中国の旅行最大手Trip.comがハイブリッドオフィスを採用

世界中で数多くのテック企業が過去2年間の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)期間中、リモートワークあるいは何らかのハイブリッドモデルに切り替えた。しかし中国では、ほとんどのテック企業が2020年夏以降オフィスに戻っている。国のゼロ・コロナ政策による感染者数減少のおかげだ。こうした通常生活の中、ある中国企業がリモートワークを続ける決断をした。

3月1日から、中国最大の航空券・ホテル予約プラットフォームTrip.com(トリップ・ドット・コム)は、従業員が許可を得れば週2日まで在宅勤務することを可能にすると2月15日に発表した。1999年に設立され、2019年にCtrip(シートリップ)からTrip.comにブランド変更した同社は、2021年6カ月間実施したリモートワークの試行に参加した従業員1600名の75%に「健康の改善」が見られたことを受け、今回の行動に至った。実験には技術、プロダクト、ビジネス、マーケティング各部門の中核スタッフおよび約400名の管理職が参加した、と広報担当者がTechCrunchに語っている。

参加者の93%が、自分の時間を「より有効に」使えたと感じ、社員の離脱率は、期間中約3分の1に減った。60%近くが、ハイブリッドワークを「強く」支持する、と試行終了後に答えた。

同社従業員は3月以降、自宅、喫茶店などあらゆる場所で働く申請ができる。各部門のマネージャーは、チームの目標、各個人の状況に基づいてリモートワークを認めるかどうかを判断する、と広報担当者はいう。またマネージャーは、自己判断で取り決めを調整することができる。

ハイブリッド方式はまずTrip.comの中国国内の事業所に適用され、海外の支店は「現地の状況と新型コロナ防衛措置に応じて」このモデルを適用する予定だ。

Trip.comは、NASDAQおよび香港証券取引所に上場しており、過去数年に海外競合他社を次々と買収して国際的に拡大している。2016年に17億400万ドルでスコットランドのSkyscanner(スカイスキャナー)を買収した。2019年には、インドのMakeMyTrip(メイクマイトリップ)の持ち株を半数近くへと増やした。そして2020年にはオランダの旅行会社グループ、Travix(トラビックス)を金額非公開で買収した。

2020年12月時点のTrip.comおよび関連会社の従業員数は約3万3400名で、うち約3万名が中国国内だ。

Trip.comの共同ファウンダー・会長のJames Liang(ジェームズ・リャン)氏は中国社会問題のコメンテーターとして頻繁に登場している。この柔軟な勤務体系を考えた際、コンピューター・サイエンティストで経済学者でもあるリャン氏は、中国の人口統計学上の課題も念頭に置いていたに違いない。

リャン氏は声明で、ハイブリッド勤務は「企業、従業員、地域社会すべてにとってのマルチ・ウインです。効率を犠牲にすることなく従業員の満足度を高めるだけでなく、交通渋滞を緩和し、環境保護にも役立ちます。住宅価格の高騰と地域格差を軽減し、家族や女性のキャリア育成と出産率の向上にも貢献します」と語った。

Trip.comによるハイブリッド・オフィス採用は、中国テック業界の過重労働カルチャーに対する懸念と批判が高まる中で生まれた。同社は、リモートワークが生産性を犠牲にしないことを示している。2021年の実験参加者の71.9%が、ハイブリッドワークは業績に影響を与えなかったと報告した。

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「ハイブリッドワークモデルが将来中国の主要企業全体に広まることを願っています。それは社会と経済に有益で広範囲にわたる影響を与えるでしょう」とリャン氏は語った。

画像クレジット:Olivier Douliery / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

チャットやビデオ会議の代わりにアバターを採用、孤独を感じない快適なデジタルワークプレイスを提供する「Pesto」

Pesto’の社員アバター(画像クレジット:Pesto)

私たちの仕事の世界がメタバースに移行しつつある中、以前はPragli(プラグリ)として知られていたPesto(ペスト)は、リモートワークを少しでも孤独を軽減しようと、アバターアプローチで参入している。

「Zoom疲れ」は、2019年に会社の構想を練り始め、1年後に正式発表したDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏と共同創業者のVivek Nair(ヴィヴェク・ネア)氏にとってリアルなものだった。彼らのアイデアは、従業員が職場でアバターをカスタマイズできるデジタルネイティブなヒューマンワークプレイスで、アバターがビデオの代わりとなり、疲労感が少なく、よりパーソナルになるというものだ、CEOのサフレノ氏はメールで説明した。

「workplace(ワークプレイス)」には、社員が作ったさまざまな部屋があり、スクリーンシェア、ビデオ、ゲーム、または空間的な機能を含むオーディオファーストのコラボレーションのための組織的なスペースとなる。

「私たちがPestoを設立したのは、テキストチャットとビデオ会議の間で行き詰まったからです」と、サフレノ氏は付け加えた。「テクストチャットは、やりとりが多く、時間がかかるのでイライラしますし、また、ビデオ会議は堅苦しく、スケジュールを組むのが大変でした。ビデオ会議は、やる気をなくさせるようで、楽しいものではないです。Pestoは、より人間らしいリモートワークの方法なのです」。

2年近く経った今、Enhatch(エンハッチ)、Sortify.tm(ソルティファイ.tm)、HiHello(ハイヘロー)、FullStory(フルストーリー)、aiPass(aiパス)、Tidal Migrations(タイダルマイグレーション)といった企業の1万以上のチームと連携し、ユーザーは1億分以上の音声とビデオを記録しており、同社の初期の仕事は成果を上げている。

米国時間2月1日、同社は、Headline(ヘッドライン)が主導し、K9 Ventures(K9ベンチャーズ)、Rucker Park Capital(ラッカーパークキャピタル)、NextView Ventures(ネクストヴューベンチャーズ)、Collaborative Fund(コラボレーティブファンド)、Correlation Ventures(コーリレーションベンチャーズ)、Garrett Lord(ギャレット・ロード)、Nikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナサン)、Joe Lau(ジョー・ラウ)が参加する500万ドル(約5億7300万円)のシード資金調達を発表した。

サフレノ氏は、世界は「産業革命以来、人々の働き方に最大の変化が起きています」と、語る。オフィスの稼働率が20%以下にとどまっている中、ほとんどの社員が対面式の仕事に戻る可能性は低いにもかかわらず、オフィスで働くために作られたツールを使わざるを得なくなっていると彼は考えている。これに対し、Pestoは、対面よりもデジタルで共同作業や交流を行う未来の仕事に適合するように設計されていると、彼は付け加えた。

利益率や売上高は明らかにしなかったが、1年前は創業者2人だけだったのが、今では従業員数は8人に増えたという。

今回の資金調達により、ペストは総額600万ドル(約6億8800万円)の投資を行うことになる。この資金は、製品設計やエンジニアリングチームの雇用、製品開発、特に職場のメタバース体験を深める機能の構築し、より複雑なコラボレーションニーズを持つ大企業をターゲットにした開発に使われる予定だ。

Pestoは現在、無料で利用できるが、2022年後半には有料ティアを導入する予定だ。

HeadlineのパートナーであるJett Fein(ジェット・ファイン)氏は「こだわりのあるユーザーベース」を持つ企業をよく探しており、Pestoにそれを見出した。

リモートワークがなくなるとは思えないので「より本格的でコラボレーション可能なツール」が求められているのだと、彼は付け加えた。Pestoは、多くの企業や従業員が抱えている、ビデオ会議疲れやコラボレーションスペースの不足といった問題を解決してくれると確信しているからだ。

