Companyとして知られるWeWorkは米国時間8/27、ライバルのコワーキングSpaciousの買収を発表した。ニューヨークに拠点を置く設立3年のSpaciousは日中使用しないレストランをコワーキングスペースに変えるスタートアップで、Convene、Knotel、Industrious、The Yard、The Wing、Alleyのようなニッチなコワーキングスタートアップの1社だ。

Spaciousは、商業用不動産を専門としていたCEOのPreston Pesek(プレストン・ペセック)氏によって2016年に設立された。同社のゴールは、放置された小売店や使用していないレストランを含む未活用の都市スペースを、コワーキングスペースを求めている人のために有効活用することだった。以来、同社はニューヨークとサンフランシスコの何十ものレストランをウィークデイの作業スペースに変えた。

顧客は1日20ドルのパスか、月129ドルの年間メンバーシップでこうしたスペースを利用できる。

レストランの方はこの新たな活用方法で収入を得ることになり、同時にSpaciousのメンバーを客として惹きつけるチャンスを得る。コーヒーショップで作業をしていたかもしれない顧客はSpaciousを好んで使っていた。というのも、WeWorkよりもリーズナブルな価格だったからだ。レストランは夕方になると開店しなければならないので、一部の人は1日の労働の終わりが明確なのを好んでいたかもしれない。

SpaciousチームとワークスペースのラインナップはWeWorkに移る、としている。

「Spaciousのチームと不動産、運営の専門家は、WeWorkが我々のユーザーに働きたい場所を必要な時に提供し続けるのを手伝う」とWeWorkのプロダクト責任者Chris Hill(クリス・ヒル)氏は語った。「WeWorkにSpaciousを迎え入れることを楽しみにしている」と声明文で述べている。

買収の詳細は明らかにされていない。Crunchbaseのデータによると、Baseline Ventures、Redpoint、Lerer Hippeau、August Capital、MetaProp NYC、そしてBoxGroupを含む投資家からSpaciousはこれまでに900万ドル超を調達している。

SpaciousのCEO、Pesek氏のコメントは次の通りだ。

我々がWeWorkファミリーに加わるというニュースをSpaciousコミュニティにお知らせすることを嬉しく思う。

スペースや建物、都市とかかわるかという点に改革をもたらしているテクノロジー面での変化への対応として、初めからSpaciousは物理的な空間の再活性と再プログラム化を模索してきた。

WeWorkとは、仕事、テクノロジー、物理的空間で多くの共通点を見出した。Spaciousのメンバーのために、WeWorkというさらに大きなコミュニティの一部としてサービスを提供し続けられることにワクワクしている。

Spaciousのサービスはウォークインのネットワーク、オンデマンドのワークスペースをスタイリッシュな待遇で提供する。WeWorkに加わることで、世界中のオンデマンドワークプレイスに簡単にアクセスできるようにする。
Spaciousの構築に携わってくれた人に深く感謝したい。素晴らしいチーム、そして利用してくれた顧客、パイオニア的スペース・不動産パートナー、そしてリスクを顧みなかった投資家のみなさん、どうもありがとう。WeWorkとのビッグニュースを共に祝ってもらえると幸いだ。

かしこ

Preston Pesek

Spacious CEO

画像クレジット:Spacious

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(翻訳:Mizoguchi)

WeWorkがニューヨークのテック系クラブハウスに資金提供

ニューヨークのシードステージベンチャーキャピタルファンドであるBetaworksが運営するBetaworks Studiosが、WeWork(または最近の彼らの自称に従うなら「The We Company」)の支援を受けることになった。

JLL Spark Venturesとコワーキングの巨人であるWeWorkが共同で、起業家や開発者のためのサポートコミュニティである、会員制コワーキングクラブのBetaworks Studiosへの440万ドルの投資を主導したのだ。またBetaworks VenturesとBBG Venturesも、今回のBetaworks Studiosへの投資に参加した。BBGはかつてBetaworks Studiosのプレシードラウンドを主導した実績がある。

2018年に設立されたBetaworks Studiosは、起業家、アーティスト、エンジニア、およびクリエイティブパーソンたちに、WeWorkと同様に交流を促しプロジェクトの作業を行うことのできる場所を提供している。

これとは別に本日Betaworks Venturesは、7500万ドル規模の2度目の資金調達ラウンドを開始した。

2008年にJohn Borthwick氏によって創業されたBetaworksは、投資ファンドやアクセラレータを運営し、内部でGiphy、Digg、Bit.lyなどの企業をスピンアウトしている。Betaworks Studiosのアイデアは、Betaworksのリソースとネットワークを、より広い起業家コミュニティに拡大しようというものだった。

Borthwick氏は、Goopの元CFOであるDaphne Kwon氏を招き、会員に年間2400ドルまたは月に225ドルを課金するスタジオ部門を運営してきた。

Betaworksによれば、同社のスタジオは会議や講演イベントのためにこれまでに約1万1000人を動員したという。現在はニューヨークのミートパッキング地区で1か所のクラブを運営しているだけだが、調達した現金を使って追加のスタジオをオープンする予定である。

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(翻訳:sako)

3DENが200万ドルを調達、純粋従量課金の都会のリラックススペースを提供

3DENは、同社が呼ぶところの「日中のぽっかり空いた隙間時間」のための場所を提供しようとしている。

その名前”3DEN”(「エデン」と発音される)は、「3番目の場所」 ―― 家でも職場でもない空間というアイデアから来ている(英語の”den”という言葉には、動物の巣や隠れ家といった意味合いがある)。創業者でCEOのBen Silverは、会議と会議の間に空いた45分間を埋めたり、夜行便を降りたばかりでリフレッシュできる場所が必要な場合などに、使うことができるような場所を作り出すことが目標だと語った。

コーヒーショップ、コワーキングスペース、ジム、あるいはホテルなどがそうした機能をある程度提供してくれるだろう。だがSilverは3DENは「様々なサービスを合わせたもの」で、かつそれをとても「安心できる場所に」集めたものになると言う。彼は最もコンセプトが近いものは、会員制クラブハウスだと言う。ただし高額な月極会費を請求する代わりに、3DENはコミットメントを求めず、各訪問に対して30分毎に6ドルの料金を請求するだけになる。

今週初めに私は、ニューヨーク市のハドソンヤード再開発地区のショッピングエリアにある、3DENの最初のスペースに立ち寄った。スペースはまだ工事中だったが、しかし私は電話ブース、プライベートシャワー、そしてリラックスのためのブランコさえ見ることができた。

Silverは、瞑想スペースやCasperの仮眠ポッドも置かれる予定だと話した。そして、たくさんの木々や植物を使った自然に影響を受けたデザインだけでなく、空間の「音響的ゾーニング」を強調した。すなわちある場所は人が集まるためにデザインされる一方、別の場所はより静かで休める場所になるということだ。

したがって、仕事を集中して片付けたり、電話をかけたり、会議を主催することができるし、ただリラックスしてリラックスしたいだけなら、それも可能だ。

Silverによれば、この場所には少数のスタッフは配置されるものの、エクスペリエンスの鍵はテクノロジーだと言う。大部分の取引はスマートフォンのアプリを経由して扱われる。3DENスペースに行きたくなったら、アプリを通してチェックインを行う(それはあなたに現在の混雑レベルを知らせるが、もし満員の場合にはウェイティングリストに入れてくれる)。またシャワーを予約したり、買い物をしたりすることができる。

3DENのコアサービスは、30分毎6ドルの価格の中に含まれる予定だが、他に小売なども行い、訪問したひとは、食べ物や健康/美容製品を買うこともできるとSilverは語った。彼はまた、通常のゲスト価格に加えて、追加の価格モデル(例えば法人会員など)も検討していると語ったが、このスペースを広範囲のビジターたちにアクセスしてもらうことを可能にする、「コミットメントなし」価格の重要性を重ねて強調した。

今回のシードラウンドは、b8taとGraphene Venturesが主導したが、参加した投資家はColle Capital Partners、The Stable、JTRE、InVisionのCEOのClark Valberg、Targetの元最高戦略およびイノベーション担当役員のCasey Carl、およびFirebaseの創業者Andrew Leeである。

3DENの最初のスペースは3月15日にオープン予定だが、Silverはニューヨーク市内のさらに4拠点についても交渉中であると語った。

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(翻訳:sako)

流行りのコワーキング浸透には限界がある

近頃どの通りにもWeWorkがあるように感じる。マンハッタンのミッドタウンを歩くと(実際にはしないで)、オフィスビルよりもWeWorkの方が多いようにも感じる。

この記事を、規制、公共サービスの問題、他の複雑な要素と絡んでいる都市部におけるテクノロジーについての進行形の議論ととらえてほしい。私はなぜ地下鉄の中で15分も立ち往生したのかを理解しようとしている辛辣なニューヨークっ子で、あなたの考えをArman.Tabatabai@techcrunch.comまで寄せてほしい。

コワーキングは天文学的な速さで世界中の都市に浸透してきた。その台頭は目覚ましく、ニュースのヘッドラインをたびたび飾っているソフトバンクもこの動きに巨大なVision Fundの成功を喜んで賭けているようで、WeWorkに何十億ドルも注ぎ込んできたーここにはコワーキング最大手の評価額を450億ドルに急上昇させた最近の投資44億ドルも含まれる。

コワーキングのこうしたトレンドがスローダウンする気配はない。需要の高まりを受け、新たなスタートアップが多くの都市で生まれ、未活用の実在店舗や商業スペースを低コストのコワーキングスペースに変えている。

その戦略とは、Workbarのような企業は小売業者が店舗の一部を貸し出すのを手伝い、Campsyteのような企業は空いている駐車場をアウトドア・コワーキングスペースまたは企業のオフサイトに変えるなど、小売から駐車場のようなニッチな場所まで、あらゆるタイプのビジネスにまたがっている。レストランやバーですら、人気のコワーキングスペースのようだ。SpaciousKettleSpaceといったスタートアップは、日中店を閉めているレストランをオフの時間だけプライベートなコワーキングスペースに変えている。

いつの間にかスタートアップはアーロンチェアを電柱の上にくくりつけて、それを“ワイヤレスワーキング”と呼んでいるかもしれない。

しかし、コワーキングの浸透には限界があるのだろうか。通りに並んでいる全ての店やレストラン、オープンスペースがMacBook、カプチーノ、Moleskineのノートで満たされるようになるだろうか。摩天楼を乗っ取るような勢いではあるものの、やはりそれはややハードルの高いタスクかもしれない。

全てコワーキング…

Photo: Vasyl Dolmatov / iStock via Getty Images

まず第一に、なぜ皆、あなたのお気に入りの近所のディナースポットをパートタイムのWeWorkに変えようとしているのだろうか。コワーキングは、未活用スペースに魅力的な使用方法を提供する。

まず第一に、コワーキングは最も独立したビジネスとして、一般的な商業地区と同じカテゴリーに区分される。そして、スペースを混雑して気が散るようなコーヒーショップに代わる場所にするのに、いくつかの余分な電源やWi-Fiをのぞき、追加で設置しなければならないインフラはわずかだ。コーヒーショップを利用しているのは価格に敏感で、リモートで働いていたりする人、あるいは最近増えているノマドワーカーだ。

このように、事業者はポップアップソリューションやイベントレンタル時に往々にして発生する構造レイアウトの変更をする必要もなく、そしてほとんどコストをかけることなくスペースをコワーキングリストに載せることができる。

供給サイドからすると、コワーキングネットワークは物件を購入したり、スペースに手を加えたりするのに資金を投入する必要がなく、従来のコワーキングスペースよりも随分安いレートで会員に場所を提供できる。たとえば、Spaciousのチェック済みレストランのネットワークにアクセスできるようになる月額会員料金は99〜129ドルだ。ニューヨーク市では1カ月300〜800ドルかかるWeWorkに比べると安い。

客はより手頃なコワーキング候補があることを知り、その一方で未活用の不動産の賃料上昇に直面している儲けの少ない事業者は保有するスペースをネットワークに載せ、ごく少ないコストで完全に新たな収入を得る。コワーキングが初めて導入された都市ではバリュー・プロポジションがかなりみられるーSpaciousは多くのレストランがネットワーク参加に申し込んでいて、トータルの5%だけが最終的に受け入れられているとNew York Timesに語っている

基本的に、ここでいうビジネスモデルは市場で成功するために多くの点をチェックしている:顧客、サプライヤーの両方にとって買収と支払いの面倒はほとんどなく、また両者とも以前にはなかった真の価値を見出している。単位経済学が強く作用しているようで、マーケットの両サイドとも信用とコミュニティを築いている。その結果、客がネットワークに参加するほどに高まる占有率でサプライヤーは恩恵を受け、客はネットワークにロケーションが加わるほどにフレキシビリティを確保できるという、はっきりとしたネットワーク効果が見て取れる。

Photo: Caiaimage / Robert Daly via Getty Images

そして、これが未来の姿なのだろうか。コワーキングの戦略には本当に注目せずにはいられない。主要都市において、事業者や労働者に大きな価値を提供しているクリエイティブなソリューションだ。しかし、需要に応じた大規模展開については懸念があり、この現象がどの都市でもみられるようなものとなったり、WeWorkやその他従来型の大手のような規模に到達したりするかは不明だ。

これらコワーキングの企業は似たような利用層の獲得で競っていて、コワーキング企業間だけでなく、コーヒーショップや無料のワークスペース、従来型のコワーキングスペースで未使用の机やオフィスが使用できるようになるCroissantのようなフレキシブルなコワーキングとも競合しているようだ。SpaciousやKettleSpaceのように、Croissantのスペースは不動産リースを所有し、コワーキング用に建てられているので、かなり魅力的な料金を提供できる。

そうした料金は、特定の場所を必要とせず、従来型のコワーキングやオフィススペースで提供されるアメニティも不要という人にとっては最も魅力的なものとなるはずで、低価格であることを重視する人にとっても十分に魅力的な価格設定だ。と同時に、月額料金を払う代わりに無料で、あるいは無料に近い価格で使えるコーヒーショップを好むような人に提供するほどにあまりにも価格重視というわけでもない。

そして、こうした問題やソリューションが、人口密度の高い大都市以外のところでもメジャーなものになるのかどうかは不明だ。

人口がさほど過密でないところでは、コーヒーショップと無料のワークスペースで競争が展開されていて、月額料金が発生するサービスにはかなりハードルが高いのではないだろうか。また、プライベートな労働環境、あるいはワーキングコミュニティが欲しいという要望に応えるだけで、会員にとって十分なインセンティブになるだろうか。そして、人口が過密でない、スペースがたっぷりあるような都市においては、会員は近くに利用できるスペースがないときにかなり遠くまで足を運ばなければならないリスクも抱えるかもしれない。

リモート、臨機応変、そしてノマディックに働くという新たな労働力がトレンドとなっている一方で、コストはかかるが安定している従来のワークスペースを選択しないという人がどれくらいいるかは不透明だ。もし人口密度の欠如が問題になるのなら、そうした労働者のどれくらいが人口密度の高いエリアに住むだろう。特に労働者が料金に敏感で、どこでも住んで働けるという人であればどうなるのだろう。

はっきりさせておくと、私はコワーキング企業が著しく成長しない、と言っているのではないー実際、私はそうした企業は成長すると考えている。しかし、コワーキングを通して未活用のスペースで収益をあげるというトレンドが、あらゆる都市に浸透してかなりメジャーなものになるだろうか。おそらく、そうはならない。つまり、こうしたソリューションとバリュー・プロポジションの必要性は多くの大都市で顕著なのだ。

コワーキング企業は真の価値や無駄になっているスペースの効率的活用を生み出し、需給の問題の調整を図っている。独立事業者が存続するのを控えめにサポートしているという文化的な価値は、スペースをパートタイム・コワーキングスペースに変えるのを恐れている文化的“ダメージ”にまさるものだ。

イメージクレジット: Extreme Media / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

女性専用コワーキングism campusが渋谷・道玄坂に開設、メイクアイテムやネイルサービスも提供

リモートワーク、副業、フリーランス……柔軟な働き方が浸透する中で、ソフトバンクと合弁会社を設立して日本に進出したWeWorkや、Moneytree、nanaといったスタートアップを輩出してきたco-baなど、コワーキングスペース、コミュニティコワーキングは日本でもかなり身近なものになりつつある。

12月10日、渋谷・道玄坂にオープンした「ism campus(イズム キャンパス)」は、女性に特化したコミュニティコワーキングだ。運営するのは社員・役員が全員女性のスタートアップ、ism。ism campusは、女性が過ごしやすい環境・設備を備えたオフラインのコワーキングスペースと、オンラインの独自会員システムによるコミュニティにより、女性の仕事をバックアップ。異なる仕事やライフスタイル、考え方を持つ女性が気軽に集まり、時間を過ごせる場所を目指す。

ロールモデルの提示と働き方の工夫で働ける人は増える

ism代表取締役の鈴木碩子氏は、テック×スタートアップメディア「THE BRIGDE」(我々TechCrunchのライバルにも当たる)で、日本のスタートアップ動向を紹介してきた人物だ。2017年4月に自らも起業し、ismを設立。ismは現在、社員・役員とフリーランスとしてかかわるメンバーも含め、20人すべてが女性という、ある意味“とんがった”会社になっている。

鈴木氏は、2011年の東日本大震災をきっかけに「何かあったときに助けられるばかりでなく、自立してできることを」と志し、大学を中退。フリーのメイクアップアーティストとして独り立ちした後、スタートアップや大手企業、フリーランスなど、さまざまな規模・業種の経験を経て、会社を立ち上げた。

ism創業の目的は「多様な女性の働き方やライフスタイルのロールモデルを見せることで、女性の“働く”を応援すること」だと鈴木氏は言う。

「いろいろな経験をすれば、自分に合った働き方は見えてくる。だから私にとってはさまざまな規模・職種を経験したことがよかったけれど、同じやり方で働き方を探すことは、ともすればジョブホッパー的なキャリアになってしまい、オススメできない。だから『こうするといいよ』という働き方のモデルを見せられれば、と思って」(鈴木氏)

ismでは、時短・リモート勤務など多様な働き方と、その人その人に合った“得意な”仕事、“好きな”仕事を割り当てられるよう、工夫してきた。設立時から行っていたウェブコンテンツ制作事業に加え、今年8月には大阪・香川に拠点を置く⼀彩からバックオフィスアウトソーシング事業を譲り受け、香川にも事業所を設けた。

また11月には、女性のためのライフスタイルメディア「ism magazine」を公開。女性ロールモデルへのインタビューや仕事・ライフスタイルのノウハウなどを掲載している。

設立から1年8カ月。これまでのismの営みは、女性の“働く”ことによる社会貢献と“働く”ことの応援のための「実証実験でもあった」と鈴木氏はいう。

現在のismは、週3日出勤のフルフレックス。各自が出社時間や勤務時間を申請し、成果から給与をコミットする。「自分で決めることで自立した生活ができる」と鈴木氏は言う。また業務のやり取りにも使うSlack上に、互いをほめたり、助けを求めたりする「#えらいこチャンネル」「#よわいこチャンネル」を設け、社内コミュニティのような形でコミュニケーションを図り、これが思った以上に機能しているそうだ。

「難病のスタッフもいるけれど、成果を出して働けるような仕組みになっている」(鈴木氏)

ismメンバー。写真後列中央がism代表取締役の鈴木碩子氏。

前期は数千万円規模の売上を出し、今期は同じ売上を半期で達成したというism。今のところ「成果を出しつつ、自由に働くことを実現できている」と鈴木氏は“実証実験”の結果について説明する。「これを外にも展開して『もっと、わたしらしい』働き方に世の中を変えていこうというフェイズになった」(鈴木氏)

日本では、1990年代初頭にようやく専業主婦世帯と共働き世帯が同数になったばかり(総務省「労働力調査特別調査」に基づく厚生労働省資料)。つまり、働く女性が多数派になってから30年も経っていない。そのため、働き方を参考にすべきロールモデルがいないうえ、もともと男性の働き方をそのまま女性が踏襲する形になっているため、働き方がマッチしていないのが現状だ。

また、女性就業者は男性より1000万人少なく(平成27年 労働局調査年報)、出産・育児に伴い、女性のキャリアは一時断絶し、この世代の労働力率は下がる(内閣府男女共同参画局 主要国における年齢階級別労働力率)。さらに都市部では就労機会が多いので働く女性の事例も多様になってきているが、地方では量的にも質的にもケースが少ないため、特にロールモデルが見えにくい。

「副業、フリーランス、時短など、さまざまな働き方が出てきている中で、私たちに合う働き方とは何か。それを提示したい。またキャリアが断絶しない働き方といっても、上司もモデルがないから、育児中の女性の働かせ方が分からないのが実情。そんなとき『時短でもこういう成果が上げられて、こういう貢献ができるので、こういう時間と金額で働かせてほしい』と交渉するための知識があれば、お互いに納得して働ける」(鈴木氏)

鈴木氏は「今働いていない人が働けるように、働いている人は“引っかかり”をなくして、それぞれ数万円収入が上げられて、労働力不足も解消できれば」と話す。「働き方を工夫すれば働ける人はいっぱいいる。遊休リソースは社会的損失です」(鈴木氏)

女性の“活躍”よりは“幸せ”に働けるように

ismでは、ism campus開設に至るまでにも、女性の“働く”を支援する取り組みがいくつか検討されてきた。

「女性をテクノロジーで支援したい、ということで確定申告サポートのサービス提供を考えたが、みんな『お金を払って頼むほど収入をもらっていない』ということに行き当たる。では、お金が払えるぐらい働ければ、と思ったけれど、それではクラウドソーシングとの違いが分からないし、働き方そのものが変わるわけではないから、やりたかったこととはちょっと違うな、と思って」(鈴木氏)

そうして検討を重ねる中で「そもそもみんな、仕事が楽しいと思っているのかな」というところへ行き着いた。

「特に地方だと(ロールモデルが見えず)行き先がないから『結婚したい』になっているのではないか。楽しそうに働いている人が見えていない。フリーランスともなると母数が少なくサポートも少ない。そうなるとお金を得るのが難しくなる。夫の仕事の都合で地方へ移って、時間が合う求人がないので専業主婦だけど、実は簿記一級を持っている、という人もいる一方で、企業の側は『いい人がいない』と言っている。みんなもったいない」(鈴木氏)

ismにも子育て中のお母さん従業員がいる、ということだが、「仕事をしていない間は、社会とつながっていないという不安がある」と話しているそうだ。「仕事は社会とつながるためのきっかけになる。例えば離別・死別などで、子どもを抱えたまま収入が急になくなった、というときにも、キャリアを断絶せずに仕事を続けて収入を得ていることは、大事になるはず」と鈴木氏は言う。

オープンしたism campusは、ism magazineがネット上でロールモデルやライフスタイルを紹介するのに対し、リアルでロールモデルに出会える空間として、提供される。

「いろんな人に会える、話が聞ける。それが『楽しい』というのをきっかけにして、いつの間にか、楽しく働けるような場にしたい。女性の“活躍”よりは働く“幸せ”を考えたい。偉くなくても幸せに働いていく中で、生きていくすべを身に付けることができるような場として」(鈴木氏)

ism campusでは独自の会員システムを導入。月額で利用する会員は利用サービスの予約とコミュニティへの参加ができる。コミュニティは当初はSlackを使って運営するそうだ。キャリア相談や心理カウンセラーによるメンタルケア、副業や個人事業主として働く人ならバックオフィスの相談もできる。

また、毎月メンバーの要望や意見がかなえられる「夢が叶うチャンネル」も設置されるそうだ。「夢が叶うチャンネルについては、意見を言えば実現できる、というところをメンバーに可視化する意味もある」と鈴木氏は話している。

入退室にはQRコードを利用。電源、WiFi、コピー機といった仕事に必要な基本環境に加え、リラックススペース、ジャケットや名刺などの貸し出しサービスなども提供する。

女性ならでは、という点は、ドレッサーやヘアアイロン、メイクアイテムがそろった「ビューティーエリア」があることだろうか。ビューティーエリアでは仕事をしながら、ヘアセットやマッサージ、ネイルなど予約制のサービスを会員価格で受けることができる。

コミュニティとして、イベントや交流会の企画も準備しているとのこと。コミュニティ内での仕事の相談も可能で、ノウハウの共有や情報シェアもできる。「仕事をパッケージ化するノウハウ、教育ノウハウはismでも培ってきたので、一緒に仕事ができるように、と考えている」(鈴木氏)

ism campusは、スポット会員は1時間500円で利用可能。月額制会員の利用料は、平日昼利用できるDAYメンバーが1万2960円、平日23時まで利用できるNIGHTメンバーは1万6200円、平日休日を問わず利用できるFULLメンバーは1万9440円だ(いずれも税込金額)。

鈴木氏によれば、渋谷のism campusはモデルケースということで、これでもミニマムな機能だということだ。今後、他企業との連携によるサービス拡充も進める予定で、都内数カ所で展開したいと鈴木氏は述べている。

さらに鈴木氏は「地方ではキャリアセンターっぽい機能を提供していくことを検討している」と構想する。「経験のある人はいいとして、パソコンを触ったことがない、という人にいきなりアウトソーシングでリモートワークを依頼するのは、ハードルが高すぎる。アート作品を作ってもらってそれを売る、とか、お金を得るという体験そのものを、まずは提供してみたい」(鈴木氏)

ism campusでは「スポット会員も含め、半年で1000人ぐらい会員を獲得したい」と鈴木氏。「海外では女性のワークコミュニティ事例として、The Wingが入会8000人待ちという人気を誇っている。ただ、事例そのものが少ないので、日本なりのコミュニティにしていければ」と話している。

鈴木氏は、ismやism campusが実現しようとしていることについて「女性活躍何とか、とかフェミニズムとはちょっと違う」と言う。女性らしい、というよりは、「私らしい」働き方を突き詰めたい、というところだろうか。

「ある仕事が好きかどうかはやってみなければ分からないし、できると好きになる。極論すればそれをライトに経験できるようにしたのがism。やっていて苦じゃない、思いを持てる仕事は好きになれる」(鈴木氏)

ismとismの社員が成果を出している理由として、鈴木氏は「向いていないことを止める、ガマンしないこと」を挙げている。「自分も経験したことだけれども、人は『自分より明らかに仕事が速い人の仕事の仕方を知らない』ことが多い。私が1日かけてやっていた仕事を、1時間でできる人が現れたときに『任せよう』と決めた(笑)。仕事面での交流の機会がない、相談する場所がないと(それに気づかず)ガマンすることになりがちだ」(鈴木氏)

鈴木氏は「女性、男性にかかわらず、お互いに仕事を見合うことは大切だと思う」と話す。「男性だと達成欲でいくらでも仕事できるという人が多い感じだが、女性の場合は誰かの役に立てることがやりがいになるケースが多い気がする。モチベーションの場が違うかもしれない。男だからこう、女だからこう、ということではなくて、個性というものをあらためて認識すべきだなと思う。それが働き方の新しいカルチャーづくりにつながる」(鈴木氏)

WeWorkがプログラミング学校Flatiron Schoolを買収、最先端のコワーキングにはスペースだけでなく学習機会もある

時価総額200億ドルのコワーキングの巨人WeWorkが、プログラミングスクールFlatiron Schoolの買収を発表した。

プログラミング教育のプラットホームFlatiron Schoolは、テクノロジーの世界にキャリアを求める人びとにオンラインとオフライン両方のコースを提供している。設立は2012年で、Crunchbaseによるとこれまで1400万ドルを調達している。

買収の条件は、公表されていない。

WeWorkのCEOでファウンダーのAdam Neumannはブログで、WeWorkの社員とメンバーはFlatiron Schoolのオンライン/オフライン両様のコースにアクセスできる、と発表した。

WeWorkは、萌芽期の企業(ときには大企業にも)にスペースを提供するだけでなく、彼らのプロダクトのためのショップや仕事もセットアップしているが、そのほかに彼ら同士の協働助け合いネットワークも育てている。

Flatiron Schoolの買収は、ふつうの買収のようにそのビジネスや技術(プログラミング教育)をWeWorkのビジネスポートフォリオに加えるためでなく、WeWorkのメンバー(==ユーザー)に技術知識やスキルを与え、将来に向けて彼らの機会の強化拡大に資することが目的だ。

一週間前にFlatiron Schoolは、無認可で教育事業を営んでいた件と個人メンバーの就職率/初任給の誇大宣伝で、ニューヨーク州と37万5000ドルの和解が成立していた。

Neumannのブログより:

うちの会社の企業文化は、現状に満足せず、もっと良い仕事をしよう、今よりもっと勉強しよう、という姿勢にある。だから今回、勉強のための新しいプラットホームを提供できることを誇りに思う。Flatironには、人びとを結びつけるというわれわれのビジョンを共有できる資質がある。私たちはスペースで人びとを結びつけ、設計やデザイン、技術、そしてコミュニティで人びとを結びつけている。そしてそういう結びつきは、仕事と人生をより人間的にする方法だと理解している。私たちは、その全生涯が学生だ。Flatironの教育者と技術者とイノベーターたちをWeWorkにお迎えして、共に勉強を続けて行けることは、とても喜ばしい。

最近の2年間は、WeWorkはコワーキングのスペース以外の面での拡張にフォーカスし、中国と日本に進出、またアメリカでは拠点を増やしてきた。そしてまた同時に、オンラインのコースとそのメンバーの拡大にも注力してきた。4月に立ち上げたServices Storeは、メンバーがWeWorkのアカウントでSlack, Lyft, UpWork, Adobe, などのサービスを利用できる仕組みで、料金のディスカウントがある。

Flatiron Schoolの買収も、そういうメンバー便宜の拡大という点で価値が大きい。今やWeWorkのコワーキングにあるものは、スペースだけでなく、未来のキャリア増進のための学習機会もあるのだ。WeWorkは、スタートアップを育てるだけでなく、大企業の一部門や一事業部をそっくりまるまる、同社のメンバーが実装できる、と考えている。先年の、Microsoftの営業チームなどは、その典型的な例だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MicrosoftがコワーキングスペースWeWorkとの提携で街中をオフィスに

WeWorkはこれまでの長い間、小さなスタートアップや、1人起業家が机と作業場所を確保するための場所だった。月々の柔軟な支払いが特徴である。しかし、本日同社はこれまでとは異なる巨大な顧客との提携に至った。Microsoftである。

WeWorkとMicrosoftは「City as a Campus」パートナシップをスタートする。これによってMicrosoftの300人のグローバルセールス並びにマーケティングチームは、マンハッタンにある全てのWeWorkのオフィス、コミュニティ、そしてサービスを利用できるようになる。

これはMicrosoftが既にニューヨークオフィスを持っていることを考えると興味深い。このオフィスの外でセールスチームが仕事をできるようにするのだ。

このアイデアのきっかけは、特にセールス担当者は、1日の内に数え切れない顧客とのミーティングをこなしながら、稼働も販売もモバイルスタイルで行っているということだ。Microsoft OfficeのマーケティングのGMであるMatt Donovanは、今回の提携でグローバルセールスならびにマーケティングチームの生産性と効率性が向上すると考えている。ミーティングの合間に任意のWeWorkのオフィスで仕事ができるようになるからだ。

「企業の人びとが、柔軟性を保ったままにWeWorkが提供するようなタイプの場所で働く未来を想像することはできるでしょう」とDonovan。

「Microsoftで私たちはその未来を少々早く始めるのです」。

これは、MicrosoftとWeWorkが締結した最初の契約ではない。両社は以前、全てのWeWork利用者がMS Officeを利用できるようにするパートナーシップを締結している。

MicrosoftとWeWorkのパートナーシップは、試行としてまず300人のMicrosoft従業員から始まるが、実際にある程度の規模まで成長する筈だ。契約の一部として、Microsoftはまた、セールスチームのための似たような「タッチダウン」の場所を、フィラデルフィア、ポートランドにも確保し、同時にMicrosoftのアトランタにある広告チームを、We Workバックヘッド(アトランタ)へ移動するために、大量の席を確保する契約も取り交わした。

WeWorkのチーフプロダクトオフィサーであるDave Fanoによれば、最近WeWorkは大きな企業との提携を進めていて、Microsoftの300人の従業員が各ロケーションの間を柔軟に移動することの支援にも準備が整っていると語った。

その準備の一部には、備品の在庫を持つだけでなく、どのWeWorkオフィスもMicrosoft従業員のためのオフィスとして機能するということが含まれている。例えば面倒なイントラネットへのアクセスなども提供される。彼はまた、作業場所となれば、大きな企業も小さな企業と同様に、柔軟性が必要なのだと付け加えた。

「企業がどのように大きくなっていくのかはわかりませんし、仮に規模を縮小して使っていない場所にお金を使うことになるなら、2から3年のリース契約では無駄な経費になってしまいます」とFano。「WeWorkは、私たちが中小企業に提供しているものと同じ財政的柔軟性を提供して、この問題を解決することが可能です」。

この新しいパートナーシップの一環として、MicrosoftがWeWorkコミュニティ内で新しい製品やサービスをテストすることも含まれている。これはWeWorkの実際の従業員から始まるが、最終的にはWeWorkの利用メンバーへと広げられる予定だ。

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(翻訳:Sako)