スマートミラーを使ってみて感じた5つのこと

最近、レビュー用のスマートミラー「Embrace」が届いた。40インチもある鏡で、鏡の裏に24インチAndoroidタブレットをセットし、サードパーティ第三者のソフトウェアで作動させるというもの。今回はそのEmbraceを実際に使ってみて感じたことをお伝えしよう。

スマートミラーのいい写真を撮るのは無理

まずはこのスマートミラーがどんなものかを示そうと写真を撮ったのだが、これには手を焼いた。三脚を使ったり、自撮り棒を使ったり、アングルを変えてみたり。考えつくあらゆる方策で試したのだが、正直、実物の良さを写真では伝えられていないと思う。スマートミラーを取り付けた洗面の照明をつけると、文字が鏡に浮かび上がる。これはなかなかいい。時刻表示も大きく、その下に表示される情報は数フィート離れたところからでもはっきり見える。

洗面を暗くすると、鏡裏にあるタブレットが透けて見える。というのも、スクリーンは完全に真っ黒というわけではなく、実際グレーに光るからだ。しかし、これは大した問題ではない。タブレットは一定の時間使わなければオフになり、ほとんどの場合、洗面の照明が灯ると自動で起動する。つまり、洗面に入って照明をつけるまではこのスマートミラーはただの鏡だ。

スマートミラーアプリはたくさんあるが、使えるのは一握り

このスマートミラーには、背面で使うAndroidタブレットに入っているソフトウェア以外のものは用意されていない。やや残念だが、だからといって致命的というほどではない。実際、Play Storeにはスマートミラー用のAndroidアプリがいくつかある。僕が気に入ったのは1つだけだったけれど。

僕がEmbraceを“魔法の鏡”にするためにアプリの「Mirror」を選んだのは、一つはインターフェースがこざっぱりとしていて、文字のフォントも快適だったからだ。データモジュールの場所が複数から選べたらなお良かったのだが。このアプリが最後に更新されたのは2017年7月なので、使う際には自己責任でお願いしたい。

同様に使えるアプリとしては、Googleの斬新なアイデアを生み出すチーム、Google XにいたMax Braun氏によるものがある。彼が作ったスマートミラーは2016年に発表され、スマートミラー作りのノウハウも公開すると同時に、ソフトウェアもGitHubにアップロードしている

子供はスマートミラー大好き

僕の子供はテクノロジーに囲まれて育ってきた。だから、大抵のものでは驚かない。これは僕にも責任があるのだけど。しかし、今回のスマートミラーは違った。かなりスマートミラーを気に入って、ベタベタ指紋をつけながらしょっちゅういじってる。子供たちは、あっという間にソフトウェアをマスターし、たくさんのゲームをデバイスにインストールした。結局、僕と子供2人は、家にのあちこちにあるデバイスではなく、真っ暗な洗面にこもって、スマートミラーでゲームをしたりYouTubeを観たりした。

おそらく、これこそがスマートミラー製作者の意図だ。開発元は、鏡の前で身支度をしながら、メーキャップを指南するYouTubeビデオを観るというような使い方を提案している。実際、そうした使用方法はありだろう。ただし、難点もあるにはある。鏡ごしにスクリーンを操作するので、最新のAndroidタブレットのように素早く反応するわけではない。それはひとえに、タブレットが鏡で覆われているからなのだが、それは同時にタブレットから洗面の湿度を遠ざけていることをも意味し、その点は安心して使える。

大人にはつまらないかも

僕の家にはかなりのガジェットがあり、うちにきた友達はガジェットをいろいろと試す。そうしたガジェット類を使ったときの反応と、スマートミラーのときとではかなり違った。

「Matt、これ一体何?」と洗面の扉の向こうから尋ねてくる。「スマートミラーだよ」と僕が声を大にして返す。すると、彼らはトイレの水を流し、眼を大きく見開きながら洗面を後にする。

このスマートミラー、いいね、みたいなことを言ってくれる大人はまだ一人もいない。

確かにつまらない

スマートミラーというのは実際、馬鹿げたガジェットだ。ある程度おもしろいのだけど、結局のところ、天気情報を調べたりするだけのガジェットにすぎない。鏡は指紋だらけになり、動画を観るには画面がやや暗い。

Embraceに関していえば、ソフトウェアは用意されていないがハードウェアは悪くない。ミラーは薄く、VESAポートを使えば壁にかけるのも簡単。装置の下の方にはスイッチがあり、カメラのオンオフなどが操作できる。防塵・防水機能のIP65規格をクリアしているので、洗面でも使える。モーションセンサーでデバイスを起動できるし、子どもがいなければの話だが、そう汚れるわけでもない。

繰り返しになるが、このスマートミラーはソフトウェアが用意されていないので、Andoroidタブレットのホームスクリーンにウィジェットを加えなければならない。この点について、僕は納得いかない。この手のものは最低必要限のソフトウェアを用意しておくべきだ。箱から取り出した段階では、ただの鏡とAndroidタブレット。これだけでは使い物にならないのだ。幸い、この問題の解決策となる無料アプリがいくつかある。

Embraceの価格は1299ドルもするが、これは販売されているスマートミラーの中では最安値の部類に入る。もちろん、スマートミラーはDIYも可能で、The Vergeが指摘しているように、けっこう簡単であることも付け加えておく。

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(翻訳: TechCrunch翻訳チーム)