SnapchatのPRを担当した企業がInstagram上のSpectaclesの宣伝をサボったインフルエンサーを告訴

【抄訳】
もしもSnapchatのPR企業がこの訴訟で勝ったら、インフルエンサーを利用するマーケティングは今後責任が重くなるだろう。Snapchatは、ソーシャルメディアのスターたちが同社のカメラサングラスSpectaclesのv2を、同社の最大のコンペティター(Instagram)の上で宣伝し、人気を盛り上げてくれることを期待していた。なにしろv1は22万台しか売れず、4000万ドルを償却せざるをえなかった。しかしところがSnapは、一般消費者にSpectaclesをクールと思わせたいあまり、やり方がややずさんだったようだ。

Snap Inc.は。同社のPRを担当しているPR Consulting(なんと想像力豊かな社名だろう!)に、Instagramを利用するインフルエンサーマーケティングキャンペーンを委嘱した。PRC社は、テレビの人気コメディGrown-ishに出ているLuka SabbatがKourtney Kardashianと共演しているのを見て、彼を起用した。Sabbatは前金45000ドルをもらい、Spectaclesを着けている写真をInstagramにポストしたらさらに15000ドルもらえることになった。

契約ではSpectaclesを着けた状態でInstagramのフィードへのポスト1回、Storyへのポスト3回、そしてパリとミラノのFashion Weeksへ行ったときも、Spectaclesを着けた状態で写真に撮られること、となっていた。Storyのポストのうち2回は、スワイプするとSpectaclesを買えるリンクがあること。ポストはすべてPRCの事前承認を要すること。それらの効果に関するアナリティクスの数値を送ること。といった契約だった。

しかしSabbatは、Storyは契約3に対し実行1、スワイプ購入リンクは契約2に対し1、事前承認とアナリティクスはゼロ、という実行内容だった。このことを最初に報じたVariety誌のGene Maddausの記事によると、PRCはSabbatに、すでに支払った45000ドルの返金と被害補償45000ドルの支払いを求めて、訴訟を興した。Snap自身は、訴訟に参加していない。

訴状の原文を、この記事の下に埋め込んだ〔この記事の原文で埋め込みを見られます〕。それによると、“Sabbatは不正に金銭を受け取り、PRCに賠償請求の権利が生じた”、とある。Snapは、PRCにキャンペーンを委嘱したことを認め、ファッションブログMan RepellerのファウンダーLeandra Medine Cohenともキャンペーンを契約したことも認めた。そしてこのぼくは、一応礼儀として、Spectaclesを着けたSabbatの顔写真(この記事冒頭)をちょっとPhotoshopした。

【後略】

〔参考記事: Influencer marketing startup Mavrck raises another $5.8M(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Snapchat、第3四半期でユーザー200万人減ー株価も最安値更新

Snapchatは2018年第3四半期も縮小を続けた。しかし事業そのものは堅調に改善しつつある。Snapchatのデイリーアクティブユーザー数はまたもや落ち込み1%減の1860万人で、第2四半期の1880万人、成長率マイナス1.5%からさらに落ち込んだ。それでもユーザー数は前年同期比で5%のアップだ。売上高は2億9800万ドルで、EPS(1株あたり利益)の損失は0.12ドルだった。この数字は市場予想の売上高2億8300万ドル、EPS損失0.14ドルを上回った。ただし、市場の予測ではユーザー減は50万人だった。

Snapの株価は6.99ドルで始まり、これまでで最も低い6.46ドルで引けた。これはIPO時の24ドルよりずいぶん低い。Snapは今期、営業損失3億2500万ドルを計上した。しかし、第2四半期は3億5300万ドルだったので、経費削減が奏功した。この決算が発表された直後、Snapの株価は8.3%高い7.57ドルまで上昇した。

ただ、その後株価は時間外取引でマイナス9.3%の6.31ドルまで下がった。同社の株は控えめな事業成長を評価するインベスターにより大量に購入されたが、Snapがさらに不振に陥るかもしれないという懸念が投資家心理を冷やした。Snapが来期もユーザー離れに直面するだろうという予想がさらにインベスターをおののかせた。

懸念材料となるが、Snapchatのユーザー1人あたりの平均売上は今期、発展途上国で12.5%落ち込んだ。しかし米国と欧州マーケットの貢献により、世界のユーザー1人あたりの平均売上は14%伸びた。Snapは、ホリデーシーズンがある第4四半期の売上は、アナリストの予測と同じ、3億5500万ドルから3億8000万ドルを予想している。

CEOのEvan Spiegelは、周到に準備された声明で、「我々のコアユーザーである米国と欧州における13〜34歳には素晴らしくアプローチできた一方で、世界にはSnapchatを使っていない人が何十億人もいる」と認めた。彼は、ユーザーを200万人失ったのは、iOSと同じように作動していないAndroidのためだと説明した。特に目立つのが、米国とカナダにおける月間アクティブユーザーの減少だ。Snapは、おそらくデイリーユーザーの減少から気をそらすためだろうが、前四半期の月間ユーザーは1000万人超だったと語った。

Spiegelは声明で、今後の目標は今年損益なしにし、2019年に通年で収益化することだと述べている。しかしCFOのTim Stoneは「2019年を考えるとき、内部の外に向けた目標は、増収の加速、そして通年でのフリーキャッシュフローと収益性だ。内部のストレッチゴールは予想ではないことを心に留めておかなければならない。それはガイダンスでもない」と語った。

電話会見の間、SpiegelはAndroidにおけるオーバーホールのスケジュールについての質問について「質には時間が伴う。正しいと思えるものになるまで待つつもりだ」と答えている。しかしアナリストは、Snapがいかに2019年に挽回するかについての質問を浴びせた。Spiegelは1日あたりの利用が35億回から30億回へと減ったことを認めたが、インベスターを安心させようとユーザーの60%超が毎日利用していると語った。

Spiegelは、米国と欧州で13〜34歳のグループ以外にユーザーを拡大すること、Androidアプリを通して発展途上国でより多くのユーザーを獲得することが推進力の維持につながると語っている。しかし問題なのは、年配のユーザーをくどくのは、親や先生、上司が同じアプリにいることを快く思わない若いユーザーにとってほろ苦いものとなるということだ。

現金および有価証券が14億円に減ったSnapは、世界でより多くのユーザーの獲得を始め、収益化を改善する必要がある。

困難なバトル

第3四半期では、Snapchatは同社初の拡張現実Snappableゲームをローンチし、その一方でサードパーティによるゲーミングプラットフォームleakも計画している。Tic-Tac-Toeゲームは8000万ものユニークユーザーがあり、ゲームはSnapが前進するのにとるべき正しい道なのかもしれない。

デベロッパーやクリエイターがつくったAR体験への注意をひくためのLens Explorerを、そしてスポンサー金を集めるためにソーシャルメディアスターをブランドにつなげるStorytellerプログラムを立ち上げた。また、VenmoのようなSnapcash機能を廃止した。しかし最も大きなニュースは、300万ものユーザーを失ったという第2四半期決算からのものだった。これにより一時的に株価は上昇したが、競争とユーザーの減少という要素が株価の最安値につながった。

Snapchatにとって、ユーザーの成長とつなぎとめを加速することになるかもしれない、パフォーマンスをスピードアップするAndroidアプリのオーバーホールを行うプロジェクトMushroomは頼みの綱だ。Snapは何年にもわたって発展途上国のAndroidマーケットを無視し、iPhoneを使う米国のティーンエイジャーにフォーカスした。Snapchatがクイックなビデオにかかるものであることを考えるとき、遅いローディングはまったく使い物にならない。特にネットワーク接続が遅いマーケットや古いスマホだとそうなる。

競合相手をみると、Snapchat Storiesを真似たWhatsAppのStatusはデイリーユーザーが4億5000万人に成長し、InstagramのStoriesは4億人に届いたーそれらの多くは発展途上国におけるもので、ゆえにInsta Storiesのローンチ時に私が予想したようにSnapの海外での成長をブロックしている。Snap Mapはユビキタスにならず、Snapのオリジナルショーはまだたくさんの新規ユーザーを惹きつけるほどにプレミアムにはなっていない。Discoverはクリックのための餌が多く仕込まれて惨憺たる状況で、すぐに消えるメッセージの最も良いところをInstagramがすでにコピーしている。もしWhatsAppが消えるチャットをコピーしたら、Snapはかなり厳しい立場におかれる。

この調子でいくと、Snapは2020年か2021年に黒字化する前に資金を使い果たしてしまう。これはすなわち、Snapが外部からの投資を得るために新規株式を発行する必要に迫られるか、生き残るために買収されるかということを意味する。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookは新しい機械学習技術で870万件の児童搾取ポストを削除したと主張

Facebookが今日(米国時間10/24)、前四半期には新しい技術により、児童搾取の規則に違反している870万件のコンテンツを削除した、と発表した。同社が昨年来開発してきた新しいAIおよび機械学習の技術は、それらのポストの99%を、誰かがそれを報告する前に削除した、とFacebookの安全性担当のトップAntigone Davisがブログ記事で述べている。

その新しい技術は、児童のヌードなどの搾取的コンテンツをそれらがアップロードされた時点で見つけ、そして必要ならば、写真と説明文書をNational Center for Missing and Exploited Children(失踪および搾取された児童のための全国センター)に報告する。Facebookはすでに、写真マッチング技術を使って、新たにアップロードされた写真を児童搾取やリベンジポルノの既知の画像と比較していたが、新しいツールは、それまで特定されていなかったコンテンツ(既知でないコンテンツ)がFacebookのプラットホームから広まることを防げる。

その技術は完全ではなく、多くの親たちが、自分たちの子どもの無害な写真が削除された、と不平を言っている。Davisはブログ記事の中でそのことを認め、“虐待‘かもしれない’ものでも排除する方針なので、子どもがお風呂に入っているような一見無害で性的でないコンテンツも対象にしている”、と書いている。そしてこの“幅広いアプローチ”のために、前四半期には大量のコンテンツが削除された、という。

しかしFacebookのコンテンツ調整が完全には程遠くて、多くの人たちが、それは悉皆的でも正確でもないと思っている。家族のスナップ写真だけでなくFacebookは、ベトナム戦争の悲惨さの象徴となった1972年のPhan Thi Kim Phucの、“Napalm Girl”(ナパームの少女)と呼ばれている写真まで削除した。最重症のやけど第三度熱傷を負った少女は、村を南ベトナムのナパーム弾で焼かれ、裸で走って逃げていた。FacebookのCOO Sheryl Sandbergは、後日、その写真を削除したことを謝罪した

昨年、同社のコンテンツ調整ポリシーは、イギリスの国の機関である児童虐待防止協会から批判された。その団体は、Facebookは独立の調整機関の下に置かれるべきであり、ポリシーへの違反には罰金が課せられるべきだ、と主張した。Facebook Liveのローンチもときには同社とその調整者たち(人間とソフトウェアによるモデレーター)にとって逆風となり、性的暴行や自殺、殺人などのビデオが批判された。生後11か月の赤ちゃんが父親に殺されるビデオすら、放送されてしまった。

しかしソーシャルメディアのコンテンツの調整は、AIによる自動化が人間労働者の福利に貢献しうることの顕著な好例である。先月、FacebookのコンテンツモデレーターだったSelena Scolaは、何千もの暴力的な画像を調べさせられたために心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder, PTSD)に陥ったとして同社を告訴した。モデレーターの多くは契約社員だが、その多くが、彼らの仕事の精神的重荷について語り、Facebookは十分な教育訓練とサポートや金銭的補償を提供しない、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、「広告アーカイブレポート」で政治広告費ランキングを公表

明白な理由により、Facebookは中間選挙を前に政治広告の透明性を高めようとしている。去る5月、同ソーシャルネットワークは米国内の政治広告を検索できるデータベース、Ad Archiveを導入した。このほど新たに政治広告費用を週例報告するAd Archive Report機能を追加した。

レポートはキャンペーン別のトップ広告利用者を利用額および広告掲載数と共に公開している。最初のレポートは、FacebookとInstagramで5月から10月20日の期間に掲載された広告が対象で、総額2.56億ドルが160万件の広告に消費された。

この数字にはFacebook自身による選挙の公正化および投票推進運動に関連する広告も含まれている。それ以外ではあらゆる手を尽くして戦っているテキサス州のベト・オルーク下院議員がリードしているのは驚きではないだろう。”Beto for Texas” キャンペーンはこの期間約6000件の広告に530万ドルを使った。

ドナルド・トランプの “The Trump Make America Graeat Again Committee”[トランプがアメリカを再び偉大にする委員会]が190万ドルで2位。ちなみに “Donald J. Trump for President, Inc.” [ドナルド・トランプを大統領に株式会社] は160万ドルで8位だった。これは170万ドルを使ったトム・ステイヤーの”Need to Impeach”[弾劾せよ]のすぐ下だ。こうしたキャンペーンが2020年に向けて膨れ上がっていくことは間違いない。

アーカイブには、7年前まで遡って広告が収納されている。また同サイトでは、データをアクセスするためのリサーチャー向けのAPIも提供している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、盗んだコンテンツのサイトをニュースフィードで降格

Facebookは、低俗なニュースパブリッシャーや他の情報源から不正に記事を転載するウェブサイトのランキングを下げる。本日(米国時間10/16)同社は、コンテンツの信憑性に関するこの新基準に加えて、クリックベイトや低俗広告満載のランディングページのサイトへのリンクを、ニュースフィードで目立たなくすることをTechCrunchだけに伝えた。これはFacebookが行ったアンケート調査と対面インタビューで、かき集めコンテンツをユーザーが嫌っているとわかったことを受けての動きだ。

不正入手された知的財産がニュースフィードで配信されにくくなれば、参照トラフィックが減り広告収入も減るので、悪党共が記事や写真やビデオを盗む動機づけがそもそもなくなる。その結果ウェブ全体でコンテンツの信憑性が改善される効果が期待できる。

そして、 最近起きたFacebookの大規模セキュリティー侵害によって2900万ユーザーが盗まれたプロィールデータが万一オンライン公開されたたときに備えて、Facebookはデータへのリンクをフィードから事実上排除するポリシーをすでに制定している。

Facebookの最新ニュースフィードポリシー変更によって降格されるタイプのサイトは、たとえばこれだ。”Latest Nigerian News” は、最近の私のTechCrunch記事を抜き取り、山のような広告で包み込んだ。

An ad-filled site that scraped my recent TechCrunch article. This site might be hit by a News Feed demotion

「当社は本日より、他サイトのコンテンツを複製、転載するだけで独自の価値を持たない低級なサイトにリンクする投稿を、ユーザーが見ることが少なくなるアップデートを公開する。これに伴い当社のパブリッシャー向けガイドラインを修正する」とFacdbookが低俗広告満載サイトの降格について書いた2017年5月の投稿への補遺書いた。Facebookは新しいガイドラインで、報道機関はコンテンツを転載する際に独自コンテンツや価値を付加しなければFacebookコミュニティーの怒りを買う、と警告するつもりだと本誌に語った。

個人的には、こうした話題に関する透明さの重要性を考えると、Facebookは元記事の更新だけでなく、新たな記事を書くべきだと私は思う。

さて、Facebookはどうやってコンテンツが盗まれたものだと決めるのか? システムはあるページのテキストコンテンツが他のあらゆるコンテンツと一致しているかどうか比較する。この一致の程度に基づいてサイトがコンテンツを盗んだかどうかを予測する。この予測値を、サイト見出しのクリックベイト加減やサイト広告の質と量と組み合わせて盗難コンテンツを決定する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook曰く:アタッカーが連携アプリにアクセスした「形跡はない」

Facebookは、先週発見したデータ流出によってサードパーティーアプリが影響を受けた「形跡はなかった」と発表した。

ハッカーらは、昨年Facebookが不注意から混入させた3つの脆弱性の組み合わせを利用して、少なくとも5000万ユーザーのアクセストークンを盗み出した。その他4000万ユーザーもアタックを受けた可能性がある。Facebookはこれらのトークン(ユーザーのログイン状態を保つために使用される)を無効化し、ユーザーは強制的に同サイトに再ログインさせられた。

しかし、ログインにFacebookを利用しているサードパーティー製のアプリやサイト、サービス(Spotify、Tinder、Instagramなど)も同じく影響を受けた可能性があり、Facebookログインを使用するサービス各社は、ソーシャルネットワークの巨人に回答を求めていた。

「当社は、先週発見したアタック期間中にインストーあるいはログインされた全サードパーティーアプリのログを解析した」とFacebookのプロダクトマネジメント担当VP、Guy Rosenが ブログ記事に書いた。「調査の結果、アタッカーがFacebookログインを使っていずれかのアプリにアクセスした形跡は現時点で見つかっていない」。

「当社が提供している公式Facebook SDKを使用しているデベロッパーすべて——およびユーザーのアクセストークンの有効性を定期的にチェックしているデベロッパー——は、われわれがユーザーのアクセストークンをリセットした際に自動的に保護されている。

Rosenは、全デベロッパーがFacebookの開発ツールを使っているわけではないことを認識しており、そのために「各デベロッパーが自社アプリのユーザーが影響を受けたかどうかを識別し、ログアウトさせるためのツールを開発している」と語った。

Facebookはツールの提供時期については言及しなかった。TechCrunchは同社にコメントを求めており、回答があり次第続報の予定。

今回の不正侵入がヨーロッパで500万ユーザーに影響をあたえたことをFacebookは認めた。当地域のプライバシー保護法は、より厳格で制裁金も高額だ。

新たに制定された一般データ保護規則(GDPR)の下では、仮にFacebookがユーザーデータを保護する努力を怠っていたことがわかれば、欧州の規制機関はFacebookに最大16.3億ドル(前会計年度の全世界売上である407億ドルの4%)の罰金を科すことができる。

画像提供:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

RelikeでFacebookページから簡単にニュースレターを作れる

フランスのスタートアップ、Ownpageは最近、Relikeという新しいプロダクトをリリースした。 Relikeはメールによるニュースレターを簡単につくれるツールで、自分のFacebookのアドレスを入力すれば設定はそれでほぼ完了というシンプルさだ。

RelikeはFacebookページをスキャンして自動的に最近の投稿を収集する。ユーザーは一番人気があった投稿だけ使うこともできるし、マニュアルで投稿をピックアップすることもできる。

他のニュースレター・サービス同様、ユーザーはいくつかのテンプレートから好みのスタイルを選べる。発行の曜日や時間を指定し、連絡先からメールアドレスをインポートする。マニュアルでアドレスを追加することもできる。Mailchimpを使ったころがあるならこの手順には馴染みがあるだろう。

ただしRelikeは他のニュースレター・サービスを直接のライバルとするものではない。多くのメディア、企業のソーシャルメディア担当者、NPO、スポーツチームなどはすでにFacebookページを作成しているが、そのコンテンツはメールには結びついていなかった。

メールが月2000通以下で高度な機能を使わないならRelikeは無料だ。有料版は「料金と他の機能」のオプションからアクセスできる。料金は月額5ユーロ、プラス1000通ごとこに0.5ユーロだ。

Owonpage社の別のプロダクト、Ownpageはやはりニュースレター・サービスだが仕組みが異なる。 Ownpageはメディア企業がメールによるニュースレターを最適化するのに適したツールだ。同社はニュースサイトにおける閲覧履歴をモニターし、これをベースに読者の好みに応じた記事をピックアップしてメールによるニュースレターを作成する。

読者は自分の関心に合わせたテーラーメードのニュースレターを受け取ることになり、ニュースサイトそのものを再訪する可能性もアップする。。Les Echos、L’Express、20 Minutes、BFM TV、Le Parisienなどフランスの有力ニュースサイトにはOwnpageを利用しているところが多数ある。

Ownpageのファウンダー、CEOのStéphane Cambonは私の取材に対して、「RelikeはOwnpageから発展したプロダクトだ。Ownpageは読者がニュースサイトをブラウズしたデータからニュースレターを作成するものだったが、(ニュースサイトでなくとも)有能なソーシャルメディア担当者はクリック率を最大化するような魅力的な記事の書き方を知っている」と述べた(記事がページビュー稼ぎのクリックベイトになってしまう場合もあるかもしれないが)。

Ownpageではこの点に注目してRelikeを作ったのだという。これはメディア企業以外の小規模、非専門的なサイトを念頭に置いたものだ。現在Ownpageは両方のプロダクトを平行して運営している。将来はTwitter、Instagramもカバーし、ユーザーがニュースレターを受け取るための手順をさらに改善していくという。

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滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがセキュリティ侵犯に関する有力紙の記事のFacebook上での共有を拒否

一部のユーザーからの報告によると、5000万のFacebookユーザーが被害者になった今日(米国時間9/28)のセキュリティ侵犯事件に関する記事(のリンク)を、投稿できなくなっている。それは、特定のソースの特定の記事だけのようで、The Guardianのある記事と、Associated Press(AP通信)のある記事、どちらも一流のニュースメディアだ。

記事を自分のニュースフィードでシェアしようとすると、このバグに遭遇した本誌TechCrunchのスタッフも含め一部のユーザーは、下図のようなエラーメッセージが出て、記事をシェアできない。

そのメッセージによるとFacebookは、記事があまりにも多量にシェアされていて、Facebookの言葉によると、“多くの人びとが同じコンテンツをポストしている”ことをシステムが感知したので、その記事はスパムと判断された。

Update: 人びとがこのことに注意するようになったあと、FacebookのTwitterアカウントによると、バグは修復されたようだ。その原因などについての、公式の発表はまだない。

これはもちろん、Facebookの社内で画面を凝視しているコンテンツモデレーターが特定のリンクを拒絶しているのでもないし、同社が、自らのイメージを損なう記事をユーザーが広めようとしていることを封じ込めているのでもない。この状況は、前にもあったように、Facebookのコンテンツ自動検査システムが、正当なコンテンツを悪質と判断したのだ。今回それらは、スパムとみなされた。でもFacebook上でヴァイラルに広まる記事はいくらでもあるのに、なぜこの特定の記事だけがやられたのか、それが不可解だ。

Facebookでは、こんなことは、これが初めてではない。同社の自動化ツールは毎日々々、過去に例がないほど膨大な量の処理をしていると思われるが、前には正当な投稿を検閲している、と疑われたことがあった。そして、ハラスメントやヘイトスピーチの検出には失敗しているくせに、無害なコンテンツを落としている、と言われた。どうしてそんなことが起きるのか、今Facebookに問い合わせているが、でも今日の同社は忙しすぎてそれどころではないようだ。

Facebookではよくある事件、とはいえ、今回は何かがおかしい。しかしそもそも、こんなおかしな事件は、Facebookの評価を下げるだけではないか。

[関連記事: 5000万Facebookユーザーのデータ流出事件のすべて(未訳)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookの“出会い系”サービスを信用してはいけない7つの理由

今週Facebookは大きなプロダクトの提供を開始した。キャリアを重ねたソーシャルネットワークにとってそれは全く当たり前の動きかのように、塀で囲まれた庭でアルゴリズムによるデートサービスのスロットを回した。

これを聞いて浮かれた方は踊るダディのGIFをここから挿入できる。

Facebookのデートサービスへの参入はまるで中年の危機のようだー多くのアプリユーザーが、ソーシャルネットワークでの“ライフキャスティング”から、プライベートメッセージやグループ専用のメッセージ・共有アプリなどを使ったより広く共有できる形態のものに移行しつつある中で、このベテランのソーシャルネットワークはユーザーに受け入れられそうな戦略を必死になって模索している。

かつてのFacebookのステータスアップデート機能は、若いアプリユーザーにとって自由に選べるソーシャル手段の一つであるSnapchat(そして今やInstagramも)のストーリーに長い間お株を奪われてきた。もちろんFacebookは後者のプロダクトを所有していて、無情にもストーリーを模倣している。しかしFacebookは、インターネット時代にあって化石のようになっているその旗艦サービスを消滅させたいわけではない。

新しい目的をもたせたプロダクトとして復活させなければー。そうしてオンラインデートに行き着いた。

Facebook(いや、今や ‘Datebook’だろうか)はこのデートアプリの実験をベータマーケットとしてコロンビアで展開している。しかし明らかに、最近人気のオンラインデート分野で世界的メジャーになるという野心を持っている。eHarmonyやOkCupidのようなオンラインデートを長らく展開してきた会社、そして女性主導のアプリBumbleのように比較的新規で特化型のデートスタートアップと競合することになる。

しかしながらザッカーバーグはオンラインデートの代名詞的存在Tinderと競おうとしているわけはない。そして、単に“ひっかける”アプリにするつもりはないーFacebookがいうところのサブカテゴリーとは無縁でありたいと考えている。

それよりも、顔に平手打ちをくらうようなショックのあるBang with Friendsではなく、“石鹸カービング/犬のグルーミング競争/エクストリームスポーツなどに興味のある友達の友達と集う”的なものにしたいとFacebookは考えている(Bang with Friendsは6年ほど前にFacebookとセックスを組み合わせようとした実験的なスターアトップだーデートアプリを展開するシンガポール拠点のPaktorに買収され、再びその名を聞くことはないだろう。いや、Facebookがデートアプリ業界に参入するまでその名を聞くことはなく、今回いかにBang with Friendsが我々を笑わせたかを思い出させた)。

マーク・ザッカーバーグの会社はなにもわいせつなものを展開したいと考えているわけではない。違う、違う、絶対ダメだ。セックスなしでよろしく。我々はFacebookだ!

Facebookのデートサービスはセックスアプリと呼ばれないよう、注意深く立ち位置をとり、オンラインデート業界では風流なアプローチをとっている。たとえば、アプリはすでにつながっている友達同士をマッチングでくっつけないよう設計されている(しかしながら、Facebookは元カノ・元カレがきちんと除外されていない過去のコンテンツから‘フォトメモリー”をユーザーに見せる傾向があることを考えると、アルゴリズムで元カノ・元カレとマッチングされないというのは祈るしかない)。また、マッチングがうまくいった場合でも、ポルノ的なものがスルーするかもしれないため、フォトメッセージを交換することはできない。

FacebookがヌードNGなのは立派だ。しかし驚きはしないが、いや驚きかもしれないがそこからデートアプリを立ち上げた。‘オールドファッションの良き健全な’テキストベースのチャットつながりだけを(クリーンなFacebookコンテンツに関連するもの)ここではお願いしたい。

しかしながら、もしあなたが率直な結婚のプロポーズをテキストしたくなったらーソーシャルメディアでの紅茶占い、そしてミックスされた中から将来を共にする人生のパートナーを選び抜くFacebookのデータサイエンティストの腕前を100%信じるならーアルゴリズムはおそらくあなたに微笑みかけるだろう。

Facebookの言い分は、ネットワークのパワー(そしてそこから搾取されたデータ)で人々がより意義のある(新たな)関係を築くのを手伝うことで、結果として‘有意義な時間’を促進するという新たなミッションを果たすのにデートが有効、というものだ。

このミッションは、倫理的なもの、そして/またはモラルの成り行き(Bozが忘れなれないほどに記したように)を考慮せずに言うと、Facebookがこれまで展開してきた、この地球上の人間を同じく地球にいる別の人間とつなげるというものに比べるとはるかに高度だ。それはまるで、パゾリー二の映画「ソドムの市」のホラーを愛する精神を流そうと試みているようだ。または、人間ムカデかもしれない。

それはさておいて、最近Facebookは10代半ばの人に、大人なもの、少しは価値あるものととらえられたいようだ。なので、このオンラインデートでは‘カジュアルな出会い’というより‘結婚の材料’的に演出している。しかし、まあ、プロダクトがいつも意図した通りのものになるとは限らない。なので、このオンラインデートを活用するには勇気が必要かもしれないし、おかしなことにならないよう祈らなければいけないかもしれない。

ユーザーの観点から言うと、別の見方もある。近頃Facebookで必然的についてくる機能やサービスがどれくらいのものかというのを考えたとき、本当に急を要する問題というのは、良識のある人がマーク・ザッカーバーグにキューピッドの矢を放たさせるべきかということだろう。

彼は残念ながら、悪意あるクレムリンのプロパガンダと、ラテや赤ちゃんの写真のような通常のソーシャルネットワーキングとしての事業とを区別できなかった。ゆえに、彼が人の心の微妙なニュアンスをどうやって調整するというのだろうか。

オンラインデートというFacebookの戯れからできるだけ距離をおいた方がいいと我々が考えるその理由を下記に挙げる。

1.これは別のシニカルなデータ搾取だ 

Facebookのターゲット広告ビジネスモデルは、絶え間ないユーザーの追跡の上に成り立っているーつまりそのビジネスにはユーザーのデータが必要なのだ。シンプルに言おう。あなたのプライバシーがFacebookの生き血になっている。Facebookは巧みに虫が来た道を戻り、そして/または人々の生活に食い込むようないやらしさを抑えた方策を見つけ出そうとしていて、それゆえにオンラインデートというのは、別の大きなデータ搾取を覆うための手軽な薄板にすぎない。“意義ある関係”を育むために独身者をマッチングするというのは、どれだけの個人情報を彼らが扱っているかを人々に忘れさせるための程のいいマーケティング装飾だ。さらに悪いのが、デートサービスというのは、ユーザーが明るみに出してもいいと思うようなものよりもっと個人的な情報をシェアするようFacebookが尋ねてくることを意味するー繰り返しになるが、この会社のビジネスモデルは、オンラインかオフラインか、またウェブ上で囲われた庭の中にいるのか外にいるのか、そしてFacebookユーザーかどうかも関係なく、人々の行動を追跡することで成り立っている。

これはまた、Facebookの元祖ソーシャルネットワークのユーザーがFacebook疲れを見せていた時に、さらには大きなプライバシースキャンダル後にユーザーがFacebookサービスの使用方法を変えつつあるときにすら行われている。なのでFacebookがデートサービスを行うというのは、Facebookを中傷する人に注意がいかないよう、ユーザーの目からこれ以上うろこが落ちることがないよう、新たに気をそらすための方策を意図しているとみられる。アルゴリズムでハート型の約束をしたターゲット広告ビジネスモデルについて巻き起こっている疑念を覆い隠したいのだ。

そこに横たわっている本当の情熱というのは、あなたのプライベートな情報をお金に変えたいというFacebookの激しい欲望なのだ。

2.Facebookのプライバシーを踏みにじってきたこれまでの経緯から単に信用できない

Facebookは長らくプライバシーへの敵対行為をとってきたーセッティングで、プライベート設定だったものをパブリックにデフォルトで故意に切り替えたりしたことも含まれる(このラチェットを押しもどすには行政介入が必要とされてきた)ーなのでデートサービスでは完全に別のバケツにデータを溜め込むことを意味するだろう。また、このサービスでシェアされる情報はユーザープロフィールの外に出ることはなく、Facebookのあちこちにいる広告がらみの特定の人にも表示されないとしているが、この点はかなり懐疑的に考えるべきだろう。

FacebookはまたWhatsAppユーザーのデータがFacebookユーザーのデータと混ざって一緒になることはない、としているーしかし実際に起こっていることに目を向けてほしい。

さらには、Facebookがアプリデベロッパーにプラットフォームからユーザーデータを気前よく渡していたという経緯もある。そこには(何年にもわたる)‘friend data’も含まれる。まったく生ぬるい話だ。しかしFacebookのフレンドデータAPIは、Facebookユーザー個人がたとえ特定のアプリの利用規約に同意していなくても、データが抜き取られるような仕組みとなっている。これが、ユーザーの個人情報があちこちに散らばることになる理由だーここにはあらゆる種類のあるはずのないところも含まれる。(Facebookはこの点に関し、ポリシーを適用しておらず、ユーザーデーターの抜き取りをシステム的に悪用することにもなるこの機能を何らかの理由で実行している)。

長くも短くもあるFacebookとプライバシーの歴史は、情報は一つの目的のために使用される、はずだったのが結局全てのものに使用されている、ということに終わっている。全てのもの、の半分すら我々は知らない。また、Facebook自身もなぜいま、最大のアプリ監査をしているのかわかっていない。にもかかわらずこのまったく同じ会社が、恋愛や性的な好みなどかなり個人的な情報を教えてほしいと言っている。考えた方がいい、本当に。

3.Facebookはすでにオンライン上の注意の多くを集めているーさらに注意を向ける必要があるのか。特に独身者のデートに関しては、驚くほど多様なアプリが展開されているのに…

西洋諸国においては、Facebookという会社から逃れるためのスペースはさほど多く残されていない。友達が使っているソーシャルシェアリングツールを使えるようになりたいと思っていればの話だ。そうした理由でネットワークの影響は極めてパワフルで、Facebookが所有している、人気で圧倒的なソーシャルネットワークは1つだけではなく、ほとんどを握っているといってもいい。それはInstagramやWhatsAppを買収したことに表れている(加えてそのほかにも買収していて、いくつかは廃止した)。しかしオンラインデーティングというのは、現在のところ、Facebookにとって歓迎すべき一休みとなっている。Facebookが関わっていなかったこの分野が、あらゆるタイプや好みに対応するスタートアップやサービスによって展開されてきたといのは、間違いなく偶然ではないだろう。黒人の独身者向けのデートアプリもあれば、ムスリムの人をマッチングするサービスもあり、ユダヤ人向けのものもいくつかある。クリスチャン向けのデートアプリも多数あり、アジア人のマッチングに特化したデートサービスも少なくとも一つはある。その他にも、中国系アメリカ人向け、怪しい女性専用のデートアプリ男性向けのゲイデートアプリ(もちろんゲイも同様にアプリを利用している)。いくつかだが、マッチングゲームを提供するデートアプリもある。そうしたアプリは、思わぬものを発見する能力と、逸した機会(missed connections)を通じて知らない人同士をくっつける位置情報に頼っている。アプリでは、お試してしてマッチする可能性のある人とライブでビデオチャットをすることもできる。もちろん、アルゴリズムでマッチングをするアプリはたくさんある。こうしたデートアプリを使えば独身者はさみしくない。それは確かだろう。

だから一体全体どうして、独身者を楽しませるこの多様でクリエイティブな‘見知らぬ人とのやりとり”の業界を、ソーシャルネットワーク大企業に譲らなければならないだろうか。人々の注意を引くことではFacebookはすでに独占状態で、これを拡大させることができるだけだ。

どうしてこの豊富な選択肢を縮小させて、Facebookに利益アップさせる必要があるだろうか。もしFacebookのデートサービスが人気になったら、競合サービスに向けられていた注意をひきつけることになるだろうーおそらく小さなデートサービス事業者の多くが整理されることになり、よりスケールを大きくしようと統合し、重量800ポンドもあるFacebookゴリラに立ち向かうことになる。いくつかのサービス事業者は、より包括的に(そして大きく)独身者を囲い込むことを求めるマーケットのプレッシャーにより、これまでより特化度合いを緩める必要があると感じるかもしれない。また他の事業者は、事業を維持するのにこれ以上十分なニッチユーザーを集めることができないと感じるかもしれない。独身者が現在楽しんでいるデートアプリの選択肢が狭まるというのは泣きたいくらい恥ずべきことだ。これが、Facebookのサービス開始をここで冷たく扱う理由だ。

4.アルゴリズムによるデートサービスは空手形で、Facebookの監視をより人間的にしようというシニカルな試みだ

Facebookは、ターゲット広告を展開するために人々を追跡していたとして概して非難されている。人々を追跡することでユーザーに“関連のある広告”を提供することができるので人の役に立っていると主張している。もちろん、全てのディスプレイ上の広告が誰も見ようと選んだものではないことを考えると、それは紙切れ上だけでの議論で、それゆえにその人が本当に関わっているものから注意をそらすものが必要となる。

社会を分断するようなFacebookの広告Facebookを介した悪意ある政治的プロパガンダの広まり保護されるべきグループへの差別的なFacebookのターゲット広告、または実際に詐欺を広げているだけのFacebook広告など、Facebookの広告プラットフォームに伴う主要なスキャンダルにより、近年の緊張が高まるなかで出てきた議論もある。少なくとも、ターゲット広告会社が抱える問題のリストは長く、今後も増えるのは確かだ。

しかし、マッチング目的のデートとデータに関するFacebookの主張に目を向けると、Facebookはみんなの全行動を監視するという悪しき習慣を、愛を作り出すという形式に変えるアルゴリズム専門家を抱えていることになる。

なので、あなたに何かを売ろうという‘関連’広告を受け取るだけでない。Facebookの監視はあなたにとって大切な誰かを探すための特別なソースとなる。

正直、これは油断のならないこと以上の問題だ。(また文字通りブラックミラーエピソードだーこれは機能障害のサイエンスフィクションに違いない)。Facebookは、人々を監視するという不快なプラクティスをパッケージにして売るための新たな手段を必要としていて、そのためにデートサービスに参入する。ビジネスラインを正常化するための試み以上となることを期待している(たとえば監視は、人々がもしかしたらクリックするかもしれない広告をみせるために必要なものだ)ー広告プラットフォームが社会的問題のあらゆるノックオンを引き起こしていることを示していて、にわかに問題となっているーFacebookにあなたを毎日24時間監視させることで将来の幸せが確約されるかもしれない。というのも、アルゴリズムが絶えず1か0かで扱っているデータの中からあなたの好みに合いそうな人を選び、追跡しているからだ。

もちらん、これはまったくくだらない。何が、ある人に相手をクリックさせる(あるいはさせない)のかを決めるアルゴリズム的な決まりはない。もしあったとしたら、人がずいぶん昔に気づき、そして商売にしていただろう。(そして当然の帰結として恐ろしい倫理上の問題を抱えていただろう)。

人は数学ではない。人間というのは、パーツと興味の数が整然と合計されてできているわけではない。だからこそ人の暮らしというのは、Facebook上でみるものよりずっと面白いのだ。そして、だからこそ巷には数多くのデートアプリがあり、あらゆるタイプの人や好みに対応している。

残念ながら、Facebookにはこうしたことが見えていない。というか、認めることもできない。だから、デートアプリ立ち上げを正当化しようとする‘専門の’アルゴリズムマッチングと‘データサイエンス’に我々はナンセンスさを感じる。悪いが、それは全てマーケティングのためだ。

Facebookのデータサイエンティストが矢を放つキューピッドになろうとするという考えは、馬鹿げていると同時に不合理でもある。どのマッチングサービスにしても、そうした働きを放棄している。しかし、ランダムな結果の代償が絶え間ない監視だとしたら、このサービスはまったく不釣り合いなコストを伴うことになるー結果としてこれはユーザーにとってまったくフェアではなく魅力もない交換となる。繰り返しになるが、人々は見返りに何かを得るどころか、何かをあきらめることになる。

もしあなたが、同じ趣味を持つ人や同じ友達グループにいる人にフォーカスした方が“最適の人”を探すのは簡単だと考えているのなら、Facebookのデートサービスに頼らなくても、相手探しができる実在のサービスは山ほどある(クラブに入る。友達のパーティーに行く。または、趣味によるマッチングを行う既存デートサービスの結果からこれという人を選ぶなど)。

山にハイキングに行き、頂上で妻となる人に出会うことと同じだ(実際に私の知っているカップルがそうだったように)。愛に方式はないのだ。ありがたいことに。社会性のないデータサイエンティストがあなたのために素敵な人を見つけるとうたっているようなデートサービスをあなたに売りつけようとしている人を信用してはいけない。

Facebookの‘愛のマジック’の働きは、次のアプリベースのマッチングサービスと同じくらい良くも悪くもなる。‘デート可能’な独身者を引きあわせるだけでなく結びつけるのに方式はないー引きあわせるのはデートアプリやウェブサイトが何年も何年もうまくやっている。Facebookのデートサービスは不要だ。

Facebookはオンラインデートで、たとえばOkCupidよりもう少したくさんのことを提供できる。OkCupidはそれなりの規模で展開していて、マッチングにユーザーのロケーションと趣味を活用しているが、OkCupidにはなくてFacebookができることにイベントの組み込みがある。これは、実際にデートしようということで合意するより、よりくだけた環境でのお試しデートとなる。しかしながら、本当にこれらを計画して実行に移すというのはぎこちないことのように思われる。

Facebookのデートサービスへの包括的アプローチは、より特化したサービス(女性のニーズを満たすべくつくられたBumbleのような女性にフォーカスした事業者、または前述のとおり、同じ趣向を持った独身者に引きあわせるのにフォーカスしたコミュニティなど)の恩恵を受けている特定の独身者にとって物足りないものとなる。

Facebookは、デートサービスは規模の問題だととらえている向きがある。そして、さまざまなコミュニティに応えるサービスが展開されているこの業界で、Facebookは包括的に大きな存在となりたいようだ。多くの独身者にとって、全アプローチというのはタイプの人探しが難しくなるだけだ。

5.デートサービスはFacebookが取り組むべき課題をはぐらかしている

Facebookの創業者は‘Facebookを修理する’ことを今年の個人的な優先課題とした。これは、同社がいかに多くの問題が引き起こしてきたかをはっきりと示している。小さなバグ修理のことを言っているのではない。Facebookはプラットフォームにとんでもない量の地獄のような落とし穴を抱えていて、その過程でさまざまな人権を脅かしている。これは全くささいなことなどではない。本当にひどいものは、プラットフォームで暗渠のような存在となっている。

たとえば今年初め、国連はFacebookのプラットフォームがミャンマーで“けだもの”になったと非難したームスリム系少数派ロヒンギャに対する民族迫害を煽り、武装化させたというものだ。Facebookは、ミャンマーで民族憎悪や暴力を広めるのにソフトウェアが使われるのをやめさせようと十分な対策をとっていなかったことを認めた。人権団体は、ロヒンギャ難民の大虐殺を集団虐殺と表現している。

これは特異な例ではない。フィリピンでは最近、大きな人権危機がみられるー選挙運動でFacebookを利用した政府が、血まみれの‘麻薬撲滅戦争’で何千人も殺害しながら非難をかわすのにFacebookを使っていた。インドでは、Facebook傘下のメッセージアプリWhatsAppが複数の集団暴行や殺人に使われていたことが明らかになったーアプリを介して稲妻のように広がった嘘を人々が信じたのだ。そのようなひどい問題に反してーFacebookのプロダクトは少なくとも助けとはならないーFacebookが新たなビジネス分野に資源を注ぎ込み、全く新しいインターフェースとメッセージシステムを構築するのにエンジニアを使おうとしているのが見て取れる(メッセージシステムというのは、Facebookのデートサービスユーザーがテキストを交換できるようにするもの。いかがわしいものになるリスクをなくすため、写真やビデオは送れない)。

こうしたことから、Facebookがミャンマーで起こっていることに注意を払わなかったことは、本当に嘆かわしいー現地の機関は長い間、ひどい誤使用に歯止めをかけるためにプロダクトに制限を設けるべきだ、と要求してきた。

にもかかわらず、Facebookは5月にMessengerアプリに会話を報告するオプションを加えただけだった。

その時期にFacebookがデートサービス立ち上げに力を注いでいたというのは、いくつかのマーケットでプロダクトが人権侵害の暗渠となるのを防ぐのに十分な努力をしなかったことを意味し、これは少なくとも倫理に反するといえる。

Facebookのデートサービスを利用するだろうユーザーはそれゆえに、彼らのマッチングはザッカーバーグとその会社によって優先され、それにも増して、より強いセーフガードとガードレールがさまざまなプラットフォームに加えられるかもしれないと不安を感じるかもしれない。

6.デートサービスを利用してもらうことでFacebookはそれぞれのソーシャルストリームをミックスしている

Facebookのデートサービスで不安なのは、Facebookが既存ユーザーに(ほとんどが結婚しているか、長く付き合っているパートナーがいる)、包括的なソーシャルネットワークでは当たり前というようにデートのレイヤーをかぶせるのはまったく普通のことだと思わせることで、巧妙な動きを引き出そうと試みていることだ。

突然、場所が売りに出され、トレードされる。まるで人々が‘友情’を築いていたプラトニックな場所に、性的な機会が突然もたらされるかのように。もちろん、Facebookはデートをオプトインする要素をFacebookの中に隠すことで(そこでは、いかなるアクティビティもしっかりしまわれ、Facebookのメーンストリームには表れない[と言っている])、そうした欲望にかられた動きを完全に別のものとして区別しようとしている。しかしFacebookのデートサービスの存在は、Facebookを使っていて特定の付き合っている人がいるユーザーにデートアプリ会社と関わりを持たせることを意味する。

Facebookのユーザーはまた、オンラインデートに密かにサインアップする機会がつきまとうことになると感じるかもしれないーユーザーの配偶者がFacebookを利用しているかしていないかにかかわらず、配偶者にバレないように浮気のメッセージを密かに受けわたす役割を担うことをFacebookは約束した。

Facebookが不貞を支えることになるかもしれない、ということについてどう思うだろうか。どうなるのかはしばらく待ってみなければわからない。Facebookの役員は過去、Facebookは‘人々や時間を結びつける’ビジネスだと言った。なので、おそらく暗流として働く、そして人間のつながりの推進を駆り立てるようなひねりのきいたロジックがあるのだろう。しかし、Facebookはデートサービスの導入で自らの立場を“複雑なものに”するかもしれないというリスクを負うーそして結果としてユーザーの上に複雑な結果の雨を降らせる。(それは往々にしてビジネスの拡大という名のもとに行われる)。

なので、‘ストリームをミックスさせない’という代わりに、Facebookは近い平行線という形での社会的相互作用とは完全に反対のタイプの運営でデートサービスをスタートしようとしている。悪い方向に作用するかもしれない? または、‘別の’Facebookデートサービスの誰かがサービスで出会ってアプローチに応えなかった独身者を追いかけ回そうとしたらどうなるのか? (Facebookのデートサービスユーザーは本当のFacebookでの名前のバッジをつけることを考えると、‘超えて渡ってくる’のは簡単な試みとなるかもしれない)。そしてもし、秘密に保存されたところから感情の詰まったメッセージがFacebookメーンストリームに流れ込んだら、事はかなりめちゃくちゃな事態となり得るーそしてユーザーは強いられるというより、サービスによって二重に追い払われることになる。ここでのリスクは、Facebookがデートサービスとソーシャルネットワーキングを組み合わせようとしていることで巣を整えるより汚すだけに終わるということだ。(このさほど上品ではないフレーズもまた私の心に浮かぶ)。

7.ところで誰とデートしたいと思ってる?!

新興マーケット以外では、Facebookの成長は失速している。中年層におけるブームがあったが、ソーシャルネットワーキングは今や末期にあるようだ。と同時に、今日のティーンエイジャーはFacebookにまったく夢中ではない。若いウェブユーザーたちはビジュアルにかかわれるソーシャルアプリにもっと興味がある。そしてFacebookはこのトレンドに敏感な若い人たちを引きつけようと開拓作業を行うだろう。Facebookのデートサービスはおそらく悪い冗談のように聞こえるーあるいは子供にとってのパパのジョークのように。

年齢層についても少し述べるが、35歳以下はFacebookにほとんどひきつけられない。もしかしたら彼らはプロフィールは持つかもしれないが、Facebookはクールだとは思わない。一部の人は使用時間を減らし、ミニ休憩を取りさえするかもしれない。こうした年代の人が昔の学校のクラスメートといちゃつくのにFacebookを使っていた時代は過ぎ去った。また一部の人はFacebookのアカウントを完全に削除しているーそして振り返りはしない。このデートを最もする年代のグループが突然そろってFacebookのマッチング実験にはまるだろうか? それは疑わしい。

また、Facebookがデートサービスを米国外でデビューさせようとしているのは偶然ではないだろう。若くてアプリ大好きな人口を抱える新興マーケットというのは、漠然と面白いデートプロダクトをつくるのに必要な独身者を捕えるのにベストな環境だ。

しかしこのサービスのマーケティングとして、Facebookは20代後半の独身者をひきつけたいと願っているようだーしかしデートアプリユーザーはおそらくFacebookにとって最も気まぐれで扱いにくい人たちだ。そうすると、どういった人が残るか? まだFacebookを使っている、いずれ結婚する、結婚式や赤ちゃんの写真をシェアするのに忙しい、デートマーケットには入っていない、という35歳以上の人たちだ。またはもし彼らが独身であれば、デートアプリによく慣れている若いユーザーに比べてオンラインデーティングに関わろうとする傾向は少ないかもしれない。もちろん、デートアプリは人々が使ってこそ面白く、また魅力的なものだ。これは、競争相手がたくさんいるこの業界で成功するのにFacebookにとって最も大変なハードルとなるーというのも元祖のネットワークは若いものでもなければクールでもない、ヒップでもなければハプニングでもなく、しかも近年アイデンティティクライシスを抱えつつあるようだ。

おそらくFacebookは、中年の離婚経験者の中にニッチな需要を掘り起こすことができるだろうーそれはデジタルでかれらに手がかりを与え、デートゲームに戻ってくるよう手助けをすることでなし得る。(しかしながら、今週デビューしたサービスに何をしてほしいかという提案はゼロだ)。もしザッカーバーグが最も関心がありそうな若い独身者を本当に囲い込みたいのであればーFacebookのデートマーケティングから判断しているのだがー彼はInstagramにデートサービスを加えたほうが幸せだったかもしれない。つまり、InstaLovegramもあり得る。

イメージクレジット: Oliver Henze / Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi)

アメリカ国民は選挙のセキュリティを懸念している

新たな大規模調査で、一般的な米国人は選挙への脅威が国の土台を揺らしかねない、と中間選挙に向けて懸念している様子が浮かび上がっている。

公共ラジオNPRとマリスト大学の研究者が、米国の幅広い地域の成人居住者949人を対象に固定電話と携帯電話で9月初旬に調査を行なった。この結果は、外国からの選挙干渉の可能性や選挙セキュリティ対策、ソーシャルメディア企業が社会の目をいかに反映させているかについて、最近の状況をにわかに表している。

FacebookとTwitterに対して

ロシアがソーシャルメディアプラットフォーム上で米国をターゲットに影響力を行使したことが明らかになったが、どれくらいの有権者がFacebookTwitterがこの問題への対策をとったと考えているのだろうか。まだ、納得していないようだ。

米国の中間選挙で“海外からの干渉なしとするために”これら2社が2016年以来どれくらい取り組んだかについての質問で、回答者の24%がFacebookは“かなりの対応”“十分の対応”をとったと回答した一方で、62%が“さほど対応していない”‘全く何もしていない”と答えた。

ツイッターについて同じ質問をしたところ、Twitterが目に見える取り組みを行なった、としたのはたったの19%で、57%がさほど取り組まなかったと答えた。今回の大規模調査で行われた他の質問と異なり、ソーシャルメディアについての質問では共和党、民主党の差がみられなかった。ソーシャルメディアを蔑みの目で見ているという稀な状況となっていて、これは今年顕著なものとなっている。

Facebookで目にする内容を信じるかどうかの問いでは、有権者の12%が“かなり”“大方”プラットフォーム上のコンテンツは真実だと確信しているが、79%は“さほど信じていない”または全く信じていないと回答している。しかしこれらの数字は2018年の選挙からはわずかに改善している。その選挙では、Facebookで目にするコンテンツが正しいと信じている、と答えたのは4%だけだった。

中間選挙について

秋に行われる中間選挙を安全で危険のないものにするための米国の備えについての質問では、回答者の53%がきちんと備えていると考えていて、39%が十分に備えていない、または全く備えていない、としている。予想通り、この質問への答えは支持政党で別れた。備えている、と答えたのは民主党で36%、共和党で74%だった(無党派層では51%だった)。

ロシアが中間選挙中に候補者についての偽情報を広めるのにソーシャルメディアを使うのはかなりあり得る、またはあり得ると有権者の69%もが考えているというのは、かつて信用していたプラットフォームに疑いの眼差しを向けて選挙シーズンを迎えつつあることを示している。

ハッキングについては、回答者の41%が中間選挙の投票者に対し“外国政府が混乱を起こす目的で有権者リストにハッキングする”のはかなりあり得る、またはあり得ると考えている。その一方で、55%が有権者リストへのハッキングはあまりあり得ない、全くあり得ないと回答している。小さいながらも意味のある数字だが、回答者の30%が、外国政府が中間選挙の“結果を変えるために投票数を改ざんする”のはかなりあり得る、あり得ると答えている。

選挙セキュリティについて

選挙セキュリティ実践についての質問に関して、政治的な隔たりが見られなかったのは驚きだ。国土安全保障省が州や地方の選挙を保護するための方策を導入しつつあるにもかかわらず、民主党、共和党、無党派の全ての有権者は、選挙の“実際の結果を守る”と州や地元自治体の当局に信頼を寄せているが、連邦政府をさほど信用していないことが示されている。

いくつかの質問では選択すべき正しい回答があり、幸いにもほとんどの人がその正しい回答を選んでいる。調査に参加した有権者の55%が、電子投票システムで米国の選挙は“干渉や詐欺”に弱くなった、と答えているーこれは攻撃されやすいデジタルシステムではなくローテクで行動記録が残る手法を提唱する選挙セキュリティ専門家の影響によるところが大きい。電子投票システムの方が安全だと誤って考えているのは、民主党では31%だけだったが、共和党では49%にのぼった。

他の(より透明性のある)選挙手法についての質問では、結果は圧倒的に紙による投票が好ましい、としなっているーこれだとかなり安全な選挙になると多くの専門家も広く賛同している。実に有権者の68%が紙による投票の方が“より安全”と考えている。残念ながら、現在の投票システムが広く導入されているのに対し、法律で全州に紙による投票を強制するには政治的障壁が多い。

選挙セキュリティ管理についての最後の質問では、回答者はまたしても正しい答えを選んだようだ。89%もの人が、オンライン投票は米国選挙のセキュリティに終止符を打つようなものだと考えているーこれは間違いだが、8%の人が選挙をインターネットで行う方がより安全と考えている。

こうした調査結果をより詳細に見たければ、結果全容はここにある。そこでより興味深い内容が発見できるかもしれない。または、米国の投票システムが、これまで米国で行われてきた選挙の中で、大統領選ではないものとしては最も重要なものとなる今回の選挙の結果を左右する可能性があると確信することになるかもしれないーその逆もありえる。

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(翻訳:Mizoguchi)

アレックス・ジョーンズのInfowars、Apple App Storeから追放される

Alex Jonesのメディア帝国で、また一つドミノが倒れた。Appleは今週TechCrunchに対し、“好ましくないコンテンツ”のルールに違反したとしてInfowarsアプリを禁止し、物議を醸している陰謀論者/扇動者をApp Storeから追放したことを認めた。

より具体的に言うと、Appleは“宗教、人種、性的嗜好、ジェンダー、国籍/民族、その他のターゲットとされるグループに関する引用やコメントを含め、中傷的、差別的、そして卑劣なコンテンツに関して違反が認められた。”との決断を下した。

これは、Jonesが彼のビデオコンテンツを流すために使ったメジャーなプラットフォームの多くと関連する結果だ。Facebook、GoogleそしてSpotifyはそれぞれのプラットフォームからInfowarsのコンテンツを削除した。今週、批判が広がったのちにTwitterとPeriscopeJonesを禁止にした。

議論をかもした数あるコメントの中でも、Jonesは小学生20人が犠牲になったサンディフック小学校銃乱射事件はやらせだったとの主張で非難を浴びていた。

イメージクレジット: Infowars

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(翻訳:Mizoguchi)

アレックス・ジョーンズのTwitterアカウント、永久禁止にーコンテンツで新たに違反

Twitterは、なぜAlex Jonesのアカウントと彼のオンラインメディアウェブサイトInfowarsを完全に閉鎖しなかったのか、というこれまでの議論に終止符を打った。彼のアカウントとサイトには攻撃的な言葉がみられるとして多くの人が苦情を寄せていたが、最終的にTwitterとTwitterのビデオプラットフォームPeriscopeはJonesのアカウントとサイトを禁止処分にした。

「今日、我々はTwitterとPeriscopeにおけるAlex JonesとInfowarsのアカウントを永遠に凍結する」。Twitterのセーフティアカウントがツイートした。「これは昨日投稿されたツイートと動画に関するレポートに基づく措置だ。過去にも違反があったが、今回も攻撃的な行為に関する我々のポリシーに違反した」。

「我々のルールと、ルール適用については透明性を高めているが、今回のケースに関しては社会的な関心が高いことを考慮し、ルール適用をオープンにしたかった。我々は通常、プライバシーに配慮して個人のアカウントに対するルール適用についてはコメントしない」。

「我々は引き続き、Alex JonesとInfowarsに関連している可能性のある他のアカウントに関するレポートを精査し、我々のルールに反するようなコンテンツが確認されたり、今回の措置の抜け道を考えようと他のアカウントが利用されるようなことがあれば、相応の措置をとる」。

過去24時間にさかのぼってJonesのTwitterのフィードをみると、Googleから削除されたコンテンツを目にする。そこには、CNNをフェイクニュースと呼んでいるツイートや、Marco RubioとBob Woodwardに対する批判、ホワイトハウスにおける騒動についてニューヨークタイムズが匿名の情報源で書いた記事の出所の正しさを問うものが含まれる。これはある意味、Jonesが過去に投稿したものに比べると比較的マイルドな方かもしれない。

しかし、同じように過去24時間さかのぼると、TwitterのCEO、Dorseyは米国議会に現れ、上院情報委員会で“シャドウ禁止”や保守的な政治への一般的な態度に関して質問を受けた。社として市民権監査と濫用透明性レポートに同意した。Twitterはすでにかなり厳しい状況に置かれていて、今回の同意で最終的に禁止のプロセスを早めることになったのかもしれない。

TwitterとDorseyはここ数週間、Jonesに対する攻撃的コンテンツに関するポリシーの適用が厳格ではないと考える人に激しく批判されてきた。Dorseyは“言論の自由”に基づいていると言ってきたが、皮肉屋の人々は、実在する多くのTwitterユーザーでTwitterから遠ざかった人々への抵抗と関係しているのでは、とみている(公平に見て、批判はこれまで何年もそして今も続いていて、その抗議の意を表すのに多くの人がTwitterをやめている)。

その代わり、Twitterは状況をコントロールしようと、7日間閲覧のみの処分としたり、なぜそれ以上の処分を行わないのかを正当化する長い説明をしたりという策に出た。

結局、FacebookやYouTubeを含むソーシャルメディアプラットフォームの中で、“フェイクニュース”であるばかりか明らかに有害で危険な偽情報としてJonesとInfowarsのアカウントを停止したのは、Twitterが最後だった。

イメージクレジット: Infowars

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(翻訳:Mizoguchi)

英国のメディア大企業、政府に独立したソーシャルメディア監視を要求

英国の主要な放送局やインターネットサービスプロバイダー(ISP)は政府に対し、ソーシャルメディアのコンテンツに独立した監視を導入するよう求めた。

規制の厳しい業界に身を置くメディアやブロードバンドオペレーターのグループは官営と民間の中間に位置するー。Sunday TelegraphへのレターにはBBC、ITV、 Channel 4、Sky、BTそしてTalkTalkのトップの署名が入っている。

彼らは、ソーシャルメディアに対する独立した監視が“早急”に必要だと主張している。テック企業がプラットフォーム上で何を許容すべきか(あるいは許容しないべきか)を決断しつつあることを考えると、彼らの提案するものは検閲に等しいだろう。

ソーシャルメディアの決断については、“責任と透明性”を確保するために独立した監視が不可欠と主張し、次のように書いている。「いかなる決断がなされるのか、独立した精密な調査と、さらなる透明性が早急に必要だ。これはインターネットの検閲のことをいっているのではない。そうしたソーシャルメディア企業がすでにとろうとしている決断に責任と透明性が伴っていることを確かめることで、最も人気のプラットフォームをより安全なものにすることをいっている」。

「我々は、インターネットやソーシャルメディア企業が、コンテンツがどんな内容なのか、許容されるものなのかを全て検討するのは、独立した監視なしには現実的でもなければ適当でもないと考えている」と付け加えている。

ソーシャルメディアプラットフォームへの規制を求める声はいくつかの地域や国で高まっていて、政治家は明らかにこの分野を取り上げるのは政治的意味があると感じている(実際、トランプの最近のオンライン上での攻撃対象はGoogleだ)。

世界の政策立案者が、非常に人気になり、それゆえにパワフルとなったプラットフォームをいかに統制するかという問題に直面している。(ドイツは昨年、ヘイトスピーチ発言に関してソーシャルメディアを規制する法律を制定したが、これは政府の行動としては先陣だ)。

英国政府はここ数年、インターネットの安全について一連の提案をしてきた。そしてメディアや電気通信事業のグループは、彼らがいうところの“オンライン上の有害となりうる全てのもの”ーさらにはソーシャルメディアによって悪化したものの多くも含めているーに対して行動をとる“絶好の機会”と主張してきた。

政府は、インターネットの安全性についての白書の作成作業を行なっている。Telegraphの報道では、現在内輪で議論されている可能性のある国の干渉としては、広告基準局(Ofcomの下部組織)に連なる機関を設置することが挙げられている。この機関はFacebookやGoogle、Twitterを監視し、ユーザーからの苦情への対応として対象となるものを排除すべきかどうかを決めることができるとしている。

Telegraphはまた、このアイデアの提案者は、そうした体制は任意のものだが、もしオンラインの環境が改善しなければ立法による取り締まりとなるかもしれないとみている(EUはヘイトスピーチ発言に関してはこのアプローチをとっている)。

今回のレターについてのコメントとして、政府の広報はTelegraphに対し、「オンライン上の悪に取り組むために、まだすべきことがたくさんあるのは明らかだ。我々はさらなる規制を任されている」。

一方のテックプラットフォームはというと、プラットフォームであり出版業者ではない、と主張している。

彼らのアルゴリズムは明らかに情報のヒエラルキーをつくった。ヒエラルキーは情報を広範に流す。同時に、テックプラットフォームは独自のコミュニティスタンダードのシステムやコンテンツルールを展開していて、適用は(概して完璧ではなく、また適当でもない)内容を修正した後となっている。

こうした見せかけの取り組みに入ったヒビはかなり明白だ。クレムリンが後ろ盾となってFacebookプラットフォームの大規模な操作を行うような明白な過ちか、または個人の節度の過ちのように小規模なものか。そうした企業が通常展開する自己規制には明らかに厳しい限界がある。

一方で、悪いコンテンツによる影響やコンテンツの節度維持の失敗はいよいよ明白になりつつあるー(特に)FacebookとGoogleのYouTubeのスケールの大きさからいえば当然だ。

英国では、民主主義についての偽情報を広めたソーシャルメディアの影響について調べてきた議会委員会が、テック大企業を取り締まるために第三者機関を設置することを最近提案した。ここで言うテック大企業とは、必ずしもプラットフォームか出版メディアかを問うものではなく、全社に対する責務を強化する。

今年の長く、ドラマの詰まった審理(Cambridge AnalyticaのFacebookデータの悪用スキャンダルのおかげで)の後に発表された委員会の最初の報告も、データ関連の不法行為を取り締まる英国のデータ保護ウォッチドッグの運用費のほとんどをソーシャルメディア会社に払わせるために税を課すことを求めている。

委員会はまた、市民がソーシャルメディアのプラットフォームから広まった物事を判断するのに必要なデジタルリテラシーのスキルにかかる費用もソーシャルメディア企業から徴収する教育課税で賄う案を提案した。

Sunday Telegraphへのレターでグループは、納税、オリジナルコンテンツの制作、高速ブロードバンドのインフラといった形で自国に投資してきたことを強調している。

一方、米国のテック大企業は、ビジネスの構造上、国の財源への貢献は少ないと非難されている。

税関連の批判についてテック会社の典型的な反応は、払うべき税は払っている、というものだ。しかし複雑な税法へのコンプライアンスは、今後彼らのビジネスが国に(貢献するより)何かしら流出させている、と広く受け止められるようになったときに苦しむ名誉ダメージを軽くすることにはならない。

それが、メディア企業やISP企業がいま動かそうとしている政治的レバーだ。

我々はFacebook、Twitter そしてGoogleにコメントを求めている。

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(翻訳:Mizoguchi)

FacebookやTwitterはヘイトスピーチ対策で足並みを揃えるときだ

2016年のドナルド・トランプの選挙以来、Facebook やTwitterといったソーシャルメディアプラットフォーム上でのヘイトスピーチに注目が集まるようになった。活動家がこれらの企業にコンテンツの節度を改善するよう圧力をかける一方で、いくつかのグループは(ドイツ政府は関与せず)即座にプラットフォームを告訴した。

これは、出版メディアとプラットフォームメディアにかかる法律が異なり、これによりオンライン上でのヘイトスピーチの解決が厄介な問題になっているためだ。

たとえば、 New York Timesに、全マイノリティグループの虐殺を主張するオプ・エド(編集部注:寄稿の論説)が掲載されたとする。Timesはヘイトスピーチを公に出したとして告訴され、そして原告は勝訴すると思われる。しかし、このオプ・エドがFacebookへの投稿で公開されたら、Facebookに対する告訴は失敗に終わるだろう。

なぜこうした不均衡が起こるのか。通信品位法230条だ。これにより、Facebookなどのユーザーが投稿したりシェアしたものについて裁判となったとき、プラットフォームはその責任を免れるのだ。Alex Jonesと彼のウェブサイトInfowarsに対する最近の騒ぎは、230条の廃止を求める動きにつながったーしかしそれは、政府によるオンライン上の言論の規制につながるかもしれない。その代わり、Jonesが彼のヘイトを広めるためにFacebookやTwitter、YouTubeを利用しているかどうかにかかわらず、プラットフォームは積極的な行動をとり、ヘイトスピーチはヘイトスピーチとみなされるよう、ポリシーについて共同で取り組むべきだ。

230条についての基礎知識

230条はオンライン上の言論の自由の基盤であると考えられている。1990年代半ばに法案が可決され、これによりFacebookやTwitter、YouTubeはユーザーがアップロードしたコンテンツで告訴されるリスクを免れている。これがあってこうした企業は急激に成長してきた。230条がなければ、ソーシャルメディア大企業はユーザーの投稿で裁判を抱え、行き詰まっていただろう。そして投稿の事前審査が必須となり、これらの企業はいずれも自由がきかなくなっていたはずだ。

その代わり、法が施行されてから20年以上たつが、裁判所はユーザーのコンテンツに関してテック企業を訴追しようと思っても230条が障壁となるということに気づいた。230条の恩恵を受けているのはソーシャルメディアプラットフォームだけではない。シェアリングエコノミー企業も、自社を弁護するのに230条を使ってきた。たとえば、AirbnbはホストがAirbnbのサイトに投稿したものについては責任を負わないとしている。裁判ではまた、230条がデートアプリにも適用されるほど幅広くカバーするものであることが明らかになった。ある男性が、未成年ユーザーの年齢を確かめていなかったとしてデートアプリの一つを告訴したとき、裁判所は230条を理由に、アプリユーザーの年齢詐称はアプリ側の責任とはならないとして裁判を終わらせた。

ヘイトスピーチの内規

もちろん、230条はオンライン上のヘイトスピーチ野放しを意図するものではなかった。FacebookやYouTube、Twitterといったプラットフォームはヘイトスピーチの投稿を禁じる自前の広範なポリシーを有している。ソーシャルメディア企業はこれらのポリシーを実施するために、そして違反したユーザーの利用を一時的に停止したり、アクセスをブロックしたりして責任ある利用を促すために、何千ものモデレーターを雇った。しかし、最近のAlex JonesとInfowarsの件は、いかにこうしたポリシーが一貫性なく運用されうるか、というケーススタディとなっている。

Jonesは何年にもわたって陰謀論をでっちあげてきた。サンディフック小学校での銃乱射事件がやらせであったとか、民主党がグローバルで子供性的人身売買組織を運営している、といったものだ。

Facebook、YouTube、Twitterに何千ものフォロワーを抱え、Jonesのヘイトスピーチは実社会で問題を引き起こした。サンディフック事件で犠牲となった子どもの親への残忍ないやがらせ、存在しない地下から子どもを救い出すとして男が銃でワシントンD.C.のピザ屋を襲撃した事件などだ。Jonesのメッセージは非常に有害な事件をたくさん引き起こしてきた。

Alex JonesとInfowarsは最終的に、我々が数えたところ10のプラットフォームから追放されたーTwitterでさえ、最初にためらったのちに1週間使用を停止させるという、他社に同調する措置を取った。しかし、テック各社の対応の違いや遅れは、同じスピーチをそれぞれのプラットフォームがどう扱うかを如実に表した。

フェイクニュースの広まりや、ソーシャルメディアによる深まる分裂など最近の論争で問題はさらに複雑となっているが、プラットフォーム間でヘイトスピーチルールの適用が異なる事態は、230条の修正または廃止を求める声へとつながった。もし印刷媒体やケーブルニュースがヘイトスピーチを広めたとして法律上責任を負うべきとされるなら、議論がおこる。特に米国民の3分の2がソーシャルメディアでニュースをみているという事実を鑑みるとき、それならなぜ同様にオンラインにも適用されないのか、となる。テック企業に対するさらなる規制の必要性を叫ぶ声がある中で、230条は常にターゲットとなっている。

ヘイトスピーチは規制されるべきか

しかしもし、オンライン上の言論を政府が規制するのは最前の策ではないと考えるなら、230条にある議会の表現と同じだ。1990年代半ばに施行された230条は、オンラインプラットフォームは“受け取る情報にかかる最大限のコントロールをユーザーに与え、またテクノロジーが発展する将来もさらなるコントロールの可能性”を、そして“政治論における真のダイバーシティ、文化的発展の機会、知的生産活動のための無数の手段”を提供する、としている。

230条はこう続く。これは“米国のポリシーである…インターネットを使用する個人、家庭、学校が受け取る情報についてコントロールを最大化するテクノロジーの発展を促すためのものだ”。これに基づけば、230条はいまやオンラインプラットフォームに恥ずべき保護を提供していることになる。

我々がソーシャルメディアで目にするもののほとんどはアルゴリズムによって操られているという事実から、Cambridge Analyticaスキャンダルソーシャルメディア上でのフェークニュースの流布による深まる分裂に至るまで、1996年の議会の言葉が現代においていかに不正確な予言のカタログとなっているかがわかるだろう。230条の原文起草者Ron Wyden自身ですら、数百万という人の虐殺、そして恐ろしい犯罪の被害者や子供が殺された親への攻撃を個人が支持(または否定)したりすることが、230条が持つ力で保護されるようになるとは起草者の誰もが思いもしなかった、と認めている。

ソーシャルメディアの運用について、最近の公聴会で議会の理解不足が露呈したように、オンライン上の言論を規制することが20年後にどんな影響をもたらすかを予測するだけの能力が今日の議会にあるか、という点に関しては議論の余地があるところだ。

さらに重要なのは、新たな規制を広く適用することが必然的にスタートアップの参入を著しく阻害することにつながることだ。それは、今存在する企業を保護するという意図しない結果を招きかねない。FacebookやYouTube、Twitterは、節度を持ってコンプライアンスを扱ったり、規制が適用されるかもしれない投稿を事前審査したりするだけの力量やインフラを持ち合わせているかもしれないが、小さなスタートアップは、そのような負担に対応するとなればかなり不利な立場に追い込まれることになる。

規制の前の最後のチャンス

答えはオンラインプラットフォームそのものの中にあるはずだ。過去20年間にわたり、オンラインプラットフォームはヘイトスピーチを感知して取り除くという点でたくさんの経験を積んできた。彼らは、これまでとは違うポリシーの草案をつくるためにさまざまなバックグラウンドを持つメンバーによるチームを結成した。これまであげた収益でもって、政府の検察官から学者、人権に詳しい弁護士に至るまで、トップの人材を確保することができた。

こうしたプラットフォームはまた、彼らのプロダクトポリシーチームーポリシーを起草したりポリシーの実行状況を監督したりするーが全体的に社会においてより目立つ存在になるよう、過去数年、大量採用を行なってきた。Facebookはプロダクトポリシーチームに“前性犯罪危機カウンセラーや、ヘイト組織研究を専門とする学者、そして教師”が加わっていることを得意げに発表した。多くのエンジニアがどこに線を引くかを決める、という時代は過ぎ去ったようだ。テック大企業はポリシーの起草と実行について、かつてないほど真剣に取り組んでいる。

彼らが今すべきは、ヘイトスピーチを広めたいと考えている人がプラットフォームのポリシーの目をかいくぐることができないよう、次の段階に歩を進め、ポリシーで足並みを揃えることだ。そうした確かな行動を取る前にInfowarsのような論争が本当の悪夢になるのを待っていれば、規制の要求が高まるだけだ。ヘイトスピーチポリシーや産業にわたるスタンダードを設けるとなったときに、積極的に人材や方策を蓄えておくことで、政府の直の規制に抵抗する正当な理由を展開できるだろう。

ソーシャルメディアの巨人たちはまた、コンテンツの節度を守るための最新のアプローチにスタートアップがついてこれるよう手助けすることで社会の信頼を得ることができる。ヘイトスピーチ問題に対処する業界のコンソーシアムは間違いなくテック大企業に占有されるだろうが、ポリシーには誰でもアクセスできるようにし、幅広く利用できるようにしなければならない。

激しい競争を展開する各社が協力し合うというのは、ピンとこないかもしれない。しかしヘイトスピーチという問題、そしてそのヘイトスピーチを広めようとオンラインプラットフォームを悪用する動きを前にするとき、業界全体での対応が必要だろう。共通する脅威に直面してテック大企業が足並みを揃えたという前例はある。昨年、Facebook、Microsoft、Twitter、そしてYouTubeは“テロリズムと闘うためのグローバル・インターネット・フォーラム”を結成した。 これはオンライン上におけるテロコンテンツの脅威を抑制するためのパートナーシップだ。ヘイトスピーチとの闘いは、テロコンテンツとの闘い同様に称賛されるゴールとなる。

自制は大変な特権だ。テック大企業がその特権を維持したいなら、自前の言論の規制を支えるポリシーを整え、スタートアップやその他の小さなテック企業がそうしたポリシーや実行メカニズムにアクセスできるようにするという責任を負うことになる。

イメージクレジット: BsWei / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

米国のティーンエイジャーの大多数はスマホ使用を自制しつつある

子どもの端末の使用について懸念しているのは親だけではない。Pew Research Centerが今週発表した調査結果によると、米国のティーンエイジャーのは、スマホ、そしてソーシャルメディアのような中毒性のあるアプリの過度な使用を自ら制限しようとしているようだ。ティーンエイジャーの54%がスマホに時間を使いすぎだと感じていて、52%がさまざまな方法でスマホの使用を制限しようとしている、と答えている。

加えて、57%がソーシャルメディアの使用を、58%がビデオゲームの使用を制限しようとしているという。

ある程度年齢のいった子どもたちがスマホの使用をうまくコントロールできていないという事実があるが、これは親の責任でもあり、また中毒性の強いデバイスを展開しているテック企業も責任を負う。

何年もの間、スマホの適切な使用(本来はそうであるべきだったのだが)を呼びかける代わりに、アプリの開発元はスマホの中毒性を最大限利用してユーザーに絶えず使用を促すノーティフィケーションを送り続けてきた。テック企業はむしろ、ユーザーがアプリを立ち上げるたびにもっと使いたい、とドーパミンが出るように心理的トリックを使って仕向けてきた。

デバイスメーカーはこうした中毒性が大好きだ。というのも、デバイスの販売に加え、アプリの売上やアプリ内課金が収益につながるからだ。だからこそデバイスメーカーは、デバイスの使用を制限するより、ユーザーの注意をひくようなツールをアプリ内に取り込んできた。

スマホ中毒となったティーンエイジャーの場合、往々にして彼らの親もこのシステムの犠牲になっていて、子どもたちを手助けすることはできない。

そして最近になってテック企業はようやくこの問題に腰を上げた。GoogleやAppleは、スクリーンタイムをモニタリングしたりコントロールしたりする機能をモバイルOSに導入し、ドーパミンドラッグディーラー的な存在であるFacebookInstagramYouTubeも利用時間のリマインダー機能や、どれくらいの時間を費やしているかがわかる機能の搭載を始めた。

悪影響を及ぼす可能性のある悪しき習慣から米国の子どもを守るという意味で、そうしたツールの導入は遅きに失した。

Pewのレポートでは、ティーンエイジャーの72%が朝起きたらすぐにスマホに手を伸ばし、10人中4人がスマホがないと不安を感じる。56%がスマホがなければ寂しさや焦燥感、不安を感じ、51%が会話をしている時に両親がスマホに気をとられていると考えている(親の72%が、ティーンエイジャーの子どもと話す時にスマホに気をとられるのは事実だ、と答えている)。そしてティーンエイジャーの31%が、スマホがあることで授業中に気が散るとしている。

こうした問題には、スマホはもはや贅沢品ではないという事実も絡んでいる。米国のティーンエイジャーのほとんどがスマホを所有していて、45%が常にインターネットにつながっている。

家庭で子どもにバランスのとれたデバイスの活用方法を教えるのに失敗している現状にあって、唯一明るいニュースは、近頃のティーンエイジャーがこうした問題を認識しているということだ。

ティーンエイジャーの10人中9人が、ネットのしすぎは良くないと考えていて、うち60%が大きな問題ととらえている。また、41%はソーシャルメディアに時間をかけすぎだと認識している。

加えて、一部の親も同様に問題視し始めていて、57%がティーンエイジャーの子どもにスクリーン使用の時間制限をセットした。

現代におけるインターネットは、決して多くの時間をさくべきではないような、有害な場所になり得る。

レポートでは、スマホで最も行われているものがソーシャルネットワーキングであることが示されている。

しかしこうしたネットワークの多くが、ひどくなるかもしれないということを想像できないような若い男性によって作られている。いじめやハラスメント、脅し、意図的な誤報などを防ぐようなしっかりとしたコントロールの構築が初めから欠けている。

その代わり、問題が深刻になってから対策付け加えられてきた。これについては、あまりにも遅すぎた、との指摘もある。オンライン上の虐待、偽情報、コメントスレッドでのバトル、10代の自殺集団虐殺といった重大な問題などにソーシャルメディアは関係している。

スマホやソーシャルメディアがもたらす恩恵を手放すことができないのであれば、少なくとも現在において我々はそうしたものの使用をモニターしたり節度あるものにするしかない。

幸いにも、今回の調査ではこうした問題が若いユーザーの間で認識されていることがわかった。おそらく若いユーザーの何人かは将来何かしら行動を起こすだろう。上司、親、エンジニアといった立場になったとき、新たなワークライフポリシーを思案し、新たな家庭ルールをつくり、そしてより良いコードを書くことができるはずだ。

イメージクレジット: CREATISTA / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookをやめる、という選択もありだ

プライバシー問題をめぐるFacebookの一連のスローモーション的対応をみて、多くの人が、おそらくあなたもFacebookの利用をやめようとか考えている。少なくとも、ソーシャルネットワークの活用方法を変えようとしている。我々にとっては幸い、ザッカーバーグにとっては残念ながら、Facebookをやめるのはかつて難しいものだったが、今ではそうではない。大事なことは、ソーシャルメディアはあなたが使うものであり、その反対、つまりあなたがソーシャルメディアに使われる、というものではないということだ。

誰かとやりとりをする、という役割にとどまらず、ソーシャルメディアは私たちの暮らしにすっかり浸透しているが、ソーシャルメディアをどのように使うか選ぶことは可能だ。それは素晴らしいことだ。社会規範やテクノロジーの進歩にとらわれることなく、私たちが自身の体験を自由にデザインできることを意味している。

この記事では、なぜソーシャルメディアの利用方法をコントロールをするのに今が適しているのかについて書く。Facebookにフォーカスするが、InstagramやTwitter、LinkedIn、その他のネットワークにもあてはまることだ。

イノベーションの失速は安定した商品を意味する

Facebookを取り巻く環境は2005年と、2010年、2015年ではまったく異なるものだった。その10年間でモバイルや、ブロードバンドが格段に充実し、社会に浸透した。ウェブネイティブプラットフォームはすっかり成熟し、より安全で安心して使えるものになった。それまではかなり機能が限られていた電話はスマートになった。多くの人にとってコンピューターも同様だ。その結果、GoogleやFacebook、Amazonといったインターネットベースの企業は、ニッチな存在から世界を支配するような存在へと変貌を遂げた。

さまざまな理由で、そして多くの点で移行期だった。絶えず変革が続く中で商品やサービスが展開されてきた。少し前にそれらがどんなふうに展開されていたか、どんな制約があったかを考えると、おそらくあなたは驚くに違いない。私たちがいまオンラインで当たり前のようにやっている多くのことは、この10年間で発明され、人気になったものなのだ。

しかしこの数年では、インターネットによる恩恵が劇的に減った。あなたがもっと使いたいと思うような機能をFacebookは加え続け、人々をオンラインにしばりつけるような方策を絶えず追求している。これはなぜなのか。

それは私にいわせれば、Facebookのようなプラットフォームができること、やるべきことが限界に達したということ。それだけだ! それで何ら不都合はない。

車の改良に似ている。どれだけの機能を加えたとしても、あるいはエンジンを取り換えたとしても、車は車なのだ。車は便利なもので、Facebookだってそうだ。しかし車はトラックではなく、バイクでもなく、リンゴでもない。そしてFacebookは(例えば)ブロードキャスト媒体でもないし、緊密な関係を築く場所でもないし、VRプラットフォームでもない(必死に試みてもだ)。

Facebookがうまくやってきたこと、私たちが便利に思ってきたことは長い間変化がなかった。それは、ニュースや写真を友達とシェアしたり、イベントをアレンジしたり、人々と知り合って連絡を取り合ったりといったことだ。そうした機能の目新しさは次第に薄れ、当然のこととして、それらを使う機会は減り、もっと自分に合う方法で活用するようになった。

Facebookは、長所短所を伴いながらも、初めからそこにあったかのようなプラットフォームになり、それ以上のものになれなかったというのは、特に悪いものではない。事実、私は安定しているというのはいいことだと思う。それが何か、どういうものになるかということがわかったら、見識ある選択をすることができる。

欠点が次第に明らかに

どのテクノロジーにも、それを強く批判する人がいるものだ。ソーシャルメディアに関しても例外ではない。私自身もかつてそうだったし、ある程度はまだそうだろう。しかし、それらのプラットフォームの変わり様をみると、恐れていたことが跡形も無くなっていたり、現代にそぐわないものになっていたりした。

人々は“現実の世界”で互いに関わるのをやめ、デバイスの中に生きているという考え方は、明らかに私たちが想定していたものではなかった。年配の人が、コミュニケーションをとる正しい方法を次世代に教えるというのは、成功したためしがない。しかし、もしあなたが、海外の選挙の妨害がFacebookのオーバーシェアリングやプライバシー問題と同じくらいが深刻なものになると2007年に予見していたら、あなたの顔は疑い深いものになっていたに違いない。

他の欠点は思いがけないものだった。例えば、ソーシャルメディアのシステムがニュース収集システムではなかった時代、つぶやきや拡散が出てくるとは予想できなかった。オンラインに投稿された他の誰かの生活のハイライトだけを見るという現象は、それは羨ましさを持って見る人にとっては自己管理問題につながるが、面白いものではあるものの悲しい進展だった。

ソーシャルメディアに付き物のリスクが予言されていたかどうか、あるいは証明されていたかどうか。いずれにせよ、人々は今そうしたリスクを真剣にとらえている。ソーシャルメディアに時間を費やしすぎたり、ソーシャルメディアから有害な影響を受けたり、またソーシャルメディアでのやりとりが苦痛になったりちょっとした騒ぎになったり、というのが今直面しているものだ。

そうした欠点を、長所と同じくらい真剣にとらえることは、ある種の成熟を意味する。少なくとも、社会がそれにどう対応するかということを表しているという意味においてはそうだ。技術の成熟度が落ち着き、現実にそぐう判断が行われ、人々とソーシャルメディアの関係性の難しさが妨害されることなく検証される。

ソーシャルメディアの能力の安定性と、そうした能力が考慮されたリアリズムの間で、選択肢はもはや独断的なものでなければ、絶対的なものでもない。あなたがソーシャルメディアをどう使うかというのは、もはや彼らによって決められることではないのだ。

ソーシャルメディアは個人の選択の最たるものに

あなたの経験は、私がここで言うものとは異なるだろうが、私の意見ではソーシャルメディアが開発された当時は、選択肢は2つに1つだった。つまり、ソーシャルメディアを利用するか、しないか、というものだ。

彼らが進めてきた方法は、機能を追加したり、機能に誘導したり、あるいはレイアウトやアルゴリズムを変更したりしてあなたがソーシャルメディアをどう使っているかを明らかにしてきた。迫ってきつつあるとき、どうやって有意義に活用するかを決めるのは難しい。数カ月毎に新機能や遊びツール、アプリが加えられ、あなたは仕組まれた通りそれらを使うか、取り残されるリスクをとるかということになる。つまり、使い続けるか、距離を置くかのどちらかだ。

しかし全ては変わった。基本原則が設けられ、数カ月使用を中止してまた戻ってくるということもようやくできるようになった。これは、以前に比べかなり大きな変化だ。

ソーシャルネットワークが何十億もの人々に使われる安定したツールとなり、複数のサービスを使い分けることは基本的にありえる。

Facebookを使うか、Instagramを使うかといった選択は、どれを使ってどれを使わないかというものではない。交友のためのツールとして、また自己表現や創造のためのプラットフォームとしてソーシャルメディアを受け入れることは自然なことであり、(多くの面で)疑う余地はない。

それは毎日の暮らしにおいて絶対不可欠のツールにする、ということから、まったく使用しないということへと拡大解釈される。前者は人がどうソーシャルメディアを使うべきかということを意味しているのではない。接続しないことや技術革新に反対を唱えることはもはや恥ずかしいことではない。

あなたと私は異なる人間だ。違う場所に住み、読む本も異なるし、違う音楽を好む。異なる車に乗り、お気に入りのレストランも好むドリンクも違う。だから、ソーシャルメディアをどう活用し、どのように表現するかという点でなぜ皆同じでなければならないだろう。

繰り返しになるが、これは車に似ている。車を所有して、通勤に毎日使ってもいいし、あるいはたまにしか乗らなくてもいい。また、所有しないというのもありなのだ。これを誰が断じることができるだろうか。どんな車かということではなく、その人が何が欲しいのか、生活する上で何を必要としているのかということなのだ。

例えば、私自身は1年以上前に、携帯からFacebookを削除するという選択をした。それによって私はずいんぶんハッピーになり、悩まされることも少なくなった。Facebookの方からアプローチがあり、それに拘束されるのではなく、より慎重に付き合うようになっている。しかし私の友達の中には、散らばっている知人で構成する、ゆるいネットワークに大きな価値を見出し、維持している人もいる。そうした人たちは、即席で誰かと知り合いになったり、分単位、秒単位でやりとりすることを楽しんでいる。また、連絡を取り合う手段が無数にある中で、Facebookに最初から近寄っていないという友達もいる。

これらは、いずれもFacebookと付き合うパーフェクトな方法だ。何年か前の話になるが、ソーシャルメディアをめぐる支配的な考え方、生活における誇張された役割ーその多くは小説からきているーのために、たまにしか使わないというのは難しいとされていた。そして全く使わないことは、貴重な機会を逃すことを意味していた(または、使用をやめることは不安をもたらすと恐れていた)。

試してみれば気に入るはずだ

ソーシャルネットワークは、車やキーボード、検索エンジン、カメラ、コーヒーメーカー、その他のものと同様に生活を改善するためにある。つまり、何かをするために、そのパワーをあなたに与えるというものだ。と同時に、かつて50年代、60年代に車や車メーカーが社会に大きな影響を及ぼして公共交通機関から高速道路へと人気が移ったときのように、ソーシャルネットワークやその背後にいる企業はあなたや社会にかなりの影響力を及ぼしている。

一部の人や場所はまだ、車メーカーの影響を受けている。車なしでLAを移動してみたらわかるだろう。同様のことがソーシャルメディアにもはてはまる。ソーシャルメディアなしに誕生パーティを計画してみたらいいのだ。とはいえ、近年その影響力は弱まり、私たちは自分で意義ある選択ができるようになった。

ネットワークはどこにもいかない。あなたは去って、また戻って来ればいいのだ。ソーシャルメディアはあなたの存在をコントロールすることはない。

イエスかノーかではなく、100%使ってもいいし、0%でもいいし、その間のどこかでもいい。あなたがソーシャルメディアをどう使うかは、ソーシャルメディアが決めることではない。

あなたが何か大事なことを逃すということはない。なぜなら、何が重要なのかを決めるのはあなたなのだから。ソーシャルメディアはあなたの優先順位を考慮しないのだ。

あなたがソーシャルメディアをどう使うか、あなたの友人は心配することはない。なぜなら、彼らは人はそれぞれ異なるものを必要とすることを知っているからだ。ソーシャルメディアはあなたのことを気にしない。

挑戦してみよう。すぐに携帯電話を手に取り、Facebookを削除する。どうしてやってはいけないことがあろうか。おそらくその後に起こりうる最悪なことは、次の日に再びダウンロードして、振り出しに戻ることだ。私の時もそうだったし、私が知っている人もまた同じだったのだが、体重を落としてみて初めて余分な体重をつけていたことを実感するような体験となるはずだ。ぜひ試してみてほしい。

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(翻訳:Mizoguchi)

「授業向けInstagram」のSeesawは、既に米国の学校の半数で使われている

子供たちは、誰かが見てくれていると思っていない限り、最大限の努力はしないものだ。人の多すぎる教室や、相手をしてくれない両親の下では、子供たちは学校の課題に力を注ぐことを無意味に感じることがある。しかし、 Seesawのアプリは、子供たちの学習課題を、教師、友達、お母さん、お父さんと共有できるソーシャルメディアに変えてくれる。アプリは今では全国の学校で導入が進んでおり、LinkedInのCEOであるJeff Weinerや、その他の人たちから、シリーズAラウンドで資金調達を行ったばかりだ。

Seesawでは、自撮り写真にいいね!を集めたりコメントを受け取る代わりに、生徒たちには、クイズや、お絵描き、そして理科プロジェクトに対する積極的な強化が行われる。教師のためには、Seesawは拡張された目として機能し、教室の管理に集中する手助けをする。そして、後から生徒たちがタスクを行う様子や、設問を解く様子を録画を通して見ることができる。

子供たちに授業中の作業に集中させ、教師たちに生徒たちの成果だけではなく途中経過を見ることも可能にすることで、Seesawは静かに、小学生にとって最も人気のある学習ツールの1つになっている。現在、米国の全学校の半数にSeesawを利用している教師がいる、 2016年6月にこの教育スタートアップについて取り上げたときには、まだ4分の1に過ぎなかった。現在、何百万人もの生徒たちが150カ国で、毎月Seesawを使用している。そして、スタートアップが提供するプレミアムバージョンのSeesawに、お金を払う学校や学区は1000を超えている。

「ほとんどの小学校で使われているプロダクトは、高校用プロダクトの省機能版です」と共同創業者のCarl Sjogreenは語る。Seesawのデザインは、大きくてわかりやすいボタンや、ほとんどの子供たちが既に遊ぶことに慣れているカメラ機能を使うことが特長だ。これにより、クリエイティブなプロジェクトの割り当てが容易になり、デジタルプレゼンテーションのおかげで、より多くのやりがいを感じることができる。子供たちは、自分たちの行った課題に慌ただしく点を付けられたあと、そのままゴミ箱行きになるような感覚を感じなくても良い。「従来の教室の多くは、子供たちにワークシートを通して自分自身を表現させてきました。何かを創造するために、ワークシート上の空白を埋めること以上に、型にハマったやり方を想像できますか?」。

Seesawは、Adrian Grahamと、自身の立ち上げた旅行スタートアップのNextStopをFacebookに売却し、Facebookのプロダクト管理ディレクターも勤めたCarl Sjogreenによって共同創業された。Sjogreenは写真スライドショーにアフレコを行う手段を提供する、Shadow Puppetというソーシャルアプリを2013年に開始した。これはSnapchat Storiesが立ち上がる遥か以前に登場した、クールなアイデアである、GreylockのDiscoverファンドから資金調達も行った。

Shadow Puppetは、消費者向けにはあまり受け入れられなかったが、これをクラスでのプロジェクトの発表に愛用する、教師や生徒たちもいた。9ヶ月のうちに、彼はShadow Puppetの方向転換を行い、2015年にはSeesawを立ち上げた。今ではLinkedInのCEO、元DFJパートナーのBubba Murarka、そしてReach CapitalのWayee Chuを含む投資家たちからのシリーズAの資金を、金額は不明ながら受けている。この資金のうちの一部は、Instagramの競争相手VSCOの元CTOであるMike Wuを、SeesawのエンジニアリングVPとして雇用するために使われた。

生徒たちのためのソーシャルメディア

Seesawは、iOS、Android、Kindle、Chromebook、そしてウェブアプリを提供し、子供たちが写真、ビデオ、絵、メモ、リンク、ファイル、ブログを共有し、自分の作品を説明するナレーションを録音することができる。生徒たちはまず教師のところへ行って、自分たちのコンテンツが、他の生徒たちに見せても良いような安全なものかどうかの許可を得る必要がある。教師は作品を評価したり、生徒たちにフィードバックを送ったり、クラス、生徒、トピックごとに整理を行うことができる。特殊教育の生徒たちは、特に、書くことやビデオではなく、話すことや絵を描くことで彼らの強みを活かして課題に取り組むことのできる、マルチメディアオプションの恩恵を受けている。

また親たちは、子供に家に持ち帰る宿題がなかったときでも、子供が何をしたかを知ることができる。Sjogreenは次のように言う。「素敵な瞬間は『リリー、今日学校はどうだったの?』『まあまあ』『何したの?』『別に』というやりとりをする代わりに、もっと豊かな会話に飛び込むことができるときです。『あなたの作ったこれについて教えてくれない?』という具合に」。

生徒や保護者たち向けのSeesawは無料で、教師も最初は無料で始めることができる。しかし、学校や学区が、Seesawと学生データベースと採点システムを同期させ、管理、分析、より多くの採点機能の集中化を図りたいと考えるなら、支払いを行うことになる。その場合は、年間に生徒1人当たり5ドルを支払うことになる。Seesawの1000件の有料クライアントには、100人規模の子供がいる学校や、数十万人規模の生徒を抱える学区が含まれている。それによってスタートアップの収益は、前年比3倍となった。

教室で子供たちにこれ以上「ソーシャルメディア」を与えることには、いくつかの懸念がある。私は、もし子供が他の子供の作品に、意地悪なコメントを残すとどうなるかと尋ねてみた。Sjogreenの答は、コメントは教師の承認を経なければならないので、子供がインターネット上で行動する方法を理解するための、学習機会を生み出すことができるというものだった。

また、子供たちが教室でよりデバイスを使うようになると、さらに気が散ってしまうのではないかという懸念もある。ほとんどの生徒たちは、限られたアプリや接続性だけを備えた、学校提供のタブレットでSeesawを使用しているため、勉強と遊びを混同することはない。

スタートアップたちにとって、学校への売り込みは非常に厳しいものだ。幸運なことに、Seesawの採用したDropboxスタイルのボトムアップ配布戦略は、学校がSeesawを自分のシステムに取り込みたいと感じさせるまで、プロダクトを教師に無償提供し続けることができる。それでも、アプリはより高学年の生徒たちにフォーカスし、より幅広い採点プションを提供する、FreshGradeような競合製品と競争しなければならない。

子供たちを、特に日中は、可能な限りソーシャルメディアから遠ざけておくことを希望する教師や親たちもいる。しかし、魅力的なデジタルコンテンツを創作するスキルが、様々な仕事(マーケティング資料の作成、プロダクトデザイン、もしくは単にPowerPointプレゼンテーションを行うとしても)に対して重要であるという事実から、目をそらすことはできない。教師からの強力な監督の下で、こうした体験に子供たちが触れやすくすることで、子供たちは有利なスタートを切ることができる。そして子供たちは創造性と知性が高く評価されていると感じることによって、学問の世界が提供する全ての機会に対して関心を持ち続けることだろう。

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(翻訳:sako)

Amazonはそのインフルエンサープログラムを、YouTubeに加えてTwitterとInstagramにも拡大する

Amazonは先週の木曜日に、そのインフルエンサープログラムを、YouTube以外にTwitterやInstagramも含めるように拡大すると発表した。今春の初めにベータ版が開始されたこのプログラムは、当初人気YouTuberを対象にしていた。これはAmazonアフィリエイトのような関係を通じて、自分たちのビデオで宣伝した商品からお金を稼ぐ方法を提供するプログラムだ。

現在一般に見られるインフルエンサーたちの多くは、通常自分たちの投稿――それがYouTubeでも、Instagramでも、Facebookその他でも――の中で定期的に商品の売り込みをしている。

Amazonが提供するプログラムの背後にあるより大きな考えは、Spark(買い物のできるInstagramクローン)のような他の試みと同様に、ソーシャルメディアがセールスを伸ばすというものだ。Amazonもそうした動きに取り組む必要があった。

これまでのところ、このプログラムは、YouTubeインフルエンサーに対して、彼ら自身のカスタマイズ可能なAmazon店舗(そこでファンたちがお勧めの商品を購入することができる)用の、覚えやすい特別URLを提供してきた。店舗そのものは特にユニークなものではない。一番上にロゴがあり、その下に製品のリストが続いたものだ。しかし、アマゾンが提供する amazon.com/shop/username というURLフォーマットのおかげで、ショップに簡単にアクセスすることができる。

インフルエンサープログラム自体は、Amazonアソシエイトプログラムの延長であるため、必ずしもインフルエンサーたちに対して高い手数料率を提供しているわけではない。単にカスタムストアを作成して宣伝するのが簡単になったということだ。

私たちが 8月にレポートしていたように、 Amazonは既に他のソーシャルメディアサービス上にプログラムを展開することを企画していた。それが現実のものになったということだ。

Web Summitカンファレンスでの発表によれば、このプログラムは、TwitterとInstagramのインフルエンサーたちに開放されたということだ。


イベントでは、新しい活動を推進するためにAmazonが昨年雇用したNavid Hadzaadが、このプログラムによる早期の成功例の洞察を語った。

「私はこれまでに、何万人ものフォロワーを抱えているインフルエンサーたちが…やがて私たちが提供する収入だけに基づいて『やあ、仕事を辞めて、これをフルタイムでやることにしたよ』ということができるようになるところを見てきました」と彼は言った。

さらに、YouTubeクリエイターでインフルエンサーのDan Markhamも、Web Summitのパネルにおいて、Amazonインフルエンサーとして観察できたインパクトについて説明した。

たとえば、彼があるビデオの中でFidget Cubeを宣伝したところ、Amazonアフィリエイトのクリック数は66万8777回、注文数は1万6369件となり、売り上げは16万755.98ドルに達した。また別のビデオではYetiマグを宣伝し、13万1967クリックと3万6520.92ドル相当の製品が販売された。Markhamは、これらの売上からおよそ8%のアフィリエイト収入を得たと述べた。

Hadzaadは、自社の収益の観点を離れても、この生きたデータは、インフルエンサー自身が、ユーザーたちがどのプロダクトに反応しているかを知るために役立つと指摘し、またブランドと宣伝交渉を行なう際の材料としても使うことができると述べた。

また、同プログラムの透明性は更なる利点でもあると強調した。現在、多くの人気YouTuberたちは、彼らのビデオにおけるブランドとの関係を明らかにしていないと批判されているが、Amazonのインフルエンサープログラムは、ブランドと直接仕事をすること以外の手段を提供する。

「信頼性を高めることは私たちと私たちのプログラムにとって重要なことです」とHadzaadは語る。「製品を宣伝して収益を上げるために、ブランドと提携する必要はありません。本当にお気に入りの商品を紹介することができるのです」。

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(翻訳:Sako)

アメリカの成人は、ますますニュースをソーシャルメディアに頼るようになっている

Pew研究センターによる新しい調査によれば、米国の大人がソーシャルメディアプラットフォームを介してニュースを受けている割合が、一段と増加したことが示された。

昨年の5月の同調査では、米国の成人の62%がテクノロジープラットフォームからニュースを入手しており、そのうちの18%は頻繁にそうしていると報告されていた。そして最新の調査では、米国の成人の3分の2(67%)が、少なくともニュースの一部をソーシャルメディアから得ていると報告されている。一方、5分の1(20%)は「頻繁に」そうしているという結果になった。

これは大幅な増加ではないが、それでも増加はしている(Pewはそれを「控え目な」増加と呼んでいる)。

そして懸念される存在 ―― ソーシャルメディアにおけるニュースの主たる提供者であるFacebookは、事実と無意味なフィクションをそのプラットフォーム上で区別することに、明らかに無関心あるいは無能(またはその両方)なのだ。

確かに、多くの人びとが既に指摘しているように、ユーザーエンゲージメントの増加によってFacebookのビジネス上の利益がもたらされること、そして人びとの偏見を助長し、乱暴な対立を招く社会的主張を含む捏造されたニュースの方が、実際のニュースの事実報告よりも、Facebookのビュー回数をはるかに稼ぐことができることが示されてきた。

なので、ソーシャルメディアにおけるニュース消費の増加は今一度立ち止まって考える必要がある。特にFacebook(とGoogle)は従来のメディアから広告予算を奪い続けており、これまで民主主義が機能する上で重要な役割を果たしてきたビジネスの存続を脅かしている。

Pewの調査は、同研究センターの全国組織American Trends Panelのメンバーである4971人の米国成人からの反応に基いている。この調査は、2017年8月8日から21日にかけて行われた。

それによれば、ソーシャルメディアプラットフォーム全体における、ニュース消費の伸びは、「高齢で、教育程度が低い非白人」のアメリカ人によって支えられていることがわかった。 Pew研究センターによる調査で初めて、50歳以上のアメリカ人のうち半分以上(55%)がソーシャルメディアサイトでニュースを得ていることが報告されたが、これは2016年に比べて10ポイントの増加である。

またPewは、2017年に質問対象とした3つのソーシャルメディア ―― Twitter、YouTube、Snapchat ―― のどのサイトでも、ニュースを受け取るユーザーの数が増えていると報告している。

Twitterユーザーの約4分の3(74%)が同サイト上でニュースを得ていると述べており、これは2016年初頭に比べて15ポイントの増加だ。

YouTubeユーザーの約3分の1(32%)が同サイトからニュースを得ており、これは2016年初頭の21%から11ポイント増となった。

また、Snapchatのユーザベースでのニュースを消費も増加している。現在ユーザーの29%がそうしていると回答したが、これは2016年初頭の17%から12ポイント増となる。

それでも、Facebookは、全米の人びとに対してニュースを提供する主要なソーシャルメディアプラットフォームである。アメリカの成人の半分近く(45%)が、同サイトからニュースを得ていると報告されている(Facebookのユーザーベースは68%という多数に上る)。

時代は変わる。ちょうど1年前、Facebookはソーシャルメガプラットフォームがメディア企業の役割を果たしているという考えを鼻で笑っていた。そのアルゴリズムが何十億というユーザーたちのために、ニュース関連のコンテンツを選択して整列させているにもかかわらず、「私たちは単なるテクノロジープラットフォームです」という言葉が2016年9月には繰り返された。

12月までに、米国の選挙結果後にフェイクニュースの反撃を受けて、その言葉は信頼性の限界へと近付いていた。ここに至ってマーク・ザッカーバーグCEOは、Facebookが本当にメディア企業であると渋々ながら認めた。但しそれは「旧来」のものではないと言いながら。

それは真実だ。地球上の他のメディアに、このような広大なリーチパワーを享受しているものはない。

今週Facebookが明らかにしたように、アメリカが派手な選挙活動に向かう中で、ロシアのエージェントたちが、Facebookプラットフォーム上で政治的広告を購入し、ターゲットを設定し、配信することで、アメリカ人の中の社会的集団を結びつけていったのではないかというささやかな疑いが持たれている。

2015年から2016年の間に、クレムリン(ロシア政府)を支持する団体が、政治的マーケティングのために、約10万ドルの広告枠をFacebookプラットフォーム上で購入したように見えるという社内の調査結果が報告された。

同社はこれまで、ロシアの団体によって購入された広告を公開せよという圧力に抵抗している

これは完全にナンセンスだ。第一に法を犯しポリシーに反したロシア人たちはその広告に関してプライバシーを主張することはできない。

Pewの調査に戻ると、YouTubeの(成長している)ユーザーベースの間でも、ニュースの消費が増えているということが明らかになった。このGoogle/Alphabet所有のユーザー生成ビデオプラットフォームは、今や2番目にポピュラーなニュース向けソーシャルメディアサイトとなった。全米の成人のうちおおよそ10人に2人(18%)がニュースをそこから受け取っている。

Twitterの場合、そのユーザーの74%がサイトを経由してニュースを取得しているものの、ユーザーベースがFacebookやYouTubeのニュースよりも遥かに小さいことから、全体のリーチも小さくなっている。結果としてアメリカの成人のうちTwitter経由でニュースを取得しているのは11%に留まっている。

調査担当者は、アメリカの成人はこれまで以上に複数のソーシャルメディアサイトからニュースを得るようになっていると結論付けている。アメリカの成人のおよそ4分の1(26%)が2つもしくはそれ以上のサイトから情報を得ているが、これは2016年には18%だった。

追加調査によれば、インターネットはニュースのソースとして、テレビに肉薄していることが示された。2017年8月現在、米国人の43%がニュースをしばしばオンラインで入手していると報告されているが、テレビでニュースを頻繁に入手する人は50%だ。その差は僅か7ポイントである。2016年の初めには、2つのニュースプラットフォーム間のギャップは19ポイントだった。

要するに、インターネットのソーシャルプラットフォームの大手企業は、印刷媒体だけでなく、放送/テレビのニュースメディアを急速に吸収しつつあるのだ。

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(翻訳:Sako)

Facebookで新たに違法コンテンツ放置の疑い―、レコメンド機能にも疑いの目

英紙の調査によって暴かれた、児童性的虐待やテロリストのプロパガンダに関連したコンテンツの拡散により、再びFacebookは、問題のあるコンテンツへの対処について厳しい批判にさらされることとなった。

UGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)をアルゴリズムで管理するというFacebookの仕組みは、確かに違法コンテンツの拡散に繋がっているようだ。

昨日のThe Timesの報道では、同紙の記者が仮のアカウントを作成したところ、すぐに不快で違法性の高いコンテンツを発見できたと、Facebookが糾弾されている。発見されたコンテンツの中には、小児性愛を想起させるイラストや子どもが暴力をふるわれている様子をおさめた映像、ISISサポーターが作成した断首映像やエジプトの教会でおきたテロ事件を称賛するコメントのように、テロリストのプロパガンダを支持するものが含まれていた。

しかもこれらのコンテンツをFacebookに通報した際にも、ほとんどのケースで、画像や動画が同プラットフォームの規約に違反していないという返答をFacebookから受け取ったとThe Timesは報じている(しかしその後、The Timesが身元を明かして再度Facebookにコンタクトしたところ、最終的にモデレーターがそのままにしていた小児性愛を想起させるイラストが削除されたとのこと)。

その後、The Timesが通報したコンテンツは全て削除されたとFacebookは話している。

まさにこのような問題を解決するために、現在ドイツで議論が進められている法案では、苦情を受け付けた後に違法コンテンツを早急に削除しないソーシャルメディア・プラットフォームに対して、巨額の罰金が課されることになっている。ドイツ政府も今月に入ってからこの法案に対する支持を表明しており、今期中に同法案が可決される可能性もある。

そしてヨーロッパの他の国も、ドイツに追従する可能性が高い。イギリスを例にとれば、先月ロンドンで起きたテロ事件を受けて、同国政府は再度ソーシャルメディアとテロリズムに対する警戒を強めており、内務大臣はFacebookを含むソーシャルメディア各社に対して、テロ組織のプロパガンダを自動で検出・削除するツールの開発を進めるよう圧力をかけている。

The Timesの調査にあたり、同誌の記者はFacebook上で30代のITプロフェッショナルに扮したプロフィールを作成した上で、100人以上のISISサポーターと友だちになり、児童の”わいせつもしくは性的な”画像を奨励するグループに参加した。「それからすぐに、児童性愛に関連した何十枚といういかがわしい画像を、ジーハーディストが投稿している様子を目にした」と同記者は記している。

The Timesが、発見されたコンテンツを勅選弁護士のJulian Knowlesに見せたところ、同コンテンツはイギリスのわいせつ罪にあたるか、テロ行為を直接もしくは間接的に奨励する言論や出版を禁じているTerrorism Act 2006に触れる可能性が高いという返答を受け取ったされている。

「もしも誰かが違法な画像をFacebookに通報し、シニア・モデレーターが画像を削除しないと決定した場合、Facebookは違法画像の出版および流通を奨励またはほう助したとみなされ、有罪となる可能性があります」とKnowlesはThe Timesに語っている。

Facebookは先月にも、コンテンツ・モデレーションの仕組みについて同様の批判を浴びていた。児童のわいせつ画像に関する通報に対し、Facebookがどのような反応を示すのかBBCが調査したところ、Facebookは通報を受けた画像の大半を放置していたのだ。実は昨年にも、非公開のFacebookグループ内で、小児性愛者が児童のわいせつ画像をやりとりしているのをBBCが報じていた。

FacebookはThe Timesの報道に関する広報担当者へのインタビューには応じなかったものの、グローバルオペレーション担当VPのJustin Osofskyは、TechCrunchに対するメールでの声明の中に「私たちはThe Timesによる通報をありがたく思っています。問題の画像はFacebookのポリシーに違反していたため全て削除されました。このような事態が発生してしまい、大変遺憾に思っております。依然として改善の余地は残されていますが、今後もFacebookに対して人々が当然抱いているであろう、高い期待に応えるため、努力を重ねていきます」と記している。

Facebookは世界中のオフィス(ヨーロッパのコンテンツはダブリンオフィスの管轄)で、”何千人”という数のモデレーターを雇い、24時間体制で問題のあるコンテンツへの対応にあたっていると言う。しかし20億近いMAU(厳密には2016年末時点で18.6億MAU)を記録しているFacebookのユーザーが、常に無数のコンテンツをアップロードしていることを考えると、モデレーターの数は大海の一滴でしかない。

人間の手で対処するとなると、現状のモデレーターの数では到底追いつかず、人件費を考慮するとFacebookがモデレーターの数を急激に増やすということも考えづらい(Facebook全体の従業員数でさえ1万7000人強しかいない)。

FacebookはMicrosoftのPhotoDNA技術を導入し、アップロードされた画像全てを予め準備された幼児虐待の画像と照らし合わせているが、問題につながる可能性のあるコンテンツを全て見つけるというのは、エンジニアリング力ではなかなか解決しづらい課題だ。というのも、問題のあるコンテンツを全て検出するには、文脈や各コンテンツの内容に応じて個別の判断が必要となるだけでなく、世界各国の法体制や文化的な考え方も考慮しなければいけない可能性があり、作業の自動化が極めて困難なのだ。

CEOのマーク・ザッカーバーグは、この問題に関して最近発表したコメントの中で、「ユーザーの安全を守るための素晴らしい手段のひとつとして」Facebookが「プラットフォーム上で何が起きているかをより速く、より正確に理解できるようなAIを開発中」だと述べている。

さらに彼は、Facebookには「もっとやるべきことがある」と認めたものの、コンテンツ・モデレーションの仕組みを改善するにはまだ「数年」かかると記している。

また、「現在私たちは、テロ組織の採用活動にFacebookを利用しようとしている人を早急に締め出すために、テロ行為に関する報道と実際のプロパガンダを区別できるようなAIの使い方を模索しています。問題を解決するには、報道内容を読んで理解できるようなAIを開発しなければならず、これは技術的に難しいことです。しかし、Facebookは世界中のテロ行為と戦うために、そのようなAIの開発に取り組んでいかなければいけません」という言葉に続き、彼は「個人の安全と自由を守る」という考えが、Facebookコミュニティーの哲学のコアにあることを強調していた(同時にこの考え方が背景となって、Facebookは言論の自由と不快な発言の間でうまくバランスをとることを余儀なくされている)。

究極的には、違法なコンテンツが最低ラインのモデレーションのハードルを上げ、Facebookのモデレーションプロセスを大きく変化させる原動力となっているのかもしれない(たとえ、その国/地域では何が違法な発言で、何が単なる悪口や不快な発言と解釈されるかは、別途議論を要するとしてもだ)。

ただし否定できない事実として、Facebook自身が、大手メディアによって発見されたコンテンツは規約に違反しているため、プラットフォーム上から削除されなければいけないと認めている。これは同時に、それではなぜ最初に通報があったときにそのようなコンテンツを削除しなかったのかという疑問にも繋がってくる。その原因は、モデレーションシステムの障害なのかもしれないし、企業全体の偽善なのかもしれない。

The Timesは、今回の調査結果をロンドン警視庁と国家犯罪対策庁に提出したとしているが、テロ行為や小児性愛関連のコンテンツを削除しなかったことで、Facebookが今後イギリスで刑事告発されるかどうかはまだわかっていない。

さらに同紙は、Facebookのアルゴリズムが問題のあるコンテンツの拡散を促しているということについても、同社を非難している。これはユーザーが特定のグループに加入したり、特定の人と友だちになった際に、問題のあるコンテンツが自動的に表示されるようになっている仕組みのことを指している。

この点に関しては、「おすすめのページ」機能のように、共有の友だちや職歴、学歴、加入しているグループ、インポートされたコンタクト情報や、表には現れないその他のさまざまな要因をもとに、各ユーザーが興味を持つ可能性の高いコンテンツが自動的に表示される機能がFacebookには確かに存在する。

ニュースフィードの機械学習アルゴリズムが偽ニュースを広めていると非難されたときと同じように、ユーザー同士やユーザーが興味を持っている事柄を繋ぎ合わせようとするアルゴリズムの動き自体が、犯罪行為を助長しているのではないかと疑われ始めているようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter