全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

地域のパン屋さんが抱えるあらゆる課題を独自の冷凍技術とDXで解決する、群馬県拠点のパンフォーユーは2月8日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約1億8000万円の資金調達を発表した。

引受先は、ソーシャルギフト事業を展開するギフティ、九州オープンイノベーション1号投資事業有限責任組合(GxPartners有限責任事業組合、FFGベンチャービジネスパートナーズ)。また同社は、ギフティとの資本業務提携を明らかにした。今後サービス連携し、パン屋さんのDX推進を加速させる。

これまでパンフォーユーは、独自のパン冷凍技術・パン屋さん向けSaaSプロダクト・販路拡大戦略により、「その場で作り、その場で売る」ことができる、店舗内にパンを作るための厨房を持ち、製造・販売を行うリテールベーカリーの販売チャネル拡大をサポートしてきた。

調達した資金により、パン屋さん向けに独自開発しているSaaSプロダクト「パンフォーユーモット」のさらなる開発を進め、パン屋さんを取り巻くすべての作業を効率化できるよう機能拡充を進める。

またギフティと連携することで、個々のリテールベーカリーでは難しかったソーシャルギフト市場への参入を進める。店舗・ブランドの顧客ロイヤリティを高めるサービス「giftee Loyalty Platform」(ギフティ ロイヤルティ プラットフォーム)を活用し、パンフォーユーと提携するパン屋さんへデジタルの回数券、定期券、サブスクリプションなどの各種ソリューションを提供。リテールベーカリーの顧客ロイヤリティの向上・収益の安定化を支援する新サービスを開発する。

2017年1月設立のパンフォーユーは、地域のパン屋さんが抱える運営や販路拡大などのあらゆる課題を、独自の冷凍技術とDXによって解決するスタートアップ企業。「新しいパン経済圏」を作り、地域経済に貢献することをミッションとし、独自のパン冷凍技術・パン屋さん向けSaaSプロダクト・販路拡大戦略で、全国の消費者とパン屋さんをつなぎ、パンを「作る人」「売る人」「買う人」三方良しのプラットフォームサービスを提供している。

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また、パンフォーユーの冷凍パンは、「独自の冷凍技術」により、焼成の後に1日常温で置いたパンよりも品質が高いことが日本食品分析センターの検査で実証されているという。パン屋さんは冷凍庫さえあれば、それ以外の設備投資を一切することなく、全国に自慢のパンを届けられるとしている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:ギフティ資金調達(用語)パンフォーユー日本(国・地域)

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群馬県を拠点とするパンフォーユーは6月9日、福岡県を拠点とするベンチャーキャピタルであるGxPertnersからの資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で調達額は非公開。

今回の資本提携により、GxPertnersがGP(無限責任組合員)を務めるファンド(九州オープンイノベーション1号投資事業有限責任組合)のLP(有限責任組合員)をはじめとする九州地域の事業会社との連携を進め、同地域での事業拡大を目指す。さらにアジア圏で日本のパンの需要拡大を見越し、九州地区の流通の利用を検討しつつ海外展開も計画している。

パンフォーユーは、独自のパン冷凍技術と物流網を持つ2017年1月設立のスタートアップ。月額3996円で全国各地のベーカリーから月1回パンが届く個人向けのパン宅配サービス「パンスク」、月替わりで最大8種類を届けてくれる企業の福利厚生を利用した法人向けパンサービス「オフィス・パンスク」、小ロットから冷凍パンを発注できるOEMプラットフォーム「パンフォーユーBiz」などの事業を手掛けている。

一般社団法人日本食品分析センターの検査によると、同社のパン冷凍技術は焼成のあとに1日常温で置いたパンよりも品質が高いことが実証されているとのこと。ベーカリー側は、冷凍庫を用意して同社の技術使ってパンを冷凍すれば、品質を保ったまま全国の消費者に届けることが可能になる。現在25店のベーカリーと提携しており、2020年中に47都道府県の各地域で営業しているベーカリーとの提携を目指す。

