ファーウェイのスマートグラスはジェントルモンスターと提携

Huawei(ファーウェイ)は韓国ファッションブランドのジェントルモンスターと共同開発した、通信可能なスマートグラスを発表した。

Huaweiはこのスマートグラスをイヤフォンの代替として位置づけており、スマートフォンを経由して通話ができる。製品にボタンはなく、眼鏡のつるをタップすることで着信を受けることができる。

アンテナや充電モジュール、デュアルマイク、チップセット、スピーカー、バッテリーなどはすべてつる部分に収められている。2つのマイクはビームフォーミング技術に対応し、たとえメガネがずれていていても装着者の発言を拾ってくれる。

ステレオスピーカーは耳のちょうど上に位置しており、周囲の妨げにならないように聞くことができる。なお、カメラは内蔵されていない。プライバシーの議論を避けるためにはいい選択だろう。

Huaweiのスマートグラスには、底面にUSB Type-Cポートを備えたレザーケースが付属。こちらはワイヤレス充電にも対応している。新型スマートフォン「P30シリーズ」のプレスカンファレンスで発表されたこのスマートグラスは、2019年7月以降に販売される予定だ。

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(文/塚本直樹 Twitter

AR/VR 2.0を生かすためにはAR/VR 1.0を殺さなければならない

拡張現実と仮想現実(AR/VR)の未来は明るい可能性があるが、それは現状から脱出できた場合のことだ。2018年は、2つの変化の年の前触れの年だったと言える。2019年には淘汰が起こり、2020年後半には転換期が訪れる。まずは、現状の確認から始めよう。そして、私たちはどのような未来へ向かうのか、そこへ到達するためには、何を変えなければいけないかを考えていこう(注意:AR/VRにはもっと前の世代もあるが、ここでは2014年後の市場に着目している)。

AR/VR普及台数(モバイルARを含む)

青のAIRKit、緑のARCore(Google)、赤のARCore(中国)が多く、Apple、Oculus Quest、Samsung、HTC Vive Focus、Sony PSVR、Magic Leap、Microsoft HoloLensなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

AR/VR 1.0は今どうなっているか?

AR/VR 1.0は、FacebookがOculusを真剣に考えるようになった2014年にキックオフとなった。それには、起業家、企業、VCの特定の世代が大きく反応し、初期のAR/VRの開発が進められ、技術的に大きな進歩があったものの、まだ大衆市場は形成できないと、業界内部の人間すら認める状態だった。

モバイルARは、30億ドル(約3250億円)という、私たちが出した2018年の収益予測を2パーセント上回る結果となったが、その牽引役となったのは、アプリストアの売り上げ(おもに『Pokémon GO』)、広告費(メッセージアプルへのモバイルAR機能の導入など)、そして電子商取引での収益だ(たとえばHouzzはネット販売が11倍に伸びた)。モバイルARのインストールドベース(デバイスに組み込まれた形での普及数)も、期待を上回ってゆっくり伸びを見せ、世界で8億5000万件に到達している。ただ不安が的中し、2018年にはスタンドアローン型モバイルARの大ヒットアプリは現れなかった。モバイルARの何が売れて何が売れないのかを知ろうと、開発者たちは今でも頭を捻っている。

スマートグラスの2018年はいろいろだった。MicrosoftのHoloLensは、アメリカ陸軍との4億8000万ドル(約520億円)の契約を勝ち取った。Magic Leapは、一般向けの製品よりも開発用キットのほうがよく売れた。その他のスマートグラスの先駆者たちからは、資産を売却したり社員を一時解雇したという話が伝わってきている。スマートグラスの収益(おもにハードウエア、企業向けソリューションやサービス)は億単位にのぼるが、モバイルARを加えると、AR市場全体の収益は予想よりも3パーセント低かった。そのため、これまでの3年間のARの収益は、投資会社Digi-Capitalの予測にほぼ沿う形となった。

VRでは、携帯電話とヘッドセットの予約とのセット販売を電話会社が大幅に縮小するとは、昨年初めの時点では予想できず(これがモバイルVRの売り上げと普及数に悪い影響を与えた)、Oculus Questの2018年クリスマスシーズンの発売は延期されてしまった(昨年末の発表では2019年の春とのこと)。Oculus Goが昨年中期に発売されたことと、ソニーPSVRの売り上げが予測どおりになったことはよかったが、減少率を含めて考えると、2018年のVR市場の収益は前年比で少なくとも30億ドル(約3250億円)落ち込んだ(我々は適度な成長を予測していたが)。

AR/VR 2.0で私たちはどこへ行くのか?

