Googleのハイブリッドクラウドプラットフォームがベータ版へ

昨年7月に開催された、Cloud NextカンファレンスでGoogleはCloud Services Platform(CSP)を発表した。CSPはGoogle自身のクラウドサービスをマネージドサービスとしてエンタープライズデータセンターに持ち込むための、真の第一歩である。本日(米国時間2月20日)CSPはベータ版が公開された。

なおCSPは、少なくとも当面は、Googleのクラウドベースの開発者サービスの全てを、オンプレミスデータセンターに提供しようとしているわけではないという点に注意しておくことが大切だ。言い換えるなら、これはMicrosoftのAzure Stackのようなものとは、全く異なるプロジェクトだということだ。その代わり、焦点が当てられているのがGoogle Kubernetes Engine(GKE)である。GKEを使えば企業たちはそのアプリケーションを自身のデーターセンターや、実質的にコンテナをサポートするクラウドプラットフォームならどこででも実行することができる。Google CloudのエンジニアリングディレクターであるChen Goldbergが、私に言ったように、ここでの狙いは、企業の革新と近代化の支援なのである。「明らかに、誰もがクラウドコンピューティング、オンデマンドコンピューティング、そしてマネージドサービスにとても興奮していますが、お客さまたちは、その動きはそれほど簡単ではないことを認識なさっています」と彼女は述べ、大多数の企業がハイブリッドアプローチを採用していることに注意を促した。コンテナは明らかにまだとても新しいテクノロジだが、彼女はほとんどの企業がすでにコンテナとKubernetesを採用していることに好感触を得ている。しかも彼らのそうした取り組みは、クラウド(特にハイブリッドクラウド)への取り組みとほぼ同時なのである。

CSPがマネージドプラットフォームであることに注目して欲しい。アップグレードやセキュリティパッチのような負担の多い作業はすべて、Googleが負担してくれるのだ。そして最も人気のあるアプリケーションたちをインストールする、簡単な方法を必要としている企業のために、プラットフォームはGCP Marketplaceの、Kubernetesアプリケーションもサポートする。

技術そのものに関しては、これがKubernetesだけのためのものではないことをGoldbergは強調した。例えば、このサービスは、Istioも利用している。Istioは徐々に人気の高まっているサービスメッシュであり、企業がそのアプリケーション間のトラフィックとAPI呼び出しの流れを、簡単に保護したり制御したりできるようにするものだ。

本日のリリースで、Googleは新しいCSP構成管理ツールも開始した。このツールを使うことで、ユーザーはマルチクラスターポリシーを作成し、アクセス制御の設定と強制を行い、リソース利用量制限などを行うことができる。CSPはまた、GoogleのStackdriver Monitoringサービスや、継続的配信プラットフォームとも統合されている。

「オンプレミスは簡単ではありません」とGoldbergは語る。今回のものが、同社にとって自身のものではないデータセンターのソフトウェアをサポートする最初のケースだということを考えると、それはかなり控えめな表現だろう。しかし、Googleはまた、たとえばAzure Stackのように特定のハードウェア仕様にユーザーを縛り付けたくはないと判断したのだ。そうする代わりに、CSPはVMwareのvSphereサーバー仮想化プラットフォーム上に置かれている。いずれにせよこのプラットフォームは、既に多くの企業のデータセンターで利用されているものだ。これが非常によく理解されているプラットフォームであることを考えると、確実に物事は単純化されるだろう。

Google Cloud goes all-in on hybrid with its new Cloud Services Platform

画像クレジット: Adam Berry/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:sako)

AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

AWSはつねに純粋なクラウドベンダーだったが、ときにはハイブリッドにも目を向け、そしてこれからはそれを全面的にサポートする気だ。今日同社はVMwareと共に、AWSをデータセンターに持ち込むためのオプションを発表した。

えっ?企業のデータセンターにAWS?…そう、そのとおり。これからは、あなたの会社のデータセンターにAWSを置ける。AWSのハードウェアを使用し、設計もAmazon本体のAWSとまったく同じになる。そのために、AWS Outpostsの二つのプロダクトを利用する。

二つとは、「VMware Cloud on AWS Outposts」と「AWS Outposts」だ。最初のは、VMwareのコントロールパネルを使う。そして後者は、AWSのクラウドで使われているのと同じAWS APIを使って計算処理やストレージをオンプレミスで動かす。

実際にre:InventのステージにはVMwareのCEO Pat GelsingerとAWSのCEO Andy Jassyが一緒に立って、共同発表を行った。両社はかなり前から協働して、AWSのクラウドへVMwareを持ち込む作業を続けていた。しかし今回の発表ではそれが逆になり、AWSのクラウドをオンプレミスに持ち込んでVMwareと併用する。どちらの場合も、AWSはそのハードウェアをユーザーに売り、お望みならインストールもするし、メンテナンスも担当する。

これは、クラウドのビジョンをひたすら追うAWSにとって、後れていた分野だ。データセンターに戻るなんて! でも近年の暗黙の了解としては、近未来の顧客は両方の場所での運用を望むのだ。

この発表は、同社のクラウドネイティブ的ビジョンを拡張するものでもある。月曜日(米国時間11/26)に同社は、Transit Gatewaysを発表したが、それは、クラウドやオンプレミスなど、いろんなところにあるネットワークリソースを一元的に管理する仕組みだ。

そして今回AWSは、そのクラウドをオンプレミスに持ち込む。それは、MicrosoftやCanonical、Oracleなどなどが前からやっていたことだ。

なお、今日の発表は公開プレビューであり、本番のリリースは来年後半になるようだ。

more AWS re:Invent 2018 coverage

〔outpost, 前進基地。Amazonにとっての前進基地だ。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Red Hatがハイブリッドクラウドのデータ管理サービスNooBaaを買収

Red Hatは今、340億ドルという巨額でIBMに買収されようとしているが、それが完了していない現時点でRed Hatは、独立企業としての買収を行っている。同社の今日(米国時間11/27)の発表によると、買収したのはテルアビブの初期段階のスタートアップNooBaaで、ここはエンタープライズのデータ管理を助け、単一のAPIによりさまざまなデータプロバイダーに容易にアクセスできるようにする。

最近のRed Hatは、エンタープライズによるハイブリッドクラウドおよびマルチクラウドの管理の支援を強調しているから、NooBaaの技術はその指向性によく合っていると言える。NooBaaの中核的なサービスはさまざまなデータサイロの一元化なので、Red Hatのポートフォリオの一員として適している。OpenShiftとOpenShift Container Platform、およびストレージサービスCeph Storageを抱えるRed Hatは、今すでに、幅広いハイブリッドクラウドツールを提供している。

Red Hatでストレージとハイパーコンバージドインフラストラクチャのゼネラルマネージャーを担当しているVP Ranga Rangachariが、今日の発表でこう述べている: “NooBaaの技術はわれわれのポートフォリオを拡張し、今日のハイブリッドおよびマルチクラウドの世界でデベロッパーのニーズを満たすわれわれの能力を強化する。同社の9名の技術チームをRed Hatにお迎えすることは大きな喜びであり、今後は共に、オープンなハイブリッドクラウド技術の指導的プロバイダーとしてのRed Hatを、より強固にすることに取り組んでいきたい”。

Red Hatの技術は、そのほとんどが実質的にオープンソースだが、NooBaaのコードは違う。しかしNoo Baaの計画では、しかるべきときに同社の技術をオープンソースにする予定だ。ただしその明確な日程等は、まだ未定だ。

NooBaaは、2013年に創業された。同社はこれまで、Jerusalem Venture PartnersやOurCrowdからある程度のベンチャー資金を調達しており、またAkamai Capitalからの戦略的投資も得ている。そのラウンドの規模は公表されていないし、また今回の買収の価額等も非公開だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa