自動運転OS開発のティアフォーが国内初となる自動運転のセーフティレポートを公開

ティアフォー Tier IV Safety Report 2020

ティアフォーは8月4日、自動運転技術の発展および実用化に貢献することを目的として、同社の自動運転に対するアプローチや考え方、これまでの実証実験で得られた安全性に関する知見、今後の課題と対策を集約したレポート「Tier IV Safety Report 2020」を公開した。

また、8月4日から11月8日までの約3ヵ月間、東京都西新宿エリアにおいて自動運転用データ収集実験を実施することも明らかにした。

Tier IV Safety Report 2020では、世界初のオープンソースの自動運転OS「Autoware」(オートウェア)開発を通して得た知見、多様な環境下での実証実験を通して培った経験を基に、正常に運行するための道路条件にあたるODD(Operational Design Domain。運行設計領域)類型やReference Design(リファレンス デザイン)を一部公開。透明性の高い安全な自動運転技術の確立に向けた方向性を提示している。

また、自動運転技術の検証方法、車両走行を伴うオペレーションの安全性対策、規制対応や許認可に対する提言を含め、これまでの開発と実証実験のプロセスで見えてきた様々な課題についても形式知として広く共有している。なお、同Safety Reportの英語版も後日公開予定としている。

2015年創業のティアフォーは、「創造と破壊」をミッションに掲げるディープテック企業。Autoware開発を主導し、様々な組織、個人が自動運転技術の発展に貢献できるエコシステムの構築を目指している。またこれを「自動運転技術の民主化」と位置づけ、世界中の人々が新しい時間と空間を享受できる社会を実現するという。自動運転システムの開発、サブスクリプションモデルによる自動運転EVの提供、自動運転EVを用いた無人物流・旅客サービスなどに関するビジネスを展開している。

ティアフォーは「自動運転の民主化」というビジョンの下、交通事故の低減や交通の利便性向上など、様々な社会課題の解決に向けて自動運転技術を開発。自動運転にかかわる構成要素は車載システムからソフトウェア、クラウド、すべてを包括するプラットフォームまで多岐にわたり、さらに技術の実用化・普及のためにはコストや安全性の面でも社会的に受容されることが必要不可欠という。

同社は、これら要素を効率的・大規模に開発していくために、Autowareに立脚したエコシステムの構築を推進。このエコシステムを最大活用することで、世界中の誰もが自動運転技術の発展に寄与できる「水平分業型」のオープンな開発を展開し、透明性の高い安全な自動運転技術の確立を目指している。

また、ティアフォーは、Autowareの開発を主導する立場として、18都道府県の約50市区町村において、約70回という国内トップクラスの実証実験数を実施。海外においても現地パートナーと協力して着実に実績を残している。

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オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発・提供しているティアフォー(Tier IV)は1月8日、韓国LGエレクトロニクスとの戦略的提携を締結した。LGが自動運転向けに開発したLGSVLシミュレータを利用して、Autowareの各種実証実験をさらに進めていく。

ティアフォーの創業者でCTO、Autoware Foundationの理事長を務める加藤真平氏。2019年11月に開催したTechCrunch Tokyo 2019では、JapanTaxiとの協業で自動運転タクシーの実証実験を進めることを発表した

LGSVLシミュレーターは、LGが3Dゲーム開発環境として知られるUnityで開発したソフトウェアだ。シミュレータ上に構築した仮想マップ上で多数のNPC車両を走らせ、その中で自動運転のアルゴリズムを検証できる。ティアフォーでは2019年2月にLGSVLシミュレータを利用した自動運転の実証実験についてブログ記事で触れており、今回の戦略的提携によって自動運転技術の精度がさらに増すことが期待される。また同社は、LGSVLシミュレーターとAutowareを使った自動運転チュートリアルも公開している。

ティアフォーの創業者でCTO、そしてAutoware Foundationの理事長を務める加藤真平氏はリリースの中で「ティアフォーは、今回の戦略的パートナーシップ、そしてLGSVLシミュレーターとAutowareの統合により、自動運転のシミュレーション環境を誰でも簡単に使えるソフトウェアとして提供する予定です。この環境を使うことで、Autowareベースの自動運転車で効率的で費用対効果の高いテストと検証を実現できるでしょう」と語る。

シリコンバレーにあるLGのAdvanced Platform Labでエンジニアリング担当副社長を務めるSeonman Kim(キム・ソンマン)氏は「高性能シミュレーションエンジン、広範なデータおよびコンテンツ生成パイプライン、シームレスなローカルおよびクラウドシミュレーションの統合機能により、LGはさまざまなユースケースをシミュレーションの力で解き放つことができる独自のポジションにいます。LGSVLシミュレータとAutowareを組み合わせることにより、両社は共同で自動運転開発のパイプラインを有効にし、より安全でより信頼性の高い製品とサービスを短期間で作成できます」と語る。

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「自動運転はタクシーから」Autowareが作り出す未来

11月14日(木)・15日(金)の両日、東京・渋谷ヒカリエで開催中のTechCrunch Tokyo 2019。14日午前のFireside Chatでは「自動運転OS『Autoware』が作り出す未来」と題して、ティアフォー取締役会長兼CTOの加藤真平氏が登壇。自動運転の最新テクノロジーと近い将来の姿について語った。またサプライズゲストとしてJapanTaxi代表の川鍋一朗氏も登場。当日発表されたばかりの自動運転タクシーの社会実装に関する協業について、2人に語ってもらった。モデレーターはTechCrunch Japan編集統括の吉田博英が務めた。

写真左からティアフォー取締役会長兼CTO 加藤真平氏、JapanTaxi代表取締役社長 執行役員CEO 川鍋一朗氏

お年寄りから子どもまで幅広く使える自動運転へ

ティアフォーは自動運転技術を開発するスタートアップ。登壇した加藤氏は、オープンソースの自動運転プラットフォーム「Autoware」の開発者でもある。加藤氏は「自動運転技術ははやっていて、いろいろなやり方がある。我々は自分たちだけで実装を目指すというよりは、まわりのパートナー企業とアライアンスを組んで、シリコンバレーや中国のテック企業と渡り合っていくという戦略で事業を進めている」と話す。

加藤氏は「自動運転はまだ今日の社会には浸透していない。現在“自動運転”と言われているものには、さまざまな意味がある」という。

「半自動運転機能については、ちょっと高いクルマであれば、高速道路や一部の一般道でレーン維持をするものや、衝突回避をするものが出てきている。だが、今までのそういう自動運転機能から一歩先に進んで、AIやハイテクを搭載する自動運転は、1社ではシステムを作ることはできないと私は考えている。いかにパートナーとアライアンスを組むかというのが、自動運転を実現するために技術面でも大事なことだと思っている」(加藤氏)

戦略はいかにパートナーを集めることができるかにかかっている、という加藤氏。「ティエアフォーとしては、自分たちが作ってきたソフトウェアを自在化するというよりは、オープンソースとして一般に公開して、一緒にアライアンスを組んでビジネスや研究開発をしていこうというのがスタイル」と語る。

加藤氏は広くアライアンスを組むことで「開発者だけでなく、結果としてお年寄りから子どもまで、幅広く使える大変高い水準の技術になると思う」として、ティアフォーが掲げるビジョン「Intelligent Vehicles For Everyone」の“Everyone”の意図するところについて説明する。

Autowareの長所については「自動運転に必要な全ての機能が1つのパッケージとしてまとまっている点だ」と加藤氏。「だから、クルマがあり、センサーがあれば、ソフトウェアをダウンロードして、一般道を走りたい、限定された地域を走りたいといった目的に応じて、機能を変えられる」と述べている。

「Autowareは1つの自動運転システムをつくるためのものというよりは、いろいろな自動運転システムを作るためのプラットフォーム。Linuxでもいろいろな機能があり、サーバーを開発する場合とデスクトップを開発する場合とで使い方が違うと思うが、Autowareも一緒。物体を認識する機能、行動を計画する機能など、いろいろな機能が入っていて組み合わせることができるところが強みになっている。全ての機能がオープンで1つのソフトウェアに入っているというのは、世界的に見てもAutoware以外にない。シェアをカウントしたことはないが、7〜8割のシェアを取っているのではないか」(加藤氏)

