Zoom・Teams・TikTok対応、AIで自分の外観をDXできる「xpression camera」正式版リリース―1.5億円の資金調達も

Zoom・Teams・TikTok対応、AIで自分の外観をDXできる「xpression camera」正式版リリース―1.5億円の資金調達も

「学習し模倣するAI」を「想像し創造するAI」へ進化させることをミッションに掲げるテック企業EmbodyMe(エンボディーミー)は、ビデオ会議などで自分の映像を別のものに置き換えられる「xpression camera」(エクスプレッションカメラ)の正式版をリリースした。WindowsとMacに対応し、無料で使うことができる。アプリはこちらからダウンロードできる。

また同社は、FreakOut Shinsei Fund、DEEPCORE、キャナルベンチャーズ、山口キャピタルを引受先として、1億5000万円の資金調達を実施したことも発表した。

xpression cameraは、使いたい画像が1枚あれば、それをAIにより自分の外観と置き換えて、リアルタイムでコミュニケーションができるようになるというツール。Zoomのほかに、Teams、YouTube、TikTokなどあらゆるビデオアプリで利用できる。たとえばパジャマ姿でも、スーツを着た自分の画像に置き換えてリモート会議に参加するということが可能になる。自分だけでなく、顔として認証されるものなら、絵画や動物の写真を使うこともできる。

 

2020年9月からベータ版を提供していたが、AIのコアエンジンを一新してクオリティーを高め、バーチャル背景などの機能も追加した。映像の録画・読み込み・画像検索・バーチャル背景の編集が可能な有料版の「Pro Plan」もある。さらに、企業向けの「Enterprise Plan」の提供も予定しており、現在はパイロットプログラムへの参加企業を募集している。

EmbodyMeは、「最終的にはAIで目に見えるあらゆるものを誰もが自由自在に作り出せるツールになることを目標とし、今まで想像もできなかったようなまったく新しいメディア、業界をも創造していきます」と話している。

Otter.aiがAIによる新しい会議サマリー機能とコラボツールの提供を開始

AIを活用した音声採録サービスOtter.ai(オッターエーアイ)は、コラボレーションを促進するための会議に特化した新機能群をリリースすると、米国時間3月29日に発表した。最も注目すべきは、Otter独自のAIを利用して会議の概要を自動的に作成する「Automatic Outline(自動アウトライン)」機能を新たに追加することだ。この新機能は、録音を聞いたり、議事録全体を読んだりすることなく、会議中に同僚が何を話したかを把握できるようにすることを目的としている。新しい会議サマリーは、プラットフォーム上の「Outline(アウトライン)」パネルに表示される。

また、Otter.aiは、会議のアクションアイテム、決定事項、重要な瞬間を記録するための新しい「Meeting Gems(ミーティング・ジェム)」パネルも導入している。このパネルを使って、項目の割り当て、コメントの追加、質問などを行うことができる。ユーザーは、ノート内の断片をハイライトすることで、ミーティングから直接Meeting Gemsを生成することができる。

また、Otter Assistant(オッター・アシスタント)を使って、バーチャルミーティング中に提示されたミーティングスライドやその他の画像をOtterノートに直接追加することもできるようになった。また、ホームフィードでは、会議と会議後の行動を優先的に表示するようになった。再設計されたホームフィードを使用して、共有された会話、ハイライトとコメント、タグ付けされたアクションアイテムにアクセスすることができる。最後に、Google(グーグル)やMicrosoft Outlook(マイクロソフト・アウトルック)のカレンダーをOtterに接続しているユーザーは、カレンダーパネルから直接ミーティングに参加できるようになった。

「私たちは、会議であまりにも多くの時間を費やしており、私は会議をより生産的にするためのAIの力に本当に興奮しています」と、Otter.aiの共同創設者兼CEOであるSam Liang(サム・リャン)氏は、声明の中で述べている。「新しいOtterは、会議のコラボレーションをより簡単かつ迅速にします。今日のハイブリッド、対面、バーチャル会議でのコミュニケーションを改善したいビジネスチームにとって、必須のツールになります」。

この新機能は、2021年8月に同サービスが発表した「Otter Assistant」機能をベースにしており、カレンダー上の会議に自動的に参加し、会話を書き起こし、そのメモを他の参加者と共有することができる。このアシスタント機能は、会議の開始時に有効にしたり、終了時に無効にしたりすることを常に覚えておく必要がないように設計されており、また、会議の進行中に参加者が質問や写真の共有など、コラボレーションを行う場所としても機能する。

アシスタントは、まずZoomで開始され、その後Microsoft Teams(マイクロソフト・チーム)、Google Meet(グーグル・ミート)、Cisco Webex(シスコ・ウェベックス)に拡大された。このツールを使用するには、ユーザーは自分のカレンダーを同サービスと同期させる必要がある。その後、アシスタントは自動的に今後のすべての会議に参加し、透明性を高めるために、別の参加者として会議に表示されるようになる。

画像クレジット:Otter.ai

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

フォードはCiscoと提携して電気自動車をビデオ会議の空間に

Ford(フォード)のEVピックアップトラック「F-150ライトニング」には最近、双方向充電機能が搭載され、万一のときに家庭用バックアップ電源として使えるようになった。今度は会議ソフトウェア「Webex」のメーカーであるCisco(シスコ)との新たな提携で、EVをオフィスのバックアップにしようとしている。

FordのJim Farley(ジム・ファーリー)CEOは米国時間3月22日「我々は全力で、スタートアップのスピードと限りないイノベーションをもたらす、お互いに独立しつつ補完するビジネスを構築しています」と発表した。同社がここ数カ月で発表した計画としては、EVとICE(内燃機関)事業の分離、2023年末までに年間60万台のEV生産、今後数年間でヨーロッパ市場に7種類の新型EV投入がある。

Fordがアメリカ人ドライバーの心をつかむには、2020年3月以来インターネットで最も頻繁に使われている用途であるオンライン会議を電気自動車に装備する以上に良い方法はないだろう。Fordの電気自動車プログラム担当バイスプレジデントであるDarren Palmer(ダレン・パーマー)氏は報道発表で「我々は人と人とがつながる方法を検討しています。人々が自動車を高品質のオフィスとして活用しコラボレーションをしない理由は見当たりません」と述べた。

そのためにFordとCiscoは提携して「SYNC4A(Fordのインフォテインメントシステム)のブラウザエクスペリエンスを開放」し、現在はHTML5セントリックのOS上でネイティブに動作するWebexアプリを開発中だ。パーマー氏は「Fordは電気自動車の次世代エクスペリエンスに向けてWebex by Ciscoで連携することに期待しています。Webexはセキュアで没入できるコラボレーションのエクスペリエンスを提供すると我々は考えています」と述べた。

家からビデオ会議に参加しているときに猫がウェブカメラの前に飛び出してくるのは、まあまあかわいいかもしれない。子どもが後部座席で誰が触ったとか触っていないとか大声で騒いでいるのは、あまりかわいくはない。このように大音量で妨害されることを防ぐために、将来のFordのEVにはWebexの「Optimize for My Voice(自分の声に最適化)」機能が搭載される。これは車内にいて会議に参加していない人はすべて自動でミュートする機能だ。ドライバーが注意散漫にならないように「Webexなどのコラボレーション機能は車が止まっているときだけ動作し、運転中はオーディオのみにします」とパーマー氏は述べた。両社はアプリの最終的なリリースのスケジュールを明らかにしていない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Kaori Koyama)

Zoomの新3Dアバター機能で、ちょっと不気味な動物としてミーティングに参加できるように

百聞は一見にしかず、というが、このZoom(ズーム)の新機能のイメージは次のひと言で言い表せる。「はぁ?」。

Zoomは米国時間3月22日、ウサギ(または犬、キツネ、パンダ、馬など)の姿でミーティングに参加できる機能を発表した。アバター機能は、ユーザーの頭の動きや顔の表情をミラーリングするために目、鼻、口の形を認識するが、同社は発表の中で、この機能は顔認識を使用しておらず、生体情報も保存しないことを明らかにしている。

これらのアバターは、Zoom疲れしている人に、実際にカメラに映ることなくボディランゲージや顔の表情を伝える方法を提供することを目的としている。その一方で、あなたが高校の教師だとして、クラスを教えるためにログインしたのに、代わりに25匹のウサギがズラッと画面に並び、まるでパンデミック時代の「ドニー・ダーコ」のリイマジニングの登場人物であるかのように、あなたをぼんやり見つめ返しているとしたら……。

アバターは、Zoomバージョン5.10.0以降であれば、WindowsとmacOSのデスクトップデバイス、およびiOSモバイルデバイスの両方で利用できる(馬になりたいAndroidユーザーの方、ごめんなさい)。この機能を使用するには「ビデオの開始 / 停止」ボタンの横にあるキャレット(^)マークをクリックする。「バーチャル背景を選択」または「ビデオフィルターを選択」のどちらかを選択すると「アバター」というタブが表示され、種族間変身を完成させることができる。

アバターは、バーチャル背景に対応している。しゃべる動物のアバターは、パーカーとTシャツのどちらかを着られるということも重要なポイントだ。

展開当初は動物アバターのみだが、今後、他の種類のアバターが追加されることは容易に想像できる(ここでまったく根拠のない予想を文章にしてみると、ZoomはUniversal Picturesと提携し、あなたの上司がミニオンに変身することだろう)。

Zoomは、この機能がバーチャルな小児科受診、子どもの科学教室、または「バーチャルイベント中のアイスブレーカー」として役立つかもしれないと提案している。最後の1つは無理があるかもしれない。しかし、もしZoomが、世界的なパンデミックの2年目に突入した我々のZoom疲れを癒したいのであれば、これをどうしたらもっと盛り上げられるか、いくつかの提案がある。

  • ボイスモジュレーターを取り入れる。そしてダース・ベイダーのように話しかけて、同僚を威嚇する
  • Zoomにポイントをつけてゲーム化する。ポイントは何の役に立つのかって?私はプロダクトデザイナーではないのでそれは知らない
  • タイムリミットのあるZoomルームにHPバーを追加する。時間の終わりに近づくと、画面の横に炎が現れ、会議が終わると爆発gifになる
  • Zoomで通話した人の10万人に1人が「トロン」風にコンピューターに吸い込まれることを伝えて、ユーザーベースにアドレナリンを放出させる。自分の肉体を再びコントロールできるようになる唯一の方法は、先延ばしにしていたメールを送ることだけ
  • 釣りのミニゲーム。企業向けソフトウェアでも、釣りのミニゲームさえあればすべてよりうまくいくものだ

画像クレジット: Zoom

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Den Nakano)

LeadGeniusの共同創業者、ウェブ会議による市場調査ツールMarvinでユーザー中心設計の原点に立ち返る

Prayag Narula(プラヤグ・ナルラ)氏と彼の弟Chirag Narula(チラグ・ナルラ)氏は、GongとChorus.aiがセールスコールに対して行ったことを、製品・マーケティングリサーチの通話に対して実現しようとしている。

2020年に彼らは、企業が顧客ニーズをよりよく理解するためのユーザーリサーチプラットフォーム「Marvin」を開発した。これは部分的に、プラヤグ・ナルラ氏の経歴に由来している。彼は、マーケティングテクノロジー企業LeadGeniusを共同設立して長年にわたり経営し、3000万ドル(約34億6600万円)以上のベンチャー資金を調達し、従業員が数百人になるまで成長するよう導いた人物だ。

営業やマーケティングのバックグラウンドを持たない彼は、LeadGeniusに友人を雇うことにし、その友人がパンデミックの始まりとともに最終的にCEOに就任した。同時にプラヤグ・ナルラ氏はCEOを退いたが、取締役には残った。

「Marvinはある意味、私がユーザー中心設計のルーツに立ち返った結果です」と彼は語る。「営業チームは顧客と話をして売上を上げたいと考え、カスタマーサクセスチームはアップセルを求めています。製品チームやデザインチームの場合、唯一のアジェンダは、その製品で顧客の生活をいかに改善するかということです。これはユーザーエンゲージメントの最も純粋な形であり、我々はこれを活用したかったのです」。

ナルラ氏はさらに、LeadGeniusではそれを実現するための適切なツールがなかったと説明する。今日に至っては、ビデオ会議のおかげで、会話を録音し、情報を得ることが簡単にできるようになった。しかし、ユーザー中心であることの価値を理解しながらも、何から始めればいいのかわからないという企業が増えている。

Marvinの共同創業者プラヤグ・ナルラとチラグ・ナルラ氏(画像クレジット:Marvin)

Marvinの技術は、Zoom(ズーム)などのビデオ会議ツールにプラグインし、通話中にメモを取るインタビューおよびユーザーリサーチツールである。また、インタビューのスケジュール設定や、録音した内容をキーワードやハッシュタグで検索可能なインサイトに変換するなど、ユーザー調査のあらゆる側面を自動化することができます。

「企業は、顧客と対話し、フィードバックを得て、調査を行うことに多くの時間を費やしています」とナルラ氏はいう。「このすべてがZoomで行われているのです。当社は、このような会話をより効率的かつコラボレーティブにするお手伝いをします」。

Lattice(ラティス)やSimon-Kucher(サイモン・クチャー)など、すでに数千社の顧客がMarvinを使用しており、毎週何千分もの録音を行っている。多くのユーザーは、この技術を活用して顧客と対話し、課題を理解し、デザインや製品へのフィードバックを得ている。それらの会話からパターンを見つけ出し、各チームで共有することができる。また企業によってはこのツールを経営コンサルタントとして使い、業界の専門家に話を聞いたり、学術的な研究の参照にするのに利用している。

米国時間2月23日、同社はプライベートベータを終了し、先に行われたプレシードラウンドで380万ドル(約4億3900万円)を獲得したことを発表した。同ラウンドはSam Altman(サム・アルトマン)氏のApollo ProjectsとFuel Capitalが共同で主導し、Scrum Ventures、Hack.VC、Global Founders Capital、House Fund、Gaingelsおよびエンジェル投資家のグループが参加した。

今回の資金調達により、Marvinは、ユーザーインタビューの実施、整理、分析、共有をより効果的に行えるよう、チームと製品開発の規模を拡大することが可能になるとのこと。同社の成長の大部分は、この5カ月の間に起こった。現在の従業員数は20名で、全体的に採用活動を行っている。

プラヤグ・ナルラ氏は「2021年の第3四半期に有料ユーザー数がゼロだったのが、1000以上に達したので、今度はそれを数千の有料ユーザーに拡大する時です」と述べている。

画像クレジット:Marvin

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(文:Christine Hall、翻訳:Den Nakano)

猫に仕事を邪魔される「日本一集中できないワークスペース」予約開始、スペースマーケットと猫カフェのリポットが連携

猫に仕事を邪魔される「日本一集中できないワークスペース」予約開始、スペースマーケットと猫カフェ運営のリポットが連携

あらゆるスペースを貸し借りできるプラットフォーム「スペースマーケット」を運営するスペースマーケットと、全国20店舗展開する「猫カフェMOCHA」運営のリポットが連携し、MOCHAをワークスペースとして利用できる「猫カフェMOCHAソロワークプラン」を提供開始すると発表した。MOCHAがソロワーク予約に対応するのは今回が初という。スペースマーケット限定で事前予約が行える。

今回の取り組みにより、自宅にペットがいない方でも「オンライン会議中に猫が通り過ぎる」「猫がPCを操作して不可解な文書を作成する」といった、猫好きがあこがれるシチュエーションを実現できる。猫に仕事を邪魔される「日本一集中できないワークスペース」予約開始、スペースマーケットと猫カフェ運営のリポットが連携

猫カフェMOCHAソロワークプラン

  • 販売期間:2月21日〜3月31日
  • 価格:3025円(税込・サ別)/日
  • 特典:フリードリンク、猫ちゃんへのおやつ(550円分)、お仕事終わりの「お疲れ様チョコ」(先着100名)、次回以降スペースマーケットの「ソロワークスペース」予約時に利用できる800円割引クーポン
  • 利用用途:テレワーク(ビデオ会議は周囲の他顧客に配慮の上で実施可能)
  • 予約方法スペースマーケットから予約可能。ソロワークプランは2月21日より販売予定
  • 詳細猫カフェMOCHAソロワークプラン

スペースマーケットによると、リモートワークの定常化や人流の変化に伴い、平日の日中帯を中心に仕事のために1人で場所を借りる「ソロワーク」の利用が前年同月比3.5倍(2022年1月時点)に増加しているという。また利用者の増加とともに予約スペースも多様化しており、個室型ワークボックス、ホテルの客室などの個室以外にも、コワーキングスペース、カフェ、ホテルラウンジなどのオープンスペースを席単位で利用するケースも増えているそうだ。

一方、飲食店は立地や時間帯による繁閑の差が激しく、平日昼間の集客が大きな課題となっている。MOCHAでは、顧客への新しい体験の提供と平日昼間の遊休時間の有効活用を目的としており、今回の取り組みに至ったという。

2014年1月設立のスペースマーケットは、「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンを掲げ、スペースシェアの文化創造・拡大に取り組むスタートアップ企業。スペースを貸し借りするプラットフォーム「スペースマーケット」には、全国1万8000件以上のスペースを掲載。住宅、古民家、会議室、撮影スタジオ、映画館、廃校など多岐にわたるスペースを撮影・会議・イベントなどに利用できる。

グーグルのビデオ通話アプリ「Duo」、アップルのSharePlayにヒントを得た「ライブ共有」機能を追加

Google(グーグル)は、ビデオ通話サービスGoogle Duoのユーザー向けに新しい「ライブ共有」機能を導入する。Apple(アップル)のFaceTimeで使えるSharePlay機能への対抗だ。しかし、Googleの場合、このインタラクティブな共同視聴体験は、Appleのものほど充実したものでなければ、広く利用できるわけでもない。差し当たっては、GoogleとSamsung(サムスン)の一部のアプリでしか動作しない。そして、導入時はSamsungに限定される。

関連記事:アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入

この変更は、Samsungが新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズの端末を発表したGalaxy Unpackedイベントの中で発表された。これに関連して、GoogleもDuoをはじめ、YouTubeなど自社アプリのアップデートを発表した。

Google Duoのライブ共有機能が骨抜きのバリエーションのように感じられるとしても、SharePlayと同様のユースケースに対応しているため、他よりも注目すべき変更の1つとして際立っていた。SharePlayと同様、Duoのライブ共有は、離れている友人、家族、同僚とビデオ通話で交流する時間が増えているという、パンデミックが引き起こしたトレンドとも結びついている。今日、人々はビデオチャットで話すだけでなく、より多くのことができるようになればと考えている。一緒にコンテンツを見たり、同じアプリでやり取りしたり、画面を共有したりすることを望んでいる。Duoはこうしたニーズにある程度対応しているが、SharePlayが提供するサードパーティ製アプリとの幅広い統合エコシステムはない。

画像クレジット:Google Duo(スクリーンショット)

Duoのアップデートにより、ユーザーはGoogleのデジタルホワイトボードJamboardを使った新しいアイデアのブレインストーミング、Galleryでの写真共有、Samsung Notesを使ったメモの共有、Google マップでの位置検索、YouTubeでの動画の同時視聴ができるようになるとGoogleは説明する。

それに比べて、AppleのSharePlayはDisney+、NBA、TikTok、Twitch、Paramount+、Showtimeなど多くの人気ストリーミングサービスやApple TV+、Apple Music、Apple FitnessといったAppleのアプリなど、はるかに多くのアプリやサービスと連携する。残念ながら、今後Duoをより機能豊富なサービスにする意図があるかどうかという質問に対し、Googleは言及を避けた。また、開発者向けAPIプラットフォームに関する新たな発表もなかった。

さらに詳しい説明を求めると、広報担当者は「最初に共有されたもの以外に、現時点で共有できる計画は現在のところありません」と述べた。

しかし同社は、長期的にライブ共有がSamsungのみで使えるものとはならないと指摘した。同機能は、Galaxy S22やTab S8など、最新のSamsung製デバイスでまず展開される。そして間もなく他のSamsung端末やPixel端末でも展開され、2022年に他のAndroid端末にも導入される予定だ。

Duoのライブ共有に加えて、別のアップデートでYouTubeユーザーはメッセージでYouTube動画のプレビューを閲覧して、動画を今見るか後で見るかをより適切に判断できるようになった。チャットから離れることなく、タップしてビデオを再生することもできる。この機能は、Android  Goエディション端末を除くすべてのAndroid端末に搭載される。

また、新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズにはVoice Accessが搭載されるため、ユーザーが別途アプリをダウンロードする必要はない。そして、これらの端末はGoogleのパーソナライズされた新しいデザイン言語「Material You」に対応するとのことだ。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

チャットやビデオ会議の代わりにアバターを採用、孤独を感じない快適なデジタルワークプレイスを提供する「Pesto」

Pesto’の社員アバター(画像クレジット:Pesto)

私たちの仕事の世界がメタバースに移行しつつある中、以前はPragli(プラグリ)として知られていたPesto(ペスト)は、リモートワークを少しでも孤独を軽減しようと、アバターアプローチで参入している。

「Zoom疲れ」は、2019年に会社の構想を練り始め、1年後に正式発表したDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏と共同創業者のVivek Nair(ヴィヴェク・ネア)氏にとってリアルなものだった。彼らのアイデアは、従業員が職場でアバターをカスタマイズできるデジタルネイティブなヒューマンワークプレイスで、アバターがビデオの代わりとなり、疲労感が少なく、よりパーソナルになるというものだ、CEOのサフレノ氏はメールで説明した。

「workplace(ワークプレイス)」には、社員が作ったさまざまな部屋があり、スクリーンシェア、ビデオ、ゲーム、または空間的な機能を含むオーディオファーストのコラボレーションのための組織的なスペースとなる。

「私たちがPestoを設立したのは、テキストチャットとビデオ会議の間で行き詰まったからです」と、サフレノ氏は付け加えた。「テクストチャットは、やりとりが多く、時間がかかるのでイライラしますし、また、ビデオ会議は堅苦しく、スケジュールを組むのが大変でした。ビデオ会議は、やる気をなくさせるようで、楽しいものではないです。Pestoは、より人間らしいリモートワークの方法なのです」。

2年近く経った今、Enhatch(エンハッチ)、Sortify.tm(ソルティファイ.tm)、HiHello(ハイヘロー)、FullStory(フルストーリー)、aiPass(aiパス)、Tidal Migrations(タイダルマイグレーション)といった企業の1万以上のチームと連携し、ユーザーは1億分以上の音声とビデオを記録しており、同社の初期の仕事は成果を上げている。

米国時間2月1日、同社は、Headline(ヘッドライン)が主導し、K9 Ventures(K9ベンチャーズ)、Rucker Park Capital(ラッカーパークキャピタル)、NextView Ventures(ネクストヴューベンチャーズ)、Collaborative Fund(コラボレーティブファンド)、Correlation Ventures(コーリレーションベンチャーズ)、Garrett Lord(ギャレット・ロード)、Nikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナサン)、Joe Lau(ジョー・ラウ)が参加する500万ドル(約5億7300万円)のシード資金調達を発表した。

サフレノ氏は、世界は「産業革命以来、人々の働き方に最大の変化が起きています」と、語る。オフィスの稼働率が20%以下にとどまっている中、ほとんどの社員が対面式の仕事に戻る可能性は低いにもかかわらず、オフィスで働くために作られたツールを使わざるを得なくなっていると彼は考えている。これに対し、Pestoは、対面よりもデジタルで共同作業や交流を行う未来の仕事に適合するように設計されていると、彼は付け加えた。

利益率や売上高は明らかにしなかったが、1年前は創業者2人だけだったのが、今では従業員数は8人に増えたという。

今回の資金調達により、ペストは総額600万ドル(約6億8800万円)の投資を行うことになる。この資金は、製品設計やエンジニアリングチームの雇用、製品開発、特に職場のメタバース体験を深める機能の構築し、より複雑なコラボレーションニーズを持つ大企業をターゲットにした開発に使われる予定だ。

Pestoは現在、無料で利用できるが、2022年後半には有料ティアを導入する予定だ。

HeadlineのパートナーであるJett Fein(ジェット・ファイン)氏は「こだわりのあるユーザーベース」を持つ企業をよく探しており、Pestoにそれを見出した。

リモートワークがなくなるとは思えないので「より本格的でコラボレーション可能なツール」が求められているのだと、彼は付け加えた。Pestoは、多くの企業や従業員が抱えている、ビデオ会議疲れやコラボレーションスペースの不足といった問題を解決してくれると確信しているからだ。

このように、同社のメタバース機能は「自然で自由な人間同士の交流」を職場に取り戻すことができる点で、際立っていると感じており、今後このような従業員間の交流に投資する企業が増えていくことが予想される。

「Doug(ダグ)、Vivek(ヴィヴェック)、Daniel Liem(ダニエル・リエム)氏(創業者 / 製品責任者)の3人は、まさに未来の仕事のために作られたプラットフォームを作り上げました」とファイン氏はいう。「過去数年間、私たちは分散型チームで仕事をすることの利点と落とし穴を目の当たりにしてきました。自由と柔軟性を手に入れた反面、職場でよく見られる仲間意識や予定外の会話は失われてしまいました。Pestoはこうした課題に対する答えであり、遠隔地でのコラボレーションや共同作業が、直接会っているときと同じかそれ以上に効果的に感じられるような未来を創造するものです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

画面録画で情報共有、職場の生産性を高めるコラボプラットフォームCloudAppが約10億円調達

ビジュアルワークコミュニケーションツールのCloudApp(クラウドアップ)は、Grayhawk CapitalとNordic EyeがリードするシリーズAで930万ドル(約10億円)を調達した。このラウンドには、既存投資家のKickstart Fund、Cervin Ventures、New Ground Ventures、Bloomberg Beta、そして新たにPeninsula VenturesとForward VCが加わっている。また、CloudAppの顧客であるAtriumのCRO、Peter Kazanjy(ピーター・カザンジー)氏、Startup GrindとBevyのCEOであるDerek Andersen(ドレク・アンダーセン)氏も参加している。

CloudAppは、瞬時に共有できる動画、GIF、スクリーンショットを通じて、チームがより速く情報を共有できるようにすることを目的に2015年に設立された。このツールはHDビデオ、マークアップされた画像などをキャプチャしてワークフローに埋め込む、オールインワンの画面録画ソフトウェアだ。ユーザーが作成したファイルはすべてクラウド上に安全に保存され、CloudAppのネイティブMacアプリおよびWindowsアプリからアクセスできる他、パスワードで保護された安全なリンクを通じてウェブ上で共有することもできる。

同社の目標は、チームが電話や電子メールではなく、シンプルな共有可能な動画でメッセージを伝えられるようにすることだ。CloudAppは、ワークフローを中断することなくいつでも読むことができるビジュアルなボイスメールと自らを位置づけている。このツールはSlack、Atlassian、Trello、Zendesk、Asanaなど、数十のインテグレーションをサポートしている。サービス開始以来、CloudAppは400万人超のユーザーを獲得した。CloudAppの著名な顧客にはAdobe、Uber、Zendesk、Salesforceなどが含まれる。

CloudAppのCEOであるScott Smith(スコット・スミス)氏はTechCrunchに、今回調達した資金をツールの高速化、より深い統合、安全性向上のために使うと電子メールで述べた。同社はまた、より多くのチームが職場の生産性を高めるためにCloudAppに出会い、利用できるようにしたいと考えている。

画像クレジット:CloudApp

「これらの目標を達成するためには、当社がすでに持っているもの、つまりすばらしい人材がもう少し必要です」とスミス氏は話した。「スピードとユーザーエクスペリエンスを向上させるために、プロダクトチームとエンジニアリングチームを強化する予定です。また、マーケティングにも力を入れ、すべての職場でCloudAppがワークフローに欠かせない存在となるように努めます。営業チームの規模を拡大し、CloudAppを最も必要とするチームに直接提供できるようにします」。

将来については、従業員や顧客とのやりとりがこれまで以上に瞬時に検索・共有できるようになる世界をCloudAppは想定している、と同氏は話す。人工知能が最も関連性の高い重要なコンテンツを浮上させることができ、それがCloudAppのビジョンを可能にする、と同氏は指摘した。

「当初、我々はCloudAppを、共有する必要のあるものを非常に簡単かつ迅速に取り込むための方法だと考えていました。知識は力です。そこでチームは、ワークフローや統合を通じて、販売、サポート、製品、エンジニアリングチームなど、組織のあらゆる部分を助けるために使用できるコンテンツやクイックヘルプ動画のリポジトリを構築することができます」とスミス氏は書いている。「これからは非同期型の仕事です。そして、CloudAppは、すべてのチームメンバーがより生産的で超人的な存在になるのを支援できます」。

CloudAppのシリーズAは、2019年5月に発表された430万ドル(約5億円)のシードラウンドに続くものだ。シードラウンドはKickstart Seed Fundがリードし、既存投資家のCervin Ventures、Bloomberg Beta、当時Oracleの戦略担当副社長だったKyle York(カイル・ヨーク)氏も参加した。

画像クレジット:CloudApp

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウェブ会議の議事録作成を効率化できる録音・メモツールEkaki提供のChiefが2000万円のシード調達

ウェブ会議の議事録作成を効率化できる音声メモツールEkaki提供のChiefが2000万円のシード調達

ウェブ会議のための録音・メモツール「Ekaki」を開発・提供するChiefは1月18日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Skyland Ventures。調達した資金はEkakiの開発費用にあてる。

Ekakiは、ウェブ会議のためのオール・イン・ワンツールを目指し、2021年11月よりクローズドβの事前受付を開始。現在のEkakiは、録音とメモが一体化した音声メモツールとなっており、今後の機能追加により議事録作成・メモ・スケジュール管理などを統合し、ウェブ会議の際に使用されるツール間の行き来をなくしてさらなる業務の効率化を図る予定。将来的には、コールセンターの電話業務と後処理業務、また医療業界の記録業務への対応も進めるという。

Ekakiでは、会議や商談中のメモ作成が素早く行えるほか、会議後に録音を聞き返しながら議事録作成が可能となる。ウェブ会議を妨げないよう操作用ツールバーをコンパクトにまとめており、映像を見ながら会議のメモを取れる。ワンクリックで栞を登録する機能により、メモを取る余裕がない場合にも対応しやすいとしている。

Chiefは、代表取締役社長の飯塚氏が早稲田大学在学中の2019年3月に設立したスタートアップ企業。ウェブ会議システムが新たなワークツールとして定着する中で、素早い対応が求められるウェブ会議中の作業を楽にするツールを作りたいという飯塚氏の意志の元、Ekakiの開発を開始した。

同社は、馬が一般的な交通手段であった時代に速い馬を育てるのではなく、車というまったく新しいものを作りたいという。将来的には「コンピュータ上の操作を自動化する」というミッションを実現するため、ウェブ会議を行う世界中の人々に愛されるグローバルなプロダクトを開発し、日本で初めてのプロダクト・レッド・グロース(PLG。Product-Led Growth)を達成したいとしている。

受刑者向け無料ビデオ通話サービスのAmeelio、一部の米刑務所でサービス開始

非営利スタートアップAmeelioは、受刑者向けに無料ビデオ通話サービスを提供しようとしている。これは何十年にも渡り受刑者向け有料ビデオ通話サービスを独占的に提供してきた企業に対抗する試みだ。アイオワ州ではすでに9つの施設でAmeelioの無料サービスが提供されている他、2022年のサービス開始に向けて話が進んでいる施設が数多くある。Ameelioは受刑者がコミュニケーションをとったり教育を受けたりする方法を根本的に変える可能性がある。

Ameelioは創設されてからまだ2年に満たないスタートアップだ。同社はもともと通話システムに照準を合わせていたものの、最初は受刑者に手紙を送るためのウェブサービスやモバイルサービスを提供することから始めた(受刑者に手紙を送るというプロセスはたいてい、驚くほど煩雑である)。

同社の創設者兼CEOであるUzoma Orchingwa(ウゾマ・オーチングワ)氏は「以前お話した時には、当社サービスの利用者は8000人でした。そして、その数カ月後、私たちはモバイルアプリを立ち上げたわけですが、現在では、すべての州と一部の領域で30万人程の利用者にサービス提供しています」。と述べた。しかし手紙を書くのは便利なサービスだが、同社は、2022年を目処に全国で一連のデジタルサービスを提供したいと考え、そうしたサービスの開発とテストに取り組んできた。

Ameelioは独自の技術スタックを構築し、受刑者にはコスト(既存のサービスよりはるかに安い)の負担を求めていない。同社のサービスは、完全に時代遅れになっている昨今の刑務所のシステムに替わる魅力的なサービスである。

多くの人は、ひと握りの営利企業が米国の私立刑務所で使用されている有料ビデオ通話サービスをほぼ独占的に提供し、私立刑務所はこの受刑者の支払う使用料の一部から取り分を得ている、という事実を知らないかもしれない。SecurusおよびGlobal Telは長い間通話サービスを提供してきたが、彼らのビジネス慣行について、元FCCコミッショナーのMignon Clyburn(ミニョン・クライバーン)氏は「規制当局としてこれまでに見た中で最も明確な、市場原理の働いていない失敗例である」と述べている

サービス提供にはほとんどコストがかかっていないにもかかわらず、受刑者は1分1ドル(約115円)もの額を払わなければならない。これは10年前でも法外と考えられた額だが、無料またはわずかな額でビデオ通話を利用できるのが当たり前になっている現在では、この額は犯罪的である。非常に不人気のSecurusは現在「Aventis」へのリブランディングの真っ最中であり、FacebookやBlackwaterの例にならって、SPACディールを通して自らを新しく作り直し、過去を一掃する可能性もある。しかし、持って生まれた性分を変えることはできないものだ。

それだけではなく、顧客、つまり、こうした企業と契約を結んでいる州の矯正局も、提供されているサービスの価値に疑問を持つようになってきている。刑務所ではパンデミックにより面会ができなくなり、面会が一時的に無料のビデオ通話に置き換えられたのだが、AmeelioのCTOであるGabriel Saruhashi(ガブリエル・サルハシ)氏によると、多くの矯正局ではそれをそのまま利用したい考えだという。受刑者に使用料金を払わせ、その収益の一部を刑務所が我が物にするという、古く、非倫理的な方法は、現在では容認できないものになりつつあり、また彼らの側でも、物事をシンプルにしたいと考えているのだ。

Ameelioのビデオ通話スケジューリングインターフェイスのスクリーンショット

オーチングワ氏は、Ameelioは、刑務所や矯正局がどのようなレベルで関与するにしても個別に対応できるよう作られていると語った。州が有料サービスのプロバイダーを選ぶ際に活用される厄介なRFP(提案依頼書)システムがAmeelioのサービスの大規模導入を阻む可能性があるが、AmeelioはGoogle Meetのような無料ビデオ通話プラットフォームの代替システムとして使用することが可能だ。実際、ルイスビルメトロ矯正局では、特に法律を検討することなく、無料の通信手段として今まで使っていたサービスをAmeelioに切り替えた。これは重要な先例と言える。もし必要なら、Ameelioは法律による規制を受けるスケジューリング、ストレージ、およびセキュリティサービスを後から有料で提供することもできる。

これらのサービスの見積もりは、既存のプロバイダーのものよりもはるかに低くなるだろう。というのも問題が、テレコムの問題からテクノロジーの問題に変わりつつあるからで「彼らはテック企業ではありません。彼らの製品は20年間変わっていないのです」とオーチングワ氏は述べた。

代りに、彼らは既存のサービスを強化するために他の企業を買収したり、Twilioのような既成の技術を購入したりしている。そのためそもそもサービスを成立させ、さらにそこから上がる利益の一部を州に提供し、しかも事業を進めていくために、既存のプロバイダーは市場が耐えられる上限一杯の料金を請求しなければならないのだ。そしてその市場を構成するのは概ね権利を剥奪され投獄された人々とその家族であるので(明らかにロビー活動をするタイプの人々ではない)、彼らが苦情を寄せたとしてもそれが顧みられることはない。その結果として、質の低いサービスに非常に高い料金を払う事になってしまうのだ。

「Ameelioにはそういったプレッシャーはありません。当社は余分な資力を持たないスタートアップですから、すべてのことを自分たちでやっています。

コストを非常に低く抑えることができているのは、オープンソーステクノロジーを数多く活用しているためでもあります。既存のプロバイダーはTwilioを使っていますが、Ameelioはmediasoupを使っていて、お金を支払っているのはサーバーだけです。また当社はKubernetesを使用しているので、1月あたりのトータルコストは100ドル(約1万1500円)といったところです」とサルハシ氏。

またAmeelioは、カスタムエンクロージャーを備えた標準のAndroidタブレットを独自のハードウェアとして作成した。このタブレットはWi-Fiのあるところならどこでも簡単にプロビジョニングして展開できる。据え付けの電話を置き換えようとしている刑務所では、12台の電話を撤去し5台のタブレットを導入すればすむ、という点を気に入っている。タブレットを使うと、ビデオ通話も音声だけの通話も可能だ。ビデオ通話はスケジューリングし録音する(Ameelioかその他によって)必要があるが、音声の場合は何時でも利用できる。1つのサービスを1つのデバイスで行うと、物事がシンプルになる。

Ameelioのプロトタイプの教育インターフェイスのスクリーンショット

Ameelioが手がけたいと思っている最後の分野は教育だ。現在受刑者が利用できるのは、寄せ集めの教育システムである。ある施設では、バーチャルサービスがあるが、ある決まった時間、または限られたトピックでしか利用できない。ある場合には、セキュリティ要件を満たすために、学校の代表者が紙の資料や宿題を持ち込んだり回収したりしなければならないこともある(これについては2021年夏のTC Sessions: Justiceで話題として取り上げた)。英文学のコースは興味深いかもしれないが、すべての受刑者が学士号を取得することに興味があるわけではなく、職業訓練のほうが需要があるかもしれない。

音声とビデオ通話(そしてもちろん、他のテレヘルス、公式な通信、テキストベースのメッセージの送受信など)ができるタブレットが同時に教育や単になにかを読むためのプラットフォームになる。オーチングワ氏はこの市場における双方が(教育提供者や矯正局、そして教育機会を得るために何十年にもわたって戦ってきた受刑者側はいうまでもなく)デジタル化に大いに興味を持っていると語ったが、デジタル化には非常に時間がかかっている。

オーチングワ氏は「助成金は利用できるようになっているものの、教育プラットフォームがないのです。注目すべきなのは、Ameelioが実際に2つの施設でこれを実現し、郡とも初めての契約を交わしたことです。当社はLinkedIn Learning、MasterClass、PBSの他、数千冊に登るGutenbergの本をアップロードしています。職業訓練についてもアップロードできるよう取り組んでいます。CDL (商用運転免許証)のトレーニングに需要があることがわかったので、コンピューターリテラシーの問題を抱えた約50人の元受刑者を対象に、アプリを使用した学習を外部で実施しました」。

これらの取り組みは始まったばかりだ。しかしAmeelioは設立以来短期間で1980年代からサービスを提供してきた企業から多くの施設を奪い取っており、このことは多くを物語っている。業界は変化の時を迎えており、多少波風をたてることになったとしても新しいことを試したいと考えている関係者は数多くいる。

Ameelioは州がすでに支払いを行っている商用サービス(ビデオ通話の記録と保存)のプロバイダーとして行動し、また安全なプライベートコールの使用料金を弁護士に請求することで資金を得ようとしているが、実際の利用者である受刑者やその家族からは料金を取るつもりはない。オーチングワ氏は次のように語った。「Ameelioは常に非営利企業としてやっていくつもりです。家族が受刑者と話すことに対し料金を課すことは決してないと約束しますし、受刑者には今後も非営利企業としてサービスを提供します。受刑者から料金を取る営利モデルは正当なモデルとは言えないと思います」。

そうはいっても、資金を豊富に持つ協力者がいることは心強いことだ。オーチングワ氏は現在Ameelioをサポートしている人物として、Jack Dorsey、Vinod Khosla、Eric Schmidt、Brian Acton、SarahとRich Barton、DevinとCindy Wenig、Kevin Ryan、Draper Richards Kaplanといった人々の名を挙げ、またTrueVenturesから助成金を得たことにも言及した。Ameelioは今後数年で独自の収入源を確保するために、2500万ドル(約29億)のラウンドに取り組んでいる。

受刑者が安全に自然な形で家族や弁護士と話し、また教育リソースやその他のサービスを利用できる。それを可能にするデバイスを受刑者は持つことができるし、また持つべきである、という考えは極めて当たり前のことに思われる。しかし、それをかたち作っていく市場、ロビー活動、業界は長いことこのアイデアの実現を妨げてきた。Ameelioは現在きっかけを掴んだに過ぎないかもしれないが、数年後には長い間不当な取り扱いを受けてきた人々に無料プラットフォーム(無料ソフトウェア、無料ライセンス、FOSSなど形で)を提供するプロバイダーになる可能性がある。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

サムスンの2022年スマートテレビはクラウドゲーム、ビデオチャット、NFTまでサポート

CESの正式な開幕に先立ち、Samsung(サムスン)は米国時間1月3日、次世代スマートテレビのビジョンを明らかにした。クラウドベースのゲームサービス、テレビを見ながらのビデオチャット、さらにはNFT(非代替性トークン)まで搭載している。同社によると、2022年のスマートテレビには新しい「スマートハブ」機能が搭載され、メディア、新しいゲーミングハブによるゲーム「アンビエント」(テレビを使用していないときアート、写真、その他の情報をテレビに表示する機能)など、異なる種類のエンターテインメントを切り替える機能を消費者に提供する。

ゲーマーにとって、この新しいテレビに追加される最も注目すべき機能は、Tizenで駆動するゲームストリーミングディスカバリープラットフォーム「Samsung Gaming Hub(サムスンゲーミングハブ)」だろう。このサービスで、ゲームストリーミングプロバイダーは、自社のゲームライブラリを直接テレビに持ち込むことができるようになる。Samsungは1月3日、NVIDIA GeForce NOW、Google(グーグル)のStadia(スタディア)、Utomik(ユートミック)との提携を発表した。さらに多くの提携が今後予定されているという。

Samsung TVのユーザーは、このハブから利用可能な作品をブラウズしたり、ゲームを検索・購入したり、お気に入りのゲームをすぐにプレイしたりすることができるようになる。また、同社によれば、ゲームコントローラーを新しいゲーミングハブとペアリングすることも可能だ。さらに、ユーザーはYouTube(ユーチューブ)に簡単にアクセスでき、お気に入りのストリーマーをフォローしてゲームコンテンツを視聴することもできる。

2022年発売の4Kおよび8Kテレビとゲーミングモニターは、新しい「HDR10+ GAMING」規格に対応し、低レイテンシー、可変リフレッシュレート、120Hz以上のHDRゲーミング体験を提供する。同社によると、この体験の特徴は、コンソールやPCなどの入力ソース間で設定を手動で行う必要がない自動HDRキャリブレーションだ。対応テレビは、Q70テレビシリーズ以上のNeo QLEDラインナップと、Samsungのゲーミングモニターとなる。

Samsungの新しいゲーミングハブは2022年後半に利用開始となる。ゲーム、メディア、ライフスタイルの各カテゴリーのメインナビゲーションメニューから利用できるようになる予定だ。

画像クレジット:Samsung

スマートテレビにクラウドゲームを加えるのはSamsungだけではない。LGは2021年に同社のWebOSスマートテレビでGeForce NOWとGoogle Stadia利用可能になると発表した。Amazon(アマゾン)のLunaは同社のFire TVで動作し、Google StadiaはLG、Hisense(ハイセンス)、TCL、Philips(フィリップス)などの対応スマートテレビで動作する。もちろん、代替手段として、こうしたサービスにストリーミングデバイスからアクセスすることも可能だ。

Samsungの2022年スマートテレビの新しいラインは、ゲーム以外にも、友人とのテレビや映画の共同視聴、NFTの売買など、この1年ほどで人気が高まったトレンドを取り入れる。

パンデミックの初期に人々は、新型コロナウイルスのロックダウンやその他の制限の中で、家族や友人とつながり、時間を一緒に過ごすさまざまな方法を探した。それを受け、共同視聴サービスや、大切な人と同時にエンターテインメントをストリーミングできる機能が増加した。HuluAmazon Prime VideoDisney+などが、異なる場所にいながら、映画や番組を同時にストリーミング再生できる共同視聴機能を取り入れた。最近では、Apple(アップル)がFaceTime上でSharePlayを開始し、Disney+や、NBA、Paramount+、Showtime、Apple TV+、TikTokなどのストリーミングアプリもサポートするようになった。

Samsungはこのトレンドに対し、家族や友人がテレビで番組や映画を見ながらビデオチャットできる、独自の新しい「Watch Together(同時視聴)」アプリを提供することで対応する。

画像クレジット:Samsung

スマートハブに追加された、より奇妙なもう1つの機能はNFTへの対応だ。このプラットフォームでは、2021年後半にSamsungのテレビモデル「MICRO LED」「Neo QLED」「The Frame」で、ユーザーがNFTを探索、購入、取引できるアプリを提供する。

「NFTの需要が増加するなか、視聴と購入が断片化している現状に対するソリューションの必要性がこれまでになく高まっています」と同社はThe Vergeに述べ、同社が「世界初のテレビ画面ベースのNFT探索ツールおよび市場アグリゲーター」と呼ぶものの詳細を説明した。ユーザーは、NFTアートを閲覧、プレビュー、購入するだけでなく、テレビで誰かに見せることもできる。最後の機能は、NFTのクリエイターの推奨に合わせてテレビのディスプレイ設定を自動的に調整する、スマートキャリブレーション機能によって強化されている。また、ユーザーはNFTを調べる際、NFTの履歴やブロックチェーンのメタデータを閲覧できる。

NFTアプリについて、パートナーが誰なのか、どのテレビモデルがこの機能をサポートするのかなど、Samsungは詳細な情報を提供できていない。このニュースは、詳細がすべて明らかになる前に発表されたようだ(また、消費者がテレビ画面からNFTにアクセスしたいという需要がどれだけあるかも不明だ)。

新しいスマートハブに含まれるサービスに加え、2022年のスマートテレビは、ユーザーが画面を縦置きに回転させることができる「Auto Rotating Wall Mount and Stand」などのアクセサリーと連動する予定だ。このモードは、Samsung独自のライフスタイル機能である「アンビエントモード+」や「アートモード」の他、TikTokやYouTubeなどのサードパーティアプリに対応する。

画像クレジット:Samsung

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIを活用したセールスチーム向けビデオ通話プラットフォームのUniqueが約6.8億円を調達

Uniqueの創業者2人(画像クレジット:Unique)

AIを活用してセールスチームの商談を改善するビデオ通話プラットフォームのUniqueが、シードラウンドで多くのエンジェル投資家から600万ドル(約6億8000万円)を調達した。このラウンドには米Fyrfly Venture Partnersの創業者でゼネラルパートナーのPhilipp Stauffer(フィリップ・スタウファー)氏、Daniel Gutenberg(ダニエル・グーテンバーグ)氏などが参加した。

Uniqueは顧客との会話をAIで分析する。会話を録画したビデオは、セールス担当者が最適な商談をするために役立てられる。

Uniqueは12種類の言語で動作し、その中には難しいスイスドイツ語も含まれる。同社によれば、このサービスの利点はセールス担当者のトレーニング時間を短縮し、パフォーマンスを向上できることだという。また、セールスのビデオ通話の中から重要な瞬間を見つけて「Deal Room」という場所で安全に共有することで、買い手側がそれを後から参照したり自分のチームに共有したりすることもできる。

Uniqueを起業したのはシリアルアントレプレナーのManuel Grenacher(マヌエル・グリナハー)氏とAndreas Hauri(アンドレアス・ハウリ)氏で、両氏はB2BのSaaSスタートアップであるCoresystemsでセールスチームを編成して率いた経験がある。CoresystemsはSAPに買収された。

グリナハー氏は次のように述べた。「リモートワークやハイブリッドワークが続き、セールスチームは顧客や見込み客、同僚や上司と離れることが多くなっています。そのため、顧客とつながりを持つことができず、チームから学んだりフィードバックをもらって準備を整えたりするのが難しい状況です。我々はセールスのプロセスを刷新するためにUniqueを作っています。AIを活用して会話を分析することで洞察や関係性の上で重要な瞬間を見つけ出し、セールスチームと顧客がより深く生産的な関係を構築できるように支援します」。

投資家のフィリップ・スタウファー氏は次のように述べた。「セールスチームのオートメーションと会話型インテリジェンスが交わる分野は、Fortune 500企業が導入する優先順位と成長率の両面で急成長していくでしょう。セールスの成果を伸ばす価値創造のチャンスは極めて大きいものです」。

Uniqueの競合にはGong.ioやPeople.AIがある(どちらもユニコーンだ)。Uniqueに優位性があるとすれば「Deal Room」のアプローチと、ヨーロッパで構築されたためGDPRの厳しいプライバシー規則に準拠していることだ。セールスチームがUniqueを使い始めたら、Zoomの市場にも食い込んでいくかもしれない。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

【コラム】新たなハイブリッド生活、私たちと共存するハードウェアにできること

社会におけるさまざまな場面でハイブリッドモデルが登場しているが、それらは驚くほどの柔軟性がある一方で、仕事とプライベートの境界線はますます曖昧になり、私たちが精神的に疲弊をしていることは明らかだ。

儀式というのは、常に私たちの精神的、感情的な状態を形作る強力な力を持っている。例えば、人の集まり、物理的なトーテム、衣装や空間デザインなどはすべて、その経験を生み出すために機能する。しかし、ハイブリッドで働く人々にとっては、これまで慣れ親しんできた儀式の多くがもはや手の届かないものになっているのだ。彼らの日々の仕事には、人と集まることも、場所の変更も必要なく、服装もほとんど(あったとしても)変える必要がない。

1日に7時間以上も画面を見ている若者は、うつ病や不安症にかかりやすく、仕事をこなすのが難しいという研究結果が出ているにもかかわらず、私たちはハイブリッドなバーチャル体験を増やし続けている。さらに、従業員たちは、複数のタイムゾーンにまたがって行われる会議の連続で、毎日が果てしなく続くような感覚に陥り、疲労や倦怠感を訴えている。

現在、多くの人々が仕事や学校、買い物、銀行、医療など、あらゆる場面でコンピューターデバイスに依存していることを考えると、私たちは、ハイブリッドな仮想世界での新たな儀式に備えて、これらのデバイスをどのように設計・開発しているかを、より注意して見ていかなければならない。

今日「コンピュータデバイス」とは、従来のデスクトップ型ワークステーションから超ポータブルな携帯電話まで、あらゆるシナリオを想定している。しかし、これらのデバイスのデザインが、ユーザーの仕事とプライベートの境界を明確にするのに役立つとしたらどうだろう?

例えば、画面の前にキーボードがあるデバイスは「生産性の高いツール」という印象を与えるが、タッチ式のタブレット端末では、よりカジュアルでエンターテインメントに特化した印象を与える。もし、リモートワーカーがこの2つの様式を切り替えることで「仕事」から「プライベート」への切り替えを知らせることができたらどうだろう。

また、最近注目されているのが、ビデオチャットや会議ツールだ。私たちの多くにとって、人との交流の大半は、ビデオ会議アプリを使ったバーチャルミーティングで行われている。HDウェブカムやリング型ライトの需要は高く、バーチャルな背景やエフェクトの数は日々増加している。

ただ、ハードウェアの設計に大きく依存していることもあり、ビデオ会議の体験にはまだ多くの課題や制限がある。Zoom、Google Hangouts、Teamsなどのツールは、最新のアップグレードに対応しようと競い合っているが、統合された照明源、改良されたオーディオ、さらには触覚フィードバックなどのハードウェア上のハードルに取り組まなければ、ソフトウェアができるのはここまでだ。

しかし、対面からバーチャルへのパラダイムシフトを受け入れることができれば、ユーザーが同僚と直接目を合わせているように見せるために、ディスプレイ内埋め込み型の1ピクセル以下のカメラレンズのようなハードウェアのアップグレードによって、未来の日常に向けたデザインができるようになる。他にも、温度や触覚の技術を応用することで、仮想空間を介してお互いのつながりをより深く感じることもできるだろう。また、没入型の体験が進化していく中で、嗅覚の技術を追求することで、新たな可能性が生まれるかもしれない。

しかし、このようなハードウェアの進化は、実際に生産や消費の面ではどのようなものになるだろう?テクノロジーの便利さには目を見張るものがあるが、その一方で地球への負担も大きい。

消費者は地球を酷使する存在になってしまったのだろうか?

自分が大切にしているものを考えてみると、それらに共通しているのは、どれも古くて希少なものだということだ。もちろん、これは貴重なものに共通することだが、この価値観をハイテク製品にも適用できないだろうか。私はiPhoneを1〜2年ごとに交換しているが、Ducati(ドゥカティ)のバイクはパーツを少しずつアップグレードしていくことに大きな喜びを感じている。新品に交換するために捨てようとは決して思わない。

サステイナブルなソリューションを求める消費者が増えれば、ハードウェアメーカーはサービスを調整しなければならない。Apple(アップル)のような強力なブランドは、環境再生活動の強力なリーダーとなり得るだろう。デスクトップPCを自作することは(特にハードコアゲーマーにとっては)目新しいことではないが、すべてのポータブル機器がアップグレード可能なモジュール式になった未来を想像してみて欲しい。50年後、2025年に購入したスマートフォンが、いまだに機能していて価値の高いビンテージ品になっていたとしたらどうだろう?

私たちの新しい日常の現実は、デバイスの多さが解消されない一方で、ソフトウェアの開発が飛躍的に進んでいることだ。そろそろ私たちは、自分のデバイスを、クルマや家と同じように、最新の進歩に合わせて修理したり、改造したりして、大切にしていく対象として考えていかなければならない。

編集部注:執筆者Francois Nguyen(フランソワ・グエン)氏はfrogのプロダクトデザインのエグゼクティブデザインディレクター。

画像クレジット:Peter Cade / Getty Images

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(文:Francois Nguyen、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】Discordの可能性を知る。創業からマネタイズ、Web3でのチャンスまで

編集部注:本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説する「Off Topic」の投稿の転載だ。Off Topicでは、最新テックニュースの解説やスタートアップについてポッドキャストYouTubeも配信している。ぜひチェックしてみてほしい。

今回は1年以上ぶりの翻訳記事となる。2020年5月から愛読しているニュースレター「Not Boring」のPacky McCormick(パッキー・マコーミック)氏と2020年8月のスタートから読んでいるニュースレター「The Generalist」のMario Gabriele氏が一緒に組んでDiscordについての記事「Discord:Imagine a Place」を書いたと聞いたときに、どうしても翻訳しなければいけないと思った。仲良くさせてもらっているPacky氏にお願いしたところ、快く翻訳の許可をいただいた。少し要約する部分もあるかもしれないが、ぜひみなさんにもこの対策を共有したい。

また、まだNot BoringThe Generalistを購読してない方はぜひチェックして欲しい。毎週これからくる企業やトレンドについて深堀しているOff Topicでもよく参考にしている情報源だ。

はじめに

「人中心のサイトを想像して欲しい」。

「流行りのミームがハチミツのように流れる場所を想像してください」。

「人間とボットは平和に暮らせる場所を想像してください」。

上記はすべて、Discordの最新広告キャンペーンでフィーチャーされたものである。Discordがユーザーに対して、今まで使ったことがない人にDiscordをどう説明するかを聞いたところ、上記のような言葉が出てきた。ここまでおもしろいサービスの定義が出てくるのは、幅広いユースケースとユーザーの愛があるからかもしれない。

また、ナルニア国をルーシーとエドマンドが、ウィザードの世界をハリー・ポッターが、マトリックスから出たネオが瞬間を説明するのと似たような文章になる。

「クローゼットを開けたら、話すことができる動物の国があるのを想像してください」。

「自分の学校に行くために、壁を通り抜けないといけないことを想像してください」。

「飲むと世界が変わる薬を想像してください」。

これらの文章もDiscordをやや言い当てていることからも、Discordがどのような会社なのかがわかる。Discordはコミュニケーションプラットフォームではなく、隠れた世界なのかもしれない。

マーク・ザッカーバーグ氏は、自分が最もメタバースを構築できる立場にいると思うかもしれないが、すでに「メタバースネイティブ」になっているプラットフォームなのはDiscordかもしれない。メタバースのパイオニアといわれるるゲーム業界向けのプラットフォームとしてまず開発されたDiscordは、今では教育グループや投資コミュニティなど幅広いファンコミュニティに活用されている。さらには、NFTなどWeb3世界を作っているデフォルトのプラットフォームにもなっている。

これだけ盛り上がっている会社で、何百億円と売上を抱えながら直近で時価総額150億ドル(約1兆6995億円)でありながら、いまだ成熟されたアイデンティティを確立しておらず、これまでのSNSサービスとは違ってまだまだ進化する可能性を秘めている。Discordが次の進化をするには、ピボットするのに慣れているCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏が新しい技術を受け入れたり、違う売上チャネルを検討したり、Web3の世界を取り込まないといけないかもしれない。Discordはメタバースのソーシャルインフラになり得る会社であり、同社の可能性は無限大だと思われる。

そんなDiscordの可能性を知るために、創業物語、課題、今後の取り組むべきことについてまとめてみた。

創業物語:Discordのストーリーは、いろいろなピボットや変化のある中で始まった

カオスなプロダクト:特にミレニアル世代にとって理解しづらいプロダクト

ユーザーの拡大:元々ゲーマー用ツールとして始まったのが、今では幅広いユーザーに使われている

遅いマネタイズ:ユーザー数は急成長しているが、ユーザーからのマネタイズはかなり遅れている

Web3のチャンス:現在、Web3企業のデフォルトプラットフォームになっているが、そのリードを広げるためには何が必要なのか。いくつかアイデアがある

オンラインゲームで勝つ:インターネットユーザーの居場所としてどう成立させるのか。

さぁ、サーバーを立ち上げて行こう。

スタート地点

いろいろな会社がピボットして成功した中で、最もピボットが上手いのがジェイソン・シトロン氏なのかもしれない。実は、ジェイソン氏は2回起業して2回ともピボットして成功している。Discordに関しては、たまたまPMFを見つけられた。

OpenFeint

始まりはAppleがアプリストアをリリースした2008年7月10日。ローンチと同時に500個のアプリを公開して、その中にパズルゲーム「Aurora Feint, the Beginning」が含まれていた。そのゲームを作ったのは当時23歳だったジェイソン・シトロン氏と、彼が参加していたインキュベーターのYouWeb。YouWebは元Webvan CTOのPeter Relan(ピーター・レラン)氏がY Combinatorとほぼ同じタイミングで設立したインキュベーターだ。ただし同社はYCと違って参加者を拡大せず、15年間で30社ほどインキュベートした。

当時のYouWebのモデルは会社の50%の株を取得する代わりにアイデア、マーケティング、採用周りを支援するというものだった。ジェイソン・シトロン氏が参加したときにはゲーム領域で何かしたいとは思っていたものの、それ以上の考えがなかったので、YouWebはEIRのDanielle Cassley(ダニエル・キャスリー)氏と組ませてAuroraのローンチまで導いた。

結果としては成功した。World of Warcraft的な見た目とテトリスやPuzzle Leagueに似たゲームだったAuroraは、初期アプリの中ではかなり人気だった。

アプリのレビューを見ても「最も楽しかった初期iPhoneゲーム」と書かれていたが、それはマネタイズには繋がらなかった。新しいバージョンのゲームを出したり、値段を8ドル(約900円)から1ドル(約110円)に下げたりしたが、なかなか売上が上がらなかった。それにも関わらず、いくつかの機能には可能性があった。特にジェイソン氏が導入したチャットルーム、プロフィール、リーダーボード、非同期型のマルチプレイヤーゲーム性といったソーシャル要素はかなりの可能性があり、他の大企業が作ったゲームにはないコミュニティ性がAuroraにはあった。

そこでジェイソン氏が初のピボットをした。

Auroraの未来について会話をしている中でジェイソン氏は「誰もiPhone用のXbox Liveを作ってない。Auroraのチャット機能などをスピンオフさせてiPhone版Xbox Liveを作れないか考えるときもある。とりあえずそれを出して人が欲しいかみても良いかもしれない」という

ジェイソン氏はすでに、将来どのゲーム開発者もプロダクトにソーシャル要素を入れたがると予想できていた。また、それを全員ゼロから作るよりも、すでに存在するツールにお金を払って開発したがると感じてもいた。OpenFeintという会社名にピボットして、TechCrunchでフィーチャーされた際に多くのクライアント候補先から連絡がとどき、この領域は必ずくるとジェイソン氏は確信した。調達も無事終了し、ゲーム間でソーシャルインタラクションを管理できるアプリをリリースして、通信キャリアAT&Tと提携して新しいスマホにプリインストールされることにもなった。

そこに興味を持ったのがGREEだ。2011年に1億4000万ドル(約158億7000万円)でOpenFeintを買収し、ジェイソン氏、そしてYouWeb含めたOpenFeintの株主が大金を得た。

数カ月間GREEで働いてから、ある日ジェイソン氏がYouWeb創業者のピーター氏にメールを送った。

「帰ってきたぞ」。

Discord

OpenFeintの話を聞くと、Discordの話が同じような流れのものに聞こえる。

ある若手起業家がインキュベーターに参加する。ビジネスプランは特にないが、ゲーム領域で何かすることを目標にする。すばらしいマルチプレイヤーゲームを作るが、大きなファンベースを抱えられず、PMFを探すためにインフラになる機能を見つけてそれが成功する。

OpenFeintの物語はDiscordと同じ物語。今回はより良い条件をジェイソン氏はYouWebのピーター氏と交渉して「Phoenix Guild」というゲームを作ることを決める。すぐに名前を「Hammer & Chisel」に変えるが、ジェイソン氏のOpenFeintの成功もあったおかげで110万ドル(約1億2000万円)のシード調達と820万ドル(約9億3000万ドル)のシリーズA調達を無事行う。シリーズAラウンドはジェイソン氏の2013年のTechCrunch DisruptのDemo Dayのプレゼンに惹きつけられたBenchmarkのPartnerだったMitch Lasky(ミッチ・ラスキー)氏がリードした。

Hammer & Chiselは2014年にタブレット向けのバトルアリーナゲーム「Fates Forever」をローンチしたが、思ったほど成功しなかった。OpenFeintでも行ったように、ジェイソン氏はゲーム内にコミュニケーション機能を組み込んでいた。

「ゲーム前、ゲーム中、ゲーム後にプレイヤーが集まれるサービスにチャンスがあると思ってはいたが、上手くいくかどうかは正直分からなかった」とジェイソン氏はいう

そこでジェイソン氏は、またピボットすることを決断する。

どうピボットするかを考えていた際にCTOのStan Vishnevskiy(スタン・ヴィシュネフスキー)氏が「もうモバイルゲームは作りたくない。チャットサービスを作ることを社内でも話しており、それについてアイデアがある」と発言し、そこから数カ月間、Hammer & Chiselチームはゲーマー向けのチャットサービスを開発した。アイデアとしては常にオンになっている電話会議、ゲームのプライベートカフェだった。

2015年にDiscordというプロダクト名でリリースしたが、まったく反応がなかった。数十人が毎日活用していたが、特に成長する感じではなかった。当時はTeamspeakやSkypeなどゲームコミュニティが活用していたツールはあったが、競合の力というよりも、初期ユーザーの信頼を勝ち取るまで認知されてなかったのが問題だと気づいた。

転換期はReddit経由で訪れた。Discordチームがファイナルファンタジーのsubredditメンバーと繋がっていて、そこでDiscordをメンションしてくれないかとお願いした。ジェイソン氏曰く、そのメンバーは「Discordという新しいボイスチャットアプリを知っているか?」と書いたらしい。

そこで数名のRedditユーザーが会話に入り込み、Discordを活用してDiscordの開発チームと試しに話した。そこで1人のユーザーが「あのチームの開発者とさっきDiscord上で話したけど、めちゃくちゃイケてた。これは要チェックなアプリだ」とフィードバックした影響で、一気にユーザーが入り込み始めた。ジェイソン氏曰く、その日がDiscordの本当のローンチ日だった。

そこから今となっては急成長し続けたDiscordは1億人以上のユーザーがいて、10億ドル(約1133億4000万円)弱の合計資金調達額を達成。それ以上にゲームカルチャーを取り入れながら、エバンジャライズしたことがすごいことかもしれない。

プロダクト

Discordは、ゲーマーがゲーマー向けに開発したプロダクトだ。もちろんコロナ禍の期間からゲーマー以外のユーザーを受け入れていたが、いまだにゲーム色がかなり強いため、ゲーム関係者以外の人からすると一見難しいプロダクトに思える。自分もテクノロジーにある程度慣れている方だと思っているが、Discordサーバーほど年齢を感じさせるものはなかなかない。時間を重ねてようやくDiscordという言語を学び始めたので、今回はDiscordのプロダクト解説・翻訳する。

Quartzは「DiscordはSlack、AOLメッセンジャー、Zoom、ちょっと怪しいチャットルームをかけ合わせたもの」と題して、Discordを既存のサービスの組み合わせたものとして比較している。

PCGamerはDiscordでユーザーが「無料」できることをリストアップして説明している。

Discordは無償で以下のことが可能だ。

  • 時間が無制限でほぼラグがない高クオリティの音声で何人の友達と話せる
  • ラグがほぼなくツークリックでサーバー内でゲームのライブ配信ができる
  • 複数の配信を見ながら各配信のボリュームコントロールが可能
  • 何年分もデータも保存してくれる無制限のテキストチャットルーム
  • 友達と小さめのファイルを共有
  • 音楽を流すなどボットを入れ込む
  • 動画配信やスクリーンキャプチャ含めてすべてスマホでできる

Discordは、既存のツールや機能などで説明するよりも自社のプロダクトをユーザーにどういう場所か想像するようにお願いしている。

画像クレジット:Discord

Discordは、自社プロダクトを白紙のキャンバスとして見て欲しいため、あのような初期ブランドマーケティングキャンペーンを行っている。ユーザーがその白紙のキャンバスで思い描くデジタルスペースを作れる場所にできるようになっており、実際にそのような場所になっている。

新型コロナ期間中にはさまざまなユーザーがDiscordに群がり、Discordのチャット機能、高クオリティの音声や動画チャット、プライバシー、直接繋がれる機能、そしてSlackと違って無償のサーバーに需要を感じた。

会社としてもちょうど良いタイミングでゲーマー以外の層にオープンになった。そしてどのコミュニティもコロナによってオンラインに移らないといけなくなった際に、2つの選択肢を迫られた。

・1ユーザーあたり毎月6.67ドル(約760円)支払ってSlackを使う

・Discordサーバーを立ち上げて無償で誰でも招待できるようにする

オプションを見ると、当然ながら2つ目を選ぶコミュニティが多かった。Discordとしても想像しなかったユーザー層も集まり始めた。

2019年に記者のTaylor Lorenz(テイラー・ローレンツ)氏がThe Atlanticの記事でインフルエンサーがDiscordに群がり始めたことについて書いた。FacebookやTwitterのアルゴリズムベースのフィードがミドルマンとして邪魔されるのではなく、直接ファンと話せるDiscordサーバーを立ち上げるインフルエンサーが増えてきたと記載している。ForbesによるとそのThe Atlanticの記事を読んだDiscord創業メンバーのジェイソン氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラフ・ヴィシュネフスキー)氏はゲーマー以外の領域に広がり始めたことについて驚いてたとのこと。

ピボット経験者の2人は、この新しいユーザー行動を調査することにした。Discordがコミュニティに23問アンケートを送った際に、Discordユーザーの3割以上が主要目的はゲームではないことが判明した。そのユーザーたちはブッククラブ、友達のグループチャット、ファンコミュニティ、そして会社の社内コミュニケーションとしても使っていた。Discordはインターネットのサードプレイスになり始めていた。

これを理解したジェイソン氏とスタニスラフ氏はすぐにこの情報を活用してよりユーザーにアットホーム感を与えるために会社のミッションを更新した。ゲーマー中心のコミュニティを作るミッションから、誰でも親密な関係性を作れる力を提供するミッションとなった。

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さらにブランドとホームページも進化させた。

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そこで会社初のブランドマーケティングキャンペーンの「Imagine a Place」を5月にローンチした。

少しペースが早くてわかりにくい動画に見えるが、Discordの雰囲気も上手く捉えたものでもある。

一見、DiscordはSlackのようにも見える。各コミュニティのスペースをサーバー毎に分けて、各サーバー内ではチャネルで分けられている。中にはボイスチャネルもあり、さらには25人まで動画通話もできる。そのボイスチャネル自体は常にオンになっていて、ユーザーは自由に出入りできるスペースとなっている。

サイドバーには簡単にユーザーが参加しているサーバーを確認できるようになっている。いろいろなサーバーに入っていると未読のメッセージの数字がパッキー氏のように増えていくので、少し圧倒されるユーザーもいる。

Discordを始めるのは簡単。各サーバーはユニークなURLとなっている(discord.gg/サーバー名)、そしてそのURLをユーザーは自分のTwitterプロフィール、subreddit、チャットなどでシェアする。「Join the Discord」はYouTubeでいう「登録してください」と同じだ。

ユーザーも簡単にジョインできる。Discordアカウントを作成すると、さまざまなサーバーにアクセスできる。Slackは1つのコミュニティごとのスペースとして作られており、新しいSlackワークプレイスに招待されるとメールを再入力して登録フローを行う必要があるが、Discordは違う。Discordユーザーはサーバーからサーバーへの移動が簡単で、さらに他のDiscordユーザーへのDMまで簡単だ。

これがSlackとのもう1つの違いとなる。Slackでは1つのワークスペースコミュニティ内だとDMし合うことができるが、Discordだと相手のユーザー名さえ知っていればお互い同じサーバーに入ってなくてもDMが可能(DMを受け入れる設定にしていれば)。これは一見すると小さな違いのようだが、実はすごいことだ。Discordはこの機能によって組織内の活性化だけではなく、そのサーバーの上にもう1つソーシャルレイヤーを加えている。ユーザーとしては自分のコミュニティの中でコミュニティらしい話をしながら、まったく別の場所で直接友達と違う会話が可能になる。

そしてDiscordはこのソーシャルレイヤーを加えながら他のSNSっぽい機能を捨てている。フォロワーやフィードの概念がないため、アルゴリズムも存在しない。ユーザーは課金していればサーバーごとに異なるアバターを表示できるが、それ以上にソーシャルキャピタルを得られる手法はあまりない。

さらに、Discordのチャット機能とソーシャル要素の構成以外のおもしろいところがボットのエコシステムだ。2020年のDiscordブログによると300万以上のボットが作られていて、複数のボットは数百万以上のサーバーで使われている。比較するとSlackのアプリエコシステムでは2400個のアプリを抱えている。もちろん多くのボットはかなり特定のユースケースだったり一時的な物だったかもしれないが、これだけのボリュームの差があるのは気になる。

ボットは多種多様で、Memeを送るものもあれば、YouTubeやSoundcloudの音楽を流すものもあれば、モデレーション用のボットもある。

MEE6は特にモデレーションボットとして人気だ。1400万以上のサーバーで活用されており、カスタムウェルカムメッセージを作れたり、悪質なユーザーを取り除いたり、コミュニティの役割をユーザーに割り振ったり、より参加するユーザーにXP(経験値)を提供するボットだ。

よりクリエイティブなボットも存在する。IdleRPGはサーバーに組み込まれるとコミュニティメンバーがチャットのコマンドでRPGゲームを遊べる。さらにDiscordのボットエコシステムはクリプト領域にも拡大している。例えばCollab.Landでは、NFTや特定のトークンを持つとプライベートチャネルにアクセスできるボットなどではクリプト業界にとって欠かせないもの。それ以外にクリプト投げ銭を可能にするTipやクリプトリワード付きのRPGのPiggyなどがおもしろい事例だろう。

もちろんユーザー目線からするとおもしろみや機能面の拡張としてDiscordのボットエコシステムは重要だが、会社としてはボットは優位性作りのために存在する。Discord APIの上で多くの開発者にアプリ開発させることによって、いろいろなコミュニティに対応してロックインさせることができる。例えば今からDAOを始めたとすると、Collab.Land、MEE6、Tipなどのボットが含まれるDiscordを選ぶ確率が高い。他のコミュニティツールでは存在しないツールがあるからこそ、Discordは人気になる。

Discordはここにより投資をしなければいけない。2020年によりボット戦略にフォーカスすると発表したが、ボットのディスカバリー、マネタイズ、そして利用率を上げる施策を打たなければいけない。それを実現するためには、Discordはボットストアを作る必要がある。

今だとボットを探すにはとりあえずGoogle検索するか、ゲームのハイライト動画などを配信するMedalが抱えるDiscordディレクトリーのTop.ggに行くのがベストだ。別のスタートアップがこのサービスを提供するほどディスカバリーが需要があることを証明している。ボットストアを作ればDiscord内でボットディスカバリーが始まり、ボット開発者にも自分たちのボットの見せ場もでき上がる。他のアプリストアのオーナーと同じように、Discordは今後期待のボットをよりフィーチャーすることもできるようになる。

そしてデータが集まるとレコメンドを通してボットディスカバリーを強化できる。クリプト系のサーバーを立ち上げた人に対してCollab.Landや類似ツールをオススメできる。

開発者がDiscordでボットの販売なども可能になると、より開発者・クリエイターを招くことが可能になり、それによって新しいグロースサイクルができ上がる。Discordは人気・注目しているボットをフィーチャーして、そのボットを見たユーザーが使い始めて、ボットクリエイターはお金儲けして、その成功を見て新しいボットクリエイターが参加して、Discordのプラットフォームを強化して、強化されたプラットフォームがより多くのユーザーを引き寄せて、そのユーザーたちはより多くのボットを求める。


ボット戦略によってDiscordは本来ビジョンに掲げていたゲームストアのようなプラットフォームになるかもしれない。今ではDiscord内だけではなく、Discordの上に新しいプロダクトが作られている。例えばStirの新プロダクト「Newsroom」ではDiscordのカオスになりがちなサーバーをきれいなUIで表示している。

画像クレジット:Stir Newsroom

Discordをリプレイスするのではなく、改善してDiscordに慣れてないユーザーに対して新しいかたちでDiscordの強みを紹介してくれている。起業家が競合サービスではなくそのツールに連携したり相補するツールを開発するのは、最もDiscordがプラットフォーム化している証拠かもしれない。このトレンドはさらに続きそうだ。今ではDAOのオンボーデイングツールを開発する起業家も増えている。

Discordとしてはこのようなツールとの連携をシームレスにして、ボットストアを拡張してDiscordアプリケーションのエコシステムを広げるとリプレイスしづらくなる。Discordチームとしてはもちろんコアプロダクト自体は強化するのも重要だが、周りの開発者エコシステムを活用するとどんなユーザーの需要にも応えられる、変幻自在なサービスになれる。

ユーザー

Discordは全体で3億人のユーザーがいるといわれていて、そのうち1億5000万人が月次でアクティブなユーザーだ。さらに週次でアクティブなサーバー数だと1900万を超えている。会社の創業物語からの影響でDiscordのユーザーの多くはゲーマー。新しいサーバーを見つけられる「Explore」タブを見ても、フィーチャーされている10個のサーバーのうち9つはゲーム関係のサーバーだ。


唯一の例外は「Anime Soul Discord」という50万人のアニメコミュニティだが、このコミュニティは人気ゲームGenshin Impactの情報発信も行なっている。実際にアニメとゲーマーの組み合わせ自体は不思議ではなく、逆にDiscordが徐々にゲーム領域を起点に扱うトピックを拡大し始めている証拠でもある。ゲームという大きなニッチからアニメなど他のサブカルへ展開するのがDiscordの成長戦略の1つでもある。

アニメ以外だとDiscordで盛り上がっているサーバーのカテゴリーは教育、投資、そしてクリプトとWeb3。各グループで共通しているのはインターネットネイティブであることだ。そもそも米国のゲーマーの2割は18歳以下で、学生である。遊び場所・ツールと同じところで勉強すると考えると、Discordの教育カテゴリーがなぜ伸びているのかがわかる。もちろんすべての教育サーバーが高校生以下が所属している場所ではなく、英語や韓国語の勉強をするサーバーや、ゲームを上手くなるための教育サーバーも存在する。学生向けのサーバーだと宿題をお互い助け合い、教え合う、28万人以上いる「Study Together」コミュニティが存在する。実際にサーバー内では多くの人たちがテキスト・音声・動画などを活用して勉強の支援を行なっている。

Discordもこのユースケースを推薦している。新しいサーバーを作るとサーバーのアイデアとしてよくオススメされるのが教育関連の「スクールクラブ」や「勉強グループ」だ。

Discordの新機能として「Student Hubs(学生ハブ)」というものがあり、ここのサーバーでは高校か大学に所属している人たちのみが参加できる。このグループにアクセスするには正しいメールアドレス(.edu)で認証できる。

若者層へのリーチに苦しんでいるFacebookやInstagramを考えると、Discordがうまくこの層を取り組むチャンスがあると理解して動いているのかもしれない。

Discordの人気な投資関連のグループはゲームコミュニティにある擁護を上手く描き合わせたものとなる。これはトップ投資家が集まってアイデアを語り合うValue Investors Clubみたいなコミュニティではなく、かなりカオスな会話になりがちな場所。そういうことを考えると、RedditのWallstreetBets(WSB)がコミュニティのリアルタイム会話をDiscordに選んだのは正解かもしれない。57万人が集まり、本当に理解不可能なリアルタイムカオスがサーバー内で起きている。

WSBのDiscord活用方法はDiscordをソーシャルな場所としてのポジショニングを表している。Reddit以外にもTwitterなど非同期型な配信プラットフォームで存在するコミュニティがディスカッションの場を設けたいときにDiscordサーバーを作る傾向がある。実際にDiscordの「Explore」機能を見ると「Subreddit」系のサーバーが399個ある。

Discordの最後の人気カテゴリーはWeb3で、NFT、DAO、クリプト投資グループ、クリプトスタートアップとしては最も選ばれる連携プラットフォームになっている。これだけのスピードでDiscordを使うのが普通になったのはかなり驚きだった。今NFTプロジェクトを初めてSlackグループを作ると批判の声が大きい。これはHotmailのメールアドレスを使ってたり、デフォルトの検索エンジンをBingにしていると同じ扱いを受ける。

Web3での人気Discordコミュニティは80万人のAxie Infinity、15万人のSushi、8.6万人のSolana、8.3万人のLoot、7.2万人のUniswap、6.9万人のBored Ape Yacht Clubなどだ。

それ以外のカテゴリーだと職場向けとしては安全ではないNSFW(not safe for work)も人気になり始めている。Discordの人気チャネルの1つは「Sinful 18+」だ。

コミュニティ名にもあるが、これはアダルト系のコンテンツが含まれるコミュニティ。出会い系やアダルトコンテンツはSinful以外にもDating Lounge、Playroom、Paradiseなど複数存在する。

これもDiscordがどれだけ幅広く使われているかを証明している。サーバーのカテゴライズと利用率をモニタリングしているDiscordMeがDiscordのカテゴリー訳をした結果、ゲーム領域が未だに強いことと、人気領域のクリプトでさえまだサーバー数だけ見ると小さい。

サーバー数よりメンバー数の方が適切な指標かもしれないが、この情報だけ見るとゲーム以外にもアート、フィットネス、ミームなどどんなカルチャーの中でも使われ始めているのが分かる。

経営メンバー

Discordは読みにくい会社だ。この記事を書くために会社の経営メンバー、従業員、株主などに連絡したが、あまり良い回答は返ってこなかった。あまり表に出ない会社なので、我々の分析も外部からの情報をベースにしなければいけない。The Orgによると以下がDiscordの主要メンバーとなる。


先にも書いたが、ジェイソン・シトロン氏は平均Discordユーザーと近しい存在だ。OpenFeintの開発を見ても、Discordを見ても、話している内容などを見てもゲーマーであり、業界を本当に好きな人だ。Discordの成功は彼のミッションへの親近感を感じるユーザーが多いのが一部あるかもしれない。初期Discordユーザーで現Commsor CEOのMac Reddin(マック・レディン)氏と話すと、他社と比較してDiscordが成長した理由はゲーマー文化を理解していたからだという。マック氏によれば「ゲーマー向けのプロダクトが少なかった。あったとしても微妙だった」とのこと。Discordは何千億円の時価総額の会社だと考えないことが重要だと語る。

Discordはゲーマーの言語を話せることが重要で、それが可能なのはジェイソン・シトロン氏が創業者だったからだ。

共同創業者のスタニスラフ・ヴィシュネフスキー氏は似た経歴を持っている。彼はジェイソン氏とOpenFeintを買収したGREEで出会い、ジェイソン氏が会社を立ち上げたときにCTOとして誘った。GREEとDiscord(当時はHammer & Chisel)の仕事の合間にスタニスラフ氏はMMORPG向けのSNS「Guildwork」を立ち上げた。ファイナルファンタジー、World of Warcraft、Aionなどのゲームを対応するほどのプロジェクトだった。

元OpenFeintメンバーのSteve Lin(スティーブ・リン)氏以外のDiscord経営メンバーは実はあまりゲーム経験がないが、その分Discordを成長させる経歴を持っている。3月にジョインしたCFOのTomasz Marcinkowski(トマシュ・マルチンコフスキ)氏はPinterestで働いており、今後のDiscordのM&A戦略と上場に向けて担当すると思われている。DiscordのChief People OfficerのHeather Sullivan(ヘザー・サリバン)氏はユニコーン企業であるUdacityで同じ役割を果たしていた。

1つ抜けているバックグラウンドはクリプトかもしれない。経営メンバーでWeb3経験者はいないが、それは当然の話かもしれない。ちょうど大手クリプト企業が出始めたタイミングでもあり、現在はCoinbase経営メンバーよりGoogle経営メンバーの方が引き抜きやすい。

Discord自体も、Web3業界がここまでDiscordを受け入れることを予想していなかったはずだ。2021年前だとクリプトにフォーカスしても一般社員の採用に影響しなかったが、今後はそこは変わるはず。DiscordはWeb3領域に参入したければ、そのコミットを見せるためWeb3関連の経営メンバーを採用しなければいけないかもしれない。

ただ、Discordの経営メンバーを見ると最もユニークな特徴はマネタイズを嫌う傾向かもしれない。

急成長しながら遅いマネタイズ

8月に150億ドルの時価総額でDiscordは資金調達すると噂になった時にパッキー氏は可能であればできるだけ出資したいとツイートした。

いまだにその想いは変わらない。新型コロナウイルス、そしてゲーム領域とWeb3の成長によってDiscordは急成長しているプロダクトで世界的に重要なコミュニティを抱え始めている。Discordがより幅広い層にアピールするタイミングもピッタリだった。2020年は670万の週次アクティブサーバーがあったのが1年で3倍成長して今は1900万を達成している。

画像クレジットBusiness of Apps、Discord

毎分のように新しいNFTプロジェクト、DAO、DeFiプロトコルが立ち上がっている中、年内に週次アクティブサーバー数が2000万を超えてもおかしくない。サーバー数が増えているのはユーザー数が増えていると同等だ。2017年ではDiscordのMAUは1000万人を突破したが、4年後の2021年では1億5000万人を達成。4年で15倍成長とはとんでもない成長率だ。

画像クレジット:Business of Apps

比較するとMeta(Facebook)は合計30億MAUを抱えている(InstagramやWhatsAppを含む)。Snapchatは3億4700万人、Redditは4億3000万人のMAU。Twitterは2019年にMAUを共有しなくなったが、課金可能なDAU(mDAU)は2億1100万人で、2019年時点でのMAUは3億9600万人。それを考えると、Discordの2015年のローンチから6年でMeta以外にすでに現在のトップアプリが視野に入り始めたことになり、明らかに他社アプリより早く伸びている。

Discordの売上成長率はユーザー成長率を超えている。2016年では500万ドルの売上だったのが2020年には1億3000万ドルまで成長した。

画像クレジット:Business of Apps

これだけ成長しているが、まだマネタイズできるはずだ。プロダクトのマネタイズ度を見ると、Discord CEOのジェイソン氏はMetaのマーク・ザッカーバーグ氏よりも元TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏に近しいかもしれない。2020年のDiscordのARPU(1ユーザーあたりの平均売上)はたったの1.30ドル(約147円)だった。上場しているSNS企業と比較すると、どれだけ差があるかがわかる。

画像クレジット:Atom Finance

現在のDiscordを見ると、唯一推しているマネタイズ要素がプレミアム課金「Nitro」なのでこの結果に至っていること自体はあまり不思議ではない。今はユーザーがDiscordプロダクトや参加しているコミュニティを応援する気持ちで課金してくれている。ジェイソン氏のこれまでのフォーカスは、広告や売上ではなくプロダクトとコミュニティの強化だ。その結果、かなりロイヤリティが高いユーザーを引き寄せることができた。しかもこのユーザー層はかなり価値がある人たちでもある。ゲームのARPUは大体20〜60ドル(約2670〜6810円)で、クリプトトレーダーたちは高いガスコストに慣れているので、Discordが本気でマネタイズに集中した時にはキャッシュが流れてくるはずだ。

株主側も、マネタイズ問題よりもDiscordの偉大なる可能性に賭けているように見えるので、まだDiscordには時間の余裕はある。Discordほど重要なSNSプラットフォームに投資する機会はなかなかないため、投資家側もかなり期待を高めているはずだ。

株主

初期投資家はよく会社の立ち上げ時ではアイデアより起業家・人の方が大事だという。アイデアは変わるかもしれないが、良い起業家は成功の道を見つける。Discordはこの理論に当てはまる会社だ。

2012年7月に当初の名前「Phoenix Guild」はYouWeb、Accel、General Catalystなどから110万ドル(約1億3000万円)のシードラウンドを実行。当時は「ポストPC時代のBlizzardを作る」という名目で調達していた。翌2013年に社名変更して「Hammer & Chisel」としてBenchmarkがリードで870万ドル(約9億9000万円)のシリーズA調達を発表。そこでは「タブレット向けのMOBAゲームFates Foreverを開発する」と語った。

2015年にHammer & ChiselはBenchmarkとTencentから450万ドル(約5億1000万円)のシリーズB調達を行い、時価総額は4500万ドル(約51億円)となった。当時のVentureBeatの記事ではゲーム会社へのファーストステップを歩んでいるとジェイソン氏が発言していた。ただ、ジェイソン氏は恐らくその時からFates Foreverが正しい道のりではないことを理解していたかもしれない。調達を発表した3カ月後の2015年5月13日にDiscordはローンチする。

Fates Foreverはコアユーザーがいたにも関わらずマネタイズができなかったが、初期投資家としてはDiscordにピボットして報われた。PitchbookによるとBenchmarkやシリーズAに参加した投資家は1.95ドル(約221円)の株価で出資した。2020年12月のDiscordの70億ドル(約7940億3000万円)の時価総額のシリーズHラウンドでの株価は280.25ドル(約3万1790円)まで上がったので、シリーズA投資家は143倍のリターンを出している(未実現だが)。直近の150億ドルの時価総額を考えると、今では存在しないゲームに投資したのにシリーズA投資家は約300倍のリターンを出している。

2016年1月にDiscordとして初めて資金調達を行なった。1億ドル(約113億4000万円)の時価総額でGreylockとSpark Capitalが2000万ドル(約22億7000万円)出資を行い、そこから成長は止まらなかった。

画像クレジット:Pitchbook、Crunchbase

そこから3年以内にDiscordはIndexとIVPから5000万ドル(約56億7000万円)のシリーズD調達、16億5000万ドル(約1871億9000万円)の時価総額で既存投資家から5000万ドルのシリーズE調達、そして20億ドル(約2268億7000万円)の時価総額でGreenoaksがリードで1億5000万ドル(約1701億5000万円)のシリーズF調達を行なった。そのあとはジェイソン氏からすると珍しく18カ月間の期間を空けて2020年6月にIndexから1億ドルのシリーズG調達、そして2020年12月にGreenoaksから70億ドル(約7940億5000万円)の時価総額で1億ドルのシリーズH調達を発表。

そして2021年3月にはMicrosoftが100億〜120億ドル(約1兆1339億〜1兆3607億円)でDiscordを買収しようとしたが、4月に交渉が途絶えたと報道があった。MicrosoftとしてはXBox、Minecraft、直近で買収したZeniMaxなどのゲームポートフォリオに上手く入り込めたはずで、Microsoft Teamsとの連携も考えれらた。さらに他社の大手テック企業とのメタバースへの戦いの中では重要アセットになったはずだが、120億ドルのオファーは断られた。

結果として2021年9月に150億ドル時価総額でDragoneerが5億ドル調達をリードした。クロスオーバー投資家のBaillie Gifford、Coatue、Fidelity、Franklin Templetonも参加したので上場が遠くないことを匂わせた。

2020年の売上を見ると、Discordの150億ドルの時価総額は115倍の売上マルチプルとなる。これは一見高く見えるが、Discordは売上を伸ばせるチャンスはいくらでもある。今世界で最も価値があるものはアテンションで、Discordはそれを十分取れている。アテンションをコントロールするものは世界をコントロールする。

DiscordのMAUが50%以上の成長を保ちながらPinterest級のARPUに行くとこの150億ドルは安く見える。そしてもう1つ大きなチャンスがWeb3への参入だ。

Web3の機会

多くの大手テック企業を見ると、メタバース戦略はコアビジネスの上で何かしらのメタバース事業を立ち上げられるオプションを持っている。Metaは広告事業の上にメタバース事業を乗せることができ、Tencentは中国で最も利用されるアプリとDiscord含む世界トップレベルの投資実績を持った上にメタバース事業を乗せられる。

Discordは急成長しているユーザー数と売上のSNSでWeb3のバリューチェーンでは欠かせない立ち位置のプロダクトになっている。疑問としてはこのWeb3の良さを理解してそれに合わせてWeb3戦略を思い切って進めるか?会社としてもWeb3戦略をわざと曖昧にしているが、8月に複数のDiscordユーザーはあるアンケートを受けるように求められた。

2019年にアンケート結果によってDiscordはユーザー層を広げることを決意したため、アンケートはDiscordの未来を揺らぐ重要なものだ。2021年の8月に出たアンケートの質問をHsakaTrades氏がツイートしたが、そこでDiscordの次の動きをヒントしていたかもしれない。

画像クレジット:@HsakaTrades

漠然としたアンケートだったが、唯一のプロダクトに対しての質問はDiscordネイティブのクリプトウォレットについてだった。これはDiscordがWeb3コミュニティの利用率が上がっていることを理解した証拠でもあり、その領域に入るべきか検討しているのを示した。

それ以外の情報がないため、ここからは我々の想像で、どうWeb3にDiscordが参入するべきかを考えた。

Discordウォレット

8月のアンケートでは唯一のプロダクト関連の質問はDiscordのネイティブクリプトウォレットについてだった。Web3に参入するのであれば当然な展開になる。アイデアとしてはすべてのDiscordアカウントに対してクリプトウォレットを提供すること。ウォレット自体はMetamaskRainbowみたいにイーサリアムエコシステムをサポートしたり、PhantomみたいにSolanaのエコシステムをサポートするウォレットかもしれない。中立的な立ち位置のDiscordとしてはどのクリプトエコシステムも対応すること、そしてDiscordプラットフォームではクリプトユーザーがまだ少ないため、クリプトウォレットっぽくない形で提供するのが大事かもしれない。これを実行するには技術的にもUI的にも難しい。

ただし、Discordはどの会社よりもユーザーのディストリビューションと信頼を得ているので、Discordがこのような展開をすると多くの人たちがWeb3に参入できる。そしてウォレット連携をすることによってDiscordのプロダクトが拡張される。

  • ユーザー同士でメッセージだけではなく、トークンや暗号資産の送金できるようになる
  • Collab.landなどサードパーティボットに頼らずにDiscord内でトークンがないとアクセスできないサーバーやチャネルの機能を提供できる
  • 簡単にコミュニティがメンバーにトークンをairdropできるようになる
  • そしてウォレットを自社で開発するのはDiscordにもメリットがある。
  • 取引、スワップ、ステーキング、レンディングなどをマネタイズできる
  • Discordがインターネット全体のパスポートになる
  • ユーザーのウォレットに入っている物に関する体験作りができる

ウォレットはWeb3上ではアイデンティティとアカウントの役割を果たすので、ユーザーがオンライン上で常に持ち歩くものになる。そこにアクセスできるのは非常に重要なポジション。もちろん、これを実行するにはいくつものハードルがある。そもそもDiscordはクリプト経験者がチームにいない。ただ、ウォレット企業を買収することも可能なので、Discordが本気でWeb3領域へ参入したければウォレットが鍵となりそうだ。

DAO_OS

数週間前にMario氏がおもしろいミームをツイートした:

この「DAOスターターパック」でDiscordが一番最初に出てくるのは偶然ではない。多くのDAOが連携・コミュニケーションするためにDiscordがコアなツールとなった、いわゆるDAO文化に根付いたプロダクトだ。

以前、TwitterやRedditで立ち上がった非同期型のコミュニティがDiscordへ流れ込む話をしたが、Web3の場合はDiscordがより初期段階から利用されている。

DAOをどう始めるかというと、まずTwitterやTelegramで数名の友達に直接連絡して、アイデアや興味度合いを把握する。ある程度の興味があるとわかったタイミングでDiscordサーバーを立ち上げてそこで会話を続けて初期オーディエンスを作るのが一般的な流れ。この後にマルチシグネチャウォレットを立ち上げて調達をしたり、Snapshotなどのプラットフォームでガバナンスを決め始める。NFTコミュニティ、ソーシャルDAO、さまざまなWeb3ユースケースでプロジェクトのスタートは大体Discordから始まる。

これを考えるとDiscordがDAOのOS的なレイヤーを取りに行くチャンスがあるかもしれない。例えば財務管理プラットフォームやガバナンス管理を提供する会社との連携を行うことによってDiscordを出ずにコミュニティマネージャーが一括管理できる場所を用意する。

DAOのスタート時点として使われるほどのDiscordだが、同時に一部のユーザーから嫌われているのも事実。以下ユーザーは大型コミュニティの管理やDAOの連携としては適したツールではないが、今は仕方なく使っていると語る。

現在、DAOを立ち上げる際にはDiscordサーバーが最も使われるツールになっているが、まだ完全に適したツールではないことは確かだ。その関係性を深めるためにはDiscord側が連携などを通して機能性を高めなければいけないかもしれない。

取引手数料のビジネスモデル

Discordのビジネスモデルは後から付け加えたもの。ジェイソン氏曰く、元々、Steamと同じようにゲームストアを立ち上げてマネタイズする予定だった。ストアをリリースする前は売上を作らなかったDiscordは一部のユーザーを心配させた。Discordが顧客データの販売や広告モデルにいずれかシフトすると思ったユーザーを補うために課金型サブスク「Nitro」をローンチした。毎月支払うことによってユーザーは複数のアバター、カスタム絵文字、より良い動画の解像度など特典をもらえるプレミアム課金モデルだった。

ユーザーの心配を抑える一時的なモデルだったが、非常に効果的だった。劇的に体験を変えなくても課金するユーザーがいるのはDiscordへの満足度・愛情があるからだ。Nitroはユーザーにとって会社を応援・支援するメンバーシッププラットフォーム。このようなマネタイズモデルを抱えている大手テック企業は存在しない。

売上チャネルを増やすアイデアとしてDiscordはプラットフォーム内に売買・投資体験を検討するべき。Discordで会話をしている中でユーザーが他のユーザーに音楽・写真・フリーランスの仕事などを売れるようになったり、それ専用のDiscordマーケットプレイスを用意しても良いかもしれない。クリプト業界でも似たような立ち位置を抱えられる。Bored Ape所有者は会話しているチャネルで売買することができたり、Bankless DAOメンバーはディスカッションしながらトークンを購入できるのは非常に価値がありそうだ。

そしてもちろん、すべての購入はDiscordウォレット上で所有することになる。

現在、プラットフォーム内で購入・投資意欲を抱えた人はDiscordを離れないといけない。Discordは購入意欲がスタートするような場所と考えると、その行動を支援する機能を付け加えるのは相性が良さそうだ。結果としてはOpenSeaやFTXなどと似たような機能になるかもしれないが、スタートがコミュニティの会話からとなる。

分散型への進化

10億ドル以上の株式投資を受けているDiscordからすると最後のアイデアが起きる可能性は低いかもしれないが、トークンを活用してDiscordが分散型プラットフォームになるのもおもしろいかもしれない。

そもそもDiscordとWeb3には、相性が良いところもあるが、悪いところもある。Discordのサーバーはカオスで、多くのクリプト詐欺師がDMに変なオファーを出したりしている。さらにDiscordは分散型ではなく、集中型の会社である。このようなプラットフォームが分散型のプラットフォームへ進化するのは難しいので、ゼロからWeb3版のDiscordを誰かが作るべきと語る人も多い。

David Phelps氏はWeb3版Discordの要素を記載した。

  • トークンでのアクセス権限、リワード、投票機能を組み込む
  • ステーキングとイールドファーミングを可能に
  • アプリ内賞金やリワードでマネタイズ
  • 参加者/利用者がプラットフォームのオーナーになる

David氏はWeb3版Discordは出てこないと予想しているが、部分的にDiscordがアンバンドル化されて、特定のWeb3ツールが出ると考えている。

Discord自体が分散化した場合、どうなるか?上場するのではなく、$DISCORDみたいなトークンを発行することができるかもしれない。

これは誰も見たことがないピボットかもしれないし、法的に可能かもわからない。ただ唯一できそうなユニコーンはDiscordかもしれない。そもそもジェイソン氏とスタニスラフ氏はピボット慣れしている。そしてすでにDiscordは分散型のプロトコルっぽいサービスだ。インターネット上でスケールされたUGCコミュニティであり、ユーザーのクリエイティビティに頼り、ユーザーから必要以上にお金を取らないプロダクト。広告を出さないのを証明するためにNitroを出したDiscordとしてはガバナンストークンを発行するのはさらにそれを証明するアクションになる。

分散型プラットフォームへの進化は良いディフェンス戦略でもあり、オフェンス戦略でもある。

ディフェンスとしてはトークン発行はDiscordの課題解決に繋げられるツールかもしれない。コンテンツモデレーションに関わるメンバーを$DISCORDトークンを与えて、スパムを減らすために知らない人へのDMをする際はユーザーが少額の$DISCORDトークンを払わせるのはコミュニティ活性化に繋がる。

オフェンス戦略としてはDiscordのアップサイド、オーナーシップをユーザーに与えるとより多くのコミュニティがDiscordを活用するのと、リテンションを上げる施策になる。アプリ内経済のインセンティブ作りになり、コミュニティが自社でもトークン発行させるインフラにも繋がるかもしれない。

それをウォレットなどと組み合わせると$DISCORDトークンをDiscord MAUの1億5000万人にairdropすると一気にDiscordが世界最大級のWeb3プラットフォームとなり、Web3へ何千万人も紹介できるチャンス。Coinbaseでも6800万人のユーザーしかいないので、DiscordがWeb3に賛同するとインパクトが圧倒的に違う。

もちろん、ここまでの話はただの想像にしか過ぎないが、Discordがユーザーに想像するように命じたのでこのような記事を書いた。現実的に考えると、99.999%の確率でDiscordは分散化してトークン発行はしない。

ただ、急成長しているWeb3ユーザーセグメントを見てDiscordもこの領域に投資するべきだ。Discordはゲーマーのコミュニケーションインフラを開発したから成功したが、これからはインターネットというゲームのツール開発に関わることができる。

インターネットというオンラインゲーム

より多くの時間をインターネットで過ごして少しずつパッキー氏が書いたオンラインゲーム的な世界になる中で、ゲーマーがゲーマー向けに作ったチャットアプリで多くの人が集まるのは自然な流れかもしれない。Twitterがインターネットのタウンホール(市民が集まる公共の場)であれば、Discordは居心地の良いラウンジや隠されたネットワークになるかもしれない。そこで会社やDAOが作られ、関係性が築かれ、アイデアが生まれ、作戦が練られて、情報がリークされる。今までリアルの世界でも大きなスタジアムより学校のクラスルーム、混雑したレストラン、友達のリビングで人生を過ごして密な会話をすることが多い。

「Web 2.0」から「Web3」「インターネット」から「メタバース」へと進化するにあたり、次の世代のサービスの多くはDiscordの構成を参考にするはずだ。Metaはメタバースをコントロールしない。メタバースは共通の興味などを立ち上げたコミュニティやスペースをまたぐことができる場所になる。その新しい世界はわかりにくく、最初はカオスのように見える。集中型の利点はみんなが行き場所を指定してくれるので、わかりやすい。分散型のインターネットは地図や出会う場所などが必要になるが、その世界に最も適したプロダクトを作っているのはDiscordだ。

今はオンライン慣れしている人たちのファネルが存在する。TwitterからDiscord、最終目的地といった流れとなる。Discordはそのファネルのどのピースにいてどこを取りにいくのかによって「重要な会社」「かなり重要な会社」「世界的インパクトの会社」になる。Twitterと合併してインターネットのアテンションを支配するべきか?それともファネルのダウンストリームに行ってWeb3プロダクトと連携するべきか?最近の買収実績を見ると、AR領域へ展開している。Discordサーバーが世界に進化するのを想像しているのかもしれない。

Discordがすでにインターネット上で重要なパーツツールになっているため、まだローンチしてから6年しか経ってないことを忘れてしまう。まだDiscord自身も、どのような会社になりたいのかを理解していないかもしれない。しかし、それも同社の強みかもしれない。カオスだがまとまっていて、安定していて柔軟でもある。それを考えると、競合と比べても分散化された世界に最も対応力があるかもしれない。ユーザーの意思を受け継いでそのインフラを作ることができる組織。

マネタイズはどこかのタイミングで解決するはずだ。次の5年で売上を数千億円に成長させるかもしれないが、それが会社のおもしろみを表してはいない。Discordはインターネットというオンラインゲームの参加者の居場所を作っていて、ゲームは始まったばかりだ。

画像クレジット:Discord

(文:Tetsuro / @tmiyatake1

バーチャル空間oViceとZoomが提携、oVice上からシームレスにビデオ会議を行えるように

バーチャル空間oViceとZoomが提携、oVice上からシームレスにビデオ会議を行えるように

自由に動いて自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice」(オヴィス)を開発・提供するoViceは11月29日、ビデオコミュニケーションプラットフォーム「Zoom」を提供するZoom Video Communicationsとの業務提携契約を発表した。

この提携により、ツール間を移動することなく、oVice上からシームレスにZoomビデオ会議を行えるようになった。またoVice上でZoomミーティングを複数立ち上げることで、誰がどこで誰と話しているのかが可視化され、各ミーティングを行き来しやすくなり、よりインタラクティブな交流ができるようになる。

oViceは、ウェブ上で自分のアバターを自由に動かし、相手のアバターに近づけることで話しかけられる2次元のバーチャル空間。テレワーク環境におけるバーチャルオフィスやバーチャルキャンパスとして企業・自治体・教育現場が導入しており、これまでのべ1万件以上利用されているという。

oViceはこれまでもビデオミーティング機能を搭載していたが、ユーザーへのアンケート(回答者数112件)を行ったところ、8割以上が「社外の方とのオンラインミーティングはユーザー数の多いZoomで行うことが多く、Zoomと連携をしてほしい」と回答したという。これを受けて、今回の提携を決定したそうだ。

oViceは、ZoomのISVパートナープログラムに参加し、ハイブリッドな働き方を支援するZoomを活用したサービス・ソリューションの開発・提供に取り組むとしている。

 

より人間的なビデオ会議の実現に向け、mmhmmがMacroを買収

mmhmm(ンーフー)は、ビデオ会議の未来について、おそらく最も口うるさい見解を持っている。バーチャル会議は、楽しくて、柔軟で、そして最近同社が行った買収を見ると、感情を表せるものになるだろう。Evernote(エバーノート)の生みの親であるPhil Libin(フィル・リービン)氏が設立したこのビデオ会議ソフトウェアのスタートアップ企業は、米国時間11月19日、Macroを買収したと発表した。Macroは、バーチャル会議のプレッシャーを軽減する(そして、人間関係を構築するエネルギーを取り戻す)ためのフィルターやリアクション、ツールを開発している企業である。

Macroとmmmhmmは9月下旬に交渉を開始し、その数週間後に合意に達した。買収条件は公開されていないものの、mmhmmが最近1億ドル(約114億円)の資金調達を実施したことを考えると、アーリーステージの同社に資金の余裕があったことは明らかだ

Macroは、2019年にAnkith Harathi(アンキス・ハラチ)氏とJohn Keck(ジョン・ケック)によって設立されると、それから間もなく、FirstMark Capital(ファーストマーク・キャピタル)、General Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)、Underscore VC(アンダースコアVC)などの投資家から430万ドル(約4億9000万円)のベンチャー資金を調達した。

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ビデオ会議中にユーザーが配信する映像のカスタマイズに焦点を当てたmmhmmとは異なり、Macroはユーザーが実際に作業するインターフェースを変更できる。例えば、Macroの特徴的な機能であるAirtime(エアタイム)は、会議の中で誰が最も多く発言しているかを、参加者がひと目で理解するのに役立つ。参加者の映像のサイズが、各人の参加状況に応じて調整されるため、チームは会議に対する各参加者の影響力をより正確に把握することができ、誰に発言を促す必要があるかを知ることができる。

Macroには他にも、画面上で自分を「アンボックス」するためのカスタムウィンドウや、フィルター機能などが用意されている。Macroは、MacOSおよびすべてのZoomクライアントで利用でき、他のすべての参加者がMacroを使っていない場合でも使用できる。

Macroが最初の資金調達を行った後、ハラチ氏は共同設立者とともに、開発を続けるべきか、次の資金調達を行うべきか、あるいは他の会社と手を組むべきかを決めなければならなかったと説明する。他のZoomクライアントとの競争は激化しており、評価は高くても開発するには難しい需要があった。そこで彼らは、mmhmmがビデオ会議の分野で成功するために必要な機能の多くを備えていることに気づいた。

「どうすれば会議をもっと人間的なものにできるか?1人ひとりが個性と豊かな表現力を備えた参加者を、制約のある箱に押し込めるのではなく、ビデオ会議を私たちの人間性に適合させるためにはどうしたらいいか?」と、ハラチ氏はリービン氏のチームと行った初期の話し合いについて語った。「カメラを使う方法を採るか、それともクライアント側でアプローチする方法を採るか、議論を重ねていました。彼らは一方を選び、私たちはもう一方を選びました」。

「私たちは、このビデオ2.0の世界を制するのは、非同期と同期の間をシームレスに行き来する製品だと考えています」と、リービン氏は語る。「録画とライブの間をスムーズに行き来できるようにすることが、これからのビデオのあり方への近道です」。ハラチ氏は、分散型社会で人々が行うようになるコミュニケーション方法のすべてに、対応できるアプリにする必要があると付け加えた。つまり、その場でかける電話、思考を深める会合、重要なプレゼンテーションなどのすべてだ。

mmhmmの大きなビジョンは、リービン氏が最初から明確にしていたように、表現と関係構築のためのメディアとしてビデオを再定義することだ。それは文字通り、築き上げることが難しい信頼関係である。mmmhmmとMacroを使い、Zoomルームでより多くの表面積を提供することによって、話している相手を理解できる余地が増えることを、リービン氏は期待している。

「相手がどんな部屋を選んだか?どんなエフェクトをかけているか?これによって誰もがクリエイティブになり、自分の見せ方をカスタマイズできる機会が広がります」と、同氏はいう。「そしてそれは、あなたと私が実際に会って話し、お互いを知ることに少し近づきます。根幹が格段に表現豊かになります」。

Macroは、Mmhmmにとって現在までに2件目の買収となる。2020年、mmhmmはサンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業のMemix(メミックス)を買収すると発表した。Memixは、録画済みの動画とライブ動画の両方に適用できる一連のフィルターを提供しており、照明や背景、画面全体に表示される内容などを調整することができる。リービン氏によると、Memixの技術は現在、mmhmmの製品における中核となっているという。

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Macroは11月末までに事業を終了する予定だが、7人のチームメンバー全員が、Mmhmmに参加して開発を続けることに決めている。

画像クレジット:mmhmm

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Zoomが無料ユーザー対象の広告表示をテスト

Zoomは「ベーシック」の無料プランユーザーに対して広告を表示する試験的なプログラムを導入する。同社は、広告は投資の支えとなり、プラットフォームを無料のユーザーに今後も提供できると述べている。

基本プランユーザーがホストするミーティングに参加する基本プランユーザーに対してのみ、広告が表示される。最初のテストでは、ミーティングを終了するときにユーザーが見るブラウザのページに広告が表示される。最初のテストの完了後に、ユーザーインターフェイスの別の場所に広告が表示される可能性がある。

テストの一環としてCookie管理ツールへのリンクを示すウェブサイトにバナーが表示されるので、ユーザーはどんな広告が表示されるのかを管理できる。同社は、プライバシーの声明を更新してミーティング、ウェビナー、メッセージングのコンテンツをいかなるマーケティング、プロモーション、サードパーティの広告目的にも使用しないと明記したとも述べている。

画像クレジット:Zoom

Zoomはミーティング中は広告が表示されないと明言しているが、この最新の動きは大きな変更だ。無料の基本サービスでは最長40分のグループミーティングをホストすることができるため、Zoomはコロナ禍で爆発的な人気を得た。今回の変更で無料の基本ユーザーに対して新たな制限が課されることになるが、同社はこれは必要なステップであるとしている。

Zoomの最高マーケティング責任者であるJanine Pelosi(ジャニーン・ペロシ)氏はブログ投稿の中で「この変更によって、無料の基本ユーザーは我々が常に提供してきた堅牢なプラットフォームのまま、引き続き友人、家族、同僚とつながることができます」と述べた。

今回の変更が導入される前の2020年、Zoomは人気のビデオ会議ツールにはとどまらない存在になろうとしていた。2021年4月には同社プラットフォーム用アプリを開発する企業に投資するために1億ドル(約113億円)のファンドを開設した。2021年8月にはこのファンドから最初の投資ラウンドを実施した。

買収に関しては、機械学習ベースのリアルタイム翻訳を導入するためにドイツのスタートアップであるKarlsruhe Information Technology Solutions、略称「Kites」を買収する計画を2021年6月に発表した。さらにクラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアメーカーであるFive9の買収も計画していたが、こちらはその後中止された

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

リモートワーク時代にふさわしい「バーチャルオフィス」を提案するLoungeの新アプリ

Loungeと呼ばれるスタートアップが、リモートワーク時代にふさわしいオフィスとはなにかをもう一度考え直そうと試みている。社員同士がまだ一度も実際に会ったことがない状態で(今後、顔を合せる機会が訪れない可能性もある)企業が企業文化や社員同士の関係を築くにあたり、Slack、Zoom、Teamsといったツールでは不足している要素があるからだ。こうした従来のツールでは、ユーザーの身元はメッセージボードやプロフィールに、写真や短い経歴で記されるだけであったが、Loungeの場合は、その人物のタイムゾーン、天気、場所、所属チーム、会社のイベントへの参加状況など、さまざまな情報が伝えられるようになっている。また、Loungeは社員同士がお互いを知り、個人的に交流を深められるよう、ドロップインオーディオチャット、フォトシェアリングのようなツールも提供している。

Loungeのアイデアは、共同創設者であるCEOのAlex Kwon(アレックス・クウォン)氏とCTOのJason Jardim(ジェイソン・ジャーディム)氏が構想したものだ。両氏はかつてともにLife360で働いていた。2人は、パンデミックの最中、リモートで働きながら、家族向けのタスク管理アプリを開発していた。結局そのプロジェクトは廃止されてしまったが、2人はこの時期にリモートワークとその落とし穴について多くのことを学んだのだ。

クウォン氏はかつて一度もリモートで働いたことがなかったが、実際に経験してみると人とのふれあいの部分で物足りながあることに気がついたという。

「Zoom通話で1日に1回話したり、Slackで1時間遅れでチャットするというやり方を、私はとても寂しいと感じました」と彼は説明する。

そういったオンラインでの会話には、同僚と実際に向き合って交わす会話から得られるきらきらした火花のようなものが欠けていた。そうした火花が新しいアイディアにつながったりすることも少なくない。こうした対面での共同作業こそ、多くの企業がパンデミックの有無に関わらず、スタッフをオフィスに呼び戻したいと望んでいる理由の1つなのだ。

しかし、クウォン氏は、対面でのふれあいだけがチームに仲間意識をもたらし企業文化を育てる唯一の方法ではないと信じている。

「人々はインターネットが普及して以来、オンラインで関係を『育んで』きました。彼らはWorld of Warcraftの中でオンラインで人と出会ったり結婚したりしています。そして、私の友人の多くもパートナーとなる相手をデートアプリで見つけています。それもこれも、始まりはオンラインです」。

友情や愛がオンラインで生まれるなら、仕事がらみの仲間意識だって育むことができる、というのがクウォン氏の考えだ。

画像クレジット:Lounge

両氏は、より繋がりを感じられる方法の模索を始めた。インスピレーションが湧いた時いつでも会話できるよう24時間年中無休のZoom通話を試したりもしたが、それはあまりに圧迫感もあり、子どもが邪魔をすることもしばしばだった。常にオーディオをオンにしていることも、同様の問題があった。このため、最終的には、お互いのプライバシーを尊重しながら、タップするだけでオーディオチャットですばやくつながることのできるシンプルなアプリが開発された。

このアプリが彼らがリモートワークで感じていた問題を解決することができたことを受け、彼らはタスク管理アプリを開発するスタートアップのアイデアを捨て、かわりにLoungeに取り組むことになった。

Loungeでは社員はチームやプロジェクト、さらには趣味や興味ごとにグループ分けされたバーチャルデスクで表示されている。こうすることで、誰がどんな作業をしているのかが簡単にわかる。このバーチャルデスクは、役割的には会社の組織図に似ているが、よりパーソナライズされた情報を伝えることができる。例えば、画像にある小さな窓で夜なのか昼なのか示しタイムゾーンを伝えたり、さらには天気までわかるようになっているのだ。また、社員のプロフィール写真や他のデータも見ることができる。

画像クレジット:Lounge

社員自身の個々のデスクに加え、Loungeには複数の社員からなる「ルーム」コンセプトが導入されている。トピックやプロジェクトのみに焦点を当てているSlackチャンネルとは異なり、ルームはどんな目的にも対応できるようデザインされており、従来のオフィスが提供していた物理的空間のバーチャルバージョン的役割を果たす。例えば、ユーザーは対話集会や、ホワイトボードセッションが開催されているルームに参加したり、会社のカフェテリアのような公共スペースで同僚とバーチャルに交流することもできる。

ルームには鍵をかけることもできるし、それを解除することもできる。プロジェクトに没頭中なら、訪問者に応答する必要はない。ルームに鍵をかければよいのである。その場合、訪問者は、Slackでするのと同様、チャットにプライベートなダイレクトメッセージを残すことができる。しかし、ルームがオープンの場合は、クリックして音声で同僚とその場でやりとりすることができる。これは、誰かの机まで歩いていって「やあ、元気?」と声をかける行為のバーチャルバージョンである。相手はあなたが挨拶するのを聞き、ミュートを解除して音声で会話する。

クウォン氏は「これをZoomとSlackを合わせたようなものだと考えてください」という。

画像クレジット:Lounge

またLoungeは、写真をシェアする機能もある。これはクウォン氏が以前立ち上げたスタートアップ、Oneminuteで得た着想で、人々が撮ったさまざまな写真をシェアすることのできる機能だ。写真をシェアするとしばらくはその写真がバーチャルデスクやアプリ内の他の場所に表示される。これにより周囲の人々に個人的に関心を持っていることや、飼い犬や週末に楽しんでいる趣味など、プライベートな事柄を伝えることができる。これは Slackチャンネルにすでに備わった機能だが、Loungeではこれを一歩進め、これらの共有された写真が1本にまとめられる仕組みになっている。これを新入社員が見てチームメートとの会話のいとぐちを見つけるのに利用することも可能だ。

Loungeは4月以来一部の顧客に対し非公開ベータ版サービスを行ってきたが、ウェイティングリストには何百もの顧客が登録している。現在のところ、同社がターゲットにしているのは社員が20名以下の比較的規模の小さなチームである。

Loungeは、Unusual Ventures、Hustle Fund、Translink、Unpopular Venturesやその他のエンジェル投資家から120万ドル(約1億3000万円)の資金を調達している。

   画像クレジット:Lounge

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

バーチャル会議が多い人のための新しいカレンダーアプリ「Hera」、自然言語処理でスケジューリングを簡単に

カレンダーを仕事のメインのインターフェイスにすることを目指すアプリ、Heraを紹介しよう。Heraは自然言語処理で会議のスケジューリングを簡単にし、あなたの空いている時間をメールやメッセージングアプリで共有する。それ以外の業務用ツールとの統合も進められているので、会議前に重要な情報を確認し、会議後に情報を取り出すこともできる。

Heraは、Eurazeo(当時のブランド名はIdinvest)と数人のビジネスエンジェルによるプレシードラウンドで46万5000ドル(約5300万円)を調達した。その後、YコンビネーターのS21期に参加し、Eurazeoが主導するシードラウンドで170万ドル(約1億9000万円)を調達した。

Heraに投資したビジネスエンジェルには、Alexis Bonillo(アレクシス・ボニーロ)氏、Thibaud Elzière(ティボー・エルジエール)氏、Kyle Parrish(カイル・パリッシュ)氏、Calvin French-Owen(カルヴァン・フレンチ・オーウェン)氏、John Gabaix(ジョン・ガベックス)氏、Karthik Puvvada(カールティック・プバダ)氏がいる。他にNotion CapitalとKima Venturesも投資した。

もともとHeraは会議中にメモをとることを主眼としたカレンダーアプリとしてスタートした。Yコンビネーターに参加した後、プロダクトは大幅に進歩した。現在は、たくさんの(バーチャル)会議に関わる多忙な人がイベントのライフサイクル全体を管理するアプリになっている。

まず、Heraは会議の予定を立て、準備をするのに役立つ。わずか数クリックで複数の時間帯を選択できる。その後、わかりやすいテキストが自動で生成され、このテキストをコピーして、メールやWhatsAppの会話など次の会議について話している場のどこへでもペーストできる。

これはメッセージを受け取る人にとって、これまでの会議スケジューリングツールよりもずっと親しみやすいインターフェイスだ。発信元の人はリンクを生成する必要がなく、相手はリンクをクリックして会議の日時を確認する必要がない。

画像クレジット:Hera

次に、Heraは今後の会議の関連情報を取り出す。会議をする相手に関する情報はすでにたくさんあるはずだ。メールを送受信したりする他、CRMを使っているかも知れないし年に数回会っているかも知れない。

共同創業者でCEOのBruno Vegreville(ブルーノ・ベグレビル)氏は筆者に対し「我々はプロジェクト管理プラットフォームになるつもりはありません。ユーザーがすでに使っているツールと統合しようとしています」と述べた。

Heraを使って会議の前に大切なことを忘れないようにメモを作成することができる。会議中にメモを追加し、その後はこのデータをNotionなどメモを記録するアプリに書き出せる。

画像クレジット:Hera

現時点ではHeraはGoogleカレンダーをレベルアップしたい人に最も向いている。今後は複数人数で使えるコンポーネントが追加される予定だ。例えば自分と相手の両方がHeraを使っていればスケジューリングがもっと楽になるだろう。自分のカレンダーから直接、他のHeraユーザーに言及して会議のフィードバックをもらうことも想像できる。

ここ数カ月間、Heraはプライベートベータだった。同社のビジョンは明確だ。Superhumanなどの生産性ツールはスレッドを整理して受信メールに対応する際の効率を上げてきた。会議をスレッドと考えれば、HeraはカレンダーのSuperhumanになる可能性がある。

画像クレジット:Hera

画像クレジット:Hera

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)