Castboxはポッドキャスターたちが収益を得る手助けをするために、ブロックチェーンを採用する

先月末、ポッドキャストプラットフォームであるCastboxが、Contentboxを発表した。これはポッドキャストのホストやプロデューサーたちが、そのプロダクト(番組)から実際の収益を挙げるための支援を行うものだ。このポッドキャストという媒体は、誕生以来ずっと苦難の道を歩み続けて来た。長年にわたるポッドキャストのリスナーなら、Casperマットレスの広告を1万回ほどもスキップした経験から、そうした流れはとっくにご承知だろう。

事前あるいは途中広告が頻繁に流されるような、成功したスタートアップの数が少ないのも事実だが、この媒体を用いて生計を立てているポッドキャスターがわずかしかいないのもまた単純な事実である。ということで、公開プラットフォーム上で人気のあるプログラムたちが、NPRやThe New York Timesのようなメディアの巨人たちによって、すぐに取り込まれてしまうのも無理はない。

私はここ数ヶ月というもの、多くの大手ポッドキャストプロバイダーと対話をしてきたが、そこで得られた一致した見解は、ポッドキャストの収益化に対して万能の手段は存在しないだろうというものだった。例えばGimletStartup、Reply Allを提供)は興味深い事例を提供している。番組をライセンスすることによって、その番組を宣伝しながら、キャッシュフローも得ることに成功したのだ。

またPineapple Streetの共同創業者であるJenna Weiss-Berman(Hillary Clintonのポッドキャストと、大成功を収めたRichard Simmonsのプロデューサー)は、私に対して彼女の会社が請負アプローチを採用していると語った、基本的に他の人びとの番組のためのスタジオ提供とプロダクション作業を行うのだ。だがこうした手段はポッドキャスターの多くにとって、実行可能なソリューションではない。

先週中国杭州で開催されたTechCrunchのイベントで行われた打ち解けたインタビューの中で、CastboxのCEOであるRenee Wangは、ブロックチェーン技術をベースにしたマイクロペイメントプランをポッドキャスターたちに提供する、彼女の会社の計画について説明した。

「Contentboxはデジタルコンテンツ業界のためのブロックチェーンベースのインフラストラクチャです」とWangは私に語った。「既存のモデルは上手く行っていません。クリエイターはその価値に相応しい支払いを手に入れておらず、消費者もそのコンテンツに係ることでの報酬を手にしていないのです」。

同社はそのプロダクトをこのように説明している:

Castboxは、アプリを離れること無くプレミアムコンテンツを発見し、ロックを解除し、楽しむことができる単一のプラットフォームへ、面倒くさいサブスクリプションプロセスを統合することでこの問題に対処します。Castboxはユーザーの面倒を解消し、有料の定期購読を簡単に利用できるようにするので、コンテンツ提供者はより多くの収益を得て、ファンを増やすことができるのです。

American History TellersDirty Johnのような番組を提供している、20世紀Fox系ネットワークのWonderyが、この技術を採用する最初の企業となる予定だ。私は、Castboxは今年の初めに作り始めたオリジナルコンテンツ(SerialのパロディであるThis Sounds Seriousなど)のための課金システムを、まず提供するのではないかと想像している。

2年前に自宅を売却してスタートアップの資金を調達した元Google Japanの従業員であるWangは、この技術を使うことで、リスナーたちがプロダクト(コンテンツ)にもっと投資することができるようになると考えている。

「ブロックチェーンを使うこの小さなマイクロペイメントシステムによって、非常に早い段階、たとえばコンテンツが作成される前から、利用者が投資を行うことが可能になって、一部の収益を受け取ることが可能になります」と彼女は語った。「このことでリスナーが投資家になることが可能になります。番組に対する投資家でもあるため、リスナーたちは番組の共有と拡散に、より責任を負ってくれるようになります。こうした行動をシステムが促してくれるのです」。

同社はまだこのプランの詳細を明らかにしていないが、Castbox以外のアプリを使うユーザーたちが番組にアクセスできるように、ソーシャルメディアへのプラグインを含む、番組の宣伝手段を沢山用意することだろう。

(日本版:Castbox がもともとポッドキャストのためのアプリであるため、記事もポッドキャスト中心の書き方が行われているが、Contentboxのサイトで公開されているホワイトペーパー(PDF)を読むと、デジタルコンテンツ全体を非集中的に管理し収益化を行うための汎用プラットフォームを考えていることがわかる。またイーサリアムなどとの違いも書かれていて興味深い)。

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(翻訳:sako)