ベンツ「Sクラス」で自動運転のライドシェア、実証実験が開始

ダイムラーとボッシュはカリフォルニア州サンノゼで、自動運転車を使ったライドシェアの実証実験を開始した。両社はこの実証実験で、共に目指しているレベル4、5の自動運転の実現に必要な情報が得られることを期待している。

この実証実験では、車体にメルセデス・ベンツ「Sクラス」ベースのプロトタイプを使い、選ばれた参加者に対し、サンノゼ付近でシャトルサービスを提供。セーフティー・ドライバーが乗車しモニターすることで、安全面への配慮を行う。参加者はDaimler Mobility AGが開発したアプリを使い、配車依頼、そして目的地の指定などの操作を行う。

サンノゼでシビック・イノベーションとデジタル戦略を担当するDolan Beckel氏は、「我々としては、自動運転車がいかに安全性を高め交通渋滞を緩和し、モビリティをより利用しやすく、持続可能かつインクルーシブにしていくのか、知りたいと思っている」とコメント。サンノゼには、自動運転車が行き交う未来の交通システムにむけての準備、といった狙いがある。

ダイムラーとボッシュはこれまで数年間、自動運転技術を共同で開発してきた。7月には無人駐車機能を運用する認可をドイツの規制当局から得たことも大きな話題となった。

電気自動車smartの米国とカナダでの販売が中止へ

TechCrunchが入手した情報によれば、ダイムラーは小型の電気自動車であるsmart fortwoの、米国とカナダでの販売を中止する。同社のブランドを中国に持ち込もうとしているドイツの自動車メーカーは、北米での地位を築くことに苦労してきた車の電源プラグを正式に引き抜くことにしたのだ。

Smartは2019年モデル以降は米国とカナダで販売されることはない。この決定を知る2つの情報源からの情報提供を受けたあと、TechCrunchが確認したところ、ダイムラーAGはその事実を認めた。

「慎重に検討した結果、バッテリー駆動のsmart EQ fortwoモデルの米国とカナダ市場での販売は2019年のモデル年度(model year)で終了となります」とDaimler AGの広報担当者は、電子メールの中で回答した。「多くの要因がこの決定には関わっていますが、米国とカナダでのマイクロカー市場の縮小をはじめ、少量モデルのための高い認定コストなどが主に影響しています」。

同社がTechCrunchに語ったところによれば、MBUSA(米国メルセデス・ベンツ)とメルセデス・ベンツ・カナダは、これからもfortwoモデルのオーナーに対するサービスと部品交換を、ガソリン車もしくは電気自動車を問わず、認定メルセデス・ベンツディーラーを通して継続するということだ。

モデル年度は1年の半ばで切り替わる、このため次の6月が生産の最終月になるものと思われるが、車両の販売は年末まで継続される予定だ。

ダイムラーはsmartを完全に殺してしまうわけではない。ダイムラーは先の3月に、浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)とジョイントベンチャーを合弁で立ち上げていて、smartを中国を拠点とするEVブランドとして移行させる予定だ。この合意の下で、この先この風変わりな車は、中国の新しい工場で組み立てられることになるだろう。世界に対する販売は2022年に始まるだろうと、発表時にダイムラーは語っている。

同社の広報担当者によれば、メルセデス・ベンツブランドの米国とカナダにおけるEV戦略は、2020年の新しいEQCの登場によって進められることになるだろうということである。

このドイツの自動車メーカーは、ここしばらくsmartが米国市場を去る可能性を示唆し続けていた。ダイムラーは、洗練されて贅沢なメルセデス・ベンツの車両からは離れて、この都会の住民向けブランドに多額の投資を行ってきた。だが複数のモデル投入とガソリンから電気への切り替えにもかかわらず、smartはダイムラーの北米における年間販売目標に達することができないままだった。2017年モデル年度以降は、同社は米国とカナダにおけるガソリン版smartの販売を中止している。

また他の最近の動きも、米国でのsmartの猶予時間が限られていたことへのヒントを提供していた。

smart担当のCEOであるアネット・ウィンクラー(Annette Winkler)氏は昨年の秋に去り、ブランドの将来の再構築に焦点を当てた人事担当エグゼクティブカトリン・アット(Katrin Adt)氏がその役割を引き継いでいた。月曜日にダイムラーは、そのアット氏が来る2019年7月に新しいユニットであるMercedes-Benz Cars Own Retail Europe(メルセデス・ベンツの欧州小売組織)のマネジメントを引き継ぐことを発表した。

アット氏のレポート先は、取締役会メンバーで、メルセデス・ベンツ車の販売に責任を持つブリッタ・シーガー(Britta Seeger)氏になる。

ダイムラーとスウォッチのメーカーであるSMHとのパートナーシップから生まれたこの車両は、まずガソリンエンジン車の製造から始められた。1998年にヨーロッパで発売され、その6年後にカナダで発売された。米国への上陸は2008年まで行われなかった。

smartはダイムラーのカーシェアリングブランドCar2goで提供されていた唯一の車両だった。しかしCar3goは最近Share Nowとしてリブランドされ、そのラインナップはメルセデス・ベンツCLAとGLAモデルを含むものに拡大されている。おそらくCar2goに残されるsmartもある程度はある筈だ。なおCar2goはMBUSAから独立した組織である。

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(翻訳:sako)

ダイムラーがElon MuskからのEVに関する挑戦ツイートに回答

Elon Muskは、Twitterを使って率直かつ直接的に自分の考えを表現する人物だ。今回彼が取り上げたのは、USA Todayによって報じられた、EVテクノロジーに対して競合自動車メーカーが行なう投資額についてだった。Muskが指摘したのは、Teslaに対抗するために投下されると報じられた10億ドルという金額は、ダイムラーのような大企業としては不十分だというものだ。そしてそれにダイムラーは同意した。

ダイムラーは、USA TodayのTwitterで引用された10億ドルという数字は低すぎる、というMuskのツイートにこう応じたのだ。TeslaのCEOは「極めて正しい」とした上で、実際に行う投資は100億ドル以上だと述べた。バッテリー製造だけでも10億ドルを投資し、その他に次世代EVへの投資が含まれているという内容だった。

@elonmusk、貴方は極めて正しい。隠された数字はこのようなものだ:次世代EVに100億ドル以上、10億ドル以上をバッテリー製造に投資

結構なことだ。

Muskが実際にダイムラーの計画変更を促したわけではない(少なくもこのツイートでは。会社としてのTeslaは、これまで測り知れないほど大きな影響を、EV業界に与えてきた)。今回Muskが犯した罪はTwitterにはありがちなものだ:クリックして記事の全てを読むことなく、見出しあるいは140文字のまとめが全てであると考えたことである。JalopnikのDean Kawamuraはこれを指摘したが、Muskからは不敵な答が返された。それは単なる冗談かもしれないし、あるいはTeslaがEVの世界を塗り替えて来たことを意味しているのかもしれない。私の好みは後者の解釈だ。

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(翻訳:Sako)