このように、同社のメタバース機能は「自然で自由な人間同士の交流」を職場に取り戻すことができる点で、際立っていると感じており、今後このような従業員間の交流に投資する企業が増えていくことが予想される。

「Doug(ダグ)、Vivek(ヴィヴェック)、Daniel Liem(ダニエル・リエム)氏(創業者 / 製品責任者)の3人は、まさに未来の仕事のために作られたプラットフォームを作り上げました」とファイン氏はいう。「過去数年間、私たちは分散型チームで仕事をすることの利点と落とし穴を目の当たりにしてきました。自由と柔軟性を手に入れた反面、職場でよく見られる仲間意識や予定外の会話は失われてしまいました。Pestoはこうした課題に対する答えであり、遠隔地でのコラボレーションや共同作業が、直接会っているときと同じかそれ以上に効果的に感じられるような未来を創造するものです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

リモートワーク時代にふさわしい「バーチャルオフィス」を提案するLoungeの新アプリ

Loungeと呼ばれるスタートアップが、リモートワーク時代にふさわしいオフィスとはなにかをもう一度考え直そうと試みている。社員同士がまだ一度も実際に会ったことがない状態で(今後、顔を合せる機会が訪れない可能性もある)企業が企業文化や社員同士の関係を築くにあたり、Slack、Zoom、Teamsといったツールでは不足している要素があるからだ。こうした従来のツールでは、ユーザーの身元はメッセージボードやプロフィールに、写真や短い経歴で記されるだけであったが、Loungeの場合は、その人物のタイムゾーン、天気、場所、所属チーム、会社のイベントへの参加状況など、さまざまな情報が伝えられるようになっている。また、Loungeは社員同士がお互いを知り、個人的に交流を深められるよう、ドロップインオーディオチャット、フォトシェアリングのようなツールも提供している。

Loungeのアイデアは、共同創設者であるCEOのAlex Kwon(アレックス・クウォン)氏とCTOのJason Jardim(ジェイソン・ジャーディム)氏が構想したものだ。両氏はかつてともにLife360で働いていた。2人は、パンデミックの最中、リモートで働きながら、家族向けのタスク管理アプリを開発していた。結局そのプロジェクトは廃止されてしまったが、2人はこの時期にリモートワークとその落とし穴について多くのことを学んだのだ。

クウォン氏はかつて一度もリモートで働いたことがなかったが、実際に経験してみると人とのふれあいの部分で物足りながあることに気がついたという。

「Zoom通話で1日に1回話したり、Slackで1時間遅れでチャットするというやり方を、私はとても寂しいと感じました」と彼は説明する。

そういったオンラインでの会話には、同僚と実際に向き合って交わす会話から得られるきらきらした火花のようなものが欠けていた。そうした火花が新しいアイディアにつながったりすることも少なくない。こうした対面での共同作業こそ、多くの企業がパンデミックの有無に関わらず、スタッフをオフィスに呼び戻したいと望んでいる理由の1つなのだ。

しかし、クウォン氏は、対面でのふれあいだけがチームに仲間意識をもたらし企業文化を育てる唯一の方法ではないと信じている。

「人々はインターネットが普及して以来、オンラインで関係を『育んで』きました。彼らはWorld of Warcraftの中でオンラインで人と出会ったり結婚したりしています。そして、私の友人の多くもパートナーとなる相手をデートアプリで見つけています。それもこれも、始まりはオンラインです」。

友情や愛がオンラインで生まれるなら、仕事がらみの仲間意識だって育むことができる、というのがクウォン氏の考えだ。

画像クレジット:Lounge

両氏は、より繋がりを感じられる方法の模索を始めた。インスピレーションが湧いた時いつでも会話できるよう24時間年中無休のZoom通話を試したりもしたが、それはあまりに圧迫感もあり、子どもが邪魔をすることもしばしばだった。常にオーディオをオンにしていることも、同様の問題があった。このため、最終的には、お互いのプライバシーを尊重しながら、タップするだけでオーディオチャットですばやくつながることのできるシンプルなアプリが開発された。

このアプリが彼らがリモートワークで感じていた問題を解決することができたことを受け、彼らはタスク管理アプリを開発するスタートアップのアイデアを捨て、かわりにLoungeに取り組むことになった。

Loungeでは社員はチームやプロジェクト、さらには趣味や興味ごとにグループ分けされたバーチャルデスクで表示されている。こうすることで、誰がどんな作業をしているのかが簡単にわかる。このバーチャルデスクは、役割的には会社の組織図に似ているが、よりパーソナライズされた情報を伝えることができる。例えば、画像にある小さな窓で夜なのか昼なのか示しタイムゾーンを伝えたり、さらには天気までわかるようになっているのだ。また、社員のプロフィール写真や他のデータも見ることができる。

画像クレジット:Lounge

社員自身の個々のデスクに加え、Loungeには複数の社員からなる「ルーム」コンセプトが導入されている。トピックやプロジェクトのみに焦点を当てているSlackチャンネルとは異なり、ルームはどんな目的にも対応できるようデザインされており、従来のオフィスが提供していた物理的空間のバーチャルバージョン的役割を果たす。例えば、ユーザーは対話集会や、ホワイトボードセッションが開催されているルームに参加したり、会社のカフェテリアのような公共スペースで同僚とバーチャルに交流することもできる。

ルームには鍵をかけることもできるし、それを解除することもできる。プロジェクトに没頭中なら、訪問者に応答する必要はない。ルームに鍵をかければよいのである。その場合、訪問者は、Slackでするのと同様、チャットにプライベートなダイレクトメッセージを残すことができる。しかし、ルームがオープンの場合は、クリックして音声で同僚とその場でやりとりすることができる。これは、誰かの机まで歩いていって「やあ、元気?」と声をかける行為のバーチャルバージョンである。相手はあなたが挨拶するのを聞き、ミュートを解除して音声で会話する。

クウォン氏は「これをZoomとSlackを合わせたようなものだと考えてください」という。

画像クレジット:Lounge

またLoungeは、写真をシェアする機能もある。これはクウォン氏が以前立ち上げたスタートアップ、Oneminuteで得た着想で、人々が撮ったさまざまな写真をシェアすることのできる機能だ。写真をシェアするとしばらくはその写真がバーチャルデスクやアプリ内の他の場所に表示される。これにより周囲の人々に個人的に関心を持っていることや、飼い犬や週末に楽しんでいる趣味など、プライベートな事柄を伝えることができる。これは Slackチャンネルにすでに備わった機能だが、Loungeではこれを一歩進め、これらの共有された写真が1本にまとめられる仕組みになっている。これを新入社員が見てチームメートとの会話のいとぐちを見つけるのに利用することも可能だ。

Loungeは4月以来一部の顧客に対し非公開ベータ版サービスを行ってきたが、ウェイティングリストには何百もの顧客が登録している。現在のところ、同社がターゲットにしているのは社員が20名以下の比較的規模の小さなチームである。

Loungeは、Unusual Ventures、Hustle Fund、Translink、Unpopular Venturesやその他のエンジェル投資家から120万ドル(約1億3000万円)の資金を調達している。

   画像クレジット:Lounge

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

【コラム】未来の仕事場は従業員が自身でデザインする、ハイブリッドワークの試験運用から見えたこと

なぜ私たちはオフィスに行くのか?

これは誇張した意味での質問ではない。他の人と一緒に仕事をするために行くのだろうか?オフィスに行くのは、自分の仕事に集中できる決まった場所だからだろうか?「見られる」ことが必要だから行くのだろうか?ただ、いつもそうしてきたから、仕方なく行くのだろうか?

私たちSAP(サップ)では、これらの質問に対する答えを見つけるだけでなく、社員自身がその答えに一役買うこと、そして未来のハイブリッドな仕事場を築いていくことが重要であると考えている。

この夏、私たちはパロアルトにあるオフィスで、まったく新しいハイブリッドワークの試験運用プログラムを開始した。この数カ月間、私たちはさまざまなフロアプランやセットアップ、多様な勤務体系、最も生産的なスペースの使い方、理想的なミーティングの構成などをテストしてきた。また、この新しい現実に適応するマネージャーやリーダーシップのトレーニング、仕組みづくりなど、たくさんのことを行ってきた。

では、私たちはこれらから何を学んだのか?そして、その教訓をあなたのビジネスにどう生かすことができるのだろうか?

まずはじめに:社員からの声

試験運用プログラムの開始前や開始中に寄せられた社員からのフィードバックによると、利便性が高く、エネルギー効率の高いワークスペースが求められていることがわかった。私たちはただ、必要なときだけでなく、使いたいときに使えるような空間を作る方法を見つけなければならなかった。では、人々がオフィスに来たいと思う要因は何だろう?

調査の結果、主に4つの要因が見つかった。

同僚間の学び合い:当社の社員は自分のネットワークを構築することに情熱を持っており、多くの社員が、自分のキャリアを早く向上させ、SAPがどのように自社製品を構築し、革新を生んでいるのかを学ぶ機会として「同僚からの学び」を挙げた。

入社オリエン、トレーニング、学習の機会の大部分はまだバーチャルで行われているが、社員が希望する場合は直接会う機会を与えるために、現在はハイブリッドオプションを検討している。

コラボレーション:新型コロナの状況が許す限り、多くの人は実際に会って話をしたいと思っている。ビデオ通話は機能的ではあるが、テーブルを挟んで一緒にブレインストーミングをしたり、学んだり、成長したりする効果にはかなわない。

ハイブリッドワーク試験運用プログラムに参加した社員にとって、コラボレーションは大きな推進力となっている。さまざまな社員がホワイトボードを使い、画面を共有して複雑な問題を一緒に解決している。鍵となるのは、高品質のビデオやオーディオ機器が装備されたスペースで、物理的に離れた場所にいるチームメンバーが同じように参加できるようにすることだ。

仲間意識の構築:全員参加型のミーティングやQ&Aセッション、その他のチームビルディング系の機会は全員が同じ物理的なスペースにいることでより効果的になる。私たちが調査した多くの社員は、オフィスにいることの明確な利点として、半年に一度の懇親会を挙げている。

私たちは、オフィスでの社員イベントの開催を試み始めたばかりだが、その環境は以前とは大きく異なる。小規模かつ屋外で、新型コロナ対策が施された環境だ。最初のイベントを開催する前に、私たちは自問した。「社員は来たいと思うだろうか?」その答えは、圧倒的に「イエス」だった。

申し込みを開始すると、数分後には申し込みがいっぱいになり、その倍の人数がキャンセル待ちとなった。ミーティング当日はエネルギーがみなぎっており、社員からのフィードバックも非常にポジティブなものだった。みんな、再び一緒にいられることに感激していた。

意図:多くの人が、オフィスでの当たり前の習慣が恋しいと語っていた。朝、服を着て車で出勤し、チームメンバーと一緒に机に向かうことで、生産性や集中力が格段に向上するという人もいる。

すべての社員がチームワークや仲間意識を求めてオフィスに来ているわけではない。中にはプライベートと仕事のスペースを分けたい人もいて、自分が最も生産性を発揮できる静かな場所を探している人もいる。オフィスではオープンなコラボレーションスペースは不可欠だが、無音スペースや電話ブースも同様に必要不可欠だ。

私たちがこれらの特性を実践しようとしている1つの方法が、オフィス内の「スクラムネイバーシップ」だ。この環境では15〜20のデスクが用意されており、コラボレーションとチームワークを促進するために、美しく創造的で自由なオフィススペースが設けられている。また、このスペースを有効に活用するために、モバイルアプリを開発した。チームはこのアプリを使って、一緒にオフィスに来る時間を調整したり、スペースや電話室を予約することができる。

同時に、私たちはリーダーたちがこの新しい現実の中でメンバーを管理できるように、偏見を避け、典型的なマネージャーと部下という関係を、より人間的で共感し合えるものにするための努力をしてきた。

試験運用プログラムから得られた教訓

これらはまだ始まりに過ぎない。試験運用プログラムは順調に進んでいるが、今後もハイブリッドワークを推進し、最適化するための最良の方法を研究・検証していくつもりだ。

従業員の80%が、将来的には自宅とオフィスの両方で仕事をしたいと考えていることがわかった。また、80%の社員がオフィスの比較的近くに住みたいと考えていることもわかった。

もちろん、このタイミングで戻ることに違和感を覚える人も少なくなかった。しかし、試験運用プログラムでオフィスにきた人の多くは、オフィスでの仕事環境の平穏さと静けさ、対面でのミーティングの生産性、そして無料のコーヒー、スナック、ランチなどのアメニティを、明らかな利点として挙げている。さらに、リーダーやマネージャーは、私たちが彼らとの間で培ったコミュニティの行動指針に基づくことで、この環境で指導や管理を行う準備が整っていると感じている。

これまでの「普通」が完全に戻ることはないため、私たちは何が有効で何がそうでないかを見極めるために、継続的な実験と内省を続けなければならない。なぜなら、ハイブリッドなワークモデルは、理論的に成功するだけではなく、実践的に成功しなければならないからだ。

例えば、2020年、多くの従業員が、家庭や家族の事情に合わせて早朝や深夜に働くなど、勤務時間を大幅に変更できる環境に慣れてしまっていることに気づいた。また、通勤時間やオフィスが不要になったことで、チームの一部の者にとっては大きな時間も生まれていた。一方で、これまで対面式で行っていた施策の中には、全体的な実行力と効果を向上させ、場所を問わず従業員の体験をより包括的なものにするために、再考する必要があるものもある。

私たちが自問すべきことは明らかだ。あとは、その答えを見つけるだけだ。

では次は?「なぜ」と問いて「どうやって」を見つける

同じくして、2020年には、仕事の現実において、一時停止したり、もしくは一気に進めたりしなくてはいけない状況でもあった。これは、私たちの多くがいまだになんとか管理 / 運営しようとしている矛盾でもある。私たちは、ハイブリッドワークの試験運用プログラムで得られた教訓が、未来のオフィスのあり方や生産性の向上に役立つとともに、社員やリーダーがこの変化に対応できるようになることを願っている。2022年に向けて、試験運用プログラムで得られた私たちの知見は、グローバルなフレックスワークポリシーに反映され、世界の各地域で何が最適かを判断するための基準となるだろう。

その答えを考えるのに、今が一番いい時期だ。私たちと一緒に考えてみよう。あなたの「なぜ」を「どうやって」に変え、従業員が自ら未来の仕事場を構築する力を与えよう。

編集部注:本稿の執筆者Anamarie Huerta Franc(アナマリー・ウエルタ・フラン)氏は、米国のSAP Labsのマネージングディレクター。全米の開発部門の従業員を対象とした、企業間コラボレーション、ロケーション戦略、コミュニケーション、従業員エンゲージメントのリーダー。

画像クレジット:Shannon Fagan / Getty Images

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(文:Anamarie Huerta Franc、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Tinderも導入したバーチャルコワーキングのSoWorkが17億円を調達

SoWork(ソーワーク)の共同創業者でCEOのVishal Punwani(ビシャール・プンワニ)氏は、偶然思いついた予感をもとにビジネスを構築している。

バーチャルコワーキングのスタートアップであるSoWorkは、プンワニ氏とその共同創業者が機械学習のEdTech企業を立ち上げると決めた後に始まった。その創業中のちょうど17年前、皮肉にも「World of Warcraft」をプレイしているときに出会った同氏のチームは、より良いコミュニケーションの方法を必要としていた。何かを作ることとゲームをすることが好きだった彼らは、バーチャルな世界にヒントを得て社内コミュニケーション製品を作り上げた。

彼らのチームの内部コミュニケーションツールは、外部向けのEdTechツールよりも急速に成長し始めた。このスタートアップは、最終的にSophya(ソフィア)という社名に変更し、転換した。同社は、すべての雇用主がいずれ、バーチャルな仕事体験に投資しなければならないというプレッシャーを感じるだろうという予感から始まった。従業員はそうした環境で、文化を修復したり、気候変動と戦うわけだ。

その予感は、このアーリーステージのスタートアップに投資すべきだと投資家を確信させるのに十分だった。SoWorkは現地時間10月12日、シードラウンドで1500万ドル(約17億円)を調達したと発表した。ラウンドは、英国を拠点とし、日常的にアーリーステージのスタートアップに小切手を切っているTalis Capitalがリードした。資金は採用や研究開発に使用する。SoWorkは、100社が参加するプライベートベータ版に1社の大きな顧客を迎えた。Tinder(ティンダー)だ。

Tinderは、バーチャルスペースを導入し、新旧の分散した社員に、コラボレーションルームからハッカソンなどの全社的なバーチャルイベントに至る同社のワークカルチャーを見せようとしている。オフィスのリニューアル計画が遅れたことが、同社がバーチャルスペースに興味を持つきっかけだったのかもしれないが、同社はこのテクノロジーが今後の鍵になると考えているようだ。

画像クレジット:SoWork

「従業員の働き方の未来を考える上で、Tinderのカルチャーを物理的な空間とバーチャルな空間のハイブリッドに拡張する、より永続的な方法を見つけることが非常に重要でした」とTinderのカルチャー&DE&I担当副社長であるNicole Senior(ニコル・シニア)氏は声明で述べた。

どんなバーチャルオフィスであっても、永続性は部屋の中の象のようなものだ。SoWorkは、TeamflowWithGatherといったバーチャルオフィスプラットフォームの列に加わる。バーチャルオフィスビジネスの最大の課題の1つは、雇用主、特に成長段階にある雇用主が、対面式のオフィスで十分なのに、成長中のチームをメタバースに移すことが現実的かということだ。また、Slack(スラック)が、すでに定着している同社のサービスにさらなる投資を行い、より自然な感じやハドルミーティングなどを持ち込もうとしているように、バーチャルオフィスサービスのスタートアップは、顧客が、特にゲームとともに育ったような人たちではない場合、オンラインの世界で生活や仕事をしたいと思っているのか検証する必要がある。

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「問題を認識していないのであれば構いません。しかしいずれ、SoWorkにせよ他のプラットフォームにせよ、そこに拠点を置く企業が増え、プラットフォームでのメリットが積み重なっていくでしょう。そのうち、ある日突然、雇用主にとって他では得られないメリットが現れるのです」とプンワニ氏は話す。「Twitter(ツイッター)のようなものです。最初は、『Twitterは欠かせない』という企業はありませんでした。しかし、Twitterがランダムなノイズを生む場所になると、企業は『関わりを持っておきたいから、Twitterを利用したい』というようになりました」。

Sophyaには、近接ベースのオーディオ(近くにいる人の声だけが聞こえる)や高品質のビデオ、アバターの自己表現、カスタマイズ可能なオフィス、自分の周りにいる人の視覚化など、体験を深めるための機能が数多く搭載されている。また、従業員がオフィスを飛び出してSoWorkのエコシステムに参加し、他社の従業員とネットワークを築いたり、コミュニティイベントに参加したりする方法も開発した。プンワニ氏によると、チームは週に25〜40時間、非同期のキャッチアップやリアルタイムのミーティングのために、バーチャルオフィスで仕事をしている。

画像クレジット:SoWork

それでも、このスタートアップの最大の差別化ポイントは、気候変動に対するチームの考え方かもしれない。市場に出回る多くのバーチャルオフィスとは異なり、SoWorkは、雇用主にオフィスではなくバーチャルで会社を成長させる方法を提供することで、気候変動に対処するという使命を声高に主張している。同社は、オフィスではなくSoWorkに入居した企業が、どれだけ二酸化炭素の排出量や通勤時間を削減できたかを試算して発表する予定だ。また、同社のカナダ法人では、化石燃料から100%脱却した銀行を選び、米国法人でも同じようにしようとしていると、同社の共同創業者は述べた。

「気候問題は、私たちが最も力を入れている問題です。だからこそ、私たちのキャッチフレーズは、『職場を地球からクラウドへ』です」とプンワニ氏は話す。「気候変動への影響を想像してみてください。二酸化炭素排出量、通勤、小規模な出張、そして無意味なビルや駐車場の建設が減るのです」。

また、競合他社と比較しても、チームの多様性は際立っている。プンワニ氏の他に、Emma Giles(エマ・ジャイルス氏)とMark Liu(マーク・リュー)氏という2人の共同創業者がおり、SoWorkのオペレーション、マーケティング、グロース、プロダクト、リサーチなど主要6チームのうち、5チームを女性が率いる。

SoWorkは、11月の第1週にプライベートベータ版を一般公開する。すでに1000社以上、人数にして30万人以上がウェイティングリストに登録している。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

会議を日常のワークフローに統合する「ミーティングOS」を目指す仮想会議プラットフォームのVowel

仕事を進める上で会議を避けることはできない。だが、Vowel(バウエル)のCEOであるAndy Berman(アンディ・ベルマン)氏は、過去18カ月におよぶ職場の分散化の中で、私たちは「会議による死」に向けて着実に歩んでいるという。

このたび、彼の仮想会議プラットフォームが、会議前、会議中、会議後をより実り多いものにすることを目指して、ベンチャーキャピタル資金1350万ドル(約14億9000万円)を調達した。

Vowelが立ち上げるミーティング運営システムは、リアルタイムの文字起こし、統合された議題、メモ、アクションアイテムを備えており、会議の分析機能、会議の検索可能なオンデマンド記録を提供する。同社はフリーミアムビジネスモデルを用意しており、2021年秋には、1ユーザーあたり月額16ドル(約1764円)のビジネスプランを展開する予定だ。また追加機能として、高度な統合機能、セキュリティ、および管理機能が含まれる。

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今回のシリーズAは、Lobby CapitalのDavid Hornik(デビッド・ホーニック)氏が主導し、既存の投資家であるAmity VenturesとBox Group、そしてCalendly CEOのTope Awotona(トープ・アウトナ)氏、Intercomの共同創業者であるDes Traynor(デス・トレイナー)氏、Slack VPのEthan Eismann(イーサン・アイスマン)氏、元Yammer幹部のViviana Faga(ビビアナ・ファガ)氏、元InVision社長のDavid Fraga(デビッド・フラガ)氏、Oktaの共同創業者であるFrederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)といった個人投資家グループが参加した。

Vowelを始める前のベルマン氏は、ベビーモニター会社Nanit(ナニット)の創業者の1人でもあった。同社は世界中にチームを分散させていたため、結果としてコミュニケーションには苦労がともなった。2018年に同社は同期型および非同期型の会議に使えるツールを探していたが、さらに管理するタイムゾーンもたくさんあるという課題があったと彼はいう。

1日17時間ビデオをストリーミングしているNanitのベビーモニター機能からヒントを得て、Vowelのアイデアが生まれた。そして同社はこの先分散作業が普及していくという仮説に焦点を合わせ始めたのだ。

「はじめまわりの人たちは、私たちがクレイジーだと思っていましたが、その後パンデミックが発生して、皆がリモートで作業する方法を学び始めたのです」とベルマン氏はTechCrunchに語った。「ハイブリッド作業に戻りつつある現在、私たちはこれはチャンスだと考えています」。

2017年、ハーバードビジネスレビューは、経営幹部は毎週23時間を会議に費やしていることを報告した。またベルマン氏は、現在平均的な労働者は、毎週就業時間の半分を会議に費やしていると推定している。

Vowelは、いつでも一時停止できるオーディオとビデオ記録とともに、Slack(スラック)、Figma(フィグマ)、GitHub(ギットハブ)のコンポーネントを会議に持ち込む。ユーザーはメモを追加したり、そうしたメモがリアルタイムの文字起こし情報どこに対応するかを確認したりすることができる。これによって、会議に後から参加した人や、会議に参加できなかった人が、内容に簡単に追いつくことができる。会議が終わった後には、それらは共有することが可能だ。Vowelには検索機能があるので、ユーザーは内容に戻って特定の人やトピックが議論された場所を確認することができる。

新しい資金により、同社はプロダクト、デザイン、エンジニアリングのチームを成長させることができる。Vowelは、2022年までに最大30人の新規採用を計画している。同社は最近ベータテストを終了し、順番待ちリストに1万人を集めた。ベルマン氏によれば、一般公開は秋に行われる予定だという。

職場における生産性とオフィスのコミュニケーションツールは、新しいコンセプトではないが、ベルマン氏が説明したように、過去18カ月間に自宅がオフィスになるにつれて、ますます重要なものとなってきた。

競合他社は、これらの問題を解決するためにさまざまなアプローチを取っている。ビデオ会議、音声、またはプラグインを使用した会議管理に重点を置いていることが多い。ベルマン氏によれば、まだ多くの競合相手が成功していない分野は、会議を日常のワークフローに統合する部分だという。そこがVowelの「ミーティングOS」が活躍できる場所なのだ、と彼は付け加えた。

ベルマン氏は「私たちの目標は準備、会議そのもの、フォローアップを含めて、会議をより包括的で価値のあるものにすることです」という。「将来はナレッジマネジメントが重要になると考えています。私たちと他との違いは、そうしたナレッジベースをすばやく検索し、維持できるようにすることです。ガートナーのレポートによれば職場の会議の75%が2025年までに記録されるようになるいわれています。私たちはそのトレンドをゼロから作り直しているのです」。

Lobby Capitalの創業パートナーであるデビッド・ホーニック氏は、既存の投資家であるAmity VenturesからVowelのことを知ったという。GitLab(ギットラブ)の取締役会のメンバーでもあるホーニック氏は、GitLabはパンデミック以前から技術分野では最大の分散型企業の1つであり、分散型チームを機能させるという課題に直接取り組んできたのだと語る。

そのホーニック氏がVowelの話を聞いたときに、そのチャンスに「すぐに飛び乗った」のだという。彼の会社(Lobby Capital)は通常、ビジネススペースを変革する能力を持つプラットフォームビジネスに投資している。その多くはSplunk(スプランク)やGitLabのような純粋なソフトウェア企業だが、その他は中小企業が財務業務を管理する方法を変革したBill.com(ビルドットコム)に似ている、と彼は付け加えた。

特に、何十年も進化することのなかった会議スペースを変革する「ミーティングOS」に対するVowelのビジョンを考えると、同社は変革の要素が凝縮されたような会社なのだとホーニック氏は語る。

「このことのすばらしさは私の目には明白でした。なにしろ私の日常は会議また会議の繰り返しなのですから、1日8回のZoom(ズーム)が普通になって、なんとかすべてを覚えておける方法はないものかと考えていたのです」とホーニック氏は語る。「この製品を使用している初期の顧客のみなさんと話して、もしこれがなくなったらどうするかと尋ねたところ、彼らが最初に言ったのは『泣くよ』でした。代替手段がないので、Zoomや他のツールに戻るだろうけれど、それは大きな後退になるだろうと答えてくれたのです」。

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画像クレジット:Vowel

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(文: Christine Hall、翻訳:sako)

アフターコロナでもバーチャルオフィス業界で独自の地位を確立しようとするNooks

分散したチームをターゲットにしたバーチャルワークスペースの空間を提供するNooksは、1年間のベータ運用を経て、数千人のユーザーを魅了し、ベンチャーキャピタルから数百万ドル(約数億円)の資金を引き寄せてきた。スタンフォード大学の学生が率いるこの有望なスタートアップがこのたび、シードラウンドでの500万ドル(約5億5000万円)を調達している。ラウンドを主導したのはTola Capitalで、出資者にはFloodgateの他、EventbriteのCEOであるJulia Hartz(ジュリア・ハーツ)氏と同会長のKevin Hartz(ケヴィン・ハーツ)氏、Awesome People Venturesの創業者Julia Lipton(ジュリア・リプトン)氏が名を連ねている。

この資金調達は「バーチャルオフィス」の領域で事業展開する企業に賭ける投資家のさらなる中核グループの兆候を示している。つまり、分散した従業員たちがZoomを卒業し、生産性とゲーミフィケーションを念頭に置いて作られた「メタバース」へと進む準備ができていると考える、スタートアップ数十社を含むコホートだ。ケヴィン・ハーツ氏が仮想HQ事業に投資したのは今回が2度目で、最初はGatherへの投資だった。現時点では、Sequoia Capital、Andreessen Horowitz、Menlo、Battery Ventures、Index Ventures、Y Combinator、Homebrew、Floodgateの各社が、それぞれ別のバーチャルオフィススタートアップに出資している。

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言い換えれば、投資家が資金を投入していてもなお、Nooksは資金調達に対して難しい仕事を抱えているということだ。

Nooksは2020年5月、スタンフォード大学の学生Daniel Lee(ダニエル・リー)氏、Rohan Suri(ローハン・スーリ)氏、Nikhil Cheerla(ニキル・チェルラ)氏、そしてRensselaer Polytechnic Institute(レンセラー工科大学)のAndrew Qu(アンドリュー・クー)氏によって設立された。予期せずにリモートワークの世界に飛び込んできた他の大半の人々と同様に、スタンフォードの学生3人組は学校や授業でZoomがもたらす疲労を体験した。彼らはほどなく、よりパフォーマンスの高いチームや同じ考えを持つコミュニティが一緒に仕事を楽しむことができる空間を作る必要性を感じた。

共同創業者たちは最初に、Nooksをスタンフォード大学内で試験運用し、夏のバーチャル授業の魅力的なレイヤーとして教員支援用に提供した。Nooksの初期のユースケースは、オフィスでの時間や宿題パーティーの様相を呈していた、とリー氏は語っている。学校で試験運用を行っていたNooksはその後、分散したチームの業務支援に注力するようになったが、その精神は一貫している。

「会議のような束の間の空間ではなく、より自然発生的なつながりを作ることができる場所を提供する、永続的な空間が必要です」とリー氏は語る。

Nooksの求心力の要素

ユーザーがNooksにアクセスすると、Slack風のインターフェイスが表示される。ただし、左側にあるチャンネルのパネルの代わりに、従業員は「スペース」への参加に招待される。各スペースの用途は、デスク周りのモックアップからビーチでのくつろぎ、企画や考案のハドルにいたるまで、さまざまだ。また、コードに現れるバグを取り除くための専用スペースが設けられている。プラットフォームへの最初の参入時点で、NooksのUXは他の競合他社とは一線を画していた。BranchやGatherのような企業は、生産性要素を備えたビデオゲームのような印象だが、Nooksはアバターのような雰囲気をまったく感じさせず、TeamflowTandemに近づいている。同社はビデオAPIを利用して、各ユーザーが小さなスペースを利用できるようにしている他、Googleドキュメント、YouTube、Asana、GitHubなどのプラットフォームとの統合も追加している。

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画像クレジット:Nooks

共同創業者であるスーリ氏によると、同社は会話の促進を図るために、クリック数を増やすことなく、よりシンプルな美意識を追求するようにしたという。

「誰かと話をするにあたって、ビデオゲーマーになる必要があるとは、私たちは考えていません。自分のアバターが周囲に存在し、会話をする相手に歩み寄るようなものです」とスーリ氏はいう。「部屋の中にいる彼らを見つけて、その部屋に入るのと同じくらい簡単であるべきです」。

画像クレジット:Nooks

当然のことながら、同社はそのシンプルさと魅力的な環境のバランスを取ることに力を入れており、スペースやBGMのカスタマイズもその一環だ。プレゼンテーションの最中に仲間同士が会話できる「ささやき機能」や、Nooksがトップセラーのリーダーボードを作成するバーチャルセールスフロア、アイデアの相互交流を促進するコワーキングスペースなどがある。

シンプルさは、自発性を犠牲にしてしまうこともある。他のバーチャルオフィスプラットフォームが空間的広がりのあるオーディオを使って「一過性」の感覚(他の同僚の近くにいるときは主張の声が大きくなり、離れているときは寡黙になる)を作り出しているのに対して、Nooksは、そのシンプルさを常に「ワンクリックで誰とでも話ができる」という目的で創出することで、即興のコラボレーションとカジュアルな会話を促進している、とリー氏はいう。

摩擦のないコミュニケーションは重要な機能だが、Nooksの唯一の求心力要素ではないようだ。SlackやHangouts、さらにはTwitterのDMのようなプラットフォームでは、ユーザーが誰かとコミュニケーションするのに必要なのはワンクリック(最大でも2クリック)だけである。いうまでもなく、Slackは自発性とライブコミュニケーションを中心とした一連のコミュニケーションツールをリリースしている。

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それでもNooksには現在、スタンフォード、Embroker、Workatoなどのチームや組織による、毎週何千人ものアクティブユーザーが存在する。同社によると、Nooksを利用するチームは1日平均6時間をNooksのプラットフォームに費やしているという。

ハイブリッドワークのバーチャル成長の難しさ

世界各地でパンデミックが収束するにつれ、Nooksのようなスタートアップは、リモートワーク中心の長い期間に及ぶ対応を経て、ハイブリッドチームの復帰に適応する方法を見つける必要があるだろう。これらのスタートアップにとっての新たな課題は、新しい仕事の文化にうまく組み込むためにどのように自らを位置づけるかである。

そして、近接性バイアスによってそれが難しくなる可能性もある

近接性バイアスとは、バーチャルで働く従業員よりも、対面で働く従業員の方が高く評価されるという考え方だ。ハイブリッドが大規模に成功するのを難しくしている現実の1つは、従業員のグループがオフィスに出向くことができるという理由だけで、より重要な存在として位置づけられたり、高く評価されたりすると、公平性が損なわれることだ。

バーチャルワークスペースのスタートアップ、特に職場の文化をオンライン化したいスタートアップは、在宅勤務者とオンサイト勤務者を誤って分断してしまう可能性がある。分断化は、少数民族や女性を含む、歴史的に見過ごされてきた個人に不相応な影響を与えてしまう。顕著なことに、現在のバーチャルオフィスのほとんどが男性によって構築、運営、資金提供されている。

近接性バイアスへの対処方法について尋ねると、リー氏は「リモートの従業員とより頻繁に、流動的でカジュアルな会話をすることで、チームの他のメンバーとより強い絆を築くことができます」と説明した。当然のことながら、バーチャルオフィススタートアップの多くは、オフィスにいる全員を同じデジタル世界に連れてくることを通して近接性バイアスの解消に乗り出したものだ、という主張もあるだろう。

最終的には、プレイフィールドを平等にするには積極的な意図が必要になる。スタートアップはどうすれば、会議室Aでの自然発生的な対面でのスタンドアップミーティングにバーチャルオフィスの従業員がアクセスできるようにすることができるだろうか。プラットフォームはどのようにして従業員に、場所に関係なく、意見を出したり、反対意見を述べたり、会議後の冗談を共有したりする機会を与えるだろうか。アバターは、拍手や親指を立てる以外にも、物理的なヒントを与え始めることができるだろうか。

私はこれらの機能が、長期的に見てバーチャルオフィススタートアップのムーンショットであり、サバイバルハックであると確信している。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

3Ⅾのアバター・仮想空間によるクラウドオフィス「RISA」、テレワークで失われた気軽な会話を生む環境を追求

RISAで取材を実施、アバターはイスに座ることもできる

コロナ禍で働き方が見直されている中、テレワークの浸透は大きな課題となっている。内閣府が2020年12月に行った調査によると、全国のテレワーク実施率は21.5%だった。

この中でテレワーク経験者が答えた「テレワークのデメリット」は「社内での気軽な相談・報告が困難」が38.4%で最多となった。「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」は3番目に多く、28.2%に上る。

テレワークでは目的ありきのウェブ会議などが軸となり、ちょっとした雑談を生む機会もなく、働き手の孤独感が増してしまっている。その穴を埋めるのが、クラウドオフィスという新たなワークプレイスだ。

クラウドオフィス「RISA」は、ビジネスシーンで利用可能な3Ⅾのアバター・仮想空間による新たなバーチャルオフィスとなる。大阪に拠点を置くOPSIONが2020年10月からRISAの提供を開始し、現在はコニカミノルタなどの大手企業をはじめ約40社が導入している。この他にも800社ほどからサービス導入へ声がかかっているという。

RISAはインストールする必要はなく、PCからブラウザで起動できる。ブラウザはGoogle Chromeを推奨しているが、Microsoft Edgeにも対応している。また、2022年までにはスマホやタブレットなどのマルチデバイス対応をしていく予定だという。

「3Dならではの臨場感や没入感がRISAの特徴です。社員同士が気軽に集まれる居場所を提供し、テレワークで失われた偶発的なコミュニケーションや、簡単に相談ができる環境を作り上げています」とOPSIONの深野崇代表は語る。今回は実際にRISAでアバターを動かしながら、深野氏に話を聞いた。

RISAでアバターを走らせ、相手に話しかける

さまざまなパーツを組み合わせて自分好みのアバターを作れる

RISAでは自身が立つ四角いタイル内にいるメンバー同士と音声通話で話せるようになっている。遠くにいる誰かに話しかけたいときは、その人が実際にいる部屋などにアバターを走らせ、話しかける。アバターは床をクリックすればその位置に移動できる。キーボードのA、W、S、Dキーや矢印キーでも移動可能だ。

RISAのアバターは髪型や顔、服装など、さまざまなパーツをカスタマイズできる。手足が一部だけしか表現されないアバターは一見すると奇妙だが、実際に動かしてみると違和感はない。深野氏は「細部の動きなど、人は見えていない部分を想像で補うので、想像の範疇でどのような動きをしているのかを最低限わかるところまで削りました。動作を軽くするといった狙いもあります」と説明する。

細かな動きは人の想像力で補う仕組み

テレワークをしていると、相手がいまどのような状況かわからないことも多い。RISAではアバターの頭上に「声かけ可能」「取り込み中」「離籍中」を示すステータスを表示できる。エモート機能もあり、手を振ったり、拍手をしたり、ダンスしたりすることも可能だ。

頭上の白文字が「ひと言メッセージ」。その時や気分や困ったことなどもひと目でわかるようにした

「ただ、これだけではわかりづらいこともあります。そこでいまやっていることなどを『ひと言メッセージ』として、頭上に表示できます。私の場合、今日は『テッククランチさん取材』にしました。相手の状況が分かりづらいリモートワークの欠点を、記号だけでなく文字情報でも補完できるようにしています」と深野氏は語った。

また、ウェブ会議で話し手が一方的に話し続けるといった問題も解決していく。RISAではスタンプ機能を追加し、アバターにクエスチョンマークやハートマークを連続して表示できるようにした。

スタンプ機能でインタラクティブなコミュニケーションを促進

目くばせやうなずきなど、人が何気なく行っていたちょっとしたジェスチャーに寄せた表現ツールだ。「一方通行になりがちなウェブ会議でも、インタラクティブなコミュニケーションができるように工夫しました」と深野氏はいう。

マップ機能も追加して誰がどこにいるかわかるように

RISAによる会議のイメージ

料金体系は1つのRISAの仮想空間上で、1~50人利用で月額税込3万3000円となっている。RISAでは100人ほどが常時接続できるようになっているが、50人以降は10ID毎に月額税込5500円で追加できる。導入企業をみると、部署単位で最大80人が働いている企業もあれば、4人で利用している企業もあるという。

製品版リリースから約6カ月のタイミングとなる2021年4月には、大型アップデートを行った。RISAの部屋配置などを刷新し、これまでよりも音声通話ができる空間を増やしている。

「リアルのオフィスでは、会議前にロビーで少し作戦会議したり、会議終わりに『わからないところがあった』など雑談が生まれたりします。この会議前後の時間はとても大事だと考えています。RISAでも会議を起点にした偶発的なコミュニケーションがより生まれるよう、簡単に空いている部屋へ移動できるレイアウトにしました」と深野氏は語る。

マップ機能で利便性を高めた

また、2Dのマップ機能も追加した。これにより、誰がどこにいるのかカーソルを部屋に合わせればわかるようになった上、誰もいない空間を簡単に探せるようになった。

2Dではなく3D。情報量の多さを重視

エモートの「ヨガ」のポーズ。思わず何をしているのか、尋ねたくなる

クラウドオフィスには2Dのアイコン・空間を用いてサービス展開している企業もいる。OPSIONではなぜ3Dを選んだのか。深野氏はこう語る。

「臨場感や没入感、『ここで働いているんだ』という帰属意識をRISAは重要視しています。2Dのアイコンがあるだけよりも、3Dのアバターは人の形をしているため、直感的に実際に集まって働いているという感覚を高めることができます。また、3Dは情報量が多い分、相手が何をしているといった状況も分かりやすく、声をかけやすいです」。

OPSIONは3Dにこだわり、人に近しい感覚で働ける環境づくりを追及しているのだ。しかしデメリットもある。

「3DではPCの動作が重くなるといったことがあります。ただ、PCそのものの性能が上がっていたり、5Gといった新たなテクノロジーも発展していくはずです。2Dとの差である『動作の重さ』といった不都合は時間とともに無くなるはずです」と深野氏は述べた。

ポイント制度導入で帰属意識をより高める

開発中のポイント制度によって、楽しみながら仕事ができる

OPSIONの業務もRISA上で行われているが、現在は試験的に「ポイントショップ」「ポイントランキング」といったポイント制度を取り入れている。

深野氏は「RISAにおけるユーザーの活用状況に応じて、ポイントを付与する仕組みを実装しようとしています。ポイントを貯めれば、アバターの見た目を変えたり、部屋の椅子などをカスタマイズできるようにします」と構想を語った。

具体的には誰が誰に話したのかといった発話者を特定して、そのコミュニケーション量などに応じてポイントを付与できるようにするという。ポイント制度は早ければ2021年の夏ごろには実装する予定だ。

「ゲーム性を含んだポイント制度には意味があります。楽しんで仕事ができることはもちろん、『最近アバター変わったね』など会話のきっかけ作りにもなります。また、オフィス空間を自分たちで作り上げていけば、より帰属意識も高まっていくはずです」と深野氏は意気込む。

リアルオフィスとテレワークを繋ぐ居場所として発展させていく

深野氏は新型コロナウイルスの影響が収束しても、リアオフィスとテレワークの両方を取り入れたハイブリット的な働き方が主流になるとみる。RISAでもマルチデバイス対応などを行うことで、双方をよりシームレスに行き来できる居場所として、発展させていく考えだ。

「5、10年というスパンでは、リアルオフィスだけでなく、RISAのようなクラウドオフィスを企業が持つことが当たり前になると思っています。我々は家にいても、リアルオフィス以上にコミュニケーションが取れるような世界観を目指していきます」と深野氏は想いを語った。

なお、取材中はCPUがIntel Celeron N4100、メモリが8GB、OSはWindows 10 Home(64bit)のノートPCを使っていたが、アバターは問題なく動き、音声通話も終始クリアに聞こえた。他のタブなどは閉じた状態で、GPUはほぼ100%の使用率となり、CPUは30%前後だった。

実際にRISAを使ってみて、キーボードで動かすPCゲームなどの経験は筆者にはなかったので、アバター移動は多少手間取ってしまった。その点を除けば、取材を1時間ほどしている中で、RISAでアバターを動かしながら話を聞くことに不便さはなかった。回線落ちなど何かしらの不具合はあると思っていたが、杞憂だった。

アバターではあるが、取材中は相手の正面に立とうとするなど、気づけばアバターは「自分化」していた。アバターは多種多様なパーツがあったため、その日の気分によって服装や髪型を変更でき、使い込んでいけばお気に入りの見た目なども出てくるかもしれない。

テレワーク環境で失くした「人と1つの場を共有して働いている」という感覚は、バーチャル空間で実現すると真新しくもあった。RISAが導入されれば、深野氏がいう「偶発的なコミュニケーション」による職場の温かさのようなものが取り戻せるかもしれない。リアルオフィス以上を目指すというOPSIONの動きに、引き続き注目したい。

