スマホ・NFCと連携してプアオーバーコーヒーを自動化するGeesaa

プアオーバーコーヒー(上から注ぐ、ハンドドリップとほぼ同じ意味)を淹れるのが、私のほぼ毎朝の心和む儀式となっている。しかし、ときにはキッチンでバタバタせずに1杯のコーヒーを飲みたいと思うこともある。そこでGeesaaだ。現在、Kickstarterで資金を集めているこの新ガジェットは、そんな私の望みを叶えてくれる。だが、ぜひとも手に入れたいものになるには、まだまだ道のりが遠い。

私は、ローテク、ハイテクを問わず、新しいコーヒーの淹れ方に興味がある。なので、Kickstarterキャンペーンを開始する前に、彼らからGeesaaを試してほしいと申し出があったとき、喜んで引き受けた(現時点で、彼らはすでに目標金額を達成している)。私は1台のプロトタイプを借りて、この数週間、毎日ではないが使ってみた。

Geesaaは、伝統的なドリップ方法を進化させた、ニューウェーブのコーヒーメーカーだ。ハンドドリップに近い味を目指している。つまり、お湯の温度を慎重に調子し、コーヒーの粉に穴を開けてしまったり、かき混ぜてしまわないように優しく、しかもハンドドリップのときと同じパターンを描いてお湯を注ぐというものだ(Automaticaも同様のアイデアのマシンだったが、悲しいかな目標額に達しなかった)。

いろいろなメーカーが、いろいろな方式でこれを実践しているので、Geesaaが唯一のマシンというわけではないが、そのメカニズムは独特に見える。小さなシャワーヘッドで粉の上にお湯を一定間隔で垂らしたり、渦巻き状にお湯の流れをコントロールするのではなく、Geesaaはカラフェ(フィルターをセットする容器)自体を回転させ、その上から動くヘッドでお湯を注ぐ。

こうすることで、結果的に、多くのバリスタがやっているように渦巻き状にお湯を注ぐことができる。バリスタは、粉を均等に蒸して、均等に攪拌し、抽出液が薄くなりすぎないように気を配る(おいしそうでしょ?)。Geesaaは、正しくセッティングしさえすれば、まさにそれをやってくれるのだ。

今どきのガジェットらしく、このコーヒーマシンもチップとメモリーが内蔵されているという点で「スマート」に出来ているのだが、スマートなのはその程度だ。そのシステムでは、いろいろな「レシピ」を選択できる。Geesaaは第二のビジネスモデルとして、正確に計量したコーヒーのパケットをユーザーに販売する予定なのだが、レシピはそれに対応する。パケットにはNFCカードが付属することになっていて、それをマシンに近づけると、適切な設定で抽出が開始される。

たしかにいいアイデアだが、家庭よりもホテルなどに向いているようだ。私はアプリを使うほうがいい。ちょっとばかり複雑になるが、驚くほど豊富な変数を操作して、オリジナルのレシピが作れる。お湯の温度、お湯を注ぐ「ステージ」の間隔、渦巻きパターンの幅、お湯を出す割合など、いろいろカスタマイズできる。

気に入ったレシピが1、2個しか出来ないのが普通だろうが、お客さんが来たときや、新しいコーヒーを試すときや、新しいグラインダーを買ったときなど、いろいろ実験したり調整できるところが有り難い。私もやってみたが、付属のカラフェの替わりに、今持っているコーンとマグカップを使うこともできる。またコーンをメッシュ式やその他の方式のものに替えても大丈夫だ。サイズがだいたい合っていれば使える。純正のカラフェやコーヒーじゃないと弾かれる、みたいなチップは埋め込まれていない。

ちなみに、名前の由来は不明だ。起動すると、小さな画面に「Coffee Dancer」と表示される。英語名はこっちのほうがGeesaaよりもわかりやすいと思うのだが。まあ、いいか。

うまくいくときは、うまくいく。しかし、ヤカンとコーンを使ってハンドドリップするときには起こり得ない、厄介な問題も少なくない。ただ、デバイスもソフトウェアも、テスト段階のプロトタイプであることを考慮してほしい(第3世代だけど、まだまだ)。

ひとつ気になったのは、全体的にお湯の温度が低めだということだ。最高に設定しても摂氏97度だ。もっと高くなければいけないはずだ。内蔵のレシピを使って淹れたコーヒーは、ホットではなくて、ぬるい。おそらく、アームの中を通って空気に触れることで温度が下がるのだろう。小さな水滴になることを考えると、これは決して見過ごせない問題だ。そのため、コーヒーの粉に到達するまで、適切な温度が保たれないようだ。ヤカンから注ぐときは、いつだって最高に熱いお湯が出せる(最高に熱いコーヒーがお好みでない人もいるだろうが、熱すぎるより、ぬるすぎるほうが問題だ)。

付属のフィルターを使い切ってしまったので、うちにあったゴールドのコーンを使ってみたが、うまくいった

搭載されているインターフェイスも、制約が大きい。小さなダイヤルが1つと、2行表示の液晶パネルしかない。一生出会わないであろうコーヒー品種のレシピが、あらかじめ大量に保存されている(本当のコーヒー愛好家が、1回分に小分けされた挽いた豆なんて買うだろうか)。またアプリは、味に関する感想やニュース、有り難がる人はほとんどいないであろう事柄を記入するいろいろな画面で満ちあふれている。レシピを使うと、一応、マシンからそれらの情報を呼び出すことができる。

一度、抽出が始まってからカラフェが中心からずれて置かれているのに気がついたことがある。それを直すと、回転台は停止し、それっきり動かなくなった。また、抽出中にヘッドが動かなくなり、コーンからお湯が溢れそうになるまで、粉の中心に穴を開け続けたこともある(もちろん、不具合が起きたときは、いつでもマシンを止めて再スタートできる)。

しかし、きちんと動くときは、常に安定してうまいコーヒーを淹れてくれる。しかも、私がカップ1杯分を手で淹れるより、ずっと早い。

見た目は美しい。モダンで素直なデザインだ。ただし、BodumやRatioに見られるような優美さはには欠ける。

白もある。つまり、白物家電ってわけ

本体はかなり大きい。ベースの回転部分やその他の部品を防水しなければいけないのはわかるが、必要以上に大きく感じさせる。幅は30cm、奥行きは20cmを超える面積で、高さが30cm近くある。これはかなり嵩張る。私が持っている他のどのコーヒーマシンよりも大きい。

Geesaaは、複雑すぎるデジタルインターフェイスを背負ってはいるものの、優れたコーヒー抽出法だと私は思う。正直なところ、機械式のダイヤルがいくつか備わっていればうれしかった。ひとつは温度調節用、ひとつは湯量、そして入れ方の選択用(最初にブルーミングして45分後に休むといった設定が一度にできるなど)もあっていい。渦巻きの幅を調整するダイヤルも欲しいかも。

それになにより、700ドル(現在のプレッジ額)は死ぬほど高い(訳注:予定販売価格は1000ドル)。キャンペーンページに書かれた宣伝文句はあまり正確ではない。Bonnavitaのような上等なコーヒーメーカーでも150ドル出せば買える。もちろん、もっと安くて優れたマシンはたくさんある。

700ドルという価格、その機能、そしてコーヒーをパケットにして販売するというサイドビジネスを考えると、これは一般のコーヒー愛好家が自宅で所有するより、ブティックホテルの客室か、お洒落なオフィスのキッチンに相応しい。このマシンの試用は楽しめた。しかし、その大きなサイズと複雑さから、これは、私が長年愛してきた、ほんの1杯だけコーヒーを淹れるというミニマルな楽しみのアンチテーゼのように思える。とは言え、この風変わりな新しいコーヒー抽出法の登場は喜ばしい。興味があれば、まだKickstarterキャンペーンは来週あたりまで続くはずなので、バックしてはどうだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

Spinnが素敵なコーヒーメーカーのプレオーダーを開始

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5月に開催されたDisrupt NYのBattlefieldで、私たちは非常にクールなハードウェアスタートアップに出会う喜びを味わった。それは私の心(と口)に迫るコーヒー業界で、新しい波を探っていた。そして今、Spinnのハイテクコーヒーメーカーのプレオーダーが可能になった。もし5月に興味を惹かれていたならば、自分のための1台の注文を行うチャンスだ。

覚えていない人のために説明すると、Spinnのマシンは完全な自己完結型で、豆を適切な細かさまで挽き、次に水を沸かして、回転するシリンダを使って挽かれた豆から正しい圧力で抽出を行う。これで素晴らしいコーヒーのできあがり。そして抽出済のコーヒーの粉の始末もとても簡単だ。

オリジナルの記事により詳しい解説がある、また彼らの新しいビデオでマシンの最新の外見を見ることができる、それによればマシンにはタッチコントロールが付き、アプリなしでもコーヒーを入れることができるようになっている。

購入に際しては3つのパッケージの中から選択する必要がある:基本的な機能がすべて含まれ、50ドル分のコーヒークーポンのついたオリジナルモデルは299ドル;オリジナルモデルに加えてカラフェと更に50ドル分のコーヒークーポンの付いたオリジナルプラスモデルが399ドル;そしてより大きなコーヒー豆入れとミルク泡立て器、更に合計200ドル分のコーヒークーポンの付いたオリジナルプロが599ドルだ。出荷は2017年の半ばになるということなので、残念ながら今度のクリスマスシーズンには間に合わない。

もちろん、多くのプレオーダーキャンペーンと同様に、その後の価格は躊躇いを感じるほどのものに上昇する。最初に用意された5000台のユニットの残数はあまり多くないが、程なくより多くの台数が追加される筈だ。

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(翻訳:Sako)