RDBをノーコード化して人気上昇のAirtableが初めての買収でデータ視覚化のBayesを獲得

ノーコードのリレーショナル・データベースを作っているAirtableが今日(米国時間8/11)、同社の初めての買収として、アーリーステージの視覚化スタートアップBayesを獲得することを発表した。買収の目的は、Airtableの上でデータをもっと視覚化できるようにすることだ。両社は、買収の価額を公表していない。

Airtableと同じく、Bayesもノーコードを重視しているので、両社は共に、かつては専門の技術者を必要とした仕事を単純化する、というビジョンを共有している。AirtableのCEOで共同創業者のHowie Liu氏によると、買収を考えていたわけでないが、そんな機会がたまたまやってきてしかも、そのチームとプロダクトがAirtableのノーコードという考え方に沿うものだった、という。

Liu氏は曰く、「チームとプロダクトに一目惚れした。それは、データの視覚化を面白くてユーザーフレンドリーなものにするというビジョンに貫かれていて、これならうちでも使える、と直感した。そんなデザイン思考はAirtableのプロダクトにも合うものであり、顧客が前よりもずっと良いデータの視覚化をできるようになる」。

Bayesの4人の社員はAirtableに加わり、数か月後には製品を閉鎖し、その機能性をAirtableに合体させるつもりだ。

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Bayesの共同創業者であるWill Strimling氏によると、彼のスタートアップはAirtableとの相性がとても良い。そもそも2019年にBayesを創業したときも、Airtableが大きなヒントになったのだ。そして実際に話を始めてみると、これは一緒になった方が良い、という気になってきた。「お互いのロードマップや将来計画を突き合わせてみると、これは一緒にやった方が両社の単なる和以上のものになれる、と直観した。ユーザーにとっては、Airtableから得られる情報がより濃くなるし、レポート機能はワークフローの管理をずっと充実するだろう、と感じられた」、とStrimling氏は言っている。

Airtableは、現状のプロダクトでも若干の視覚化機能はあるが、しかしLiu氏によると、Bayesはやれることのレベルが違う。Bayesがあれば、Airtableのユーザーがその上に独自のインタフェイスを作れる。Liu氏はこう語る: 「データのグラフ化やリポート作成が、もっと高度なやり方でできる。Airtableの本当にカスタムなインタフェイスの作成能力を私たちの顧客に与えるために、投資をしてるんだ」。

Liu氏によると、これまでの同社は買収を考えるほどの大きさではなかったが、社員が500名になった今では、十分に大きいと感じられるし、今では役員たちにも買収を進める能力があるだろう。「自分の会社が小さいと思っている間は、買収という考え方はなかなか飲み込めないが、十分な規模に達したら、人材を取得してロードマップを加速するのも悪くない、と思えるようになる」、という。

Airtableは2013年に創業され、これまで6億ドルを調達している。最近のラウンドは2億7000万ドルのシリーズEで、評価額は57.7億ドルと大きかった。だから、買収へ向かうほどの財務的余裕もあった、と言える。近い将来、もっと買収を検討してもよいだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: ConceptCafe/Getty Images

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ノーコードのパブリッシングプラットホームShorthandが初めての資金調達で8億円相当を獲得

オーストラリアのスタートアップShorthandは、パブリッシャーやブランドがマルチメディアのストーリーを作れるノーコードのプラットホームだ。同社はこのほど、 Fortitude Investment Partnersから1000万オーストラリアドル(ほぼ800万米ドル)を調達した。

CEOのRicky Robinson氏はメールで、これはShorthandの初めての正規の資金調達ラウンドだ、と言っている。そしてしかも、同社は2年前から黒字だ。

Robinson氏はこう書いている: 「私たちは幸運にも、完全にインバウンドの口コミ的な成長でここまで来た。それは、私たちの顧客がShorthandで美しいコンテンツを作って、彼らの見込み客を作り出してきたおかげだ。今では、そのほかのチャネルもテストしてやや成功しているし、そういうマーケティング手法にもっと力をいれても良いタイミングだ。投資はそのために使いたいが、本来のプロダクトであるShorthandを、Webのストーリー発表技術の最先端に維持するためにも、重点投資が必要だ」。

顧客は、BBC、Dow Jones、ケンブリッジ大学、Nature、マンチェスター・シティFC、Pelotonなどだ。たとえばBBC NewsはShorthandを使って恐竜の化石を探すストーリーを作った。

ShorthandのWebサイトはストーリーテリングの美徳を賞揚している。とくに、読者がスクロールという単純な方法で自分の好きな遷移やエフェクトを作れることだ。Robinson氏によれば、そうやってストーリーに対話性を持たせ、エンゲージを誘える。しかも「対話の仕方を、読者にいちいち教える必要がない」。

上のデモビデオでお分かりのように、Shorthandは簡単なドラッグ&ドロップだけで別のテキストやメディアからの引用やエフェクトを加えられる。Robinson氏によると、Webflow やCerosなど他のツールと違って、Shorthandは編集者やライターが使うために設計されている。しかもShorthandはテーマやテンプレートをサポートしているが、彼によると、それだけでは十分ではない。

「ライターがWebデザインの草むらで途方に暮れたり、彼らに面倒なデザインツールを使わせたりしなくてもいいような、柔軟性が重要だ。注力すべきはストーリーのデザインであって、Webのデザインではない。Shorthandが他と比べて一味違うのは、まさにその点だ。また顧客が、エンゲージ力が高くて賞をもらえるようなコンテンツをオーディエンスのために一貫して作り続けられるのも、そのためだ」。

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同社によると、パンデミックの間はむしろ需要が増えて、2020年の最終四半期は利用が4倍に増え、今年の2月のサブスクリプション収益は前月比で8%増えた。

FortitudeのパートナーNick Miller氏は声明でこう述べている: 「このプラットホームは、強力な出力と単純性の両立がユニークだ。Shorthandの人気や、それでできるデジタルコミュニケーションの評判が口コミで広がるのも当然だ」。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Shorthand

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