モバイルARとスマートグラスを含むARは、2023年までには、25億台普及し、売り上げは700億から750億ドル(約8兆1300万円)に達する可能性がある。モバイル、スタンドアローン、ゲーム機、PCを含めたVRは、同じ時期までに300億台が普及し、100億から150億ドル(約1兆6300億円)の売り上げが得られる可能性がある。この開きはかなり大きい。なぜそうなるのか、少し掘り下げて考えてみよう。

AR/AVプラットフォームの収益

青はモバイルAR、緑はスマートグラス、赤は高級/スタンドアローンVR製品、紫はモバイル/スタンドアローンVR (Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

モバイルAR

モバイルARの収益は昨年をわずかに上回ったものの、プラットフォームのレベルでの根本的なデータを見ると、長期的なモバイルARの普及台数は見積もりを下方修正する必要がありそうだ。AppleとFacebookはそれぞれプラットフォーム(ARKitとSpark AR)を保有しているが、Googleにはそれがない。昨年、ARCoreを組み込んだデバイスを1億台から2億5000万台に増やすには、Android端末のメーカーとの協力に頼らざるを得なかった。

それでも大きな数字だが、私たちのAR/VR分析プラットフォームの予測では、ARCoreの普及台数の成長曲線は、2021年までAppleやFacebookの跡を追うことになっている。ARKitとSpark ARの成長曲線が、これまでの予測のまま維持されたとしても、ARCoreが伸び悩めば、モバイルAR市場全体の普及台数は、2023年までに25億台をわずかに超える程度にとどまる。

ARモバイル・ビジネスモデルの収益

緑はアプリストア、赤は電子商取引、紫は広告費、オレンジは事業向け
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

自動車、衣料からオモチャまで、大きな10のカテゴリーをカバーする電子商取引は、モバイルARの最大の収入源になることは確実と思われている。それに、小売から消費者向けパッケージ製品、旅行にいたる11の主要広告主カテゴリーが加わると、それはモバイルARの長期的な収益の4分の3を占めるようになる。

AR電子商取引の売り上げ

青のその他、緑の衣料、赤の一般消費者向け電子製品、紫の自動車、オレンジの家具、深緑の医療/介護、ピンクのオモチャ/ホビーなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

モバイルARのアプリストアでの収益(アプリ内購入と単独購入を含む)は、現在のところ『Pokémon GO』を筆頭とするゲームに独占されているが、将来的にモバイルARが組み込まれたデバイスが増加すれば、ゲーム以外の主要アプリによるモバイルARの売り上げは、2023年までに総収益の半分を超えるだろう。モバイル市場全体を見渡せば、スタンドアローンのモバイルARアプリがアプリストアのトップに登りつめるまでには、まだまだ苦戦を覚悟しなければならない。モバイルARには、独立した新しいアプリとしてよりも、一般に浸透しているアプリの中のひとつの機能としてのほうが、大きく成長できたはずだ。

アプリストアでのモバイルARカテゴリーの収益

青のゲーム、緑のソーシャル、赤の写真/動画、紫の娯楽などと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

スマートグラス

スマートグラスが大衆市場の一般的なデバイスになるためには、5つの大きな課題を解決しなければならない。それは、(1)ヒーロー・デバイスになること(たとえばApple社製のクオリティー。そこではAppleが作ったのかどうかが問われる)、(2)1日使えるバッテリー寿命、(3)ネットへの接続性、(4)アプリのエコシステム、そして(5)価格だ。一筋縄ではいかない課題だが、これらが解決すれば、2020年の中期以降も企業の注目を集めることができる。今年は、スマートグラスの販売台数は、全世界で数千万台を維持できるだろう。

スマートグラスのビジネスモデルの収益

青がハードウエア、緑がアプリストア、赤が電子商取引、紫が広告費、オレンジが事業向け、ピンクが位置情報 (Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

2016年に私たちが予測したとおり、もしAppleが2020年後半にiPhoneに接続して使うスマートグラスを販売したなら、AR/VR市場はついに転換点を迎えることになる。とは言え、2023年はまだ、スマートグラスの長期的収益は、ハードウエアとハードウエア以外の事業向けの収益がほとんどを占める状態が続くだろう。一般消費者向けスマートグラスの大衆市場は、Appleが参入したとしても、まだまだ先の話だ。

スマートグラスの事業収益

青の製造/資源、緑の技術/メディア/通信、赤の政府(軍を含む)、紫の小売りなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

これまで、スマートグラスの事業者向け試驗プロジェクトと本格的な展開が初期段階の技術プラットフォームの兆候とされてきたが、現実には、HoloLensやScope ARを使うことで衛星製造作業を50パーセント以上減らすことができたロッキード・マーティンなどの企業からの需要に生産が支えられている。スマートフォンに接続して使うスマートグラスがシステムのコストを削減し、応用の幅を広げてくれるなら、製造/資源、技術/メディア/通信、政府(軍を含む)、小売り、建設/不動産、医療、教育、運輸、金融サービス、公共施設などの産業は2021年に転換期を迎え、事業者向けスマートグラスの収益は跳ね上がるだろう。

VR

VRは、今年、ハードウエアとゲームによる収入を引き続き柱として、適度な成長を取り戻す可能性がある。第二世代のスタンドアローンの高級VRヘッドセット(今年発売されるものではない)は、2020年から2021年の間、促進剤として活躍するだろう。そのためには、高い性能と、充実したコンテンツと、低価格が欠かせない。幸いなことに、そのころにはVRプラットフォームを運営する業者は、散乱した現在のプラットフォームを整理して製品の範囲を絞り込んでいることだろう(これはスティーブ・ジョブズの1997年のシナリオからの受け売り)。

VRビジネスモデルの収益

青はハードウエア、緑はアプリストア、オレンジは事業、深緑は動画、赤は位置情報
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

VRの収益は、おもに娯楽によるものだ。そしてそれは、普及率とユニットエコノミクスの関係で、スタンドアローンのモバイルVR製品よりも、高級な、またはスタンドアローン型VR製品によるところが大きい。長期的収益の大部分はゲームが占め、続いてハードウエア、事業向け(ハードウエアを除く)、動画、位置情報を使った娯楽となっている。VRプラットフォームの運用者はゲームに焦点を当てているため、ゲーム機でのゲーム以外の収入源を多様化しようと思うと、ソニーやMicrosoftが戦ってきたのと同じ困難に遭遇することとなる(結果はまちまちだ)。

AR/VRの国ごとの収益

青は広告、緑はアプリストア、赤は電子商取引、紫は娯楽、オレンジはハードウエア、深緑は位置情報、ピンクは動画
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

 

これからの5年間は、アジアがAR/VRを支配することになり、2023年には、北アメリカとヨーロッパを合わせたよりも多くの収益を得る。この市場への中国の関与は群を抜く。長期的にそこは、単独でもっとも大きなAR/VR市場となるだろう。

では、AR/VR 1.0からAR/VR 2.0に移行するには何が必要か?

AR/VR 1.0からAR/VR 2.0に移行するには、数多くのものが必要となる。

大きな摩擦を小さくする:AR/VR 1.0には、その大部分において、インストール、ユーザー・エクスペリエンス、ユーザー・インターフェイスの面で、いまだに大きな摩擦がある。いろいろな意味で、今のこの市場は、スティーブ・ジョブズがiPodを発売する以前のMP3プレヤーの市場によく似ている(アナログの感覚を捨てきれずにいたときだ)。AR/VR 2.0の摩擦を小さくする努力はまだ道半ばだが、今必要なのはAppleのスマートグラスだ(名前はiGlassesとなるかどうかは別として)。第二世代の高級なスタンドアローンのVR製品(Oculus QuestやHTC Viveの次の世代)とモバイルARの開発者は、NianticやHouzzなどの教訓を学び、それを超えるためのイノベーションに取り組んでいる。

エクスペリエンスからユースケースへ:AR/VR 1.0ではいろいろな「エクスペリエンス」があった。なかには、見た目は強烈だが有意義なユーザー・エクスペリエンスを提供してくれないアプリもあった。AR/VRのドラゴンやポータルには最初はびっくりするが、すぐに飽きてしまう。AR/VRの次の段階は、一日中、しかも毎日使う重要なアプリの機能として、決定的なユースケースに対応することだ。

スタンドアローンから機能へ:今日まで業界は、スタンドアローンのアプリに大きく集中してきたが、私たちが使っているアプリの主要な機能は、もっと利用度が高く、より大きな商業的な成功をもたらしてくれる。ナビゲーション(Google Map)、電子商取引(AmazonWalmartAlibaba)、メッセージ(Facebook Spark ARSnapchat Lens Studio)などは、そのほんの一例だ。

高価から安価へ:初期のAR/VR製品の価格は、3000ドル(約30万円)のHoloLensから200ドル(約2万円)やOculus Goから無料のモバイルARまでさまざまだった。しかし、モバイルのように、すでにユーザーがデバイスを所有している場合は、特定のユースケースを除けば、競争の激しいプラットフォームは価格以上のものを提供している。AR/VR 2.0では、価格は問題とならないため、高い価値を提供しなければならない。

点のソリューションからエコシステムへ:初期のAR/VRアプリの娯楽用(ゲームや動画)または、特定の問題を解決するためのひとつのソリューションを提供するものが大半だった。上で述べたように、AR/VRは、その規模を拡大するためには独自のリアリティー・エコシステムが必要だ。

低い投資利益率を高く:消費者にとってこれは、単に「わぁ!」とびっくりする以上のものが得られるアプリを意味し、企業にとっては、投資した以上の実益をもたらすアプリのことを意味する。これは、ロッキード・マーティンやBellといった企業の活動で実現し始めている。

試験から生産へ:企業向けAR/VR 1.0では、数多くの試験プロジェクトが行われてきたが、製品化されて本格生産に移ったものは少ない。これが変化しつつある。Walmart(STRIVR)などは、本格生産に入ろうとしている。

内輪ネタからブランドへ:AR/VR業界は、いまだにAR、VR、MR、XR、あるいは空間コンピューティングという言葉で自分たちを言い表すことのメリットについて論議し続け、それらをパイプでつなぐ内部的な作業に多くの時間を費やしている。しかし、初期の支持者ではない一般の消費者や企業にとっては、どうでもいいことだ。彼らは、決定的なユースケースに対応してくれるブランドを買うだけだ。それには、ユーザーに明確な焦点を当てることが必要であり、彼らにどのようにマーケティングするかが成功の鍵となる。

細分化から支配へ:AR/VR 1.0は、まだ初期段階であり、ユーザー基盤も比較的小さいのにも関わらずハードウエアとソフトウエアにまたがって細分化したままの状態にある。しかし現在、この業界は、重要な少数のプラットフォームに絞り込む腹を決めたようだ。市場の中のカテゴリーごとに、プラットフォームが自然淘汰され、少数の支配的なものが残ることになるだろう。

夢想からデータ駆動型へ:AR/VR 1.0の企業は、初期の市場の独立した情報源提供者が参入してこなかったこともあり、その多くが実際の数字の公表を怠ってきた。しかし、Digi-CapitalのAR/VR分析プラットフォームが開発され、ロードマップ、国際展開、投資額、評価額などに関する細かい疑問に答える確かなデータや分析結果が得られるようになると、もう隠してはいられなくなった。

VC投資からゴキブリ(資金調達)へ:昨年は、豊富な資金を持ついくつもの先駆者的企業の市場から撤退が始まった。2019年には、収支の合わない企業の大淘汰が行われる可能性がある。アメリカのAR/VR投資市場は、2018年の第四四半期の下落から回復し始めている(中国の投資も加速している)が、AR/VR 2.0では、VC投資を求めるよりも、金儲けをして、「ゴキブリ」のように無節操にバーンレートにこだわることが重要だ。

その他からAppleへ:2020年後半にAppleがスマートフォンと使うスマートグラスを発売したならば、AR/VR 2.0に「iPod現象」が起きる。つまり、新しい標準となるフォームファクターが生まれ、長期的な大衆市場が始まるのだ。ただしこれは、かならずしも業界においての「iPhone現象」ではないことを覚悟しておくべきだろう。こうした促進剤が登場しても、大衆市場が確立されるまでには5年以上かかるからだ。

否定から受容へ:2019年は「AR/VRの年」ではない。また、マーク・ザッカーバーグが言う「10億人がVRへ」も実現しないだろう。マークもそれを認めている。なので、市場の次の段階では、慎重な楽観主義が広がることに期待しよう。

AR/VR 3.0はどうなのか?

2023年までにAR/VR市場は、800億ドルから900億ドル(約9兆7600億円)規模に成長する潜在力があると私たちは見ているが、そこでAR/VR 2.0が完結するわるわけではない。それには、価格が同じでiPhoneに取って代わる軽量なスタンドアローン型スマートグラスなどの誕生が必要だ。そうしたAR/VR 3.0のビジョンを実現させるには、技術的にもコンテンツ的にも骨の折れる仕事を経なければならないわけだが、その前に、AR/VR 2.0を正しく導くことが重要だ。

これからエキサイティングな時代になる。次に何が現れるか、とても楽しみだ。

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(翻訳:金井哲夫)

Intel、スマートなスマートグラスを発表――網膜走査、単色、カメラなし

スマートグラスについては長年実用化の努力が続けられてきたが、まだ成功していいない。 Google Glassesはひどく嫌われて失敗したし、Snap Spectaclesもブレークしなかった。しかしIntelの参入で事情は変わるかもしれない。

Intel VauntはまずVergeで報じられたが、普通のメガネと外観ではほとんど区別がつかない。 Intel Vauntわずらわしいさばるスクリーンを必要としな方式で、重量は50グラム(Snap Spectaclesとほぼ同じ重さ)だ。このスマートグラスは度入り、度なし、どちらのレンズにも対応し、カメラは内蔵していない。

装着者はワービーパーカーの洒落たメガネをかけているとしか見えない。

しかしツル部分にはクラスIの低出力レーザー、CPU、Bluetooth、コンパスが内蔵されている。

このレーザーはIntelによれば「きわめて低出力でクラスIにしてもその下限」だという。赤の単色光で網膜に直接400×150ピクセルの像を描写する。

スマートフォンからの各種通知が表示される他に、キッチンにいるユーザーにレシピを表示するなどの能力がある。網膜走査型のためユーザーがメガネを使っているかどうかと関係なく常に像は明瞭な焦点を結ぶ。将来のモデルにはマイクが追加され、 Alexa、Siri、Gogle Assistantのようなスマートアシスタントからの操作ができるようになるはずだが、第一世代のVauntは装着者が頷くことで操作される。これはかなり小さい動作だ。Intelではこのメガネができるだけ目立たずに日常生活に溶け込むことを狙っている。

現在のところVauntグラスの販売のスケジュールやチャンネルについては未定だが、Intelでは「直接販売よりOEMチャンネルを通すほうが可能性が高いだろう」としている。

またこれに関連してIntelはこのプラットフォームをサードパーティーのデベロッパーに開放し、利用するプログラムを開発するSDKも提供するという。

このデバイスがメインストリームの製品となるかどうかまだ不明だが、Intel Vauntこれまででもっとも成功の可能性が高いスマートグラスのように思える。まだ開発のきわめて初期の段階なので、価格や出荷時期、またそもそも大規模に生産されるのかどうかなどは不明だ。

画像: courtesy Vjeran Pavic/The Verge

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

普通の眼鏡をスマートグラス化、スライド式着脱機構「neoplug」。鯖江ブランドを世界規格へ

eng-logo-20151月19日まで開催中の第4回ウェアラブルEXPOより。メガネブランド「JAPONISM」などを擁するボストンクラブは、眼鏡のテンプル(つる)部分に様々なアタッチメントを装着するためのマウント規格「neoplug」の展示を行っています。

neoplugは、テンプルの蝶番付近を凹ませた形状にすることで、対応した形状のデバイスを装着できるマウント機構。装着部分を標準化することで、デバイスメーカーと眼鏡メーカーのそれぞれが、製品開発に集中できるようにするのが狙いです。デバイスの着脱は、たたんだ状態のテンプルにスライドしながら差し込むようにして行います。

Gallery: スライド式デバイス着脱機構neoplug:ウェアラブルEXPO | 15 Photos

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ブースでは、neoplugに対応させた眼鏡にARデバイスなどを装着したサンプル展示を実施。neoplugに正式対応した最初の眼鏡「np-001」も展示しています。

np-001は、テンプル部分にneoplugを採用した点以外はきわめてシンプルなウェリントンタイプの眼鏡。2016年12月、クラウドファンディングサイト「FAAVO」において、目標金額350万円でプロジェクトをスタートし、2017年2月に無事目標を達成。neoplug採用の製品としてリファレンス的な位置付けです。配布資料によれば、ナイロン素材のテンプル内部にチタンの芯を挿入し、フィッティングを容易にしたといいます。市販時期・価格は今のところ未定。

neoplugの構造は非常にシンプルなので、テンプル部分を規格に合致させるだけであらゆるものが眼鏡に装着できるようになります。「Telepathy Jumper」や「picoLinker」など、既存の眼鏡に追加してスマートグラス化するタイプの製品はもちろん、アクションカムやライトなどを気軽に着脱できるのもポイントです。テンプルを交換すれば既存の眼鏡を対応させることもできますが、説明員によれば、長期間にわたって日常的に使う観点から考えて、強度的に難しい素材もあるといいます。

ブースでは、小型ライトやルーペなど軽量なものを眼鏡に装着したサンプルの展示も行っていました。形状的に直接の装着が難しい外部デバイス向けに、マグネット式のアタッチメントも用意しています。

▲ルーペを装着した状態。必要に応じて着脱できる点が特徴

▲歯科医療機器・器具開発会社FTKと共同で開発した歯科専用眼鏡(参考出品)。ARデバイスの装着にも対応。

▲ニデックの網膜刺激型人工視覚デバイスを装着したサンプル(参考出品)。

目標としては世界標準規格になることを掲げています。直近の展望としては、地域活性化の観点から、デバイスメーカーを含めて、同社所在地の「鯖江(市)ブランド」を打ち出していきたいとのことです。

▲ARデバイス「picoLinker」を装着した状態。

ウェアラブルデバイスとしてのスマートグラスと、ファッションアイテムとしての眼鏡のギャップを埋める規格であり、アイデア次第ではいろいろな使い方が考えられます。テンプルの厚みや太さが限定されるという点は少々気になるところですが、強度さえ確保できれば、その点はある程度解消できるでしょう。

眼鏡は日常的に装着する器具ですが、アクセサリーとしての側面もあるので、デバイス側ではなく、眼鏡メーカーがこうした規格を提唱することには一定の意義があるように思えます。特定のデバイスメーカーと組むわけでもなく、眼鏡メーカーとしてはサイズと形状だけを定めて、あとはおまかせ、というのも、落とし所としては妥当な線ではないでしょうか。

neoplugは、ボストンクラブがコンセプトの発表を含めて2年越しで取り組んでいる規格です。素早く、簡単に切り替えられる国内発の機構として、今後の展望が楽しみな一方、規格に賛同する企業をこれからどれだけ獲得できるかも、課題のひとつといえるかもしれません。

▲アルプス電気のセンサネットワークモジュール開発キット。MEMSセンサとBluetoothモジュールのセットで、地軸+加速度(6軸)、気圧、温湿度、照度を測定可能

Engadget 日本版からの転載。

視覚障害者も”見える”ようになるスマートグラス―、オックスフォード大研究者らが開発

世界の人口の1%(約7000万人)が視覚障害に苦しんでいると言われている。

コンシューマー製品が狙う市場規模としては、この数字は大したことがないかもしれないが、視覚障害者をサポートするテクノロジーの少なさを考えると、これは膨大な数だと言える。

昨年オックスフォード大学のプロジェクトから誕生したスタートアップのOxSightが、彼らの生活を変えようとしている。同社は、視覚障害者が身の回りのものを認識し、障害物を避けることを可能にするARスマートグラスを開発し、現在そのテストを行っている。彼らのプロダクトは、言うならば視覚障害者用の補聴器のようなものだ。

OxSightのスマートグラスは、将来的に杖や補助犬の代わりになるかもしれない。杖や補助犬でも近くにある障害物は避けることはできるかもしれないが、自分の周りの環境全体を感じとることまではできないのだ。

OxSightのスマートグラスは、将来的に杖や補助犬の代わりになるかもしれない。

これまでに彼らのプロダクトを試した人のほとんどは、生まれつき全盲ではなく、生活するうちに段々と視力が落ちてきた人たちだった。というのも、OxSightのスマートグラスは、光の認識であれ動きやモノの形の認識であれ、利用者にまだ残されている視力を増強する仕組みになっているからだ。

ユーザーの脳へは何も接続せず、ハードウェアは眼球とも情報のやりとりをしない。その代わりに彼らのスマートグラスには、身の回りの状況を理解するためのAR空間を再現する、透過ディスプレイやカメラシステム、コンピュータビジョンの技術が用いられている。

OxSight layers different Prisma-esc modes and that can be adjusted using hand controls.

OxSightはPrisma風のモードを複数準備しており、ユーザーはコントローラーで見え方を調整できるようになっている。

「視力を失いはじめると、モノの前後関係がつかみづらくなります」とOxSightのファウンダーで、身体制御を専門とする神経科学者のStephen Hicks博士は話す。「別々の場所にあるもののはずなのに、視界がぼやけて一緒に見えてしまいます。しかし私たちのスマートグラスは、モノの位置関係を把握し、それぞれの境目をハッキリ見せることができます。そのため、ほとんどの視覚障害者の目に残っている僅かな視力を使って、彼らはもっと直感的そしてインタラクティブに周りの環境と触れ合えるようになります」

私たちの脳が3次元空間を認識するときのプロセスは、現代のビデオゲームが床やソファー、壁といった要素をマッピングするプロセスと似ている。ゲームのシステムは、大きな物体を認識し、ユーザーとの距離感を測って3次元空間を再現しているのだ。OxSightのスマートグラスは、このコンセプトと私たちの脳の働き方を利用して、マンガのようなレイヤーをユーザーの周りに貼り付けているようなイメージだ。

最小限の視力が残っている人であれば、周りにいる人をスマートグラスが投影したハリボテのような姿で認識することができる。さらにその人の視力に応じて、色やズーム機能を使って見え方をカスタマイズすることも可能だ。視覚障害者といってもひとりひとりの状況は全く違うため、OxSightはユーザーがそれぞれ最適だと思う形で周りを認識できるよう、見え方を調整できるようにした。

A research participant wearing OxSight while bowling.

OxSightのスマートグラスをかけながらボーリングを楽しむ被験者。

「つまり、ユーザーは普通の人のように世界を認識できるようになります。しかしそれはあくまで、なんとなくどんなモノが眼前にあるのかというオーラを感じ取ることができるという程度に過ぎません。一方でこれは、例えば暗い場所で出入り口を見つけたり、障害物などをさけたりする際には大変便利なことです」とHicksは話す。「私たちのスマートグラスはモノの輪郭を目立つように強調するので、ユーザーはすぐに、そして直感的に周りを認識できるようになります。音で空間を認知する手法など、視覚障害者を助けるための手段は色々と考えられてきましたが、どれも習得までに時間がかかる、複雑で難しいものばかりでした」

スマートグラスを初めた試した人のほとんどは、「自由に動き回れる」「心配せずに外出できる」「バーやレストランといった視界の限られる暗い場所にも行ける」といったコメントを残している。さらに被験者の多くは、再び家族の顔を見ながらコミュニケーションがとれることに感動しており、特に二度と家族の顔を見ることができないだろうと考えていた人たちの喜びはひとしおだ。

The attached battery pack can be worn over the shoulder and has hand controls for adjusting to different lighting and settings.

付属のバッテリーパックは肩からかけられるようになっており、明るさなどの設定もバッテリーパック上で調整できる。

これまでこのようなデバイスの販売を試みた企業がないため、どのように市場で販売するかや、それにどのくらいの資金が必要になるかなど、製品化に向けてはわからないことだらけだ。一方でOxSightは政府・民間どちらからも助成金を受けており、慈善心溢れる投資家も見つけることができた。「大金を稼げなくても、OxSightはとても楽しいビジネスです。これから私たちが開発しようと考えているプロダクトはまだまだありますし、それが何かの助けになる人もたくさんいると思います」とHicksは語る。

OxSightが今抱えてている最も大きな問題が、何をMVP(実用最小限の製品)とするか、そしてどのようにプロダクトを市場で販売するかということだ。医療機器に関する規制はたくさん存在し、モノを認識する機能や形状、長持ちするバッテリーなど、コンシューマー向けプロダクトとは違った要件も満たさなければいけない。そこでOxSightは、視覚障害者をサポートすることにフォーカスし、このようなニーズに答えられるようなプラットフォームをつくろうとしている。一方で彼らは、ハードウェアの進歩に連れて、企業としても成長していきたいと考えている。最終的には、スマートグラスの核にあるAR技術と同じものを使って、認知症や自閉症、失読症に苦しむ人たちにも有益なプロダクトが開発できるだろうとHicksは話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter