ソーシャルレンディング投資家の約7割が毎月使うインフラ「クラウドポート」が3.1億円を調達

「世の中的には仮想通貨の盛り上がりがすごく、その影に追いやられてしまった部分はあるが、ソーシャルレンディング市場も着実に伸びてきている」——そう話すのはクラウドポート代表取締役の藤田雄一郎氏だ。

クラウドポートでは年々拡大するソーシャルレンディング業界に特化した比較サイト「クラウドポート」を2017年2月から提供。そして本日B Dash VenturesAGキャピタルみずほキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資により、総額3.1億円を調達したことを明らかにした。

2017年の市場規模は1316億円、前年から約2.5倍に拡大

冒頭の藤田氏の話にもあるように、最近は毎日のようにビットコインを中心とする仮想通貨の話題がメディアで取り上げられるほど、ここ1年ほどでその知名度は一気に上昇した。ただその裏側では着実に新たな資産運用の仕組みが広がってきている。

たとえば資産運用を自動化する「ロボアドザイザー」。直近では2018年1月にテーマ型投資のFOLIOがLINEやゴールドマン・サックスから70億円を調達。2月にはウェルスナビが未来創生ファンドらを引受先とした第三者割当増資と融資を合わせて45億円を集めた。「THEO」を提供するお金のデザインも累計で数十億円を調達していて、Fintech界隈でも特に大型の調達が続く市場となっている。

そして同じく拡大傾向にあるのが、お金を必要とする人や企業と、投資をしたい一般投資家をマッチングする「ソーシャルレンディング」だ。

かつてはデフォルト(貸し倒れ)率の高さが問題視されることもあったが、近年はそのような状況も改善され、サービス提供者の数も20社を突破。藤田氏によると2017年の市場規模は前年の533億円から約2.5倍拡大し、1316億円まで膨らんでいるという。

ソーシャルレンディングは「銀行が融資しづらい」領域へ新しい資金を投じる仕組みとして期待を集めていて、近年は古民家再生や再生可能エネルギー発電施設の開発などの目的で利用が増加。不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」を提供するLIFULLなど参入を表明している大手企業も複数あり、今後も市場の拡大が見込まれている。

分散投資の支援に向けて3つの軸でサービスを提供

そんなソーシャルレンディング事業者の動向をわかりやすく整理したサイトとして始まったのがクラウドポートだ。事業者の横断比較サイト(現時点で23社掲載)と専門ニュースサイト「クラウドポートニュース」に加え、2017年10月にポートフォリオ管理ツール「マイ投資レポート」の提供を開始。

利用者数も増加傾向にあり、現在国内でアクティブなソーシャルレンディング投資家のうち約7割が毎月利用するサービスになっているという(各事業者へのヒアリングや同社でのユーザーアンケート、および公開データを元に同社で推定したもの)。

「ソーシャルレンディングは複数の事業者やファンドへ分散投資をしている人が多く、事業者だけで20社以上もあるとなると比較検討が大変。そのため玄人の人を中心に比較サイトや資産管理ツールを定期的に活用いただいている。一方でクラウドポートニュースを中心に、初心者の方にも使ってもらえることが増えてきた。(リリースから約1年で)少しずつソーシャルレンディングのインフラ的な存在になれているという実感はある」(藤田氏)

クラウドポート利用者の平均保有口座数は6つ。現在投資中のファンド数についても約40%のユーザーは11ファンド以上だというから、確かに投資状況を一覧できるツールや比較サイトのニーズは高そうだ。

クラウドポートでは今回調達した資金をもとに組織基盤を強化。サービスの改善を図るとともに、新サービスのリリースも予定しているという。

「ソーシャルレンディングはミドルリスクミドルリターン。株式やFXほど難しくなく安定的に運用できるのが特徴だ。もともと忙しいサラリーマンや主婦でも始められるような、新たな資産運用の選択肢が必要だと思い(クラウドポートを)始めた。とはいえ絶対に損失が発生しないとは言えないし、ファンドや事業者を分散することも大切。そのための負担や手間を減らし『投資家が分散投資をしやすくするための環境』を整備していきたい」(藤田氏)

写真左からクラウドポート代表取締役の藤田雄一郎氏、共同創業者の柴田陽氏。藤田氏はソーシャルレンディングサービス「クラウドバンク」の立ち上げに携わった人物。一方の柴田氏は「スマポ」など複数サービスの立ち上げ、売却経験のある連続起業家だ。

 

第二のサブプライム問題にテック業界が関係するかもしれない理由

【編集部注】執筆者のMike LovanovはTarget Globalのパートナー。

2016年10月に、Lending ClubProsperというアメリカの2大ソーシャルレンディングプラットフォームで、低グレードローンの利上げが発表された。この施策は、Lending Clubのコンプライアンス問題や、ソーシャルレンディング業界全般に対する風当たりの厳しさといった背景を受けて、両社がプラットフォーム上に資金を継続的に集めることを目的に実施されたものだった。

しかしLending Clubが発表した通り、貸し主からの安定的な資金供給という狙いだけでなく、特にハイリスクなローンでの貸し倒れ増加が利上げの背景にはある。

ソーシャルレンディングプラットフォーム各社は、10月だけでなく実は昨年中に何度金利を変更していた。金融危機後にアメリカを含む世界各地で見られた、経済活発化を目的とする利下げの動きが落ち着き、まず2015年12月にFRB(連邦準備制度理事会)がアメリカ経済の安定化を理由に利上げを発表したことを受けて、ソーシャルレンディング各社もローンの利上げに踏み切った。当時Lending Clubは、FRBの利上げ幅に合わせ、新規ローンの金利を平均0.25%上げ、その後もLending ClubとProsperの両社は何度か金利の変更を行っていた。

以下の表には、Lending ClubとProsperの金利の推移が示されている。上位層のローン金利に関しては、Lending Clubが微増、Prosperが微減傾向にあるものの、上位層と下位層のローン金利差については、両者とも拡大傾向にあることがわかる。もっとも変化が大きかったのが、Lending Clubのハイリスクローンの金利で、2015年12月から0.2%しか金利が動いていないAグレードのものに比べ、Fグレードのローン金利は6%以上も上昇している。

金利
Lending Clubローングレード 2015/12以前 2015/12 2016/04 2016/06 2016/10 金利推移
A 6.9% 7.0% 6.7% 7.1% 7.0% 0.2%
B 9.8% 9.9% 10.0% 10.3% 10.7% 0.9%
C 13.1% 13.4% 13.6% 14.0% 14.3% 1.2%
D 16.8% 17.1% 17.9% 18.8% 18.8% 2.1%
E 19.1% 19.9% 22.9% 24.1% 24.5% 5.4%
F 23.4% 23.6% 25.7% 26.6% 29.6% 6.3%
G 27.5% 27.6% 29.3% 29.3% 30.9% 3.4%

 

金利
Prosperローングレード 2016/02以前 2016/02 2016/05 2016/09 2016/10 金利推移
AA 6.7% 6.9% 6.9% 6.8% 6.3% -0.4%
A 9.0% 9.2% 9.2% 9.2% 8.5% -0.5%
B 11.8% 12.2% 12.2% 12.2% 11.5% -0.3%
C 15.6% 16.3% 17.1% 17.2% 16.4% 0.8%
D 20.4% 21.7% 23.0% 23.0% 23.2% 2.8%
E 25.0% 26.8% 28.0% 28.3% 29.0% 4.0%
HR 29.9% 31.2% 31.1% 31.4% 31.9% 2.0%

 

両社が金利を変更した結果、ニュースではこのテーマについてさまざまな議論がなされ、中にはローン金利の変化が景気後退の前兆ではないかと考える人までいた。しかし、国全体の景況を表すひとつの指標である金融市場を見てみると、クレジットスプレッドは薄く、株価も上昇しており、景気が後退している様子はない。失業率や鉱工業生産指数、稼働率といったその他の指標も、安定しているだけでなく、過去数年だけ見ればむしろ改善さえしている。

その一方で、Seeking Alphaの記事のように、景気が後退しつつあることを示す説得力のある意見も存在する。アメリカの消費者行動について深く分析している当該記事では、市場が消費力を過大評価しており、実際は弱っている消費力のせいで2017年Q1にはアメリカが不況に突入すると記されている。この記事の著者は、上位20〜40%にあたる高所得者層が、全体の消費の大半を支えているため、失業率と平均時給の関連についての誤解が生じていると主張しているのだ。

2013年以降アメリカの所得者の上位40%が、所得増加額の84%、そして借入増加額の34%を占めているため、消費者全体で見たときの所得に対する借入率が減少し、小売売上高が上昇した。というのも、彼らが消費額全体の65%を占めていたからだ。同記事では、この上位層における消費額の減少が不況につながるとされており、歴史的に見ても、中間・下位層の家計の悪化を追うような形で、上位層にも不景気が広がっていくことがわかっている。

ソフトウェア開発やITサービスといったテクノロジー関連の仕事をしている人が、大半の富を手に入れるようになる。

私自身は、アメリカが2017年Q1に不況に突入するとは思っていないが、所得格差や貧困層における借入額の増加は確かに気になる問題だ。

不況論を唱える人たちの主張は、提示されている証拠からも正しいように思えるが、私たちは、貸し倒れの増加や異なるローングレード間での金利幅の拡大には、もっと深い理由があるのではないかと考えている。つまり、そのような現象につながるような、経済における根本的な変化が現在起きているのではないかと私たちは考えているのだ。

テクノロジーが普及するにつれて、労働集約的な仕事はコンピューターや機械が行うようになってきている。時給制で働くことの多い単純労働者の需要は減り、そのような仕事の数自体も減少している。かつては手作業で行われていたような仕事の大半で、機械が人間に取って代わり、各業界での労働者間の競争は激化している。

この主張の正当性は、最近のデータを見れば簡単に証明することができる。Forresterの最近の調査では、ロボットやAI、機械学習、自動化といったコグニティブ・テクノロジーによって、2025年までにアメリカ国内の仕事の7%が失われる(16%の職が無くなり、関連産業で9%の仕事が新たに生まれる)と予測されている。

実際のところ、私たちは新たな機械時代に既に突入しようとしている。例えば、人件費や燃料費、事故件数を減らすために自動運転技術が導入されようとしているが、これは同時に、バスやタクシーやトラックのドライバーにとっては悪夢のような動きだ。さらにNPRのデータによれば、2014年時点のアメリカでもっとも多い職業はトラックドライバーだった。つまり、自動運転技術が業界全体に普及するにはまだ数年かかるかもしれないが、ドライバーの仕事が自動化されると、経済全体にも大きなダメージが生まれるのだ。

2016年の終わりには、410万人以上の人々が車の運転を職業とし、そのうち350万人以上がドライバーの仕事をフルタイムで行っていた。運転の自動化によって、彼ら全員が職を代えることを余儀なくされるばかりか、ソフトウェアやテクノロジーの世界に彼らが簡単に入れはしないということは明らかだ。

経済全体に関する話でいえば、2015年12月に労働省労働統計局が、主な産業分類ごとの就業者数に関するレポートを発表した。同局は過去のデータに基いて算出した、各産業の就業者数の長期的な予測についてレポート内に記している。その結果は以下のグラフの通りだ。サービス産業の就業者数は増加し、全体の大半を占め続けると予測されている一方、就業者数が減少傾向にある製造業の状況は将来的にも大して変わらないとされている。この調査からも、労働集約的な業界での労働者間の競争が激しさを増していることがわかる。

一方、テクノロジー業界の就業者数は急速に伸びている。非営利のIT業界団体であるCompTIAがまとめたCyberstates 2016と呼ばれるレポートでは、2015年のテクノロジー業界における就業者の増加数が、過去10年以上の間で最高となる20万人を記録し、アメリカ国内の同業界の就業者は670万人に達したとされている。

さらに同レポートによれば、2015年のテクノロジー業界の就業者数は前年と比較して3%増加しており、これはアメリカ全体の伸び率である2.1%を上回っている。中でもITサービスにおける就業者数が大きな増加を見せており、エンジニアリングサービス・研究開発・テスティングがそれに続いた。以下の表にその詳細が記載されている。

分野 2014 (千人) 2015 (千人) 増加率 増加数(千人)
テクノロジー関連製造 1134.7 1138.4 0.33% 3.7
通信・インターネットサービス 1289.0 1324.7 2.77% 35.7
ソフトウェア 310.9 316.2 1.70% 5.3
ITサービス 2129.1 2234.5 4.95% 105.4
研究開発、テスティング、エンジニアリングサービス 1659.0 1707.1 2.90% 48.1
業界合計 6522.7 6720.9 3.04% 198.2

 

就業者数と共に、テクノロジー業界の給与も増加傾向にある。2015年にDice.comが行った調査によれば、雇用者の72%はテクノロジー関連業務の社員を少なくとも10%増員したいと考えており、平均給与も2015年中に前年比で8%伸び、9万6370ドルに達した。この給与の伸び率は、他の業界を含めて考えてもこれまでにないほどの数字だった。ボーナスについても同様で、テクノロジー業界の就業者のうち、37%は平均で1万194ドルと、前年比で7%も多いボーナスを受け取っていた。

高給を狙えるスキルという点でも、テクノロジー関連が目立ち、特にビッグデータ解析の分野の給与がもっとも高かった。下記のグラフは、Diceが2015年10月・11月の2ヶ月間にわたって1万6301人を対象に行なったオンライン調査の結果をまとめたもので、オースティン在住のテクノロジー業界に務める人の給与が増加していることを示している。2007年から2015年の全体の給与の増加率は29%に達し、年平均成長率は3.7%だった。

以上の結論として、労働集約的な産業では、労働者間の競争が激化することで給与の伸びは望めないということが言えるだろう。さらに給与の伸びが停滞することで、労働集約的な仕事をしている人たちの信用力が低下することになる(これは既に起き始めている)。というのも、経済全体の調子が良くても、彼らの給与は増加しないからだ。

その一方で、テクノロジー業界では全く逆のことが起きている。労働者の給与は大幅に増加し、彼らの信用力もそれに伴って向上しているのだ。つまり、ソフトウェア開発やITサービスといったテクノロジー関連の仕事をしている人が大半の富を手にし、単純労働者は競争の激化に苦しみ、彼らのスキルも必要とされなくなるという、これまでになかったような大きな変化の波が現在起きつつあるのかもしれない。そして、両者の間にあるギャップはさらに広がり、経済的にも大きな問題が生じてくる可能性がある。

つまり今後、テクノロジー業界の就業者が消費額の大半を占める特権階級となり、単純労働者が取り残されてしまうようになる可能性が高いのだ。その結果、給与の伸びに悩む債務者がローンを返済できなくなるため、市場は貸し倒れのさらなる増加やローンのパフォーマンスの大幅な低下に備えていかなければならない。特に下位グレードのローンの扱いには細心の注意が必要になるだろう。

実際のところ、サブプライム層向けローンのパフォーマンスは既に低下し始めている。サブプライムローンを主要商品としていたCircleBack Lendingは、債権の証券化で予想よりも苦しみ、サブプライム層向け自動車ローンの貸し倒れが増加したことを受けて、事業をストップさせた。今後テクノロジー業界がさらに成長するにつれて、同じようなことが増えてくるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

”デジタル・インディア”の波に乗って個人ローンの改革を目指すCredy

ソーシャルレンディングプラットフォームのCredyは、個人ローンをインド国民にとってもっと身近なものにしようとしている。Y Combinatorの2017年冬期バッチに参加している同社は、個人ローンの契約プロセスを電子化し、P2Pローンをより多くの借り主・貸し主に広めることで、市民が資本へアクセスしやすい環境をつくろうとしているのだ。

Credyは、現在インドで起きている、いくつかの大きな制度改革の波に乗りながらビジネスを展開中だ。改革の影響で、今後個人の特定や信用力の把握が容易になり、電子決済も増えていくと考えられている。そんな改革のひとつめが、Aadhaar IDシステムと呼ばれる、世界最大の生体認証IDシステムの導入で、既に10億人以上のインド市民が同システム上に登録されている。

ふたつめの改革が高額紙幣の廃貨だ。昨年末に施行されたこの政策によって、流通通貨の85%以上(金額ベース)が使えなくなった。政策の効果や施行プロセスについては未だ議論の余地があるものの、高額紙幣の廃貨により、インドは間違いなく現金中心の社会から、オンラインバンキングや送金中心の社会へと変わっていくだろう。

上記のような背景の中、Credyは500億ドルの規模で年間30%の成長を遂げている個人向けローン市場を変えるべく誕生した。市場規模は既にかなり大きいように感じるが、Credyの共同ファウンダーでCEOのPratish Gandhiによれば、平均でインド市民7人のうち1人しか個人ローンを借りられないという現状を考えると、市場規模は今後さらに拡大する可能性があるという。

Credyのチームは、全てオンラインで行われるローン申請や、電子IDとのリンクによって、ローンを利用できる市民の数は劇的に増えていくと考えている。紙の書類が中心で、申請完了までに数日から数週間もかかってしまうような現状の借入システムとは違い、Credyのサービスでは、申請者が基本情報を提出すると、すぐに承認が得られるようになっている。

一旦申請が承認され、本人確認のプロセスを完了すれば、Credyのプラットフォーム上でローン契約を結び、お金を借りられるようになる。平均的なローンの金額は500〜1000ドルで、返済期間は6〜9ヶ月といったところ。

Credy自体は貸付を行っておらず、彼らはマーケットプレイスとして、貸し主(主に高所得者層の個人)と承認済みの借り主を結びつける役割を担っている。Credyの創業メンバーは、以前Goldman Sachsのリスク管理部門で勤務しており、そのときの経験がコンシューマー向けの市場で活かされているようだ。

同社のプラットフォーム上では、これまでに合計約300万ドル分のローン契約が結ばれているが、この数字はバンガロール市内だけのものだ。Y Combinatorからの投資や、送金をスムーズに行うための銀行とのパートナーシップを通じて、Credyは今後数ヶ月のうちに速度を上げてスケールしていこうとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ソーシャルレンディングの比較サイト「クラウドポート」正式公開——連続起業家の柴田陽氏らの新会社

2008年頃から日本でもサービスの始まったソーシャルレンディング。お金を借りたい人(や企業)とお金を貸したい人をオンライン上でマッチングするというサービスだが、当初は個人向けの貸し付けを中心としていたこともあり、10%を超えるとも言われるデフォルト(貸し倒れ)率の高さなどが問題にもなった。

だが最近ではそういった状況も解決にしつつあり、また同時に高い年利や参入企業の増加もあって市場は拡大(最近ではCAMPFIREなども参入を発表している)しているところだ。主要18社に関しては2016年下期の平均利回りは8.1%、デフォルトは過去3年でゼロ件という実績なのだという。市場規模で見ても、2016年時点で前年比72%増となる533億円にまで成長している(米国では7兆円規模の市場だそう)。

改めて注目の集まるソーシャルレンディング。その事業者の情報を集約したサイトがスタートした。クラウドポートは2月2日、ソーシャルレンディング専門サイト「クラウドポート」を正式公開した。

クラウドポートは日本のソーシャルレンディング事業者の情報を横断比較ができるサービスと、ソーシャルレンディング専門のメディア「クラウドポートニュース」で構成される。

比較サービスのクラウドポートでは、日本のソーシャルレンディング事業者の主要18社に掲載されたファンド(案件)を掲載。利回りや運用期間などさまざまな条件で案件を比較検討できるほか、各事業者が掲載しない情報——利回りの分布や、事業者へのお金の集まり方など——も独自に提供するという。一方のクラウドポートニュースでは、ソーシャルレンディング業界のニュースのほか、事業者インタビューや著名投資家によるコラムなどを掲載していく。

サービスを手がけるクラウドポートは2016年11月の設立。代表を務める藤田雄一郎氏はソーシャルレンディング事業者のクラウドバンクの執行役員としてマーケティング領域を中心に活躍した人物。そして共同創業者はポイントアプリ「スマポ」をはじめとして、複数のサービスを立ち上げて売却した経験のある連続起業家の柴田陽氏だ。最近ではTokyo Founders Fundのメンバーとして海外スタートアップに投資も行っている。

藤田氏に改めて日本のソーシャルレンディング市場について尋ねたところ、貸し付けのニーズは「端的に言うと銀行がお金を貸せないところ」にあるという。

一時期はパチンコのように、公的な融資を受けるのが難しい業種が中心だったことあるようだが、現状はそのニーズも拡大している。例えば不動産を仕入れてリフォームやリノベーションをして短期で売却するというケースや、風力発電所などハコを作るまでは担保がなく融資を受けづらいというケースなどでも利用されているのだそうだ。「案件も健全化されてきた。銀行であれば(返済期間)1年、1000万円といった短期間で少額の融資自体が通りにくい。返済確実性だけ厳しくチェックして、それ以外の条件は柔軟性を持つソーシャルレンディングのニーズは非常に高い」(藤田氏)

海外を見てみると、Y Combinatorのプログラムにも参加したAlphaFlowOrchard Platformといった同種のサービスがあるが、国内でソーシャルレンディングの情報を探すとなると、現状は事業者か個人サイトなどしかなかった状況。藤田氏は「第三者的な立場でソーシャルレンディングの魅力とリスクを伝えていきたい」と語る。同社は今後アフィリエイトや広告、データの販売などでマネタイズを行うとしている。

ソーシャルレンディング界のユニコーンFunding Circleが新たに1億ドルを調達

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ヨーロッパでフィンテック企業に対する新たな大型投資が行われた。ロンドンに拠点を置き、小規模事業者に融資をしたいと考えている投資家と企業を結ぶソーシャルレンディングプレットフォームを運営しているFunding Circleが、1億ドルの資金調達を行ったのだ。Accelがリードインベスターとなった今回のラウンドには、以前からFunding Circleに出資していたBaillie Gifford、DST Global、Index Ventures、Ribbit Capital、Rocket Internet、Sands Capital Ventures、Temasek、Union Square Venturesも参加していた。

共同ファウンダー兼CEOのSamir DesaiはFunding Circleの評価額を公開せず、2015年の資金調達時より「すこし増加した」と話すにとどまった。なお、TechCrunchでは前回の資金調達時に、同社の評価額が既に10億ドルを超えていたことを確認した

今回の調達額は、2015年4月以降ヨーロッパのフィンテック企業を対象に行われたラウンドで最大だとFunding Circleは話す(2015年4月には他でもないFunding Circleが1億5000万ドルを調達していた)。今週だけでもモバイル決済のiZettleが6300万ドル、CompareEuropeGroupが2100万ドルを調達しており、全体的に2017年はフィンテックへの投資が加速していきそうな雰囲気だ。

シリーズFとなる今回のラウンドの結果、Funding Cicleの調達資金総額は約3億7500万ドルに達した。

そしてこの1億ドルの資金調達は、Funding Circleにとって面白いタイミングで起きた。

まず同社は猛烈な勢いで成長を遂げており、2016年の世界中での貸出額合計は11億ポンド(13億ドル)に及ぶ(Funding Circleはヨーロッパとアメリカで営業しており、Desaiによれば採算のとれているイギリスが同社にとって最大の市場だ)。そして合計額のうち4億ポンドがQ4単独の数字で、前年同期比で90%も増加している。

昨年のFunding Circleの成長度合いをわかりやすくするために書くと、2010年の設立からこれまでの貸出額の合計は25億ポンドだと同社は話している。

その一方でFunding Circleは特に追加資金を必要としていなかったが、Lending ClubWongaなど他社のスキャンダルを考慮すると、レンディングサービスを提供するスタートアップにとっては今がとても大事な時期なのだ。

「昨年の市況は、特にオンラインレンディング企業にとって厳しいものでした。それでも私たちはFunding Circleの状況を喜ばしく思っています。前回のラウンドで調達した資金の大半は未だに手元に残っていますが、私たちはさらに事業へ投資できるチャンスを利用したいと考えていました。今回の資金調達によって、イギリスやヨーロッパ当局に対して私たちが今後もビジネスを続けていこうとしていることをアピールできます。Funding Circleは旧来の銀行を代替し、信頼に値する企業という地位を確立しようとしており、今回のラウンドは私たちの進歩やFunding Circleのビジネスの未来を証明するものでもあります」とDesaiは話す。さらに彼によると、調達資金の一部は、同社のプラットフォームや「プラットフォームをさらに強力なものにする」アルゴリズムの開発にあてられる予定だ。

プラットフォーム上での貸出と、実業家コミュニティや労働市場、経済への貢献という、Funding Cirleの政府へのアピールはうまく機能しているようだ。

「Funding Circleはイギリスのフィンテックにおける、本当の意味での成功モデルになりました。そして8000万ポンドもの投資を受けることができたという事実が、フィンテックの重要性が増していることを証明しています。また今回のラウンドは、ビジネスの成長や雇用創出というイギリス経済における重要な役割を担った企業が、新たに信任を得たということを意味しています」と財務大臣のPhilip HammondはTechCrunchへの声明の中で語った。

現在Funding Circleのプラットフォーム上では、個人や地方自治体、中央政府、欧州投資銀行、年金ファンドといった金融機関を含む6万人の認定投資家が、2万5000もの企業へ貸し出しを行っている。Desaiによれば、今後は小口投資家の参加も目論んでいるようだ。さらにリターンについては、同社がこれまでに1億ポンド以上を払いだしており、年間の利回りは7%に達するとDesaiは話す。

次の一歩として、Funing Circleは現在の市場での売上を拡大すると共に、2013年にEndurance Lending Networkを買収してアメリカ市場へ進出したように、買収を通して新たな市場でビジネスを展開していくことも考えている。

Desaiは「現状IPOに関しては何も計画していない」と語っているが、長期的な目標としてはIPOも視野に入れている。「企業としての透明性や債権者ではなくプラットフォームであり続けることなど、私たちが大切だと考えている事項に加え、私たちはいつもFunding Circleを上場させたいと話してきました」

この継続性こそ、Funding Circleが新たな投資家を招かずに、既存の投資家との関係を保っているように見える理由なのだ。

「私たちは初期の投資段階から、Funding Circleのチームに感心していました。同社は中小企業が求める借入のオプションを準備するとともに、投資家に対しても魅力的なリスク調整後利益を提供することで、世界中の市場において大きな成長を遂げてきました。今回のラウンドの結果、Funding Circleは世界最大かつ最も自己資本の多い中小企業向けレンディングプラットフォームとなり、私たちは今後も同社をサポートしていけることを嬉しく思っています」とAccelのパートナーであるHarry Nelisは声明の中で語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter