デジタルガレージと大和証券グループが「DG Lab2号ファンド」を組成、200億円規模を目指す

デジタルガレージと大和証券グループが合弁で設立したDG Daiwa Venturesは8月30日、「DG Lab Fund II E.L.P. Cayman(DG Lab2号ファンド)」を組成したと発表。

現時点で出資参画が確定している企業は、カカクコム、KDDI、三井住友信託銀行、損害保険ジャパン日本興亜を含み、8月末時点で総額100億円超の第一次募集が完了する。2020年3月にはファイナルクローズし、ファンド総額は最終的には200億円程度を想定。DG Daiwa Ventures はDG Lab1号ならびに2号ファンドを合わせ総額約300億円のファンド運用を目指すという。

DG Lab2号ファンドの投資領域は1号ファンドと同様に「ブロックチェーン」、「AI」、「VR/AR」、「セキュリティ」、「バイオヘルス」の5つが主な分野となる。

DG Daiwa VenturesはDG Lab Fundを「従来型のVCには無かった、『投資 × 世界レベルのR&D機能』を組み合わせることで、投資先のインキュベーションを圧倒的に加速する非常にユニークなファンド」と表現している。ポートフォリオにはBlockstreamやGoodpatch、WHILLなどが含まれ、最近では8月21日にIdeinへの出資が明らかとなった。

QRコード決済時のイライラを解消、d払いやLINE Pay対応のマルチ決済サービス「クラウドペイ」

デジタルガレージを中心とするDGグループは5月16日、複数のQRコード決済に対応する決済ソリューション「クラウドペイ」の提供を開始した。

クラウドペイは、利用者が店舗の設置されているQRコードを読み取って決済するユーザースキャン方式を採用するが、このQRコードが複数のコード決済サービスに対応しているのが特徴だ。利用者が使いたいコード決済アプリを起動してQRコードをスキャンして支払金額を入力すると、決済が完了する仕組みだ。

コンビニなどのPOSレジ店舗は、利用者のスマホに表示されたコードを読み取って決済するストアスキャン方式だが、利用者が購入した商品の袋詰めを優先するスタッフもいれば、決済を優先するスタッフもいるので、店員との呼吸が合わないとイライラすることが多い。クラウドペイであれば利用者のタイミングでスキャンできる点は魅力だ。ただし、各種ポイントカードはストアスキャン式が多いので、場合によっては手間が余計かかる。

店舗側のメリットとしては、ユーザースキャン方式のためレジにQRコードリーダーなどのハードウェアを追加する必要がなく、導入コストを抑えられる。個別の事業者と都度契約することなく、複数のQR・バーコード決済サービスを一括導入することもできる。前述のようにQRコードは1つに共通化されているので、レジ回りのスペースもすっきりする。さらに、ユーザースキャン方式では決済額と決済したかどうかをリアルタイムに判別するには利用者のスマホを店舗側が確認する必要があったが、「クラウドペイ」の加盟店専用アプリに備わる取引管理機能で、決済状況の確認やキャンセルをアプリ上で処理できる。決済手段にかかわらず売上金は「クラウドペイ」から一括入金されるのも魅力だ。

クラウドペイでは6月末からd払いの決済に対応後、AlipayやWeChat Pay、メルペイ、LINE Payに順次対応していくとのこと。

デジガレと講談社が女性向けにキュレーションならぬコンピレーションメディア——「HOLICS」は雑誌記事を人とAIで再編して配信

デジタルガレージと講談社の合弁会社、DK Mediaは6月28日、女性誌のコンテンツとAI技術を組み合わせてコンテンツを再編、配信するデジタルメディア「HOLICS」を開設、公開した。

デジタルガレージと講談社は、2015年2月にデジタルコンテンツ事業の分野で資本業務提携に関する基本合意を締結。2016年8月には合弁会社のDK Mediaを設立し、デジタルメディアの共同開発を進めてきた。DK Mediaでは、新メディアの形態を「コンピレーションメディア」と呼称。人気雑誌のコンテンツをテキストや画像単位に細分化(マイクロコンテンツ化)し、自然言語処理によりキーワードの関連度をスコアリングしたデータベースを構築して、データベースを元に、デジタル端末向けに最適な形に再編集し、配信するかたちをとる。

デジタルガレージと講談社が1月に発表したコンピレーションメディアの概念図

DK Mediaでは「WEBメディア業界では、PV・UU数にひも付く広告収入を獲得する事を至上とした傾向が、昨今の無数のWebサイトからの無断転用や、フェイクニュースを含む信ぴょう性の低い情報で運営するキュレーションメディアの問題として顕在化した」として、従来型のキュレーションメディアの問題点を指摘。その上で「DK Media自体の設立は昨年夏だが、従来のキュレーションメディアがはらむ問題を払拭するために、出版社が保有する雑誌コンテンツを使用するコンピレーションメディアという概念を打ち出した。権利処理にも時間をかけた」と説明している。

HOLICSはローンチ時点では、版権処理作業を先行して進めてきた講談社の「ViVi」「with」「FRaU」「VOCE」「おとなスタイル」をはじめとする雑誌コンテンツを基に、再編集記事を制作。記事の再編集にあたっては、HOLICS編集部が独自の視点を加えるほか、検索エンジン上の人気キーワードも考慮する。また、AI技術を活用して、個人別の興味や目的に合わせた形で記事の配信を最適化する仕組みを現在検証中とのこと。今後はユーザーの反応を見ながら最適化してゆく予定だという。

また今後、他の出版社の雑誌の参画も予定している。現在、13社50誌について、コンテンツのデータ分解とデータの格納のテストを行っており、準備が整い次第データベースへ格納し、コンテンツのクオリティーおよびメディアの価値向上を図っていくという。

講談社では6月9日にもグルメアプリ「SARAH」と提携、雑誌「おとなの週末」に掲載された情報をマイクロコンテンツ化して提供を始めている。また他の出版社では、小学館が4月、キュレーションメディア問題でサイトを閉鎖したDeNAと共同でデジタルメディア事業を検討するための基本合意を締結して、両社で改めて編集体制や記事作成フローの研究を行うと発表している。