女優のレスリー・ジョーンズは嫌がらせを受けてTwitterを去った

Cast member Leslie Jones poses at the premiere of the film "Ghostbusters" in Hollywood, California U.S., July 9, 2016. REUTERS/Mario Anzuoni

「ゴーストバスターズ」リブート版(2016年最新作)のメインキャストで、「サタデー・ナイト・ライブ」の出演者でもあるた女優レスリー・ジョーンズが、トロール(ネット上で攻撃を仕掛ける心ない輩)の人種差別的書き込みの集中砲火を浴びた結果、Twitter利用をやめることをアナウンスした。

「涙と悲しみに満ちた心で、今夜Twitterとお別れします」という書き込みを最後にジョーンズのアカウントは沈黙した。最後の数日はトロールたちとの闘いに費やされていたのだ。「私が映画に出演したことでこんなことになりました。映画を嫌うことは構わないけれど、今日私が受け取った悪意の塊は…耐えられません」。

主役が全員女性であることが報じられて以来リメイク版「ゴーストバスターズ」は批判にさらされて来た。その反感の中心にあったのは、ゴーストと戦うのは女性ではなく男性が相応しいとの信念である。だがトロールたちは、映画中唯一の黒人俳優であるジョーンズひとりを目がけて、人種差別的嫌がらせの対象とした。

金曜日の公開以来、ジョーンズはTwitter上で嫌がらせメッセージを書き込まれ続けた。「いい?私は猿と呼ばれて、尻の写真や、おぞましいコラージュ写真まで送られたの。人間て何なのかしらと考えたけど、もう沢山よ」とジョーンズはツイートした 。

ジョーンズはTwitterに嫌がらせを報告したと表明したが、猛攻撃は続いた、あるユーザーは彼女の名前の偽アカウントを作り、同性愛者や人種差別的中傷を続けた。「Twitter。あなたが言論の自由を持ってるのはわかる」とジョーンズは書いている。「それは結構。でもこんな拡散が起きたときの何らかのガイドラインはあるべきね」。

この状況はついにTwitterのCEOジャック・ドーシーの注意を引き、「ハイ、レスリー、フォローしてるので、良かったらDMを送って下さい」という反応を引き出した。

ドーシーの反応は恐ろしく生ぬるい、そしてこれこそがTwitterの特定個人対象の嫌がらせキャンペーンへの対応への変革が必要であることを証明するものである。Twitterは、しばしば大規模な嫌がらせのためのプラットフォームとして機能し、いまだに酷い振る舞いを報告してくる利用者に頼っているが、それが被害者を嫌がらせの洪水にひとりで立ち向かわせることになっているのだ。攻撃者はこのことを知っていて、その状況を利用し、大規模な嫌がらせキャンペーンを行うために何度も何度もTwitterに戻ってくる。

「私たちはこの種の振る舞いを報告してくれる人たちを頼りにしています、それでもこうした嫌がらせを防ぐためのツールやシステムの改良には多額の投資を続けています」とTwitterは述べている。「Twitterがこうした問題の対処に対してあるべき姿になるまでには、私たちはまだまだ沢山の努力を重ねなければならないことはわかっています」。

嫌がらせを積極的に監視し取り除くことに熱心な他のソーシャルメディアプラットフォームに比べると、Twitterの方策は対照的に見劣りがする。Facebookは、そのプラットフォーム上でテキストをスキャンする人工知能を使用し、いじめに対抗するためのリソースを提供している。Facebookはまた、Instagramにも類似のコメント監視システムを実装している。Facebookのような資源には欠けているTwitterは不利な立場なのだろう、少なくともTwitterはヘイトスピーチを戦うためのより良いツールに投資することはコミットしている。

しかし、これはTwitterにとっては新しい問題ではない、そして嫌がらせが継続的に利用者をプラットフォームから追い出している限り、会社の成長の鈍化に対してあまり明るい未来をもたらすことはない 。大量の不快なツイートを遮断するためのTwitterの最良のツールは、自身が持つ品質フィルタである。これは認証済利用者のみが利用可能で、脅迫や侮辱などをブロックすることを狙っている。本日Twitterは認証をより多くの利用者に解放することを発表した、このことによって品質フィルタは程なくより広範に使われるようになるだろう。しかし、嫌がらせキャンペーンの対象となる利用者たちは、彼らが受けている脅威をモニターする必要性を感じていることだろう。それによって脅威とプライバシーの侵害を追跡し、必要とあらばそうした嫌がらせ行為をしかるべき場所へ訴え出ることを可能にするためだ。

社会正義キャンペーンでTwitterが見せる卓越性を考えると、嫌がらせに対するTwitterのやる気のないアプローチは、とりわけ奇妙に映る。同社は、米国および世界中の政治的組織化のためのプラットフォームとなっていて、Black Lives Matter運動のソーシャルメディアとして選ばれていることを誇りにしている。

ドーシーはまた、今年のCodeConにおいて#staywoke Tシャツを着て、Twitterの黒人従業員グループBlackbirdsへのサポートを表明したが、しかしジョーンズのような黒人女性が嫌がらせに圧倒されることなく、ツイッターを利用することができないならば、ドーシーのハッシュタグ運動は失敗以外の何物でもない。Twitterは人種差別、性差別そして同性愛嫌悪の泥沼であるRedditのような存在になる危険性に直面しているのだ。Twitterは、今こそ#staywokeを単なるTシャツのキュートなスローガンではなく、実際に有効な行動につなげるべき時なのだ。

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(翻訳:Sako)