「秀才1000人の信頼ではなく学生2000万人の納得が必要」Mosは急進的なフィンテックスタートアップを目指す

大学に進学する金銭的余裕がなかった人権活動家でMos(モス)の創業者であるAmira Yahyaoui(アミラ・ヤヒアウイ)氏は、学生と奨学金との橋渡しをするプラットフォームを立ち上げたとき、取り組んでいたイノベーションにひと区切りがついたと感じた。2017年の創業以来、Mosはコミュニティ内の40万人以上の学生に対し、1600億ドル(約18兆5000億円)以上になる学資援助プールへの自由なアクセスを提供している。

現在、ヤヒアウイ氏は、自身が直面したもう1つの金融の障壁を壊すことを目指し、Mosをチャレンジャーバンクへと拡大している。これは、Mosが、学生の大学受験や進学を支援するEdTech事業から、同じユーザー層の生活における複雑な要望をサポートするフィンテック事業へと進化したものだ。

「当社は、自分たちが行っていることとその理由について、かなり急進的に考えている」と同氏はいう。「エリート主義でもなく、ごく限られた人たちのためにやっているわけでもない。米国に根ざす銀行になりたいと真剣に考えている」とし、まずは学生を対象に「それを目標としている」と語る。

この目標は多くの投資家の共感を呼び、Mosの最新の資金調達ラウンドへの参加が競われた。今回のシリーズBでは、評価額が2020年5月時点の5000万ドル(約57億7000万円)から4億ドル(約461億円)に引き上げられ、4000万ドル(約46億1000万円)を調達した。ヤヒアウイ氏によると、このラウンドは、Tiger Global(タイガー・グローバル)の主導のもと、Sequoia(セコイア)、Lux Capital(ラックス・キャピタル)、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)、Plural VC(プルーラルVC)などが24時間以内に集まり、複数の条件規定書を断ることもあったし、プレゼンのスライドも必要なかったという。

Mosの最初のデビットカードには、当座貸越料、遅延損害金、ネットワーク内ATM手数料が不要などいくつかの主な特徴がある。また、Mosの口座を開設するために最低残高も必要ない。

画像クレジット:Mos

「学生はお金をあまり持っていないため、当座貸越や詐欺など、あらゆる不利な条件に直面している」と同氏はいう。確かに、他のフィンテック企業も、学生の多くが卒業後も銀行を変えないことに着目し、脆弱ではあるものの定着性のある顧客層に同様のサービスを提供する機会があると考えているだろう。Stride Funding(ストライド・ファウンディング)LeverEdge(レバーエッジ)は学生ローン業界に参入しており、Thrive Cash(スライブ・キャッシュ)は合格通知に基づいて資金を提供し、学生向けの資金援助ツールであるFrank(フランク)はJPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)に買収されたばかりだ。

「JPモルガンをはじめとするすべての銀行は、自分たちの未来が過去とは異なることを認識しているのだろう。銀行は学生との関係を強めようとしているが、学生は既存の銀行経由では奨学金を利用しない」と同氏は述べる。一方、Mosは、2021年までに15億ドル(約1730億円)以上の奨学金を学生に提供してきた。

Mosはこれまで、奨学金を通じて学生の購買力を高めることで、学生との信頼関係を築いてきたが、この関係が他のフィンテック企業との競争に有利に働くとヤヒアウイ氏は考えている。つまり、自分を信頼し、認めてくれる人たちのユーザー基盤を構築し、その人たちに響く言葉で商品やサービスを紹介するというものだ。

「当社は大人になったばかりの顧客にサービスを提供しているが、将来的には顧客が大学を卒業してアパートを借り、家賃を払うようになるため、当社も顧客と一緒に成長していくのだ」と付け加える。

Mosの創業者であるアミラ・ヤヒアウイ氏(写真提供者:Cayce Clifford)

今回のラウンドに参加したラックス・キャピタルのDeena Shakir(ディーナ・シャキール)氏は、銀行事業は常にMosの「ミッシングピース」だったと述べる。もともとMosは、情報公開の他の側面を担ったり、学生に特化した他の金融商品のプラットフォームになったりと、さまざまな方法で拡大できると考えていたという。今では、この最初の数年間に築いたネットワーク効果により、当然のように次のステップに進んでいると同氏は考えている。

「Mosは、金融アクセスや金融包摂の側面から関わるのではなく、学生にとってのメインバンク、クレジットカード、そしてホームとなるユニークな機会を得たと認識している」と同氏はいう。

当初のミッションを超え、このスタートアップの新しい目標は、確かな収益をもたらす可能性がある。Mosはもともと、奨学金へのアクセス料で収益を上げていた。現在、Mosは仲介手数料で収益を上げているが、その知識は口座を開設すれば誰でも無料で得られる。ヤヒアウイ氏は、Mosが以前のビジネスモデルで「数百万ドル(数億円)」の年間収益を得ていたと述べたが、現在の収益については語らなかった。しかし、チャレンジャーバンク路線を追求したことで、有効な市場が爆発的に拡大したといい「当社の時価総額は、以前の10倍になっている」と語る。

将来的にMosは、学生がお金を支払ってアクセスできる商品セットを作り、アドバイザーとのより実践的な相談や特定の銀行機能などを提供する予定だ。

最近のPayPal(ペイパル)の業績からも明らかなように、すべてのフィンテック企業にとって問題となるのは、長期的なユーザーの質だ。Mosは、デビットカード事業を開始してから数カ月後の11月頃に、成長率が大幅に上昇した。競争の激しいフィンテック業界であるため具体的な成長指標については明らかにしていないが、カードの開始後、最初の四半期に10万人以上の学生がMosに口座を開設したことを紹介する。同氏は、この成長によりMosが米国で10番目に大きなネオバンクになったと推定している。

その学生たちが固定客となるのか、それとも大学に通っている間の一時的な顧客なのかはまだわからない。景品や紹介ボーナスには魅力を感じるが、それは同社にとって長期的な利益につながるのだろうか。

Mosの第一期生となった大学生のJulieta Silva(ジュリエッタ・シルバ)さんは、テキサス州の小さな町で育った。彼女が通う500人規模の学校には、大学進学のためのカウンセラーが1人しかいなかったため、進学に関する相談は、ほとんどMosからTikTok(ティックトック)を介して行っていた(実際、Mosのソーシャルメディアプラットフォームのアカウントには、5万2000人以上のフォロワーがいる)。最初にこのプラットフォームに参加したのは2020年8月で、奨学金を申請するためだったが、このプラットフォームは「複雑な銀行システムの簡易版」を目指して成長してきた。現在、ノースイースタン大学の1年生である彼女は、今でもBank of America(バンク・オブ・アメリカ)のカードを使っているが、日々の生活ではMosのカードに頼っている。友達に登録してもらえば、紹介料を得ることもできるという。

「学内で使われているのはまだあまり目にしないが、私がカードを使うたびに[カードについて]聞かれる。だから、ちょっとした特典を全部教えてあげるが、実際に皆の関心を集めるのはMosのファイナンシャルアドバイザーと、学費のための資金援助だ」と彼女は話す。

画像クレジット:Mos

一方、創業者のヤヒアウイ氏は、NFT(非代替性トークン)やしゃれたロゴ(と重さ!)を施したクレジットカードなど、話題性に気を使ってきた。しかし、ベンチャーキャピタルの支援を得て、大衆向けの事業に乗り出すことにした。

「1000人の秀才の信頼が得られればよいと思っていた」と同氏は述べ、そして続けた。「しかし実際には、2000万人の学生を納得させる必要がある」。

画像クレジット:BreakingTheWalls / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

アップル、iPhoneで非接触型決済を可能にする「Tap to Pay」機能を発表

Apple(アップル)は、iPhoneを非接触型決済端末にする新機能「Tap to Pay」の導入計画を発表した。同社によると、2022年後半に米国の事業者はiPhoneとパートナーが対応したiOSアプリを使ってApple Payやクレジットカード、デビットカードといったその他の非接触型決済を受け付けられるようになる。

この機能は、iPhone XS以降のモデルで利用できる。iPhoneを使ったTap to Payは、決済プラットフォームやアプリの開発者が、顧客の決済オプションとして自社のiOSアプリに組み込むことができる。Stripeは、新しいShopifyアプリでTap to Payを顧客に提供する最初の決済プラットフォームとなる。Appleによると、別の決済プラットフォームやアプリは2022年後半に加わる予定だ。

Tap to Payの提供が始まれば、事業者は対応するiOSアプリを通じて非接触型決済を利用できるようになる。会計時に、顧客にiPhoneまたはApple Watchを事業者のiPhoneに近づけてもらうと、NFC技術を使用して支払いが安全に完了する。非接触型決済を受け入れるために追加のハードウェアは必要ない。Appleはまた、iPhoneでのTap to Payでは顧客の決済データは保護され、この機能を通じて行われる取引はすべて暗号化されるとしている。

同社は、Apple Payはすでに米国の小売店の90%以上で利用されており、この新機能を使って顧客はよりシームレスに精算できるようになるとしている。Tap to Payは2022年後半に米国内のApple Storeの店舗でも導入される。Appleは、決済プラットフォームやアプリ開発者と緊密に連携し、米国内のより多くの事業者にTap to Payを提供する。Tap to Payは、American Express、Discover、Mastercard、Visaなど多くの決済ネットワークによる非接触クレジット / デビットカードで利用できる。

Apple PayおよびApple Wallet担当副社長のJennifer Bailey(ジェニファー・ベイリー)氏は「デジタルウォレットやクレジットカードで支払いをする消費者が増えている中、iPhoneでのTap to Payは、安全かつプライベート、そして簡単に非接触型決済を受け入れ、iPhoneのパワー、セキュリティ、便利さを活かした新しい精算体験を企業に提供します」と声明で述べた。

Appleによると、Tap to Payは今後リリースされるiOSソフトウェアのベータ版で、参加する決済プラットフォームとそのアプリ開発者パートナーが利用できるようになる。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Ledgerが暗号資産デビットカードを発表

Ledger(レジャー)は、暗号資産ウォレットに直接接続するデビットカードの開発に取り組んでいる最新の暗号資産企業だ。同社は「Ledger Op3n(レジャー・オープン)」カンファレンスで「Crypto Life(クリプト・ライフ)」カードと呼ばれる独自のデビットカードを発行する計画を明らかにした。

ハードウェアウォレットで有名なLedgerだが、同社は「Ledger Live(レジャー・ライブ)」と呼ばれるソフトウェア分野にも力を入れている。デスクトップやモバイル向けに用意されているLedger Liveアプリを使うと、ユーザーは暗号資産の送受信に限らず、サードパーティ企業との統合により暗号資産の売買も可能だ。

Ledger LiveはChangelly(チェンジリー)、Wyre(ワイヤ)、ParaSwap(パラスワップ)、1inch(ワンインチ)など、さまざまなパートナーを通じたステーキングやスワップにも対応している。取引の確認は、すべてハードウェアウォレットに統合されて残る。

Ledgerのデビットカードは、Baanx(バーンクス)との提携によって作られたもので、英国、フランス、ドイツでは2022年の第1四半期中に発行が予定されている。米国在住の人は2022年第2四半期に入手できるようになる。

カードを受け取ると、Ledger LiveアプリからBTC、ETH、USDT、EURT、USDC、XRP、BXX、BCH、LTCでカードにチャージすることができる。このカードを使って買い物をすると、購入時に暗号資産が瞬時にフィアット金額に変換される仕組みだ。

また、カードの所有者は、給与をカード口座に直接振り込むことも可能になる予定だ。給与を受け取るたびに、給料の一定割合をBTCやETHに変換することもできるようになる。

さらに、財産のほとんどを暗号資産で維持したいと考えるLedgerユーザーは、カードで現金を受け取れる与信枠(クレジット)を設定することもできる。この機能を使うためには、一定の暗号資産量を担保として預ける必要がある。

一般的にDeFi(分散型金融)融資プロトコルは過剰担保であり、つまりユーザーは自分の暗号資産ウォレットにある金額よりも少ない金額しか借りることができない。そのため、Ledgerのクレジット機能が有効になった際にはどのように機能するのか、興味深いところだ。

Ledgerは、Coinbase(コインベース)、Bitpanda(ビットパンダ)、Binance(バイナンス)、Crypto.com(クリプト・ドットコム)などのデビットカードと競合することになる。しかし、すでにLedgerの製品を利用している人であれば、デビットカードを選ぶ際に、Ledgerのエコシステムとうまく統合されたカードを持つことは、特に重要になるだろう。

画像クレジット:Ledger

画像クレジット:Ledger

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

Amazon(アマゾン)がVisa(ビザ)との闘いをエスカレートさせている。2022年1月19日から、Amazonは英国で発行されたVisaクレジットカードの取り扱いを停止する。英Amazonの顧客にこの変更がメールで伝えられ、クレジットカード取引にともなってVisaが高額な手数料を課していることが理由であるとされている。Amazonの利用者は年末年始の買い物にはVisaクレジットカードを使うことができるが、その後はVisaデビットカード、またはMastercardやAMEXなど他のクレジットカードに切り替える必要がある。

Amazonの広報は発表の中で以下のように述べている。

カード利用にともなうコストは、お客様にベストプライスを提供しようと努力している企業にとって常に障壁です。こうしたコストは技術の進歩にともない減少してしかるべきですが、実際にはコストは下がらずむしろ上がっています。Visaの利用手数料が依然として高額であることから、残念ながら当社のAmazon.co.ukでは英国で発行されたVisaクレジットカードの利用を2022年1月19日に停止します。お客様は引き続きVisaデビットカードを含むすべてのデビットカード、およびVisa以外のクレジットカードを利用してAmazon.co.ukでショッピングをしていただけます。決済に関する状況が世界中で急速に変化する中、当社は今後もお客様のために革新を続け、世界中の当社ストアで速く、安く、包括的な支払い方法を追加し推進していきます。

一方Visaの広報は「Amazonが今後消費者の選択を狭めると脅しをかけていること」に失望していると述べ「消費者の選択が限られている場合に、勝者はいない」とした。Visaはさらに、カード会員が「2022年1月にAmazonが課す制限を受けることなく」ウェブサイトで英国発行のVisaクレジットカードを使い続けられるようにAmazonとの間で解決に取り組んでいると述べた。ちなみに、Amazonと他のクレジットカード企業との関係はもっと良好だ。英Amazonは現在、消費者向けクレジットカードでMastercardと、ビジネスカードではAMEXと提携している。

AmazonとVisaはお互いから有利な条件を引き出そうとして闘いを公開しているのかもしれない。Amazonはここ数カ月間、Visaに圧力をかけてきた。シンガポールのAmazonサイトでは9月15日からVisaクレジットカードでの購入に0.5%の追加料金を課し、その1カ月半後にはオーストラリアでもVisaでの購入に追加料金を課すようになった。どちらの場合もAmazonは、Visaクレジットカード以外の支払い方法を追加した顧客に対し、ギフトカード(30シンガポールドル / 約2500円、20オーストラリアドル / 約1600円)を提供した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Håkan Dahlström Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

世界中からの移民の人たちが金融サービスを利用できるよう支援するZolveが約45.5億調達

米国の移民が金融サービスを利用できるようにすることを目的としたネオバンキングのスタートアップ企業であるZolve(ゾルブ)は、サービスの展開を開始するにあたり、新たな資金調達ラウンドで4000万ドル(約45億5000万円)を調達したことを米国時間10月27日に発表した。

関連記事:母国の信用履歴利用を可能にする銀行取引プラットフォームZolveが15.8億円調達

DST Global(DSTグローバル)のパートナーが、ベンガルールに本社を置くこのスタートアップのシリーズA資金調達ラウンドを主導した。今回のラウンドでは、Tiger Global(タイガー・グローバル)、Alkeon Capital(アルケオン・キャピタル)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Accel(アクセル)といった既存の投資家に加え、設立10カ月の同社を2億1000万ドル(約238億9600万円)と評価し、過去最高の5500万ドル(約62億5800万円)を調達した。


毎年、何万人もの学生や社会人が、高等教育を受けるため、あるいは仕事のために、インドから米国へと旅立っている。新しい国で数カ月過ごした後でも、現地の銀行からクレジットカードを発行してもらうのに苦労したり、その他のさまざまな金融サービスを利用するために割高な料金を支払わなければならなかったりする。

インドで注目されている起業家で、前職のスタートアップをライドハイリングの大手Ola(オラ)に売却したRaghunandan G(ラグナンダン・G)氏は、2021年の初めにインド人のためにこの問題を解決しようと決心した。

Zolveは2021年9月、2000人の顧客(それと、7万人を超えるウェイティングリストがある)にクレジットカードを提供したが、すぐに2つの気づきがあったとTechCrunchのインタビューで述べている。

それは、顧客がZolveのサービスを幅広く利用し、期限内に支払いを済ませているだけでなく、オーストラリア、英国、カナダ、ドイツなど他国から移住してきた人々の需要も有機的に取り込んでいたことだという。

「私たちの基本的な価値提案は、クレジットカードです。クレジットカードの他に、現地の銀行口座とデビットカードがあります。私たちは、お客様が自分の銀行口座にお金を預けることを想定していませんでした。入金されるとしても、数百ドル(数万円)、数千ドル(数十万円)程度だろうと考えていました。しかし、実際には何万ドル(数百万円)ものお金を預けて、この口座をメインの銀行口座として使っている人がいるのです。現在、私たちは200万ドル(約2億2000万円)の預金があります」と同氏は語ってくれた。

Zolveは、このような初期段階での人気を受けて、2022年早々には複数の国からの移民の人たちにサービスを拡大する予定だ。

Zolveは現在、米国とインドの銀行と提携し、保険料や保証金を支払うことなく、消費者がシームレスに金融商品を利用できるようにしている。Zolveがリスクを引き受けることで、海外の銀行がZolveの顧客にサービスを提供できるようになった。

Zolveは、インドの銀行と協力することで、個人を明確にし、保険責務を請け負うことができた。Zolveは現在、このモデルを他の国の顧客にも適用することを計画している。

ラグナンダン氏によると、Zolveは幸運にも希望する投資家を見つけ、参加してもらうができたという。DST Globalのパートナーの多くは移民であり、新たに加わった3人の投資家も、同じような分野で活動するいくつかのスタートアップ企業を支援してきたことを教えてくれた。

「お客様のニーズに合った公正な金融商品へのアクセスは、人々の生活に直接的かつ意味のある影響を与えます。Zolveに投資し、米国やその他の市場で世界水準の金融サービス商品や体験を移民の人たちに提供するというラグナンダン氏のビジョンを支援できることを大変うれしく思います」。と、LightspeedのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は語っている。

「Zolveは、特に顧客の獲得と利用において急速に成長していますが、これはチームの実行力とZolveがターゲットとする顧客層の大きなニーズを反映したものです。今後の展開に期待するとともに、Zolveの将来の成功を確信しています」と述べている。

また、Zolveは積極的にチームを拡大する予定であると述べている。同社の従業員数は、2021年の初めにはわずか5名だった。その後、100人に増え、現在はいくつかの役割を担う150人の採用を検討している。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

安全性重視の暗号資産ウォレットZenGoが約21.7億円調達、デビットカードも近く提供

暗号資産(仮想通貨)を管理するモバイルアプリのZenGoは、Insight Partnersが主導する2000万ドル(約21億7000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。ZenGoは自己管理ウォレット(non-custodial wallet)で、同社がユーザーの暗号資産を管理するのではなく、秘密鍵とデジタル資産の管理は自分で行うことを意味する。

他の投資家には、Distributed GlobalとAustin Rief Venturesが含まれる。また、既存投資家であるBenson Oak、Samsung Next、Elron、Collider Ventures、FJ Labsなどもイスラエル時間4月27日に行われた資金調達ラウンドに参加した。

ZenGoが他のウォレットアプリと異なるのは、シンプルで使いやすく理解しやすい商品を維持しながら、一般的な暗号資産ウォレットよりも安全性の高いものを構築しようとしている点だ。同社はCoinbase Wallet(Coinbase.comとは異なる)やArgentなど、他の自己管理ウォレットと競合している。

具体的には、ZenGoはマルチパーティ計算(MPC)をベースにしている。最初にウォレットを作成する際、ZenGoは複数の秘密鍵(シークレットキー)を生成し、それらを異なる方法で保存・暗号化する。つまり、同社はユーザーのトークンに直接アクセスできず、ユーザーは携帯電話を紛失してもウォレットを復元することができる。

インフラや企業顧客に焦点を当てている他の暗号資産企業も、セキュリティモデルとしてMPCを選択している。最近1億3300万ドル(約145億円)を調達したFireblocksはその一例だ。

関連記事:暗号資産インフラプロバイダーのFireblocksがシリーズCで約145億円を調達、BNYメロンも出資

しかし、ZenGoが作っているのは消費者向けのアプリだ。同社は2020年には、10万人のユーザーから1億ドル(約109億円)以上の暗号資産取引を処理している。ZenGoは2021年の最初の3カ月で同じマイルストーンに到達し、新たに10万人のユーザーを増やしている。

また、ZenGoを通じてDeFiプロジェクト(DeFi:decentralized finance、分散ファイナンス)を閲覧し、貯蓄プールにアクセスすることもできる。同社は、これらの投資から利益を得ている。

今回の資金調達により、ZenGoは同じ哲学を念頭に置いて事業を拡大していく予定だ。より多くのチェーンやアセットのサポート、より多くのパートナーシップ、暗号資産を購入して不換紙幣に変換するオプションなどが期待できるという。

同社は最近、デビットカードの提供を開始する計画を発表した。これにより、ユーザーは暗号資産を変換した後、Visaカードが使える場所であればどこでも支払いに使えるようになる。つまり、ZenGoはセキュリティを重視した暗号資産スーパーアプリを構築しているということだ。

関連記事:仮想通貨ウォレットアプリZenGoが米国でデビットカードを発行

画像クレジット:ZenGo

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ZenGo暗号資産資金調達デビットカード

画像クレジット:ZenGo

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

子供に照準を合わせたフィンテック「Greenlight」がシリーズDで283億円調達、評価額は約2倍の2500億円に

子どもにやさしい銀行口座として親に売り込んでいるフィンテック会社のGreenlight(グリーンライト)が、シリーズC調達ラウンドで2億6000万ドル(約283億円)を調達した。評価額は約2倍増の23億ドル(約2500億円)だった。

今回のラウンドは、ジョージア州アトランタ拠点のスタートアップが、12億ドル(約1300億円)の評価額で2億1500万ドル(約230億円)を調達してからわずか数カ月のことだ。最新ラウンドの結果、Greenlightの2014年創業以来の調達総額は5億5500万ドル(約600億円)を超えた。

シリーズDをリードしたのはAndreessen Horowithz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)で、他に既存出資者のTTV Capital、Canapi Ventures、Wells Fargo Strategic Capital、BOND、Fin VCおよびGoodwater Capital、新規出資者のWellington Management、Owl VenturesおよびLionTree Partnersが参加した。

2017年に子ども向けデビットカードを発行して以来、同社は300万以上の親と子どものために口座を開設し、アプリを通じて1億2000万ドル(約131億円)以上の預金を集めた。2020年9月に資金調達した際は口座数200万件、預金額5000万ドル(約54億円)だった。

全体では、前年比で売上は「3倍以上」、プラットフォームの親と子の人数は2倍以上に増え、過去1年間にチームの人数は2倍になった、とGreenlightはいう。

画像クレジット:Greenlight

「Greenlightはファミリー財務分野でまたたく間にリーダーになりました」とAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーでGreenlightの取締役に就任予定のDavid George(デビッド・ジョージ)氏は声明で語った。「Greenlightは、親が財務に明るい子どもたちを育てる手助けをするために作られ、その使いやすい金銭管理ツールと教育コンテンツの画期的な組み合わせによって、同社は世界で最も愛され信頼される家族向けブランドになる好位置にいます」。

会社は自らのサービスがデビットカードだけでなく、アプリを使って親が口座に入金し、お小遣いやお駄賃を渡したり、子どもたちの使えるお金を管理したりできることをアピールしている。2021年1月、Geenlightは子どものための教育投資プラットフォームであるGreenlight Maxを立ち上げた。このプラットフォームを通じて、子どもたちはMorningstarによる分析とともに株式を調査できるほか、親が承認すれば、Apple(アップル)、Tesla(テスラ)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)などの企業に実際に投資することもできる。

以前、TechCrunchが報じたように、これは世代全体を財務サービスプラットフォームに囲い込める可能性のある大きなビジネスであり、おびただしい数の会社が似たような看板を掲げて参入している理由の1つだ。Kard(カード)、Step(ステップ)、Till Financial(ティル・フィナンシャル)、Current(カレント)などが米国内で同様のビジネスを展開しており、Y Combinatorから最近出てきたMozper(モズパー)は、ラテンアメリカにこのモデルを持ち込もうとしている。(StepCurrentも大型ラウンドを本日、4月27日に発表しており、Till Financialはシードラウンドを先週発表した。ちなみにa16zはCurrentのラウンドもリードしている)。

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「私たちGreenlightのビジョンは、子どもたち全員が財政的に健康で幸福な人間に育つ世界を作ることです」とGreenlightの共同ファウンダーでCEOのTim Sheehan(ティム・シーハン)氏は語る。

パンデミックによって、パーソナルファイナンス(個人の財政)の良い習慣を身につけることの大切さがますます強くなっている、と同社はいう。

「家族が一緒に過ごす時間がかつてないほど増え、多くの人達がこれを子どもたちにお金について教える良い機会だと捉えていることで、当社製品に対する需要は高まっています」と同社はいう。

Greenlightの共同ファウンダーであるティム・シーハン氏とJohnson Cook(ジョンソン・クック)氏(画像クレジット:Greenlight)

Greenlightは新たな資金を、プロダクト開発を加速してプラットフォームに財務サービスを追加するとともに、戦略的販売パートナーへの投資と地域の拡大に使うという。現在の従業員275名に加えて、今後2年間にあと300名を雇い、特にエンジニアを増やす計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Greenlight子ども資金調達デビットカード

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook