【ロボティクス】パンデミックの影響、看護支援ロボットDiligent Robotics CEOとの興味深い話

筆者はここ数日、大きなプロジェクトに関わっていた(詳細については近日公開予定)ため、残念ながら最新ニュースにしばらく目を通しておらず、ロボティクスに関する今週の大きなニュースについてまったく把握していなかった。そこで、このコラムでその遅れを少し取り戻したいと思う。

そのニュースを取り上げる前に、少し別の話を紹介しよう。筆者は、パンデミックの期間中にユニークな経験をした興味深いロボティクス企業と対談する機会があった。

Diligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)がシリーズAを発表したとき、世界はそれまでとはまったく違ってしまったと言っていいだろう。2020年3月は今からそれほど遠い昔ではないが、現在に至るまでパンデミックによって世界中の医療機関は非常に大きな負担を強いられ続けており、その影響がこれほどまでに広範囲かつ長期間に及ぶとはほとんど誰も予想していなかった。病院スタッフの過労と人手不足の傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行以前にも見られたが、流行後にはその傾向が顕著になり、同社の看護支援ロボットMoxi(モキシー)の需要が急激に増加した。

2020年実施された1000万ドル(約11億円)の資金投入がディリジェントの成長に貢献したことは間違いないが、同社は在宅勤務に移行する際に誰もが遭遇する課題に対処しながら、生産能力を高めるという難しいタスクに取り組んでいた。

2017年にVivian Chu(ヴィヴィアン・チュー)氏とともにディリジェントを設立した、Interactive Computing at Georgia Tech(ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部)のAndrea Thomaz(アンドレア・トマス)准教授は筆者たちと今週会い、2020年経験したユニークな課題と機会について話してくれた。

ロボティクス業界とディリジェントが、パンデミックによって受けた影響の度合いは?

さまざまな業界で労働市場が実に劇的に変化した。これはロボティクス業界とディリジェントの両方に言えることだが、この劇的な変化は、多くの従業員が退職しようとしていること、すなわち何か別のことを始めようとしていることと関係しているように思える。そして実際、多くの人が職を変えている。この傾向はあらゆる技術的な職業に見られ、我々の業界や医療業界で多くの事例が上がっている。とにかく、多くの人が何か別のことを始めようと考えている。パンデミックが始まる前も労働力に関する課題はあったが、今やそれが危機的なレベルになりつつある。

技術的な仕事に就きたいと思う人は常に少ないが、技術的な仕事の需要は常に高い。これはある意味、危機的な状況と言えるだろう。

この傾向はパンデミック前から始まっていた。パンデミックでそれが顕著になったに過ぎない。この傾向は、医療保険改革法(オバマケア)に端を発している。より多くの人が医療を受けられるようになったということは、病院に行って医療を受けられる人が増えたことを意味する。これが高齢化と相まって、必要な医療を提供するスタッフのさらなる不足を引き起こしている。

パンデミック発生の時点でロボットを採用していた病院の件数と、需要がその後どのように急増したかという観点から、需要を把握することはできるか?

我々はまだその情報を公開していない。来年の前半までには、その規模についてより具体的な数値を発表できるだろう。ただし、四半期ごとにロボットの出荷台数を2倍に増やしていることは確かだ。

そのようなロボットの運用に至るプロセスはどのようなものか?

これは、病院市場に関して非常に興味深いテーマであると考えている。このプロセスは、倉庫や製造における従来の自動化とは異なる。ロボットを運用する環境では、看護師や臨床医が働いている。ロボットは、そのような環境で人と一緒に作業をしなければならない。我々は、まず初めにワークフローを評価する。つまり、その環境で現在どのように業務が行われているかを評価するのだ。

画像クレジット:Diligent Robotics

パンデミックは企業の成長にどのような影響を与えたか?

パンデミック前は、製品の市場適合性が満たされていた。我々の研究開発チームの作業は、製品に変更をわずかに加えるだけの非常に小規模なものだった。製品を顧客に見せて価値を示すだけでよかった。しかし現在は契約の締結と納入が重要で、最短期間で導入し、耐久性を最大限高めることを考えることが必要だ。特にハードウェアの面では、製造プロセスと信頼性に関してどのように設計すべきかが大切だ。現在、当社のロボットが現場で1年以上稼働しており、以前と比べて信頼性が高まっている。今や、ロボティクスのロングテール現象が起こりつつあり、今後が楽しみだ。

パンデミックによって、ロボティクスの分野で驚くべき機能や需要が生まれたか?

当社の顧客のどの現場でも「そのロボットはコーヒーを持ってこられるようになるか」と看護師は口を揃えていう。モキシーがロビーのStarbucks(スターバックス)に行き、みんなのためにコーヒーを買ってくることを看護師たちは期待している。自分たちはスターバックスに行って並ぶ時間がないから、時間の節約になるというわけだ。実現できないわけではないが、積極的に試してみようとは考えていない。

つまり、モキシーにエスプレッソマシンを搭載する計画はないということか?

その計画が来年のうちに実現することはないだろう。

近い将来、資金をさらに調達する予定はあるか?

現在、増資の計画中だ。今のところ順調だが、顧客からの需要が非常に高まっているため、チームを増強してロボットの出荷台数を増やすのは、やぶさかではない。

現時点では米国市場に注力するつもりか?

当面はその予定だ。当社では、世界的に展開する戦略について検討を始めている。2022年中に当社の製品が世界中に行き渡るとは考えていないが、すでに多くの引き合いが来ている。現在、販売パートナーを選定中だ。世界各地のクライアントから、1カ月に何件も問い合わせが来ている。今のところ、それらのクライアントと積極的に進めているプロジェクトはない。

画像クレジット:Tortoise / Albertsons

資金調達とコーヒーの配達については、別の機会に取り上げよう。今週は、配送関連で注目の話題がいくつかあるので紹介しよう。まず、過去に何度も取り上げたTortoise(トータス)だが、同社のリモート制御による配達ロボットのチームに追い風が吹いてきた。米国アイダホ州を拠点とするKing Retail Solutions(キングリテールソリューションズ)との取引によって、ラストワンマイル配送用に500台を超えるトータスのロボットが米国内の歩道に導入される。

CEOのDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は「未来の姿がニューノーマルになるというこの新しい現実に、誰もが気づき始めている。ラストワンマイル配送で時給20ドル(約2300円)稼ぐスタッフを動員しても、想定されるどんな状況でも消費者の期待に応え続けるということはできない。単純計算は通用しないのだ」と語る。

先に、Google(グーグル)のWing(ウィング)は、同社による提携を発表した。ウィングは、オーストラリアの小売店舗不動産グループであるVicinity Centres(ビシニティ・センターズ)と提携し、ドローンを使用した配達プログラムの範囲をさらに拡大する。ウィングは、10万件の配達を達成したという先日の発表に続き、オーストラリアのローガン市にあるグランドプラザショッピングセンターの屋上からの配達件数が、過去1カ月間に2500件に達したと発表した。

ローガン市の住民は、タピオカティー、ジュース、寿司を受け取ることができる。今や美容と健康に関する製品まで配達できるようになった。ウィングは「一般的な企業の建物には屋上があるため、当社の新しい屋上配達モデルによって、ほんの少しの出費とインフラ整備だけで、さらに多くの企業がドローン配達サービスを提供できるようになる」と語る。

画像クレジット:Jamba / Blendid

ジュースといえば(といっても、まとめ記事で筆者がよく使う前振りではない)、米国サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスムージーロボットメーカーのBlendid(ブレンディド)は先に、Jamba(ジャンバ)のモールキオスク2号店に同社の製品を導入すると発表した。このキオスクは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡のダウニー市のモールに今週オープンした。ちなみにダウニー市は、現在営業しているMcDonald’s(マクドナルド)の最も古い店舗がある都市でもある(Wikipediaより)。

これは時代の波だろうか。それとも何かのトリックだろうか。答えはどちらも「イエス」だ。

ジャンバの社長であるGeoff Henry(ジェフ・ヘンリー)氏はプレスリリースで「Jamba by Blendid(ジャンバ・バイ・ブレンディド)のキオスク1号店オープン後に、Stonewood Center(ストーンウッド・センター)に試験的にキオスク2号店をオープンして、モールの買い物客に新鮮なブレンドスムージーを販売できることをうれしく思います。ジャンバ・バイ・ブレンディドでは最新の非接触式食品提供技術を採用しているため、当社の現地フランチャイズ店は、ジャンバ好きのファンにスムージーを簡単に提供できます」と述べている。

画像クレジット:Abundant Robotics

ここで、フルーツに関するビジネスの果樹園サイドに注目しよう。Robot Report(ロボットレポート)に今週掲載された記事には、Wavemaker Labs(ウェーブメーカーラボ)が今夏に廃業したAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)のIPを取得したことが紹介されている。残念ながら、アバンダントのリンゴ収穫ロボットが復活するわけではなさそうだ。どうやら、ウェーブメーカーのポートフォリオスタートアップ企業であるFuture Acres(フューチャー・エーカーズ)のロボティクスシステムに、このIPが組み込まれるようだ。

最後に、アームに搭載されたRFアンテナとカメラを使用して紛失物を探す、MITが研究しているロボットを簡単に紹介しよう。以下はMITの発表からの引用文だ。

このロボットアームは、機械学習を使用して対象物の正確な位置を自動で特定し、対象物の上にある物を移動させ、対象物をつかみ、目標とする物体を拾い上げたかどうかを確認する。RFusionにはカメラ、アンテナ、ロボットアーム、AIが包括的に統合されており、どんな環境でも的確に機能する。特別な設定は不要だ。

画像クレジット:Diligent Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

Alphabet傘下のWingがショッピングセンターの屋上からドローンで配達する試験プログラムを開始

Alphabet(アルファベット)の子会社であるWing(ウイング)が、同社のドローンを使ってショッピングセンターの屋上から商品を飛ばす試験プログラムを開始した。実は同社最大の市場であるオーストラリアのローガン市で、このプログラムはすでに始まっている。Wingはオーストラリアの商業施設グループ、Vicinity Centres(ヴィシニティ・センターズ)と提携し、ローガン市のショッピングセンター「Grand Plaza(グランドプラザ)」で、この新しいビジネスモデルをテストしている。Wingのドローンは、発射台の真下にある店舗から、顧客に向けて直接注文された商品を飛ばしているのだ。

Wingは2年前からローガン市で事業を展開しているが、これまで企業は同社の配送施設に商品を配備する必要があった。参加企業が店舗を構えている場所から直接配達を行うのは、今回が初めてのことだ。8月中旬よりWingはGrand Plazaの屋上からドローンを飛ばし、同ショッピングセンター内の加盟店から寿司やタピオカティー、スムージーなどの商品を顧客に届けている。さらに現地時間10月6日には、市販の医薬品やパーソナルケア・美容製品の配達も開始した。

Grand Plazaでの運用開始から6週間で、Wingのドローンはすでにローガン市郊外のいくつかの地域へ2500件の配達を行っている。このAlphabet傘下の企業は、同ショッピングセンター内の提携加盟店に留まらず、配達エリアの拡大も計画している。

Wingのオーストラリアにおける政策・地域担当責任者を務めるJesse Suskin(ジェシー・サスキン)氏は、Grand Plazaでの試験運用が成功すれば「Vicinity Centresが運営する他の商業施設でも、同様のモデルを展開できる可能性がある」と述べている。

Grand Plazaでの試験運用が、より多くのVicinity Centresの店舗で屋上配達を行うことにつながるかどうかはまだわからないが、Wingがローガン市でかなりの成功を収めていることは確かだ。2021年に入ってから、同社は市内で5万回を超える配達を行っており、8月には総計10万回目の配達達成を祝ったところだ。

関連記事:ドローン配達のWingがサービス開始から2年で10万回の配達を達成、豪パイロットサービスで

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:Wing

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

花のような形状のMatternetのドローン自動発着ステーションがスイスの病院で初めて実用化

ドローンによる配送が物流の将来にどのように適合していくのか、誰にもはっきりとはわからない。しかし、1つ確かなことは、ドローンが大事な荷物を、注文主の家の芝生に直接落としてしまうわけにはいかないということだ。その解決策となりそうなのが、Matternet(マッターネット)の「Station(ステーション)」と呼ばれる、自動化されたドローンの着陸スペースと荷物の受け取り・送り出し機能を備えたタワーだ。この花のような形の構造物は、ついにレンダリング画像から現実の世界へ飛び出し、スイスの医療施設に設置された。

このStationは2020年初めに発表があったものだが、コンセプトのレンダリング画だけでは、最終的にアイデア通りのものになるかどうかはわからない。今回のケースでは、完全に60年代のSF映画の小道具のようなものができあがった。

しかし、この特異な形状は、荷物運び用ドローンが着陸してバッテリーを交換するための安全な場所を提供し、雨や風などの天候、そして罪のないロボットから医療用ペイロードを奪おうとする困り者から、ドローンと荷物を保護するという目的に適っている。

初めて実際に設置された今回のケースでは、ドローンが輸送するのは温度管理されたハードシェルケースで、中には通常は陸路で移送される多数のバイラル瓶が入れられる。これらは検査サンプル、血液、薬など、使用期限が短く、何らかの理由で施設間を移動する必要があるものが対象となるだろう。

ドローンで別の施設に運ぶために、スイスポストのキャリアに入れる小瓶を仕分けする女性(画像クレジット:Matternet)

Stationの内部で、ハードケースはドローンから取り外され、許可された人が取り出せるように保管される。支柱の部分には、病院の制限区域に入るときに使うようなIDバッジで開閉が保護された小さな収集用のドアが備わる。これは通常の認証システムと統合させることで、ドローンによって運ばれた荷物を、空気チューブやカート、マニラ封筒のように、しかし同じ建物内にいなくても、簡単に受け取ることができるようにするアイデアだ。

最初のStationはルガーノのEOC病院グループに設置されたが、最初の大規模な展開はアブダビで、市の保健局および同地のドローン配送会社SkyGo(スカイゴー)と協力し、市内の40カ所にStationのネットワークを構築する予定だ。これらも、比較的軽量で緊急性の高い医療品の搬送という基本的に同じ目的のために使用されるが、その規模はより大きなものになる。

アブダビで提案されているMatternet/SkyGoネットワークの地図(画像クレジット:Matternet/SkyGo)

2021年8月、Matternetはドローン企業として初めて、Pfizer(ファイザー)製ワクチンを拠点間で輸送した。これはどこの病院ネットワークや保健所も実現を望んでいる短期輸送だ。もし繁華街で大量の注射が必要になったら、多数の人々を避難させるのではなく、配給所や近くの診療所から数百人分のワクチンを空輸することができるようになる。

もちろん、このような貴重な荷物は、中庭や屋根の上に無造作に置き去りにするわけには行かない。だからこそ、Stationはこの種のネットワークに必須となるだろう。とはいえ、ネットで注文した食品を配達してもらうために、自宅の裏庭にStationを設置しようとは思わないほうがいい。

画像クレジット:Matternet

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アフリカでワクチンなどの必要物資を自社開発の自律走行型電動ドローンで届けるZiplineが278億円調達、物流ネットワークを拡大

アフリカ全土に医療用品を配送する事業として創業し、ドローンによる配送サービスを提供するスタートアップ、Zipline(ジップライン)が新たに2億5000万ドル(約278億円)の資金を調達した。今回の資金調達により評価額が27億5000万ドル(約3060億円)となった同社は、アフリカと米国における同社の物流ネットワークの拡大を今後さらに押し進める予定だ。

当初はルワンダで名を馳せたZipline。その後ガーナにも手を伸ばし、自律走行型電動ドローンを使って血液、ワクチン、救命薬などの必要物資を届けている。2014年に設立されたZiplineは、垂直統合型の企業である。つまり、無人のドローン、物流ソフトウェア、それに付随する発射および着陸システムの設計と製造をすべて自社で行なっている。TechCrunchの取材にて、ZiplineのCEOであるKeller Rinaudo(ケラー・リナウド)氏はこれは必要に迫られてのことだったと述べている。同社がドローン技術の開発を始めた当初、既製のものでは信頼性が低く、うまく統合することができないということにすぐに気づいたと同氏は振り返る。

「結局、フライトコンピューター、バッテリーパック、機体など、基本的にすべてのものをシステムから取り外さなければなりませんでした。そしてそれらすべてをゼロから作らなければなりませんでした」。

Ziplineは自らをドローン企業とは考えておらず、むしろ即席の物流プロバイダーであると同氏は強調している。また、同社は自律型ドローンのモデルを継続的に改善し続けているものの、過去5年間における成功の多くは、物流ネットワークの構築に関するものだった。困難に満ちていたとリナウド氏がいう初年の2016年に、ルワンダで事業を開始したその後、同社はルワンダにて物流会社のUPSとの提携を実現。日本でトヨタグループと提携し、またナイジェリアのカドゥナ州とクロスリバー州との連携も開始している。米国ではノースカロライナ州のNovant Health(ノヴァント・ヘルス)と提携して医療機器や個人用防護具を提供している他、小売大手のWalmart(ウォルマート)とも提携して健康・ウェルネス商品を提供している。

関連記事:米小売大手ウォルマートが医療品配達スタートアップのZiplineと提携、米アーカンソー州でドローン配送テストを拡大

パンデミックで打撃を受けた多くの企業とは異なり、Ziplineは個人用防護具だけでなく新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの納入という同社の事業をさらに加速させる明白な機会を得た。同社によると、年内に240万回分の新型コロナ用ワクチンを納入する予定だという。

同社は、処方箋などの医薬品を人々の家に直接届けるいうようなサービスも今後視野に入れていこうと考えているという。「テレプレゼンスを完成させるためには、即席物流サービスの存在がとても重要だと病院は考えているようです。電話一本で医者と話せるようになっても、それでは必要物資はどうしようかという事になるからです」と同氏は話す。

画像クレジット:Zipline

同社は現在、パンデミックのため規制当局から与えられた緊急免除の下での運営から、完全な商業運営の認証に移行するため、連邦航空局(FAA)に働きかけている。FAAの認証プロセスにおいてZiplineが競合他社より有利な点は、Ziplineのシステムが安全であるということを示す何千時間もの飛行データを同社が持っているという点だ。成功すれば、同社はこのような認証を受けた初のドローン配送会社の1社となる。

長期的に見れば他の産業にも目を向ける可能性はあるが、現時点では医療分野に焦点を当てているとリナウド氏はいう。同氏によると、ここ数カ月だけでもナイジェリアで5件、ガーナで4件、新しく配送センターとのサービス契約を結んだ他、米国の病院システムとも「複数の新規サービス契約」を結んでいるという。今回の資金調達は、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)が主導し、以前も投資したTemasek(テマセク)とKatalyst Ventures(カタリスト・ベンチャーズ)、新規投資家のFidelity(フィデリティ)、Intercorp(インターコープ)、Emerging Capital Partners(エマージング・キャピタル・パートナーズ)、Reinvest Capital(ラインベスト・キャピタル)の支援を受けて行われている。調達資金は新規契約のためのインフラ構築に使用される予定である。

今後3年ほどで、全米の一戸建て住宅の大半にZiplineのサービスを提供するというのが同社の目標だとリナウド氏はいう。

「トヨタやウォルマートなどの大企業がこの即席物流分野に大きな投資を始めているという事実は、人々がこの分野の到来を認識しているということの明確な表れだと思っています。変革の波が押し寄せているのです。これは医療システムや経済システムのあり方を大きく変えるものであり、物流によって人々に平等にサービスを提供できるようにするというのは、本当にエキサイティングなことです」。

画像クレジット:Zipline

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

小型無人飛行船でミドル・マイルの配達が抱える問題に挑むBuoyant

近年、飛行機やヘリコプターに取って代わられた技術である「飛行船」の復活を目指す企業が続々と登場している。

フランスのFlying Whales、英国のHybrid Air Vehicles、Lockheed Martin、億万長者のSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏などが、特に貨物輸送に重点を置いた飛行船プロジェクトを開発中だ。しかし、まだ顧客へのサービスを実際に開始したものはない。

Buoyantは、その最初の企業になりたいと考えている。

Buoyantは、ミドルマイルの貨物を運ぶ小型の無人飛行船を開発することを目的として、2021年Y Combinatorを卒業した。倉庫から家庭への配送ではなく、倉庫から倉庫への配送を考えてみて欲しい。創業者のBen Claman(ベン・クラマン)氏とJoe Figura(ジョー・フィグラ)氏は、小型飛行機やヘリコプターでの輸送に比べて、輸送コストを半分にできると述べている。また、他の企業が失敗している点については、小型であることで乗り越えられるという。Buoyantの最終的な飛行船は、建設に多額の資金と揚力に必要な大量のガスを必要とする数百フィート(数百m)の巨大な飛行船とは違い、約60フィート(約18.28m)の長さしかない。

クラマン氏とフィグラ氏は、MITのハードウェアエンジニアで、宇宙船やアンテナの製作に携わってきた。2人とも、以前の職場では、アラスカのような遠隔地(クラマン氏が育った地でもある)に低コストの通信手段を提供するプロジェクトに取り組んでいた。

Buoyantの創業者であるジョー・フィグラ氏とベン・クラマン氏(画像クレジット:Buoyant)

「ジョーと私がこれらの会社で働いていたときに話していたのは、インターネットだけでなく、実際の商品をこれらの地域に届けるのがいかに難しいかということだった」とクラマン氏はいう。「このような地域では、人々はオンラインで買い物をし、物を送ってもらっている。届くまでに何週間も何カ月も待たされることもある」。

クラマン氏は、Y Combinator参加時は、既存のプロトタイプに近い飛行船を作ることを想像していたと付け加えた。例えば、アマゾン(Amazon)のラストマイル配送ができる小型の機体だ。

「多くの企業と話をした結果、地方のラストマイルよりも地方のミドルマイルの方がはるかに大きな問題であることがわかった。例えば、ある地域に5000人の人が住んでいるとすると、その中の1人にラストワンマイルの配達を委託することができる。しかし、メインハブからその場所まで配達物を届けるのは、実際にはとても困難で、とにかくお金がかかる」。

この問題を解決するために、Buoyantは「ハイブリッド」なバッテリーを用いた電気飛行船を開発した。つまり、揚力の約70%を空気より軽いガス(この場合はヘリウム)で発生させる。残りの30%の揚力は、ティルトローター(垂直/短距離離着陸のための手法の1つ)の構造によるものだ。Buoyantによると、このハイブリッド設計により、貨物を降ろす際の困難な問題を解決することができる。ティルトローターを採用したことで、離着陸の際にヘリコプターに近い運用が可能になるからだ。

 

しかし、ヘリコプターには、カーボンファイバーやステンレススチールでできた1500~1万ポンド(約680〜4535kg)の重量を持ち上げる能力が必要だが、Buoyantの飛行船は、有効荷重自体とその機体の重量を持ち上げるだけで済む。これにより、資本コストを削減できるだけでなく、最終的には自律的に飛行することを目指して開発を進めているため、パイロットを使用する必要もない、とBuoyantは述べている。

Buoyantは、これまでに4隻の飛行船を試作し、飛行させてきた。最も最近飛行した小型スケールの船は、長さ20フィート(約6m)、最高時速35マイル(時速約56km)、積載量10ポンド(約4.5kg)だが、最終的な目標は、時速60マイル(時速約97km)前後の巡航速度で最大650ポンド(約294kg)の貨物を運搬できる飛行船を作ることだ。

この飛行船は、Part 107のライセンス(米国でドローンなど、航空機を飛行時に必要なライセンス)を取得して運航している。同社が顧客へのサービスを開始するには、飛行船の耐空性を証明する型式証明と、飛行船を操縦するグループに対する操縦証明の2つの証明を取得する必要がある。「どちらも多くの飛行時間を必要とするが、これが私たちの主な開発活動になる」とフィグラ氏はHackerNewsで述べている。

今後の予定としては、飛行制御システムの改良を続け、数カ月後には小型スケールのプロトタイプでフィールドデモを行う予定だ。Buoyantは、来年には実物大の試作機を作りたいと考えており、その際には自社で製造する可能性が高い、とクラマン氏は語っている。

Buoyantにとって、アラスカの地方航空会社を含む、複数の可能性のある顧客との間で交わした500万ドル(約5億4900万円)相当の趣意書を正式な契約に結びつけるためには、この先のいくつかのステップがとても重要になる。

また、今秋には小型スケールのプロトタイプ、1年後には実物大の機体で、いずれも物流・宅配会社を対象とした2つのパイロットプログラムを予定している。

「人間はコンピューターが登場する前から飛行船を建造していたし、空気力学を理解する前から飛行船を建造していたので、人類が飛行船を建造してきた期間の長さだけでもアドバンテージがある」とクラマン氏は付け加えた。「そこにはたくさんのデータがある。飛行船の開発が止まったわけではない。人類は基本的に、100年以上にわたって継続的に飛行船を開発してきた」。

関連記事:グーグル共同創業者セルゲイ・ブリン氏の災害救助用大型飛行船は水素燃料電池が動力

画像クレジット:Buoyant

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ドローン配達のWingがサービス開始から2年で10万回の配達を達成、豪パイロットサービスで

Alphabet(アルファベット)のドローン配達会社であるWing(ウイング)は、8月25日付のブログ記事で、同週末に10万件目の顧客への配達を達成する見込みであると発表した。このニュースが報じられたのは、同社がオーストラリアのブリスベン都市圏に位置する人口約30万人の都市ローガンでパイロットサービスを開始してから、間もなく2周年を迎える時期のことだ。

またそれは、Amazon(アマゾン)独自のドローン配達の取り組みが「内側で崩壊しつつある」とWiredが報じた数週間後のことでもある。Wingの広報責任者であるJonathan Bass(ジョナサン・バス)氏は、TechCrunchの取材に対し、このサービスが今後数カ月のうちに、さらに多くの市場に参入する予定であると語っている。

「私たちは、かなりの規模で拡大すると思います」と、バス氏はTechCrunchに語った。「今後6カ月以内に、オーストラリア、フィンランド、米国で新たにサービスを開始する予定です。この技術の能力はおそらく、今や規制当局の許可よりも先に進んでいます」。

画像クレジット:Wing

これまで行われた配達のうち、半分以上はこの8カ月間にローガンで完了したものだ。例えば、8月の第1週には4500件の配達が発注されており、これはWingの配送時間帯では30秒に1回の割合となる。

2020年1年間にWingのドローンがローガンで行った配達には以下のような品物が含まれている。

  • 1万杯のコーヒー
  • 1700個の子ども用スナックパック
  • 1200個のhot chooks(オーストラリアでローストチキンのこと)
  • 2700個のロール寿司
  • 1000食のパン

画像クレジット:Wing

Wingのドローンの航続距離は、バッテリー容量から6マイル(約10キロメートル)に制限される。つまり、移動時間はかなり短いため、ドローンの外部で品物が入ったパッケージを運んでいるにもかかわらず、食べ物が冷めたり温まってしまったりという問題はあまり起きない。制限されるのは主に重量で、最大3ポンド(約1.4kg)までの運搬が可能だという。卵のような非常に壊れやすいものでも問題なく運べると、同社は述べている。

ドローンは上空100〜150フィート(約30.5〜46メートル)で巡航し、目的地に到着すると約23フィート(約7メートル)の高さまで降下する。そこからロープで荷物を地上に降ろし、フックを外す。荷物を受け取るのに誰の手も必要としない。

画像クレジット:Wing

「テストと配達を合わせると、私たちは過去4〜5年の間に50万回近いフライトを行っています」と、バス氏はいう。「我々は徐々に密集した環境に移り、コミュニティに耳を傾けるようになりました」。これにはドローンの騒音レベルを下げるように求めるコミュニティからの意見も含まれる。

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画像クレジット:Wing

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

1度のフライトで3回の荷物配達が可能な新型ドローンをWingcopterが発表

ドイツのスタートアップ企業であるWingcopter(ウイングコプター)は、ドローンによる輸送サービスの成長を妨げている技術的なボトルネックを取り除くために設計された、新しい自律飛行型配達用ドローンを発表した。

現地時間4月27日に公開された「Wingcopter 198」は、1度のフライトで3回に分けた配達が可能だという。Wingcopterは、このマルチストップ機能を、コスト効率の高い(そして願わくば利益を生む)ドローンによる配送サービス事業を成長させるための重要な機能としている。

2017年に設立された同社は、ドローンの製造からスタートした。その収益を元に規模を拡大し、現在ではドローンによる配送をサービスとして提供するビジネスモデルを展開している。「ドローンを作るだけでなく、ネットワークを作ること、それが私たちの次のミッションです」と、同社CEOのTom Plümmer(トム・プラマー)氏はTechCrunchに語った。現在、同社のウェブサイトでは、ヘルスケア、eコマース、食料品の配送などを目的としたデリバリー事業を推進している。プラマー氏の声明によると、その究極の目的は「空の物流ハイウェイ」を作ることだという。

それを実現するための鍵となるのが、特許取得済みのティルトローター推進機構だ。同社はこれを、スムーズな垂直離着陸や空中での正確なホバリングを可能にするマルチコプターと、長距離の高速飛行を可能にする固定翼という、2種類のドローンの利点を組み合わせたものと主張している。

新モデルのWingcopter 198は、最高速度が150km/hで、1回のバッテリー充電で最大6kgの荷物を75km以上の距離まで運ぶことが可能だ。荷物を減らせば最大110kmの距離を飛行できるという。

強風などの悪天候にもチルトローターは自動的に対応できると、プラマー氏は説明する。そのアーキテクチャには、冗長性と安全性のために8基のモーターが搭載されている。

画像クレジット:Wingcopter

このドローンは、障害物を回避したり、指定された場所に荷物を投下するためのセンサーとソフトウェアを搭載しており、すべて自動化されている。そのため、人間のオペレーターが1人いれば、世界中のどこからでも、Wingcopterのコントロールステーションソフトウェアを搭載したPCを使って、この新型ドローンを最大10機まで監視・操作することができる。プラマー氏の説明によると、ドローンの操作は、オペレーターがソフトウェアプログラムの「スタート」を押すだけでいいという。

プラマー氏は、チルトローターシステムの拡張性も強調し、(理論的には)より大きな航空機に適用して、貨物や人間の乗客を運ぶことさえ可能だと述べている。

「単にコストの問題です」とプラマー氏は語り、同社にはチルトローター機をスケールアップさせるために必要な航空・航空工学の経験を持つ人材がすでにいると言及した。「しかし私たちは、まずは小さいバージョンから始めて【略】何千時間、何千キロメートルものフライトを行い、その成果を次世代のWingcopterに反映させていくことによって、まずは貨物用から後に人の移動用へと、徐々に大型化していくことができると考えました」。

プラマー氏によると、同社のドローンを軍事目的や監視目的で使用する企業や政府機関と協力関係を築くつもりはないという。その理由は「主にモラルです」と、同氏はいう。「私たちのビジョンにはそぐわないと考えています。私たちのビジョンは、ドローン技術とドローンソリューションを使って人命を救い、生活を向上させることです」。

将来を見据えて、Wingcopterは現在、米国での商業飛行を可能にする連邦航空局の認証取得を目指している。この認証を得られれば、競合の少ない分野で事業を展開する企業の1つとなる。同社は2021年1月に2200万ドル(約24億円)のシリーズA投資ラウンドを実施したばかりだが、新たな資金調達にも目を向けている。現在は約120名の従業員が働いているが、シリーズBで資金を追加投入すれば、AI、操縦、生産などの専門知識を持つ人材を雇用することが可能になるからだ。

関連記事:独Wingcopterが米国に進出し新世代配送用ドローンを展開、4年間の自己資金運営を経て22.8億円調達

カテゴリー:ドローン
タグ:Wingcopter資金調達ドローン配送

画像クレジット:Wingcopter

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英国のドローンスタートアップsees.aiがBVLOS飛行試験の許可を取得

英国の民間航空管理局(CAA)は現地時間時間4月19日、産業用ユースケースのためのデータ収集を支援するBVLOS(目視見通し外)飛行のコマンド&コントロールソリューションを開発する同国のスタートアップsees.ai(シーズエーアイ)に、英国の民間企業としては初めて、BVLOSの定常運用の概念実証試験を認可したと述べた

この試験は、2019年5月に発表された、政府の資金援助と規制当局の支援をドローン分野の研究開発に向けるサンドボックスプログラムの一環として行われる。最初は、回避システムや検知システムの仮想テストから実施される。

Sees.aiは、このサンドボックスプログラムに早期から参加している企業の1つだが、これで、3つの(物理的な)試験場で、毎回事前の許可を得ることなく、定常BVLOS運用の概念実証試験が行える権限を手にした。

Techstars(テックスターズ)の支援を受けるこのスタートアップは、工業環境でのドローン運用、つまり、石油やガスなどの工業分野での検査や維持管理の目的に合わせてドローン利用の規模を調整し、フライトごとにパイロットが現地に赴かなくとも、特定の場所から遠隔操作できる技術の構築にフォーカスしている。

だが、BVLOS能力は、配達などの他分野のドローン利用にも欠かせないものであることは明らかだ。そのためCAAも、この試験を「ドローン業界にとって極めて大きなステップ」と呼ぶ。

「検査、モニター、維持管理といった工業環境で概念を試すことで、sees.aiはまずその状況での同社システムの安全性を実証し、その後に、時間をかけて、徐々に困難さを増すミッションへの対処をテストしていきます」と同局は話している。

現在の英国の規制では、特別な許可がない限り、オペレーターはドローンを見通せる範囲内に留め、英国のドローン規定に従わなければならない。

過去にその許可を得た企業に、米国のテック最大手Amazon(アマゾン)がある。2016年に英国でBVLOSによる宅配ドローンの試験を開始した。現在も、Prime Air(プライム・エアー)というブランド名で、商用ドローン配達サービスを市場に投入しようと活動を続けている。

Amazonの取り組みはすでに何年間にも及んでおり(実験は2003年から行われている)、2020年、Financial Times(ファイナンシャル・タイムズ)がPrime Airの文書を引用するかたちで伝えたところによると、世界中で大規模にドローン宅配が行えるようになるまでは、あと「何年」もかかるとのことだ。そのため、また別のBVLOSドローン技術の試験が英国で始まり、これが業界にとって規制当局の大変な進歩であったとしても、ドローン宅配がすぐにでも実現するという英国人の期待は、裏切られることになりそうだ。

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CAAがsees.aiに試験許可を与えたことで、BVLOSのテスト飛行は150フィート(約45メートル)以内で可能となる。最初は、ドローンを目視できる場所に監視人を置き、必要に応じてリモートのパイロットと通信ができるようにしておくことが規定されている。

つまり厳密に言えば、最初は、本当のBVLOSではなく、範囲を限定したEVLOS(拡張視野見通し内)飛行となる。つまり、リモートのパイロットから500メートル以上離れた範囲を飛行できるが、監視人を配置する必要があり、同社が最終目標としている完全に監視人を廃した飛行とはならない。CAAは、監視人を置かない飛行を目指していると明言しているが、それは試験によってsees.aiの概念が実証された場合だ。また同局は、この試験は、従来のEVLOS飛行とは異なるとも話している。監視人が常にパイロットと連絡を取り合う必要がないからだ。必要なときにだけ話ができる手段があればよい。

CAAが2020年秋に発表したロードマップによれば、範囲を限定しない空域での「ごく普通の」状態でのBVLOSになんとか到達するまでには、数多くの手順を踏まなければならない。そのため、商用ドローンが運用者から遠く離れた場所で合法的に飛び回りデータ収集(や荷物の配達)ができるようになるまでには、まだ道のりは長い。

「BVLOS運用における運用者の長期的な願望は、英国中の事業でそれがごく普通のものになることです。これが実現するためには、膨大な量の実証結果と、これに関わるすべての人の膨大な経験と学習が必要です。イノベーターにもCAAにもその未来を構築し、テストし、学習し、そして小さなステップを繰り返し行う努力が欠かせません」とCAAのロードマップには記されてる。

sees.aiのCEOであるJohn McKenna(ジョン・マッケナ)氏は声明の中で、今回の試験の許可を「極めて画期的な出来事」と称し、こう述べている。「私たちは、ドローンが大規模に自律飛行する未来に向かって加速しています。そこには、上は有人飛行から、下は工場や校外や街といった範囲内の飛行が含まれます。英国で初の許可を取得したことは、この旅の大きな一歩となり、公共衛生および安全から、効率化や環境へのインパクトに至るまで、大きな社会的恩恵をもたらすことになります」。

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カテゴリー:ドローン
タグ:sees.ai民間航空管理局(CAA)イギリスドローン配送

画像クレジット:sees.ai

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(文:Natasha Lomas、翻訳:金井哲夫)

DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指すベンチャーキャピタルのDRONE FUND(ドローンファンド)は3月9日、2020年5月に目標調達額を100億円とする「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」(3号ファンド)を設立し、2020年9月にファーストクローズを実施したと発表した。

3号ファンドでは、清水建設、キャナルベンチャーズなどを新たにLP投資家として迎え、ファーストクローズとあわせて総額約50億円の調達を実施した。ドローンファンドはファイナルクローズに向けて、今後も資金調達を続ける。

DRONE FUNDによると、ドローンやエアモビリティをはじめとする空のテクノロジーは、国土・インフラの保全、産業活動の効率化と発展、日々の暮らしを支えうるソリューションとして注目を集めているという。デジタル政策やグリーン政策の重点化や、全国でのスマートシティに関する機運の高まりも大きな追い風としている。

DRONE FUNDは、これらを背景にドローン・エアモビリティのさらなる社会実装を促進するべく、3号ファンドを設立。次世代通信規格5Gをはじめとする通信インフラの徹底活用などを通じ、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDXを可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与しうるテクノロジー、ソリューションへの投資を展開するとしている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ドローン(用語)Drone FundDRONE FUND 3号投資事業有限責任組合日本(国・地域)

独Wingcopterが米国に進出し新世代配送用ドローンを展開、4年間の自己資金運営を経て22.8億円調達

ドイツのドローン技術スタートアップWingcopter(ウィングコプター)は、これまでほぼ自己資金でやってきたのだが、初めての大型ベンチャー投資となるシリーズAラウンドで2200万ドル(約22億8000万円)を調達した。

ドローン配送に特化する同社は、2017年の創設以来、長い道のりを経て、特許技術である独特なティルトローター機構を採用した配送用Wingcopter 178 Heavy-lift(ヘビーリフト)の開発、製造、飛行を実現させた。これは、垂直離着陸機が持つあらゆる利点と、長距離の水平飛行を可能にする固定翼機の長所を持つものだ。

この新しいシリーズAラウンドは、シリコンバレーのベンチャー投資企業Xplorer Capitalと、ドイツの成長株ファンドFutury Regio Growthが主導した。WingcopterのCEOで創設者のTom Plümmer(トム・プラマー)氏はインタビューの中で、シリコンバレーの投資企業を加えたことは、同社にとって特に重要だったと話している。FAA(米連邦航空局)の規制をクリアして事業認可を得るための試験飛行の実施や、将来の米国におけるドローン製造のための同国支社設立など、米国進出の準備を進めている最中だからだ。

Wingcopterはすでに、世界各地のさまざまな市場で商用運用を行っている。たとえばバヌアツでは、ユニセフと共同で辺境地域にワクチンを届けている。タンザニアでは、政府とともに医療物資の双方向輸送を行っている。アイルランドでは、インスリンの輸送のために世界初の目視見通し外(BVLOS、緊急対応のための人間のオペレーターが目視できる範囲を超えてドローンが飛行することを意味する専門用語)の運用を世界で初めて実現した。

WingcopterのCEOで創設者のトム・プラマー氏(画像クレジット:Jonas Wresch)

これまでWingcopterはドローンのOEMメーカーとしてのビジネスモデルを追求しており、彼らのドローンを効果的に購入したいという熱心な顧客もいた(ある客などは、まだ会社用の銀行口座もないうちに送金しようとしきたとプラマー氏は話す)。しかし現在は、ドローンで「サービスとしての配達」を提供する事業を進めようとしている。苦労して技術を一から作り上げ、事業展開に必要な世界各地の規制当局の認可を取得してきたプラマー氏と共同創設者たちは、その過程でこう悟った。サービス事業への参入は単に新しい収入源を得るためのものではなく、潜在顧客のより多くのニーズに、より良い対応できるようにするためのものだと。

「認可の申請、認可の取得、そして今は5つの大陸のいくつもの国との共同事業を通して、実際にBVLOS飛行でドローンの運用を行っている私たちは、それに大変に長けているのだと知りました」と彼はいう。「それが非常に大きな収入源となりました。収益の半分以上を占める時期もありました。しかしOEMとしてビジネスモデルの拡大を考えると、それは何というか……リニアです」。

確かな収益と安定した需要によるリニアな成長は、大学生たちが家族や友人から少額の資金を集めて設立し、自己資金でやってきたスタートアップであるWingcopterにすれ重要なことだった。しかしプラマー氏は、彼らが開発したテクノロジーにはもっと大きな潜在力があると、みんなで話しているという。しかも、ドローンによる「サービスとしての配達」市場の急激な拡大が、旧来型のベンチャー投資家に対して説得力を持つようになっている。初期のころからWingcopterに話を持ちかけるベンチャー投資企業はあったものの、その当時は彼らの方向性に合わないと感じていたとプラマー氏は話す。だが、状況は変わった。

「この4年間、自己資金でやってこられたのはラッキーでした」とプラマー氏。「なにせ、ドローンの販売収益だけで、30人もの従業員を雇えたのです。しかしある時点から、本気で収益の計画を考えるようになると、月々決まった収益がほしくなります。ソフトウェアビジネスの、サービスとしてのソフトウェアのように継続されるものです」。

Merckの配送を行うWingcopter 178配達ドローン。

Wingcopterはまた、サービス事業にとって都合のいいヘッジを構築することもできた。それは自社がハードウェアの供給元であることに加え、商用ドローン飛行の黎明期に世界の数多くの航空規制当局と密接に協力して規制プロセスを作り上げてきた実績によるものだ。たとえば現在同社は、FAAと認可のための協議の最中だ。週に1度当局を訪問して、BVLOSドローン運用のための認可手続きを協議している。規制環境を理解していることと、さらには規制環境の構築の手伝いもしていることが、自社に専門家を雇い入れて規制対応部門を創設するのが難しい企業への大きなセールスポイントになる。

だが同社は、およそ6kgの荷物を搭載して最大時速160kmで120kmまでの範囲を飛行できるWingcopter 178 Heavy-Liftを販売するだけではなく、OEMとしての役割も継続する。なぜなら、そのユニークなティルトローター機構により、飛行効率がよいばかりか、さまざまな条件下での飛行も対応できるからだ。他のドローンと違い、より厳しい条件での離着陸ができる。

Wingcopterは、ハードウェア開発業者としての栄光の上にあぐらをつもりはないとプラマー氏は話す。同社は間もなく、異なる能力を有する新型機を発表し、OEMとして、またサービスとしてのドローン事業として、対応可能な市場の範囲を拡大する予定だ。

 

米国に進出しても、配送市場に重心を置くことに変わりはないが、その特異なテクノロジーが、観測や調査などの市場や、さらには通信分野の需要にうまく対応できない理由はないとプラマー氏は指摘する。しかし、Wingcopterには望まない市場がある。軍事と防衛だ。これらは宇宙航空とドローンの市場では上得意客ではあるが、プラマー氏によれば、Wingcopterには「持続可能で効率的なドローンソリューションを生活の向上と命を守るために創造する」という理念があるという。そして彼らは、この理念に沿うあらゆる潜在顧客に目を向けているが、防衛産業はこれに当てはまらない。

同社はシリーズAラウンドのクローズを発表したばかりだが、すでにいくつかの有望な投資家にシリーズBラウンドへの参加を呼びかけているとプラマー氏は話す。さらに、FAAの認可に必要な試験過程で力になる、内蔵システムソフトウェア開発と飛行運用試験のための人材を米国で募集する予定でいる。

プラマー氏は、Wingcopterの特許技術であるティルトローターからはロングテールとしての価値が生まれ、幅広い業界で活躍できる可能性があると見ている。だが、その価値を本当に実現するまでは、M&Aによる可能性は一切探らないという。その一方で同社は、ユニセフのAfrican Drone and Data Academy(アフリカン・ドローン・アンド・データ・アカデミー)に協力して、ドローンの飛行と運用のための訓練プログラムを実施するなど、未来の潜在顧客のための種まきを始めている。

Wingcopterがドローンによる配送事業に明るい未来を描いていることは確かだ。他に差をつけるハードウェアの上に構築した事業に集中し、さらに世界の規制作りに貢献することで、その未来の中心に同社が立てるようになるだろう。

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カテゴリー:ドローン
タグ:Wingcopter資金調達ドローン配送

画像クレジット:Wingcopter

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(翻訳:金井哲夫)