「Polestar 2」のシングルモーター仕様が米国で販売開始、約560万円から

スウェーデンの高性能電気自動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、2021年発売されたデュアルモーター仕様のEV「Polestar 2」続き、一度の充電で270マイル(約435km)の距離を走行可能なシングルモーター仕様の同モデルを米国で販売開始すると発表した。

この「Polestar 2 Long range Single motor(ポールスター2 ロングレンジ・シングルモーター)」の車両価格は、4万5900ドル(約560万円)からとなっているが、連邦政府と州の補助金を考慮すると実質3万3400ドル(約406万円)となる。デュアルモーターで4輪駆動の兄弟車よりも4000ドル(約49万円)安く、航続距離も19マイル(約31km)長い。車軸に取り付けられた電気モーターの数以外(シングルモーターは前のみとなる)、両車は機能的には同じものだ。

「Polestar 2のすべてのモデルは、Googleインフォテインメント・システム、プレミアムでサステイナブルな素材、そして比類のない前衛的なデザインを備え、最先端テクノロジーにおけるブランドの優位性を発散させています」と、Polestar USAのGregor Hembrough(グレガー・ヘンブロー)社長は、プレスリリースで述べている。

4000ドルでさまざまな快適装備が追加される「Plus」パックと、安全および運転支援機能がグレードアップする3200ドルの「Pilot」パックは、どちらのパワートレインを選んでもオプションで付けることができる。

地元の石油化学コングロマリットに一矢報いたい人は、公式サイトまたは全米の主要都市にある同社の実店舗でPolestar 2の試乗を予約することができる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Polestar

原文へ

(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボルボがEVタクシーを使ってワイヤレス充電のテストを開始

Volvo Cars(ボルボ)は、代替充電オプションをテストするプログラムの一環として、ワイヤレスEV充電システムを都市環境の中に導入して試験を行うと発表した。そのために、ボルボの電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」数台が、スウェーデンのヨーテボリで3年間、タクシーとして実験運用される予定だ。

これらの車両には、Momentum Dynamics(モメンタム・ダイナミクス)社製のワイヤレス充電システムが搭載される。充電パッドは、2台分のタクシー待機場所の地面に埋め込まれる。ドライバーが360度カメラを使って車両を正しい位置に駐めると、タクシーのバッテリーが自動的に充電されるという仕組みだ。Momentum Dynamicsが公開した画像には、出力41kWで充電中の車両が写っている。

これらのEVタクシーは、1日に12時間以上稼働し、年間10万km以上の距離を走行することが想定されている。ボルボによると、これは同社初の商用環境における電気自動車の耐久性試験になるという。Momentum DynamicsはJaguar(ジャガー)とも提携し、ノルウェーでEVタクシーを使ったワイヤレス充電のテストを行っている。

道路に充電システムを埋め込むというコンセプトは決して新しいものではないが、まだ本格的に普及してはいない。だが、今も研究者やエンジニアは、走行中にEVを充電するさまざまな方法に取り組んでいるので、いつか将来、ドライバーは典型的な充電ステーションまで出向く必要がなくなるかもしれない。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したKris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

は、代替充電オプションをテストするプログラムの一環として、ワイヤレスEV充電システムを都市環境の中に導入して試験を行うと発表した。そのために、ボルボの電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」数台が、スウェーデンのヨーテボリで3年間、タクシーとして実験運用される予定だ。

これらの車両には、Momentum Dynamics(モメンタム・ダイナミクス)社製のワイヤレス充電システムが搭載される。充電パッドは、2台分のタクシー待機場所の地面に埋め込まれる。ドライバーが360度カメラを使って車両を正しい位置に駐めると、タクシーのバッテリーが自動的に充電されるという仕組みだ。Momentum Dynamicsが公開した画像には、出力41kWで充電中の車両が写っている。

これらのEVタクシーは、1日に12時間以上稼働し、年間10万km以上の距離を走行することが想定されている。ボルボによると、これは同社初の商用環境における電気自動車の耐久性試験になるという。Momentum DynamicsはJaguar(ジャガー)とも提携し、ノルウェーでEVタクシーを使ったワイヤレス充電のテストを行っている。

道路に充電システムを埋め込むというコンセプトは決して新しいものではないが、まだ本格的に普及してはいない。だが、今も研究者やエンジニアは、走行中にEVを充電するさまざまな方法に取り組んでいるので、いつか将来、ドライバーは典型的な充電ステーションまで出向く必要がなくなるかもしれない。

画像クレジット:Momentum Dynamics Corporation

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Momentum Dynamics Corporation

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Polestarのコンセプトカー第2弾はドローンを搭載したオープンカー

スウェーデンの高性能電動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、すでに生産が開始されている「Polestar 2」、発表を控えた「Polestar 3」と「Polestar 4」、そしてコンセプトカー「Precept(プリセプト)」の市販モデルとして2024年に登場予定の「Polestar 5」に続く、最新の電気自動車のアイデアを発表した。

画像クレジット:Polestar

「Polestar O2は、スポーツカーの新時代に向けた私たちのビジョンです」と、Polestarのデザイン責任者を務めるMaximilian Missoni(マキシミリアン・ミッソーニ)氏は、現地時間3月2日に発行されたプレスステートメントで述べている。「オープントップドライビングの喜びと、電気モビリティの純粋さをミックスすることによって、1台のクルマで新たな入り混じった感情を解き放ちます」。

このPolestar O2は、Polestar 5と同じ「特注」の接着アルミニウム製ユニボディプラットフォームを採用しており、そのベースとなったPreceptのコンセプトデザインと全体的な類似したスタイルを持つ。Polestarの広報によれば、これは「Polestarの進化するデザイン言語が、強い同族類似性を保ちながら、異なるボディスタイルにどのように適応できるかを示す」ものであるという。つまり、Polestar 5が4ドアの高性能グランドツーリングカーであるのに対し、Polestar O2は同じ基本骨格をベースに作られていながらも、よりコンパクトな2+2シーターのスポーツカーとしてのフィールを提供するということだ。

画像クレジット:Polestar

従来のオープンカーは、ルーフを切り取ることで失われる構造強度を補強するためにフレームが厚く重くなり、やはりルーフがないことで空力的なバランスも崩れてしまうという、どちらかといえば非効率的なクルマであることを考えると、オープンカーのEVとは一体どうなるのだろうと思う人もいるかもしれない。これはすばらしい疑問だ。Polestarはこのクルマの空気抵抗係数を公開していないものの「ホイールとボディサイド上の層流を改善する埋込み型ダクトや、車体後方の乱流を低減するエアブレードとして機能するテールライトなどの隠れたデザイン機能」が、航続距離を最大化するために研究されたものであると断言している。

ホイールベースが短く、補助的なリアシートのみを備えたPolestar O2は、Polestar 2よりもスポーティでアグレッシブなスタンスだ。そしてこのホイール!エクステリアはシャープなラインの習作で、角張ったフェンダーフレアと、広いトランクに格納される鋭角的なガラストップルーフの間に、低く構えたキャビンが収まっている。まるでFord GT40(フォードGT40)とPorsche 718 Spyder(ポルシェ718スパイダー)を合体させ、すべてのカーブをフラットにしたようなルックスだ。ゲーム「Grand Theft Auto」に登場するLos Santos(ロスサントス)の街角で見かけるロードスターのようで、私はファンになった。

画像クレジット:Polestar

インテリアも同様にしなやかで、ハードな部分には熱可塑性モノマテリアルを、ソフトな部分にはリサイクルポリエステルのみを使用しているのが特徴だという。ポリエステルとプラスチックの上に低く座り、屋根を下ろして太陽の光をいっぱいに浴びるという体験は、何ものにも代え難いものだろう。

画像クレジット:Polestar

ドライバーは、Polestar O2に搭載された撮影用ドローンを使って、開放的な冒険を撮影することもできる。Hoco Flow(ホコ・フロー)と共同で開発されたこの自律型カメラ付きドローンは、後部座席の後方に設置されたエアフォイルから発生する負圧領域のお陰で、走行中でも離陸が可能だ。ドローンは最高時速90kmで自動的に追従し、撮影した映像は、車両を駐車した後、中央のインフォテインメントシステムから編集し、ネットに上げて共有することもできる。個人的には、自動車メーカーが二次的な輸送手段を自動車に搭載するなら、電動バギー電動スケートボードが良いと思うのだが、確かに、カメラ付きドローンは最初に何度か飛行した後も、クールで斬新で便利な存在であり続けるだろう。それは同じようにドローンを搭載したRenault KWID(ルノー・クイド)やLexus LF-30 Electric Concept(レクサスLF-30エレクトリック・コンセプト)の成功を見てもわかるというものだ。

画像クレジット:Polestar

Preceptのように、公道を走れるO2が登場することは、おそらくないだろう。代わりにPolestarは、今後3年間で3台のニューモデルの発表を計画しており「それぞれのクルマには、これらのコンセプトカーが提示したアイデアのいくつかを徐々に現実化していく可能性があります」と言っているから、ひょっとしたらいつの日にか、電気自動車の後ろで低空飛行するドローンを見かけることがあるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Andrew TarantolaはEngadgetの編集主任。

画像クレジット:Polestar

原文へ

(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スウェーデンのVoltaが全電動トラック生産開始に向け562億円の評価額で約300億円調達

スウェーデンの電気自動車スタートアップVolta Trucks(ボルタトラックス)は、ガソリンを大量に消費し、不恰好な既存のトラックよりも安全で二酸化炭素排出量が少ない、より優れた都市部用の配送車両やその他のトラックを製造できると考えている。同社は、2022年後半のVolta Zeroトラック商業生産開始に向けた大詰め作業を行うために、大きな資金調達を完了させた。

同社はシリーズCラウンドで2億3000万ユーロ(約300億円)を調達した。同ラウンドでは同社を4億9000万ドル(562億円)強と評価したと思われる。健全な顧客リストを持つVoltaはこの資金を、最初のトラックが組立ラインを離れる前にエンジニアリングと事業運営に充てる予定だ。都市部の貨物輸送用に設計された初の全電動商用貨物車両になると同社がうたうVolta Zeroの予約受注額は現在12億ユーロ(約1562億円)を超え、台数にして5000台超と発表している。Voltaの広範な事業戦略は、トラックの販売とトラッキング・アズ・ア・サービスモデルによる車両の提供の両方に基づくものとなる。

2021年9月の同社の3700万ユーロ(約48億円)のシリーズBをリードしたニューヨーク拠点のLuxor Capitalが、今回のラウンドも主導している。不動産投資会社のByggmästare Anders J Ahlström(Volta同様ストックホルムに拠点を置いている)、サプライチェーンサービス大手のAgility、B-FLEXION(旧Waypoint Capital)も参加した。Voltaは評価額を公表していないが、Pitchbookのデータによると現在4億9000万ドル強で、この数字は今回、同社に近い関係者にも確認したものだ。

Voltaの成長と、同社がこれまでに3億2500万ドル(約373億円)超という多額の資金を調達したことは、自動車業界における大きな変化の一部だ。新しい製造技術、新しいバッテリー技術、新しいエネルギーインフラに取り組むスタートアップは、より安全でクリーンな技術で現状をディスラプトする新しい自動車を製造する絶好の機会を目にしている。

おそらくTesla(テスラ)が乗用車で収めたような電気自動車分野での成功に驚いた投資家は、これらのベンチャー企業に資本と、そして潜在的な顧客に信頼性を与えるべく資金を投入している。これらはすべて、自動車を次の技術革新の波に乗せるために不可欠な構成要素だ。技術革新で、Voltaのようなトラックは、車両やそれを利用する企業が新たなレベルの生産性を発揮できるよう、膨大なデータを収集・処理できるハードウェアプラットフォームとなる。

少なくとも理論上はそうだ。そこにたどり着くプロセスは、どうしても当初のバラ色のプロジェクトより遅くなり、コストも高くなる。これこそが、この分野の企業にとって大規模な資金調達を行い、市場投入のために戦略的投資家を集めることが重要である理由だ。

Voltaの2022年のロードマップには、Volta Zeroの設計を検証するためのプロトタイプ製造のエンジニアリングと生産事業への投資が含まれる予定だ。

交通渋滞、狭い道路、自転車などのマイクロモビリティ利用者の急増のために、配達トラックは珍しくないが危険なものでもあるロンドンやパリのような都市で行う試験運行を早期顧客に展開する。そうした環境のためにこれらの都市はVoltaのトラックにとって理想的なマーケットだ。同社は、ガス排出量が減るだけでなく(初の車両の電動航続距離は150〜200キロメートルで、2025年までに120万トンのCO2を削減するとしている)、ドライバーの視界も大幅に改善される(ドライバーが前席中央に座った場合220度)。ただし、当初は自動運転機能は搭載されないようだ。

「将来的には自動運転も視野に入れていますが、街中で使用する配達車両として設計していて、車内の荷物を車両から最終目的地まで届ける必要があります。そのため、この車両の目的には常に人の関与が必要で、自動運転はこのタイプの車両にはあまり関連性がありません」と広報担当者は述べた。

Voltaは、今回調達した資金の一部を使って、引き続き7.5トンおよび12トンの小さめの完全電動Volta Zero派生モデル(最初のモデルは16トン)の開発を行い、そしてゆくゆくは18トンの大型モデルも開発する。

同社はオーストリアに生産施設を建設中で、2023年に5000台、2024年に1万4000台、2025年には最大2万7000台のトラックを生産する計画だ。

Volta TrucksのCEOであるEssa Al-Saleh(エッサ・アルサレー)氏は声明で「応募者多数で成功したシリーズC資金調達ラウンドの終了は、外部が当社の旅路を肯定的にとらえていることを示しています」と述べた。「商用車分野の革新者および破壊者として、当社は業界をリードするペースで取り組み、大きな野望を抱いています。本日、シリーズC資金調達ラウンドを終了し、2億3000万ユーロを調達しました。これにより、当社がスタートアップから完全電気トラックメーカーに移行する中で、すべての目標を達成するための財務的な余裕が生まれました。5000台を超える車両と12億ユーロを超える受注は、当社の先駆的な製品とサービスの提供が、顧客から求められ、必要とされているという確信を当社と投資家に与えるものです」。

画像クレジット:Volta Trucks

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポールスター、スタッド付タイヤや4灯補助ライトを装備した雪上ラリーカー風の「ポールスター2」公開

雪の多いスウェーデンに本拠を置くPolestar(ポールスター)は、現地時間2月2日、電気自動車「Polestar 2(ポールスター2)」に極寒環境向けの装備と性能向上を施した特別仕様車を発表した。

このPolestar 2 Arctic Circle(北極圏)は、前後にモーターを搭載する(4輪駆動)Polestar 2 Long range Dual motor(ポールスター2 ロングレンジ・デュアルモーター)にPerformance Pack(パフォーマンスパック)を追加した仕様をベースに、さらにエンジニアは車高を30mm引き上げ、特別に製作されたスタッド付き冬用タイヤを装着した。専用にチューンされたÖhlins(オーリンズ)製ダンパーは、30%ソフトなスプリングと組み合わされ、車体のフロントとリアには、ねじり剛性とステアリングの反応を高めるストラットブレースを追加。2基のモーターの合計出力は300kWから350kWに、合計トルクは660Nmから680Nmに向上している。

そしてもちろん、Arctic Circleは本物のラリーカーのように、4つの巨大なStedi Quad Pro(ステディ・クアド・プロ)LEDライトと、カーボン製スキッドプレートが装備されている。

昔から自動車メーカーは、性能を誇示したり、人々の興奮を高めたりするために、ワンオフのコンセプトカーを使ってきた。これは、顧客の興味を判断するための効果的なツールであると同時に、自社のエンジニアに何か楽しいものを作らせる機会を与える。Tesla(テスラ)からGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)まで、すべての自動車メーカーは、最終的な市販仕様に先駆けて車両を公開し、量産が近づくにつれて、評判(および道路法規や生産上の制約)に基づいて調整を施していく。

このArctic Circleは市販される予定はないものの、将来的にポールスターがこのクルマのパーツを販売することは考えられる。4輪駆動のデュアルモーターはすでにラインアップにある。向上したパワーは、ポールスターによると、2022年中に無線アップデートで顧客に提供される予定だという。調整可能なダンパーもすでに購入可能だ。スタッド付きタイヤやバケットシート、スキッドプレート、ライトなども、サードパーティのベンダーから販売されている。

このクルマの開発を主導したのは、ポールスターのチーフシャシーエンジニアであるJoakim Rydholm(ヨアキム・ライドホルム)氏で、同氏は余暇にはラリーに参戦し、数々のトロフィーを獲得しているという。それを聞くと疑問が頭に浮かんでくる。かつてラリーで活躍したPorsche 911 Safari(ポルシェ911サファリ)のように、次は車高を引き上げたポールスター2のラリー仕様車が登場するのではないだろうか?

画像クレジット:Polestar

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スウェーデンとケニアの企業Opibusが初の大型EVバスのテスト開始、2023年の現地展開開始を目指す

スウェーデンとケニアのEV(電気自動車)スタートアップ、Opibus(オピバス)は、初の電動バスがケニアの公道に登場し、同社の大量輸送事業への挑戦の始まりを記した。Opibusが電動乗合バスを発売する計画を初めて発表したのは、2021年のプレシリーズAラウンドで750万ドル(約8億5000万円)調達したときだった。

現在、同スタートアップは、2022年中にケニアで、2023年末までにアフリカ全土でEVバスを商業運行することを目指してパイロットテストを行っている。

Opibusは過去5年間、既存のガソリン車とディーゼル車が時代遅れにならないよう、電動式に切り替える事業を行ってきた。EVには、輸送コスト削減やゼロ炭素排出などさまざまな恩恵がある。2017年にFilip Gardler(フィリップ・ガードラー)氏、Filip Lövström(フィリップ・ラブストロム)氏、Mikael Gånge(マイケル・ゴアンゲ)氏の3人が設立したこのスタートアップは、これまでに170台の車両を電動式に改造してきた。顧客は採掘会社や旅行会社などさまざまだ。

現在、同社はEVおよび、それを支える公共充電ステーションなどのインフラストラクチャの構築へと徐々に事業転換している。Opibus電動バスの価格は、新車が10万ドル(約1143万円)、改造(パイロットプログラムで利用している)なら6万ドル(約686万円)だ。

「1年目の2022年は、ナイロビで10台のバスを商用テストする予定で、プロダクトが市場にフィットし、利用パターンに最適化されていることを確認します。そこで重要なフィードバックを得た後、必要な変更を行い、生産パートナーを全員揃えてできるだけ早く量産に入ります」とOpibusの戦略・マーケティング責任者であるAlbin Wilson(アルビン・ウィルソン)氏がTechCrunchに話した。

Opibusは電動バスと電動オートバイの製造を専門にしている(画像クレジット:Opibus)

Opibusは、同社の製品は地元で設計、製造することで市場に低価格で届けられる競合優位性があると言っている。さらに、現地生産であることは、地元市場のニーズに合わせた製品を作れることを意味している。

「私たちの戦略は、価格、耐久性に優れ、この地域で入手しやすいバスを設計、開発することです。迅速なスケールアップが可能で海外、現地両方のメーカーを活用できる製品を作っています。つまり、当社の設計はアフリカ大陸全体で容易に実現可能であり、製品は利用場面に向けて最適化され、非常に費用効率に優れています」。

現在同社は、パートナーシップを通じて他のアフリカ地域に目を向けており、大陸全体でのEV普及を推進しようとしている。

例えば2021年1月に発表されたUber(ウーバー)のOpibusとの提携では、同スタートアップが製造した電動オートバイ最大3000台を、2022年中にアフリカ諸国に展開する予定だ。

ケニアのEV市場は芽生えたばかりで、ここ数年新たなプレイヤーが惹きつけられており、2021年11月にケニアでデビューを飾ったBasiGo(バジゴー)もその1つだ。BasiGoは最近、大量輸送EVバスを2台、パイロットのために輸入しており、中国のEVメーカーBYD Automotive(比亜迪汽車)の部品を使用して電動バスを現地生産する計画だ。BasiGoのバスは25人および36人乗りで航続距離は約250 km、一方Opibusのバスは51人乗り、航続距離は120 kmとなっている。

画像クレジット:Opibus

原文へ

(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャルロボティクスFurhatがSpheroのスピンアウト企業Misty Roboticsを買収

Misty(ミスティ)はとんでもない旅をしてきた。Foundry(ファウンドリ)とVenrock(ヴェンロック)から1150万ドル(約13億1600万円)を調達し、自社のパーソナルロボットでクラウドファンディングをした後、同社は一連の難題にぶつかった。現地時間1月17日、スウェーデンのソーシャルロボット企業であるFurhat Robotics(ファーハット・ロボティクス)は、同社によると、全額現金での取引で、この低迷するスタートアップに安らかな終着点を提供する。Furhatはこの買収の金銭的詳細について口を閉ざしているが、この買収は Furhatにハードウェア面での優位性を与え、同社のソーシャルロボティクスソフトウェアを新しいプラットフォームで活用することを可能にするためのものだという。

Furhat Roboticsという不思議な名前の会社は、Misty Roboticsがあるコロラド州を米国での事業拠点とする予定で、2つの技術を統合する方法を模索するため、同社のシニアスタッフ8人を残しておくそうだ。

Furhat RoboticsのCEOで共同設立者のSamer Al Moubayed(サマー・アル・モバイード)氏は「我々はシニアチームを維持し、オペレーション、エンジニアリング、ビジネス開発、そしてシニアソフトウェア開発者の責任者が参加します。Mistyは、中国の有名なパートナーによって製品を製造し、非常にスケーラブルな生産オペレーションを構築する上ですばらしい仕事をしてくれました」と語っている。

両社は「統一されたビジョン」に基づいて運営されていると主張し、Furhat RoboticsがMisty Roboticsブランドを引き続きサポートし、製品群の開発と拡大を支援するとともに、FurhatとMistyの機能を統合して将来のソーシャルロボットを強化すると語っている。

「ソーシャルロボットの世界では、買収は非常に珍しいことです。実は歴史上初めてのことかもしれません。まだ業界の初期段階ですから」とアル・モバイード氏はいう。「この会社は、Sphero(スフィロ)からスピンアウトした会社です。このロボットのユニークなところは、おもちゃのように見えるかもしれませんが、とても好感が持て、親しみやすいところです。それでいて、非常に高度な機能を持っています。Misty Roboticsが成功したのは、世界最高の技術を、非常に親しみやすいロボットに搭載したことです」。

Furhatチームは、自社の背面投影型アニメーション顔のロボットが、空港や駅、医療用途など、大人の人格を必要とするソーシャルロボットに最適であると提案している。Mistyが加えるのは、はるかに拡張性があり、小さな腕と表情でより表現力のあるものだ。しかし、Furhatのチームは、この2つのロボットは見た目はまったく違うが、共通点も多いと説明する。

「Mistyは、私たちに欠けていたパズルのピースなのです。例えば、教育分野に特化したより大きな市場にアクセスするのに役立ちます」と、アル・モバイード氏は買収の経緯を説明しながら語っている。「技術は非常によく似ています。しかし、Mistyはハードウェアに強く、私たちはソフトウェアに強いのです。教育用に新しいロボットを作るのではなく、Furhatは別のソリューションを探し始めることにしたのです」。

「Furhat Roboticsはこの分野における真のパイオニアです」。とMisty Roboticsの創業者で製品責任者のIan Bernstein(イアン・バーンスタイン)氏はコメントしている。「私たちは、ロボットアプリケーションの未来を現在にもたらすために力を合わせます。私たちの専門分野の組み合わせにより、近い将来、このすばらしい技術の実生活におけるさらに驚くべき応用を目にすることになるでしょう。ソーシャルロボットはすでに私たちの生活の中で重要な役割を果たしており、私たちの専門知識を組み合わせて現実世界の問題を解決することで、まさに無限大の可能性を秘めているのです」。

画像クレジット:Furhat Robotics

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Polestarが新型電動SUVをチラ見せ、今後3年間で販売台数10倍増を目指す

かつてのモータースポーツにおける活躍から、電気自動車メーカーとなった現在まで、スウェーデンのPolestar(ポールスター)は長い道のりを歩んできた。だが、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲラート)CEOによると、Volvo(ボルボ)からスピンオフした同社はまだ、始まったばかりだという。

インゲンラート氏は、同社の経営陣とともに、米国時間12月2日にニューヨークで行われたプレゼンテーションで、ポールスターの3年計画を発表した。その中では、野心的な販売目標とともに、次の電気自動車が少しだけ披露された。

「クルマとは非常に感情的なものです」という言葉で、インゲンラート氏はメディアに向けて語り始めた。

2021年12月のイベントでティーザーが公開された新型電気自動車「Polestar 3」(画像クレジット:Polestar)

その核となる計画は、2024年までに3つの新型車を発売するとともに、欧州とアジア太平洋地域の新しい市場に進出することで、販売台数を約29万台に拡大するというものだ。そしてこの拡大の基盤となるのが、デザイン、サステイナビリティ、イノベーション、カスタマーエンゲージメントというポールスター独自のコアバリューである。

今回のプレゼンテーションでは、特にサステナビリティ(持続可能性)が強調され、2030年までにカーボンニュートラルな自動車を生産するというポールスターのミッションが再確認された。そのためには、リサイクル素材の使用から、サプライチェーンレベルにおけるビジネスの変更まで、大小さまざまな持続可能への取り組みが必要になる。

今後発表される新型車「Polestar 3(ポールスター3)」と「Polestar 4(ポールスター4)」については、我々はまだほとんど何も知らされていない。それでもインゲンラート氏は、生産に向けて動き出していると主張し、EV愛好家を魅惑するPolestar 3のティーザー画像も公開した。このオールエレクトリックSUVは米国のサウスカロライナ州チャールストンで製造される予定だ。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

Polestar 3は、気候変動に配慮したやり方で生産が行われるとともに、LiDAR開発企業であるLuminar(ルミナー)製のハードウェアとNVIDIA(エヌビディア)製のプロセッサを搭載し、高速道路での自動運転を可能にする先進運転支援システムを搭載することになっているが、発売当初はこの機能を使用することはできないようだ。

2022年に発売されるPolestar 3について、我々はほとんど知らされていないが、2023年に登場予定というPolestar 4についてはさらに不明だ。今回のプレゼンテーションで公開されたティーザー画像によると、Polestar 4は3よりコンパクトなプレミアムスポーツSUV「クーペ」として作られるモデルであり、後方がより傾斜したファストバック型のプロフィールを持つとされているが、それ以上の情報はない。

ポールスターは、3と4の価格帯のベンチマークとして、それぞれPorsche(ポルシェ)の「Cayenne(カイエン)」と「Macan(マカン)」の名前を挙げている。このことから、両車が目指すラグジュアリーとパフォーマンスのレベルにおいても、これらの競合車が基準となっていることが推察される。

興味深いことに、現時点で最もよくわかっているクルマは、最も遠い存在であるはずの「Polestar 5(ポールスター5)」だ。

ポールスターは先日、コンセプトカーの「Precept(プリセプト)」が、5番目のポールスター車となる4ドアのラグジュアリースポーツGTとして市販化されることを正式に発表した。現状でプリセプトはある意味、ポールスターの未来を物理的に宣言するものであり、今後発表になる2台のSUVにも影響を与えることになるだろう。

関連記事:Polestarが次世代EVセダン「プリセプト」改め「Polestar 5」は2024年に市場投入と発表

3年間で販売台数を2万9000台から29万台に飛躍させることは、ポールスターの存在感が増すというだけでなく、大変厳しい話にも聞こえるが、インゲンラート氏は心配していない。「これから先のポールスターは、すべてが成長するためにあります」と、同氏は語った。

すでに生産が開始されているというPolestar 3については、近いうちにより詳しい発表があるだろう。

画像クレジット:Alex Kalogiannis

原文へ

(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

CO2排出量も抑えた自律走行ポッドとEVによる貨物輸送サービスのスウェーデンEinrideが米国進出

スウェーデンの運送テクノロジー企業Einride(アインライド)が米国での事業展開を開始すると発表した。同社は正式に、GE Appliances (GEアプライアンス)、ブリヂストン、Oatly(オートリー)などのパートナーと協力して、同社の輸送ソリューション(自律「ポッド」、電気トラック「Saga」オペレーティングシステムなど)のテストを開始する。

Einrideはまた、米国の道路事情と規制に対応した同社ポッドの米国版を導入することも発表した。さらには、造船所からのコンテナ輸送など、広範な運搬ニーズに対応するよう設計されたモジュール車両である平台型ポッドの導入も発表した。

Einrideは欧州で最大の電気トラック保有台数を誇る運送会社だ。運転席がなく、安全管理者用のスペースもない同社の自律走行ポッドも電気自動車だ。Kodiak Robotics(コディアクロボティクス)TuSimple(ツーシンプル)Waymo(ウェイモ)など、自律輸送分野の他の大手企業は、必ずしも電気自動車のみによるアプローチを追求していない。

「世界のCO2排出量の7~8%は陸上重量貨物輸送によるものです」とEinrideのCEO兼創業者のRobert Falck(ロバート・フラック)氏はいう。「Einrideを起業したのは、陸上貨物輸送の最適化と自律化をディーゼル車ベースで進めることで、却ってCO2排出量が増えるのではないかと心配したからです。ディーゼル車のほうがずっと安価に最適化と自律化を実現できますから」。

Einrideは、GEアプライアンスとの提携により、7台の自律走行電気トラックを配備し、ケンタッキー州ルーイビルにあるGEAの約3平方kmのキャンパス、およびテネシー州、ジョージア州にあるその他のロケーションを走行させる予定だ。これにより、GEAは今後5年以内にCO2排出量を870トン削減する予定だ。EinrideはGEAとの提携を今後数年で急速に拡大して電気トラックの配備台数を増やしていくという。

ブリヂストンとの提携はどちらかというと技術寄りの提携で、持続可能モビリティソリューションを共同開発し、クラス8の電気自律運転車両の実現を目指す。

「ブリヂストンとの協力により、Einrideは、ブリヂストンのスマートセンシングタイヤから安全性と効率性に関する新たなデータを収集できるようになります。ブリヂストン側も同社の先進のモビリティテクノロジーをEinrideに搭載されているオンボード車両プラットフォームに組み込むことができます」とEinrideの広報担当者はいう。「当社はブリヂストンとのサブスクリプション契約の下で、同社の米国輸送物流ネットワーク向けに、接続された電気トラックとデジタルサービスを提供することで、2025年までにブリヂストンの陸上輸送ニーズの大半を電化することを目指しています」。

オーツミルク企業であるOatly(オートリー)は、すでに欧州でEinrideと提携しており、その提携関係を米国にも拡大しようとしている。Einrideは米国への進出について詳細を明らかにしていないが、フラック氏によると、2020年からオートリーの欧州の輸送のデジタル化と電化を進めたのと同じような形で事業展開していくつもりだという。Einrideは欧州で、オートリーに電気トラックとSagaプラットフォームを提供することで、電化を迅速に推進し、特定経路におけるCO2排出量を87%削減したという。米国でも同様にしてオートリーの電化を進めていくことになるだろう。

Einrideの米国進出と同時に、Sagaプラットフォームのアップデートも実施される。Saga(ノルウェー語で「すべてを知っている」という意味)は、Einrideの電気トラックおよびポッド全体で稼働するIoTシステムだ。同社はこのシステムによって経路を最適化し、大規模電気トラック集団を稼働している。Einrideは、Sagaを、重量輸送産業に変革をもたらし、企業の保有車両の電化を推進する普遍的なオペレーティングシステムしたいと考えている。

「現在のトラック輸送産業は極度に分断化されていおり、連係が進んでいません」とフラック氏はいう。「電動化を進めるのは簡単ではありません。電動化の範囲とか実際の導入度といったことが目的ではないのです。当社のSagaプラットフォームとオペレーティングシステムを使えば、既存のテクノロジーを利用して、競争の激しいビジネスケースにおける米国の陸上貨物輸送システムの最大40%を電動化できます。どちらかというと、ハードウェアを改善するというよりも、新しい考え方を導入するといったほうが近いと思います」。

Einrideのポッドは安全管理責任者が同乗しないため、レベル4の自律性の達成方法について新しい考え方を取り入れている(米国自動車技術者協会によると、レベル4とは、車両が、特定の条件の下で人間の介入なしに運転のあらゆる側面を処理できることを意味する)。

Einrideの全システムは、安全管理ドライバーが存在しないため、異なる方法で構築する必要がある、とフラック氏はいう。他の運送会社は前の座席に人間のオペレーターを同乗させて距離を稼いでいるが、Einrideはフラック氏が「よちよち歩き式アプローチ」と呼ぶ方式を採用している。この方式では、ハイハイ、ゆっくり歩きという具合に車両に運転を教えていき、徐々に機能を高めていく。

「当社は従来のレベル4から開始し、自律運転とリモート運転機能を組み合わせてアプリケーションの使い勝手を向上させました。その結果、柔軟性、および自律運転、人間のアジリティ、意思決定の利点の両方を獲得できました」とフラック氏はいう。

Einrideは2019年から欧州で公道での自動運転システムの試験走行を開始しているが、米国での試験開始日はまだ決まっていない。

「車両に安全管理ドライバーを同乗させず、ドライバーの席もないため、規制を通過するには異なるアプローチを取る必要があります」とフラック氏はいう。「規制は国や州によって異なりますが、基本的には、アプリケーション自体の安全性が保証されているかどうかという問題です。当社も創業以来、ドライバーを同乗させずにすべてのアプリケーションで安全性を確認できるようにするというアプローチを取ってきました」。

リモートトラックドライバー、すなわち「ポッドオペレーター」は、Einrideのポッドを監視し、状況によっては運転を引き受ける。フラック氏によると、Einrideではレベル5の自律性(基本的に自動運転車のほうが人より運転能力も思考能力も優れているとするレベル)を信用しておらず、アジリティと意思決定能力を高められるように、いつでも人間がシステムに介入できるようにすることを目指しているという。

「マシンはまだ人のために働いています」とフラック氏はいう。「業界はレベル5の自律性を備えたAIを15年以上追求してきましたが、まだそのレベルには程遠い状態です。運送業界においては、自律運転の利点が活かされる場面も数多くありますが、人が介入することによる利点もあります。例えば別のゲートに戻ったり、周辺のドライバーとやり取りしたい場合などです。人間の意思決定を介入させられるのは大きな利点であり、ビジネスへの影響も最小限で済みます」。

Einrideは、トラック業界での経験があり、トラック運転免許を持っている最初のポッドオペレーターを採用した。詳細は、2021年後半のイベントで明らかにするという。

Einrideは米国に進出するだけでなく、ニューヨークに正式に米国本社を設立する予定で、一部の経営幹部がニューヨークを本拠に活動することになる。また、オースティン、サンフランシスコ、東南アジアにも支社を設置する予定だ。米国での工場建設予定は今のところはない。

画像クレジット:Einride

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

決済テックBoltが同業Tipserを買収、「リモートチェックアウト」を開始

デジタルコンテンツを発見した時点で何かを購入するという機能は存在するが、決済テクノロジー企業のBolt(ボルト)は、それを「ワンクリック」で処理する機会を得た。同社は米国時間11月29日、初となる買収でスウェーデン拠点のTipser(ティスパー)を買収したことを発表した。Tipserはあらゆるデジタル端末でのダイレクト決済を可能にするテクノロジー企業だ。

サンフランシスコを拠点とするBoltは、10月に3億300万ドル(約345億円)のシリーズD資金を調達したばかりで、これまでの累計調達額は6億ドル(約682億円)に達している。Boltの創業者でCEOのRyan Breslow(ライアン・ブレスロウ)氏は今回の買収について「しばらく前から計画していた」とTechCrunchに語った。

Tipserの技術は、オンライン出版物、モバイルマーケットプレイス、価格比較サイト、ソーシャルメディアプラットフォームや検索エンジンなどのサイトから、消費者がネイティブに商品を購入することを可能にする。同社は、共同創業者でCEOのMarcus Jacobsson(マーカス・ヤコブソン)氏が率いており、2012年にAxel Wolrath(アクセル・ウォルラス)氏、Jonas Sjöstedt(ヨナス・ショステッド)氏とともに会社を立ち上げた。

実は、BoltがTipserと話を始めた当初、同社は売れる状況ではなく、次の投資ラウンドに向けて動いていた(約16億円を調達)が、結果的に2社はより深い話をすることになり、文化的融合がよりうまくいくことがわかった、とブレスロウ氏は話した。

「我々は、TipserがBoltにとってどれほど大きな意味を持つかを知りました。Tipserは10年間にわたって組み込み型コマースの技術を洗練させており、唯一の強力なプレイヤーでした。我々が苦手とする分野で、彼らは我々よりも強かったのです。彼らをチームに迎え入れることは非常に戦略的です」と付け加えた。

正確な取引額は公表されていないが、ブレスロウ氏はTechCrunchに対し、全株式でのこの買収は「2億ドル(約228億円)弱」であったことを明らかにした。Tipserの全チームはそのまま残り、Boltは100人の増員となる。また、最近発表されたヨーロッパへの進出にともない、TipserがあるスウェーデンはBoltのヨーロッパ本社としても機能することになる。

Boltは、今回の買収に加えて、買い物客が発見したその場で商品を購入できるツール、リモートチェックアウトを立ち上げる。ピュー研究所によると、買い物客の84%がレビューを見るソーシャルメディアで何かを見た後、別のウェブサイトに行って購入している。

この新しいツールは、Boltが1年以上前から社内で開発していたもので、同じく商品を発見してアプリから直接決済できるツールであるInstagram Checkoutにヒントを得たとブレスローは話す。

「トラッキングやクッキーが廃止されたことで、小売業者がコンバージョンを追跡できるよう、ネイティブ決済の必要性が出てくるかもしれません。消費者にとっては、何度もクリックする必要がない方がいいですから」と付け加えた。

Boltのリモート決済の特徴は、ワンクリックでの直接決済、Boltのショッパーネットワークとのエンゲージメント、そして業者が複数のチャネルで注文を受けながらコンバージョン率を高め、訪問者との直接的な関係を築くことができることだ。また、匿名の訪問者をログインしたアカウントホルダーに変え、オンサイトでトラフィックを収益化することができる。

メディア出版社であるBDG(旧Bustle Digital Group)の社長兼CROであるJason Wagenheim(ジェイソン・ヴァーゲンハイム)氏は、出版社やクリエイターが自分のサイトに来たトラフィックを収益化できるという機能に特に興味を示した。BDGは、Bustle、EliteDaily、Fatherlyなどのブランドを展開している。

1月に米国の出版社としては初めてTipserと契約し、4月にはBDGの13サイトのうち2サイトで運用を開始したヴァーゲンハイム氏は、今回の合併を傍観者のように見ていたとインタビューで語った。

「今回の買収で最も気に入っているのは、何百もの業者を当社のプラットフォームに乗せることを加速できることです。これは、コンテンツとコマースの融合です」。

ソーシャルメディア、そしてBoltやTipserのような企業が登場する以前は、雑誌のページから直接買い物をするにはQRコードを利用していたが、人々が思っていたようには普及しなかった、とヴァーゲンハイム氏はいう。

他の出版社もQRコードを取り込もうとしたが、Goopはそれができた数少ない出版社の1つだったという。今では、これらの新しい技術により、出版社やクリエイターは、アッパーファネルとロワーファネルの間のギャップを埋めることができ、ワンクリックで買い物ができるコマースにより、認知度を高めることができる。

同氏はTipserとのBDGのプロジェクトはまだベータ版と考えているが、来年にはBDGのすべてのサイトにこの技術を導入する計画だ。BDGでは、すでに2500万回以上のセッションが行われており、1回のセッションで平均10個の商品を見ていると話す。これは、プロセスが機能していることを示している、と同氏は指摘する。人々はプロダクトに時間を費やし、そしてカートにプロダクトを入れる。

「エディターが記事を書くための業者が数百社に増え、ワンクリックでの取引が可能になりました。これは画期的なことです」と付け加えた。

画像クレジット:Tipser

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

ボルボが車内ARを見据え光学オーバーレイのスタートアップSpectralicsに約2.3億円を投資

長らく安全の代名詞とも言われてきた自動車メーカーVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は、ベンチャーキャピタル投資部門のVolvo Cars Tech Fund(ボルボ・カーズ・テック・ファンド)を通じて、自動車のフロントガラスやウインドウに組み込んでドライバーや乗客に画像を提供する技術を開発している光学・イメージングのスタートアップに投資したことを発表した。

Volvo Cars Tech Fundは、光学機器・イメージングの開発企業であるSpectralicsに200万ドル(約2億3000万円)を投資した。この資金は、自動車の安全性とユーザーエクスペリエンスの向上に貢献する光学フィルムの開発を加速させるために使用されるという。この投資は大きなものではないかもしれないが、Volvoとの関係は、特にその技術が量産車に採用されれば、実りあるものになるだろう。

Spectralicsが開発しているシースルー光学オーバーレイは「多層薄膜コンバイナー」とも呼ばれ、自動車のフロントガラスやウインドウに組み込むことができる。Spectralicsによると、これによってより広い視野が確保され、極めて重要なのは、それとともに安全なAR(拡張現実)オーバーレイに必要な距離感が得られるという。

車外では、スマートグラス、光学システム、その他のヘッドアップディスプレイなどにも利用できる可能性がある。これは、ARやVR(仮想現実)が、ゲームや消費財の域を超えて、自動車の中に入りつつあることを示す最新の兆候だ。これは間違いなく、自動車メーカーが新車を馬力ではなく、ユーザー体験や提供する技術で差別化するという幅広いシフトの一環だ。

Spectralicsの創設者であるRanBar Yosef(ランバー・ヨーゼフ)氏、Eran Falk(エラン・フォーク)氏、Yuval Kashtar(ユバル・カシュタル)氏、Yuval Keinan(ユヴァル・ケイナン)氏(画像クレジット:Tal Givoni for Spectralis)

自動車内のAR / VRの導入には数々のボトルネックが存在したが、自動車メーカー各社は、車内アプリケーション用にこの技術を開発している企業への投資でリードしていると、Abigail Bassett(アビゲイル・バセット)氏がTechCrunch+で指摘していた

VolvoのSpectralicsに対する投資が十分なシグナルでなかったとすれば、広報担当者はTechCrunchに、スウェーデンの自動車大手である同社がこの技術を自社の車に採用することを検討していると認めた。Volvo Cars Tech Fundの責任者、Lee Ma(リー・マー)氏は声明でこう述べている。「Spectralicsは当社のポートフォリオにフィットしており、彼らの技術は次世代のディスプレイやカメラの標準となる可能性があると信じています」。

Spectralicsは、スウェーデンのイェーテボリにあるアクセラレーター、MobilityXlabの卒業生であり、テルアビブにあるスタートアップと自動車業界の投資家をつなぐモビリティハブ、Drive-TLVにも参加している。Volvoのスタートアップ投資部門は2017年から両イニシアチブに参加しており、最近では、事故検知センサーを開発するMDGoや、車両検査技術開発企業のUVEyeなど、他のイスラエルのスタートアップにも投資している。

画像クレジット:Volvo Cars

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

iPadで視線によるタイピング、会話、アプリ操作が可能になるケース「TD Pilot」をTobiiが発売

アイトラッキング(視線計測)技術を手がけるスウェーデンのTobii(トビー)は、その技術をApple(アップル)製のタブレットに導入し、iPadを身体障がい者のための強力なオールインワンツールにするためのケース「TD Pilot」を発表した。iPadにTD Pilotを装着したユーザーは、視線だけでアプリを起動したり、すばやくタイピングしたり、合成音声で話したりすることができる。

iPadOS 15では、iPadにアイトラッキング用ハードウェアをネイティブに統合することが可能になったが、Tobiiはおそらく、その分野で最も知られた名前だろう。

筆者はオールインワンのスクリーン型アイトラッカーや、独立型のPC用周辺機器など、同社の製品を数多くチェックしてきたが、いずれも非常にうまく機能した。しかし、Apple側の制限があったせいで、アイトラッキングは主にWindowsマシンで行われてきた。筆者は個人的には気にならないものの、iOSを好む人もいるだろう。今後はiOSでも同じようにアイトラッキングが利用できるようになる。

画像クレジット:Tobii

TD PilotはiPadに装着する大型のケースで、前面にはアイトラッキング装置(実際には驚くほど小さく、カメラが内蔵された小さな帯状のもの)、背面にはステレオスピーカーに加えて、テキストを表示するための小さなスクリーンが備わる。このデバイスのユーザーは、Tobii独自のテキスト音声変換アプリ「TD Talk(TDトーク)」または他の任意のアプリを使って、テキストまたは音声でコミュニケーションをとることができる(単に話すだけではなく、その気になればDJにだってなれる)。

このデバイスは、設定や記号コミュニケーションなど、Tobiiが用意する他の小さなアプリ群も利用できる。

「医学的にも認証されており、Appleの性能基準を満たしていると認定されています」と、Tobii Dynavox(トビー・ダイナヴォックス)のFredrik Ruben(フレドリック・ルーベン)CEOは述べている。「これにより、ユーザーは市場をリードするこの技術にアップデートとサポートが継続されると知ることができ、信頼して使うことができます。また、人気のある技術に向けて開発される可能性がある、安全ではない『ワンタイムハック』を避けることができます」。この発言は間違いなく、アイトラッキングをネイティブにサポートしていない以前のバージョンのOS用に作られた他社のソリューションを暗に示しているのだろう。

Tobiiのアイトラッキングデバイスは誰でも購入することができるが、同社の説明によると、個人のニーズに合わせたソリューション提供の一環として、医師やセラピストから指示されるケースが多いという。その場合は保険でカバーされるが、当然ながら個人によって異なる。筆者は具体的なコストを尋ねたが、Tobiiは回答を避けた。

願わくは、アイトラッキングソリューションによって最も力を得られる人たちが、保険やその他の方法でこの便利なガジェットを簡単に手に入れることができるようになって欲しいものだ。この製品はすでに出荷が始まっているので、発売を待つ必要はない。下の動画で、実際に使用している様子を見ることができる。

画像クレジット:Tobii

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

糖尿病でも諦める必要はない、ヘルシーなアイスクリームを作るN!CK’Sがスナック文化革命のために約113億円調達

スウェーデンのフードテック企業「N!CK’S」は、ヘルシーなアイスクリームを1パイントずつ作ることで、世界に挑もうとしている。

同社は中央ヨーロッパ時間10月28日、シリーズCで1億ドル(約113億円)の資金を調達したと発表した。この資金は、甘味料と原材料を独自にブレンドすることでカロリーを抑え、砂糖を添加しない健康的なスナックやアイスクリーム製品の開発に活用される。

Kinnevik、Ambrosia、Temasekが共同でこのラウンドを主導し、Gullspangが参加した。今回の資金調達により、同社の累計調達額は1億6000万ドル(約182億円)に達したと、N!CK’Sの北米CEOであるCarlos Altschul(カルロス・アルトシュル)氏はTechCrunchに語っている。

N!CK’Sは、2017年に欧州で、創業者で研究開発責任者のNiclas Luthman(ニクラス・ルースマン)氏の母親が糖尿病と診断され、そしてルースマン氏自身が糖尿病予備軍と診断されたことから始まりました、とアルトシュル氏は語った。

「彼は、体に良いソリューションを提供するフードサイエンスがあまりないことを認識していました」と同氏は付け加えた。「彼は、食べ物を変えるのと、食生活を変えるのとでは、食べ物を変える方が簡単だと考えました」。

欧州では同社は、アイスクリーム、スナックバー、コンフェクショナリー製品を製造している。しかし、N!CK’Sは「文化を変えるためのプラットフォーム」であるスナックブランドだと、アルトシュル氏は語る。また、同社の研究開発に根ざしたイノベーションと素材が、競合他社との差別化につながっているという。

この2年間、同社は忙しい日々を過ごしてきた。2019年末、N!CK’Sはアイスクリームで米国に進出し、そのカテゴリーでは1店舗あたりのセールス速度でトップに立っている、と同氏は付け加えた。また、Perfect Day独自の動物由来成分を含まない乳たんぱく質と植物性代替脂肪を使用した、ヴィーガン乳製品ラインを発売した。

同社が2020年にスタートした直販(D2C)事業は、7月以降、D2Cアイスクリームデリバリー分野でトップの座を維持していると、アルトシュル氏は述べている。2021年、同社はケトプロテインバーのラインを立ち上げた。まずはD2CとAmazon(アマゾン)のチャネルで販売開始し、年末までに小売店に展開する予定だ。

2020年から2021年にかけて、N!CK’Sを取り扱う小売店は米国では4500店舗から6700店舗に拡大し、英国ではWHSmithとの提携により拡大した。

今回の資金調達によりN!CK’Sは、欧米での店舗数の倍増、人材の増員、マーケティング、新製品の発売に向けた研究開発への投資など、同社の目標を加速させていきたいと考えている。

Kinnevikの投資ディレクターであるMagnus Jakobson(マグナス・ヤコブソン)氏は、彼は数年前から食品分野への投資を行っており、現在起こっている持続可能性と健康という複数の追い風が需要を喚起し、川上でのブランド構築能力があるため、この業界は魅力的であると述べている。

同氏は今を「エキサイティングな時期」と考えており、特に最初は自力で実現したN!CK’Sのこれまでの牽引力は「印象的」であり、その戦略は現在、他の食品技術パートナーを引き付けている、という。

ヤコブソン氏はこう述べた。「人々の生活や食べ物の消費の仕方は変化しており、それが新しいブランドの構築を可能にしています。Oatly(オートリー)、Beyond(ビヨンドミート)、Impossible(インポッシブルフーズ)といった企業が業界をリードしてきましたが、今では技術面での躍進や、スタンドアロンブランドで消費者にアプローチする新しい方法が見られるようになりました。中でもN!CK’Sは非常にエキサイティングなもので、業界の黎明期にあっても期待されています」。

画像クレジット:Nick’s

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

スウェーデンのEVメーカーPolestar(ポールスター)は、特別買収目的会社(SPAC)のGores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)との間で合併によるIPO(新規株式公開)に向けて合意したと発表した。これにより、Polestarの評価額は200億ドル(約2兆2200億円)に達する見込みだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国時間9月26日、この取引に詳しい関係筋を引用して、SPAC合意が間近に迫っていると報じていた。TechCrunchは、公式発表の情報を反映してこの記事を更新した。合併が完了すると、統合後の会社は、Polestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有する。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

PolestarはVolvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)のEVパフォーマンスブランドに該当するが、PolestarとVolvoはともに、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が所有している。

今回の発表により、Polestarは、過去2年間にSPACを通じて上場した、Arrival(アライバル)、Nikola(ニコラ)、EVgo、Proterra(プロテラ)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、Bird(バード)などのEVおよびEV関連企業の仲間入りを果たす。

Polestarは、EV製造業界におけるライフサイクルアセスメントの枠組みを構築することを目指している。製造、販売、廃車のプロセス全体が透明でトレーサブルであり、カーボンニュートラルな自動車を作ることができるというものだ。同社は、6月に初のSUVであるPolestar 3(ポールスター3)を米国で製造する計画を発表し、2022年にはグローバルに生産を開始する予定だ。高品質の部品と米国での製造施設は、決して安い取り組みではない。今回の報道が事実となれば、IPOはPolestarが目標達成に必要な資金を得る手段になり得る。

また、この合併は、PolestarがTesla(テスラ)に対抗するために、米国での市場投入を早めることにもつながる。Polestarは、セダンタイプのPolestar 2をTeslaよりも優れたクルマと位置づけているが、EV業界で同じような知名度を持ち、信頼されるためには、資金が必要だ。2020年、Polestarは部品の不具合により、全世界の車両のリコールを余儀なくされた

SPAC(特別買収目的会社)であるGores Guggenheimは、3月のIPOで8億ドル(約888億円)を調達し、7月にはBloombergがPolestarと交渉していると報じていた。

関連記事
Polestarが2030年までに温暖化ガスの排出量をすべて見直して初の「クライメートニュートラル」なEV開発を目指す
ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

画像クレジット:Geely holdings/Polestar

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

北欧発「企業向けマーケットリサーチのNetflix」を目指すStravitoがシリーズAで約16.2億円調達

マーケットリサーチやインサイトは企業にとってフルに活用されていない資産であることが多い。通常、コンテンツを見つけるのが難しく、重複が多かったり、情報がうまく使われていなかったりする。

スウェーデンのスタートアップ企業であるStravitoは、社内外のデータソースを一元化し、この種の資産のための「SpotifyかNetflix」のようなものを作ることで、はるかに使いやすく、消費しやすくできるという。

Stravitoはこのたび、Endeit Capitalが主導して1240万ユーロ(約16億1700万円)のシリーズAラウンドを調達した。既存投資家であるHenQ、Inventure、Creadesからも追加投資を受けていることからすると、同社は明らかに何かをつかんでいるようだ。現在までに、Stravitoは総額2010万ユーロ(約26億2000万円)を調達している。

マーケットリサーチのベテランとiZettleの元社員らによって2017年に設立されたStravitoの顧客には、ビールで知られるCarlsberg(カールスバーグ)、Edwards Lifesciences(エドワーズライフサイエンス)、Pepsi Lipton(ペプシ・リプトン)、Danone(ダノン)、Electrolux(ABエレクトロラックス)、Comcast(コムキャスト)などが名を連ねている。

Stravitoの共同創業者兼CEOであるThor Olof Philogène(トール・オロフ・フィロゲネ)氏は次のように述べている。「世界最大級の企業にとって、一元化され、吟味されたインサイトを使って、変化し続ける顧客の行動を理解し、それに対応することがかつてないほど重要になっています。Stravitoのテクノロジーとプラットフォームは、企業がリサーチを利用してより優れた意思決定を行うことを迅速かつ容易にします」。

筆者との通話で、同氏はこう付け加えた。「当社は、検索技術と優れたデザイン、それらすべてを組み合わせ、直感的で高度に自動化されたクラウドサービスを提供することにより、これらの大企業が社内外のデータソースを一元管理し、そこから必要な宝を引き出せるように支援しています」。

Endeit CapitalのパートナーであるJelle-Jan Bruinsma(ジェル=ジャン・ブルインズマ)氏はこう述べている。「Endeit Capitalは、常に次世代の国際的なソフトウェアスケールアップ企業を探しており、Stravitoは、数十億ドル(数千億円)規模のマーケットリサーチおよびデータ業界の水準を高めるすばらしい仕事を通じて、北欧の中で際立っていました」。

画像クレジット:Stravito

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

スウェーデンのCakeが都市部向け電動モペッド「Makka」を発表

スウェーデンの電動バイクメーカー「Cake(ケイク)」が、最新モデル「Makka(マッカ)」を発表した。都市部での利便性を追求した超軽量の電動モペッドだ。価格は3500ドル(約38万5000円)からで、現在は米国と欧州で予約を受け付けている

Makkaは、フラッグシップモデルの高性能バイク「Kalk(カーク)」やユーティリティバイク「Ösa(オサ)」などのオフロードバイクで知られるCakeにとって、これまでの標準から一歩踏み出した製品だ。この第3のプラットフォームは、短距離の商業輸送や通勤など、シティライドに特化したCake初のモーターサイクルとなる。

「この新しい電動モペッドは、誰もが乗れる電動2輪車を作るというCakeの野心をさらに明確にするものであり、ゼロエミッションのライフスタイルに向けてインスピレーションを与えるというCakeのミッションに沿って、性能、耐久性、妥当性の限界を押し広げるものです」と、Cakeは声明で述べている。

Makkaの重量は55kg(バッテリー別)で、リアカーゴラックが標準装備されている。このラックには、マウントやサドルバッグ、チャイルドシート、さらには同乗者用シートなどを取り付けることができる。

カラーはホワイトとグレーの2色で、合法的に公道走行可能。米国では出力5馬力以下の原動機付自転車に分類され、自動車免許または二輪免許が必要となる。EUでは、モーターの速度が時速45kmを超えないため、L1e-bというカテゴリーに属し、自動車免許かモペッド(原付)免許を持っていれば公道を走ることができる。

  1. Makkawhitekidsseat

    Makka + チャイルドシート
  2. Makkabox

    Makka + 荷物収納ボックス
  3. MakkastudioALL-80

    取外し可能なバッテリー

Cakeの最新モペッドには2種類の仕様が用意されている。欧州のみで販売されるエントリーモデルの「Makka Range」は、最高速度が時速25キロメートルと低く、航続距離は60キロメートル。欧州と米国で販売される「Makka Flex」は3800ドル(約41万8000円)で、最高速度は時速45キロメートルに達するが、航続距離は50キロメートルとやや短くなる。

どちらのバイクもアルミニウム製ステップスルーフレームにフットボードを備え、14×3インチのオートバイ用タイヤ2本を装備する。Makkaシリーズにはタッチスクリーンディスプレイが搭載されており、バッテリー残量、走行速度、走行距離、ライドモード(航続距離を伸ばすモード1と、バランスのとれたモード2から選べる)、ブレーキモードの選択などの情報が表示される。

Makkaのドライブトレインの出力は3.6kW、バッテリー容量は1.5kWh。バッテリーを充電するには、バッテリーを車両に搭載したままプラグに差し込んでも可能だし、あるいはバッテリーを取り外して自宅で充電することもできる。バッテリーを80%まで充電するには2時間、100%まで充電するには3時間かかる。前後のブレーキともにハンドレバーを採用した電動二輪車用ブレーキシステムは、制動力を回生してバッテリーに蓄え、航続距離を伸ばすことができる。

オフロードバイクを都市部向けに転用することに有用性を見出しているメーカーは、Cakeだけではない。ニュージーランドの電動ユーティリティーバイクブランドであるUbco(ウブコ)は、Makkaに似た自社製モペッドの販売を米国にも拡大するために、最近1000万ドル(約11億円)の資金調達を実施した。Cakeの直近の資金調達は2019年のシリーズAで、1400万ドル(約15億4000万円)を調達している。

関連記事:電動ユーティリティバイクUBCOは持続可能性に優れるサブスクモデルで世界展開と循環型経済分野のリードを目指す
画像クレジット:Cake

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

IKEAがスウェーデンの家庭にクリーンエネルギーを販売へ

IKEA(イケア)はスマートライトを売るだけではない。対象となる国で間もなくそうしたライトに供給する電気も販売するようになる。Strömmaサブスクサービスを通じてクリーンエネルギーをスウェーデンの家庭に販売する計画を同社が明らかにした、とElectrekが報じている。顧客は料金を払うと認証された太陽光あるいは風力発電の電気が供給され、使用量はモバイルアプリで追跡できる。

家具大手のIKEAはクリーンエネルギーの販売を他国でも展開するとは言っていないが「すべてのIngka Groupマーケット」で2025年までに人々が再生可能エネルギーを使ったり発電したりできるようになることを望んでいた。

IKEAがエコフレンドリーな取り組みを行うのはこれが初めてではない。非LEDライトの販売を止め、間もなく再充電できないタイプのアルカリ電池の販売もやめる。さらにはスウェーデンの都市を持続可能なコミュニティに変えることも計画している。間違いなくこうした取り組みは同社のイメージ向上につながる。クリーンエネルギーソースとしてサービスを提供することで同チェーンの環境負荷についての懸念も解決できる。

かなり大きな動きだが、他の大手家具メーカーが今後追随したとしても驚きではない。単に、二酸化炭素排出を減らすことができる気持ちの良い努力というものではなく、余剰クリーンエネルギーの販売はコストを回収し、利益を押し上げるかもしれない。

編集部注:この投稿はEngadgetに掲載された。著者Jon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

関連記事
靴箱サイズのモジュール式エネルギー貯蔵ブロックを開発するMGA Thermalが6.5億円調達
中国が「冷却水いらず」な実験用原子炉による9月実験開始を計画、2030年に商業用原子炉の建設を予定
テスラが高まるニッケル需要に備え鉱山大手BHPと供給契約を締結

カテゴリー:EnviroTech
タグ:IKEAスウェーデン電力再生可能エネルギー

画像クレジット:

原文へ

(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

スウェーデンの電動航空機スタートアップHeart Aerospaceが200機を受注

スウェーデンの電動航空機製造スタートアップHeart Aerospaceは、これまでで最大の受注を獲得した。同社初の電動航空機ES-19を200機、航空大手United Airlines(ユナイテッド航空)と地域航空会社パートナーMesa Air Groupから受注した。

最大100機の追加購入オプションを含むこの取引は、3500万ドル(約38億円)のシリーズA資金調達ラウンドとともに発表された。本ラウンドはBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のBreakthrough Energy Ventures、ユナイテッド航空のベンチャー部門、およびMesaが主導し、シード投資家のEQT VenturesとLowercarbon Capitalも参加している。

ES-19は19人乗りのリージョナル(地域間輸送)航空機で、従来のジェット燃料の代わりにバッテリーと電気モーターで飛行する。同社によると、最初の商用機は2026年までに出荷され、現行のバッテリー技術で最大250マイル(約402km)の飛行が可能になる。Heart Aerospaceの創業者で航空宇宙エンジニアのAnders Forslund(アンダース・フォルスランド)氏は、同社は商用運用の最初の段階において、より短いルートに注力すると述べている。ユナイテッド航空が運航する路線には、シカゴ・オヘア国際空港からパデュー大学空港までの118マイル(約190km)の路線や、サンフランシスコ国際空港からモデストシティカウンティ空港までの74マイル(約119km)の路線などが含まれる。

「当社の初期のフォーカスは、レンジの最大化ではなく、ユニットの経済性の最適化です」とフォルスランド氏はいう。「電動航空機の場合、ルートが短くなるほど、充電時間が短縮され、バッテリーの消耗が抑えられ、日々の飛行回数を増やすことができます」。

Heart Aerospaceは、技術革新の核となる電気推進システムの本格的なプロトタイプを作り上げた。しかし、商業運転開始までにはまだ多くのステップを完遂する必要がある。その中でも特に重要なのは、実際に完全な航空機のプロトタイプを組み立ててテストし、米国と欧州の関係当局の認可を得ることだ。

フォルスランド氏がTechCrunchに語ったところによると、今回の資金調達ラウンドは、航空機に搭載すべき多種多様なシステム(アビオニクスシステム、飛行制御システム、さらには重要な除氷システムなど)の安全性と信頼性の検証に向けてサプライヤーと協働するためのものだ。これらの残存要素について、同社は約50社のサプライヤーと協議しているという。同社はまた、ES-19の完全なプロトタイプを組み立ててデモを行うための大規模なテスト施設も建設中だ。

Heart Aerospaceは既存の航空インフラに乗る意向であるため(ES-19専用の垂直離着陸用飛行場はない)、少なくとも規制当局に関しては、電動エアタクシーよりも相対的に有利な立場にある。大きな技術革新であることが明らかな電気推進システムとは別に、同社は他の個々のシステムについて既存の技術にも依拠していく。

画像クレジット:Heart Aerospace

フォルスランド氏はTechCrunchとのインタビューで次のように述べている。「2026年というローンチ時期は、当社がインターネット上で展開したいと考える壮大な目標として掲げるものにとどまらず、協働するサプライヤー、そして認証機関がともに目指しているものでもあります」。

同社はスウェーデンに拠点を置いているが、少なくとも一部の航空機の最終組み立ては北米で行われ、これらの国の企業からの注文に応じる可能性が高いとフォルスランド氏は付け加えた。

Heart Aerospaceとの契約は、ユナイテッド航空が2021年行った、電動航空機に関する最新の賭けと言えるだろう。同社は2021年2月にも10億ドル(約1100億円)の発注を行っており、エアタクシースタートアップのArcher Aviationに投資している(フォルスランド氏はユナイテッド航空の発注金額を明らかにしていない)。ArcherとHeartとの購入契約はいずれも、一定の安全基準と運用基準が条件となっており、双方とも市場に出るまでに少なくとも数年はかかるとみられる。この投資は、低排出ガス技術とゼロエミッション技術(すでに個人向け自動車輸送でかなり進行している)に向けた航空業界の大きな変化の始まりを示すものだ。

この取引は、かってはこの地域の空の旅の主力であった19席の航空機を活気づけることにもなるだろう。このタイプの航空機は利益率の低さの犠牲になり、過去30年間で1500機以上が退役した。地域の航空旅行も、1990年代以降、米国において減少の一途をたどっている。Mesaは一時期、19席仕様の最大のオペレーターであった。

Heart Aerospaceは自社のウェブサイトで、小型の従来型航空機は、エンジンの所有コストが19席または70席と同等である場合、もはや経済的ではないと指摘している。しかし、同社の電動航空機はその方程式を変えるという。ES-19の電気モーターは、同等のターボプロップの20分の1の費用しかかからず、メンテナンスコストも100分の1に削減される、とHeartは主張する。

Heart Aerospaceは、スウェーデンのヨーテボリにあるChalmers University of Technology(チャルマース工科大学)の研究プロジェクトからスピンアウトして2018年に設立された。同社はY Combinatorの2019年冬コホートに参加し、同年5月に220万ドル(約2億4000万円)のシード資金を獲得した。Heartの従業員数は約50人に成長し、その勢いは衰える気配がない。

「航空機製造は難しさがありますので、車輪を再編成しない機体を構築したいと考えています」とフォルスランド氏は語る。「電気式で、安全性、効率性、信頼性に優れ、航空会社にとって収益性の高い航空機の製造に注力しています」。

関連記事
eVTOL開発のArcherがユナイテッド航空から受注、SPAC経由で上場も
55機のキングエア航空機に自律飛行機能をステルスモードを脱したMerlin Labsが搭載
企業の航空部門といった小規模の航空機運用を支えるPortsideがパンデミックが終息に向かう中好調

カテゴリー:モビリティ
タグ:電動航空機飛行機Heart Aerospace資金調達スウェーデン

画像クレジット:Heart Aerospace

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

ガジェット用フレキシブル太陽電池のExegerが41.7億円を調達、搭載ヘルメットとワイヤレスヘッドフォンが発売予定

光だけでガジェットを動かすのに十分な効率を誇るフレキシブル太陽電池技術「Powerfoyle」を10年以上にわたり開発してきたスウェーデンのExegerが、製造能力を拡大するために新たな資金を投入し、同国に第2工場を開設する。

今回調達した3800万ドル(約41億7000万円)のうち、2000万ドル(約21億9000万円)はSwedbankおよびSwedish Export Credit Corporation (SEK) からのデットファイナンスで、その内訳はSwedbankが1200万ドル(約13億2000万円、一部はスウェーデンの公的輸出信用機関[Export Credit Agency、EKN]が革新的企業向け投資信用保証の下で引き受け)、SEKが800万ドル(約8億8000万円、一部は汎EUの欧州投資基金[European Investment Fund、EIF]が引き受け)。残りの1800万ドル(約19億7000万円)はIlija Batljan Invest ABへの新株発行によるものである。

93万7500株の発行価格は1株19.2ドル(約2100円)で、これは同社の事前評価額8億6000万ドル(約940億円)に相当する。

SoftBankも2019年、Exegerに1000万ドルを2回に分けて総額2000万ドルの投資を行なっている。これは同社の技術の世界展開を加速し、太陽エネルギーへのさまざまな投資をさらに拡大するための戦略的パートナーシップである。

このスウェーデンの会社はこれまでにも、太陽電池技術の開発を目的として2014年に同国のエネルギー機関から融資を受けている。しかし、今回の資金調達ラウンドは商業ベース(EKNとEIFが一部引き受けているが)では初めてのものだ。

Exegerによると、同社の太陽電池技術は多様な形状や色彩にプリントすることが可能な唯一の技術であり、同社のPRの言葉を借りれば「あらゆる製品を無限のパワーでシームレスに強化できる」という。

現時点では、2つのデバイスがPowerfoyleの技術を統合している。1つは安全テールライトが統合された自転車用ヘルメット(POC)と、もう1つはワイヤレスヘッドフォン(Urbanista)だ。いずれも現時点では商用化に至っていないが、2021年6月から発売を予定している。

Exegerは、ストックホルムに建設予定の第2工場で2023年までに生産能力を10倍に拡大できるとしている。より広範な市場を早期にターゲットとし、自社技術の大量採用を加速するのが狙いだ。

同社が現在ターゲットとしている新規太陽電池技術の主な市場は、家電製品、スマートホーム、スマート職場、IoTなどである。

さらに多くのデバイスとの提携が2021年中に予定されている。

ExegerのPowerfoyle太陽電池はUrbanistaのヘッドフォンに統合されている(画像クレジット:Exeger/Urbanista)

「私たちはラウンドにラベルを付けることなく、資金調達に関するより現実的な視点を有しています」と創業者でCEOのGiovanni Fili(ジョヴァンニ・フィリィ)氏は語っている。「新技術や新規エネルギー源の開発、新たな産業の基盤の構築には時間を要します。そのため、私たちのような会社にはビジョンと全体戦略に賛同する長期的な戦略投資家が必要です。当社はこのことに多くの時間とエネルギーを費やしてきましたが、それが実を結びました。発明を商業的に立ち上げるために必要なリソースが、時間と資金の両面で会社にもたらされたのです。それが現在の私たちの状況です」。

フィリィ氏はまた「実現性を確信した」今、デットファイナンスを行うことを選択したと言い添えた。

「海外ではなくスウェーデンのストックホルムに新工場を建設する理由を尋ねられたときの答えと同じものです。当社はかねてより、商業化されれば次の工場の資金を確保する際にバランスシートの有効活用を開始すると述べてきました。SwedbankおよびSEKとの長期的な関係、そして融資の一部をEKNが引き受けてくれたスウェーデン政府の多大な支援のおかげで、これを前進させることができました」と同氏は続けた。

6月に発売される2つのデビューデバイスであるPOCのOmne EternalヘルメットとUrbanistaのLos Angelesヘッドフォンについて話をする中で、フィリィ氏はこのセルフパワー製品への関心は「私たちの期待を超えた」と述べている。

「Powerfoyleを搭載した製品は、室内灯でも自然の屋外灯でも、あらゆる光の下で充電可能です。光の強度に応じて充電速度が速くなります。例えば、POCヘルメットには安全灯を充電するUSBポートはありません。周囲の光が充電を維持するからです。自転車に乗っているときもそうでないときもです」と同氏はTechCrunchに語った。

「UrbanistaのワイヤレスヘッドフォンLos Angelesはすでにオンライン上で大きな関心を集めてます。屋外で1時間を過ごせば、3時間のバッテリー駆動時間を確保できます。つまりほとんどのユーザーは、充電の心配をする必要はありません。製品が明るい場所にある限り、どのような光でも常に充電可能です。これが当社の技術の重要な側面の1つであり、人々が必要とする場所で機能するように太陽電池を設計、開発してきました」。

「2021年は当社の商業的躍進の年です」と同氏は声明で付言した。「POCとUrbanistaの製品リリースが示すすばらしい反応は、今がセルフパワー製品を世界に紹介する絶好のタイミングであることを明確に物語っています。

2030年までに10億人の人々の生活に貢献するという当社のビジョンを実現するには、大量生産が必要です。そしてそれが現在、当社が工場の建設を進めている理由です」。

関連記事
新しいソーラー技術が再生可能エネルギーを大きく後押しする
個人がビットコインでアフリカのソーラー発電インフラに投資できるSun Exchange
ソーラールーフタイルで家を仮想電力会社にするSunRoofが約5.9億円調達
エネルギー効率30-37%のソーラーパネルがもうすぐ市販される

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Exeger太陽電池資金調達スウェーデンヘルメットヘッドフォン

画像クレジット:Exeger

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

スウェーデンのフィンテックZaverが5.4億円を調達、「耐久消費財」分野にカードレス支払いと後払い決済を提供

スウェーデンのフィンテックであるZaver(ゼイバー)は、売り手が決済方法のオプションとしてカードレス支払いや後払い(BNPL)に対応できるようにするスタートアップだ。このほど新たなラウンドで500万ドル(約5億4000万円)の資金を獲得した。

マーケットプレイス取引のP2P決済に特化してスタートした同社は、オンラインおよびオフラインコマースの耐久消費財(自動車、健康・美容、工芸品など)分野にプロダクトマーケットフィットを見出して以来、この市場に賭けている。

Zaverの最新ラウンドをリードしたのは、Inbox Capital(Revolut、Klarnanaなどに出資している)とInventureのVCで、他にEvolution GamingのファウンダーであるFredrik Österberg氏(フレデリック・エスターバーグ)、エンジェル投資家のMagnus Rausing氏(マグナス・ラウシング)、AtomicoのパートナーJoen Bonnier氏(ジョエン・ボニエ)、ErnstromのオーナーであるFabian Hielte(ファビアン・ヒエルテ)氏とMax Hobohm(マックス・ホボーム)氏およびJohannes Hobohm(ヨハネス・ホボーム)らが参加した。

2016年中頃、Amir Marandi(アミール・マランディ)氏とLinus Malmén(リーナス・マルメン)氏がストックホルムのスウェーデン王立工科大学の学生だった頃に創業したZaverは、プラスチックカードからモバイル決済への変革を加速したいと考えた。ターゲットにした市場は「耐久消費財」で、スウェーデン国内でスタートした。提供する決済機能には、オープン・バンキングを利用したオンライン / オフラインのカードレス決済、即時支払、BNPL、信用度スコアなどがある。

「私たちのいう『耐久消費財』とは、頻繁に買う必要がなく長期間続けて使うもののことで、自動車、歯科診療、キッチンのリフォームなどがあります」とマランディ氏はいう。「一般にこれらの商品は『日常的』な商品やサービスよりも高い金額で取引されます」。

2年前に「Zaver for Business」を提供開始して以来、同社の取引高はゼロから「数億ドル(数百億円)」へと急増したとMarandi氏はいう。「当社がプロダクトマーケットフィットを実現していることは、今やユーザーは古い習慣を捨て、高額な商品やサービスの支払にもスマホを使うようになったことを証明しています」と同氏は言った。

カード利用を回避することで、Zaverは価格、ユーザー体験、およびプロダクト開発を社内でカスタマイズできるようになり、これは以前は困難だった、とマランディ氏は指摘する。そして「狙いは、この分野の中小企業のために、伝統的ソリューションを総合的なバンキング・決済プラットフォームで置き換えることにあり、そこではBNPLが顧客の行動変革に置ける重要な役割を果たします」と付け加えた。

ちなみに、Zaverの主たるライバルはクレジットカードや債権買取会社などの伝統的商品だ。「私たちの特徴は、低利益率で平均取引高の高い分野におけるモバイル決済への移行に特化していることです」とマランディ氏はいう。「新たな顧客行動(BNPL、自動引落、購入時の分割払いなど)とリアルタイム決済に集中することで、金額の大きさに関わらず同じ摩擦のない支払い体験をオンラインでもオフラインでも提供できます」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Zaver資金調達スウェーデン

画像クレジット:Zaver

原文へ

(文:Steve O’Hear、翻訳:Nob Takahashi / facebook