地元のコンビニや商店に配達を提供するLulaのサービスが急成長

Lulaの共同創業者アディット・グプタ氏とトム・ファルザニ氏(画像クレジット:Lula)

コンビニエンスストアはクルマに給油しているときや、軽食が欲しいときに立ち寄るところだが、パンデミックで誰もお店の中に入らないようになると、店の生き残りも難しくなる。

Adit Gupta(アディット・グプタ)氏の親も、ニュージャージーのコンビニのオーナーだったため、客が来ないことに苦しんだ。そこでグプタ氏と彼のドレクセル大学時代の学友Tom Falzani(トム・ファルザニ)氏は、数週間かけて、何らかの配達アプリを使って店が存続する方法を編み出そうとしたが、グプタ氏の両親の2020年半ばの閉店を止めることはできなかった。

「お客さんが店に来れなくなりましたが、コンビニでは電話などで店にオーダーすることもできません。そこで配達アプリを作ることを考えました。オンラインなら3000、4000もの品数を揃えることができることに、改めて驚きました。親が閉店した後に考えたのは、コンビニエンスストアは全国に15万以上もあるが、その1つひとつを有能な起業家が経営する小さなフルフィルメントセンターだと考えればいいということです。そこには配達するためのテクノロジーがないだけなのです」とグプタ氏はいう。

他のコンビニが親の店のような運命にならないために彼らは2020年後半、フィラデルフィアにLulaという会社を立ち上げた。今では数百のコンビニやドラッグストアやその他の店舗が、Lunaの手数料ゼロのツールを使い、配達という第二の販売チャネルを確立し、サードパーティの業者と契約して配達を行っている。

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そのような店舗は店員の数も少なく、デジタルのスキルも弱いため、Lulaはすべての店のすべての商品をデータベースに登録し、すべての配達業者に配信する。そして注文が来れば、その情報は店と配達業者の両方へ同期される。

そのツールは「初めてのマルチベンダーの30分配達プラットフォーム」だとグプタ氏は自画自賛する。これまでオンラインで注文を受けても配達手段がなかったお店が、サードパーティのプラットフォームすなわちLulaで配達手段を得る。

「コンビニエンスストアやその他の商業者が搾取されるビジネスモデルにはしたくなかったため、料金は毎月のサブスクだけです。店は2、3日で元がとることができます」。

Amazonは実店舗TortoiseCartkenは配達ロボットと、リテールのこの部分に関心を向ける企業が最近は多い中で、特に配達の要望が多いのはコンビニエンスストアの食品や食材だ。消費者分析企業Edison Trendsの調査報告では、2020年の1年間でコンビニエンスストアへのオンライン支出は346%成長した。

Lulaは2021年に100万ドル(約1億2000万円)のプレシードを調達し、最初の10社ほどの顧客にサービスを提供したが、今回は550万ドル(約6億3000万円)のシードを発表し、2022年内に米国のすべての州から2000の顧客を獲得するつもりだ。

その最新のラウンドを共同でリードしたのはRipple VenturesとOutlander VCとUp Partnersだ。このラウンドに参加したの、SOSV、Simple Capital、NZVC、Stonks.com、EasyPost、Park City Angels、Alumni Ventures、Broad Street Angels、Ben Franklin Technology Partners、そしてエンジェル投資家たちのグループとなる。

同社は前月比で30%以上店舗数を伸ばしており、すでにヨーロッパとメキシコの両方で大手コンビニエンスストアチェーンと商談中で、全米の独立系店舗からオーガニックなインバウンドトラフィックを受けているとGuptaはいう。そのため、今回の資金調達は、製品開発と、営業およびカスタマーサクセスチームによるLulaの人員拡大にも充てられる予定だ。

現在、Lulaの従業員数は35名だが、グプタ氏はカスタマーサクセスチームを50名以上に増強し、最終的には年内に100名のチームを結成する予定だ。

Ripple VenturesのマネージングパートナーであるMatt Cohen(マット・コーエン)氏は、「Lulaが、地元の企業がデリバリーサービスを利用できるようにするために、事業を拡大していることに興奮しています。パンデミックは高級店や大型店を直撃し、Lulaは地元の商店が急成長する宅配需要にアクセスするためのすばらしい方法です。アディットとトムが見つけたのはとても大きなビジネスチャンスであり、Ripple Xを通じたアディットの旅を非常に誇りに思っています」という。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

コンビニ市場で存在感を高めたい食品デリバリー事業の英Zappが約231億円調達

2020年にロンドンでスタートしたインスタント食料品配達スタートアップのZapp(ザップ)は、Getir(ゲチル)、GoPuff(ゴーパフ)、Jiffy(ジフィー)、Deliveroo(デリバルー)、その他オンデマンドコンビニ市場のシェアを狙う多くの企業と真っ向勝負するために、かなりの額の資金調達を行った。シリーズBラウンドで2億ドル(約231億1900万円)を調達した同社は、ホームの市場での存在感を高めると同時に、共同創業者で事実上のトップであるJoe Falter(ジョー・ファルター)氏のいう「メガシティ」に進出するために使うとしている。Zappは現在、ロンドンに加え、マンチェスター、ケンブリッジ、ブリストル、アムステルダム、ロッテルダムで事業を展開しており、パリではソフトローンチを実施中である。

Zappによると、このラウンドはLightspeed(ライトスピード)、468 Capital(468キャピタル)、BroadLight Capital(ブロードライト・キャピタル)が共同でリードし、以前の支援者でもあるAtomico(アトミコ)、Burda(ブルダ)、Vorwerk Ventures(ボーワー・ベンチャーズ)も、F1チャンピオンのLewis Hamilton(ルイス・ハミルトン)氏と並んで参加している(したがって「超速」サービスを売りにする会社のブランドとして、かなり適切だと思う)。

しかし、このラウンドについて報じられているのは、それだけではない。PitchBookは、2021年12月にこの投資の第1トランシェがクローズした際「ライバルのGorillas(ゴリラズ)」もその一部であったと述べている。そして先週、Sky Newsは「シンガポールの国営ファンド」も後援者に含まれていると報じた。現地時間1月28日のZappの発表では、どちらも言及されていない。我々は、どちらかが実際に関与しているかどうか確認するよう同社に求めたので、詳細が分かり次第、更新する。

Gorillasは、2021年秋に10億ドル(約1156億円)を調達したドイツのスタートアップ企業で、ライバルのGetir同様、その資金の一部を使って、パリのFrichti(フリッチ)など、他の市場で競合になりそうな企業を買収したり投資したりしている。ここに登場するのには、ありえない名前ではないだろう。また、デリバリー企業はお互いに投資し合ってきたこれまでの流れがあり、ひょっとしたらさらなる統合を前にした最初の動きなのかもしれない。Delivery Hero(デリバリー・ヒーロー)はGorillasを支援し、DoorDash(ドアダッシュ)は同じくドイツのスタートアップ企業Flink(フリンク)に投資している。

Zappは評価額を公表しておらず、これまでに処理した顧客や注文の数についても語っていない。現在、同社は3億ドル(約347億円)を調達している。

スタートアップや既存の食料品メーカーの間で、コンビニエンスストア市場で主要な存在になりたいという意欲は強く、コンビニの食料品部門は、英国だけでも2021年に約430億ポンド(約6兆6580億円)の価値があると推定されているその規模を考えると、複数の勝者が存在する余地もありそうだ。

しかし、この物語がどのように展開されるかについては、まだ多くの疑問が残っている。最終的にどれだけの消費者が、どれだけの期間、これらのサービスを利用するのだろうか?典型的なインスタント食品会社が利益を上げるには、どれだけの顧客が必要なのか?また、1つの都市に何社のデリバリー企業が存在できるのだろうか?

しかし、投資家は、この分野でより興味深い事業を支援することに非常に意欲的である。Zappの今回のラウンドとGorillaの2021年の10億ドル(約1156億円)の資金調達に加えて、Flinkは12月に7億5000万ドル(約867億4600万円)を調達し、インドのZepto(ゼプト)は1億ドル(約115億6600万円)を、Jokr(ジョーカー)は2億6000万ドル(約300億7200万円)を調達し、GoPuffとGetirはともに数十億ドル(数千億円)調達している。

Zappは、顧客サービス、注文を満たすための大規模な流通センターと組み合わさった、戦略的に配置された小規模なダークストア(「ザップストア」)のネットワーク、幅広い商品構成(50種類のアイスクリーム、21ブランドのテキーラ)と同時に、ユーザーが直前に実際に欲しいだろと思われる商品の組み合わせ、卸業者だけでなくブランドと直接つながるサプライチェーンという、これらのバランスがとれた、クイックデリバリーの分野で長く活躍するための方式を発見したと信じている。

これは、例えばGoPuffやFlinkのように、大衆消費者が、毎週大きなバスケットで買い物をするよりも、より頻繁に、より少量のインスタント食料品で買い物をするように説得できると考えているのとは対照的だ。

「私たちは、顧客体験を重視しています。それが、ここでの勝利につながるのです」とファルター氏はインタビューに答えている。彼は、競合他社がユーザーに複数の割引を提供することで、注文を事実上補助することで市場シェアを狙うことを選択したことが「おかしい」と述べた。「私たちはクーポン券や割引商品の提供はしていません」と述べ、すぐさま修正するように「最初の注文は50%オフですが、それ以外何度もクーポン券を提供するということはありません。私たちは、顧客体験、より良い製品を時間通りに届けるサプライチェーン、そして、週1回の買い物を邪魔するというよりも、コンビニ関連の品揃えを信じています」と述べた。

その平均注文額は、Gorillasが1件あたり「15ポンド(約2300円)以下」であるのに対し「20ポンド(約3000円)台半ば」であると彼は言っている(Zappが提示した数字)。また、Zappの注文の3分の2は、利益になっているという。

平均受注額の低い会社については「私が彼らなら、少し不安になるでしょう。持続可能な基盤とは言えません」と述べた。

多くのインスタント食品会社が、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を覆ったたときに出現し、その本領を発揮した。このラウンドは、Zappがそれが終わった後の可能性を持っているということを示すための準備をするということだ。

Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)のパートナーであるRytis Vitkauskas(リティス・ヴィトカウスカス)氏は「コンビニエンスストアは、完全にオンライン化される最後の小売セグメントの1つですが、ロックダウン後に本当にその瞬間を迎えようとしています」と声明で述べている。「忙しい日常が戻ってきたとき、人々は迅速なデリバリーで『今を生きる』ことができるようになります。Zappは、この消費者行動を活用するために一から構築され、その結果、並外れた顧客ロイヤリティを獲得しています。私たちは、コンビニ市場のお客様にまったく新しい体験を提供し、長期的な投資を続ける同社の歩みに参加できることをうれしく思います」と述べた。

編集部注:TechCrunchのライターを長く務めたSteve O’Hear(スティーブ・オヒア)氏は、現在Zappに在籍していますが、そのことはこの記事の報じ方に影響を与えるものではない。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)

新資金で潤うFoxtrotの「未来のコンビニ」があなたの近くにやってくる

シカゴにあるFoxtrotの店舗の1つ(画像クレジット:Foxtrot)

Foxtrot(フォックストロット)は、コンビニエンスストアに対する考え方を変えようとしている。同社は、今後2年間で実店舗を50店舗まで拡大するために、新たに1億ドル(約115億5100万円)のシリーズC資金を調達した。

前回、シカゴを拠点とするFoxtrotに注目したのは2020年初頭、世界的なパンデミックに世界が震撼する直前のことだった。成長ラウンドで1700万ドル(約19億6300万円)を確保し、商品を店舗で購入するか、オンラインで注文して配送するかという選択肢を顧客に提供していた。そして当時、ダラスとシカゴに小売店舗を構えていた。

関連記事:窮地のコンビニを再構築するFoxtrotが19億円を調達

2014年にMike LaVitola(マイク・ラヴィトラ)氏とTaylor Bloom(テイラー・ブルーム)氏が創業した同社は、街角のコンビニエンスストアを再構築しようとしている。その起源は、デジタルファーストのコマースプラットフォームだが、彼らはそこに小売り店舗の体験を追加した。Foxtrotの主力商品であるコーヒー、すぐに食べられるカフェ料理、ワインに加え、同社は現在地元の職人による最高レベルの食品を探し求めている。

前回、FoxtrotはワシントンD.C.をマーケットリストに加え、その後、この3都市で16の小売店をオープンした。5分以内のピックアップ、迅速なオンデマンド配送「Foxtrot Anywhere」という全国配送ツールなどを提供している。

加えて、同社は1年前にプライベートブランド商品にも着手し、現在では同社の小売商品の約30%、小売とeコマースの売上のほぼ半分を占めるまでになったと、CEOのLaVitola(ラヴィトラ)氏はTechCrunchに語っている。同氏は、今後1年間に約200の新しいプライベートブランド商品が発売されると期待している。

米国時間1月11日の新たな資金調達は、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)が主導し、既存の投資家であるMonogram Capital(モノグラム・キャピタル)、Imaginary(イマジナリー)、Almanac(アルマナック)、Wittington(ウィッティントン)、Fifth Wall(フィフス・ウォール)、Beliade(ベリアード)、Lerer Hippeau(レラー・ヒポー)、Revolution(レボリューション)が参加したものである。このシリーズCにより、Foxtrotの総資金額は1億6000万ドル(約184億円)に達した。

パンデミックでの現状で見られるように、ほとんどの販売はオンラインに移行した。しかし、ラヴィトラ氏はFoxtrotの小売店舗へのアクセスが増加したことに気がついた。小売店舗へ足を運ぶのは、新しいスナックを発見するのにはそれほど激しくなく、かつレストランや食料品店に行くよりも「人々の日常の中の20分の楽しみとなった」ことに言及した。

同社は2021年、事業を倍増させたが、小売店の導入は、新たな資金を使って2022年に25店舗を新たにオープンするための原動力の1つにもなっている。新店舗には、ボストンのバックベイ地区、オースティン初となる2店舗、シカゴのウィリスタワー、トリビューンタワー、リグレーフィールド付近への追加店舗が予定されている。2023年には、ニューヨーク、ナッシュビル、マイアミなどの新市場にも進出し、現在の都市でも店舗を拡大する予定だ。

「私たちが見た最大のトレンドは、顧客が小売体験に完全に傾倒し、それがオンラインビジネスの主要な顧客獲得ポイントになっているということです」と、ラヴィトラ氏は述べている。「配送は今後も続くでしょうが、お客様は最終的に私たちの商品の価値を理解するようになります。その結果、私たちは、誰が一番おいしいドーナツ、コーヒー、トルティーヤを持っているかという点にとことんこだわりながら、対面での体験に私たちの90%の時間を費やしています」。

Foxtrotは小売店舗に加え、新たな資本を商品化モデルの拡張に投資し、エンジニアリングの人材を追加採用し、2023年にはチームの規模を3倍にする計画だ。ラヴィトラ氏は物流、店舗決済、在庫管理、パーソナライゼーション、Foxtrotのロイヤルティプログラムである「Perks(特典)」の分野でも採用を予定している。

Perks自体は2021年に110%以上の成長を遂げ、同時期に、5分以内マーケットピックアップは250%、カフェオーダーは375%の成長を遂げたという。

Monogram Capitalの共同創業者でFoxtrotの取締役を務めるJared Stein(ジャレド・スタイン)氏は、Foxtrotがオムニチャネルブランドとローカルプロダクトキュレーターとして支配力を発揮している点を「カテゴリーキリングモデル」と称した。

「Foxtrotは、我々の中では、稀有な存在です。Foxtrotは、一から技術スタックを構築しました。それに、同じレベルのキュレーションとおもしろいブランドとのローカルなパートナーシップを持つ会社を見つけるのは難しいものです。それが、人々が物語に入ってくる理由なのです。他の企業もこれをやっていますが、複雑です。Foxtrotは、それをスケールアウトする前に取り組んだのです」。

編集部注:1月11日6:29 a.m. PT:Foxtrotは、投資家のリストにM3 VenturesのBeliadeへのブランド変更を含むように修正しました。

画像クレジット:Foxtrot/シカゴにあるFoxtrot社の店舗の1つ

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

DoorDashがニューヨークでの「超速」配達開始でギグワーカーではなく正社員に頼る雇用モデルもテスト

DoorDash(ドアダッシュ)は米国時間12月6日、10〜15分で配達する「超速」配達をニューヨーク市のDashMart1店舗で始めることを発表した。まずはチェルシー地区の新店舗からスタートし、今後数カ月内にニューヨークや他の地域でも店舗や提携を増やしていく予定だ。そして、これらの新しい配達サービスを提供するために、同社はギグワーカーではなく正社員に依存する新しい雇用モデルのテストも開始する。

同社は、2020年4月にデジタルコンビニエンスストアチャネルDashMartを立ち上げた

DashMartでは、日用品やコンビニエンスストアにあるような商品を販売している。DashMartは商品約2000点を取り扱うマイクロフルフィルメントセンターで、DashMartの倉庫担当者が注文品をピックアップして梱包し、Dasherと呼ばれる配達員が注文品を集荷して顧客に届けるという仕組みになっている。本日から、デリバリーゾーン内のDoorDashの顧客は、DoorDashのアプリまたはウェブサイトにアクセスし、DashMartに注文して配達してもらうことができる。なお、DashMartチェルシー店の営業時間は毎日午前7時から午前2時までだ。

15分という配達時間を実現するために、超速配達ではDashMartからの配達範囲を狭くすることで配達員の配達移動時間を減らし、慣れ親しんだルートを通るようにしている。また、DoorDashによると、配達に使用する電動自転車の速度は時速20マイル(時速約32km)までとなっている。

そしてDoorDashは、超速配達では一定量の仕事とより多くの収入を求める配達員に新たな機会を提供すると発表した。DoorDashが新たに設立したDashCorpsは、定期スケジュールで働き、マネージャーに報告する配達従業員を雇用する。従業員には、時給15ドル(約1700円)〜の賃金に加えてチップが支払われ、医療・歯科・眼科保険、従業員支援プログラム、フレキシブルスペンディングアカウント、通勤手当など正社員の福利厚生が提供される。

DashCorpsの従業員は、特別にデザインされた新しいアプリを使用し、品出し、顧客サポート、管理業務など、配達以外の仕事も担当する。制服を着用し、平均週20時間の勤務となる。多くはフルタイムで働くとのことだ。

DoorDashは現在、ニューヨーク市内の400以上の地元のコンビニエンスストアや食料品店と提携していて、DashCorpsとのパートナーシップを通じて、より多くのローカル店舗に拡大していく予定だと話す。

この新しい雇用機会は、DoorDashが厳しいギグワーカーモデルから脱却し、戦略を転換していることを示している。同社はギグワーカーの雇用権を実現しようとする規制と戦ってきたいくつかのギグ企業の1つだ。今回の発表は、DoorDashが死守してきた既存のギグワーカーモデルからの脱却を意味している。

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「当社は、多くの人々の生活に適した経済的機会を提供するリーダーであることを誇りに思っています。そして今、DashCorpsが提供する、これまでとは異なるタイプの新しい雇用機会に期待しています」とDoorDash社長Christopher Payne(クリストファー・ペイン)氏は声明で述べた。

配達従業員に安全トレーニングと装備を提供するのに加え、正社員向けの新しい配達アプリにはDoorDashのアプリ内安全ツールキットSafeDashも統合される。最近導入されたこのツールキットは、同社の配達員が安心して仕事ができるようサポートするためのものだ。SafeDashは現在、ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、デトロイト、サンフランシスコ、ロサンゼルスで利用でき、年内に全米の配達員がSafeDashを利用できるようになる予定だ。

同社はまた、ニューヨークの中小企業との今後のパートナーシップに反映させるため、新たに中小企業諮問委員会を設置したことを発表した。そしてニューヨークの中小企業擁護・社会支援団体であるYemeni American Merchant Association(YAMA)とも提携した。

画像クレジット:DoorDash

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

ファミマの商品陳列を自宅から、遠隔操作ロボット開発のTelexistenceが目指す人とロボットの新たな働き方

私たちにとって、いまや「リモートワーク」は特別なことではなくなった。世界中どこにいてもインターネットにさえ接続すれば仕事ができる。一方で、エッセンシャルワーカーともいわれるコンビニやスーパーで働く人たちは、当然ながら「その場」にいなければ仕事ができない。

この現状を変えることを目指すスタートアップがTelexistence(テレイグジスタンス)だ。「遠隔操作ロボット」を開発する同社は、2021年6月15日モノフルのグループ会社などから約22億円を調達したと発表した。

ターゲットは日本全国のコンビニ

「これまで不可能だったブルーカラーのリモートワークを実現する」と話すのは、同社CEOの富岡仁氏。VRヘッドセットとグローブを装着すると、インターネットを経由して遠く離れた場所にいるロボットを「自分の体のように」操作できる。「自分が左手を動かすと、ロボットの左手も同時に動く」という感覚はまるで、離れた場所にいるロボットへ自分が「憑依」するかのようだ。

上記動画のロボット「Model-T」は、2020年10月より「ローソン Model T 東京ポートシティ竹芝店」に導入され、飲料(ペットボトル、缶、紙パック)をバックヤードから補充、食品(サンドイッチ、弁当、おにぎり)を並べるといった業務を行っている。合計22の関節を持ち、5つのパターンに変化する手を持つこの人型ロボットは、約200形状・約2200SKUにおよぶ商品を「しっかりと掴んで、任意の場所に置く」ことが可能。このModel-Tを遠隔操作することで、従業員は商品陳列作業を自宅からでもできてしまえるのは、なんとも不思議な感覚だ。

また同社は、Model-Tの改善点を踏まえてより機能を向上させたロボットを開発。2021年10月から「ファミリーマート経済産業省店」に導入し、回転率の高い飲料を中心に商品陳列を行っていく。富岡氏は「基本的に、日本のコンビニは店舗フォーマットが決まっていて、扱っている商品も似通っている。つまり1店舗でも問題を解決できれば、日本全国にあるコンビニ5万6000店舗の問題も解決できるというスケーラビリティがある」という。同社は2024年度までに2000店舗に2000台の同社ロボットを導入することを目指している。

マニラから日本のコンビニで作業する

遠隔操作ロボットの登場は、店舗運営の効率化だけでなく、労働市場にも大きな影響を及ぼすかもしれない。「2022年の夏からは、フィリピンのマニラにいる従業員がロボットを操作して、日本のコンビニの商品陳列作業を行っていく予定」と富岡氏。当然、日本のスタッフに比べるとマニラのスタッフは人材コストが低いため、企業にとっては大きなメリットといえる。このように今後、労働力の移転が「小売業のスタッフ」にまで広がっていく可能性を考えると、遠隔操作ロボットのインパクトの大きさは計り知れない。

また同社は陳列什器メーカー大手のオカムラと提携し「ロボットの動きに最適化された什器」の開発にも着手。「例えば、棚の奥までロボットの手が届かない場合は、棚に少し傾斜をつけ商品が滑り落ちるようにするなど工夫をする。こうすることで、大きなコストをかけずにロボットを店舗運営に導入できるようになる」と富岡氏はいう。

同社ロボットの活用場面は店舗での商品陳列にとどまらない。今回の資金調達先であるモノフルと提携し、物流業者向けにもサービスを展開。物流施設内の業務に携わる労働者がロボットを遠隔操作することで、倉庫にいなくても商品の積み下ろしができるようになる。

一方で「人間が遠隔操作するのは私たちが目指す最終型ではない」と富岡氏。同社のロボットはすでに、コンピュータビジョンを活用することで商品陳列作業の約8割を自動的に行うことが可能。また同時に、人が遠隔操作するモーションデータをクラウドに蓄積し、これを教師データとしてロボットに機械学習させている。これらにより、いずれは人の操作さえも必要としない「完全にオートマティックなロボット」を完成させることが狙いだ。

画像クレジット:Telexistence

自動化の恩恵を「個人」へ

テレイグジスタンスが掲げるビジョンは「世界に存在するすべての物理的な物体を、我々の『手』で1つ残らず把持(はじ、しっかり掴むこと)する」こと。「これが実現すると、世の中のあらゆる物理的な仕事をロボットが代替できるようになる」と富岡氏はいう。

しかし同社は、ただ企業の業務効率を上げることのみを目指しているわけではないという。同氏は「これまで産業用ロボットによるFA(工場自動化)の恩恵は、現場で働く労働者ではなく、ロボットを所有する大企業の株主が得ていました。しかし私たちは、究極的には企業ではなく『個人』がロボットを所有する未来を実現したい」と話す。

つまり同氏が目指すのは、労働者である個人がテレイグジスタンスのロボットを所有し、さまざまな現場に派遣して遠隔操作(あるいは自動化)しながら金を稼ぐという未来。同社はハードウェアからソフトウェア、自動化技術までを自社で一貫して開発する稀有なスタートアップだが、その「ビジネスモデル」も既存のものには当てはまらないようだ。

自分は旅行でニューヨークまで来ているけれど、ロボットは東京にいて代わりに仕事をしてくれている……そんな世界はすぐそこに来ているのだろうか。テレイグジスタンスが「掴む」ことを目指す未来に、思わずワクワクしてしまうのは私だけではないはずだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Telexistence遠隔操作資金調達コンビニエンスストア日本エッセンシャルワーカーテレイグジスタンス

画像クレジット:Telexistencem

テスラが「レストランサービス」用途として新たに商標を出願、食事をしながらEVを充電

Tesla(テスラ)は先日、レストランサービスの分野における自社ブランドの新しい商標を申請した。これは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOをはじめとする同社幹部たちが、少なくとも2017年から公に議論してきたアイデアを実現するために、いよいよ準備が整いつつある可能性を示している。

Electrek(エレクトレック)が最初に報じた5月27日付で米国特許商標庁へ出願された書類によると、テスラは「レストランサービス、ポップアップレストランサービス、セルフサービスレストランサービス、テイクアウトレストランサービス」のカテゴリーをカバーする3つの新しい商標を申請している。この出願は現在審査待ちの状態で、8月27日頃に弁護士による審査が行われる予定だ。

世界で最も影響力のある高級電気自動車会社とレストラン事業が、どのように結び付くのだろうかと、訝しむ人もいるかもしれない。話を2017年に戻そう。当時、テスラのCTOを務めていたJB Straubel(JB・ストラウベル)氏は、フードサービスとテクノロジーのイベント「FSTEC」で、同社がレストラン事業に進出する可能性があると発言した。そのアイデアは、EVの充電ステーションを、食事も提供するフルサービスのコンビニエンスストアにするというものだった。テスラは、このアイデアの縮小版として、カリフォルニア州ケトルマン・シティのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションにあるラウンジのようなものを作った。

イーロン・マスクCEOは2018年1月、このコンビニエンスストアのアイデアを発展させたレストランのコンセプトを、(いつものように)Twitter(ツイッター)で発表。「LAで新たなテスラ・スーパーチャージャーを設置する場所の1つに、昔風のドライブインにローラースケートとロックを組み合わせたようなレストランを併設するつもりです」とツイートした。

その数カ月後、テスラは実際にレストランとスーパーチャージャーステーションの申請を行ったが、それ以来、このビジネスベンチャーの可能性についてはほとんど沈黙を保ってきた。2020年、米国向け広報チームを解散させた同社は、テスラ自身が充電ステーション併設のレストランを開業するのか、それとも他のレストラン事業者がテスラのロゴを使用して同様のビジネスモデルを構築するのかなど、計画に関する情報を求められても答えなかった。

テスラは、レストランでの使用を目的とした商標として、同社のアイコンである「T」のロゴや「Tesla」という言葉そのもの、そしてその言葉をデザイン化したものを、米国特許商標庁に出願している。

テスラは、社名をデザイン化したものをレストランサービスの分野で商標登録出願した

テスラは今回の商標出願によって、食事と充電を行えるステーションを作るというマスク氏の計画を前進させるために必要なステップを踏むことになりそうだ。外食産業と自動車産業が交わるのは、これが初めてというわけではない。星の増減がレストランの明暗を分けるMichelin Guide(ミシュランガイド)は、もともと1900年にAndre(アンドレ)とEdouard(エドゥアール)のミシュラン兄弟が編纂したものだ。彼らは自動車の需要を喚起し、ひいては彼らが製造するタイヤの需要を喚起したいと考え、広範囲にわたるレストランやホテルとその道中にある整備工場やガソリンスタンドなどを網羅したガイドを作成した。これにより、人々は新発明の移動手段を使って、自分の味覚や世界を探求することができるようになったのだ。

テスラのスーパーチャージャーレストランは、そこまで革命的なものではないが、人々に新しいクルマを購入するための新たな誘引構造を提供し、EV業界の競争に創造性をもたらすものだ。たとえその誘引が、過去のノスタルジックな輝きに浸りながら、流行に乗っているように見せるというだけのものであっても。

そこではウェイターが電動ローラースケートでハンバーガーを運ぶようになるのかもしれない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaレストラン電気自動車充電ステーションコンビニエンスストア

画像クレジット:Tesla

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米セブン-イレブンが2022年末までに北米250店舗にEV充電ステーション500基を設置

コンビニエンスストアはユビキタスだ。米国の消費者が購入するガソリンの圧倒的大部分を販売している。しかし多くの米国人が電気自動車(EV)に移行するにつれ、人々がコンビニに立ち寄る大きな理由は消失する。

コンビニ大手の7-Eleven(セブン-イレブン)はこの成長しつつあるEVドライバーマーケットをつかもうとしている。同社は米国時間6月1日、2022年末までに北米の250店舗にDC急速充電ポート500基を設置すると発表した。サプライヤーから購入されなければならないガソリンスタンドの燃料とは対照的に、これらの充電ステーションはセブン-イレブンが所有・運営する。

EVgoやChargePoint、TeslaのSuperchargerネットワークのような米国最大のプロバイダーが展開している多くの充電ステーションは、ショッピングモールやTargetのような小売店に隣接している駐車場の寄せ集めに立地している。しかしセブン-イレブンのようなコンビニ店の大きな特徴は、高速道路や幹線道路に隣接したエリアにすでに立地していることであり、ドライバーを引きつけるという点で優位かもしれない。

充電スピードが遅いチャージャーではなくDC急速充電を選んだのも、もう1つの強みだ。コンビニ店の大半は、給油する時間で出たり入ったりする短時間のサービスのためのものだ。多くの店舗が室温が管理された座れる場所を提供しておらず、長い充電時間はドライバーにとって問題となる。古いEVモデルは受け入れられる充電キロワットに制限があるが(なので、バッテリーを充電するのにどれくらいの時間がかかるかという点で、チャージャーの出力レートは重要ではない)、比較的新しいEVはさまざまなレンジの出力を受け入れることができる。

充電インフラ、あるいはその不足はEV浸透にとって引き続き最大の障壁の1つであり、セブン-イレブンが発表したもののような主要小売店による設置計画は消費者のEV移行に関するためらいを減らすのに役立つかもしれない。

セブン-イレブンは現在4州の14店舗にステーション22基を展開していて、新たな充電ステーション500基はこの既存ネットワークに加わる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:セブン-イレブン充電ステーションアメリカカナダコンビニエンスストア電気自動車

画像クレジット:7-Eleven

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi