新型コロナウイルスに関するデマを暴くWhatsApp用チャットボット

WhatsApp(ワッツアップ)に何文字か書き込むだけで、新型コロナウイルス関連のデマを暴くことができるようになった。

ジャーナリズムを支援する非営利団体Poynter Institute(ポインター・インスティテュート)が、Facebook(フェイスブック)傘下のサービスであるWhatsAppで新しいチャットボットを公開した。これを使えば、世界中の人たちが、例えばこの感染症は中国・武漢の研究所から発せられたといったパンデミックに関する4000件を超えるデマの正体を暴けるようになる(武漢発祥の話は各方面で好まれている説だが、その主張を裏付ける証拠はまだ一般公開されていないため、今のところは虚偽とされる。念のためにいっておくが、ファクトチェック機関の言葉を引用したこのチャットボットは、そう示している)。

このチャットボットは、70以上の国々の100を超える独立系ファクトチェック機関が提供する情報に立脚している。Poyinter Instituteはそれを新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するデマの暴露情報に関する最大のデータベースだといっている。このサービスは英語でのみ提供されているが、現在、ヒンディー語、スペイン語、ポルトガル語への対応に取り組んでいるところだとWhatsAppはいう。

チャットボットは次の方法でテストできる。連絡先に「+1 (727) 2912606」を登録して、「hi」と送信する。または、チャットボットの電話番号を連絡先に登録したくない場合は、http://poy.nu/ifcnbotをクリックする。

チャットボットに「hi」と送信し、「1」を送ると、チャットボットから新しいメッセージが届き、気になるキーワードまたは短い文章を入力するよう求められる。そして「origin(出所)」 や「garlic」(新型コロナウイルスにニンニクが効くという話は本当かを確かめたいとき)、その他の思いつく言葉を書いて送る(言葉を送ってから2、3秒待つと答えが返ってくるので、次の言葉を送るまで少し待とう)。

チャットボットはユーザーの国を特定し(モバイル機器の国番号を参照する)、その国に最も近いファクトチェック機関が審査した結果が示される。同時に、新型コロナウイルスに対処するための一般的なヒントも与えてくれる。

利用規約には、無料で24時間使えるとある。また、質問や調査機関やプログラムのパートナーからの回答とその他の対話を匿名化して集計し、共有する旨も書かれている。しかし「個人情報は絶対に共有しません」とのことだ。

IFCN(国際ファクトチェッキングネットワーク)のBaybars Orsek(バイバース・オーセック)氏は、声明の中で「毎月、友だちや家族とつながっていたい数十億人のユーザーがWhatsAppを頼りにしています。現在のような困難な時期には、すべてのプラットフォームで偽情報を広めて人々を惑わそうとする悪い人間が現れるため、ファクトチェック機関の仕事はこれまで以上に重要になります」と述べている。

この新しいチャットボットは、20億人以上のユーザーを擁するWhatsAppが、そのプラットフォーム上で偽情報が蔓延するのを防ごうと努力した最新の結果だ。この数カ月間、WhatsAppはWHOと協力して情報サービスを立ち上げたが、利用者は1日に100万人以上に達している。フェイスブックが所有するこのサービスはまた、各国の連邦政府や州政府とともに、感染症に関する信頼できる情報の提供も手伝っている。

WhatsAppは先日、メッセージの転送に新たな制限を加え、そのプラットフォーム上での転送量を大幅に削減し、さらに3月にはPoyinter InstituteのIFCNに100万ドル(約1億700万円)を寄付した。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookが反ワクチン・デマ対策強化、広告禁止、表示ランクを引き下げへ

2月にFacebookは、生死に関わる場合もある悪質な反ワクチン投稿にどう対処するか検討していることを明らかにした。同社は近くこうした危険な投稿の表示ランクを下げるなどの措置に踏み切る。

ワクチンに関する誤った情報の拡散を最小限に抑えること、反ワクチンのプロパガンダからユーザーを遠ざけ、現代の医療と科学による裏づけのある「信頼できる情報」に向かわせるのがFacebookの戦略だという。

今後Facebookは反ワクチンを主張する広告を拒否することで誤情報の拡散を抑制する。これに違反する投稿、宣伝を繰り返した場合アカウントの凍結もあり得る。ニュースフィード表示、ニュースフィード検索の双方で反ワクチン投稿のランキングを下げる。。Instagramでは「発見」タグやハッシュタグを利用した誤った反ワクチン情報が含まれるコンテンツが公衆の目に触れないようにする。Facebookは「『ワクチン論争』というターゲティング記述子を含む広告も削除される」と注意を促している。

反ワクチンのデマや陰謀論が拡大した過程でFacebookが果たした役割に2月にスポットライトが浴びせられた。Guardianの記事はFacebookYoutubeが危険なデマの拡散を助けていると指摘した。 カリフォルニア州選出のアダム・シフ下院議員(民主党)はFacebookGoogleに書簡を送り、「医学的に根拠のある情報をユーザーに提供するためにどんな方法を取るつもりなのか、さらに情報を提供する」よう求めた。

先月のBloombergの記事は「Facebookはこの問題に対処するためにさらなる手段を追加することを検討している」と述べた。この手段というのは反ワクチン宣伝が「おすすめのグループ」を始めとするFacebook側の推薦として表示されないようにすること、こうした誤情報の検索結果の表示順位を引き下げること、逆に医学的に根拠がある情報をユーザーの目に触れやすくすすること」などが含まれる。

オンラインのニセ情報拡散の中でも反ワクチン・プロパガンダは現実に対して非常に危険な結果をもたらす。アメリカは現在はしかのアウトブレイクに直面している。はしかは幼児や高齢者には致死的になることがある感染症だが、ワクチンで完全に予防できる。にもかかわらず、ワシントン州クラーク郡の例のように大規模な学校閉鎖が生じている。

Facebookがこうした危険な誤情報の拡散を防止することに注意を向けたのは評価できる。こうしたデマや陰謀論には徹底した措置を取ってもらいたい。しかし問題はFacebookにせよ他のソーシャル・プラットフォームにせよ、問題が深刻化してから後追いで対策を始めるという点だ。ソーシャルメディア上でアルゴリズムを悪用したデマの拡散が今後も起きることは間違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+