【レビュー】Beats Fit Proは一歩先行くワイヤレスイヤフォン、2万円強でワークアウトに超おすすめ

イヤフォンのレビューが非常に難しいのは、まったく同じ耳を持つ人がいないからだ。まったく同じ耳はない。間違ったセットを長期間使用すると痛みを感じやすい私としては、自分に合ったペアを見つけることの重要性を実感している。

Beats Fit Pro(ビーツ・フィット・プロ)の情報が最初にリークされたとき、私は不安を抱いた。デザイン的には、Apple(アップル)の子会社であるBeatsが夏に発売したStudio Buds(スタジオ・バッズ)とほぼ同じだが、大きな違いが1つある。「ウイング」だ。翼、翼端、イヤーピース、ヒレ、何と呼んでもいいが、私は嫌いだ。実際、私はその耳に詰め込む奇妙な小さな尖った代物をみたときに、本能的な嫌悪感を感じた。

まあそれは、何年か前にワークアウト用のヘッドフォンをテストしたときの名残であることも認めたい。当時のウイングは、見た目と同じように極端に尖った硬いプラスチック製だった。安定性の観点からは、たとえば長時間の走行時にこのような形状が有効であることは理解できるものの、私はどうしても必要な場合を除いて、基本的に体のデリケートな部分に先のとがったものを入れたり、近づけたりしないようにしているのだ。

画像クレジット:Brian Heater

だが当初は躊躇していたものの、その心配が杞憂に終わったことを今は喜んでいる。Fit Prosは快適だ。驚くほど快適なのだ。イヤフォン自体はかなり小さく、イヤーピースにウイングを加えたようなデザインになっている。その点ではPowerbeats Pro(パワービーツ・プロ)と変わらないのだが、その目的を大幅にプラスチックを減らすことで達成している。このイヤーピースの成功の鍵は、その大きさと形状、そして、軟骨に食い込ませずに留めることができるシリコンの柔軟性にある。

とはいえ私がこれまでにテストした中で最も快適なイヤフォンだとまでいうのはやめておこう。正直なところ、比べるとしたら相手は以前の製品であるPowerbeats Pro(パワービーツ・プロ)がふさわしい。Powerbeats Proのデザインは大きく、やや扱いにくいものだが、耳掛け式によって、イヤフォンの重さや圧力が分散されている。一方、Fit Prosの重量は11.2gしかないとはいえ、長時間使用すると、その重さがきいてくる。

また、Fits Prosは固定にも見事に成功している。最近、ランニングを再開したのだが、いろいろな種類のイヤフォンを試している(だが上手くいく率は低い)。ワークアウト中にヘッドフォンを固定することを考える場合、(当然のことながら)物理的な動きに注目しがちだ。意外と忘れがちなのが、汗をかくことによって、イヤフォンを固定することが難しくなり、調整がやりにくくなるという点だ。

画像クレジット:Brian Heater

Fit Proはこの点において、最近のどのイヤフォンよりも優れていた。もしジム利用を第一目的としてイヤフォンを探しているのであれば、この製品が最適だ。イヤフォンに接したウイングがボタンの役割を果たす。イヤーピースの一番離れたところで押すことに意味があるのだ。真ん中を押すと、耳にかかる圧力が大きくなる。1回押すと再生 / 一時停止 / 通話への応答、2回押すと曲送り、3回押すと曲戻し、長押しするとANC(アクティブノイズキャンセリング)モードと透過モードが切り替わる。

ワークアウト用のヘッドフォンには、こういった物理ボタンが必要なのだ。汗をかくとタッチが難しくなる。最大の欠点は、サイズが比較的小さいため、トレーニング中にイヤフォン位置を調整しようとして、誤ってボタンを押してしまうことがあることだ。しかしそれでも、ワークアウトという目的のためには、一般的なイヤフォンよりもはるかに優れている。また、ランニング中に固定するのが非常に困難だったStudio Budsが、うまく改良されたものなのだ。

画像クレジット:Brian Heater

なお、ウイングはボタンと一体となっているため、取り外しや交換することはできない。それはちょっと残念だ。ワークアウトが終わったらウイングを外せるといいのだが、構造上の問題があるだろうし、紛失する可能性もある。もしウイングが破損した場合は、(保証期間内であれば)全部を送り返す必要がある。Apple / Beatsはその部品を別売りしていない。

サウンドは良好で、他のBeatsとよく似ている。つまり、低音が強いということだ。例えばジャズの微妙なニュアンスを楽しむためのイヤフォンを探しているのであれば、ソニーの製品をお勧めする。Beatsのヘッドフォンは「刺激的なプレイリストをかけてランニングしよう」というタイプのもので、確かにそのような用途には適している。アクティブノイズキャンセリング(ANC)も優れている。特に大型のシリコンチップへ交換したときには、周囲のストリートノイズやジムの中に流れる好みではない音楽をうまく遮断してくれた。

画像クレジット:Brian Heater

Appleの製品である以上、iOSデバイスとの相性が良いのは当然のことだ。それは、H1チップの搭載によるところが大きい。高速ペアリングやデバイスの自動切り替えに加え「探す」機能や「空間オーディオ」機能も搭載している。最後の機能は、AirPodsにも搭載されているが、ヘッドトラッキングを利用してオーディオの音の方向を変化させる。つまり、音楽を聴くときにはよりスピーカーに近い体験ができ、FaceTime(フェイスタイム)では画面上の位置に応じて声を配置することができるということだ。いまはまだ目新しさを感じられる。一方、Android(アンドロイド)ユーザーは、Beatsアプリをダウンロードすることで、全機能を引き出すことができる。

画像クレジット:Brian Heater

ループからウイング型に変更したことで、充電ケースが大幅に小さくなったことはあまり宣伝されていない。Powerbeats Proのケースは巨大だった。Fit Proのケースも決して小さくはないが(実際AirPodsよりはかなり大きい)、実際にはポケットに入れて持ち歩ける位には小さくなっている。また、ハードウェアの進化により、Fitのケースを含んだバッテリー寿命は27時間と、Powerbeats Proの24時間よりも長くなっている。イヤフォン単体では、使用状況に応じて6~7時間となっている。ケースのフル充電には約90分かかるが、USB-C経由で充電できるので、Lightningケーブルが好きではない人にはうれしい。ただし、ワイヤレス充電が行えないのは減点対象だ。

興味深いことに、Fit Proは、Beatsファミリーの他の製品を置き換えるものではない。Powerbeats Pro、Beats Studio Buds、そして有線ユニットのすべてが存続する。多少重複したラインナップだが、Bratsはこれまでも常に親会社のAppleよりもすばやく多少機能の少ない製品を出してきた。

199ドル(約2万2600円)という価格は、Beats StudioとPowerbeats Proのちょうど中間に位置している(日本の発売予定は2022年、価格は未定)。しかし、ほとんどの場合にほとんどの人(特に、頻繁にトレーニングをする人)に、一番お勧めできる製品だ。本日(米国時間11月1日)より予約受付を開始し、米国時間11月5日より出荷を開始する。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

サムスンがエントリーモデルの完全ワイヤレス「Galaxy Buds 2」にアクティブノイズキャン搭載

バーチャル時代の最も忙しいUnpackedの中で、Samsung(サムスン)はワイヤレスイヤフォンの新バージョンを発表した。Galaxy Buds 2は、エントリーモデルにアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を追加したもので、価格は149ドル(約1万6500円)のままとなっている。

現在、Galaxy Budsのラインナップは、Buds 2(149ドル)、Buds Live(170ドル、約1万8800円)、Buds Pro(200ドル、約2万2100円)の3種類となっている。今回の追加は、最初の2製品の境界線を明確にするものだ。現在の製品がどのようになっているのか説明を求められたSamsungは、TechCrunchに次のように答えている。

プレミアム製品であるGalaxy Buds Proは、最先端の技術を駆使して、臨場感のあるオーディオ、インテリジェントなANC、スムーズな接続性を実現しています。Galaxy Buds Liveは、ユニークなスタイルを披露したい人のために、高品質なサウンドと人目を引くデザインを組み合わせたプロダクトです。

つまり、デザインと音が差別化のポイントになる。もちろん、Buds Liveが登場したのは、プレミアム価格帯以外のイヤフォンでANCの採用が例外的だった時のものであるため、いずれなくなってもあまり不思議ではない。

画像クレジット:Brian Heater

これまでも述べてきたように、Samsungのイヤフォンは常に粛々としっかりしている。AppleやSonyのような支持を得てはいないが、同社は一貫して堅実なイヤフォンを作ってきており、今回もそうであろう。もちろん、音質や360°オーディオなどの点では、Proはまだハイエンドに位置している。

Samsungによると、新型のBudsはこれまでで最も小さく軽量だという。確かにBuds本体も、ケースも何もかもが非常にコンパクトだ(そして驚くほど光沢がありツヤツヤだ!)。耳にフィットする、おなじみの卵形の形状はそのまま。本製品は、同社のモバイル機器とのペアリングに特化して作られているが、どのようなBluetoothデバイスとも接続できるはずだ。

画像クレジット:Brian Heater

現在、Buds 2は他のデバイスと同様に予約を開始しており、8月26日に出荷を開始します。遠くない将来にレビューをお届けする。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:SamsungSamsung Galaxyイヤフォンノイズキャンセリング

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ソニーが完全無線イヤホン「WF-1000XM4」のノイズキャンセリングが切れる問題を解消、ソフトウェアアップデートで更新

ソニーが完全無線イヤホン「WF-1000XM4」のノイズキャンセリングが切れる問題など解消、ソフトウェアアップデートで更新

ソニーは2021年7月27日、完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」(3万3000円)向けにソフトウェアアップデートの配信を開始しました。

アップデート後はBluetooth接続の安定性のほか、特定の条件でノイズキャンセリングや外音取り込みの効果が瞬間的に切れる事象などが改善するとしています。

なお、アップデートにはAndroid / iOSアプリ「Sony | Headphones Connect」が必要。ダウンロード中、データ転送中、アップデート実行中に、本体を充電ケースに収納したり、電源を切ったりすると、WF-1000XM4を使用できなくなる可能性があるとのことです。

ソニーが完全無線イヤホン「WF-1000XM4」のノイズキャンセリングが切れる問題など解消、ソフトウェアアップデートで更新

ソニーが完全無線イヤホン「WF-1000XM4」のノイズキャンセリングが切れる問題など解消、ソフトウェアアップデートで更新

ちなみに、WF-1000XM4は人気で生産が追いつかず、SNSに「まだ入手できない」との投稿がアップされるなど、安定的な生産体制が求められている状況です。

前世代からの主な進化点は、統合プロセッサーV1によるノイズキャンセリング性能の向上に加え、Bluetooth用コーデックLDACや、圧縮音源をAI技術でアップスケールする DSEE Extreme に対応したこと。オブジェクトベースの360立体音響技術を使った音楽体験「360 Reality Audio」や、ヘッドホンを外さず相手と会話できる機能「スピーク・トゥ・チャット」、IPX4相当の防滴性能なども備えます。

(Source:ソニーEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:オーディオ / 音響機器(用語)ガジェット(用語)Sony / ソニー(企業)ノイズキャンセリング(用語)Bluetooth(用語)ヘッドフォン / イヤフォン(用語)日本(国・地域)

【レビュー】アマゾンの新Echo Budsはまずまずのアップグレード、ただし依然として卓越性は感じない

完全ワイヤレスイヤフォンほど急速に成熟化した家電カテゴリーはなかなか思い浮かばない。1、2年の間に、ひと握りの果敢なスタートアップから事実上あらゆるハードウェアメーカーまで、その流れを加速させた。Amazonがこの分野に参入したとき、すでに過密状態になっていたことは間違いない。

遅れて参入する場合に考えるべきは、何を強みとするかだ。結局のところ、初代Echo Budsには、40ドル(約4350円)でAnkerのイヤフォンを買うことができる世界で選択するに値する説得力は感じられなかった。他にも少々の懸案事項があったものの、筆者の同製品の評価記事は、結局かなり詰めが甘い内容に終わってしまった。

関連記事:アマゾンのAlexaイヤフォンの新モデルEcho Buds2はさらに小型化、ワイヤレス充電対応

1年と少しが経ち、Budsが再登場した。そしてもちろん、Amazonが初代モデルの懸念の一部に対処し、かなり堅実なアップグレードを提供したことは評価できる。さらに同社は、他社がProモデル用に控え置く機能をいくつか追加しながら、価格を129ドル(約1万4000円)に抑えている。

数日前からEcho Budsを主力ヘッドフォンとして使用しており、全体的に満足感を感じている。この製品はある意味中間的な位置づけにあるが、それでも私は「Price Is No Object」カテゴリーの他の製品をいくつか推奨しているし、Budsはローエンドに適合する価格というほどでもない。

画像クレジット:Brian Heater

新しいEcho Budsは、SamsungのGalaxy Buds Plusと同等の価格で、ほとんどの面で遜色ない。最も注目に値するのは、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能が搭載されたことだ。このAmazonの最新製品は、最良のANCを提供しているわけではないし、他に最高レベルのものを備えているということもないが、価格面ではバランスの取れたサービスを実現している。

Alexaで経験してきたように、Apple、Google、Samsungといった自社のハンドセットに直接接続するデバイスを構築できる企業と競合するにあたり、Amazonは不利な立場にある。同社はこれまでのところ、独自の端末を開発しようとする試みに失敗しており、差別化のための別の方法を模索せざるを得なくなっている。

それは主にAlexaを象徴している。そして実際のところ、Echo Budsは同社のスマートアシスタントを充実させるもう1つの方法である。組み込みのAlexaは、そのエコシステムにすでに投資しているユーザーにとってはセールスポイントだ。私はGoogleアシスタントを好む傾向がある。特にGoogleの他のソフトウェアと統合されていることを勘案すればなおさらだが、多くの意図や目的において、そのパーソナルアシスタントは互換性が高い。

画像クレジット:Brian Heater

新しいBudsは前機種よりかなり小さくなっているが、実際は小さいとは言えない。まだ少しかさばるし、室内で使っているときには問題はなかったが、週末に出かけた5マイル(約8km)の散歩では何度か緩んでしまった。そうした場合は、シリコン製のカバー(ウィングチップ)を装着するのがいいだろう。運動することを考えた場合にも、それがおそらく最適な選択肢だ。

しかし、ここでデザイン上の奇妙な見落としを発見した。カバーを付けると充電ケースが完全に閉じない。カチッと閉まらず、充電が微妙であることを昨晩痛感した。実際、右耳には「バッテリーが10%以下」という警告が表示され、左耳は90%台後半となっていた。ウィングチップを使うことになった場合は、ワークアウトの後に外すのがベストだ。また、あまり長く使いすぎると少し窮屈に感じてくる。

関連記事:アマゾンの最新Echo Buds 2は恥知らずなアップルの模造品

画像クレジット:Brian Heater

TechCrunchのライターMattが最近指摘したように、このケースはAppleに強く触発されている。2つを並べれば違いは顕著になるものの、似ていることは否めない。

ケースは長めで、手触りは少し安っぽく感じる。形状が違うだけに、縦にまっすぐ収まるというメリットもある。このため充電ポート(USB-C)は、底面ではなくケースの背面に位置している。ワイヤレス充電ケースのオプションもあるが、20ドル(約2180円)プラスになる。ケースの上にはAmazonの矢印のロゴが施されているが(同社のブランディング力はあまり高くないかもしれない)、その印象はさりげなく最小限に抑えられている。イヤフォンにも目立たない程度に矢印がついている。

Amazonから届いたのは「グレイシャーホワイト」で、実際には薄いグレーだ。これもAirPodsとの違いが顕著な点だろう。Appleのデザインとの差別化を図る巧妙な手法なのだろうか?何とも言えない。

画像クレジット:Brian Heater

ペアリングはかなり簡単に行える。AirPodsをiPhoneで、Galaxy BudsをSamsungで使うような感覚ではないが、Alexaアプリを何回かタップするだけだ。すべてのAlexa対応デバイスで実行するすべてのことに対してゼロ地点として機能する。しかし、ある時点で、アプリを少し分割したいと思うようになるかもしれない。もろ刃の剣とも言える。あまり多くのアプリは必要ではないのに、現時点でかなり騒がしい感じがある。

Budsを開いてペアリングすると、デバイスが前面に表示される。タップして、ANCモードとパススルーモードを切り替えたり(困ったことに筆者がBuds装着時に使わなかったモードがデフォルトになることがしばしばあった)、マイクのオン/オフを切り替えたり、オプトインのワークアウトモードを開始したりできる。より一貫性のあるワークアウトのトラッキングを求めている人にとっては、バンドや腕時計のような常時装着型のウェアラブルの方が好ましいだろう。

以前のモデルに比べて音が良くなっている。ノイズキャンセリングと同じように、より高価なシステムではより高音質の音を得ることができるが、この価格帯では、音楽、ポッドキャスト、通話などに安定した音質が得られる。デフォルトでは低音への依存度が高すぎて好みに合わなかったが、数回タップするとイコライザーのスライダーが表示されるので、そこで調整が可能だ。

画像クレジット:Brian Heater

Bluetooth接続はかなり安定している。iPhoneを1カ所に置いた状態で家の中を歩き回ることができた。しかし屋外で長い距離を歩いていると、左右の間で時折同期の問題が起こり、エコーが生じた。また、耳から外したときにすぐにスイッチが切れるわけではないので、隣り合わせにして持つと鋭いフィードバックが返ってくる。

バッテリーはBuds本体で最大5時間(ANCオフなら6時間30分)、ケースに入れると15時間になる。AirPodsとAirPods Proではそれぞれ4時間30分と5時間、ケースを装着した場合は24時間だった。ケースに1度か2度入れておけば、丸1日使用できた。

新しいEcho Budsは、ほぼすべてのレベルにおいて以前のものよりアップグレードされており、中価格帯の堅牢なイヤフォンに仕上がっている。実際のところは、前の世代が失敗した「要因」の観点においてあまり対処されていない。Amazonにとっては、Alexaをより多くの製品に搭載することだろう。消費者にとっては、答えはそれほど単純なものではない。

関連記事:Amazon Echo Budsはノイキャンワイヤレスの価格破壊

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AmazonイヤフォンノイズキャンセリングAlexaノイズキャンセリングレビュー

画像クレジット:2021/05/13/amazons-new-echo-buds-are-a-nice-upgrade/

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

ノイキャンで騒がしい環境でも話者の言葉を聞きやすくするNooplのiPhone用アクセサリー

NooplはCES初日に登場したハードウェアスタートアップの中でも特に興味深い企業の1つのようだ。サクラメントに拠点を置く同社は、周囲の雑音を消し去ってくれるアクセサリーを開発した。

この小さなアクセサリーはLightningプラグ(現在はiOSのみ対応)がついており、iPhoneの底部に接続する。小さなドングルには3つのマイクとバックグラウンドノイズを低減させるオーディオ信号プロセッサーを搭載されている。

画像クレジット:Noopl

デバイスをiPhoneに挿入するとNooplのアプリが立ち上がり、AirPds Proとの接続をセットアップする。ヘッドトラッキングを利用して装着したユーザーが向いている方向を特定し、その方向によりクリアなサウンドを提供するように設計されている。

NooplはSteven Verdooner(スティーヴン・ヴェルドーナー)氏とKevin Snow(ケビン・スノウ)氏が創業し、シドニーのNational Acoustic Laboratories(NAL)の技術を利用している。

「製品のアイデアは、ヴェルドーナーが父親と一緒に騒がしいレストランにいて、父親の高価な補聴器を『レストランモード』にしてもお互いの話が聴き取れない経験から生まれました。この問題は何百万もの人が抱えているはずだ、と考えたヴェルドーナーは、NALと提携し、優れた科学者や技術者たちとともにNooplを開発しました。2020年には聴覚業界での豊富な経験を持つTim Trine(ティム・トライン)氏を社長兼CEOとして招き、拡張性の高いテクノロジープラットフォームの構築、製品の商業化、企業の成長を実現しました」とプレスリリースでは述べられている。

画像クレジット:Noopl

このデバイスは現在、Nooplのサイトで予約可能だ。価格は199ドル(約2万800円)となっている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:NooplノイズキャンセリングCES 2021

画像クレジット:Noopl

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オーディオテクニカ意欲作、初の「完全ワイヤレス+ノイズキャンセル」イヤホン「ATH-ANC300TW」

オーディオテクニカ意欲作、初の「完全ワイヤレス+ノイズキャンセル」イヤホン「ATH-ANC300TW」

オーディオテクニカも「TWS+NC」(完全ワイヤレス+ノイズキャンセル)へ参入

現在ワイヤレスイヤホン、Bluetoothイヤホンといえば、左右のハウジングをつなぐケーブルすらない「完全ワイヤレス」(TWS、True Wireless Stereo)タイプがトレンド。そしてイヤホン界隈の次なるトレンドと目されている機能が、環境雑音を低減させる「ノイズキャンセル」(NC、Noise Cancel)。TWSにNCが加われば鬼に金棒、トレンドの最先端といっていい。

しかし、「TWS+NC」の実現には技術的な困難が伴う。一般的なワイヤードイヤホンは、音に関する機構(ドライバー/振動板)とアコースティックな処理を行うための空間がハウジング内部の大半を占めているが、TWSイヤホンはそこにBluetooth SoCを中心とした基板/レシーバー、リチウムイオンバッテリーなどの電源、さらにはタッチセンサーやボタン用の空間が必要になる。そのうえNCとなると、環境雑音を拾うためのマイク、その逆位相の音を生成するための高性能プロセッサも搭載しなければならない。

今回取り上げる「ATH-ANC300TW」は、オーディオテクニカが初めて手がけたTWS+NCイヤホン。数多の制約がある中で、NC性能のみならず音質面でも高い水準に到達した意欲作だ。同社商品企画担当の京谷氏に話を訊きつつ、「オーテクならでは」のTWS+NCイヤホンの実像に迫ってみよう。

オーディオテクニカ初のTWS+NCイヤホン「ATH-ANC300TW」

オーディオテクニカ初のTWS+NCイヤホン「ATH-ANC300TW」。

「ヒアスルー」が耳にしっくりする理由

ATH-ANC300TWは、オーディオテクニカのノイズキャンセル機能を搭載したヘッドホン / イヤホンシリーズ「QUIET POINT」に属す製品。シリーズ初となる完全ワイヤレスタイプにして同社NC技術の粋を集めた意欲作だ。

NCには、「フィードフォワード」と「フィードバック」を併用するハイブリッド方式を採用。フィードフォワードとは、ハウジングの表側に設置したマイクで雑音を拾い、鼓膜に到達したときどのような音になるかを演算により予測、ノイズが最小になるよう逆位相の音を作り出す方式。フィードバックとは、鼓膜に近いハウジングの内側にマイクを設置し、鼓膜に届く直前のノイズを集音して逆位相の音を作る方式だ。それぞれ一長一短あるため、両者を組み合わせるハイブリッド方式はNC性能を引き出すための上策といえる。

しかし、マイクをハウジングの表と内に設置して一丁上がり、というほど甘くはない世界。どのようなマイクを採用するかはもちろん、特にフィードバック側のマイクはハウジングのどこに、どの角度で取り付けるかなどの細かい配慮によってNCの効きは変わってくる。ATH-ANC300TWの場合、マイクは音声通話と「ヒアスルー」機能 ― 外音取り込み機能、再度ボタンをクリックするまで一時的にヒアスルー状態にする「クイックヒアスルー」もある ― にも利用されるため、その使いこなしが製品全体の完成度を左右するというわけだ。

この点についてオーディオテクニカの京谷氏に話を訊くと、「MEMSマイクと呼ばれる小型マイクの中でも、オムニマイク(無指向性マイク)という種類を採用している」とのこと。特定方向からの集音に長けたマイク(ビームフォーミングマイク)も検討したが、そのためには2基以上のマイクを配置する必要があり、イヤホンサイズが大きくなってしまうのだそう。「スペックや周波数特性などを吟味し、高性能小型MEMSオムニマイクを採用することで、小型化と通話性能、ヒアスルー効果の両立を狙った」(京谷氏)というから、まさに計算づくだ。

作り込みの事例として興味深かったのは、そのヒアスルー機能。「目指したのはイヤホンを装着していない感覚。耳内の反響音などの影響もあり、集音した音を通常の出力にただミックスするだけでは聞こえ方が不自然になる」(京谷氏)とのことで、聴感上のテストを繰り返したことが耳にしっくりする聞こえ方につながっているという。しかも、外音を自然な印象で聞かせつつ人の話し声や車内アナウンスが聞き取りやすくなるよう、独自チューニングしたフィルター(音声データに一定の処理を行うソフトウェア)を使っているという。

細かい気配りがオーテク流

ATH-ANC300TWに用意されたNCのモードは、「Airplane」と「On The Go」、「Office/Study」の3種類。NC効果の強弱ではなくパラメーターの違いであり、個人的にはエアコンの風の音すら聞こえなくなる「On The Go」を執筆時に重宝したが、自分の好みと使用シーンに応じて選択すればいいだろう。

それにしても、NCの効果もさることながら自然な聞こえ方がいい。装着してNC機能をオンにすると、すっとノイズが減るが、ガクッと減るのではなくフェードアウトするように減るのだ。ヒアスルー機能もまた然り、周囲の音が一気に入ってきて驚くことがない。

NCモードの切り替えは専用アプリで行う。ヒアスルーはLow/Medium/Highの3レベル

NCモードの切り替えは専用アプリで行う。ヒアスルーはLow/Medium/Highの3レベル。

肝心の音質だが、DLC(Diamond Like Carbon)コーティングが施された5.8mm径ダイナミックドライバーの効果だろう、すっきりとしつつも緻密な印象。NC効果で低域がノイズに埋もれることがないから、透明感ある中高域と本来あるがままのバランスで楽しめる。試聴は主にaptXで接続したAndroidとの組み合わせで行ったが、アコースティックギターは倍音成分が豊富に感じられ、アルペジオのきめ細やかさも好印象だ。

DLCコーティングが施された5.8mm径ダイナミックドライバーを採用

DLCコーティングが施された5.8mm径ダイナミックドライバーを採用。

ところで、ノイズキャンセリングには集音した波形に対し逆位相の音を重ねるアクティブ方式と、イヤホン自体の形状でノイズを遮音するパッシブ方式があり、多くの製品がそのふたつの異なる技術を組み合わせることでNC効果を獲得している。今回取材した京谷氏も、「ノイズキャンセルの効果はパッシブの遮音性ありき。利用するときは装着位置と向き、刺さり具合に注意してほしい」とのこと。イヤホンの試聴会は開催困難な世の中だが、しっかり装着したうえで聴けば、このイヤホンの自然なテイストに気付くはずだ。

対応コーデックはSBC、AACとaptX(画面はAndroid版)。アプリにはキーアサインをカスタマイズする機能も

対応コーデックはSBC、AACとaptX(画面はAndroid版)。アプリにはキーアサインをカスタマイズする機能も。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:オーディオテクニカ レビュー ノイズキャンセリング