Varosは自社のパフォーマンス指標を他社と比較できるデータ共有ツール

ある分野で上場企業の1社が厳しい四半期を報告すると、同じ分野の他の企業の株価が下がる傾向にある。しかし、非上場企業の場合、なぜ先週のコストが増加したのか、それは自社の遂行能力によるものなのか、それとも他の企業でも起こっていることなのか、正確に把握することは難しい。

サンフランシスコとテルアビブに拠点を置くVaros(ヴァロス)は、顧客獲得コストなどの主要なパフォーマンス指標について、その企業が同業他社と比較してどうなのかということを解明している。

CEOのYarden Shaked(ヤーデン・シャケッド)氏は、CTOのLior Chen(ライオー・チェン)氏と父親のGil Shaked(ジル・シャケッド)氏とともに2021年にVarosを設立し、Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のバッチに参加した。彼らは、顧客の技術スタックとのAPI統合を通じて、データをクラウドソースするデータ共有ツールを作り上げた。チェン氏によると、データはリアルタイムで取得され、顧客によるメンテナンスは必要ないという。

「eコマース企業はデータを重視しますが、一般的には自社の過去のデータを参照することしかできません」と、ヤーデン・シャケッド氏はTechCrunchに語った。

「無視界飛行しているようなものです。自社のパフォーマンスが良いのか悪いのかわからず、KPI(重要業績評価指標)が良いのか悪いのかも答えることができず、何が問題なのかわからないため、どのレバーを引けばよいのかもわからないのです」と、同氏は続けた。「その一方では、トレンドもあります。顧客獲得コストが急上昇した場合、それは市場のトレンドである可能性があります。私たちは、データ連携を通してその解決策を提供します。人々が入力したデータを、我々は匿名化して、洞察のために顧客に返します」。

Varosでは、すべてがセルフサービスだ。顧客がデータを接続すると、データはさまざまな階層に分類され、さまざまな方法でタグ付けされる。ユーザーはダッシュボードを使って、例えば月に10万ドル(約1150万円)をデジタルマーケティングに費やしているアパレル企業の一定期間の平均受注額と比較し、その期間の推移をグラフで見ることができる。

Varos創業者。左からジル・シャケッド氏、ヤーデン・シャケッド氏、ライオー・チェン氏(画像クレジット:Varos)

その中でも特に人気が高いのが、月曜日の朝に提示されるVarosのトレンドレポートで、ユーザーは週ごとのデータと週ごとのベンチマークを比較することができる。「これは、ユーザーが自社のパフォーマンスを直接の競争相手と比較して理解するのに役立つ、新しいカテゴリーのデータ分析です」と、ヤーデン・シャケッド氏は付け加えた。

同氏によると、この種のデータ連携は、農業や旅行、そして競合他社のデータに基づいて評価を行うレイトステージ投資など、他の業界では行われているが、eコマースやSaaSの分野では比較的新しいものだという。Varosは2021年8月にソフトローンチして以来、すでに大きな支持を得ており、現在は250以上のユーザーが、Varosにマーケティングデータを入力し、同業他社との比較を行っている。

Varosは、データのマーケットプレイスを構築するとともに、無料でサービスを提供してきたが、複数の有料顧客も抱えている。この需要に対応するため、同社はIbex Investors(イベックス・インベスターズ)が主導する400万ドル(約4億6000万円)のシード資金調達を実施した。このラウンドには、Y Combinatorの他、元Thomson Reuters(トムソン・ロイター)CEOのTom Glocer(トム・グローサー)氏、Bonobos(ボノボ)共同創業者のAndy Dunn(アンディ・ダン)氏、Farmers Business Network(ファーマーズ・ビジネス・ネットワーク)共同創業者のAmol Deshpande(アモル・デスパンデ)氏、Crossbeam(クロスビーム)CEOのBob Moore(ボブ・ムーア)氏、Connectifier(コネクティファイア)共同創業者のJohn Jersin(ジョン・ジャーシン)氏などの個人投資家が参加した。

米国時間2月23日に正式にローンチしたVarosは、マーケティングKPIからスタートしたが、それだけに留まるつもりはない。Shopify(ショッピファイ)、Google(グーグル)、TikTok(ティックトック)の統合など、収益の伸びやコンバージョン率を追加していくだけでなく、金融、製造、販売など、他の分野にも拡大していく予定だと、ヤーデン・シャケッド氏は述べている。

同社は1カ月前まで創業者3人だけだったが、現在はプロダクトとデザインを中心に7人のチームで運営している。2022年末までに人員の倍増を計画しているという。

「私たちの仮説が機能していることをうれしく思います」と、ヤーデン・シャケッド氏は語っている。「以前、Varosがなかった頃は、何かを見つけたり変更したりすると、どこがうまくいっていないのかを理解するための学習期間が必要になる傾向にありました。現在は、Varosがあれば、自分の目で見たものに基づきながら、創造性に集中することができます」。

画像クレジット:Varos

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

thatDotがオープンソースのストリーミンググラフエンジン「Quine」を発表

米国オレゴン州ポートランドを拠点とするthatDot(ザットドット)は、イベントのストリーミング処理を専門とするスタートアップ企業だ。同社は米国時間2月23日、データエンジニアのための新しいMITライセンスに基づくオープンソースプロジェクト「Quine(クワイン)」の立ち上げを発表した。これはイベントストリーミングとグラフデータを組み合わせ、同社が「ストリーミンググラフ」と呼ぶものを作成する。

そう聞くと、複雑なものだと思われるかもしれない。それは確かにその通りであり、また比較的新しいコンセプトでもあるからだ。Quineの背景にあるアイデアは、DARPA(米国防総省)の支援を受けた長年の研究に基づき、大容量のデータストリームを、ステートフルなグラフ、すなわち処理状態を把握するためのグラフとして構築するというものだ。論理学者のWillard Van Orman Quine(ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン)にちなんで名付けられたQuineは、チームが「スタンディング・クエリ」と呼ぶものを使って、このグラフにクエリを実行する。基本的には入力されたデータをリアルタイムで計算し、それをQuineが他のアプリケーションに配信する。

「私たちは、現在の業界が抱える問題、つまり私たちが置かれている板挟みの状況に焦点を当てて、ストリーミンググラフを開発しました」と、Quineの生みの親であり、thatDot社のCEO兼共同設立者であるRyan Wright(ライアン・ライト)氏は筆者に語った。「一方では、膨大な量のデータがあります。この10年間、ビッグデータは当たり前のものとなり、ますます大きくなっています。しかし、その一方で、我々はこれらのデータをどのように解釈すればよいのでしょうか?」。

最近ではかつて以上に、そのデータが動いており、多くの作業負荷ではレイテンシー(遅延時間)が重要になる。オープンソースのイベントストリーミングプラットフォームであるApache Kafka(アパッチ・カフカ)と、そのストリーミングデータを分析するApache Fink(アパッチ・フィンク)を組み合わせたような既存のソリューションでは、企業はデータプラットフォームとパイプラインを構築してこれらの入力データをすべて分析するために、何十人ものエンジニアを割かなければならないと、ライト氏は主張する。他の現代的なアプローチとしては、Neo4j(ネオフォージェイ)とTigerGraph(タイガーグラフ)のようなツールがあり、開発者の間にグラフデータベースを普及させてきたが、これらのツールはいずれもデータベースの観点からこの問題にアプローチするものだと、ライト氏は主張する。

画像クレジット:thatDot

「このような考え方では、技術的な詳細や、高速化、簡単化、拡張化の難しさなど、旧来の問題に悩まされることになります。そのため、この業界では大量のデータが入ってきても、速度が遅すぎてグラフソリューションをきちんと検討できないということがよく起こるのです」と、ライト氏はいう。同氏の主張によれば、現在のほとんどのソリューションは、1秒間に数千件のイベントを処理できる程度だが、Dot社が対象としているような顧客は、1秒間に25万件のイベントを処理できるソリューションを必要としているという。ライト氏は、Quineがそれに応えられる、あるいはそれ以上の処理能力を持っていると確信している。

「私はQuineを使用することによって、複雑なカスタムロジックとSQLクエリのページを、基礎となるイベントが変更されるたびに更新されるストリーム計算されたロールアップ値へのシンプルなクエリに置き換えることができました」と、Tripwire(トリップワイア)社の上級エンジニアであるMatt Splett(マット・スプレット)氏は語る。

同社のユーザーは、セキュリティ企業、オブザーバビリティ企業、ログ処理企業、フィンテック企業、広告企業、不正検知企業など、多岐にわたると、ライト氏と彼の共同設立者でCOOのRob Malnati(ロブ・マルナティ)氏は指摘する。他のオープンソース企業と同様、thatDotの使命は、膨大なQuineの企業ユーザーをサポートすることだが、同社はQuineをプラットフォームとして利用し、その上に新しいソリューションを構築することにも取り組んでいる。

同社は2020年に、Oregon Venture Fund(オレゴン・ベンチャー・ファンド)の主導で200万ドル(約2億3000万円)を超えるシード資金を調達しており、2022年後半にはシリーズAラウンドの資金調達を見込んでいる。

画像クレジット:KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

データワーカーのためのスーパーアプリを構築するAcho、シード資金調達を実施

Vincent Jiang(ヴィンセント・ジャン)氏がソフトウェア開発者として働いていた頃、同氏の毎日の仕事は、金融アナリストが取引戦略における財務報告諸表を作成するためのテーブルを構築することだった。

同氏はしかし、この作業をエンジニアに頼るのではなく、アナリスト自身が行うことも可能ではないかと考えた。それには、きちんと機能する適切なツールが必要だ。

それが、データワーカーのためのスーパーアプリ「Acho(アチョ)」のアイデアの始まりだった。

ジャン氏は、共同創業者のSamuel Liu(サミュエル・リュウ)氏と協力して、2020年5月に会社を設立。Y Combinator(Yコンビネーター)の2020年夏のバッチを通過し、今回220万ドル(約2億5000万円)のシード資金を調達した。このラウンドはGoat Capital(ゴート・キャピタル)が主導し、Liquid2 Ventures(リキッド2ベンチャーズ)とCapital X(キャピタルX)が参加した。

Achoは、既存のデータインフラやITリソースの助けを借りずに、企業のデータ資産をパフォーマンスダッシュボード、プロジェクト管理、ウェブアプリなどのビジネスアプリケーションに変える。

「データチームが現在直面している最大の問題は、リテラシーです」と、ジャン氏はTechCrunchに語った。「何年もSQLを書いていない人は、SQLを使いこなせないでしょう。だからこそ、Achoを使えば、チームのために共同データベースを構築でき、深い技術的知識がなくてもデータを利用できるようにしようと、我々は考えたのです。リアルタイムデータベースのためのGoogle Sheet(グーグル・スプレッドシート)のようなものです」。

Achoのダッシュボードの一例(画像クレジット:Acho)

現在、Achoの顧客として50以上のチームが、データ、チームメイト、アプリケーションを1つにまとめるために、このアプリを使用している。ジャン氏によれば、3人だった同社のチームは、この3カ月で11人に増えたという。

2020年にYCを卒業した後も、製品ができてからまだ1カ月しか経っていなかったため、ジャン氏とリュウ氏は資金調達を少し延期し、顧客からより多くの支持が得られるのを待つことにした。結果的には、かなり早い段階で資金調達を完了させることができ、これには彼らも驚いたという。

「私たちの手がけている分野が、これほど強い関心を呼ぶとは思いませんでした」と、ジャン氏はいう。「私たちと同期のバッチだった企業の中には、1~2年のうちにデータ領域でユニコーンになった会社もあり、投資家からの需要が非常に大きいことを理解しました。しかし、希薄化を避けるために最初は少だけ資金を調達して、顧客にもっと集中したいと考えています」。

そのため、ジャン氏は今回調達した資金を、顧客が求めている機能やサービス、インフラを構築するために使用するつもりだ。また、毎月50%ずつ増加する顧客に対応するため、チームの規模を拡大したいとも考えている。

Goat Capitalの創業者であるRobin Chan(ロビン・チャン)氏は、Justin Kan(ジャスティン・カン)氏とともに、ジャン氏とリュウ氏が「本物のビジネスを構築する」ことに集中していると思い、彼らの迅速な牽引力に感銘を受けたと述べている。

「ヴィンセントは、強力なコアチームを構築した、非常に気骨のある起業家です」と、チャン氏は付け加えた。「それこそが、エンタープライズビジネスのこのカテゴリーで我々が惹かれる点です。世の中では、SaaS製品に資金が殺到していますが、そのために企業やベンダーの領域で多くの断片化が生じています。私たちが求めている人材は、データの組織や循環システムを構築し、会社の運営を、特にリモートというパラダイムの中で、よりスムーズにできる人たちです。このような断片的な製品を使って共同作業をするのは、人々にとってますます困難になっています。データに関する共通の基盤が必要です。それこそがヴィンセントが構築しているものであり、それは非常に強力です」。

画像クレジット:Acho / Acho co-founder Vincent Jiang

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

技術者ではないチームに専門知識不要のデータ探索機能を提供するCanvas

Canvasの創業者たち。左からプライド氏、ザパート氏、ビュイック氏(画像クレジット:Canvas)

世の人たちにスプレッドシートを捨てさせようとするスタートアップがある一方で、協調データ探索ツールを開発しているCanvas(キャンバス)は、技術者ではないチームがデータチームの手を煩わせることなしに必要な情報にアクセスできるように、スプレッドシートに似たインターフェースを全面的に採用している。

Luke Zapart(ルーク・ザパート)氏は、Flexport(フレックスポート)の元同僚であるRyan Buick(ライアン・ビュイック)氏ならびにWill Pride(ウィル・プライド)氏とともに2020年末にCanvasを立ち上げた。ザパート氏はFlexportで働いていた際にデータ検索で苦労を重ねた経験から、Canvasで「Looker(ルッカー)を取り込んだFigma(フィグマ)」を開発しているのだと語る(Lookerは著名なBIツール、Figmaも著名なウェブデザインツールの名前)。

「多くのデータチームは、処理能力を溢れる量の平凡で退屈なデータ要求に忙殺され、ビジネスチームは何日も答を待つのを諦めて、結局ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの前に座って『CSVにエクスポート』ボタンを押して、Googleスプレッドシート上でピボットしているのです」とザパート氏は説明する。「根本的に、企業内のビジネス側とデータ側の信頼関係が崩れてしまったのです。それがきっかけで、私たちはFlexportを離れ、本当にその問題を理解して解決しようと努力したのです」。

さらに、データ業界は現在「ルネッサンスを経験」しており、伝統的なビジネスインテリジェンスツールが、焦点を絞ったクラス最高のツールによって解体されている、と彼は付け加えた。しかし、ビジネスユーザーは、SQL(Structured Query Language)に精通していたり、充実したデータチームを抱えていない限り、最新のデータスタックがもたらす多くのメリットを享受することができない。

Canvasはスプレッドシートベースのワークスペースとして開発されたもので、ビジネスチームはSQLクラスを受講することなく独立した意思決定を行うことが可能となり、データチームは戦略的な作業に集中する時間を得ることができるようになる。

その仕組みは以下のようなものだ。まずユーザーは、自分の「白いキャンバス」からスタートし、データチームが提供する定義の表から探しているデータを選ぶことができる。データを見つけたら、表をキャンバスにドラッグ&ドロップして、Googleスプレッドシートと同じように操作する。例えば「ピボット」ボタンを使って、ある指標を抜き出し、グラフやチャートを作成することができる。

ビュイック氏は「チャートを対話的に操作し、キャンバスの好きな場所にドラッグすることができます」という。「ここからがFigmaのようなルック&フィールになるのですが、これはデータを扱うための新しい方法であることがわかりました。なぜなら、解決するために考えようとしている問題がどのようなものであろうとも、反復したりプロトタイプを作成したり、メンタルモデルに合わせたりすることがずっと簡単になるからです」すばらしい特徴は、ビジネスチームが行き詰まることを知っているからこそ、コラボレーションを活かせるようにしている点です。他の人をチームにタグつけしてチェックを依頼することができます」。

ビュイック氏によると、データチームへの質問の数を減らせるだけでなく、Canvasが、すでにdata build tool(DBT)でモデル化されているビジネスロジックを簡単に再利用できる手段であることを理解したスタートアップたちも、このツールを採用しているという。

Canvasの例画像クレジット:Canvas

米国時間1月28日には、Sequoiaが主導し、Abstract Ventures、SV Angel、および20数名の個人投資家グループが参加したラウンドで420万ドル(約4億8000万円)を調達し、プラットフォームを一般公開した。この投資家のリストには、データのエキスパートであるSegmentのCalvin French-Owen(カルバン・フレンチ・オーウェン)氏、FivetranのTaylor Brown(テイラーブラウン)氏、CensusのBoris Jabes(ボリス・ジャベス)氏、DataDogのOlivier Pomel(オリヴィエ・ポメル)氏、事業家であるLatticeのJack Altman(ジャック・オルトマン)氏、DoordashのTony Xu(トニー・シュー)氏、FlexportのRyan Petersen(ライアン・ピーターセン)氏、WebflowのBryant Chou(ブライアント・チョウ)氏、InstacartのMax Mullen(マックス・マレン)氏、そしてエンジェル投資家らが名を連ねている。

ビジネスチームのためのデータワークスペースを構築するのは大変な作業であることを認識した、Canvasの創設者たちは、資金調達を行う決定を下した。ザパート氏は、世界的なデータ専門家やデータ分野の企業の創業者などの、一緒に仕事をしたいと思えるような投資家を慎重に検討したと述べている。

現在、従業員は6名で、数少ない有料顧客と協力しているデザインパートナーがいる。新たな資金は、エンジニアの増員に充てられ、セルフサービスモデルを含む同社のロードマップを構築するとともに、一連の製品発売に利用され、同社はさらなる市場開拓と製品開発戦略を展開して行く予定だ。最初の10~20件の顧客を獲得した時点で、次の資金調達ラウンドを検討するとザパート氏は述べている。

SequoiaのパートナーKonstantine Buhler(コンスタンティン・ビューラー)氏によると、同社には「結束力が高く技術的に強いチーム」があり、その最新のデータスタックは、優れた企業の構築に使われ、企業顧客にサービスを提供する機会を生み出しているという。彼はCanvasの中で、そのようなスタック全体に対する協調的なフロントエンドを開発している企業を目にした。

「データをExcel(エクセル)にダウンロードしてピボットテーブルを作成するのではなく、すべてのデータを1つの場所に保存できるという利点があります」とビューラー氏は付け加えた。「ここでは、システムに接続するだけで、目の前で結果を見ることができるのです。彼のチームはFlexportでもすばらしい仕事を一緒にしてきましたが、今回は非常に重要で誰にでも関連している問題に取り組んでいます。大きなビジョンは、セルフサービスを作ることができるかどうかにかかっています。それは、データへのアクセスを民主化して、完全なアクセス権を持つ少数の人たちだけではなく、社内のすべての人たちにデータを開放することによって力を与えることのできる、非常に大きなきっかけなのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

データ分析企業Databricksが同社初の業界特化型レイクハウスを発表

クラウドインフラストラクチャのプロジェクトがどんどん複雑になっている中で、特定の業界に向けてあらかじめパッケージ化したソリューションを提供することが業界のトレンドとなっている。米国時間1月13日、潤沢な資金を持つデータ分析企業のDatabricksが、同社初の業界特化ソリューション「Lakehouse for Retail」を発表してこのトレンドに参戦した。同社は小売業者に対し、これまでの分析ツールやDatabricksのAIツールによって生成される膨大な量のデータから価値を抽出するのに役立つ、完全に統合されたプラットフォームを提供するとしている。

Databricksの共同創業者でCEOのAli Ghodsi(アリ・ゴディシ)氏は「これは我々のジャーニーにおける重要なマイルストーンで、企業がリアルタイムで事業を運営し、より正確に分析し、顧客のすべてのデータを活用して有意義なインサイトを明らかにするものです。Lakehouse for Retailは小売業における企業やパートナー間でのデータドリブンのコラボレーションと共有を推進します」と述べている。

このプラットフォームを早期に利用している企業には、Walgreens、Columbia、H&Mグループなどがある。これらのユーザー企業はDatabricksのプラットフォーム全般を利用できるが、特に重要なものとしてLakehouse for RetailのSolution Acceleratorsがある。Solution Acceleratorsは、Databricksが「データ分析と機械学習のユースケースとベストプラクティスに関するブループリント」と呼んでいるもので、うまくいけば新規ユーザーが開発にかかる時間を何カ月も節約できる。これには、リアルタイムストリーミングのデータインジェストのテンプレート、需要予測、レコメンデーションのエンジン、顧客のライフタイムバリューを測定するツールが含まれる。なおDatabricksには以前にも同様のブループリントがあったが、Databricksが統合ソリューションとして提供していたわけではなく、利用者が自分たちで構成しなくてはならなかった。

Walgreensの医薬・ヘルスケアプラットフォームテクノロジー担当バイスプレジデントであるLuigi Guadagno(ルイージ・グアダーニョ)氏は次のように述べている。「Walgreensでは毎年、膨大な数の処方箋を処理しています。DatabricksのLakehouse for Retailを利用することで、このすべてのデータを一元化し、1カ所で保管して分析や機械学習のワークロードをフル活用できます。複雑さやコストのかかる旧式のデータサイロを廃することにより、インテリジェントで一元化されたデータプラットフォームでクロスドメインのコラボレーションが可能となり、柔軟に適応し、スケールし、お客様や患者様により良いサービスを提供できるようになりました」。

ここ数年、Databricksは「レイクハウス」の概念を普及させようとしてきた。その概念とは、分析のためのデータウェアハウスと、まだ活用されていない膨大な生データを保管するデータレイクの利点を組み合わせるということだ。

画像クレジット:Boy_Anupong / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Tableauが自然言語で質問してSlack内でデータのクエリができる統合機能を発表

組織全体にわたって多くの人がデータをもっと利用しやすくすることを目指すTableauが、米国時間11月9日の#Data21カスタマーカンファレンスで、自然言語で質問するとSlack内でデータのクエリができる機能を発表する。これは、Slackとのこれまでの統合をさらに発展させるものだ。

最高製品責任者のFrancois Ajenstat(フランソワ・アジェンスタッド)氏は米国時間11月8日、カンファレンスに先立って開催されたプレス対象のイベントで、この新たな統合によりTableauのデータのフルパワーをSlackで利用し、さまざまな方法で共同作業ができると述べた。注目しているデータが変化したときにアラートを受信し、しかもアプリを切り替えることなくSlack内でデータを扱える。

同氏は「Slackがデータについて問い合わせをする場にもなるので、1つのインターフェイス上ですべてのコンテンツが見つかります。Slackを離れる必要はありません。Tableauのリポジトリ全体を検索できます。すべてのダッシュボード、すべてのデータソースをSlackで利用できるのです」と説明した。

重要なのはデータのクエリができることだ。同氏は「見たいものを見つけたらすぐに質問(の入力)を開始できます。この場合、Tableauの自然言語クエリインターフェイスである『Ask Data』を用いて、自然言語で質問します。本当に簡単で誰にとっても使いやすいものです」と述べた。

Amalgam InsightsのCEOでチーフアナリストのHyoun Park(パク・ヒョウン)氏は、実はこの統合は以前にTableauが発表したAsk DataやExplain Dataなどの機能をベースにしていると述べている。同氏は、こうした機能、特にクエリの機能によって、これまではデータを深く扱うことがなかった人々にもデータ分析の扉が開かれると考えている。

パク氏は筆者に対し「自然言語を使う分析ソリューションとSlackの統合にはThoughtSpotなどがありました。しかしSlackとTableauを簡単に連動し、自然言語で幅広い分析ツールを利用できる機能はこれまでで最大級のニュースで、データのスキルを身につけているわけではない多くの人々がTableauの分析結果を深く検討できるようになります」と語った。

同氏は、Tableauのこのようなアプローチはデータを広く活用できるようにするだけでなく、本質的にはSlackをTableauのコアプロダクトのユーザーインターフェイスにするものだと述べ、この機能はTableauでSalaeforceのAIエンジンを活用するためのEinstein Discovery for Tableauもベースになっていると指摘した。

TableauはEinsteinの機能について「仕事の流れの中で予測をするものです。ビジネスパーソンは重要度の高いデータに対してAI予測を実行し、主な要因を特定して次のアクションを提案するインテリジェントな予測を得ることができます」としている。

Salesforceは2019年に157億ドル(約1兆7700億円)でTableauを買収し、2020年末には270億ドル(約3兆480億円)でSlackを買収した。このような巨額な買収をしたとあってSalesforceが高価な買い物をうまく組み合わせようとするのは当然で、今回の発表はSalesforceプラットフォーム全体のさまざまなところでSlackをインターフェイスにしようとする取り組みの1つだ。

Salesforceは2021年8月にSalesforce製品ファミリーとSlackの初の統合を発表し、Slackは同年9月にさらに別の統合を発表していた。

画像クレジット:Tableau

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

人身売買被害者の合成データでプライバシーを侵害せずにビッグデータ分析ができる

人身売買に効果的に対処するためには、対処する側がそれを理解する必要があり、最近ではそれは「データ」となる。残念ながら、被害者を知るための便利なインデクスはないが、でもこの秘密情報はいろいろなところで豊富だ。Microftと国際移住機関(International Organization for Migration、IOM)は、本物の人身売買データの重要な特徴をすべて備えているが、完全に人工的な新しい合成データベースで前進する方法を見つけたかもしれない。

各被害者は疑う余地もなく個人だが、人身売買が多い国や彼らが利用しているルートや方法、被害者の行き着く先など、基本的な高レベルの問いは統計の問題だ。トレンドやパターンを同定するためのエビデンスは防止活動にとって重要だが、これら何千もの個人のストーリーに埋もれていて、しかも公開されたくないものが多い。

IOMのプログラムコーディネーターであるHarry Cook(ハリー・クック)氏は、データセットを説明するニュースリリースで次のように述べている。「実際に見つかった人身売買の事件に関する管理データは、可利用なデータの主たる源泉だが、そのような情報は機密性が高い。IOMは過去2年間Microsoft Researchと協力して、そうしたデータを分析用にシェアし、それと同時に被害者の安全とプライバシーを守るという困難な課題において進歩できたことを、うれしく思っている」。

歴史的には、犯罪データベースや医療情報などは大量の編集をするのが常套手段だが、「匿名性を取り去る」この方法は、データを再構築しようとする真剣な試みに対して効果がないことが立証されてきた。現在では数多くのデータベースが公開され、あるいはリークされて、コンピューティングの力を誰もが利用できる時代であるため、編集された情報を極めて信頼できる形で提供できる。

Microsoft Researchが採った方法は、オリジナルデータをベースとして、ソースの重要な統計的関係を保持し、しかし場所・時期・個人等を同定できる情報がない合成データを作ることだ。「Jane Doe」を「Janet Doeman」に書き換えたり、彼女の故郷をクリーブランドからクイーンズに変えるのではなく、データに似通った性質のある10名弱の人たちのデータを合わせて、彼らを統計的に正確に表現している属性の集合をつくるが、それを使って個人を同定することはできなくなっている。

画像クレジット:Microsoft Research / IOM

当然この方法では元のデータの粒度は失われるが、機密性のあるソースと違ってこのデータは実際に使用できる。それはどこかのタスクフォースが分析して「そうか、次の人買いはXXXXで行われるのだ」というタイプの情報ではないが、このデータは直接的なエビデンスに基づいているため、政治や外交レベルで事実の記録として取り上げることができる。これまではもっと一般的に「X国と政府Zはこの件で無視できる」や「共謀している」などと言わなければならなかったのが、これからは確かなデータに基づいて「性的人身売買の36%はあなたの司法圏を通っている」と言えるようになる。

データが一種の強制手段として利用されるという意味ではなく、人間の悲惨のグローバルな交易を、一連のお互いに無関係な出来事の連鎖ではなく、1つのシステムとして理解することは、それ自身に価値がある。そのデータは、ここで見ることができ、その作り方を勉強したい人には、この事業のGitHubがある。

画像クレジット:SEAN GLADWELL / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Beyond Cafeと村田製作所がコミュニケーション特性解析ツール「NAONA」利用のグループディスカッション練習会開催

Beyond Cafeと村田製作所がコミュニケーション特性解析ツール「NAONA」利用のグループディスカッション練習会開催

学生無料カフェの運営やキャリア面談などを通じて学生のキャリア支援を行う人材教育企業Beyond Cafe(ビヨンドカフェ)は7月27日、村田製作所と共同で、2023年3月卒業予定の大学生を対象としたグループディスカッションの練習を行う「グルディス練習会」の開催を発表した。開催期間は、7月16日から8月19日まで。

この練習会は、村田製作所が開発中の、コミュニケーションを可視化し解析できるセンシングデータプラットフォーム「NAONA」(ナオナ)を基盤とするツール「NAONA Group Discussion」(ナオナ・グループディスカッション)を活用した初の試み。

参加者は、NONAによって検出されるグループディスカッションの「個別特性データ」と、就活を終えた先輩や社会人で構成されるメンターからの口頭によるフィードバックを通じて、自分自身のコミュニケーションの特性を「定量的に確認」でき、改善に役に立てることができるという。

企業には、新卒採用者の選考にグループディスカッションを採り入れているところが多い。しかし、選考通過を目的としたディスカッションの練習は、実践で必要とされる能力の開発とは別物になってしまう傾向がある。そこでBeyod Cafeは、就職後も持続可能な能力を身につけるために、自分の特性を知り、成長できる機会として、この「グルディス練習会」を企画した。

NAONAは、従来デジタル化できなかった、人が感覚的に認知している「関係性情報」、例えば人同士の会話量や人の感情の推移を可視化・データ化を可能とする、センシングデータプラットフォーム。社内ミーティングや1on1ミーティングなどにおけるコミュニケーション可視化ツールとして村田製作所が開発を進めており、オンライン就活におけるグループディスカッション場面でも同様に使用可能という。NAONAをベースとした音声解析+グループディスカッション参加者がお互いに評価し合えるウェブアプリを用いてグループディスカッションを解析し、各々の強みや課題の改善ポイントを表示する。

現時点ですでに3回実施されていて、ある参加者の感想としてそのTwitter投稿の一部がBeyod Cafeによって公開されている。それによると、強みは「アイデア出しでの議論推進」、弱みは「メンバーの反応への不均衡さ」との指摘があり、「役職を無理に取りに行かなくていいからアイデア出しで貢献しつつ、声に出して相槌して全員の意見に反応するよう意識!」とのアドバイスを受けていた。

グルディス練習会は、開催期間中の7月16日から8月19日まで、随時参加希望者を受け付けている。23年春卒業予定の大学生なら誰でも参加が可能。とくに選考や抽選は行わない。練習会開催スケジュールは以下のとおり。

  • 7月15日 19:00~20:30
  • 7月20日 13:30~15:00、19:00~20:30
  • 7月29日 13:30~15:00、19:00~20:30
  • 8月5日 19:00~20:30
  • 8月12日 19:00~20:30
  • 8月19日 19:00~20:30

定員は各回10〜15名。参加方法など詳細はこちら

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カテゴリー:HRテック
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データ分析の力で意志決定を行う経営層をDXする「Hogetic Lab」が5000万円を調達

データ分析の力で意志決定を行う経営層をDXする「Hogetic Lab」が5000万円を調達

「データの力で経営を再発明する」をミッションとするデータ分析スタートアップHogetic Lab(ホゲティックラボ)は6月23日、第三者割当増資と融資による総額5000万円の資金調達を発表した。引受先は独立系ベンチャーキャピタルmintで、借入先は日本政策金融公庫。

新型コロナウイルスの影響で、マーケティング、セールス、業務などの自動化といったDXを推進する企業が増えたものの、「こうしたDXへの取り組みは進む一方で、旧来より変化していないものがあります。それが”経営”です」とHogetic Labは話す。多くの企業では、経営のための意志決定は経営者などの直感に頼っていて、意志決定の過程と結果の蓄積がない。「そのため会社経営そのものは、実はそこまで進化していないと当社では考えています」という。それは、ディー・エヌ・エーの分析組織に在籍していた大竹諒氏(代表取締役CEO)と、白石裕人氏(取締役COO)がHogetic Labを共同創設した動機にもなっている。

Hogetic Labは、事業に関わるデータを集める分析基盤を高速・低価格で構築できるDCaaS(サービスとしてのデータ収集)「Collectro」(コレクトロ)、意志決定を行う経営層のデータリテラシーを飛躍的に向上させるサービス「BizSchola」(ビズスカラ)、収集データを経営に組み込み意志決定につなげるAIアルゴリズムモジュールを提供するサービス「Factolithm」(ファクトリズム)という3つのサービスを提供している。これらを連携することで企業のデータ利活用水準を向上させるという。「CollectroとBizScholaによって、あっという間にデータ分析ができる社内環境を整え、組織にデータ分析がフィットするまで我々が粘り強く並走します」とのことだ。

今回調達した資金は、Collectroのプロダクト開発とデータ分析に関わる社内体制の強化に利用される。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AI / 人工知能(用語)経営 / マネジメント(用語)データ分析(用語)Hogetic Lab(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

企業内の「時間の使われ方」を分析するTime is Ltd.が、約6.1億円を調達

企業の生産性分析を手がけるスタートアップ企業のTime is Ltd.(タイム・イズ・リミテッド)は、会社時間にとってのGoogleアナリティクスになろうとしている。あるいは、企業にとってのApple(アップル)のスクリーンタイムのようなものか。いずれにしても、企業内における時間の使われ方をマッピングすることができれば、膨大な生産性の向上が可能になり、お金をより有効に使うことができると、同社の創業者たちは考えている。

Time is Ltd.は今回、レイトシードラウンドで560万ドル(約6億1000万円)の資金を調達した。この投資ラウンドはロンドンを拠点とするChalfen Ventures(チャルフェン・ベンチャーズ)のMike Chalfen(マイク・チャルフェン)氏が主導し、Illuminate Financial Management(イルミネート・ファイナンシャル・マネジメン)、Acequia Capital(アセキア・キャピタル)、既存の投資家であるAccel(アクセル)、そしてエンジェル投資家としてSeal Software(シール・ソフトウェア)の前会長だったPaul Sallaberry(ポール・サラベリー)氏と同社の取締役だったClark Golestani(クラーク・ゴレスタニ)氏もこのラウンドに参加。さらに契約文書分析企業であるSeal Softwareの創業者で元CEOのウルフ・ゼッターバーグ(Ulf Zetterberg)氏が、社長兼共同創業者として会社に加わることも発表された。

このベンチャーは、2020年買収されたSocialBakers(ソーシャルベーカーズ)の創業者として知られるシリアルアントレプレナー Jan Rezab(ヤン・レザブ)氏の最新作だ。

非効率な会議、しつこい通知チャット、各種ビデオ会議ツール、メールの大洪水などは、我々の誰もが経験していることだろう。Time is Ltd.は、Microsoft 365(マイクロソフト365)、Google Workspace(グーグル・ワークスペース)、Zoom(ズーム)、Webex(ウェベックス)、Microsoft Teams(マイクロソフト・チームズ)、Slack(スラック)などのインサイトやデータプラットフォームを取得することで、この問題に対処しようというのだ。収集されたデータとインサイトは、経営陣が会社の生産性、エンゲージメント、コラボレーションを測定する新しいアプローチを理解し採用することに役立つと、このスタートアップ企業は述べている。

同社は現在、企業が参照できる400の指標を収集しているという。例えば、The Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル)がTime is Ltd.に設定したタスクによると、Slackと電子メールの平均応答時間を比較した場合、Slackが16.3分であるのに対し、電子メールは72分だった。

チャルフェン氏は次のようにコメントしている。「ハイブリッド型や分散型のワークパターンを測定することは、すべての企業にとって重要です。Time Is Ltd.のプラットフォームは、このような測定を簡単に利用でき、種類が異なる非常に多くの組織にとって実用価値があります。世界中のすべての企業に仕事の改善をもたらすことができると信じています」。

レザブ氏は次のように語っている。「社内のコラボレーションやコミュニケーションに関するこのようなデータを、プライバシーに配慮した方法で、既存のビジネス指標と一緒に分析することができれば、すべての企業にとって社内の鼓動を理解することにつながります。今後10年以内には、これらのプラットフォームからのインサイトを無視できないことに誰もが気づくでしょう」。

欧州のオンライン食品販売業界をリードするRohlik Group(ローリック・グループ)の創業者でグループCEOであるTomas Cupr(トーマス・クプル)氏は、次のように述べている。「パフォーマンスデータを利用する従来のBI(ビジネスインテリジェンス)アプローチとともに、Time is Ltd.を利用することによって、チーム内のコラボレーション方法を改善し、社内およびベンダーとの仕事の進め方を改善することができます。Time is Ltd.が提供するデータは、ビジネスリーダーにとって必要不可欠なものです」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Time is Ltd.資金調達データ分析

画像クレジット:Time is Ltd. founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

データ専門家でなくてもプロダクトアナリティクスをよりアクセシブルにするJune

プロダクトアナリティクスの専門家でなくても、分析ダッシュボードやレポートの作成が容易にできるようにしたいと考えている新しいスタートアップJuneをご紹介しよう。Juneは、Segmentデータの上に構築されている。多くのノーコードスタートアップと同様に、技術者でなくても使い始められるように、テンプレートとグラフィカルインターフェースを使用している。

共同創業者兼CEOのEnzo Avigo(エンゾ・アビゴ)氏は「現在行っているのはインスタントアナリティクスであり、そのためにSegmentの上に構築しています」と筆者に話してくれた。「それでデータへのアクセスがより迅速になります」。

Segmentは、アナリティクスのためのデータ収集とデータ保存の役割を果たす。その後、Juneでデータを操作することができる。Juneはいずれは、データソースの多様化を計画している。

「当社の長期的なビジョンは、アナリティクス分野のAirtableになることです」とアビゴ氏は語る。

Airtableをご存知の方なら、Juneは見慣れた感じがするかもしれない。同社は、ユーザーがすぐ使い始めるのに役立つテンプレートライブラリを構築している。例えばJuneでは、ユーザーリテンション、アクティブユーザー、顧客獲得ファネル、エンゲージメント、機能の使用状況などを追跡・把握することができる。

画像クレジット:June

テンプレートを選んだら、データソースとテンプレートをマッチングさせてレポートの作成を開始できる。Juneは自動的にチャートを生成し、ユーザーベースをコホートに分類し、重要なメトリックを表示する。ゴールを作成することで、何か良いことや悪いことが起こった際にSlack(スラック)でアラートを受け取ることも可能だ。

上級ユーザーであれば、チーム内の全員が同じツールを使用するようにJuneを使うこともできる。カスタムSQLクエリを作成し、そのクエリに基づいてテンプレートを構築することができるのだ。

同社はPoint Nineが主導して、185万ドル(約2億円)のシードラウンドを調達した。Y Combinator(Yコンビネータ)、Speedinvest、Kima Ventures、eFounders、Base Caseの他、複数のビジネスエンジェルも参加した。

June設立の前は、共同創業者の2人はIntercom(インターコム)に勤務していた。そこで彼らは、分析ツールが多くの人々にとって使いづらいものであることに気づいた。それゆえに(当時の顧客は)アナリティクスに基づいた意思決定を行っていなかったという。

現在何百社もの企業がJuneを利用しており、その数は毎週10%ずつ増加している。今のところ同社の製品は無料だが、将来は使用量に応じて課金する予定だ。

画像クレジット:June

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Juneノーコード資金調達データ分析

画像クレジット:Maddi Bazzocco / Unsplash(Image has been modified)

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

誰でも簡単にAI分析が使えるSaaS「datagusto」が8500万円を調達、創業者「自動調理器のようなツール」

「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」という格言がある。顧客にとってドリルはあくまでも手段であって、求めるものは穴(結果)ということだ。私たちは、たとえテレビやPC、スマートフォンがどんな仕組みで動いているのかを知らずとも満足に使える。その結果、それらは世界中で数十億人が利用するツールになった。

AIの分野でこれを実現しようとするのが、データを入れるだけで高度なAI分析を行うことができるSaaS型ツール「datagusto(データグスト)」だ。同製品を開発するdatagustoは、2021年5月24日、DEEPCOREEast VenturesゼロワンブースターG-STARTUPからの合計8500万円の資金調達を発表した。

専門知識なしでAIが使える

「これまで企業がAIを活用しようとすると、専門のコンサルタントに依頼したり、データサイエンティストを雇用したりするのが必要で、多大なコストがかかっていました」。そう話すのは、datagustoのCEOであるパー・麻緒氏。「昨今、AIの開発工数を短縮するためのソフトウェアはいろいろ出てきてますが、それらはあくまでもデータサイエンティストのためのツール。専門知識のないビジネスサイドの人間が使いこなすことは難しい」。

この課題を解決するため、ユーザーが専門知識をまったく持たずとも、簡単にAIを使いこなすためのツールがdatagustoだ。パー氏はこれを「具材を入れるだけで料理ができあがる、自動調理器のようなツール」と表現する。同ツールでは、あらかじめパッケージ化された分析テンプレート(同社は「レシピ」と呼ぶ)をクリックすると、誰でも簡単に「何時に荷電すれば受注できるのだろうか?」といった現場の疑問への答えを、データから導出することが可能になる。ユーザーが行うことは、datagustoにより指定されたデータをアップロードすることだけ。

先の例では、荷電時間・受注の有無・荷電先の業種・設立年・荷電担当者など、社内で過去蓄積してきたデータをコピー&ペーストでdatagustoにアップする。あるいは、SalesforceなどのCRMと連携し、自動でのアップロードも今後可能に。AIは、アップロードされた過去のデータから傾向を見出して「○時に荷電するのが最も成功確率が高い」といった形でユーザーに提示する。

datagustoの分析テンプレートは「最適な荷電時間のレコメンド」にとどまらない。「販売個数の予測」「離脱予測」「コンバージョンにつながる見込み客の予測」など、これまで社内に眠ったままだったデータをdatagustoに注入することで、業界や規模を問わず手軽にAI分析を行うことができるようになる。

画像クレジット:datagusto

AIの大衆化を実現する

一方で、datagustoにもトレードオフは存在する。同製品は誰でも簡単に使える分析テンプレートが用意されている反面、他社のAIツールと比較するとカスタマイズできる部分が少ないのだ。しかしパー氏は、その違いこそがdatagustoの強みだと話す。「誰しもが高い自由度や、最高の性能を求めているわけではないと思うんです。例えば他社のAIツールは、車でいうとフェラーリ。馬力があって何でもできるんだけど、数千万円も費用がかかって、使いこなすのが大変。一方でdatagustoは、低燃費で使い勝手が良い『AIツール界のプリウス』みたいな存在を目指しています」。

パー氏のdatagusto創業のきっかけは、アパレルバイヤーとして働く友人からの相談だった。当時、大手外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストをしていたパー氏は、海外ラグジュアリーブランドのバイヤーを務める友人から、発注数を決める方法について尋ねられたという。「データ分析の専門知識を持たず、ツールもエクセルしか与えられていない友人にとって、その分析を自身の手で行うことは不可能でした」。一方で、毎月数百万円ものフィーが発生するコンサルサービスは、ビジネスの規模として採算が合わない。同氏は「それだったら、誰にとっても低価格で知識がなくても使えるAIツールを自分がつくろう」と考えた。

2020年4月創業のdatagustoは、同年11月にβ版をリリース。すでにリコー大和ライフネクストなどで試験導入されており、ある営業現場ではアポ率を従来の5%未満から、最大20%にまで上昇させることに成功したという。今回の調達資金をもとに製品開発をすすめ、2021年10月に正式版をリリースする予定で、提供価格は1ユーザーあたり年間10万円〜(予定)。従来のAI開発では、数百万から、大規模であれば数千万円規模の開発費用がかかっていたことを考えると、まさに「AIの大衆化」を実現するプロダクトといえるだろう。

「テレアポ1件をAIで効率化して得られる経済的利益は、微々たるものです。でもこれが数百、数千件と積み重なることで、ビジネスを抜本的に変革させる要因にもなり得ます」とパー氏は目を輝かせる。日本中のビジネスパーソンが、マニュアルを読まずともAIによるデータ分析を使いこなして意思決定を行う。彼女が目指すそんな未来の実現も、そう遠くはないかもしれない。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:datagusto資金調達日本ノーコードSaaSデータ分析

小規模オンラインストアが大規模ストアと同様のデータ分析を利用できるTreslのSegments Analytics

Treslのフラッグシップ製品であるeコマースインテリジェンスプラットフォームのSegment Analyticsは、Shopifyでストアを運営している小規模ブランドが大手オンライン販売業者と同様の分析を利用できるようにするものだ。LinkedInの元データサイエンティストが創業したTreslは現在、CESの台湾テックアリーナに出展している

Segments AnalyticsはShopifyのストアのデータを分析し、ブラウズの傾向や利用金額、リピート購入の動向に基づいて訪問者を30以上のあらかじめ用意されたセグメントに自動で分類する。

これによりブランドは購入者のグループを特定し、Segments Analyticの提案を元にターゲットに応じたキャンペーンを展開できる。データ分析、マーケティング、ユーザー獲得にあまり費用をかける必要はない。たとえばすでに一度購入したものの間を空けずに広告やプロモーションを目にしない限りは再び購入することはない、というセグメントを特定できる。Segments Analyticsはメール、Facebook、Googleなど複数のチャネルにわたる広告に対して利用することができる。

Treslは、Segments Analyticsを利用するブランドは利用開始から1カ月以内にカート放棄(または未購入アイテムがある顧客に送信されたリマインダー)のクリック率が30%上がり、売上が前月比で40%増えたとしている。

Segments AnalyticsはShopifyアプリストアから利用でき、サブスクリプション料金は1カ月79ドル(約8200円)からだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TreslネットショッピングCES 2021データ分析

画像クレジット:Visoot Uthairam / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

データを駆使するスタートアップは人材採用にもデータを活用すべきだ

著者紹介:Zoe Jervier Hewitt(ゾーイ・ジャービエ・ヒューイット)氏は、マルチステージVCファンドのEQT Ventures(EQTベンチャーズ)のリーダーシップコーチおよび人材パートナー。企業成長の各段階で候補者を確保するために必要とされる適切なテクノロジーおよび人脈の活用を促すことにより、体系的かつ迅速な方法で人材を集められるよう投資先企業を支援している。

ーーー

新興企業の多くがテクノロジー思考の創業者によって起業されている。また、ベンチャーキャピタルは、製品開発や事業拡大のためにデータを駆使するアプローチを取る企業に投資している。しかし皮肉なことに、人材の採用となると、データ志向ではない従来型の企業よりもデータを活用せず、型にはまった手法を使う新興企業が多い。実のところ、テック業界では人材採用がこれまでに劇的に変わったことはなく、「人材採用」という、会社の命運を分ける決定が、今でも履歴書や面接に基づいて下されている。

その結果、チームの構築だけでなく、スタートアップ界全体の多様性にも弊害が及んでいる。
データを駆使した採用とは、候補者を絞り込むための適切な基準を定めてプロセスの効率を判断するだけのことではない。ここで言うデータとは、募集職種に適した人物かどうかを判断するために収集して評価する情報(または収集しない情報)の選択も含まれる。チームを構築するため、つまり、チームに加える人材を選考するための科学的な方法があるのに、なぜ創業初期のスタートアップの人材採用ではいまだにデータが活用されていないのだろうか。

人材の選考にはそもそも人が関わるのだから、完全に科学的なものにすることはできない、と言う人もいる。人間は、各々が独特かつ複雑であり、感情的で予測不能だ。加えて、「自分には他人の特質や才能を見きわめる能力がない」と思っている人は少ない。ほとんどの人は、自分には優れた直感と、才能をかぎ分ける「鼻」があると、自信過剰なまでに信じている。優れた結果を出すのに正式な訓練や何十年もの経験が不要な数少ない業務、それが人材採用である。

直感に基づく評価をやめる

この時代遅れの考え方の影響はいたる所で感じられる。最初に、また最たるものとして、チームダイナミクスに関係する場合が挙げられる。まず、ある人物に資格があるかどうかを知るには、何を評価するかを理解していなければならない。職責を全うするのに必要なことに関する浅い理解のまま業務を続ける企業には、優れた選考システムの構築に不可欠な情報が欠けている。その結果として出来上がるのは、体系化されていない面接が重視され、何らかの予兆を示すシグナルが軽視され、直感が評価を左右する、貧弱な採用プロセスだ。

業務を遂行する能力に応じた役割を候補者が獲得できるかどうかは、相性や自信、カリスマ性によって決まる可能性が高い。その結果、新規採用者のほぼ半分が役に立たなくなって脱落する可能性があり、貧弱なチームが構築されることになる。信頼できるデータが欠如しているということは、多くの企業において、採用とチームの業績の間のフィードバックループが壊れているということである。そのため、学習と改善が脇に押しやられることになる。全体像を把握できなければ、最高水準の業績を導き出すスキル、特質、行動パターンが採用プロセスで効果的に評価されているかどうかを判断することは不可能だ。

主観的な手法の危うさ

さらに危険なことに、証拠に基づいて収集と評価を行うように設計されていない採用プロセスは、ほとんどの場合、多様性の乏しさにつながる。周知のとおり、多様性に乏しいと、イノベーションや企業の成功が阻害される

人材の選考と育成を主観的に行うと、無意識の偏見と排除が繰り返される環境が生まれ、テック業界のエコシステムの均質性を増幅させる。創業初期の企業は採用候補者を探す手段として自然と人脈に頼り過ぎる傾向があるが、それは解決策にはならない。

最後の点として、主観的な手法は人材採用の担当者や専門家に対する信頼度を落とすことにつながる。今の状態では、人材の募集と選考は単純で重要度が低い事務仕事、または水晶玉をのぞき込むのと同じ程度のデータしか得られない「闇の魔術」というらく印を押され続けることになるだろう。

証拠に基づく手法を採用する

採用プロセスの客観性を高める際、創業者とそのチームが最善の益を得るには、まず、チームを構成する各役割における成功の尺度を、証拠に基づいて明確に定義することから始める必要がある。次に、選考の各段階を体系化して特定のスキルや行動特性を評価する。つまり、何をいつ評価するのか、どんな基準でデータを評価するのか、といった点を決める。言い換えれば、候補者が特定の役割を果たせるかどうかを正確に予測する根拠になり得る、信頼性の高いサインを可能な限り見きわめることを目標とすべきだ。

採用担当の管理職による評価の客観性を高めるのに役立つ、科学的な手法に基づいた人材評価ツールは最近まで、主に有名大手企業で使われてきた。そうした企業は大量の求人応募の処理に頭を悩ませている。ネット応募が普及したがゆえの、ぜいたくな悩みである。しかし、最近生じている3つの変化は、創業初期のスタートアップ企業がチームを拡大するときの採用活動に見られる傾向を示している。

  1. 多様性と包括性を持つチームを構築することへの圧力。2020年は、ほとんどの企業にとって、多様性と包括性が優先課題になった年である。チーム構築の一環として使われる評価ツールは、認識、個性、スキルの面で足りない部分がどこにあるかをより正確に特定するのに役立ち、その不足部分を埋める人材の採用に集中できるよう助けてくれる。このようなツールを使うと、長所と短所に関するより客観的な情報に基づいて候補者を評価できるため、面接に入り込む可能性がある無意識の偏見を低減させることができる。
  2. 求職者の急激な増加。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、求人活動に2つの大きな影響を及ぼした。第一に、企業はリモートで働く人材の採用を余儀なくされている。その結果、テック企業のほとんどの職種について、今まで以上に世界中から採用することが可能になった。第二に、人材プールが拡大したため、平均求職数が劇的に増えた。候補者優位の市場から雇用者優位の市場へと変化したため、人材採用に関する評判があまり確立されていない創業初期の企業にとって、可能性を秘めた人材の発掘はますます難しくなっている。
  3. 人材評価ツール製品の性能向上と価格低下。長い間、人材評価ソフトウェアの大部分は、会社の形態になっていない顧客には手が出せないものだった。インターフェイスがわかりにくく、候補者が敬遠するような設計だったため、科学的な根拠に基づくツールは数多くあったのに、それが、テクノロジーと自社製品のことで頭がいっぱいの創業者の目に留まることはなかった。さらに、管理や解釈のために追加のコンサルティングや専門家によるトレーニングが必要なツールの多くは、創業初期のスタートアップの予算では到底手が出ないほど高価だった。自動化、製品設計、コンプライアンスに注力した新製品が人材評価ツール市場に登場すれば、スケールアップを目指す企業がこの分野に投資することは正当な選択となる。また、人材評価ツールがチームの業務ツールキットに必須のSaaS製品になるにつれて、このツールに対する認識も変わるだろう。

このような外的要因によって人材採用が証拠に基づいた手法へとシフトしていく中、企業自身も採用に関する慣例を変えていく必要がある。これは優先的に取り組むべき課題だ。体系化されていない面接はとても自然に感じるかもしれないが、人材を正確に選考する面では非常に危険である。面接で会話することは確かにすばらしいかもしれないが、そのような会話では、本当に重要なことに基づく賢明で正確な判断を妨げる雑音も聞こえてしまう。

人材の採用においては、直感的なフィーリングや「勘にまかせる」ことには慎重でなければならず、決定は常に、募集職種に関する正確な根拠に基づいて下す必要がある。チームの強固な土台を据えることを目指す新興企業は、主観的な人材採用によって無駄や偏見が発生するリスクを冒してはならない。

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カテゴリー:HRテック
タグ:人材採用データ分析

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(翻訳:Dragonfly)