Instagram、フォロワー数カウントが減少するバグを確認

今日(米国時間2/13)、Instagramは一部のアカウントにフォロワー数が減少するバグが存在することを確認した。半日ほど前からフォロワー数が大きく減少していることに気付いて困惑するユーザーが出ていた。

Instagramは最近スパム対策の一環として休眠アカウントや不正アカウントの削除を大規模に進めていたため、その影響を疑う声もあった。

一部のユーザーのアカウントでフォロワー数に変化をもたらす問題が存在することを認識している。現在われわれは問題解決のために全力を挙げている。(Instagram)

Instagramのバグが発見される数時間前にTwitterでも「いいね」の数が正しく計測されないバグが発生している。一部のユーザーはアカウントが凍結されたのか、自分のツイートがよほど評判が悪かったのかと頭を悩ませていた。

(日本版)Forbesの記事によればカイリー・ミノーグ、ケイティ・ペリーなどのセレブのアカウントでも数百万単位でフォロワー数減少が起きているという。

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滑川海彦@Facebook Google+

Instagramは禁止したはずのフォロワー販売サービスの広告をいまだに掲載

Instagramは以前、そのソーシャルネットワークにスパム広告を溢れさせるというビジネスで収益を得てきた。しかし同社は、今でも猫をかぶり、金を取って偽のフォロワーを増やしたり、顧客にフォローバックさせるために自動的に他人のフォローやフォローの取り消しを行うサービスに広告スペースを販売している。11月にはそうしたサービスを禁止する処置を何度も繰り返し、そのような活動を行うアカウントに警告を送ってきたにも関わらずだ。

TechCrunchが調査したところ、Instagramの規約に公然と違反して、偽のフォロワーの販売やフォロワーをおびき寄せるためのスパム広告の自動投稿をInstagram上で行うサービスが、まずは17件見つかった。これは明らかに、Instagramが自身のアプリやプラットフォームの監視を適切に行っていないことの証拠だ。そのような怠慢のおかげで利用者は、ボットや偽のアカウントが作り出すフォローや「いいね」に惑わされている。そうしたサービスから金を掻き集めてきたInstagramは、Instagramの通知の質を貶め、利用者の貴重な時間を奪っている。

我々の調査に反応してInstagramは、すべての広告を排除し、我々が報告した規約違反サービスのFacebookページとInstagramアカウントもすべて無効にしたと私に話した。ページもアカウントも、それ自体は違反ではないが、そこが流している広告が、FacebookとInstagramから追放されたということだ。しかしその翌日、TechCrunchは、同様のサービスの広告を2件、Instagramに発見した。また、フォロワー数を増やす規約違反のサービスに金を払っている企業5社も新たに発見した。

ここで大きな疑問がわく。Instagramは果たして、スパム業者から真剣にコミュニティーを守る気があるのかということだ。技術的にも人材的にも投稿内容をチェックする機能が備わっているだろうに、なぜ自社の規約に堂々と違反している広告や業者の存在を、一介のジャーナリストの調査から教えられなければいけないのか。Facebook傘下にあるInstagramというアプリの、ユーザー基盤とビジネスを拡大するために「迅速に動く」という信条は、どうやら自らの監視の目が届かないところまで走って行ってしまったようだ。

スパム業者を追え

私はこの調査を、GramGorillaというサービスのInstagramストーリー広告に悩まされたことをきっかけに、1カ月前に開始している。オールバックの格好をつけたセールスマンが、このサービスでどれほどのフォロワーを得たかをまくし立て、同じだけ金を払えば私も同じ数のフォロワーが付くと宣伝している。この広告は、Krends Marketingのウェブサイトにリンクされている。月に46ドルから126ドルを支払えば、1000から2500のInstagramのフォロワーを保証するというのだ。

このような広告の中には、フォロワーを直接販売しているところもあるが、大抵は偽アカウントだ。それでフォロワー数は増えるかも知れないが(その業者が摘発されて追放されなければの話)、そのフォロワーは自分が見せたいものに興味を示すわけでもなく、ビジネスの足しになるわけでもない。結果としてフォロワーの質は薄められ、投稿を実際に見てくれる人の数は減ってしまう。しかし、GramGorillaつまりKrendsなどのInstagramのフォロワーを販売するアプリには、もっと困った点があることを私は知った。

これらのいかがわしい業者に、自分のユーザー名とパスワードを与えてしまうということだ。しかも、関連する話題や個人情報も彼らに渡り、自動的に誰かをフォローしたり、フォローを解除したり、「いいね」を付けたり、知らない人のInstagramプロフィールに勝手にコメントを書き込んだりといった行為を許すことになる。その目的は、知らない人たちがそれを見て、好奇心を抱いたり、仲良しになりたいと思うようになり、フォロワーになってくれることを期待して通知を送ることにある。このようなスパム通知を大量に発信することで、大勢の知らない人たちが引っかかりフォローしてくれる。それで月額に見合うだけの体裁を保つというわけだ。

そこに私は腹が立った。FacebookもInstagramも、その他のソーシャルネットワークも、アクション、広告のビュー、毎日のユーザー数を増やすための裏技を教える通知を大量に送ってくる。しかし、彼らはそれが利用者の気分を損ね、ユーザーがすべての通知を非表示にしてしまうリスクを考えた方がいい。フォロワーを販売する業者は、Instagramが汚れようと、ユーザーが不快な思いをしようと、どうでもいいのだ。金が儲かりさえすればいい。彼らは、私たちの大切な共有資源における「コモンズの悲劇」の典型的な悪役だ。

そこから私は、スパム広告を記録するようになり、どれだけ多く存在することかと驚くことになった。間もなく、Instagramの広告ターゲティングと再ターゲティングのアルゴリズムが暴発し始め、Instagramの規約に違反している同類の企業からの広告が、私に意図的に送られてくるようになった。

私が最初に記録した、フォロワー販売とスパムの17のサービスは、Krends Marketing / GramGorillaSocialUpgradeMagicSocialmEZ-GrowXplod SocialMacurex、GoGrowthlyInstashop / IG ShopsTrendBee、 JW Social Media MarketingYR CharismaInstagrocerySocial SensationalSocialFuseWe Grow SocialIG WildfireGramflareだ。TrendBeeとGramflareは、Instagramがその活動を禁止したと発表した後も、ずっとInstagramで広告を出し続けていることがわかった。Instagramが取り締まりを行ったとされた後でも、これまでの調査では、禁止されているフォロワーの販売を行なっているサービスが見つかった。それは、FireSocialInstaMason/IWentMissingNexStore2019InstaGrowServantifyの5つだ。

悪いと知って井戸に毒を投げ入れる

私は、それらの企業はInstagramの規約に違反していることを知っているのか、スパムを配信することをどう正当化するのかを知りたいと思った。大抵のサービスは連絡先を伏せていて、顧客サポート用のメールアドレスだけが掲載されている。しかし私は、何人かの創設者に直接電話をかけることに成功した。

「私たちが行っていることは、明らかにサービス規約に違反しています」と、GoGrowthlyの共同創設者は、氏名の公表は拒否しながらも話してくれた。「私たちは彼らの無料のプラットフォームに便乗しているだけなので、彼らには何ひとつ利益はありません。Instagramは私たちを嫌っています。私たちは、顧客の位置情報に基づくプライベートなプロキシを利用しています。それが、あらゆる負担を軽減するための私たちの秘策です」というわけで、顧客のアカウントが停止されることはないのだそうだ。「Instagramとは慎重に足並みを揃えています。これは、SEO業者とGoogleとの関係に似ています。Googleは顧客に最大の結果を与えたいと考え、顧客は彼らに最大の結果をもたらしたいと考えている。じつに繊細なダンスなのです」と、Macurexの創設者Gun Hudsonは話していた。

EZ-Growの共同創設者Elonは、姓の公開を拒んだが、こう話してくれた。「(顧客は)いつも新しいものを求めています。最初はフォローといいねでした。今は、ストーリーに注目しています。Instagramが新しい機能を導入するごとに、私たちには、それを顧客にわかりやすく見せるという点で常に優位性があります」。EZ-Growは、広告費として1日500ドルをInstagramに支払っていて、それが、新しい顧客を開拓するための中核的な戦略なのだと彼は言う。SocialFuseの創設者Aleksandr(姓は非公表)は、InstagramとFacebookの広告費として1日数百ドルを使っていて、11月に彼の会社が行っているサービスの停止をInstagramが繰り返し訴えたときは、心配になったと言う。しかし、こうも話している。「もう停止は避けられないと覚悟したのですが、結局、何も起こりませんでした」

何人かの創設者は、スパム通知のサービスを擁護して、自分たちは少なくとも偽フォロワーを販売しているわけではないと抗弁している。自分のことは棚に上げて、MacurexのHudsonはこう言った。「やり方を間違えれば、利用者の楽しみを台無しにしてしまいます。そこには、下劣でスパム的な手法をとるマーケティング業者が群がっています。Instagramは、そうした業者の監視を続ける必要があります」。GoGrowthlyの創設者は私にこう明言した。「ターゲットを絞った交流によって、私たちは実際にコミュニティーにとって良いことをしています」と。またやはり姓の公表を拒んでいるWeGrowSocialの共同創設者Brandonなどは、競合他社であるSocialSensationalがフォロワーを売っていると告げ口したい風だった。

ただ、EZ-GrowのElonだけは正直だった。「ターゲティングは、適切な人を選ぶものなので……受け取った人は嬉しいはずです。スパムではありません」と話した後に、彼はあることに気がついた。「まあ、スパムと言えないこともないですが」

Instagramはついにスパム業者を追放

私たちの調査に応えて、Instagramの広報担当者は、私たちが発見した規約違反の広告やアカウントを停止する旨を正式に伝える長々とした声明文を発表した。その中で、Instagramは懸命に努力していると主張しているが、努力が足りないことも認めている。

スパム的なフォローや「いいね」やコメントを受け取って喜ぶ人はいません。Instagramでは、みなさまに本物の交流をしていただくことを何よりも重視しているため、このコミュニティーからスパム的な行いを締め出すよう懸命に努力しています。不正な「いいね」やコメントやフォロワーによってアカウントの人気を高めるサービス、およびそうしたサービスを宣伝する広告は、Instagramでは禁止しています。ここに示したサービスに対して私たちは、違反広告の削除、ページおよびアカウントの停止、ページへのさらなる広告掲載の禁止といった対策をとってきました。このうよな広告が、みなさまの目に触れる前に発見し、排除するためのシステムを私たちは複数導入していますが、私たちのプラットフォームに日々アップロードされる広告の数が膨大であるため、ときして、いくつかが網の目をくぐり抜けてしまことは避けられません。この件に関して、さらなる努力し、責任を持って改善を進める必要があることを、私たちは認識しています。

Instagramは、人気を高めるためのサードパーティーのアプリを利用しているアカウントを機械学習ツールを使って特定していると私に話してくれた。また、ユーザーが通知を受け取る前に、そのような不正な介入を排除していると主張している。そうしたサービスの効果をなくすことで、その魅力を失わせることができるとInstagramでは考えている。彼らは、公開される前に、画像、文章、そしてそれらすべての広告のリンク先のページを評価し、一部を人間の審査担当者に送るという自動化されたシステムを採用している。これにより、規約違反の広告のほぼすべてを捕まえることでき、そこをかいくぐったものは、ユーザーが通報できるようにしていると言う。

しかし、そうした広告や、それに関連するアカウントは、「フォロワーを集めよう」「Instagramのフォロワーを増やそう」「本物のフォロワー」「交流を拡大しよう」「承認を得よう」「交流の自動化」などといった、規約違反のサービスに強く結びついた言葉で満ち溢れている。そのことから、Instagramのこの問題に対する本気度が疑われる。彼らは最初から、スパムのボットや偽アカウントを見抜く、安価で、柔軟に規模の変化に対応できる技術的アプローチに頼ればよかっただけの話だ。行儀よく広告をスクリーニングしたり、人間の審査担当者を大勢雇い入れてネットワークを監視させる必要などなかったのだ。

そうした的外れなAIや技術的ソリューションに依存したがるのは、この業界の傾向のようだ。私が先日報告したように、子どもの性的虐待の画像はWhatsAppMicrosoft Bingで簡単に探すことができる。この2つの検索エンジンはどちらも、複雑なアルゴリズムでは見つけられない違法コンテンツを、常識で判断できる人間の審査チームが足りていないように思える。Instagramと同様、それらの検索エンジンも大変に儲かっている親会社の下にあり、規約を守らせるための予算はもっと使えるはずなのだ。

不正なサービスをInstagramから追放することは重要な一歩だが、もっと積極的にならなければいけない。ソーシャルネットワークとセルフサービス型の広告ネットワークは、あまりにも長い間、効率のいい金の成る木だとされてきた。そこから得られた利益は、今度はそれを取り締まるために振り向けられるべきだ。そうしなければ、我々の金や関心を盗み取る悪党どもを喜ばせるだけだ。

Instagramの未来に興味のある方は、この記事の著者Josh ConstineによるSXSW 2019の基調講演をご覧ください。Instagramの共同創設者Kevin SystromとMike Kriegerも、彼らが同社を去ってから初めて、ここで顔を合わせています。

 

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(翻訳:金井哲夫)