自動運転の現状と近未来

自動運転を巡る現状について加藤氏は、「各社の競争が激しく、また自動運転と言ったときに、いろいろな人がいろいろな捉え方をしている」と話している。「先に挙げたとおり、半自動運転でよければ、市販のクルマを買えば既に機能が付いている。ただし一歩先に行けば、人間がドライバー席に座らず、全てAIとコンピュータで運転するという未来があり、その中でも種類が分かれている。分かりやすいのは、姿かたちは今のクルマとあまり変わらないが、そのクルマが進化して自動運転機能を持つというもの。もうひとつは新しいモビリティとしてクルマの原型をとどめていなくてもよく、『もうこれはロボットだよね』というタイプだ」(加藤氏)

「今の自動車の延長上にある自動運転は、一般道を走る目的のために開発されている」という加藤氏は、ティアフォーがAutowareで開発する自動運転車の走行の様子とソフトウェアを動画で紹介。「3次元を認識する点が今の市販車と大きく違うところ。レーンをカメラで見るというだけでなく、3次元を捉えられるカメラを使って、高度なAIを搭載し、細かい制御をするところまでティアフォーは来ている」と説明する。

世界的には「Googleなどは技術力ではティアフォーの先を行っているが、ティアフォーに追いついていない自動運転企業の方が圧倒的多数。すごくばらつきがある」としながら、加藤氏は「総じて今、一般道で、運転席に人を乗せなくても走れるようになってきた、というのが現状だと思う」と分析する。

実用化という面では「法規制や倫理感、産業構造を変えてしまう、といった社会の問題があり、テクノロジーだけの問題ではない」と加藤氏。ただし「少し視点を変えて、一般道ではなく公園や倉庫内などの屋内などであれば、自動運転は今年来年というより『もう既に来ている』」とも話している。

ティアフォーでは、3Dプリンターで試験用の機体を用意し、設計を細かく変えながら量産化できると判断できれば製造にまわす、というスタイルで、公道以外で利用できる自動運転モビリティの実証実験を行い、開発を進めている。「こういうモビリティであれば、技術面では十分な水準まで来ている。安全をどう担保するかという面で細かい課題は残っているが、来年ぐらいには公園などの敷地内でハンドル、アクセル、ブレーキが付いていないクルマが走っているのではないかと考えている」(加藤氏)

現在、日本の行政では一般道で走るタイプと、限定された地域内を走るタイプの2通りの自動運転車の実現を推進していると加藤氏。「来年のオリンピック開催は経済的にも、技術実証の場としても機会と捉えられていて、いろいろな企業がこれにタイミングを合わせて開発を進めている」として、トヨタの自動運転モビリティ「e-Palette(イーパレット)」を紹介した。

「e-Paletteは既に、アクセル、ブレーキ、ステアリングがついていないモビリティ。これが来年、オリンピックの選手村を、選手を乗せて20台近く走ると言われている。こうした限定されたエリアをターゲットとした自動運転機能については、これまでに取り組んできた実績もあって、ティアフォーが開発したものがe-Paletteに採用されたのだが、とてもいい経験となった」(加藤氏)

「世界連合軍でAutowareを作るのが我々の野望」

アメリカでもUberやGoogleからスピンオフしたWaymoが自動運転技術を開発しているが、国ごとの特性に応じた仕組みはやはり、必要なのだろうか。

加藤氏は「私の仮説では、汎用の自動運転システムというか、自動運転に限らず、汎用のAIを開発するのは難しいと思っている」という。「各社とも、ある地域用に作り込んで自動運転を実用化する技術力はあるが、全世界に対応するのは遠い話になる」と加藤氏は述べ、当面は「陣取り合戦がビジネスの戦略としては大事になるだろう」と見通しを示した。

「アジア、アメリカ、ヨーロッパと、走行環境、法律、通信インフラなど、いろいろなものが国ごとに違う。例えばGoogleもあれだけ投資をして自動運転を開発しているが、まだネバダ州とカリフォルニア州の2州での展開だ。これはほかの州では技術的にできないということではなく、州ごとに微妙に異なる規制が変わるので、対応が難しいということ。ある程度、汎用的な技術はできると思うが、最終的に法律や社会のあり方といったことを考えると、ひとつのAI、ひとつのシステムで全ての地域に対応するのは難しいのではないかと思う」(加藤氏)

