サイバーセキュリティの最も重要な原因となっているヒューマンエラーに対処する独SoSafe

私たちがこの数年間で学んだように「ヒューマンエラー」を原因とするサイバーセキュリティの侵害は、企業にとって最も対策が難しいものである。調査によると、サイバー攻撃の約85%は人的要因に由来しているという。そのため、2021年790万ドル(約9億円)の資金を調達した英国のCybsafe(サイブセイフ)など、このような落ち度を解消するために設立されたスタートアップ企業が急増している。人間の行動への対応は、明らかにサイバー分野で最もホットな新しい領域の1つだ。

最近この分野で勢力を拡大しているのが、ケルンに本拠を置くSoSafe(ソーセイフ)だ。サイバーセキュリティの意識向上とテストを行うこのプラットフォームは今回、成長投資ファンドのHighland Europe(ハイランド・ヨーロッパ)が主導するシリーズBラウンドで、7300万ドル(約83億5000万円)の資金を調達した。

このラウンドには、既存投資家のActon Capital(アクトン・キャピタル)とGlobal Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)に加え、SAP Hybris(SAPハイブリス)の創業者でCelonis(セロニス)のアドバイザリーボードメンバーであるCarsten Thoma(カーステン・トーマ)氏、La Famiglia(ラ・ファミグリア)とAdjust(アジャスト)の創業者であるChristian Henschel(クリスチャン・ヘンシェル)氏が参加した。

SoSafeが競合するのは、2021年に上場したKnowbe4(ノウビフォー)や、これまでに5800万ドル(約66億円)を調達しているCofense(コフェンス)などのプラットフォームだ。

SoSafeによれば、同社はサイバーセキュリティにユーザー中心のアプローチを採り、行動科学から得られる洞察を利用してユーザーを正しく、より安全な方向に誘導し、ゲーム化された方法を用いてエンドユーザーにサイバー攻撃では何に注意すべきかを教えるという。

現在、SoSafeのプラットフォームはAldi(アウディ)、Ceconomy AG(セコノミ)、Taylor Wessing(テイラー・ウェッシン)、Vattenfall(ヴァッテンフォール)、Valtech(ヴァルテック)など、1500社以上の顧客に利用されている。

SoSafeの共同設立者でマネージングディレクターを務めるNiklas Hellemann(ニクラス・ヘレマン)博士は次のように述べている。「セキュリティ意識とヒューマンリスク管理において、既存のパラダイムに挑戦する当社のプラットフォームは、膨大な数の顧客に採用され、驚異的な成長を遂げています」。

今回のラウンドで主導投資家の役割を果たしたHighland Europeは、これまでMalwarebytes(マルウェアバイツ)、Cobalt(コバルト)、ActiveFence(アクティブフェンス)などのセキュリティ企業を支援してきた。

Highland EuropeのパートナーであるGajan Rajanathan(ガジャン・ラジャナサン)氏は、次のように述べている。「SoSafeの創業者たちは、信頼性の高いサイバーセキュリティ意識向上および試験プラットフォームを構築しました。これは行動分析とヒューマンリスクの点数化によって支えられ、サイバーセキュリティにおける最も重要な脅威領域、つまり人間によるセキュリティの穴を持続的に保護するものです。同社は、短期間で驚異的な勢いを経験し、主要なソフトウェアのスケールアップ企業の1つとして急速に注目を集めています」。

画像クレジット:SoSafe

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

飛行機や自動車などでユーザーの認知状態を識別し致命的なヒューマンエラーを予見・回避するCorrActions

センサーデータを用いて、眠気やアルコール、疲労などに影響されるユーザーの認知状態を査定する非侵襲的神経科学のスタートアップ「CorrActions」は、イスラエル時間5月27日、シードラウンドで270万ドル(約3億円)を調達したと発表した。アーリーステージファンドのVentureIsrael、シードファンドのOperator Partners、政府系ファンドのIsraeli Innovation Authority(IIA、イスラエル・イノベーション・オーソリティ)が、OurCrowdのインキュベーターLabs/02を拠点とする同社を支援している。

CorrActionsのアイデアは、戦闘機のコックピットや自動車など人間が機械と相互作用する、そしてユーザーの認知状態を知ることで致命的なエラーを防ぐことができる場所にタッチセンサーを使用するというもの。同社は、独自アルゴリズムによりユーザーの認知状態を識別し「体動監視により無意識の脳信号を解読する」ことで、エラーが発生する150ミリ秒前にエラーを検出できると約束している。このシステムは、基本的にどこに実装するかに依存しない汎用的なプラットフォームであるため、ほとんどの場合ユースケースを問わない。

「CorrActionsは、スマートウォッチやスマートフォン、さらにはステアリングホイールやジョイスティックなど、ほぼすべての電子機器にすでに搭載されているセンサーを使い、ユーザーの筋肉活動の微小な変化を分析することで、その瞬間の認知状態を読み取ることができる世界初のシステムです」と、同社の共同創業者でCSOのEldad Hochman(エルダド・ホフマン)氏は説明する。「ユーザーが2分間電子機器に触れるだけで、認知状態を正確に数値化し、故障や事故につながる急激な悪化を予測することもできます。そのような事態が起こる数秒前に予見できるのです。つまり疲労、酔い度、疲弊、集中力の欠如などのレベルを任意の瞬間に数値化できるということです」。

もちろん、最近の自動車の多くには覚醒度をモニターするセンサーが搭載されている。CorrActionsがすでに自動車業界の数社と共同で実証実験を行っているのも不思議ではない。さらに防衛産業ともプロジェクトを進めており、同社のシステムがパイロットのパフォーマンスを評価できることを示している。ホフマン氏は同社のアルゴリズムによって、スポーツ選手や高齢者が怪我や転倒の危険にさらされているときに警告を発することができるかもしれないとも考えている。

同社は今回の資金調達により、アルゴリズムのさらなる開発と、特に自動車業界における現在の導入パートナーのサポートを行っていくという。

CorrActionsの共同創業者兼CEOであるZvi Ginosar(ズヴィ・ジノサール)氏はこう述べている。「当社は、基本的な操作ミスを防ぐことで企業の工数やコストを削減できる可能性を秘めた技術を開発し、すでに大きな成果を上げています。さらに、当社のプラットフォームを応用することで、人命を救い、何千もの事故やミスを防ぐことができます。今後数カ月のうちに、さらに画期的な成果や実証実験を報告できるようにしたいと考えており、今回の資金調達はこの目標達成に大きく貢献するものです」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CorrActions資金調達イスラエルヒューマンエラー

画像クレジット:anand purohit / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)