米上院議員がFacebookに研究者のアカウントを停止させた理由の説明を求める

Facebook(フェイスブック)が先週、誤報研究プロジェクトに携わる研究者のアカウントを停止するという決定を下したことは、同社に対する大きな反発を招き、そして今、米国議会が関与する事態にまで発展している。

当時、何人かの議員はこの決定を批判し、Facebookが不透明なアルゴリズムや広告ターゲティングの方法を透明化しようとする努力を敵視していると非難していた。研究者たちは、これらの隠されたシステムを研究することが、政治的な誤報の流れを洞察するために重要な作業であると考えている。

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Facebookは、特にニューヨーク大学の「Cybersecurity for Democracy(サイバーセキュリティ・フォー・デモクラシー)」プロジェクトに所属する2人の研究者に対して罰則的な措置をとった。この研究者たちは「Ad Observer(アド・オブザーバー)」と呼ばれるオプトイン方式のブラウザツールを使って、Facebookがどのように人々の興味や属性に応じて広告ターゲティングを行っているかを研究している。

ロン・ワイデン
長年にわたってユーザーのプライバシーを侵害してきたFacebookが、その問題点を暴露する研究者を取り締まる口実として、プライバシー侵害という言葉を利用するのは、馬鹿げていると思います。私はFTCに、この言い訳がインチキであることを確認するよう求めました。

ラウラ・エデルソン
今夜、Facebookは私のFacebookアカウントと、ニューヨーク大学のチームであるCybersecurity for Democracyに関連する数名のアカウントを停止しました。これにより、私たちはFacebookのAd LibraryデータやCrowdtangleへのアクセスができなくなりました。

上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブチャー)氏(民主党・ミネソタ州)、Chris Coons(クリス・クーンズ)氏(民主党・デラウェア州)、Mark Warner (マーク・ワーナー)氏(民主党・ヴァージニア州)は、FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOに宛てた書簡で、研究者のアカウントを削除した理由や、彼らがどのようにプラットフォームの利用規約に違反してユーザーのプライバシーを侵害したというのかということについて、十分な説明を求めている。議員たちは米国時間8月6日にこの書簡を送った。

「Facebookがユーザーのプライバシーを守らなければならないことには同意しますが、同様に、Ad Observatoryプロジェクトに参加しているような信頼できる学術研究者やジャーナリストが、Facebookのプラットフォーム上で拡散している誤報や偽情報、その他の有害な活動に、同社がどのように取り組むべきかを明らかにするために独立した調査を行うことを、Facebookは許可しなければなりません」と、議員たちは書いている。

議員たちは長い間、特に2016年にFacebookが選挙の偽情報を配信していたことが発覚した後、政治広告や誤報について、より透明性を高めるよう同社に求めてきた。こうした懸念は、Trump(トランプ)氏の支持者が投票結果を覆そうとして連邦議会議事堂で暴動を起こすに至った選挙に関する誤報の拡散に、Facebookが重大な役割を果たしたことから、さらに高まった。

Facebookは、今回の決定を擁護するブログ記事の中で、アカウントを停止させた理由の1つとして、FTC(米連邦取引委員会)の命令を遵守するためということを挙げている。しかし、FTCは先週、ザッカーバーグ氏に宛てた書簡の中で、FTCの同社に対する指導は公益目的の研究を奨励することを妨げるものではないと指摘し、Facebookの虚勢を批判した。

「実際に、FTCは、特に監視型広告を中心とした不透明なビジネス慣行に光を当てようとする努力を支援しています」と、FTCの消費者保護局で局長代理を務めるSamuel Levine(サミュエル・レヴィン)氏は書いている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがニューヨーク大学研究者からのアクセスを遮断、議員から反発を受ける

Facebook(フェイスブック)は米国時間8月3日、2人の学術研究者のアカウントを停止し、世界最大のソーシャルネットワーク上における政治広告や誤報を研究する力を奪った。

Facebookは、2人の研究者が「不正なスクレイピング」を行い、同社のプラットフォーム上でユーザーのプライバシーを侵害したと非難した。しかし、この主張に対し、Facebookの多くの批判者は、透明性に関する研究を阻止するための薄っぺらい口実だと酷評している。

Facebookが行動を起こした相手は、ニューヨーク大学の「Cybersecurity for Democracy(サイバーセキュリティ・フォー・デモクラシー)」プロジェクトに所属する著名な研究者で、以前からFacebookと対立していたLaura Edelson(ラウラ・エデルソン)氏とDamon McCoy(デーモン・マッコイ)氏の2人。この措置により、2人は「Ad Library(広告ライブラリ)」(これまでFacebookが行ってきた唯一の重要な透明性確保の取り組みだ)にアクセスできなくなり、さらにFacebookのモニタリングサービス「CrowdTangle(クラウドタングル)」から得られる人気投稿に関するデータも利用できなくなった。

Facebookとエデルソン氏やマッコイ氏との間には、過去に因縁がある。同社は2020年の米国大統領選挙の数週間前に、2人が作成した「Ad Observer(アド・オブザーバー)」と呼ばれるオプトインのブラウザツールを無効にして調査結果も公表しないように求める停止命令を送っていた。Ad Observerは誰でもインストールできるブラウザツールで、Facebookを1兆ドル(約110兆円)規模の企業に成長させた広告が、誰をどのようにターゲットにしているかを、研究者が知ることができるようにするものだ。

「この数年間、私たちはこのアクセスを使用して、Facebook広告ライブラリのシステム上の欠陥を明らかにし、選挙システムに不信感を植え付ける多くの政治広告の誤報を特定し、Facebookが党派的な誤報を明らかに増幅させていることについて調査してきました」と、エデルソン氏はTwitter(ツイッター)で述べている。

「Facebookは、私たちのアカウントを停止することで、これらすべての研究を事実上終わらせました。また、Facebookは、私たちのプロジェクトを通じてFacebookのデータにアクセスしている他の20数名の研究者やジャーナリストたちへのアクセスも、事実上遮断しました。それらの中には、Virality Project(バイラリティ・プロジェクト)と共同で行っているワクチンの誤報に関する調査や、私たちのデータを利用している多くのパートナーが含まれます」。

この事件をきっかけに、Facebookがより危険な行動におよぶ可能性において、透明性よりも不透明性を重視する姿勢が改めて批判されることになった。

翌8月4日になると、Facebookの行動は一部の連邦議会議員からも注目を集めた。民主党のRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員(オレゴン州選出)は、Facebookがユーザー保護の名目で研究者を罰する決定を下したことについて、同社が習慣的にプライバシーを侵害してきた長い歴史に照らし合わせて批判した。また、ワイデン上院議員は、Facebookが研究者のアクセス権を剥奪したのは、過去にユーザーのプライバシーを侵害したとして連邦取引委員会から出されたプライバシーに関する命令を遵守するためであるという同社の主張を「はったり」であると言い放った。

ロン・ワイデン
長年にわたってユーザーのプライバシーを侵害してきたFacebookが、その問題点を暴露する研究者を取り締まる口実として、プライバシー侵害という言葉を利用するのは、馬鹿げています。私はFTCに、この言い訳がインチキであることを確認するよう求めました。

ラウラ・エデルソン
今夜、Facebookは私のFacebookアカウントと、ニューヨーク大学のチームであるCybersecurity for Democracyに関連する数名のアカウントを停止しました。これにより、私たちはFacebookのAd LibraryデータやCrowdtangleへのアクセスができなくなりました。

民主党のマーク・ワーナー上院議員(バージニア州選出)も、Facebookの最新の論争について、この決定を「深く憂慮すべきもの」と意見した。ワーナー上院議員は、独立した研究者たちが「有害で搾取的な活動を明らかにすることで、ソーシャルメディアプラットフォームの品位と安全性を改善し続けている」と讃えている。

ワーナー上院議員は「詐欺や不正行為の主な原因となり続けているオンライン広告の影の世界に、より高い透明性をもたらすために、議会が行動を起こすべき時はとっくに来ています」と語った。

Firefox(ファイヤーフォックス)の開発元であるMozilla(モジラ)は4日、Ad Observerを擁護し、同社のストアフロントでこのブラウザ拡張機能を推奨する前に「コードレビューと同意フローの検証の両方を行って、2回レビューした」と強調した。Mozillaのチーフセキュリティオフィサーは、ブログ記事の中で、Facebookの主張は「まったく筋が通っていない」と述べている。

同日には、多くの独立した通信社、研究者、誤報専門家もFacebookの決定を非難した。The Markup(ザ・マークアップ)のJulia Angwin(ジュリア・アングイン)氏とNabiha Syed(ナビハ・サイード)氏は「Facebookのプライバシーに対するぞんざいなアプローチが、同社がこれほどまでに支配的になることを可能にしました」と、共同声明の中で書いている。

「しかし今、独立した研究者たちが、同社のプラットフォームとその影響力を調べようとすると、Facebookはユーザーのプライバシーを盾にして隠れようとしているのです」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)