TechCrunch Japanは本日25時30分よりWWDC19解説生放送を放映、その見どころは?

アップルは太平洋標準時の6月3日午前10時(日本時間6月4日午前2時)に、毎年恒例の開発者向けイベント「WWDC」を開催する。今年のWWDC19の開催場所も、昨年と同様に米国カリフォルニア州サンノゼにあるMcEnery Convention Center(マッケンナリー・コンベンション・センター)。会期は7日までの5日間。

プログラムを見てみると、詳細は未定(To Be Announced)ながらタイトルが日本語や簡体字、ハングルで記載されたセッションが用意されているので、もしかすると各国に特化した発表があるのかもしれない。しかし、太平洋標準時6月3日午前10時からの基調講演以外はNDA(守秘義務契約)が前提なので、残念ながら一般メディアでは各セッションの詳細を伝えられない。

TechCrunch Japanでは、3月のiPad発表会に引き続きWWDC19のライブ中継を見ながらその内容を解説するニコニコ生放送を放映する。放送開始時間は本日25時30分(6月4日午前1時30分)。終了時間はWWDC19の基調講演が終わり次第。放送中には、姉妹サイトであるEngadget日本版の速報記事も適宜紹介・解説する予定だ。

【iOS13?新Mac Pro発表!?】アップルWWDC2019 発表イベント実況~Engadget日本版 & TechCrunch Japan

さて、TechCrunch Japanでは、すでにWWDC19で発表される内容を予想した記事を公開しているが、実際にどこに注目すべきかを改めてまとめておく。

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■iOS

iOS 13がプレビューされる予定。新機能としてウワサされているのは、昨年リリースのmacOS Mojaveで搭載されたダークモード。UIの基調色を黒系にすることで落ち着いた印象になるが、個人的には正直いってどうでもいい。一方で話題の5Gやアップルが注力しているARについて大きな発表があるのは来年に登場予定のiOS 14になるという。このタイミングで5Gについてまったく触れないとなると、かなりの出遅れ感はある。

個人的にずっと前から期待しているのが「メッセージ」アプリのオープン化だ。現在、米国では送金などにも対応している同アプリだが、いまのところiOSデバイスやMacとしかやり取りできないため使用範囲がかなり限られてしまう。LINEのようにiOSとAndroidに両対応、もしくはFacebookメッセンジャーのようにスマホやタブレット端末、PCで同じアカウントを共有できるようにして、ユーザーの拡大を目指すべきではないか。Goolgeと協力してデフォルトのメッセージアプリの共通化を進めてもいいかもしれない。

米中の貿易摩擦によってファーウェイ製品を閉め出している米国だが、一方で中国でのiPhoneは人気に陰りが見える。仮にG20で米国と中国が妥協点を見い出して和解しても、ハードウェア性能でファーウェイ端末を圧倒できなくなっているiPhoneが、中国で再びシェアを伸ばすことは考えにくい。となるとアップルは大幅な戦略の練り直しが必要だ。

iPhoneのシェアが高い米国や日本を重視したサービスや機能をiOSに組み込むべきだろう。PayPayとLINE Payの壮絶な殴り合いでキャシュレス決済やユーザー間送金が身近になってきた日本なら、メッセージアプリの送金機能やマルチプラットフォーム化は歓迎されるかもしれない。アニ文字の種類を増やしている場合ではないのだ。

 

■macOS

最近のmacOSは、iOSに先行導入された機能を取り込む傾向が強いが、昨年登場したmacOS Mojaveでは、iOSの機能ではなくアプリごと取り込んだことで話題になった。もちろん、WWDC19で期待するのはMarzipan(マジパン)だ。

Marzipanとは、iOSとmacOSのソースコード共通化できるアプリ開発環境のこと。WWDC18でこの開発環境のβ版を利用して、株価、ボイスメモ、ホームなどのiPadアプリがmacOSアプリに移植された。とはいえ、タッチパネル操作が前提のiOSデバイスと、キーボードとマウス(トラックパッド)の操作が前提のMacではアプリのUI/UX設計が大きく異なる。従って実際にはまったく同じソースコードを使うことは難しいが、果たしてどこまで少ない手間でmacOSに最適化できるのか注目だ。

いっそのこと、Apple AシリーズのSoCで動作するmacOS、もしくはタッチパネル操作が可能なMacをリリースしてほしいところだ。特に後者が登場すれば、Marzipanによる単一コード化はさらに容易になるほか、iOSとmacOSの融合による新たなユーザー体験を生み出せるかもしれない。

 

■watchOS

アップルの数少ない成長分野であるApple Watchは、健康をより重視する機能の搭載を期待したい。既存機能の拡張としては、ユーザーの動きに応じて自動的にエクササイズの種類を判別する機能の精度向上、計測できるバイタルデータの種類を増やすといった内容もうれしいところ。WWDCでは、おそらく米国の大手医療機関の要人がゲスト登壇していろいろ話すのだろう。日本在住のユーザーとしては、心電図機能を早く使えるようにしてほしいところ。

 

■tvOS

ソフトウェアのApple TVの登場で、先行きがよくわからないハードウェアのApple TV用のtvOS。個人的には、Apple TVアプリが予定どおりAmazonのFireTVに対応すれば、ハードウェアのApple TVの必要性はかなり下がると感じている。サブスクリプションなどをサービス事業を柱とするならば、ハードウェアとそれにともなうOSの開発はこの際きっぱり中止して、アプリ開発に注力する手もあるのではないか。

 

■ハードウェア

ウワサされているのは、もちろんMac Pro。2013年以来6年ほど新モデルが登場しておらず、待たせるにもほどがある。これまでのアップルの発表では、新Mac Proはモジュール形式のマシンになるとのこと。CPUやGPU、そしてロジックボードまでを適宜取り替えたり、増設したりできる仕様になるのか期待して待ちたい。スペック的には、CPUにXeonプロセッサ、GPUにRadeon Pro Vegaの最新版が採用されるのだろう。できればGeForceも使いたいが。

とはいえ、いまどきMac Pro級のパワフルなマシンが必要なユーザーは限られている。本体価格が高価すぎると、iMac Pro同様一部のプロフェッショナルなユーザーだけのマシンとなり、先行きがまた不安になってくる。モジュール形式を生かして最小構成は10万円台の手頃な価格設定にし、オプションでいろいろ追加していくと100万円超になるといった夢のある設計にしてほしい。もちろん、LEDでピカピカ光るようなギミックはいらない。

そして、アップルがいま提案すべきなのはAR/VRコンテンツの開発・視聴環境としてMac。Facebookからは、6DOF対応VRヘッドマウントディスプレイの最高峰であるOcurus Rift Sが出荷されたばかりなので、少なくとももRift Sへの完全対応を果たしてほしいところ。AR/VRの開発環境についてはWWDC18でも概要が発表されたが、VR/AR市場を本気で獲りに行くという力強いメッセージをアップルから聞きたいものだ。