「ノーコード」チャットボットビルダーのLandbotがシリーズAで約8.3億円調達

「ノーコード」チャットボットビルダーを提供するバルセロナのLandbotが、スペイン・イスラエル系VCファームのSwanlaabが主導するシリーズAで800万ドル(約8億3000万円)を調達した。イノベーションを対象とするスペインの公的機関であるCDTIからも支援を受けた。以前に投資していたNauta Capital、Encomenda、Bankinterもこのラウンドに参加した。

Landbotは2018年にシードラウンドで220万ドル(約2億3000万円)を調達し、顧客数が900社を超えた。そのときにTechCrunchは同社に話を聞いている。それ以降、有料で利用している顧客が2200社、同社のツールを使っている人数は5万人となった(無料と有料のアカウントの合計)。

シードラウンド以降に経常収益も10倍になり、新たな資金を得てさらに成長が続くと期待されている。

Landbotによれば、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により会話型ランディングページの需要は急増したという。あらゆる業種の企業がインハウスのIT部門に多額の投資をせずに、増加しているデジタルの来訪者とのコミュニケーションを自動化しようとしているためだ。

中小企業から大企業内のチームや製品まで、さまざまな企業がLandbotを利用している。Landbotの顧客にはNestlé、MediaMarkt、CocaCola、Cepsa、PcComponentes、Prudentialなどが名を連ねる。

LandbotのCEOで共同創業者のJiaqi Pan(ヒアキ・パン)氏はTechCrunchに対し「eコマース、金融サービス、マーケティング代理店などの業界から強力な引きがあります。eコマースは新型コロナウイルス感染拡大以降、我々にとって最も成長が大きく、この業界の顧客は2倍になりました」と語る。

今回調達した資金でセールス、マーケティング、エンジニアリングの人材を雇用して、社員数を2倍にする計画だ(現在の社員数は40名)。

Landbotは2017年にチャットボットビルダーの「ノーコード」版をリリースした。本社は以前、バレンシアにあったが、人材確保のためにバルセロナに移転した。

Landbotの登場以降、急成長している「ノーコード / ローコード」の動きは本格的なトレンドになっている。これは生産性を上げ見込み客を増やすデジタルサービスが求められ、インハウスの技術者が構築できる分量を超えてしまっていることによる。

このような背景で、技術系ではないスタッフが技術的な機能をカスタマイズできるサービス構築ツールが台頭している。

新型コロナウイルス感染拡大がこうした傾向に拍車をかけ、Landbotのような抵抗の少ないツールは明らかに恩恵を受けている。

サンフランシスコを拠点とするManyChatなどの会話型チャットボットビルダーの競合企業と同様に、Landbotもウェブのフォームをもっとエンゲージメントの高いチャットインターフェイスに置き換えようとしている顧客からの引き合いがあると述べている。この点は興味深い。

Landbotのチャットボットビルダーはドラッグ&ドロップで操作でき、Landbotのいう「GIFやビジュアル要素が多くエンドユーザーの注目を集めるような、没入できるウェブページエクスペリエンス」をインフォメーションワーカーが作成できるようにするものだ。古くて退屈な動きのないフォームを、スマートフォンユーザーにはWhatsAppなどのメッセージングアプリでおなじみのエクスペリエンスに置き換えられるとなれば、中小企業にとって魅力があることはおわかりいただけるだろう。

パン氏は「ノーコード分野の主な競合についていうと、チャットボットの直接的な競合としてManyChatと重なる部分があります。一方、フォームを置き換えるために我々のプロダクトを利用している顧客が多数いるので、Typeformなどのフォームビルダーとも競合しています」と語る。Typeformもバルセロナを拠点とするスタートアップで、Landbotと同様に「会話型」で「インタラクティブ」にデータを収集するプラットフォームを謳っている。

Landbotは最近、インドを拠点とするチャットベースのマーケティングオートメーションツールのMorph.AIを買収した。Morph.AIはソーシャル、ウェブサイト、広告のトラフィックを見込み客に変換するツールだ。アジア市場でのプレゼンス拡大という狙いもある。

これまでのところLandbotの顧客の90%はスペイン以外で、60%を米国、英国、ドイツが占めている。

シリーズAの発表の中でSwanlaabのゼネラルパートナーであるJuan Revuelta(ホワン・レべルタ)氏は次のようにコメントしている。「Landbotの利点はドラッグ&ドロップのソリューションです。このプロダクトをさまざまな企業の誰もが使えるようにするにはシンプルさが不可欠です。中小企業にはカスタマーサービスの問題を解決したり豪華なマーケティングキャンペーンを実施するために贅沢に使える時間や資金はありません。Landbotはあらゆる企業が抵抗なく顧客と会話し必要なデータをやりとりして、スマートな決定を下し成長できるようにします。Landbotは2020年に素晴らしい成果を上げました。我々は、2021年にはさらに多くの企業に役立ててもらうためにこのチームを支援できることを楽しみにしています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Landbot資金調達ノーコードスペインチャットボット

画像クレジット:Landbot

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトが中国製チャットボットXiaoiceをスピンアウト

Microsoft(マイクロソフト)は、共感的チャットボットのXiaoice(シャオアイス)を独立した組織にしようとしている。同社は中国時間7月13日にこの発表を行い、6月に中国のニュースサイトChuhaipost(チューハイポスト)が行っていたレポートを追認した。

この発表に先立ち、数ヶ月前の昨年末には、Microsoftは音声アシスタントのCortana(コルタナ)を中国で閉鎖することを発表していた

Xiaoiceは長年にわたり、人工知能の最優秀な人材を採用し、中国内に留まらず、日本やインドネシアなどの国々へも進出していた。Microsoftはこのことを、Xiaoiceの「ローカライズされたイノベーション」とチャットボットの「商用エコシステム」の開発を加速するための宣言だと述べている。

スピンオフ会社は、Xiaoiceにおける今後の研究と開発のために、Microsoftからの新しい包括的技術ライセンスを使い、Xiaoiceブランド(日本では「りんな」)を引き続き使用する。一方Microsoftは、新会社の株式の持分を保持し続ける。

2014年、MicrosoftのBing研究者たちの小さなチームがXiaoiceを発表した。これは中国語で「Little Bing」(小冰=Xiǎobīng)を意味する。このボットは、すぐに中国でセンセーションを巻き起こし、多くの人たちからバーチャルガールフレンドと見られるようになった。このチャットボットが登場したのは、Microsoftが中国内でCortanaを展開してから、わずか数週間後のことだった。Xiaoiceは、10代の少女をパーソナリティのモデルとしており、同社はチャットボットに対して、人間的で社会的な要素をさらに追加することを目指している。Microsoft自身の言葉によれば、彼女はユーザーの友達になりたいと思っているということだ。

すべての外国企業と同様に、Microsoftは中国の検閲にしっかりと取り組む必要がある。2017年にXiaoiceは、政治的に問題を含む発言の疑いで、Tencent(テンセント)のインスタントメッセンジャーQQから削除された。

このプロジェクトには、AIの世界で最も権威のある科学者たちが参加していた。例えばLu Qi(ルー・チー)氏はその後Baidu(バイドゥ)に最高執行責任者として移籍して、Y Combinatorを中国に連れて来たし、Jing Kun(ジン・クン)氏は検索大手Baiduのスマートデバイス部門の責任者となり、またMicrosoftの名高い人工知能および研究部門の元幹部であるHarry Shum(ハリー・シャム)氏は、現在新進のニュースアプリNews Break(ニュースブレイク)のボードメンバーとなっている。

シャム氏は、今回Xiaoiceから生まれる新しい独立企業の会長を務める。 またXiaoiceのゼネラルマネージャーであるLi Di(リー・ティー)氏が最高経営責任者(CEO)を務める。 日本版のチャットボット「りんな」の開発者であるChen Zhan(チェン・サン)氏は、日本オフィスのゼネラルマネージャーになる。

新会社は、「Xiaoice」および「りんな」ブランドを使用する権利を保持し、中国語圏、日本、インドネシアの顧客基盤をさらに発展させることを使命とする。

Microsoftは、Xiaoiceは世界中で、6億6千万人のユーザーと4億5000万台のサードパーティスマートデバイスに使われていると述べている。またそのチャットボットは、金融、小売、自動車、不動産、ファッションなどの分野に応用を見出し、そこでは「テキストからコンテキスト、雰囲気、感情を抽出して、数秒でユニークなパターンを作成できる」と 主張している。

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(翻訳:sako)

チャットボットで大学生のドロップアウトを減らす,姉妹が考案したEdSightsとは?