地域のパン屋さんとパン好きをつなぐパンフォーユーがF Venturesなどから資金調達

パンフォーユー代表取締役の矢野健太氏

冷凍食品というと、手抜き、おいしくない、体に悪いといったイメージを持つ人も多いことだろう。だが、おいしいパンが大好きなパンマニア、パン通の間では「きちんと冷凍された冷凍パンなら、むしろ保存料要らずでおいしさが長持ちする」というのが既に常識らしい。

パンフォーユーはそんな冷凍パンを、独自の基準で選んだパン屋さんからオフィスまたは個人へ宅配するサービスを提供するスタートアップだ。同社は10月2日、F Venturesと複数の個人投資家からの資金調達実施を発表した。第三者割当増資の引受先は以下の通りだ。

  • F Ventures Fund 1号投資事業有限責任組合
  • 紀信邦氏(ゆめみ監査役)
  • 佐藤裕介氏(ヘイ代表取締役社長)
  • 正林真之氏(正林国際特許商標事務所所長)
  • 千葉久義氏(エンジェル投資家)
  • 山口豪志氏(54代表取締役社長)

調達金額は非公開だが、関係者の情報および登記情報から総額約1350万円とみられる。

パンフォーユーは2017年1月の創業。群馬県桐生市で、ホテルやレストランなどのプロ向けに冷凍パンを製造・販売する、スタイルブレッドとの合弁会社として設立された。当初はオーダーメイド生産したパンを個人向けにネット販売していたが、サービスを提供していく中で「パン好きの人は、オーダーメイドできる、というよりは、いろいろな種類のパンを食べたがっている」ということが分かってきたそうだ。

パンフォーユー代表取締役の矢野健太氏は、「そこで1社のみから供給していたパン製造を複数社からの供給に切り替え、セレクトした地域のパン屋さんとユーザーをつなぐプラットフォームへと事業を転換することにした」と振り返る。現在パンフォーユーでは、複数のパンを楽しめる「パンセット」を提供するスタイルとなっている。

また一部の顧客で、個人ではなく法人宛に定期的な購入があったことから、福利厚生の一環としてのオフィス向けサービスを2018年5月から試験的に開始。この9月には「パンフォーユー・オフィス」として正式にリリースした。商品補充から在庫管理までお任せの「冷凍庫貸出プラン」とオフィスに既にある冷蔵庫の冷凍スペースを使う「セルフプラン」の2種のプランがあり、従業員は「オフィスグリコ」などの置き菓子サービスと同様に料金を支払い、電子レンジでパンを温めて食べる。

矢野氏によれば、試験導入した企業の評価は高いとのこと。大手企業やスタートアップ、コワーキングスペースなど、10月からの導入企業も含めると15社が利用する予定になっている。

冒頭にも挙げたが、冷凍パンに対するネガティブなイメージは依然として強い。そうした中で「実際に食べてもらえば『おいしい』ということを実感してもらえる」と矢野氏。「まずは食べてもらうところがスタートだ。そのためにもユーザーが手を出しやすい、オフィス向けサービスにも注力していきたい」と話す。「ユーザーからの評判はよく、ポテンシャルはあると自信を持っている。ぜひ気軽に一度、食べてみてほしい」(矢野氏)

事業モデルの変更に伴い、パンフォーユーでは経営陣によるMBOにより、スタイルブレッドとの資本提携を解消。今回の調達資金であらためて、複数のベーカリーを供給元としたサービスの再構築、運営体制の強化を図る。

「現在は7軒、10月には関東圏を中心とした10軒以上のパン屋との取引がスタートする。世の中に知られていないパンは全国、全世界にあるが、今後はそれを開拓していきたい。同時にオフィス販路を開拓することで、法人以外にも利用が広がっていくことを目指していく」(矢野氏)

矢野氏はまた「パン購入者が増え、購入データが増えることで、消費者の好みや、どういうものを食べたときにおいしいと感じるのか、といったデータの蓄積もできれば」とも話している。