Autowareの利用は、日本、中国といったアジア圏が多めだが、アメリカやヨーロッパでも広く使われていると加藤氏はいう。ヨーロッパについては「オープンソースなので、ダウンロードして使っている人たちはいるが、僕らとのつながりがまだない」とのこと。「オープンソースにしているのは、なるべく広めて、使ってくれる企業や研究者とコラボレーションしたいという戦略から。アジア、アメリカについては国際団体の『The Autoware Foundation』にも多く加盟してもらっているが、ヨーロッパはこれからだ」と話している。

「世界連合軍でAutowareを作るのが我々の野望。まだ国際団体を作ってから1年経っていないので、来年はヨーロッパやアフリカなどにも広めていきたい」(加藤氏)

今実際に、どんな業界で自動運転が取り入れられようとしているのか、加藤氏に聞いてみた。「現段階ではR&Dがちょうど沸騰してきているところ。3次元処理ができるようになってきたり、シミュレーターがリアルになってきたりで、ようやく一般公道を走る準備ができてきたというのが私の印象だ」(加藤氏)

中でも「タクシーが分かりやすい」と加藤氏。「タクシーは、最も自動運転が社会に貢献できるアプリケーションなのではないかと考えているので、タクシーの自動運転はぜひ実現したい」と語る。

まさにこの日の朝、自動運転タクシーの社会実装に向けて、ティアフォーとJapanTaxiをはじめ数社との協業が発表されたのだが、「タクシーとの連携については、実は3年ほど前から日本交通、JapanTaxiと話を進めている」と加藤氏が説明。ここでゲストとして、JapanTaxi代表取締役社長の川鍋一朗氏が登場した。

「自動運転はタクシーから実装される」

自動運転タクシーというと、しばしば課題に挙げられるのが「ドライバーはどうなるのか」という話だ。川鍋氏は「雇用の未来など、センセーショナルに取り上げるときに必ず『タクシーやトラックの運転手がいなくなる』と語られるが、実際には運転手不足などにより採用を進めていくと、年間10%ずつぐらい入れ替わっていくので、今後10年で対応できるスピード」と述べ、「仮に全自動運転タクシーが東京を走ったとしても、恐らく無人運転ではない、という状況が長く続くのでは」と続けた。

「タクシーを利用するときに、普通に1人で乗るときもあれば、障害者の方が乗る、子どもだけで乗る、観光の方が乗るといった、人がいた方がいいシチュエーションはまだまだ多い。日本交通では新卒で乗務員をたくさん採用しているが、彼らにも『運転という機能はだんだん減るが、人間力、ホスピタリティという面が必ず上がるので、絶対に職にあぶれるということはない』と話している」(川鍋氏)

加藤氏は「これからは、テクノロジー単体に価値を見出すのはすごく難しくなっていく」として「社会のどの部分にテクノロジーを入れていくか、我々のようなテクノロジーを開発する側が考える責任を持っている」と語る。

「自動運転タクシーは実現できる。ただ、使い方を間違えたら産業構造を破壊してしまう。また、そもそも価値を最大化しようとしたら全部テクノロジーでやる、というのは恐らくあり得ないことだ。うまく社会や人間とテクノロジー、AIとが共存するというのは、テクノロジーだけでなく社会の課題だと思う。今のドライバーと少し役割は変わるかもしれないが、ドライバーという職業がなくなるということは、私もないと思う」(加藤氏)

加藤氏は技術開発としてだけでなく、産業、社会として成立させるという点を「楽しんでいるし、興味を持っている」と語っている。

川鍋氏はまた「単にA地点からB地点まで人を運ぶだけなら自動運転になるだろうが、今の日本の課題は人口減少であり、過疎化である。『移動しなければならないのに、お金が負担できない』という状況がすごく増えるはずだ。税金で埋めることになるだろうが、税金にも限りがある。そうすると社会として、最小負担額で何か移動できる物体を作らなくてはいけなくなる。そこには人を1人乗せるだけでなく複数人乗せることになるし、物も載せていかなければいけなくなるだろう」と貨客混載の可能性について述べている。

「相乗りタクシーシャトル的なものに、郵便物も小包も載せ、後ろを開けるとコンビニエンスストアのようなものが出てくる。そういう未来になるのではないか。地方では、今、ドライバーの有効求人倍率は6倍ぐらいある。これをよく見ると、トラック、バス、タクシー、宅配便、郵便とそれぞれが運転手を募集している状況。この全部が一緒になれば、6人が1人にはならないまでも、2〜3人にすることはできるのではないか。そうならざるを得ない社会的要請が日本にはあり、自動化された運転が進む社会的基盤がある」(川鍋氏)

加藤氏は「社会を中心とした考え方をしないと、新しいテクノロジーをプロダクト化できなくなってきているが、そこがむしろ差別化要因」と語っている。「どうやってリアルワールドをテクノロジーと僕らがうまく融合させていくか。テクノロジーはグローバル化し、テクノロジーそのものに差異はなくなっていく。5年もすれば、自動運転技術はみんなできるようになっていくので、差別化できるのは社会といかに融合するかという部分になる」(加藤氏)

川鍋氏は「自動運転は100%、タクシーから実装される」と予言する。「祖父がタクシー会社を創業した時には、日本製のクルマはなく、トヨタが日本車を作り始めたときにタクシー業界が真っ先に使った。タクシーは一般車両の6〜7倍の距離、年間10万キロを走る。タクシーが使って、壊れまくったという日本車を直してまた使って、というプロセスがあった。オートマチック車ができたときも、タクシーから導入された。早く壊れることで実証実験になっている。自動運転車両も最初は価格が高いはずだが、社会的にも認知を高めようというときに、必ずタクシーが役に立つと考えている」(川鍋氏)

本日の発表ではティアフォーとJapanTaxi、損害保険ジャパン日本興亜、KDDI、アイサンテクノロジーの5社が協業して、2020年夏、都内で実際に日本交通のタクシーが実証実験を行うことが明らかになった。川鍋氏は「これまでは『自動運転車両をタクシーにする』という話だったが、タクシー専用車両を使ってくれなければ、いつまでも実証実験の域を出ない。タクシー専用車両を使って自動運転ができないか、加藤氏に相談した」と打ち明ける。

この車両は2020年1月に開催される自動運転Expoでお披露目されるという。また、都内での実証実験では、一般ユーザーがJapanTaxiのアプリを使って、自動運転タクシーが呼べるようになる予定だそうだ。

「モビリティの変化の度合いは、タクシーが一番大きいと考えている。変化した頃に『タクシー』と呼ぶかどうかは分からないが、自動運転の度合いが高まれば、運転手はアルバイトの乗務員でもよいということになり、ホスピタリティがある人でいいということになるはずだ。貨客混載になるならば、完全自動運転車では荷物にロックをかけ、受け取りにQRコードを使い、といったことになり、設備投資が大変なことになるので、必ず有人になると私は考えている」(川鍋氏)

「テクノロジーが進めば、タクシードライバーも含めて、特集能力を持たなくても、いろいろな職業に就くことができるようになる。オリンピックの頃には自動運転タクシーが都内を走っているはずなので、ぜひアプリをダウンロードして利用してみてほしい」(加藤氏)

トヨタ自動車本体がリードしたラウンドで10億円超を調達したオプティマインドとは?

名古屋を拠点とするオプティマインドは10月24日、トヨタ自動車をリードインベスターとして、MTG Ventures、KDDIが設立しグローバル・ブレインが運営するKDDI Open Innovation Fund 3号、ほか1社を引き受け先とする第三者割当増資により、総額約10億1300万円の資金を調達した。

オプティマインドは、ラストワンマイルの物流ルート最適化を目指す古屋大学発のスタートアップ。昨年、オープンソースの自動運転OS「Autoware」を開発した加藤真平氏が取締役会長兼CTOを務めるティアフォーや、倉庫事業を中心にアートのサブスクリプションや物流網のオープン化などの事業を手がける寺田倉庫から数億円規模を資金調達していた。

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オプティマインドが開発する配送ルート最適化サービスの「Loogia」(ルージア)は、ラストワンマイルの配送ルートをAIを活用して短時間で計算するクラウドサービス。「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るか」という配送計画を、複雑な条件や現場の制約を考慮しながらAIが数分で作成し、ドライバーに効率的なルートを提供する。

具体的には、ベテランドライバーが走行したデータを取り込んで教師データとし、より精度の高いルートの算出やベテランドライバーのノウハウを共有。配送ルートの作成については、マンションなどの入り口の位置や道路幅などを考慮して最適な道順を算出するという。

同社が昨年、郵便局と共同で実施した実証実験では、ベテランドライバーと新人ドライバーでは、ルート作成に要する時間がそれぞれ平均14分、44分と30分の差が生まれたほか、移動時間についても平均34分、57分と20分以上の開きがあった。これをAIによって最適化することで、新人であってもAIによるルート作成が6分、移動時間が45分に軽減できたという。平均65分の配達先滞在時間を含めた総配達時間は、ベテランドライバーが113分、新人ドライバー+AIの組み合わせでは116分と、差が3分に縮まったという結果が得られた。

オプティマインドは今回の資金調達により、引受先と個別に取引強化を進める。具体的には、トヨタがが構築するモビリティサービス向けのさまざまな機能の提供を目指したオープンプラットフォームであるMSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)に、オプティマインドのルート最適化技術を導入して共同開発を進めていく。MTG Venturesからは経営や事業推進に関する知見、人的ネットワークを用いた支援を受け、オプティマインドの企業価値向上と経営体制の強化を図る。KDDIとは、IoT/AIを活用した「需要予測×ルート最適化」による配送ソリューションの共同開発を進めるという。そのほか、プロダクト開発体制の強化、人材の獲得・育成、マーケティング施策の拡充などにも当てられる。

 

TC Tokyo 2019団体チケット販売開始、5人以上の申し込みで1人あたり2万円に

11月14日(木)と15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。

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現在、「前売りチケット」(3万2000円)、設立3年未満(2016年10月以降に設立)のスタートアップのみなさんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、設立3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)、学生向けの学割チケット(1万8000円)を販売中だ。

TechCrunch Tokyo 2019ではすでに、トヨタ自動車の子会社で自動運転を研究しているTRI-AD(Toyota Research Institute – Advanced Development)のジェームス・カフナーCEO、世界各地の住所を3単語で表すジオコーディング技術を開発したwhat3wordsのクリス・シェルドリック氏CEO、たこ焼きロボなどの調理ロボットを開発するコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEO、自動運転OS「Autoware」の開発者でありティアフォーの加藤真平取締役会長兼CTOの登壇が決まっている。このあとも登壇者情報を続々とアップしていく予定だ。

TRI-AD(Toyota Research Institute – Advanced Development)のジェームス・カフナーCEO

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what3wordsのクリス・シェルドリック氏CEO

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コネクテッドロボティクスの沢登哲也CEO

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ティアフォーの加藤真平取締役会長兼CTO

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例年、登壇者の情報があまり決まっていない7月、8月に2万円の超早割チケットを販売しているが、登壇者が続々と告知される9月以降も超早割と同じ価格でチケットを購入する方法がある。企業や団体、仲間内で5人以上がTechCrunch Tokyo 2019に参加するならぜひ団体チケットを購入を検討してほしい。5枚以上の購入が前提なので10万円以上となるが、イベント当日まで一人あたり2万円で購入できる。なお、10万円以上のチケット代金の場合は請求書払いも可能だ。

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現在、「スタートアップバトル」の募集も受け付けている。法人設立3年未満、ローンチ1年未満のプロダクトやサービスを持つ新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げる、TechCrunch Tokyoの目玉イベントだ。

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TC Tokyo 2019にティアフォー加藤CTOの登壇決定、自動運転OS「Autoware」の開発者は何を語る?

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だが、今回4人目の登壇者を紹介できることになった。ティアフォーで取締役会長兼CTOを務める加藤真平氏だ。同氏は現在、ティアフォーでのCTO業務のほか、東京大学大学院・情報理工学系研究科の准教授、名古屋大学未来社会創造機構の客員准教授、The Autoware Foundation代表理事なども務める。

加藤氏といえば、国内外で200社以上の企業が採用する自動運転OSのAutowareを開発した人物。AutowareはLinuxとROS(Robot Operating System)をベースとしており、人工知能や各種センサーを制御する自動運転の頭脳にあたるモノだ。一般的な自動車はもちろん、トラックや車椅子、ゴルフカードなどさまざまな車両に実装可能なのも特徴の1つ。

現在はオープンソースで公開されているので、誰もが自由に試せるほか、ルールに従って改良を加えることもできる。Autowareの開発コミュニティーは現在のところ800人超となっている。

Autowareを使えば、LIDAR(ライダー、光センサー技術)やカメラ、GPSやGLONASSなどの全球測位衛星システムを利用して、現在位置や周囲の物体を認識しながら、カーナビから与えられたルート上を自律走行できる。自動運転用車両や実験場所などの環境さえ整えれば、自動運転の実証実験をすぐに始められるのだ。もちろん公道を走るには、各国の交通法規やさまざまな道路の形状をAI学習させる必要があるが、多くの企業が自動運転の基礎研究にすぐに使えるOSとして世界各国で注目されている。

さて加藤氏がCTOを務めるティアフォーは、愛知県名古屋市を拠点とする2015年12月設立のスタートアップ。7月4日にシリーズAで累計113億円の資金調達を発表したことで、業界内はもちろん、一般での知名度もさらにアップした。2017年12月に日本初の一般公道でのレベル4(無人運転)の自動運転、2019年2月には一般公道における5Gを活用した遠隔監視型自動運転の実証実験を成功させている。8月には、アップルのMacBook ProのなどのPC製造で有名な台湾クアンタ・コンピュータから10億円を調達し、Autowareを搭載した電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit)の開発と商用化に共同で取り組むことも発表している。

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株主には、損害保険ジャパン日本興亜、ヤマハ発動機、KDDI、ジャフコ運営の投資事業有限責任組合、アイサンテクノロジーなどが名を連ねる。損害保険ジャパン日本興亜とアイサンテクノロジーは、自動運転に向けた保険商品の開発で同社と業務提携。ヤマハ発動機は低速自動運転車両の開発力を強化する目的で同社に出資している。KDDIはもちろん5G。低遅延通信と高速大容量通信が特徴の次世代通信規格である5Gをベースとした、通信ネットワークプラットフォームについて同社と開発を進めていく。

加藤氏は、TechCrunch Tokyo 2019で対話形式の公開インタビューであるファイヤーサイドチャットに登壇予定で、5G時代を迎える自動運転の未来についてじっくり話を聞く予定だ。

TechCrunch Tokyo 2019は、10月15日まで前売りチケットを3万2000円(税込)で販売中。10月16日からは4万5000円(税込)の一般チケットの販売に切り替わる。既報のとおり、加藤氏のほか、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー氏、地球上を57兆個のマスに分割し3単語で表現するジオコーディングシステムを開発するwhat3wordsのCEOであるクリス・シェルドリック氏、汎用アームロボをチューニングした調理ロボットの開発を手がけるコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOの登壇も決まっている。

目指すは「世界で最も安全な自動運転車」、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定
正確な位置情報を3単語で表現する「住所革命」のwhat3words、TechCrunch Tokyoに登壇決定
たこ焼きロボ開発のコネクテッドロボティクス沢登CEOがTC Tokyo 2019に登壇決定

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それ以外の登壇者も続々と確定しており、プログラムの大枠は間もなく完成する予定だ。また現在、スタートアップバトルの募集も受け付け中。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

関連記事:TechCrunch Tokyo スタートアップバトルへの道

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自動運転技術開発のティアフォーが累計113億円の資金調達、本格的な商用化目指す

自動運転技術を研究・開発しているティアフォーは7月4日、シリーズAラウンドの累計資金調達額が113億円になったことを発表した。今回、新たに下記の企業を引受先とする第三者割当増資を実施。今回調達した資金は、人材の獲得と財務基盤の強化を利用される。今後、自動運転システムの本格的な商用化を目指すとのこと。

  • 損害保険ジャパン日本興亜
  • ヤマハ発動機
  • KDDI
  • ジャフコ(ジャフコSV5共有投資事業有限責任組合、ジャフコSV5スター投資事業有限責任組合)
  • アイサンテクノロジー

具体的に商用化を目指して注力する自動運転システムは、施設内移動・物流、過疎地域交通、市街地・高速道路における長距離貨客輸送の3分野。前述のように引き受け先には損害保険ジャパン日本興亜やKDDIが入っており、リスクマネジメントや5G対応ついてもパートナー企業を協力していくという。

関連記事:KDDIなどが一般公道で5G活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実証実験へ

ティアフォーは今年2月に、KDDIなどと一緒に一般公道で5G活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実証実験を行った

ティアフォーが開発を主導しているオープンソースの自動運転OS「Autoware」は、国内外200社以上で導入された実績があり、今後も政府機関から民間企業、大学まで幅広い協業を進めていくとのこと。そのほか同社は、米国運輸省(U.S. Department of Transportation)に属する連邦道路庁(Federal Highway Administration)が提唱する自動運転ソフトウェア「CARMA」など、世界各地で自動運転システム開発をサポートしている。

関連記事:全国初、愛知県で国産完全自動運転車を使った試験運用がまもなくスタート

今年の2月下旬から3月にかけて、同社が開発した完全自動運転EVの「Milee」(マイリー)と、そのモビリティサービス用ウェブプラットフォーム「Web.Auto)」を使った実証実験を愛知県内で実施した

全国初、愛知県で国産完全自動運転車を使った試験運用がまもなくスタート

ティアフォーは2月19日、4人乗りの完全自動運転EVなどを使ったモビリティサービス「One Mile Mobility」(OMM)の試験運用を開始する。対象地域は愛知県で、2019年春頃より開始。アイサンテクノロジーと岡谷鋼機と共同で実施し、自治体と一体となった新たなビジネスモデルの創出を目指すという。

ティアフォーは今回の試験運用に、完全自動運転EVの「Milee」(マイリー)と、そのモビリティサービス用ウェブプラットフォーム「Web.Auto)」(ウェブ・ドット・オート)を提供する。Mileeは、電動ゴルフカートをベースとし、車体に3次元レーザースキャナ(LiDAR)と単眼カメラを搭載。認知・判断・操作のすべてをオープンソースの完全自動運転ソフト「Autoware」で自動化した車両だ。

Web.Autoは、同社が開発を手がけるウェブプラットフォーム。配車管理や遠隔操縦のほか、3次元地図配信、人工知能(AI)のオンライン学習、走行データ管理、サポートセンター接続といった完全自動運転車両の運行に必要なウェブサービス機能が備わっている。MileeとWeb.Autoはモバイル回線を利用して接続する。

今回の試験運用では、Web.Autoが備える、配車管理(Autoware FM)、遠隔操縦(Autoware Drive)、3次元地図配信(Autoware Maps)を利用。Autoware FMSは、バス停やモバイル端末にインストールされたアプリからの配車依頼に対して完全自動運転車両の配車管理をする技術。Autoware Mapsは、Autoware FMSと連動して完全自動運転車両が必要とする経路探索と3次元地図配信する技術。Autoware Driveは、完全自動運転車両が走行不可能になるといった万一の場合に、モバイル通信を利用して車両を遠隔制御する技術だ。

本サービス開始に先立ち、2月下旬から3月にかけて愛知県長久手市にある「モリコロパーク」にて公園管理の道路を利用した試験運用を実施する。試験運用の後半には来園者の試乗も計画しており、専用アプリを使って走行ルート内でMileeを呼び出す、実験用に設置された模擬のバス停に移動するといった操作を体験できる。

同社によると、国産の完全自動運転車両とウェブプラットフォームが一体となってパッケージ化されたモビリティサービスの導入は全国初とのこと。

国内でも各社がさまざまな自動運転技術を開発中だが、法整備だけでなく道幅が狭く複数の路線が複雑に入り組んでいる大都市部での完全自動運転はもう少し先の話。今回の試験運用は、空港やゴルフ場など、バス専用道路など一般道以外での完全自動運転の実現にかなり近づくのではないか。