チャットボットに心を打ち明けるなんて気持ちが悪いと感じるかもしれないが、Claudia(クラウディア)とCarolina(キャロライナ)のRecchi(レッキ)の姉妹は、それこそ米国中の大学生がいま必要としているものだと考えた。

姉妹は、2017年、脱落の恐れが中程度から高程度の大学生が学校に留まれるよう支援し、大学の定着率を高めるための企業EdSights(エドサイツ)を共同で創設した。

EdSightsは、学校のマスコットに見せかけたチャットボットを使っている。学生に個人的な質問やメッセージを送り、自身の最大のストレスを理解させる。そして彼らを、経済、食事、メンタルヘルスを支援する大学の制度につなげてゆく。

パンデミックによって何百万人もの学生がキャンパスから離れて家で勉強している今、学生たちをつなぎとめる新しい方法を模索する大学から、姉妹は急成長のヒントを得た。

またパンデミックによって、学生たちは、以前にも増して正直な気持ちを返すようになった。

「世界中が大変なことになって、人々は職を失い、家計はなんとかギリギリの状態。今は、学校は緊急の問題ではない」とある学生は書いていた。「それでも、成績は成績。この先どうなるのか不透明な状態のまま、成績が私たちの将をが決められてしまう」

別の学生は「仕事場が閉鎖されて収入が途絶えた」と書いている。また、「外に出られないから、生活のいろいろなことから気を紛らすことができない」と訴える学生もいる。

チャットボットの他に、どれだけの学生がどのような問題に悩んでいるか、その割合を管理者に示すダッシュボードもEdSightsは提供している。同社は、退学の恐れが高い学生とその最大の問題に関する情報を扱っているため、プラットフォームではプライバシーが重要になる。EdSightsでは、米国家族教育権とプライバシー法(FERPA)とEU一般データ保護規則(GDPR)に準拠し、第三者に情報を見せたり売ったりはしないと話している。学生には、自身の記録の修正要求と、全記録を取得する権利が与えられる。

「秋に学生が戻って来ないのではないかと、大学側は明らかに恐れています」と姉妹は言う。「そこで、学生と確実につながり、大学に来ないまでも、大学とつながっているという感覚を学生に持たせたいと考えているのです」

同社は、1年をかけて顧客を16件まで増やした。その中には、ベイカー大学、ミズーリ・ウェスタン州立大学、ベテル大学、カルバー=ストックトン大学、ウェストミンスター大学などが含まれている。年間経常収益は前月比で平均68パーセントずつ増加し、2月に比べて収益は2倍になった。

大学がEdSightsに支払う利用料は、学生1人あたり15ドルから25ドル。ほとんどの大学が、全学生を含めている。

「以前は、1年生にだけ適用できるか、第一期生だけを含めることができるか、特別な支援が必要な学生にだけ使えるか、と聞いてくる大学が多くありました」とキャロライナ・レッキ氏。「今は、4年間をとおして学生に適用したいというだけでなく、大学院生にも使いたいと申し出てくる学校もあります。大学院はやったことがないので、新しい試みです」

この新たな情勢に乗った姉妹は、大勢の有名投資家から160万ドル(約1億7000万円)のベンチャー投資を調達した。このラウンドに参加した投資家には、Lakehouse VC(レイクハウスVC)、Kairos VC(カイロスVC)、The Fund(ザ・ファンド)などが含まれる。

またこの投資には、Warby Parker(ワービーパーカー)、Harry’s(ハリーズ)、Allbirds(オールバーズ)、Bonobos(ボノボス)、Rent the Runway(レント・ザ・ランウェイ)の創設者たちも加わった。

EdSightsの創設者姉妹は、歴史的に専門教育関連企業の条件規定書だけを受け付け、この分野には懐疑的だった専門分野を持たない投資家たちの興味を集めた理由のひとつとして、COVID-19があると話している。実際、彼女たちはいくつもの投資の申し出を断わることになったわけで、他の投資家たちが資金調達シーン全体を覆っていると主張する萎縮効果には、大きな差があった。

EdSightsが今回調達した資金は、一般の人々が教育とテクノロジーの交差点について考える際に、パンデミックによってどれほど細やかな事情を踏まえるようになったかを示す、新たなデータポイントとなった。

パンデミックの間、数百万人の学生を遠隔支援できるのはチャットボットだけかも知れない。それがいつになろうと学校が再開し始めたとき、このテクノロジーが世界にとって必要なものになるかどうかを証明するのは、EdSightsだ。

“新型コロナウイルス

画像クレジットnonchai

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(翻訳:金井哲夫)00

新型コロナウイルスに関するデマを暴くWhatsApp用チャットボット

WhatsApp(ワッツアップ)に何文字か書き込むだけで、新型コロナウイルス関連のデマを暴くことができるようになった。

ジャーナリズムを支援する非営利団体Poynter Institute(ポインター・インスティテュート)が、Facebook(フェイスブック)傘下のサービスであるWhatsAppで新しいチャットボットを公開した。これを使えば、世界中の人たちが、例えばこの感染症は中国・武漢の研究所から発せられたといったパンデミックに関する4000件を超えるデマの正体を暴けるようになる(武漢発祥の話は各方面で好まれている説だが、その主張を裏付ける証拠はまだ一般公開されていないため、今のところは虚偽とされる。念のためにいっておくが、ファクトチェック機関の言葉を引用したこのチャットボットは、そう示している)。

このチャットボットは、70以上の国々の100を超える独立系ファクトチェック機関が提供する情報に立脚している。Poyinter Instituteはそれを新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するデマの暴露情報に関する最大のデータベースだといっている。このサービスは英語でのみ提供されているが、現在、ヒンディー語、スペイン語、ポルトガル語への対応に取り組んでいるところだとWhatsAppはいう。

チャットボットは次の方法でテストできる。連絡先に「+1 (727) 2912606」を登録して、「hi」と送信する。または、チャットボットの電話番号を連絡先に登録したくない場合は、http://poy.nu/ifcnbotをクリックする。

チャットボットに「hi」と送信し、「1」を送ると、チャットボットから新しいメッセージが届き、気になるキーワードまたは短い文章を入力するよう求められる。そして「origin(出所)」 や「garlic」(新型コロナウイルスにニンニクが効くという話は本当かを確かめたいとき)、その他の思いつく言葉を書いて送る(言葉を送ってから2、3秒待つと答えが返ってくるので、次の言葉を送るまで少し待とう)。

チャットボットはユーザーの国を特定し(モバイル機器の国番号を参照する)、その国に最も近いファクトチェック機関が審査した結果が示される。同時に、新型コロナウイルスに対処するための一般的なヒントも与えてくれる。

利用規約には、無料で24時間使えるとある。また、質問や調査機関やプログラムのパートナーからの回答とその他の対話を匿名化して集計し、共有する旨も書かれている。しかし「個人情報は絶対に共有しません」とのことだ。

IFCN(国際ファクトチェッキングネットワーク)のBaybars Orsek(バイバース・オーセック)氏は、声明の中で「毎月、友だちや家族とつながっていたい数十億人のユーザーがWhatsAppを頼りにしています。現在のような困難な時期には、すべてのプラットフォームで偽情報を広めて人々を惑わそうとする悪い人間が現れるため、ファクトチェック機関の仕事はこれまで以上に重要になります」と述べている。

この新しいチャットボットは、20億人以上のユーザーを擁するWhatsAppが、そのプラットフォーム上で偽情報が蔓延するのを防ごうと努力した最新の結果だ。この数カ月間、WhatsAppはWHOと協力して情報サービスを立ち上げたが、利用者は1日に100万人以上に達している。フェイスブックが所有するこのサービスはまた、各国の連邦政府や州政府とともに、感染症に関する信頼できる情報の提供も手伝っている。

WhatsAppは先日、メッセージの転送に新たな制限を加え、そのプラットフォーム上での転送量を大幅に削減し、さらに3月にはPoyinter InstituteのIFCNに100万ドル(約1億700万円)を寄付した。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

対話型AIを開発するインド拠点のYellow Messengerが21.5億円を調達

多目的のチャットボットは、Facebookといった初期の提唱者が思い描いていたほど抜本的なユーザーインターフェイスにはなっていないが、ターゲットを絞って使われる分には消費者とブランドを近づけ、企業の重要なワークフローを効率化するようになっている。

インドのベンガルールに拠点を置くYellow Messengerは、対話型AIプラットフォームを運営している。Accenture、Flipkart、Grabなどの企業が、従業員と顧客のコミュニケーションのためにYellow Messengerのプラットフォームを使用している。Yellow Messengerは新たな資金調達を発表し、また米国でのチャットボットプラットフォームのサービスを正式に開始する。

Yellow MessengerはTechCrunchに対し、Lightspeed Venture Partners主導のシリーズBで2000万ドル(約21億5000万円)を調達したと述べた。同社は2019年にLightspeed India Partners主導のシリーズAで資金を調達している。

セミインテリジェントのチャットボットは荒削りな状態でスタートを切ったが、導入する企業がチャットボットの限界に近づき、ここ数年では企業のワークフローで重要な役割を担うようになった。Intercomなどの企業がこの進化を牽引してきた。Intercomは2億4000万ドル(約258億円)以上を調達し、AIを使って最も効率よく顧客との対話を進めるコミュニケーションプラットフォームを構築した。

Lightspeed IndiaのDev Khare(デーブ・カレ)氏は発表の中で「全世界で3分の1の企業が対話型AIとチャットボットを実装している。この流れはもう後戻りしない」と述べている。

Yellow Messengerは主にインドと東南アジアで顧客を獲得してきたが、シリーズBの資金で米国、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア太平洋に事業を拡張していく計画だ。同社はサービス開始以降、120以上の言語に対応して、幅広い海外展開に向けて着実に準備してきた。

Yellow MessengerのCEOであるRaghu Ravinutala(ラグー・ラビヌタラ)氏はTechCrunchに対して、同社の重要なアドバンテージのひとつはプラットフォームの水平構造であり、これにより顧客はプラットフォームをさまざまなニーズに合わせることができると述べた。このプラットフォームは顧客に対するサポートやエンゲージメントの自動化に役立ち、さらに社内で人事や営業を管理するためにも利用できる。

Yellow Messengerのプラットフォームは現在、Microsoft Teams、Slack、Facebook Messenger、WhatsAppなどに対応している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

自然言語処理ライブラリ開発のHugging Faceが約16億円調達

Hugging Faceは、Lux Capitalがリードする投資ラウンドで、1500万ドル(約16億4200万円)の資金を調達した。同社が最初に開発したのは、AIの親友とチャットできるモバイルアプリで、暇を持て余した10代向けのチャットボットの一種だった。このスタートアップは、最近、自然言語処理アプリ用にオープンソースのライブラリをリリースし、大成功を収めている。

A.Capital、Betaworks、Richard Socher、Greg Brockman、Kevin Durantなども、今回の投資ラウンドに参加している。

Hugging Faceが、オリジナルのチャットボットアプリをリリースしたのは2017年初頭だった。同社はそのチャットボットが、カスタマーサポートでも使えるよくできたコマンドライン・インターフェイスである必要はないことを証明したいと考え、それから数カ月の間作業に取り組んだ。

Hugging Faceのアプリでは、デジタルの友人を自ら作り出し、その友人とメッセージのやり取りが行える。アプリはユーザーが考えていることを理解してくれるだけでなく、ユーザーの感情を察知して、その気持ちに合ったメッセージを返してくれる。

このチャットボットアプリ支えている技術は、確かなものだとわかっている。Lux CapitalのBrandon Reeves(ブランドン・リーブス)氏も書いているように、これまでコンピュータービジョンと画像処理に関しては多大な進歩があったが、自然言語処理は遅れをとっている。

Hugging FaceがリリースしたオープンソースのフレームワークであるTransformersは、これまでに100万回以上ダウンロードされた。GitHubプロジェクトとして、1万9000個ものスターを集めている。これはオープンソースのコミュニティが、開発用のパーツとして有用であることを認めている証拠だ。Google、Microsoft、Facebookなどの研究者も、これをあれこれいじり回している。

すでに、Hugging Faceのライブラリを製品に利用している会社もある。チャレンジャーバンクであるMonzoは、顧客サポート用のチャットボットに使っているし、Microsoft Bingでも利用している。フレームワークのTransformerはテキスト分類、情報の抽出、要約、テキストの生成た対話型の人工知能といったものに利用することも可能だ。

今回の投資ラウンドを受けて、同社はニューヨークとパリで従業員を3倍に増やす予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

LINEトーク上で決済まで完結する“チャットコマース”拡大へ、チャットボット開発のZEALSが3.5億円を調達

LINEやFacebook Messengerを活用したチャットボット広告サービス「fanp(ファンプ)」を展開するZEALS。同社は4月1日、サイバーエージェント(藤田ファンド)および既存投資家を引受元とする第三者割当増資により3.5億円を調達したことを明らかにした。

ZEALSは2018年1月にJAFCOとフリークアウト・ホールディングスから4.2億円を調達しているほか、2017年5月にも8000万円の資金調達を実施。今回のラウンドも含めた累計の調達額は約8.5億円となる。

同社では調達した資金を活用してコマース領域でのサービス展開を拡大させるほか、代理店様との提携やグローバル市場での取り組みを推進する計画。また音声関連の新サービスの準備も進めていくという。

チャットボットでの会話でニーズをあたためる

ZEALSが “会話広告” パッケージと謳っているfanpは、チャットボットとの会話を通じてユーザーのニーズを把握すると共に商品やサービスへの理解を深めてもらい、商品購入や会員登録といったコンバージョンへ導く広告サービスだ。

具体的にはLINEやFacebook上のインフィード広告からLINEのトークやFacebook Messengerを活用したチャットボットへとユーザーを集客。会話を通じてヒアリングした内容を踏まえて、商品を提案する。

ZEALS代表取締役の清水正大氏いわく、ネット広告のパラダイムシフトが起こり、サーチからフィードの時代へと変わっていく中で「全く変化してこなかったのがランディンページ(LP)の構造」だ。

「サーチが主流だった時は自分から検索してくる人、つまりニーズが顕在化してた人たちが(広告の)対象だった。一方でフィード広告の場合はニーズが顕在化していない人にも表示される。そういう人をいきなりLPに集客して何かを提案しても、“ユーザーのニーズがあったまっていない”状態なのでコンバージョンしづらい」(清水氏)

その課題をインフィード広告×チャットボットで解決しようというのがfanpのアプローチだ。特に人材業界とEC業界への導入が進んでいて、前者ではパソナやアトラエ、ビズリーチなど、後者ではロート製薬やオイシックス・ラ・大地、バルクオムなどがクライアントとなっている。

これまでにfanpを通じて解析してきた会話データは1億3000万を突破し、直近半年の売上成長率は月次平均で127%、単月の売上は約1年前の前回調達時から3.5倍に成長。チャットボットの利用ユーザー(チャットボットを利用しているエンドユーザーの数)も40万人を突破した。

実際、導入企業の平均値ではランディングページのCVRに比べてfanpのCVRは5倍を超えるそう。清水氏はこの要因として「ヒアリングファースト」「チャットボットCRM」「パーソナライズPUSH」という3つの特徴を挙げる。

「広告をクリックしたユーザーをLPに誘導していきなり提案するのではなく、チャットボットでユーザーからヒアリングをした上で商品の提案をする。特に“チャット”というUIではそれを違和感なくやれるのが特徴。従来、広告は押し付けのイメージが強かったが、ヒアリングの結果を基にパーソナライズした提案ができる」(清水氏)

ヒアリングしたデータがきちんと管理されていなければ意味がなくなってしまうので、取得したユーザーのインサイトを管理・活用できるCRM機能も重要な要素。また清水氏は、CVRを高めるという観点においては「提案のパーソナライズに加えて、PUSH通知を打てることも大きい」と言う。

「これまでWebのLPではそもそもユーザーにPUSH通知を打つことができなかった。fanpでは仮にその場でCVに至らなくても継続的なPUSHを通じてユーザーにサービスを訴求できる。平均値ではPUSHからのコンバージョンが4割を占めるほど影響が大きく、これは今までのLPからは生み出せなかったものだ」(清水氏)

今後はチャットコマース強化、新サービス展開も予定

上述したように、現在fanpは人材業界とEC業界を中心に展開している。元々は人材業界が1つの柱となっていたが、コマース領域での活用が拡大し新たな柱へと成長しつつあるという。

つい先日にはLINE Payと連携し、LINEのトーク上からタップするだけで商品の購入・決済までを完結できる仕組みをスタート。スマホ時代の新たな「チャットコマース」体験を実現した。

清水氏によると、EC事業者はより多くの顧客にリーチするべく常に新たなマーケティング用のチャネルを探していて「LINEを使って何かできるのではないか」という認識自体が広がってきているそう。

中国のメッセンジャーアプリ「Wechat」では、同アプリ上で機能するミニプログラム(ミニアプリ)が急増していて、Wechat上でECサイトやゲームアプリなどを利用する体験も増えている。同じように日本でも“LINEのトーク上で商品を買う”というチャットコマースの流れが今後広がっていく可能性は十分にあるだろう。

ZEALSでもまさにこのチャットコマース領域を今後の注力ポイントのひとつに掲げていて、決済機能以外にもカート機能や受注管理画面機能などを充実させていく方針だ。

合わせて清水氏がこれからの展望として話していたのが「代理店との提携強化」と「グローバル展開」。代理店向けプログラムをスタートすることでfanpの普及を加速させるほか、これまで蓄積してきたナレッジやデータを基にアジアでのビジネス展開にも着手する。詳細は非公開だが「革新的な音声サービス」も準備中とのことだ。

「人の持つ対話の力を機械に授けることができれば、次なる産業革命が起こると考えてこれまで取り組んできた。またそれを通じて企業理念にも掲げているように“日本をぶち上げて”いきたいという思いが強い。その点ではコマースを始め次の領域やアジア展開、新サービスなどまだまだ挑戦したいことばかり。チャットボットと音声サービスを通じて、コミュニケーションテックのパイオニアを目指していく」(清水氏)

ビジネス版Facebookのチャットで従業員がFAQの答えをすぐに得られるように

エンタープライズチャットアプリケーションの優れた点の1つは、従業員にコミュニケーションのための共通の手段を提供すること以外に、他のエンタープライズアプリケーションとの統合を行えるということだ。米国時間3月29日、Facebookが提供しているエンタープライズ向けコラボレーションとコミュニケーションのアプリケーションであるWorkplaceと企業向けサービスマネジメントクラウドのServiceNowが、共同で新しいチャットボットを発表した。このチャットボットは、従業員たちによるWorkplace Chat内の社内ヘルプデスクの利用が、簡単にできるようにするためのものである。

このチャットボットの長所は、従業員はいつでもどこでも、よくある質問に対する答えを得ることができるということだ。WorkplaceとServiceNowインテグレーションは、Workplace Chat内で行われ、情報部門や人事部門のヘルプデスクのシナリオを取り込むことが可能だ。チャットボットを使用することで、企業は時間とお金を節約することができ、従業員は一般的な問題に対する回答をより素早く見つけることができる。

以前は、この種の回答を得るためには、複数のシステムをナビゲートしたり、電話をかけたり、適切なヘルプデスクにチケットを送信したりする必要があった。このアプローチは、ある程度の利便性と即時性を提供してくれる。

企業は、よくある質問と回答をブレインストーミングして、その結果をServiceNow Virtual Agent Designerを使って実装することができる。ツールには標準のテンプレートが付属しており、高度なスクリプト作成やプログラミングのスキルは必要とされていない。代わりに、技術者以外のエンドユーザーは、事前に用意されたテンプレートを、個々の組織のニーズ、言語、およびワークフローに合わせて調整することができる。

スクリーンショット:ServiceNow

これはすべて、より多くのエンタープライズアプリケーションを自身に統合させたいと考えているFacebookの、戦略の一部である。昨年5月のF8カンファレンスでFacebookは、Atlassian、SurveyMonkey、HubSpot、Marketo(Adobeが9月に47億5000万ドルで買収)といった企業たちと、52に及ぶ統合を発表していた

これは、エンタープライズチャットアプリケーションの大きな流れに沿うものである。すなわち、エンタープライズアプリケーション群を従業員の作業環境の中心に置きながら、アプリケーション同士の切り替えが発生するタスク切換えを極力減らして行こうとする流れだ。この種の統合は、Slackが非常にうまく行ってきたものであり、これまではそれを差別化要因として提供してきたものである。しかしその他のエンタープライズ向け企業も追いつきつつあり、本日のServiceNowとの発表もその一部なのである。

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(翻訳:sako)

チャットボットをまとめたカオスマップ公開(2019年版)

人工知能に関するニュースを報じるメディア「AINOW」は、2月12日にチャットボット系サービスをまとめたカオスマップ(2019年版)を公開した。掲載数は国内外の合計で81サービス。

同カオスマップでは、チャットボットサービスをログ型、選択型、辞書型、選択肢型&辞書型の4つのタイプに分類。各分類の説明は以下の通りだ。

  • ログ型:ユーザーが入力した文章を解釈して返答する。会話ログを学習するので、より精度が高いチャットボットの開発ができる。
  • 選択肢型:選択式回答のため、ユーザーはあらかじめ設定したシナリオ通りに利用することができる。
  • 辞書型:登録された単語に対応する回答を返す。ユーザーは自由記述式で回答することができる。
  • 選択肢型&辞書型:選択肢型と辞書型の両方を利用することができる。

この分類で分けたところ、最多のサービス数となったのは問い合わせやWEB接客サービスに多くりようされる辞書型チャットボットだった(35件)。高度な自然言語処理分析が必要なログ型チャットボットは、そうでない選択肢型、辞書型にくらべてサービス数が少ないことが分かる。

ユーザーがチャットボットに求めるのが果たして「限りなく人間に近い自然な会話」なのか、という問題提起はよくされるが、少なくとも現状ではログ型のチャットボットの数は少ないみたいだ。

LINEに食材の画像を送るだけでレシピ提案、ライオンが「レシピアシスタント β版」を公開

ライオンの調理サポートブランドのリードは2月7日、同社いわく「レシピチャットボットサービスで初めて」食材の画像によるレシピ検索を可能とした「レシピアシスタント β版」を公開した。共同開発会社はfoo.log(フードットログ)およびFRAMELUNCH

同サービスは、僕にとっては考えるだけでも面倒な「毎日の献立作り」をAIレシピアシスタントが手伝ってくれるサービスだ。使いたい食材の画像、もしくは食材名をテキストや音声で送るだけで、リード製品を使った関連レシピや調理方法が検索できる。

使い方は、まずはLINEで友だち登録。食材の写真やテキストなどを送信するとレシピ検索が開始される。

複数の食材でも検索できるので、試してみたところ、テキストで豚肉と送信すると「豚の生姜焼き風」など111件がヒットし、続けてトマトの画像を送ると「トマト酢豚」など豚肉とトマトを両方使ったレシピ17件がヒットした。

レシピアシスタント β版で画像認識が可能な食材は100種類以上。2月7日現在で630件以上のレシピを公開しているが、今後も拡充していく予定だ。

画像解析には食材認識モデルの構築のためにディープラーニングを活用。投稿されたデータや、環境情報をもとにチャットボットの応答を最適化するためのモデル生成も随時行う予定だという。

Leena AIが、会社の規程に関わる質問に答えてくれるチャットボットを開発

例えばあなたが大企業で仕事をしていて、現在どれだけの休暇​​を残しているのかを知りたくなったり、新しく生まれた赤ん坊をあなたの医療保険に追加したくなったりしたとしよう。通常ならHR(人事総務)部門にメールを送ったり電話をしたりして回答を待つか、場合によっては必要な回答を得るために、複数のシステムを横断して問い合わせを行う必要があるかもしれない。

Y Combinator Summer 2018クラスのメンバーであるLeena AIは、そうした従業員の質問に即座に答えられるようなHRボットを開発して、その問題を解決したいと考えている。

このボットはSlackやFacebookのWorkplaceに統合することができて、構築時には会社規程集の情報を基に訓練を行い、OracleやSAPなどの様々なバックエンドシステムから情報を引き出すことができる。

Leena AI共同創業者であるAdit Jainによれば、同社はChatterronというスタートアップが起源だという。この会社は創業者たちが2015年にインドの大学を卒業したときに始めたものだ。その会社の製品は、人びとが自分のチャットボットを作ることを助けるものだった。Jainによれば、彼らはマーケットリサーチを進める過程で、HRの世界に強いニーズがあることを発見したのだという。その特化した要求に応えるために、彼らは昨年Leena AIを開始したのだ。

Jainは、Chatteronでの経験を通して、ボットを構築するときには、単一のテーマに集中する方が良いことを学んだのだと言う。それは基礎となる機械学習モデルが、使用されるほど性能が改善するからだ。「ボットを作ってからも、本当に価値が備わったり、本当に正確なものになったり、そして本当に役立つものになるまでには、沢山の時間と努力が必要とされます。そしてそうしたことは同じテーマを深めることでしか実現できません」とJainは説明した。

写真:Leena AI

さらに、創業者たちがHRのニーズをよく知るようになるにつれて、その質問の80%は休暇、病気、経費報告といった似通ったトピックをカバーしていることがわかった。また似たようなバックエンドシステムを使用している企業も多いため、今やSAP、Oracle、そしてNetSuiteなどの、一般的なアプリケーション向けの統合機能を標準で提供できる。

もちろん、人びとは似たような質問をするかもしれないが、各社は独自の用語を使っているかも知れないし、変わった質問の仕方をする人もいるかもしれない。Jainは、そこが自然言語処理(NLP)が活躍する場所だと言う。システムは、可能な問い合わせに対する、より大きなデータベースを構築して、こうしたバリエーションを徐々に学習することができる。

同社は2017年に立ち上がったばかりだが、既に10を超える有料顧客を抱えている。彼らはその数を、この先60日間で倍増させたいと思っている。JainはY Combinatorの一員であることが、その点で助けになると信じている。パートナーたちは、チームがピッチを洗練することを手助けし、このツールを利用できる企業を紹介する手助けをしている。

彼らの最終的な目標はユビキタス(ubiquitous:どこにでも存在する)なものとなり、複数のレガシーシステムの間を繋いで、従業員たちからの全ての質問に、シームレスに答えられるようになることだ。もしそれを達成できれば、成功は間違いない。

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(翻訳:sako)

画像:zonadearte / Getty Images

チャットボットの“スマホ店長”がバイトのシフト管理を半自動化する「CAST」公開

近年ビジネスの現場ではSlackやチャットワークのような、業務用のチャットサービスを活用するシーンが少しずつ増えてきた。特にTechCrunch読者のまわりではその傾向が強いのではないだろうか。

ただこれは僕自身もそうだったのだけど、数年前を思い返すとFacebookのグループやメッセンジャー、LINEのグループといった普段プライベートで使うツールがその役割も担っていたように思う。

今でもこれらのツールが業務で使用されるケースも多く、その典型例が飲食店なのだそう。つまり「お店とアルバイトとの連絡」を専用のLINEグループなどで行うのだけど、公私が分けられないなど抵抗を覚える人もいるという。

ビジネス用のチャットツールが現場のコミュニケーションを円滑にしたように、課題が残るお店とアルバイトのコミュニケーションも改善できないか。6月5日にhachidoriがリリースした新サービス「CAST(キャスト)」はまさにそのような思いから生まれたサービスだ。

アルバイトに関するすべてのことが完結するアプリを目指す

CASTは主に飲食店などを対象とした、店舗とアルバイトのコミュニケーションアプリ。チャット機能はもちろんのこと、店長やバイトリーダーにとって大きな負担となっていたシフト管理を、チャットボットのスマホ店長が半自動化する機能を搭載している。

5月21日にアルバイト向けの機能を先行リリース。自分のカレンダーと同期することでシフト管理が簡単にできるほか、登録した時給とシフトを元に給与を自動で算出できる環境を整備。またシフトの登録数などに応じてバッチがもらえる仕組みを導入し、ちょっとしたゲーム要素も加えている。

本日からは店舗向けの「SHOPプラン」も公開した。事前に設定した期日に沿って自動でシフトの提出依頼ができるほか、提出の催促やシフトの作成、メンバーへの周知なども極力スマホ店長が代行。店長として各メンバーの時給や役割を設定できる管理機能も備える。

アルバイトユーザーは無料で利用可能、店舗向けには無料プランと月額500円からの有料プランを提供していく方針だ。

hachidoriでは2017年よりCASTのプロジェクトをスタート。アルバイト400人、飲食店40店舗へのヒアリングとテスト運用を重ねてきた。

アルバイト400名へアンケートを実施した結果わかったのが、冒頭でも触れた飲食店におけるチャットを介したコミュニケーションの実情。アルバイト先でLINEグループがあると答えた割合が63%だった一方で、全体の57%がそもそもバイトのグループに否定的な意見を持っていることがわかったという。

hachidori代表取締役の伴貴史氏の話では「公私が分けられない」「シフトの管理が煩雑になる」など多数の要因があがったそうだが、中には「最終的にはバイト先のLINEグループを見なくなった」人もいた。そのような影響もあってか、バイトリーダーや店長は毎月のシフト調整に多大な労力を割かなければならない状況にある。

「店舗にヒアリングをしてみると、グループでシフトの提出を呼びかけて返ってくるのは6割くらい。再度催促をしても反応があるのは2割ほどで、残りの2割には個別で連絡をする。苦労して集めたシフトをエクセルに入力し、スクショをしてグループで再度共有すると『やっぱり難しい』と言われ、シフトを組み直すことも珍しくない」(伴氏)

伴氏によるとある店舗ではアルバイト1人あたり月に1時間程の時間を要していたが、CASTを使うことでこの作業が5分程に軽減された事例もあるそう。また店舗からはバッジ機能がアルバイトのモチベーション向上につながるとして、評判がいいという。

今後は8月を目処に他店舗のヘルプを管理できる機能や、タスク管理機能を追加する予定。また2018年中には勤怠管理や給与振込、タイムラインといった仕組みも取り入れる計画で、「アルバイトに関するすべてのことが、CASTひとつで完結することが目標」(伴氏)としている。

今後見据えるのは「金融」と「求人」領域での展開

hachidoriは2015年の設立。プログラミング不要のチャットボット開発ツール「hachidori」と法人向けソリューション「hachidori plus」を軸に展開してきた。hachidoriで作られたチャットボットは約5000個、hachidori plusのアカウント数も企業と学校を合わせて90ほど立ち上がっているという。

2017年2月にはベクトル、コロプラネクスト、エボラブルアジア、オークファンと島田亨氏を含む個人投資家数名から1億円を調達。直近では自社プロダクトに加え、OEM提供のような形で他社と組んで事業を拡大している。

今回リリースしたCASTの原型は、工場向けに提供していたLINE上でシフトの申請や有給の申請をできるサービス。飲食店などとも話をする機会が多い中で、単価や機能面を中心にブラッシュアップするような形でCASTが生まれた。

CASTではこれから2018年末にかけて複数の機能を追加していくが、伴氏はその先に2つの展開を見据えている。それが金融と求人の領域だ。

現時点では構想段階のものもあるそうだが、金融では給料の前払い、そして長期的にはマイクロローンのような分野にも参入する可能性があるという。

「お金に困っているからアルバイトをしているという人も多いので、その人たちをサポートする仕組みを作る。給料の前払いは特に個別の手数料はとらず、システム利用料に含まれる形で提供したい。またCAST上に蓄積される過去の勤怠データや平均時給などから『今後どのくらい働ければ、いくらぐらい返済できるか』を割り出し、ローンに活用するといった展開も将来的には検討したい」(伴氏)

求人領域も同様だ。CASTに溜まった情報をもとに、アルバイト希望者と人員を欲している店舗をうまくマッチングする仕組みを構築。採用面談から採用後にCASTのグループに追加されるまで、入り口から出口までをカバーしていく計画だという。

「hachidoriが軌道に乗りサービスとして形ができあがってきた中で、継続して成長させつつも、2次関数的に成長するようなサービスを新たに作りたいという思いがあった。金融や求人は時間がかかる領域ではあるが、まずはCASTのアップデートをしながら、この事業に力を入れて取り組んでいきたい」(伴氏)

 

アプリケーションにチャット(会話)機能をつけるAPI、Dialogflow Enterprise EditionをGoogle Cloudが一般公開

会話ができるための入出力インタフェイスを作ることは、デベロッパーにとって新しい挑戦分野だ。チャットボットはWebサイトやアプリにおけるトラブルを減らし、会話ができるという構造の中では、企業はよく聞かれる質問に簡単迅速に答えることができる。そこで今日(米国時間4/17)Googleは、これまでベータだったDialogflow Enterprise Editionを一般公開した。

この技術は、2016年におけるAPI.AIの買収の成果だ。Googleは賢明にもツールの名前を変え、それが実際にすることにマッチした名前にした。同社によると、現在すでに、数十万のデベロッパーがこのツールを使って会話のためのインタフェイスを構築している。

これは必ずしもGoogleオンリーのツールではなく、Google AssistantやAmazon Alexa、Facebook Messengerなどの音声インタフェイスでも使えるから、デベロッパーが一度チャットアプリを作ったら、それらを、コードを大幅に変えなくてもさまざまなデバイスで使えるようになる。

さらに今日のリリースでは、機能を増やすとともに、エンタープライズエディションへの移行を容易にした。

GoogleのCloud AIのプロダクトマネージャーDan Aharonが、このツールを発表するブログ記事で、こう述べている: “今日からは、一つのAPI呼び出しで複数のAPI呼び出しが必要になるような、バッチ的な処理ができるようになり、コードの行数を減らして開発時間を短縮できる。Dialogflow API V2は今や、すべての新しいエージェントのデフォルトであり、Google Cloud Speech-to-Textを統合、APIからのエージェントの管理が可能になり、gRPCをサポート、そしてコードのマイグレーション不要でEnterprise Editionに容易に移行できる”。

同社は、Dialogflowを使って顧客のためのチャットインタフェイスを構築した企業の例として、KLM Royal Dutch AirlinesやDomino’s、Ticketmasterなどを挙げた。

この新しいツールは今日(米国時間4/17)から可利用になり、30以上の言語をサポートする。一般公開されたエンタープライズプロダクトには、サポートパッケージとサービスレベルアグリーメント(SLA)がつく。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AIの未来とインテリジェントサーチ : SMX West2018レポート

3/13から3/15にかけて、米国のシリコンバレーの中心都市サンノゼにて「SMX West 2018」が開催され、SEO Japan編集部も参加して参りました。セッションレポート、スピーカーへの質問、独占インタビューなど、SMX Westの様子を数回に分けてお伝えしていきますので、どうぞお楽しみください!– SEO Japan

Shelby Reed

スピーカー:Shelby Reed氏 Microsoft Bingアド セールス部門長
モデレーター:Chris Sherman氏 Third Door Media

Shelby氏について

北米の広告セールス部門を統括
Bingとのパートナーシップで企業の成長を促す助けをしている

Shelby氏のバックグラウンドについて

自分が6歳の頃には周囲のいろんな事に対して疑問を持っていて、周りの大人に疑問をぶつけてましたが、どの疑問も検索によって解決され得るような世の中になりました。
この6歳の少女の疑問のように、顧客が抱える疑問に対して回答を提示できるようになるまで、業界が発展したのはとても幸運なことです。

AIの現状について

我々の仕事は顧客が検索を行う中で、正しい場所、正しいタイミングで企業のブランドメッセージに触れさせることです。

AIのAの字を、マーケターとしての能力の「Amplifying(拡大)」と捉えたらどうでしょう?

顧客に対して、より意味があり、コネクションが強く、関係性を重視した体験が提供できるようになるのです。

我々は情報世代から体験世代への過渡期にあります。

情報世代:コンシューマのインサイトを理解するために、膨大な情報を集め理解する。
体験世代:予測的な分析と、インテリジェントで行動を促すようなアウトプットを行う。

そしてチャットボットやAR/VRを通して、仮想空間ではなく現実空間でどのように自社のサービスと触れているのかを理解することが出来ます。

一方で、スナップチャットのようなリアルタイム動画共有は完全にメインストリームとなり、そして飽和状態となっています。

さらに、Cortana、Alexa、Siri、GoogleAssistantのようなデジタルアシスタントはほぼ市場に浸透しています。

ARはもう少しでマスマーケットに浸透します。これが実現することで、我々マーケターはより強いコネクションで、会話を通しながらも、感情でつながるような、完全没頭型の体験を提供することが出来るようになります。

我々はスマートでエンゲージした体験を作っていき、物事はよりシームレスになりますが、全てバックグラウンドでAIが働いていることに顧客は気づかないでしょう。

AIは「人、場所、もの」などの点を結び付け線にします。

今日は、AIの認知能力をどのようにしてマーケターが活用していくのかについてお話しします。

AIは理解します

AIは見ます

AIは聞きます

AIは話します

そして、AIは感じるのです。

検索とBingについて

検索はかつてないほど多くの人に信頼されています。とある調査によると、74%の消費者がWebサイトやブランドがいうことよりも、検索に信頼を置いています。
Search is Changing
2020年までに、200億ものIoTデバイスが存在するようになると言われています。

また同じ2020年までに、人々は企業との関係において85%は人を介さない形で持つようになるだろうという予測もあります。

現在でも月に1.48億人ものマンスリーアクティブユーザーがおり、180億もの質問がされています。

米国でも2人に1人はBingを使っており、5回に1回はBingを通して検索が行われています。

AIは知っている

デジタルアシスタントは時間、場所などの背景を理解しています。
理解しているからこそ、意図を理解し、アクションへつながるような提案をしてくれるのです。
予測からアクションまで
また、AIはテキストや音声入力で説明せずとも、意図を理解してくれる

例えば私が、「今日の晩御飯は何が良いと思う?」と夫にメールで訪ねたとしましょう。
初期のバージョンのCortanaならば、こう考えるでしょう。

メールを送ったのは「女性」で、送った時間は「夕方」 ⇒ 彼女の旦那さんが今日の晩御飯に何を食べたいかを聞いているはず ⇒ レシピを表示

ここに更なるシグナルを加えることで、答えは変わってきます。

メールを送ったのは「女性」で、送った時間は「夕方」。しかし彼女はまだ「オフィス」におり、過去には「レシピの検索はほとんどしない」ということが分かっている ⇒ 「今日の晩御飯は何が良いと思う?」というメールの裏に「今日は私のために何を作ってくれるの?」という夫への意図があることを読み取ることができる

(会場笑い)

AIは聞いている

我々はキーボードから卒業し、音声検索が主流になっていて、音声検索のエラー率は6.3%までになっています。(これは人間の翻訳家が、ミスを犯す確率と等しい)

2020年までに、50%の検索は音声と画像によるものになると言われています。

また、検索の言葉も変化しています。

「天気」 → 「今日は傘がいるかな?」
「ニュース」 → 「今日のトップニュースは?」
より口語的で、会話調のクエリへとなっていくでしょう。

また、音声は検索クエリの長さを長くしています。
音声検索クエリ長さ

さらに我々の別の調査では、シンプルな事実の検索から音声検索へ移行していることが分かりました。
音声検索への移行

逆に、個人の予定の予約、デリバリーのオーダー、旅行の予約、などは音声検索が比較的難しい領域です。この領域をカバーするためにチャットボットなどを活用しました。
Q&Aは「クエスチョン&アンサー」から「クエスチョン&アクション」になったのです。

検索のワードは、より複雑で、話し言葉ベースになっていくでしょう。

それを調べるために「ANSWER THE PUBLIC」という良いツールがあります。
Answer the public

※ANSWER THE PUBLIC・・・キーワードを入力することで、検索者のインテントを5W1Hなどで分析するツール。英語のみ対応。

このようなツールは、広告やオーガニックの戦略を考える上で助けとなるでしょう。

AIは話す

AIは話す
翻訳システムは、かつて無いほど即座に回答を返してくれます。

AIは見ている

AIは画像を見て理解しています。
画像認識技術によって、ファッションモデルの写真から、どのブーツを買えば彼女のスタイルを真似できるかを教えくれます。
AIブーツ画像
またHololensを使うことで、WEBの体験から実際に自身のリビングルームに擬似的に家具を置くことができるようにもなります。
hololens

AIは感じている

AIによって、生活内で生まれる感情がデジタルプラットフォームに組み込まれるようになっています。

Caption Bot

画像に写っている人が、一体どのような状況で、どのような感情を持っているのかを読み取ることができます。複数の顔の感情や、アナケンドリック(有名人)の顔を識別することができます。
caption bot

これらのあらゆる感覚を統合されることで、デバイスを問わずより没頭型の体験を顧客に提供できるようになります。

今後数年で80%のブランドがチャットボットを活用するようになるでしょう。

AIはセールスとなり、パーソナル旅行ガイドとなり、美容コンサルタントとなり、家の修理エキスパートとなるでしょう。

そんな中で、修理のMicrosoftとHomeAdvisorのパートナーシップが実現しました。

Home Advisorとの連携

HomeAdvisor・・・家の修理事業者を紹介するプラットフォーム。今までは、リストから修理事業者を選ばなければならなかったのが、自動で修理事業者を選定してくれる。例えば、「水道が壊れた」と入力することで、配管工が自動で選ばれ、当日のうちに修理事業者が家に来て修理を行ってくれる。

HomeAdvisor Ryan氏へスピーカー変更
Lian氏

Microsoftのチャットボットの活用について

配管工の仕事はトイレの修理から、台所の修理まで多岐に渡るため、チャットボットでメッセージの往復を自動化した。将来的には、写真から必要な修理を推定することを可能にする。

サービス連携

Botコネクター→様々なプラットフォームと連携(Skype メッセンジャーetc…)
botコネクター

再びShelby氏へスピーカー変更

Microsoft Cognitive Service

Microsoft Cognitive Serviceでは、以下のことができるようになります。

  • Vision・・・顔の表情から、ボットが画像や動画での感情を理解することができる。
  • Speech・・・話し言葉と、書き言葉の双方向の変換を可能にする。
  • Language・・・自然言語でのコマンドを理解させることができる。
  • Knowledge・・・ウェブ、学術、個人データからのリッチな情報を統合。
  • Search・・・BingAPIを利用して数十億のウェブページ、画像、ビデオ、ニュースへのアクセスが可能

Microsoft Cognitive Services

まだパイロット版ではあるが、検索結果内にチャットボットが表示される実装をしています。これにより、かつてないほど人間的な回答ができるようになるでしょう。
検索結果内チャットボット


アメリカでは日本以上にBingを使用しているユーザーは多く、検索のインターフェースもよりリッチなものになっており、以前多面強調スニペットの記事で紹介した「複数視点アンサー」などの検索画面での機能も採用されています。また、Shelby氏がAIの認知能力が向上していることに度々言及していましたが、これが今後もマーケターの役割を変えていくのは間違いないでしょう。– SEO Japan

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会話でニーズを“あっためる”、チャットボット広告のZEALSが4.2億円調達

チャットボットを利用した会話広告サービスを展開するZEALSは1月29日、JAFCOフリークアウト・ホールディングスを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は4億2000万円だ。

ZEALSが提供する「fanp(ファンプ)」は、チャットボットを利用した会話型の広告出稿サービスだ。通常では、Facebookに出稿したインフィード広告をクリックすると、より詳細な内容を説明するランディングページ(LP)に遷移することが多いと思う。

一方、fanpでは広告をクリックするとLPに飛ぶ代わりにFacebook Messengerのチャットボットが立ち上がる。ユーザーはそのチャットボットとの会話を通じ、広告を出稿した企業のサービスや商品の理解を深めるというわけだ。そのような会話内容の“設計”はZEALSが行う。

チャットボットとの会話は自然言語処理を駆使したフリー形式ではなく、あらかじめ用意された選択肢をタップして会話していくタイプだ。ZEALSは元々ロボットの向けの会話エンジンを作っていた企業なので、自然言語処理には長けている。しかし、ユーザーの離脱率をできるだけ低くするという目的から選択型のチャットボットに決めたそうだ。

「はじめは自然言語処理を利用したチャットボットもテストしたが、ユーザーがボットと2回も会話することなく離脱してしまうことが続いた。今は、個人情報の入力などを除き、ほぼすべての入力を選択形式にしている」(ZEALS代表取締役の清水正大氏)

fanpには顧客情報を管理するCRMもあり、ダッシュボードからユーザーの会話内容やデモグラフィック・データを確認することができるようにもなっている。

fanpのCRM機能

それでは、会話広告の威力とはいかほどのものなのだろうか。ZEALSが独自に調査したところによれば、インフィード広告とLPの組み合わせで出稿した場合のCVR(コンバージョン率)は0.8%だったのに対し、会話広告ではその約7倍にあたる5.7%だったという。

清水氏はこの結果について、「入力された検索語をもとに表示されるリスティング広告では、ユーザーのニーズが明確だ。一方、インフィード広告ではユーザーのニーズがまだ“あったまって”いない。会話広告では、まだ顕在化していないニーズをチャットボットとの会話と通してあっため、商品やサービスの理解を深めることができる」と語る。

また、一度ユーザーが離脱してしまったとしても、fanpはその後も継続してユーザーに働きかける。なかには、追加的な会話によって初回から半年後にコンバージョンした例もあるそうだ。

2017年5月にリリースしたfanpは、これまでに味の素キャリアデザインセンターインベスターズクラウドなど数十社を顧客として獲得している。業種としては、人材、保険、不動産など高単価サービスを提供する企業が多いのだという。よく考えてから購入を決めるタイプの商品・サービスと会話は(たとえそれがボットとの間のものでも)相性が良いのだろう。これまでに解析した会話データは4200万件を超す。

fanpを利用した広告出稿には、広告出稿費(最低150万円〜)、システム利用料、会話量に応じた従量課金料金がかかる。

ちなみに、ZEALSはもともと、メディア向けチャットボットサービスの「fanp」と企業向けの会話広告サービス「fanp Biz」の2つを提供していた。しかし、その後同社は会話広告サービスにリソースを集中させると決断。現在はかつてのfanp Bizをfanpという名称で提供している。やっぱり広告の方が儲かったのだろう。

ZEALSは今回調達した資金を利用して、チャットボットとユーザーの会話をデザインする「コミュニケーション・デザイナー」の採用を進めるという。TVCMや雑誌広告などは専門のクリエイターがクリエイティブの企画設計を行う。それと同じように、チャットボットやロボットとの会話の設計にも専門的な人材が必要になる社会がくる、というのが清水氏の考えだ。

ZEALSは2014年4月の創業。2017年5月には約8000万円の資金調達も実施している。

ZEALS代表取締役の清水正大氏

Googleのチャットボット・ビルダーDialogflowに企業ユーザー向け有料バージョン登場

Googleが今日(米国時間11/16)、チャットボットやそのほかの会話的アプリケーションを作るツールDialogflowの、エンタープライズエディションの、ベータローンチを発表した

そして無料版も含めてDialogflowには、今や音声認識機能が内蔵されている。これまでデベロッパーは、その機能が欲しければGoogle CloudのSpeech APIや同様のサービスを使わざるをえなかった。当然ながら、内蔵化によって、一つのAPIを呼び出すだけになったので、スピードも(Google説では30%)向上した。

今のDialogflowにはさらに、GoogleのChatbaseサービスを呼び出すことによる、ベーシックなアナリティクスとモニタリングの能力もある。

Dialogflowは、Googleが昨年買収したときAPI.AIという名前だったけど、その後名前を変えた。でも変わったのは名前だけで、その基本的な考え方はなにしろ、会話的なエージェント(自律プログラム)やそのほかの、テキストや音声による対話を、使いやすい形で作りたい、と思ったときに使えるビルディングブロックを提供することだ。

このサービスはこれまでずっと、ユーザー獲得のために無料(ただし量制限あり)だったが、企業ユーザーは有料でもいいから24/7のサポートやSLA、企業向けのサービス規約、データ保護の約束、などがほしい。

そこで今度のDialogflow Enterprise Editionでは、これらすべてが得られる。Google Cloud AIのプロダクトマネージャーDan Aharonによると、このバージョンのDialogflowはGoogle Cloudの一員なので、前からGoogle Cloudを使っているユーザー企業なら、契約も使用開始も簡単だ。“もしもあなたがSpotifyなら、Google Cloudのプロダクトであるための要件をすべて、すでに満たしているから、Dialogflowをかなり容易に使える”、とAharonは語る。たとえばDialogflow Enterprise Editionのサインアップは、Google Cloud Platform Consoleのコンソールからできる。

有料とはいえ、テキストの対話一回につきわずか0.2セント、音声の対話リクエストは一回につき0.65セントだ。1セントにも満たない(量制限なし)。

これまでの無料バージョンのDialogflowは、どこにも行かない。エンタープライズエディションと同様、新たに音声認識も統合されており、14の言語をサポート、MicrosoftやAmazonなど、主なチャットや音声アシスタントのほとんどを統合している。その量制限は、1日に最大1000対話、1か月累計では15000対話までだ。

GoogleがAPI.AIを買収したとき、それはすでに、チャットボット作成ツールとして相当人気が高かった。そしてGoogleによると、その勢いは今だに衰えていない。GoogleのPRはAharonに、人気第一位のツールとは言うな、と釘をさしたらしいが、実際に人気一位であっても意外ではない。彼によると、無料バージョンだけの現状で登録ユーザー数(デベロッパー数)は“数十万”、今年のCloud Nextイベントを共有したデベロッパー数が15万だから、それよりずっと多いのは確実だ。

“顧客から何度も何度も聞く言葉によると、自然言語理解のクォリティーが高いので、Dialogflowはそのほかのチャットボットツールに大きく差をつけているそうだ”、とAharonは言う。“最良のツールでなければ、本番用(プロダクション用)には使えないからね”。(そうでない企業もあるみたいだが…。)

自然言語の理解以外にも、Cloud Functionsを利用してサーバーレスのスクリプトを簡単に書けるなど、Dialogflowはデベロッパーの自由度が大きい。ほかのアプリケーションへの接続も容易だ…それらがどこでホストされていても。だからたとえば、既存の受発注システムや発送システムと、これから作る会話的アプリケーションを統合することも可能だ。

Aharonによると、API.AIの機能をGoogle Cloudにポートするのに約1年かかった。そしてそれが完了した今では、このサービスはGoogleのAIや機械学習の機能をフルに利用できる。一方、今のGoogleはエンタープライズの顧客獲得が最重要の課題だから、Dialogflowをそのためのメニューの一員にするのも、当然なのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Silent Echoを使えば、Slackの中からAlexaとチャットすることができる

Slack経由でAlexaとチャットしてみたいだろうか?Silent Echoという新しいボットを使えばこれが可能だ。ここでの着想は、AmazonのバーチャルアシスタントAlexaと対話する際に、音声を使いたくない場合があるだろうということだ。たとえば、部屋の中がとても騒々しくて、Alexaが適切に聴き取りを行えない場合や、とても静かに物事を進める必要がある場合などだ。

このサービスは、Alexaがほかのプラットフォーム(例えばEchoスピーカー)で提供している全ての機能にアクセスできるものではない。例えば、Silent Echoからは、Spotifyやその他の音楽サービスをコントロールすることはできないし、セッションタイムが短いため複数のやり取りが必要なAlexaスキルを使うこともできない。

しかし、スマートホームデバイスを制御したり、開発者が行う必要のあるテストの目的でAlexaのスキルと対話したりといったことは、Silent Echoから行なうことができる。

実際、Silent Echoのアイデアは、音声アプリケーションを開発するためのツールを提供するBespokenからやってきたものだ。Bespokenは、昨年インタラクティブ音声広告会社XappMediaを設立し、それ以降多数の多数のオープンソースのコマンドラインツールをリリースしている。それらのツールはおよそ700人の音声アプリ開発者に採用されてきた。これらのツールは、Bespokenが、同社のSaaS製品である、AlexaやGoogle Home向け音声アプリケーション用のロギング/監視ソフトウェアソリューションを周知させる手助けになる。

現在そのソフトウェアは約150顧客に採用されている。主に音声アプリケーションの大きなブランドを扱う代理店によってだ。

Bespokenの創業者兼CEOであるJohn Kelvieによれば、当初チームは車内の企業音声アプリケーションソリューションをサポートするために、Silent EchoのWebクライアントバージョンを構築していた。しかし、多くの人びとがSlackのバージョンを入手できるかどうか尋ねてきたため、それが動機となって新しいSlackボットの開発へとつながった。

Slackにインストールすると、Silent Echoボットに直接メッセージを送信したり、グループチャット内で@silentechoを指定して呼び出したりすることができる。

ボットはSlackでタイプされた内容をテキスト音声変換を使って音声に変換してから、AmazonのAPIを通してAlexaを呼び出している。そしてAlexaが返答した音声を今度は音声テキスト変換を施してテキストに変換しているのだ。

これはAlexaを使用するための非公式な手段だ。要するに技術的には、これはハッキングの一種だ。しかし、これらはすべて「オープンに利用可能なルーチン」だけを使用して行われている、とKelvieは語った。「イカサマをしたり、非公開のAPIや抜け道に頼ったりもしていません」と彼は説明している。

本質的には、Silent Echoは仮想Alexaデバイスのように動作するので、それはユーザーのAlexaアカウントに関連付けられている。すなわち、このボットは、ユーザーのAmazonアカウントと、ユーザーが追加した他のスキルにアクセスすることが可能なのだ。

しかし、セキュリティ上の理由から、グループチャットの内でのSilent Echoとのやりとりは、限られた特権を持つAmazonアカウントにリンクされた汎用Silent Echoインスタンスが使用される。スキルをこのバージョンに追加することはできるが、個人アカウントにリンクする必要があるスキルは追加できない。たとえば、ピザを自宅に届けるよう注文するスキルなどは追加することができない。

リクエストとレスポンスはBespokenのデータベースに保存されている。このデータが共有されることはないが、政府や法執行機関の開示要請の対象になる可能性があることには注意が必要だ。Alexaの音声を文字起こししたものを保存しておくべきか否かは、最近の議論のトピックの1つだ。Amazonはより良い音声アプリの開発助けるために、開発者たちへ文字起こしされた非公開データを提供することを検討しているという報告も挙がっている

しかし、Bespokenのケースに於いては、Echoスピーカーが拾ってしまうようなバックグラウンドノイズが書き起こされることはない。Kelvieによれば、入力された要求と文字化された応答のみを、ユーザーインターフェイスに表示する目的で保存するということだ。

Slackボットに加えて、Silent EchoはWebクライアント、あるいはSDKを介しても利用することができるが、明らかにSlackボットに人気が集まっている。

「私たちは既に35のSlackコミュニティに参加しています。そして1000以上のユーザーを獲得済です」とKelvieは7月中旬にベータ版に関するブログ記事を公開したばかりのSlackボットについて語った。

「使用例は急速に拡大しています」と彼は付け加えた。彼はもともと、このボットが一握り以上のSlackグループで使われるようになるとは思っていなかったのだ。

「このことはTwitter版でのユーザー獲得に向けて、気を少し楽にしてくれる結果です」とKelvieは語る。それはいつ登場するのか、と尋ねたところ、できれば来週にはという答を得ることができた。乞うご期待。

当面Silent Echo Slackボットは、ここから無償で利用できる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

チャットボットだけではダメ――CRMを加えて新展開のZEALSが約8000万円を調達

チャットボットサービスを提供するZEALS(ジールス)は本日、フリークアウトを引受先として、約8000万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。また、今回これまで展開していたチャットボットの開発運用サービス「BOT TREE」をリニューアルした。メディア向けに特化した「fanp(ファンプ)」と企業のマーケティングのニーズに応える「fanp Biz」を本日よりローンチする。

fanp(ファンプ)は、メディア向けに読者と関係構築を図るためにチャットボットとCRM(顧客関係管理)を組み合わせたサービスとZEALSの代表取締役CEOを務める清水正大氏は説明する。

メディアはfanpでチャットボットを開設し、自社サイトなどにウィジェットを設置してユーザーを募ることができる。メディアはfanp内から記事のリンクをコピー&ペーストするだけで、ユーザーに配信する記事を選択することが可能だ。

fanpの特徴はボットでの配信だけでなく、CRMとしての機能もあることだ。これまでメディアは読者との関係構築のためにメルマガ配信などを行ってきたかもしれないが、それではメールアドレスは取れても、具体的にどういう人なのか知ることはできなかった。また、FacebookページやTwitterを運用していても、一方向のコミュニケーションになりがちだった。

fanpはチャットボットでの記事配信と双方向のコミュニケーションを特性を活かし、メディアと読者のエンゲージメントを高めたい考えだ。チャットボットが取得したユーザーのプロフィールを元に、例えば属性ごとに配信を行ったり、簡単なアンケートを行ったりすることも可能だという。

もう1つの「fanp Biz」は、企業のマーケティング用途に対応するものだ。Facebookのニュースフィード広告はMessengerボットと紐付けることができる。fanp Bizでは、企業はそうした広告と連動し、ユーザーにプロダクト紹介や資料請求に対応できるボットの作成やボットへの集客を支援するサービスという。「これからランディングページや資料請求といった申し込みは、チャットボットが代替するようになります」と清水氏は話す。

ZEALSはBOT TREEは2016年6月にローンチした。BOT TREEは読者の好みを機械学習で学習するなど高機能だったもの、利用企業にエンドユーザーのニーズにどのように応えて、どのような効果が得られるかを明示できていなかったと清水氏は話す。

その反省を踏まえ、今回のfanpのリニューアルにあたってはユーザーとの検証を重ねて、効果を生む機能だけを実装したと清水氏は言う。「企業との二人三脚で分かったことは、彼らが求めているのは色々な会話を簡単にボットに組み込めるインターフェースではなく、エンドユーザーがどういう人で、どういう使い方をしているかを知り、それをコンテンツ作りに活かせるサービスということ」。使い勝手やアナリティクス画面などもユーザーの意見をヒアリングしながら作り込んだという。

調達した資金はチームの増強とマーケティングに充てる予定だそうだ。また、fanpは国内のみならず、海外でも伸ばしていきたい考えだという。また、資金調達と同時にZEALSはフリークアウト・ホールディングとの協業を発表している。フリークアウトは広告やマーケティング関連のサービスを提供しているが、彼らの技術面と営業面、そして海外展開の面で協業していくという。

「ほとんどのタスクは100%自動化可能」 ― チャットボットのPypestreamが1500万ドルを調達

pypestream

Pypestreamは現地時間28日、シリーズAで1500万ドルを調達したと発表した。

同社が創業した約1年前、創業者兼CEOのRichard Smullen氏はピッチの中でテキストメッセージが顧客と企業とのベストなコミュニケーション手段であると主張した ― もっと具体的に言えば、Pypestreamのアプリを使ったメッセージングだ。このアプリでは、企業は1つのアカウントに異なる「パイプ(pype)」をつくって、それぞれを用途に応じて使い分けることが可能だ。

その後、Pypestreamは企業がもつアプリにメッセージング機能を組み込むというサービスにもビジネスを拡大した。ここでやり取りされるのはテキストや画像だけではない ― ユーザーはそこで料金の支払いもできるし、スケジュール調整や直接ファイルをやり取りすることもできる。

もちろん、ここ最近、特にFacebookを中心としてチャットボットにかなりの注目が集まっていることは確かだ。しかし、Smullen氏はFacebookのようなチャットボットと人々がコミュニケーションをする時代が来るのはまだ先のことだと話す。

「『たとえ目的やニーズがはっきりしていなくても、人々は企業と何気ない会話をすることを望んでいる』。このように企業やエージェントは考えています」とSmullen氏はいう。「でも、消費者の視点から考えてみれば、何も用がないときにNikeと何気ない会話をする気にはなりませんが、自分のスニーカーが壊れてしまったときには、そのような会話が重要になるということが分かります」。

だからこそ、Pypestreamはこれまで企業がコールセンターなどで対応してきた数々のプロセスを人工知能と機械学習によって自動化することを目指してきたのだ。この界隈では、AIや機械学習という言葉を耳にタコができるほどよく耳にする ― Smullen氏は「それを実現するためには、WatsonやCortanaのようなレベルでディープラーニングを利用する必要はなかった」と話している。しかし、それでもPypestreamはほとんどのタスクを自動化するには十分な程スマートだと彼はいう。

「何度も繰り返し行なわれるタスクを出来る限り自動化することを目指しました」とSmullen氏は話す。「ほとんどのタスクは機械が完全に解決できるものです。機械が解決できない問題が出てきた場合には、その会話を人間に投げ、人間が機械に代わって解決します。私たちのシステムは、その時に人間がとった行動を記憶します。なので、次に同じタスクが与えられたときには、システムは人間の手を借りることなくそのタスクを完了することが可能です」。

Pypestreamはこれまでに、Insurance Thought Leadership、Lynx Services、Discovery Healthなどの企業を顧客として獲得している。Smullen氏は同社が連邦政府とも契約を交わしたことを明らかにしたものの、その件はまだ公式に発表されていない。

同社はこれまでにシードラウンドで200万ドルを調達している。今回のシリーズAをリードしたのは元Priceline CEOのRick Braddock氏だ(彼はCitibankの元COOでもある)。その他にも、The Chatterjee Groupや同社が言うところの「大規模で、誰もがよく知るヘッジファンド」も本ラウンドに参加している。同時に、Braddock氏がPypestreamの経営執行役会長に就任することも発表されている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

オンライン不動産のietty、「チャットコマース」の運用、導入サービスを開始——来店者数2倍の実績も

ietty代表取締役社長の小川泰平氏(左)と取締役COOの内田孝輔氏

ietty代表取締役社長の小川泰平氏(左)と取締役COOの内田孝輔氏

2016年、IT業界で話題になったテーマの1つに「チャットボット」がある。LINEやFacebook Messangerでおなじみのチャット型のUIと、人工知能(と人力)による会話を組み合わせることで、ユーザーはまるでリアルに対話しているのと同じように語りながら、目的のアイテムを検索したり購入したりできるなんて話だ。LINEやfacebookなどがAPIを公開したことも、このテーマが注目を集めるきっかけとなった。「ボット」ということで人工知能とセットで語られることも多いが、このチャットUI自体が、短いテキストでやり取りするスマートフォンのコミュニケーションと相性が良く、ユーザーがコミュニケーションを通じて目的にたどり着きやすくなるという話も聞くことも多い。

そんなチャットボット、チャット型のUIを実際の事業に使っている国内スタートアップとして名前が挙がることが多いのが、オンライン不動産仲介サービス「ietty」を展開するiettyだ。同社は2012年2月の設立以降、ユーザーが望む不動産物件の条件をあらかじめ入力しておき、それにマッチする物件をサービス側(人力およびAI)がチャット上で提案、ユーザーとの会話によって部屋決めができるというサービスを展開してきた。当時はそんな言葉すらなかったが、まさに「チャットボット」をセールスに使ったサービスだ。同社によると、現在月間数百人がiettyのチャットUIを通じて賃貸仲介物件を契約しているという。

そんなiettyは1月16日、これまでのノウハウを生かして、チャット型の接客サービスの導入および運用支援ソリューションの提供を開始することを明らかにした。このサービスでは、会話型コマースの導入に向けた自社サービスの調査から、運用プロセスの設計、チャットの導入、運用までをiettyがワンストップで行う。料金は応相談となっているが、数千万円規模のフルパッケージを提案するだけでなく、数百万円で導入検証を行う試験的なプランも想定しているという。

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また、今回のソリューション提供に先駆けてiettyの管理システムを強化。今回のソリューション事業でクライアントに提供していくと同時に、不動産業界以外のノウハウも蓄積していき、クラウド型のサービスとして単体で展開することも検討しているという。

「これまで、コールセンター業務を行う会社などがカスタマーサポートのアウトソーシング事業を展開してきたが、我々はチャットを通じてカスタマーサポートではなく、セールスを行うことができる。すでに実績を上げているし、チャットボットが万能ではないことも知っている」(ietty代表取締役社長の小川泰平氏)。「カスタマーサポートにチャットを導入すると、質問には答えるが、営業ができない。我々は営業組織としてのマネジメント体制を作ってきた。会話型サービスの成果が上がっていない、導入したいけど分からない、そういった人達に、まずは小さくPDCAを回すところから提案していく」(ソリューション事業を担当するietty取締役COOの内田孝輔氏)

すでに第1号案件として中古車販売・買取の「ガリバー」を運営するIDOMとの取り組みがスタートしているが、来店アポイントに繋がった登録ユーザーが2週間で倍近くになったという好事例も出ているという。

もちろんiettyでは既存の不動産仲介事業は継続して展開していくとのことだが、ソリューション事業では、将来的カスタマーサポートセンターならぬ、チャットセンターを立ち上げることも計画中だという。その人員確保には、2016年5月に資本業務提携を行った人材会社のプロスとも協力していく。

IDOMの事例。画面右側にあるチャットを通じて、来店者数が2倍になったという