ホテル・旅館内の混雑情報をリアルタイム配信、バカンの技術を盛り込んだ「VACAN for Hotel」を提供開始

VACAN for Hotel

AIとIoTを活用し空き情報を配信するバカンは6月19日、ホテル・旅館向けに館内施設の混雑情報をリアルタイム配信するサービス「VACAN for Hotel」を発表した。ホテル・旅館向けに提供開始済みで、利用には初期費用と月額費用がかかる。金額は設置する機器の種類や台数によって異なる。

VACAN for Hotelは、大浴場や食事会場(レストラン)などの混雑情報を宿泊客にリアルタイムで伝えるサービス。館内施設の入口に入退出を検知するセンサーを設置し、環境に応じた混雑検知方法を提供する。取得した混雑情報は、そのホテル・旅館専用のスマホ用ページで宿泊客が確認できるほか、館内に設置したデジタルサイネージに表示するなど、新型コロナウイルス(COVID-19)対策として「3密」(密閉・密集・密接)防止に役立てられるようさまざまな方法で配信できる。

バカンは、これまでもホテル・旅館向けに混雑状況可視化サービスを提供しているが、新型コロナ対策向けサービスの要望を受け、VACAN for Hotelというパッケージとしてサービス提供を決定した。またVACAN for Hotelでは、ホテル・旅館向けだけでなく、飲食店向けに提供しているサービスも一部盛り込んでおり、複数領域で空き・混雑情報の配信に取り組んできた同社技術やノウハウを多数活用している。

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AIとIoTを活用し空き情報を配信するバカンは6月15日、店舗の空き・混雑状況がマップ上でリアルタイムにわかるウェブサービス「VACAN」(バカン)対象エリアを拡大。関西エリアの一般公開を開始した。関西エリアは、九州エリア・関東エリアに続く3エリア目で、6月末には北海道エリアの公開を予定。

6月15日現在、梅田やなんばの繁華街を中心に約50店舗を掲載している。全エリア合計は約180件で、今後3ヵ月で500件以上を目指すほか、飲食店以外の掲載も予定しているという。

VACANは4月27日、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの混雑状況や待ち人数をリアルタイムに確認できるVACANの提供開始。サービス利用者は店舗の混雑状況をアプリやウェブサイトで確認でき、新型コロナウイルス(COVID-19)に絡む密閉・密集・密接のいわゆる3密を避けて買い物ができる。

また会員登録を行うと、10分間席を確保できる直前予約を行える機能を7月リリース予定としている。

同社は、2016年6月に設立。VACANほか、トイレの混雑状況を緩和するIoTサービス「Throne」、飲食の事前決済・取り置きサービスの「QUIPPA」(クイッパ)などを提供している。

2919年6月には、NTT東日本、清水建設、ティーガイア、JR 東日本スタートアップ、スクラムベンチャーズを引受先とする第三者割当増資により、7.9億円を調達。JR東日本の子会社でCVCのJR東日本スタートアップとの資本業務提携も行った。

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前列左から2人目がバカン代表取締役社長の河野剛進氏

レストランなどの空席情報配信サービス「VACAN」を提供するバカンが、サンフランシスコを拠点にベンチャー投資を行うスクラムベンチャーズおよびREALITY ACCELERATORから資金調達を実施した。

調達金額は非公表とされているが、これまでの累計調達額は約1億円程度だと思われる。

同社は2016年10月にトイレ空席検索サービス「Throne」、2018年1月に空席検索プラットフォームVACANのサービス提供を開始。

VACANはレストランなどの混雑状況をセンサーやカメラを使って解析し、電子看板に表示するサービスだ。すでに商業施設の相鉄ジョイナスや日比谷シャンテに提供されているほか、駅ナカ施設などへの試験導入も行われている。相鉄ジョイナスと高島屋横浜店では、スマホやパソコンでも空席情報を確認することが可能だ

河野氏はVACAN開発の理由を「世の中から混雑や行列をなくすため」だと説明。「家族で出かけた時、ランチタイムでどこの店もいっぱいで、待っているうちに子供が泣いてしまい帰宅することに。そういうことを技術で解決できないかと思い、開発をスタートした」とそのきっかけについて話している。

河野氏いわく、「Throneは有楽町マルイや企業のオフィスにも採用されているが、類似サービスが出てきてしまった」とのこと。しかし同社は他にはない技術を持つことで、サービスを評価され採用されているという。

バカンが保有するのは混雑の条件によって表示を最適化する「VDO(Vacant-driven Display Optimization)」という技術の特許だ。この技術により、混雑の状況をフックに、デジタルサイネージの表示をリアルタイムに切り替えることができる。

例えば「レストランであれば、空きがあればそのまま表示し、混雑しているのであれば持ち帰りをおすすめする」ということができるそうだ。また「広告コンテンツに切り替えたり、リアルタイムでクーポンを発行したり」といったことも可能。「これは他社には真似できない」と河野氏は言う。

同社は今後、調達した資金をもとに海外展開に向けた準備を加速させていくという。

「開発体制を整えていくというのが大きなところ。あとは海外展開を見据えて例えば海外特許を出願していくということもあるし、営業も強化していく」(河野氏)