健康・長寿分野の数多いスタートアップの1つ、bioniqが高度にパーソナライズされたサプリメントを発売

TechCrunchでは2021年、人間の健康と長寿を増進するサプリメントを研究し、1300万ドル(約15億円)を調達したLongevica(ロンジェヴィカ)という会社を取り上げた。また、1200万ドル(約13億9000万円)を調達して後にBayer(バイエル)に買収されたcare/of(ケアオブ)や、Nestle(ネスレ)に買収されたPersona(ペルソナ)などのイグジットを果たした企業もある。また、英国のスタートアップ企業であるHeights(ハイツ)は、クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrs(シーダーズ)を通じて170万ポンド(約2億7000万円)のシード資金を調達した

これらは、デジタルヘルス、ウェルネス、長寿のスタートアップ分野で起こっているブームのほんの一例に過ぎない。

今回、ロンドンを拠点とするbioniq(バイオニック)は、OKS Group(OKSグループ)とMedsi Group(メディシ・グループ)から1500万ドル(約17億4000万円)のベンチャー資金を調達し「300万の独自の生化学的データポイントによるパーソナライズされたサプリメント製品」である「bioniq GO」を発売すると発表した。

bioniqによると、月額49ポンド(約7700円)のbioniq GOという製品は、3万人以上の患者の5万回を超える血液検査と25の医学出版物のデータを活用することで、市場に出回っている同様の製品と比べて20万倍も高いレベルのパーソナライゼーションが可能になったという。

このトレンドの意味するところは、bioniqやLongevicaのようなスタートアップ企業が、いわゆる「年齢より若く見える」化学物質に関するビッグデータを利用して、ウェルネスや長寿の領域に参入し始めているということだ。

bioniqによると、bioniq GOには最大34種類の成分が含まれており、その組み合わせは1000万通りにも及ぶという。そのすべてが安全かつ高効率であることが臨床的に証明されていると、同社は主張している。

bioniqのCEO兼共同設立者であるVadim Fedotov(ヴァディム・フェドートフ)氏は、次のように述べている。「bioniqでは、医療の未来はデータの集約と健康モニタリングのデジタル化にあると考え、無病の人々のためのユニークなツールを作り出しています。bioniq GOの発売によって、私たちは血液検査を行わないサプリメントとしては業界最高レベルのパーソナライゼーションを提供することを目指しています。そして新しい血液サンプルを得るたびに、当社のシステムは改善され、より効果的になり、bioniq GOの処方はさらに効率的になっていくのです」。

bioniqのCEO兼共同設立者ヴァディム・フェドートフ氏(画像クレジット:bioniq)

bioniqという会社は、元ドイツ代表のバスケットボール選手であるフェドートフ氏と、かつてスイスでプロスポーツ選手の認知機能と身体機能を向上させるシステムを開発した脳神経外科医のKonstantin Karuzin(コンスタンチン・カルジン)博士によって設立された。

2022年初め、bioniqはミュンヘン工科大学からスピンオフした科学企業であるLOEWI(レーヴィ)の買収を発表した。LOEWIは、個人の血液検査とライフスタイルに基づくテーラーメイドの栄養素を提供している。

多くのスタートアップ企業が、このような個人に合わせた健康とウェルネスに対する新しいアプローチに取り組んでいることは明らかだ。今後はさらに多くの企業や製品が登場することが予想される。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

元Momentumの高頭氏、糖尿病患者向け海藻スーパーフードパウダーのTeatisで約7700万円のシード調達

シリアルアントレプレナーの高頭博志氏は、妻をがんで亡くしたことをきっかけに、重症患者の消費者のための便利で栄養価の高い食品の必要性を感じるようになった。

高頭氏は、2017年にステルスモードで糖尿病患者向けの植物性糖質制限スーパーフードパウダー「Teatis(ティーティス)」を立ち上げ、医師や管理栄養士のグループと手を組んで2021年4月に本格的に事業を開始した。

Teatisは米国時間9月9日、米国市場での成長を推し進めるために、シードラウンドで70万ドル(約7700万円)を調達したと発表した。このシード資金により、Teatisの資金調達総額は100万ドル(約1億1000万円)を超えた。

今回のシードラウンドは、Genesia Ventures石塚亮氏(メルカリの元CEOで共同創業者)、野口卓也氏(日本のスキンケアブランドBULK HOMMEの創業者兼CEO)が主導した。このほか、7名のエンジェル投資家が今ラウンドに参加した。

Teatisの共同設立者である高頭博志CEOはTechCrunchに、今回のシード資金は、1億2200万人の糖尿病患者および糖尿病予備軍が糖尿病に対する予防と治療に取り組んでいる米国での生産とマーケティングに使用されると語っている。同社は現在、生産拠点のある米国市場に注力しており、次の資金調達であるシリーズAは2022年に予定されていると同氏は付け加えた。

「当社商品を使用するお客様の大部分、約88%は糖尿病を疾患しており、当社のレシピは糖尿病患者の血糖値管理に役立つように作られています。膨大な数の米国人が糖尿病を患っており、栄養価が高く、便利で機能的な糖尿病患者向けの食品が求められています」と高頭氏は語る。

Teatisは、低糖質食品に関心のあるすべての消費者と、糖尿病予備軍のためにサプリメントを開発していると高頭氏はいう。Teatisの植物性パウダーは化学物質や甘味料を含まず、褐藻エキス(アラメ)などの日本では伝統的な原料を含んでおり、腸管からの糖の吸収を抑え、血糖値を下げることが証明されている。この低糖質パウダーは、お茶やラテにしたり、スムージーに加えたりすることが可能だ。

高頭氏は、米国の糖尿病向けミールリプレイスメント製品の市場規模は50億ドル(約5500億円)、米国の糖尿病患者向けパッケージ食品の市場規模は約3000億ドル(約33兆円)と推定している。

「当社は、食品科学とテクノロジーを融合し、食品とテレヘルスを通じて糖尿病患者の問題を解決します」と同氏は語る。

Teatisは、糖尿病患者の健康のための総合的なワンストップショップの構築を目指しており、2021年9月中に管理栄養士プラットフォーム「Teatis RD on Demand(オンデマンド登録栄養士)」を立ち上げ、食品、テレヘルス、レシピなど、糖尿病と闘う人々のためのフルサービスを提供開始する。

Teatis RD on Demandは、登録管理栄養士による1対1のプライベートセッションを提供する。従来の対面でのアポイントメントが30分あたり150ドル(約1万6500円)、遠隔アポイントメントが30分あたり90ドル(約9900円)であるのに対し、30分あたり29ドル(約3200円)からと、コストを抑えた設定になっている。

Genesia Ventures(ジェネシア・ベンチャーズ)投資マネージャーの相良俊輔氏はこう述べている。「この分野の既存プレイヤーの多くは、デジタルコンピテンシーやデータ主導方の生産方式を持たない古い企業です。高頭さんは、市場を掌握する資質と大胆さを備えた、実績あるシリアルアントレプレナーです。Teatisのすばらしいアイデアと製品が、今後、糖尿病やその他の慢性疾患に苦しむ多くの人々の助けになることを期待しています」。

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画像クレジット:Teatis

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

サプリメントD2Cスタートアップmilim(ミリム)は8月24日、自分に合ったサプリを自由に選べる定額制のサプリメント提供サービス「PERFORM」(パフォーム)の販売を開始した。また同時に、DRG Fundからシードラウンドとして約2000万円の資金調達を実施したことを発表した。サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

PERFORMは、同社が医師の監修の元に開発し、国内の適正製造規範(GMP)認定の工場で製造している5種類のサプリから、自分に合ったものを毎月3つ選択して購入できるというサービス。選択した3種類が月に1回届くが、そのときの体や生活の状態から、次回の組み合せを自由に変更できる。

価格は、単品購入の場合は2900円~3800円(税込)。また例えばお勧めの組み合わせ(COMPLETE VITAMINS & MINERALS、ENERGY、RELAX CBD)を通常注文した場合は、初回が1万2200円、次回からは1万200円。定期コースなら初回2900円、次回から7900円となる(それぞれ税込)。

サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

選べる製品は次の5つ。

  • COMPLETE VITAMINS & MINERALS:不足しやすい11種類のビタミンと9種類のミネラルを配合した「必須栄養サプリ」
  • ENERGY:ザイナマイトを主成分に、アルギニン、カフェインを配合したエナジードリンク的なサプリ
  • RELAX CBD:CBD、GABA、L-テアニン、L-トリプトファンを配合したリラックス用のサプリ
  • BRAIN:オトメアゼナ、PQQ、EPA、DHA、カフェインを配合した「スマートアプリ」
  • RECOVERY:イミダペプチド、アントシアニン、クエン酸を配合した「抗ヘトへト」サプリ

長寿スタートアップのLongevicaが長期研究に基づくサプリメントを発売予定

LongevicaのCEOであるアイナル・アブドラフマノフ氏

人間の寿命を延ばすサプリメントの研究に11年を費やしてきたバイオテクノロジー企業Longevicaは、2021年後半にサプリメントを発売する計画を立てている。Longevicaによると、同社は長寿技術に投資を行い同社の社長でもあるAlexander Chikunov(アレクサンダー・チクノフ)氏を含む投資家から合計1300万ドル(約14億円)を集めたという。

Longevicaによると、同社は実験用マウスの寿命を研究した後に、バイオテクノロジーのプラットフォームを立ち上げた。Longevicaは今後、延命のための医薬品と食餌療法サプリメント、食料品を生産していくとのことだ。

長寿はテクノロジースタートアップにとっても成長市場だ。Googleもこの分野でCalicoの立ち上げを支援した。2020年はHumanity Inc.がボストンのファンドOne Way Venturesがリードするラウンドで250万ドル(約2億7000万円)を調達しているが、その資金は、AIを使って人の健康期間を延ばす同社の長寿技術企業を支える。

関連記事:老化速度のモニターと対策を可能にするHumanity

LongevicaのCEOであるAynar Abdrakhmanov(アイナル・アブドラフマノフ)氏は、長生きしたいという人たちの欲求に奉仕する彼の企業について、次のように述べている。「WHOによると、2050年には60歳以上の人が20億人に達する。2019年には17兆ドル(約1834兆4000億円)だったが、2026年までにはこの年齢層の人たち向けのサービスとプロダクトの売り上げがは約27兆ドル(約2913兆4000億円)になります」。

調査会社CB Insightsによると、寿命延長サービスのスタートアップは2018年だけで過去最高の8億ドル(約863億2000万円)を調達した。一部の高名な投資家および投資企業も、この投資に加わっている。

PayPalの共同創業者Peter Thiel(ピーター・ティール)氏は、加齢にともなう疾病の治療薬を開発するUnity Biotechnologyに投資している。Ethereumの創業者Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、若返りのためのバイオテクノロジーを開発している非営利団体SENS Research foundationに、240万ドル(約2億6000万円)相当のEtherを投資した。SENS Researchは、Aubrey de Grey(オーブリー・デ・グレイ)氏が最高科学責任者を務め、若返り技術のバイオテクノロジーを開発していることで知られている。

Longevicaのプラットフォームは、科学者であるアレクサンダー・チクノフ氏の業績に基づいている。彼は米国の特許を10件持ち、タンパク質生合成細胞の統制に関して長年、研究している。

「この分野でよく知られている科学者を集めて、問題への彼らのアプローチを議論したことがありあmす。そのときAlexey Ryazanov(アレクセイ・リアザノフ)氏が、長寿のマウスにある既知の薬理学的物質をすべて大規模にスクリーニングして、生命を延ばしているものを発見するという画期的なアイデアを提案しました」とチクノフ氏は語る。

Longevicaによると、同社はリアザノフ氏の指導の下、2万匹の長寿の雌のマウスと、62の薬理学的クラスの合成物質を表している1033種の薬品を使って、統計的に寿命を16〜22%と大きく延ばしているイヌリン、ペンテト酸、クロフィブラート、プロシラリジンA、D-バリンというた5つの物質を発見した。

この研究から、彼らは特定の重金属を体内から排除するという見解を形成し、体内の毒素を除去する能力を向上させた。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Longevicaサプリメント長寿資金調達健康

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

自然の成分を含みクリーンで科学的な健康サプリで業界の改革を進めるFeelが6.7億円調達

2021年初め、TechCrunchでは、サプリメントという最近ますます人気分野のスタートアップHeightsのローンチを取り上げた。今回取り上げるFeelは、英国で1年前に創業された同分野のスタートアップで、純粋な栄養サプリメントという独自のポリシーを持っている。同社はこのほど、Fuel Venturesのリードにより620万ドル(約6億7000万円)の投資ラウンドを完了した。これにはTMT InvestmentsとSova VCであるRichard Longhurst(リチャード・ロングハースト)氏(LoveHoney.comの創業者)、そしてIgor Ryabenkiy(イゴール・リャベンキイ)氏(Alair Capitalの創始者でゼネラルパートナー)が参加した。

関連記事:科学的なデータを基に脳に栄養を与える「ブレインケア」用サプリを販売するHeightsが2.4億円調達

Feelの創業者でCEOのBoris Hodakel(ボリス・ホダケル)氏によると、彼はGrazeやTesco、Bulk Powders、Simba Sleepなど英国の大手健康ブランドやリテールのブランドをよく調べてから自分のスタートアップを立ち上げたという。

サプリは郵便受けにちょうど入るぐらいの箱に入って届き、多様なパッケージから選んでサブスクする点では、Feelは健康食のGrazeに近い。「Grazeはナッツだけど、うちはサプリだ」とホダケル氏はいう。

Feelは、D2Cのサブスクリプションだ。最初の1年で60倍に成長し、アクティブな会員つまり休眠でない会員は2万1000名いる。

ホダケル氏の主張では、Feelはグレードの高いサプリを消費者に提供するが、その生産コストは高い。そこで消費者時点での費用を抑えるためにD2Cのビジネスモデルを採用している。

「いろいろなビタミン剤がありますが、そこらのお店の棚にあるのはほとんど正しい処方でなく、体に吸収されにくく、自然の成分を欠いたものです。私たちは市場で最もクリーンで科学的な製品を提供しています。また継続的な投資により、消費者が買いやすい価格に抑えつつ、より服用効果の高い処方を開発しています」とホダケル氏はいう。

彼がFeelを創業したのは、自身が皮膚のトラブルを抱えてサプリが必須という生活を送るようになったからだ。そして市販の一般的なサプリは無意味な増量剤が多いことを知ったとき、起業を決意した。「私たちの処方はすべて、弊社自身の研究開発の成果であり自家製の処方です。しかも絶えずアップデートに努めているため、うちのフラグシップ製品であるマルチビタミンなどは2年ですでに3度のバージョンを行っています」と彼はいう。

Fuel VenturesのマネージングパートナーであるMark Pearson(マーク・ピアソン)氏は、投資家として何と言っているか。ピアソン氏は「Feelの製品は成長と拡大が続いており、現在、同社は実にエキサイティングな時期にあります。私たちは、同社がいずれ健康サプリの市場をディスラプトする重要な企業になるために投資をしています」という。

さらにSova VCのパートナーであるAlexander Chikunov(アレクサンダー・チクノフ)氏は「Feelは今、消費者のビタミンの摂り方に革新をもたらしつつあります。そして顧客に最高品質の製品と、非の打ちどころのないフレンドリーなサービスを提供して、この1440億ドル(約15兆6000億円)の市場を変えつつあります」と付け加えた。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Feel資金調達サプリメントイギリス

画像クレジット:Feel supplements

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)