ニュースからAIで業績予測を行うゼノデータが7.8億円を資金調達

写真前列中央:ゼノデータ・ラボ 代表取締役 関洋二郎氏

金融情報のAI分析サービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」を開発するxenodata lab.(ゼノデータ・ラボ)は3月25日、総額7億8000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社が展開するxenoBrainは、経済ニュースや決算情報を自然言語処理により解析し、企業の業績への影響を予測するサービス。2018年11月から提供開始された。ウォール・ストリート・ジャーナルなどで知られるダウ・ジョーンズの持つ過去10年分以上のグローバルニュースデータを中心に、30万本を超える記事に含まれる過去の経済事象の連関から企業の利益影響を自動で分析し、業績予測を行う。

金融機関出身者を中心に開発されたxenoBrainには、ニュースをリアルタイムに分析し、ニュースに関連して将来影響を受ける企業や経済情報が把握できる機能や、上場企業3600社超の決算内容を発表後1分で分析し、レポートする機能などが搭載されている。

ゼノデータ・ラボは2016年2月の設立。MUFG Digitalアクセラレータの第1期に採択され、グランプリを受賞し、三菱UFJ銀行、帝国データバンクなど9社と資本提携を行っている。また2018年7月にはBloombergとのデータ連携、ダウ・ジョーンズとの業務提携も実施し、同年xenoBrainをリリースした。

今回の調達金額のうち6億8000万円は第三者割当増資、残りは融資によるもの。第三者割当増資の引受先は慶應イノベーション・イニシアティブ、第一生命保険、時事通信社、ジャパンインベストメントアドバイザー、ナントCVCファンドなど合計13社と、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長の藤野英人氏ら4名の個人投資家だ。

■出資先一覧

<第三者割当増資>
慶應イノベーション・イニシアティブ
第一生命保険
時事通信社
ジャパンインベストメントアドバイザー
帝国データバンク
DBJキャピタル
内藤証券
ナントCVCファンド(南都銀行とベンチャーラボインベストメントの共同設立によるファンド)
フリービットインベストメント
横浜キャピタル
三井住友海上キャピタル
静岡キャピタル
山梨中銀経営コンサルティング
他、藤野英人氏含む個人4名

<融資>
商工組合中央金庫

調達資金により、ゼノデータ・ラボではxenoBrainの機能・コンテンツ拡充を図る。xenoBrainの分析対象ニュースの拡充やサプライチェーン分析といった機能開発を行う。機能拡張により、現在は大手金融期間を中心に展開されているxenoBrainの対象ユーザーを一般の事業会社にも広げ、より幅広い利用を目指す。また、出資先各社との業務提携、連携も順次発表するとのことだ。

金融情報分析AI開発のゼノデータラボがダウ・ジョーンズと提携、企業の業績予測サービス開発へ

金融情報分析AI開発のゼノデータラボは7月27日、ウォール・ストリート・ジャーナルなどで知られるダウ・ジョーンズと業務提携し、将来予測AIの開発、営業を開始したと発表した。

開発中の新しいプロダクトはSaaS型のWebサービス、「xenoBrain(ゼノブレイン)」。これはダウ・ジョーンズ社の持つ過去10年以上分のグローバルニュースデータに、ゼノデータラボの保有する自然言語処理技術を応用することで、ニュース記事に含まれる過去の経済事象の連関から企業の利益影響を自動で分析し、企業の業績予測を行うAIだ。β版はこの秋にリリースされる予定だという。

同社には「xenoFlash(ゼノフラッシュ)」というサービスがある。これは高度な自然言語処理を用いたAIを使って決算発表資料の全自然文データを解析し、財務数値の背景となる文章を自動で解析、解説文を出力するものだ。

今回のxenoBrainは何が違うのか。代表取締役社長の関洋二郎氏は「xenoFlashがなぜ増益だったのか、なぜ減益だったのか、という過去の分析に焦点を当てているのに対し、新サービスでは将来どうなっていくのか、今後増益なのかというところを解析する」のだと説明した。

「我々の自然言語処理は現在、決算短信だけだが、これからはニュースを含めて自然言語処理対象にし、分析を広げていく」(関氏)

xenoBrain上では左側にニュースが流れ、好きなニュースをクリックすると、「ニュースがどの企業のどの会計科目にどうインパクトを及ぼしうるのか」というところを、理由や背景なども含めて自動で解析する。

xenoBrainのイメージ画像

今後ゼノデータラボの株主でもある三菱UFJ銀行でxenoBrainの実証実験をする予定。三菱UFJ銀行の法人取引の部門に同サービスを展開し、上場企業の分析業務効率化に役立て、企業分析シーンにおける早期の実用化を目指すのだという。また、同サービスの最初期ユーザーとしてレオス・キャピタルワークスの先行利用が決定している。

「(ターゲットユーザーは)毎日のニュースから株式ポートフォリオの影響を分析するファンドマネージャー、担当顧客に対してより付加価値のある提案を模索する大企業営業やコンサルタント、より説得力のある提案で個別銘柄の取引を活性化させたい証券営業担当」(関氏)

関氏はxenoBrainで「風が吹けば桶屋が儲かるをビジュアライズ化した」と語っていた。