国内外の美景を映すデジタル窓のLandSkipがBtoCに注力、郷愁を誘う風景も提供予定

風景配信サービス「LandSkip」や風景を映し出す「バーチャル・ウィンドウ」による「風景の流通」を目指し、国内外の風景を集めてデジタルサイネージ向けにコンテンツとして提供するランドスキップ(LandSkip)は、これまでメインだったBtoB事業に加え、BtoC事業にも力を入れる。

LandSkipは日鉄興和不動産と連携し、個人向けデジタル窓「Lifestyle Window」を2021年9月から、同社のマンションの一部でオプションとして販売する予定だ。LandSkipの下村一樹代表に話を聞いた。

窓の向こうに広がる「風景」を追求

LandSkipは2015年6月1日(景観の日)に創業し、現在は北海道札幌市に本社を構える。保有する風景コンテンツは、4Kのものが4000本以上、8Kは300本以上、12Kは50本以上ある。

しかし、初めから上手くコンテンツを集められた訳ではない。下村氏は「そもそもLandSkipを創業したのは私自身が『窓の向こうに広がる風景』を欲しかったからです。しかし当時存在していた風景映像は『人に見せる』主張が強いものばかりで、満足できませんでした」と振り返る。

どうすれば「窓の向こうに広がる風景」を撮ることができるかを試行錯誤し、その手順のガイドライン化に成功。基本的に8K以上は自社で撮影をし、4Kの場合は「風景ハンター」として外部のカメラマン、ビデオグラファーらと契約して風景を仕入れている。

下村氏は「国内では47都道府県の風景コンテンツを網羅しています。私たちのビジネスの肝はやはり風景などのコンテンツなので、そのクオリティとバラエティには自信を持っています」と胸を張る。

LandSkipは自ら集めた国内外の風景をコンテンツとして配信するだけでなく、金具とフレーム込みで1.5cmの薄型デジタル窓「Window Air」などのハードも提供している。

また、風景コンテンツなどによる「空間演出」、店舗メニューなどの「情報発信」をアプリ1つで操作可能にするデジタルサイネージ向けアプリ「LOOOK」や、その機能が組み込まれた薄型軽量のデジタルサイネージ製品「LOOOK SquAir」なども提供してきた。これら「LOOOK」シリーズは現在、商業施設などの店舗を中心に500カ所以上に設置・契約されているという。

直近では2021年6月1日に、室内の天井に空の8K映像を配信するデジタル天窓「Window Sky」の販売も始めている。

関連記事:LandSkipが空の8K動画映像を映し出すデジタル天窓「Window Sky」を発売

さらにLandSkipでは、2021年3月に北海道千歳市らと連携し、道内有数の観光地「支笏湖(しこつこ)」の高画質ライブ配信を「Window Air」で提供を開始。365日リアルタイムに変化するバーチャル風景「Window Live」として展開している。

下村氏は「日本中のキレイな風景をライブ配信していきたい。2021年度は10地域に限定し、ライブ配信に必要なカメラやネット環境などの下準備をすべて無料で私たちが行い、ライブ配信コンテンツを増やしていく考えです。景勝地を有する自治体などとの連携を強め、ライブ配信をすることで、これまで以上に観光地のPRや、観光地への誘客などビジネスにも繋げていきます」と語った。

1人ひとりの心にささる「風景」を

これまでLandSkipはBtoB事業が中心だったが、2021年9月から個人向けサービスとして「Lifestyle Window」を展開していく。

「Lifestyle Window」は「365日、風景の変わる家」をコンセプトに、季節や時刻、生活シーンに合わせて風景を切り替え、新たなライフスタイルを実現するデジタル窓となる。日鉄興和不動産との連携事業で、同社のマンションブランド「リビオレゾン」の物件オプションとして展開する。なお、LandSkipが協業スキーム「WINDOW ALLIANCE」を発足したことで、他の不動産ディベロッパーや他業種からも声がかかり「Lifestyle Window」の販路は今後増えていく予定だ。

「Lifestyle Window」は、初期費用は取らず、製品と風景コンテンツ込みのサブスク型サービスとして提供する考えだ。現時点では月々1万円を切る価格帯を想定しているという。LandSkipが保有する4000以上の風景コンテンツはもちろん、高画質ライブ配信なども見放題にする。下村氏は「現在はスマホからの画像を映し出す仕組みなども開発中です」と語った。

さらに法人向けサービスでは行ってこなかった、日替わりでの風景コンテンツの配信を行う。毎日その日に合った風景を届けることで、季節感などを「Lifestyle Window」から感じて取ってもらうことが狙いだ。

風景コンテンツについては、これまでとは異なるタイプも用意しているという。「法人向けのコンテンツは最大公約数的に、誰が見ても『良い景色』というものを選んできました。しかし、個人向けの市場を狙う以上、1人ひとりの心にささる風景を大事にしていきたい」と下村氏は語る。

1人ひとりの心にささる風景とは何か。下村氏は「例えば、伝統工芸の現場を撮影するなど、自然をただ映すのではなく、人の営みが作り出す風景も価値があると思っています。また、さまざまな思い出の場所と紐づいた風景、例えば『あの日見た校庭の風景』『懐かしき地元の商店街』『住んでいた家からの景色』など、その人個人が持つ心の風景といったものも揃えていきます。LandSkipとして、これまでの自然が織りなす『風景』という枠組みの境界線を、現在、引き延ばしているところです」と説明した。

自立した組織として

スタートアップにとって、個人向けにハード込みでサービスを展開することはハードルが高いものだ。大量生産の壁といったコスト面が事業運営に大きくのしかかるのもその理由の1つだ。

LandSkipは2017年の創業から7年が経つが、これまで外部からの出資を受けたことがない。自社コンテンツを武器に、事業連携という方向性でNTT東日本や、NTT西日本、Sonyなどとさまざまな企業との協業を進めながら、新たなコンテンツの創出、販路を拡大してきた。

「外部の出資を受ければビジネスの力学が優先されてしまいます。それは本当に良いサービスを求めている人に、本当に良いサービスを届けることが難しくなってしまう可能性が高いものです。私たちは自立した組織でありたいと考えています。個人向けサービスを展開したことも、現在のLandSkipの資金力、体力であれば十分にやっていけると判断したからです。私たちは一歩一歩確実に、ユーザーに満足してもらえるサービスを提供していきます」と下村氏は語った。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:LandSkipインテリア / 家具デジタル窓風景日本

画像クレジット:LandSkip