夕食はロボットにお任せ、レストランロボットと風変わりなドロイド

私は2022年初めのCESに向けて計画を進めてきたが、おそらく今週中には白紙に戻りそうだ。呆れるほど多数の紫外線消毒ロボットの売り込みがなくなることに奇妙な寂しさも感じるものの、一方では最新変異株(オミクロン)の急増の中で、ショーに直接参加することの是非を検討していたのだ。最終的には、今回はラスベガスに参加しないことにしたが、数週間以内にはお伝えすることがたくさん出てくると思う。

ほぼ2年前のCESとそれに続く私たちのロボットセッションが、私が直接参加した最後のイベントであったことに気づいて、とても奇妙な心持ちがしている。ロボットセッションをオーガナイズして、TechCrunchのCESへの取り組みを主導する役割を果たしてきた私は、これらの決定を軽く考えることはとてもできない。

そして、特にロボットの評価に関しては、直接会議に参加することにはまだ個人的なメリットがあると感じている。Zoom(ズーム)を通してロボットの見栄えを良くしようとしても限界があるからだ。

どちらかといえば、こうしたことすべてが、ロボットシステムの本格的な採用が、非常に近くて同時にまだ遠いものだということを痛感させる。ちなみに私は、来年のCESに向けて、本当に多数のロボットの売り込みを受けたと言っても構わない。今回のショーは、来年の動き全体を占うものになるようにデザインされている。それらは、消費者向けから産業用途まで、そしてその間のすべてのものをも幅広く含んでいる。

パンデミックが業界の興奮と投資を加速させたことは間違いないが、実際の導入スピードはカテゴリーによって大きく異なる。年末の他の記事でこれまで見てきた2つの例は、かなり進んでいる。これまでの製品と同様に、倉庫ならびにフルフィルメントのロボットは現在とても現実的なものだ。最近オンラインで何かを購入したのなら、ロボットがラインのどこかの時点で製品の入手を手伝ってくれた可能性がかなり大きい。

配達ロボットはさらに難しい。たくさんのパイロットプロジェクトが存在しているが、住んでいる地域によっては(特に大学キャンパスの近くにいる場合には)、そのうちの1台が自分向けの出前でなくても近くを走っているのを見たことがあるかもしれない。一般に、歩道は倉庫よりも管理されていない場所であり、規制上の煩雑な手続きを経て世に出す必要があるため、資金調達の成否にかかわらず、明日の朝ロボットで歩道が溢れかえっているようなことはないだろう。

今週は、そうしたロボットが配達しているかどうかはともかく、対象となる食べ物を、実際に作っているのは誰なのか、あるいは「何」なのかについて話したいと思う。

画像クレジット:Paul Marotta / Getty Images for TechCrunch

細かい話に入る前に、iRobot(アイロボット)の共同創業者でCEOのColin Angle(コリン・アングル)に、過去1年間のロボット業界を振り返り、来年の予測をしてもらえるようお願いした。

2021年のロボット / AI / 自動化のトレンドを定義したのは何でしたか?2021年には、倉庫の自動化、自動運転技術、そしてもちろん排泄物検出がブレークスルーをもたらしました。2021年は、自動化への大規模な投資が功を奏し、2020年をほぼ超えたオンラインショッピングの驚異的な増加が、目覚ましい年となりました。中米をターゲットにした自動運転トラックのテレビコマーシャルを実際に見ました。これは本当に起こっていることなのでしょうか?そして私は、ロボットの真空掃除機にまつわる汚くてめったに議論されない課題の1つが、手頃な価格で信頼性の高い視覚的物体認識の出現によって、過去のものになったと言えることを誇りに思っています。2021年はロボットにとって変革の年だったといっても過言ではないでしょう。

2022年はこれらのカテゴリーで何が起きるのでしょう?2022年に入ってからは、人々が待ち望んでいたスマートホームの本当の進歩を目にできたらと思います。現在のバージョンのスマートホームでは、複雑過ぎますし、使いやすさが貧弱過ぎます。しかし、経験を最優先するエコシステムを生み出し、能力とシステムのシンプルさにも優れ、成長を始めることができるツールが登場しつつあります。そこで私は、2022年が、一般の人々の間で業界が加速し続ける年になるだけでなく、私たちの日常生活へのロボットの思慮深い統合に重要な前進が見られる年になることを期待しています。非常に多くの面で勢いが増しているのを見られるのはエキサイティングです!

さて、私の長年の輝かしいキャリアの中では最も不快な話題転換ではあるが、排泄物の検出から食事の準備に話題を移すことにしよう(会社が「読者が減ったのは何故だ」と聞いてきたときのためにここにメモとして残しておく)。

Los Angeles Timesのテストキッチンで2009年3月11日に撮影された、レンガのオーブンから取り出されたマルゲリータピザの画像(写真クレジット:Anne Cusack/Los Angeles Times via Getty Images)

この1年はロボットによる食品調理にとって大きな年だった。パンデミックが発生する前は、この分野に関与した著名なスタートアップは極めて稀だった。特にZume Robotics(ズームロボティックス)などを含む一部の企業は、業界から去っていった。しかし、ロボット分野対するベンチャーキャピタルの大規模な流入に伴って、レストランビジネスの自動化が進んでいる。その主な2つ理由は、この2年で骨身に沁みて理解できているはずだ。第一に、米国では人材が大幅に不足しているということ。第二に、ロボットは病気になることはなく、人びとを病気にすることもないということだ。

もし私が、食品ロボットの現状を4ワードで要約しなければならないとすると、次のようになる。

  • ピザ
  • ボウル(日本でいうどんぶり物)
  • ファーストフード(1ワードにまとめてズルをした)
  • キオスク(売店)

画像クレジット:Picnic

最初の2つがリストの一番上にあるのは同じ理由だ。食品を自動化する場合には、人気があって、比較的均一なものである必要がある。もちろん、さまざまなトッピングはあるものの、ロボットにとっては、ピザを作ることは、生地、ソース、チーズ、トッピング、調理、繰り返しといった、かなり簡単な経験なのだ。Picnic(ピクニック)やXRobotics(エックスロボティックス)のような企業は、Zumeが中断したものを引き継ごうとしている。

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画像クレジット:Spyce

ボウルはピザ同様の領域を埋める。それらは近年人気が高まっていて、かなり基本的なテンプレートが確立している。サラダやキノア(食用の実)などのトッピングやベースのバリエーションがあるとしても原理はかなり単純だ。したがって、カリフォルニアを拠点とするファストカジュアルサラダチェーンのSweetgreens(スイートグリーンス)が、MITのスピンアウトであるSpyce(スパイス)を買収して、先の8月に登場したことはおそらく驚くようなことではない。この動きは、2月にサラダ製造ロボット会社Chowbotics(チャウボティックス)を買収したDoorDash(ドアダッシュ)による類似の買収に続いたものだ。

Miso(ミソ)は現在ファーストフードレースをリードしていて、数多くの大きなパートナーシップが発表されている。同社のハンバーガーフリッピング(パテ焼)ならびにフライクッキング(揚げ物)ロボットは、まだ人間のキッチンスタッフを完全に置き換えることはできないものの、世代を重ねるにつれて、ますます能力を高めている。

画像クレジット: Nommi

一方、キオスクは、主に人間を作業工程から外すように設計されている。この解決策は、前述の労働力不足のおかげで、ますます勢いを増している。システムと人間の相互作用は、主に材料投入、メンテナンス、および注文に限定されている。しかし、適切な技術があれば、Nommi(ノミー)のようにボタンを押すだけで簡単に新鮮な食材を調理することができる。たとえば最近行われたNommiとC3との提携では、Iron Chef(料理の鉄人)の森本正治氏の料理が、24時間年中無休の調理マシンに採用されている。

関連記事:ハンバーガーをひっくり返すロボット「Flippy」の能力が向上、調理前後の作業を追加

今週は、クリスマスということもあり、ニュースの流れは多少ゆっくりとしている。とはいえ私たちは、Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)がCESのために何を準備しているのかを垣間見ることができた。Hyundaiは、Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)の買収を含め、ロボットへの取り組みを実際に倍増させている。新しいMobile Eccentric Droid(MobED、モバイルエキセントリックドロイド)は、あらゆる意味でプラットフォームだ。それは文字通りのもので、中央に台になる部分を備えた四輪移動装置だ。また、電話会議から荷物の配達、スマートな乳母車まで、さまざまな機能を収容することができる。

画像クレジット:Hyundai

その安定化技術について、Hyundaiは次のようにいう。

偏心機構による姿勢制御システムは、地表状態に応じて各車輪の高さを調整することで、体の姿勢も安定させます。MobEDの12インチ空気タイヤは、さらに衝撃や振動を吸収するのに役立ちます。

一方、Tiger Globalはその派手な支出を続けている。今週同社は、カリフォルニア州パサデナを拠点とするElementary(エレメンタリー)のために3000万ドル(約34億3000万円)のシリーズBを主導した。Fika Ventures、Fathom Capital、Riot VC、Toyota Venturesも参加したこのラウンドによって、このマシンビジョンスタートアップの総資本は4750万ドル(約54億3000万円)になった。創業者のArye Barnehama(アーリエ・バーナハマ)CEOはTechCrunchに次のように語った。

製造業と物流は、パンデミックの前にすでに始まっていて、パンデミックの最中に大幅に増加した大規模な人手不足を経験しています。企業が、高価で見つけるのが難しいエンジニアリング人材に頼らずに、自動化を続けようとする中で、ノーコードAIソリューションを提供できる私たちのビジネスは拡大してきました。

インドを拠点とするロジスティクスロボティクス企業Unbox Roboticsの700万ドルのシリーズAラウンドは、3one4 Capitalによって主導された。Sixth Sense VenturesとRedstart Labsもラウンドに参加し、SOSVを含む多くの既存の投資家も参加した。同社によれば、調達した資金は採用、技術開発、そして新しい領域への拡大に向けられるとのことだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文: Brian Heater、翻訳:sako)

Picnicが初のロボティックピザシステムを展開へ、プレオーダー受付開始

スタートアップにとってピザづくりロボットは驚くほど人気の最終目標になっている。ここ数年、そうした目標を持ったいくつかのスタートアップは他社に先んじてきた。目標に達しなかった企業としてはおそらくZumeが最も有名だろう。同社は持続可能なパッケージングに方向転換するために2020年初めに結局ロボティックピザトラックをあきらめた。

Picnic(ピクニック)は2021年5月に1630万ドル(約18億円)を調達し、最近知られるようになった。7月にも420万ドル(約5億円)を調達し、企業価値は3800万ドル(約40億円)超になった。レストランやホスピタリティ、エンターテインメント、テーマパークなどさまざまな業界での試験を経て同社は米国時間8月17日、とうとう最初のデバイスを立ち上げる準備が整った。ラスベガスで開催中のInternational Pizza Expo and Conference(国際ピザ博覧会)で発表された。

「チームは2020年、Picnic Pizza Systemを微調整するために顧客や戦略パートナーと絶え間なく取り組んできました」とCEOのClayton Wood(クレイトン・ウッド)氏はリリースで述べた。「作り出したソリューションをとても誇りに思っています。業界パートナーや顧客から受け取った評価には、キッチンオートメーションのソリューションに対する需要が示されています。今後すばらしい年になることを期待しています」。

ピザはフードロボティックシステムの明らかな初期ターゲットだ。その理由はまず、作るのが比較的簡単で、ほぼ同じような仕上がりになること。それから、ピザがよく食されていることだ。2015年に米国人は毎日100エーカー(約40万平方メートル)分のピザを食べたとの報道がある

Picnicは2021年末までに既存顧客からの注文を完了させ、2022年から新規オーダー分の出荷を開始する。料金はロボティクス・アズ・ア・サービス(RaaS)としてのもので、システムを借りるのに月3500〜5000ドル(約38〜55万円)かかる。モジュラーシステムやアウトプットの特異なコンフィギュレーションのようなものは変動制料金となる。料金にはメンテナンスチェックやリモートモニタリングも含まれる。

システムのプレオーダー受け付けは8月17日から始まっている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Picnicピザ

画像クレジット:Picnic

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

街のレストランにピザをカットするロボットがやってくる

本当の話。週末に筆者はとある人とレストランのロボティクスについて話していた。人々が思い浮かべるのが難しいコンセプトだ。それは当然のことだろう。何といっても、ときに文字どおりロボットアームがハンバーガーをひっくり返すという分野における、真に一般的に受け入れられているフォームファクターはない。

筆者の即座の返事は「ピザを作る大型のキオスク」というものだった。正直、それは真実からそれほどかけ離れてはいない。そうした種の自己完結型の組み立てラインロボットはおそらく、我々がこの分野で持つべき総意にほぼ近づいている。それらのロボットは最小限の相互作用で動くようにデザインされていて、従業員の関与は注文の入力、材料の追加、清掃に限られている。

ピザの場合は2要素から成る。まず人々はピザが好きだ。ありふれていて、しかも人気とあって、自動化したい最初の食べ物の1つとなるのは理に適っている。2つ目に、自動化が比較的簡単なことだ。ピザ作りのプロセスは一貫していて制約はない。フォローするのが簡単なステップバイステップのインストラクションに分解することができる。

筆者は先週、2つのレストランロボットを取り上げた。レストランロボットはパンデミック中にかなりの関心を集めた分野だ。というのも、新型コロナウイルスがどのように拡散するのかを科学が明らかにするにつれ、レストランは人間が食べ物に接触するのを最小限に抑える方法を模索し、人手不足の必要不可欠なサービスだったからだ。

Picnic(ピクニック)は上の記述にかなり当てはまる。言葉どおり、大きなピザ作りボックスだ。今週、シアトル拠点の同社は、1630万ドル(約18億円)の資金調達を発表した。ここには2020年秋の300万ドル(約3億円)のブリッジが含まれる。同社はレストラン、そして学校やスタジアム、病院のような人々が集う場所(覚えているだろうか?)にターゲットを絞っている。この分野ではひと握りの企業が事業を展開していて、以前Zumeとして知られこの分野を切り開いたXRoboticsも含まれる。

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Chef Roboticsは今週、770万ドル(約8億4000万円)の資金調達を発表した。最終的なロボットがどんなものになるのかは企業秘密のためまだ伝えることはできない。同社は以下のように述べている。

Chefは、顧客が最小限のハードウェア変更で何千もの異なる種の食べ物を扱えるよう、人間のフレキシビリティを模倣するようデザインされています。Chefはより多くの材料の扱い方を学ぶことができ、改善も図れる人工知能を使っています。これにより顧客はメニューを頻繁に変える、といったことができます。加えて、Chefのモジュラーアーキテクチャによって、スタッフをさらに雇用してそうしていたように、すばやく業務を拡大することができます(しかし人間と違ってChefは時間通りに出勤し、休憩を必要としません)。

そこまでたどり着く企業はあまりないが、モジュール性は興味深い。こうした企業の多くが模索しているものだ。シンプルな反復作業を自動化するロボットを入手できれば、テクノロジーを異なる食べ物に適用できる交換可能なハードウェアを提供できるかもしれない。

今週あった他の目をひく資金調達にはMech-Mind robotsがある。北京拠点の同社はシリーズCを発表した。具体的な数字は公開していないが、新たな資金調達によって累計調達額が1億ドル(約109億円)を超えたと言っていて、またこの前に7900万ドル(約86億円)を調達した(2020年の1500万ドル[約16億円]のシリーズBを含む)ことからおおよそを推定できる。

Mech-Mindはさまざまな製造タスクを専門とする産業ロボットとAIの会社だ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:PicnicChef Robotics資金調達ピザレストラン

画像クレジット:Picnic

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

独立系ピザ屋のデジタル化をサポートするSliceが43.5億円調達

独立経営のピザ屋がオンライン事業を構築するのをサポートしているスタートアップSlice(スライス)がシリーズDラウンドで4000万ドル(約43億5700万円)を調達した。

本ラウンドはCross Creekがリードし、KKR、GGV Capital、Primary Ventures、そしてTwitterの元CEO、Dick Costolo(ディック・コストロ)氏と元COO、Adam Bain(アダム・ベイン)氏が運営する会社01 Advisorsを通じて参加した。

2020年春、Sliceは4300万ドル(約46億8400万円)のシリーズCを発表した。今回なぜそれ以上の額を調達しなかったのか?創業者でCEOのIlir Sela(イリアール・セラ)氏はコストロ氏とベイン氏を投資家に取り込むための「クイックラウンド」だと説明した。セラ氏はまた、そう遠くない将来、追加の資金調達の動きがあるかもしれないと示唆した。

「Sliceは何十年も我々のコミュニティにサービスを提供している小規模事業者を支えるリーダーとして出現しました」とベイン氏は声明で述べた。「我々が持つ事業運営・拡大に関する多くの経験を、この分野で経済成長を可能にしようというSliceの焦点に融合させるために、イリアール(・セラ)そしてSliceのすばらしいチームと協業することを楽しみにしています」。

Sliceは地域のピザ屋からの注文を受けてモバイルアプリやウェブサイトを作ってきた。しかし同社は、ピザ屋が自分たちで自前のウェブサイトを構築して販促キャンペーンを展開し、検索エンジンの最適化を改善したりするためのツールも提供している。Sliceはそうしたピザ屋に1回の利用あたり2.25ドル(約245円)の固定料金を課しているが、2020年秋に10ドル(約1090円)以下の利用については手数料なしとした

同社は最近立ち上げたSlice Registerというピザ屋のためのPOSシステムや、Slice Rewardsという複数のピザ屋にまたがるロイヤルティ・プログラムなど、プロダクトとサービスを引き続き拡大している。

関連記事:ピザ店向けオンライン注文プラットフォームのSliceがPOSシステムの提供を開始

ピザ屋のためのPOSシステム?と、少しニッチなものに思えるかもしれない。しかし筆者がこの質問をセラ氏にぶつけると、こう答えた。「そういう風に言われるのは好きです。常道をまだ外れているということですから」。

すでにピザ屋1万5000店がSliceのプラットフォームを利用しており、同社はこの数を年末までに2万店に増やす計画だ。現在の獲得可能な最大市場規模は独立店、小規模チェーンの5万7000店から構成されているが、Slice Accelerateプログラム(Sliceが選んだピザ屋に1万5000ドル[約163万円]分のテクノロジーとサービスを提供する)で「米国の最大市場規模は10万店になり得る」とセラ氏は付け加えた。

「Accelerateプログラムで当社は、主にオフラインの非効率なピザ屋が自分たちのブランドについてのビジョンを認識するのをサポートしています」と同氏は続けた。これは、既存の店舗を改善したり、新しい店舗を開店したりすることを意味するかもしれない。実際、新しいプログラムはすでにスタテン島のPizza Miaの改修をサポートし、クラウンハイツのBilly’s Pizza & Pastaが2店舗目をオープンするのを手伝う。

「長期的には、当社のかなりユニークなモデルが他の分野にも応用できるのかという大きな疑問があると考えています。おそらく応用できます。しかし存在しているチャンスはピザという分野においてであり、いま他の分野に足を踏み込むのは間違いでしょう」と話した。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Slice資金調達ピザ

画像クレジット:Slice

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

ドミノ・ピザがヒューストンで無人のピザ配達を開始、自律配達車両スタートアップNuroと提携

4月12日の週から、米テキサス州ヒューストンでDomino’s(ドミノ・ピザ)にピザを注文する顧客の一部は、人間と接することなく商品を受け取れるようになる。

米国時間4月12日、Domino’sは自律配達車両スタートアップのNuroと提携し、顧客はNuroのR2ロボットから家の前でピザを受け取る方法を選べるようになると発表した。

Domino’sのシニアVP兼最高イノベーション責任者のDennis Maloney(デニス・マロニー)氏は発表の中で「我々には自律配達の分野で学ぶべきことがまだたくさんあります。このプログラムによって我々はお客様の反応、お客様とロボットとのやりとり、ストア運営への影響をもっと理解できるようになるでしょう」と述べた。

いずれかの時点で、Domino’sのウェブサイトでWoodland Heightsストアに注文するとR2を選べるようになる。R2はレーダー、360度カメラ、赤外線画像により動きを制御する。ロボットの場所や、ピザを受け取るためにロボットのタッチスクリーンに入力するPINコードは注文者にテキストメッセージで通知される。

コロナ禍で非接触の自律食品配達業界は急速に成長し、現在Nuroはこの分野のリーダーになりつつある。

Nuroの共同創業者で社長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏は発表の中で「Nuroのミッションはロボットで生活を向上させることです。我々の自律配達ロボットをヒューストンでDomino’sのお客様に使っていただけることになり、たいへんうれしく思っています。お客様の感想を楽しみにしています」と述べた。

ヒューストンの公道で電動の無人自動運転車両が料理を配達するのはこれが初めてだ。住宅地であるWoodland Heightsはヒューストンでは最も古い歴史的地区の1つで、高速道路のI-45とI-10にはさまれている。この街のDomino’sはメインの大通りであるHouston Avenueに面しているため、このテクノロジーのテストをするには相当難しい場所だ。

Nuroは元々、Domino’sとの提携およびヒューストンでのテストを2019年に発表していた。同年には、ヒューストンとアリゾナ州フェニックスでスーパーのKrogerの配達サービスを開始した。2020年末にはカリフォルニアの公道でのテストが許可され、ウォルマートやCVSなどのパートナーから商品を配達している。Nuroは米運輸省から無人運転車両に関する安全規定適用除外を承認された初の企業だ。

Nuroがレストランの配達に大規模に進出するのはDomino’sが最初のようだが、間違いなくこれが最後ではないだろう。NuroはシリーズCで5億ドル(約547億円)を調達したと発表したばかりで、メキシコ料理チェーンのChipotleがこのラウンドで出資した。イノベーションにフォーカスするトヨタ自動車の子会社Woven Planetの投資部門であるWoven Capitalも出資した。

関連記事:Nuroの無人運転配達車がカリフォルニア州初の商業運用許可を獲得、2021年早々にもサービス開始予定

カテゴリー:モビリティ
タグ:Domino’sNuro自動運転ロボット配達ヒューストンピザトヨタ自動車Woven Planet

画像クレジット:Nuro

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

ピザ店向けオンライン注文プラットフォームのSliceがPOSシステムの提供を開始

米国時間3月30日、独立系ピザ店向けオンライン注文プラットフォームのSliceが新たなサービスを2つ発表した。ピザ店専用のPOSシステムと利用者向けのリワードプログラムだ。

2020年にSliceがPOS企業のInstoreを買収し、InstoreのCEOであるMatt Niehaus(マット・ニーハウス)氏がSliceの決済担当シニアバイスプレジデントになったことから、新しいSlice Registerが生まれた。

ピザ店向けのPOSシステムとなると、特に他のPOS製品と比べて対象が狭いように思えるが、ニーハウス氏はSliceを利用している1万5000のピザ店の多くは今も現金のレジ、そしてペンと紙に頼っていると指摘する。「ピザ店を経営する人は、ピザ作りは確かに得意ですが、たいてい会計面には慣れていないのです」。

同氏は、既存のPOSシステムはピザ店のニーズやワークフローに合うように作られたものではないともいう。Sliceの創業者でCEOのIlir Sela(イリル・セラ)氏は、既存のPOSシステムの大半はまずオフラインの注文用に作られ、後からオンラインに対応したものだと補足した。さらにニーハウス氏は、平均的な地元のピザ店ではオンラインからの注文はわずか19%であると述べた(Dominoの平均的な店舗では75%)。

「Dominoがまさに競合であって、POS企業ではありません」とニーハウス氏はいう。

画像クレジット:Slice

Slice RegisterはソフトウェアとiPadなどのハードウェアを組み合わせたソリューションだ。当然、Sliceのオンライン注文と統合され、メールやモバイルマーケティングにも対応している他、顧客ごとの情報をまとめて表示する機能もある。ニーハウス氏は「1つのプラットフォームで顧客を獲得しオンラインに誘導する」ように作られていると説明する。

ピザ店はハードウェアやソフトウェアの初期費用は無料でSlice Registerを利用できる。2021年は決済処理の費用のみがかかり、追加料金は2022年に発表される。

新しいSlice Rewardsプログラムでは、Slice経由で8回、15ドル(約1600円)以上の注文をするとラージのチーズピザを1枚もらえる(無料のピザの代金は、ピザ店ではなくSliceが負担する)。セラ氏は「Dominoによく似ていますが、独立系ピザ店が広く対象になるプログラムです」と説明する。

セラ氏は「利用者には好きな地元の店舗が最大4つあって、どの店も同じように気に入っていることがわかりました。そのお気に入りの4店舗のどこから購入してもリワードがもらえるのは、本当に魅力があると思います」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SlicePOSピザ

画像クレジット:Slice

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)