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間もなく登場するOculus Quest 2はPCの無線ストリーミングに対応し仮想オフィスも実現
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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:OPSIONRISAテレワーク仮想オフィスアバター仮想空間日本

間もなく登場するOculus Quest 2はPCの無線ストリーミングに対応し仮想オフィスも実現

この数カ月間、Oculus(オキュラス)のソフトウェア関連の話題は比較的静かだったが、Facebook(フェイスブック)のVR部門は、間もなく発売されるQuest 2(クエスト2)スタンドアローン型ヘッドセットの新機能の詳細を公表した。

Quest 2のv28ソフトウェアアップデートによって導入される新機能には、無線のOculus Linkへの対応、Infinite Office(インフィニット・オフィス)機能、120hz対応などがある。正確な開始時期は不明だが、ブログに書かれている内容からは、間近であるように推測できる。

特に注目すべきは、Oculus Linkの無線バージョンだ。これによりQuest 2ユーザーは、PCから直接、このスタンドアローン型ヘッドセットにコンテンツをストリーミングできる。これまで、もはやほぼ使い物にならなくなったRift(リフト)プラットフォームで限定されていた強力なグラフィックのタイトルが楽しめるようになる。Air Link(エアー・リンク)は、Oculus Linkの有線接続とおさらばできる機能だ。もっとも、多くのユーザーはすでに、サードパーティー製アプリとVirtual Desktop(バーチャルデスクトップ)を使った無線接続に依存しているが。

今回のアップグレードは、どうやらQuest 2ユーザーのみを対象とした新たな実験モードで、オリジナルのQuestヘッドセットは含まれないようだ。これらの新機能を使うためには、Quest 2とPCの両方でOculusのソフトウェアをv28にアップデートする必要がある。

このアップデートでは、Air Linkのリリースにともない、Infinite Officeにも新機能が加わる。キーボードとマウスをVRに取り込むことで、デスクトップ型のソフトウェアが使えるVRオフィスを展開するというものだ。Facebookは以前、VRをメインにしたFacebook Connect(コネクト)カンファレンスでこれを発表したものの、当時は詳細を明らかにしていなかった。

今回のアップデートでは、キーボード対応機能が追加される。実際にキーボードを接続することも可能だが、VRの中にもキーボードを表示できる。この機能に対応するキーボードは、1つのメーカーの1つの機種(Logitech K830)に限られるが、Facebookでは、ゆくゆく他のキーボードも使えるようにすると話している。このキーボードを持っているユーザーなら、両手の輪郭と、実際に使う位置にキーボードのレンダリング画像が表示され、タイプができる(理論的には)。またInfinite Officeでは、現実のデスクがある場所を指定できるので、ユーザーは自分の実際の位置を確認できるようになる。ただし、キーボードが使えるようになっても、現時点ではOculus Browserのアクセス程度しか行えない感じだ。

最後に、Oculusでは、120hzのフレームレートでのゲーム開発が可能になる。今はまだそのフレームレートで使えるものは何も用意されていないが、開発者の実験のための対応だとFacebookは話している。

Oculusによると、ユーザー向け新ソフトウェアのアップデートは「順次」行われるとのことだ。

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(文:Lucas Matney、翻訳:金井哲夫)

仮想オフィスプラットフォームはこんなにたくさん必要か?

元Uber(ウーバー)のマネージャーであるFlo Crivello(フロ・クリベロ)氏が創業したバーチャルオフィスプラットフォームのTeamflow(チームフロー)がシリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達した。わずか3カ月前にシード資金390万ドル(約4億2000万円)を調達したばかりだ。今回のラウンドをリードしたのはBattery Ventures。シードラウンドはMenlo Venturesがリードした。

Teamflowの資金調達は、ライバルのGather(ギャザー)がSequioa Capitalのリードで2600万ドル(約28億3000万円)のシリーズAを発表した数日後のことだった。別のライバル会社であるBranch(ブランチ)も、HomebrewとGumroadのSahil Lavingia(サヒール・ラヴィニア)氏らの投資家からシードラウンドで150万ドル(約1億6000万円)を調達し、現在シリーズAを実施している。

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いずれのスタートアップも、人々が仕事中より何かを切り替える場面でゲームライクなインターフェースを主流にしたいと思っている。ただし現実は、3社とも(他の数十社も)成功しそうにない。勝者となるべき差別化は戦略にある、とTeamflowのクリベロ氏は私に話した。

「かつて、最大の差別化要因はUX(ユーザー体験)と美的感覚だったと思います」と彼はいう。「多くの会社が採用している非常にゲーム性の強いアプローチは私たちも大ファンですが、仕事の会議をポケモンゲームの中でやりたくない、と私たちは思うのです」。

Teamflowのオフィスを案内してもらったとき、この会社はゲーミフィケーションよりも生産性に力を入れていると感じた。統合できる機能にはSlack風のチャットやファイル・画像の共有などがある。現在プラットフォーム内アプリストアを開発中で、完成すればユーザーは自分たちのチームに最適な統合モジュールをダウンロードできる、とクリベロ氏はいう。アプリストアにはゲームもある。

Teamflowのバーチャルオフィスプラットフォーム

この方針はTeamflowがイベント主催者よりも企業経営者の支持を得るのに役立った。ファウンダーは、より安定した収入源だという。現在同社はプラットフォーム上のスタートアップ内で数千のチームをホストして「数十万ドル(数千万円)の売上」を集めている。ライバルのGatherは、売上の大部分を1回限りのイベントから得ていると最近TechCrunchに話す。現在Gatherの月間売上は40万ドル(約4300万円)だとファウンダーのPhilip Wang(フィリップ・ワン)氏はいう。

ちなみにGatherのルック・アンド・フィールはTeamflowとは大きく異なり、Sims(シムズ)に近い。

Gatherのバーチャルオフィスプラットフォーム

BranchのDayton Mills(デイトン・ミルズ)氏は「ゲーミフィケーションを大きく強化」することで競争力を保っていると語った。同社はレベル、ゲーム内通貨、経験値などを導入して従業員が自分のオフィス空間をカスタマイズするよう推奨している。

「生産性は落ちていませんが、カルチャーや楽しさや人とのつながりは悪化しています」とミルズ氏は本誌に語った。「だから、仕事と遊びを考えたとき、私たちは遊びの部分の修復に目を向けます。仕事ではありません。仕事は副次効果としてついてきます」。Branchはまだ収益を上げていない

Teamflowにとって次の野望は、顧客ベースを流行に敏感なスタートアップの実験チーム以上へと拡大することだ。クリベロ氏は、Zoomが売上の約40%を大企業から得ていることを挙げ、Teamflowは「大企業対応の準備にいっそう注力している」と語った。

同社はルールを守りプライバシー標準に従うことで、医療やバイオテック企業にも進出しようとしている。これは同社が「きちんと管理された分野」と呼ぶ、他のゲーミフィケーションアプローチを望まない可能性のある領域だ。

クリベロ氏は、自社のビジョンに関して明快だ。バーチャルオフィスの引っ越しを物理的オフィス以上に難しくしたい、と彼は考える。もしTeamflowがいつかオペレーティングシステムのようになってアプリケーションを加え、質の高い基準を設定することができれば、もっと幅広い層の顧客を取り込めるかもしれない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Teamflowリモートワークバーチャルオフィス資金調達

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook