マイクロソフトがChromeベースEdge安定版を初リリース、Mac版もあり

Microsoft(マイクロソフト)はスケジュールどおり、米国時間1月15日に新しいChromiumベースのEdgeブラウザーの最初の安定バージョンリリースした。独自のブラウザーエンジンの開発を中止し、良かれ悪しかれ業界標準を採用することを最初に発表してから、まだ1年ちょっとしか経っていない。

現状で、Windows 7、8、10に加えてmacOS用の安定版を直接ダウンロードできるようになっている。Windows 10を使用している人は、自動更新に組み込まれるのを待ってもいいが、それにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

すべての開発はオープンで進行したため、これまでにもさまざまなプレリリースチャネルがあった。それもあって、今回のリリースに驚きはない。「コレクション」(Collection)と呼ばれるマイクロソフト独自の新しいブックマーク機能など、将来に向けて最も興味深い機能の一部は、まだ実験的なプレリリースチャンネルでのみ利用可能となっている。ただし、Edgeは現在6週間のリリースサイクルを採用しているので、そうした状況もすぐに変わるだろう。

ここまでの開発サイクルに沿って、私もずっと主張していたように、EdgeはChromeに対する有望なチャレンジャーだ。代替のブラウザーを探している人に推奨することに、まったく躊躇は感じない。とはいえ、まだいくつかの機能が欠けている。中でも最も重要なのは、ブラウザーの履歴や拡張機能をデバイス間で同期する機能だ。私としては、Edgeをメインブラウザーとして使用するのに困難を感じたことは一度もなかったが、そこは人によって違うだろう。

他のモダンなブラウザーと同様、Edgeにも、ユーザーをオンライントラッカーから保護するさまざまなオプションが備わっている。また拡張機能については、Chromeウェブストアと、マイクロソフト独自の拡張機能リポジトリの両方をサポートする。さらに、リーダーモードやプロファイルを切り替える機能など、期待されるほぼすべての機能を備えている。

しかし、キラー機能と言えるもの、つまり他のブラウザーと比べて明らかに優れている機能は、まだ確立していない。マイクロソフト自身は、コレクションがかなり気に入っているようだが、私のワークフローにとっては、さほど便利だとは感じられない。しかし、これで安定したプラットフォームが得られたので、開発チームがその上に革新を実現する準備は整った。今後は、新しい機能に集中した開発が期待できそうだ。

Firefoxでは、独自性を追求した開発が進められていることもあって、Edgeとしては、それがどれほど優れているとしても、再びマイクロソフトのブラウザーに戻ってくるよう、ユーザーを説得するのには骨が折れるかもしれない。ほとんどのユーザーにとって、別のブラウザーに乗り換えるのは、それほど手軽にできることではない、という事情もある。

いずれにせよ、これまで新しいEdgeを試してみることをためらっていた人には、ようやくチャンスが到来したと言える。いちばん簡単な方法は、直接最新版をダウンロードすることだ。Windows 10を使っている場合、通常のWindows OS更新チャネルを通じて、そのうちに新しいEdgeが古いEdgeを置き換えることになる。ただしマイクロソフトは、これを非常にゆっくりとしたロールアウトに設定しているので、完了には数ヶ月もかかると見込まれる。その場合も、いったん新しいEdgeがインストールされると、以降はWindows Updateシステムとは独立に、Edgeが自分で更新するようになるはずだ。

当然ながらエンタープライズユーザーは、いつ、どのように移行するのかを選択できる。それについては、マイクロソフトがここここで詳しく解説している。Edgeは、Internet Explorerモードを備えているため、おそらく多くの企業は短期間でEdgeに移行することになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ブレンダン・アイク氏の画期的なブラウザーBraveの1.0版が登場

2014年に追放されるまでMozillaのCEOだったBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏が共同創設したBrave(ブレイブ)から、米国時間11月13日、バージョン1.0のブラウザーがWindows、macOS、Linux、Android、iOS用に公開された。ユーザーの選択権が奪われたブラウザー市場で、Braveは、強力なデフォルト設定でユーザーのプライバシーを守る確かな選択肢というポジションを決めている。同時にこれは、コンテンツの作者に報酬を支払える、暗号通貨中心のプライベートな広告や決済のためのプラットフォームでもある。

先月、同社が発表したように、現在は800万のアクティブユーザーがある。そのBrave  Rewards(ブレイブ・リワーズ)プログラムは、ユーザーとパブリッシャーとのオプトイン契約が必要だが、現在は30万のパブリッシャーが参加している。そのほとんどは、YouTubeやTwitterで少数のフォロワーを持つユーザーだが、ウィキペディア、ワシントンポスト、ガーディアン、スレート、LAタイムズのような大手パブリッシャーもこのエコシステムに含まれている。このシステムを使うと、すべてのパブリッシャーが望むわけではないが、ブラウザーは、ユーザーのブラウジングの習慣に応じて、プライベート広告のタブの中に、少数の広告を通知として表示する。するとユーザーは、広告主が支払った広告費の70%を受け取ることができる。ブレイブの取り分は30%だ。

ユーザーは、この広告を表示すると、ブレイブの暗号通貨であるBAT(ベーシック・アテンション・トークン)が獲得できる。それは自分で貯めてもいいし、パブリッシャーに寄付してもいい。当初、ブレイブはビットコインでこれを開始したのだが、アイク氏が言うように、途端に価格が高騰してしまった(しかも価格が上昇したため、ユーザーはビットコインを寄付せず、自分で貯め込んでしまった)。

またブレイブ内蔵の広告ブロッカーは、その広範囲に有効なトラッキング防止機能と並び、おそらく業界一の効力を誇る。「みんながトラッキングされているという感覚に悩まされ、悪質な広告を迷惑に感じています」とアイク氏は私に話した。「しかし、広告の美観には問題がないと私は思っています。問題は、さまざまなトラッキングとトラッキングのコストです。ページを読み込む時間が増え、トラッキング用のスクリプトを読み込むために無線を使い、そのスクリプトは広告を読み込むための別のスクリプトを読み込むためのスクリプトを読み込む。それでバッテリーも浪費されます」。ブレイブは、これらすべてをアンチトラッキング技術でひとまとめにする方法と、業界標準のブロックリストを超える広告のブロック方法を編み出し、さらに機器学習を使ってさらなるブロックのためのルールを特定したとアイク氏は主張している。

ウェブ上で完全に匿名でいたいユーザーのために、ブレイブにも他のブラウザーと同じようにプライベートブラウジング機能がある。しかし、Torネットワークでプライベートなセッションが開けるというオマケが付いている。これなら、ほとんどのすべての企業はユーザーを特定できなくなる。

基本的にブレイブは、単に高速で拡張可能なChromiumベースのブラウザーだ。それもユーザーへのウリになると同社は信じている。「ユーザーの獲得において(中略)最も多くのユーザーに訴求するのが、第一にスピードだと思います。しかし、スピードだけに任せておくことはできません。きれいな結び目であらゆるメリットをつなげてやる必要があります。私たちには、それがあります」と彼は言う。ブレイブにとって、スピードと広告とトラッキングからの保護は明らかに連携している。その他すべてのメリットも、そこから発している。

バージョン1.0の次を見据えて、ブレイブは、さらなる同期の改善を計画している。たとえば、タブと履歴の同期だ。また、ブレイブ・リワーズをもっと抵抗なく参加できる体験にすることも目指している。Android版ができる以前は、オプトイン契約率は40%前後だったとアイク氏は私に教えてくれた。彼らはそれを取り戻したいと考えている。

ブレイブを試してみたい方は、こちらからダウンロードしてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

VivaldiブラウザーがAndroidにやってきた

Vivaldi(ヴィヴァルディ)は、自分のブラウザーを思い通りにカスタマイズしたいと考えている上級者向けの製品であると、自らを位置付けてきた。そうした方針のもと、なんとかデスクトップ市場での地位を確かなものにすることができた。ただこれまではモバイル領域に進出していなかった。今回のAndroid向けVivaldiのリリースにより、その状況も変わるだろう。ちなみにこのブラウザーは、元OperaのCEOだったJon Stephenson von Tetzchner(ヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナー)氏が共同創立した会社の手になるもの。Vivaldiは、デスクトップ版の見た目、使用感、速度を維持しつつ、その強力な機能のすべてをモバイルに持ち込もうとして身動きが取れなくなるようなことは避けている。

私自身はたいていの場合、デスクトップとモバイルで同じブラウザーを使うのがいいと思っている。ブックマークが同期できることが、その主な理由だ。ちなみにVivaldiの場合、ブックマークの同期にGoogleのサーバーは使っていない。それによってトラッキングされるのではないかと心配する人もいるからだという。私が、これまでVivaldiを使ってこなかった主な理由は、デスクトップ版しかなかったこと。本当はVivaldiは、まさに私のようなユーザー向けのブラウザーだったのに。モバイル版の登場で、それも変わるはずだ。

このブラウザーのインターフェースは、全体的に非常に直感的だ。Vivaldiチームは、すべての標準的なUI(戻る、進むの各ボタン、タブの切り替え、URL入力兼検索フィールド)を画面の下部に配置している。これには感謝したいくらいだ。画面上部のアドレスバーとメニューも、もちろん利用できるが、これだけスマホの画面が大きくなっていることを考えると、ほとんどの操作が片手でできるブラウザーはありがたい。

機能について見てみると、Vivaldiは、スピードダイヤル、ブックマークといった基本をすべて押さえた上で、モバイル版ブラウザーには通常は見られないような高度なタブ管理機能を備えている。たとえば、タブのクローンを作成する機能、ページ全体、または表示領域のみのいずれかを選んで撮れるスクリーンショット機能などがある。いろいろな検索エンジンを切り替えて使うことの多い人には、アドレスバー上でのショートカットが便利だ。たとえば、「d」キーによってDuckDuckGoに切り替えるといったことができる。また、ページ内の本文だけを読みやすく整えて表示するリーダービューなど、最近のモバイルブラウザーが備えている機能は、たいてい網羅している。

モバイル版だけでなく、デスクトップ版も含めて、Vivaldiにもう少し期待したい領域は、トラッキングに対する保護機能だ。そのあたりは、最近のFirefoxのリリースが注力している分野であり、MicrosoftのChromeベースの新しいEdgeブラウザーでさえ、トラッキングをブロックする機能をデフォルトで有効にしている。少なくとも現バージョンでは、Vivaldiはまだトラッキング保護機能を標準装備していない。その点は、デスクトップ版ではそれほど問題にならない。拡張機能をインストールすることで対処できるからだ。しかしモバイル版については、Vivaldi自身の手で、もう少しなんとかしてもらいたい。

全体として、Android上のVivaldiは、乗り換えを検討する価値のある製品だ。とにかく高速で使いやすい。もしすでにデスクトップ版のVivaldiを使っているのなら、悩む必要はない。そうでなくても、試しに使ってみる価値は十分にある。ついでに、デスクトップ版をいっしょに試してみるのもいいだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Firefoxの最新アップデートはスピードとプライバシー保護に重点

MozillaFirefoxバージョン67をWindows、macOS、およびLinux向けに公開を開始した。そして開発チームはいくつかの変更箇所についてその詳細をブログに書いている。新バージョンでは、全体的な性能向上を期待できる。

Firefoxは、重要なコンテンツを優先して読み込み、重要でないスクリプトの読み込みを遅らせ、ページにフォームがないときはオートフィルモジュールを読み込まないという方針を強化した。

モバイル向けウェブブラウザーでは、動いていないタブをメモリーから排除することでほかの作業の性能を上げるのが普通だ。以前のタブに切り替えるとページの再読込が必要になるのはそのためだ。最近ではデスクトップ向けブラウザーでも同じことが行われておりFirefoxもメモリーが400MB以下になると一部の古いタプが停止される。

また、アドオンやテーマをたくさん使っている人なら、Firefoxはブラウザーを終了して再起動したときの立ち上がりが速くなる。AV1ビデオの性能も上がる。これはVideoLAN、VLC、FFmpegなどのコミュニティーの新しいデコーダーを採用したためだ。

プライバシー面では、Firefox 67はクリプトマイニング(暗号通貨の採掘)とフィンガープリンティング(ユーザーの追跡)をブロックする仕組みを追加した。また、Disconnectとの提携によりルールやドメイン名のリストを持つことで、不正なコンテンツの読み込みを防ぐ。

クリプトマイニングとフィンガープリンティングのブロックは標準ではオフになっている(少なくとも今は)。しかし、ブラウザー設定の「プライバシーとセキュリティー」から数回クリックすることで有効にできる。

プライベートブラウジングに関して、Firefoxはプライベートセッション中に一部のアドオンを有効または無効にできるようにした。また、プライベートタブでパスワードをブラウザーに保存できるようになった。

そしてNVIDIA製のGPUを使っているWindowsユーザーは、WebRenderを有効利用できるようになった。WebRenderはGPUベースのレンダリングエンジンで、Rustで書かれたウェブコンテンツで利用される。これはごくわずかなユーザーが対象だが、Firefoxは将来もっと多くのユーザーに対応するにだろうと私は思っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FirefoxブラウザーにWebサイトの侵犯通知機能が加わる、開示義務により侵犯情報の最新化も期待

MozillaのWebブラウザーFirefox Quantum*に、新しいセキュリティ機能が加わる。それは、最近データ侵犯が報告されたWebサイトを訪ねようとすると、ユーザーに警告する機能だ。〔*: 2017年のv57以降の設計が一新されたFirefoxブラウザーを、開発者のMozillaがFirefox Quantumと呼んでいる。〕

Firefoxのユーザーが最近侵犯されたWebサイトを開くと、通知のポップアップが表れて侵犯の詳細を告げ、ユーザーの情報が漏洩しなかったかチェックするよう勧められる。

Mozillaの発表によると、“このようなプライバシーとセキュリティに関する機能へのユーザーの関心が高まっているので、Firefoxのユーザーにこの通知警告機能を提供することになった。この新しい機能は、今後数週間で、Firefoxの全ユーザーに展開される”、とある。

侵犯を通知するポップアップとその上の情報は、こんな感じだ:

FirefoxのWebサイト侵犯通知機能, 画像提供: Mozilla

Mozillaはこの、サイトの侵犯通知機能を、今年初めにローンチしたメールアカウントの侵犯通知サービスFirefox Monitorに統合しようとしている。今日(米国時間11/14)の発表によると、それは26の言語で利用できる

Firefoxのユーザーが、サイトの侵犯を告げるポップアップが出たときクリックしてMonitorへ行けば、メールアカウントの侵犯についても知ることができる。

Firefox MonitorでMozillaは、侵犯されたWebサイトのリストを、パートナーであるTroy Huntの先駆的な侵犯通知サービスHave I Been Pwnedから得ている。

ユーザーをあまりにも多くの情報でうんざりさせないために、Mozillaは侵犯の通知を一サイトにつき過去1年に起きたもの一つに限定している。〔全部知りたければFirefox MonitorやHave I Been Pwnedを使えばよい。〕

データ侵犯はデジタル生活の不運な定番で、最近はビッグデータサービスの登場により、増加傾向にある。そして、人びとの関心も高まっている。ヨーロッパでは5月に導入された厳しい法律により、侵犯の普遍的な開示義務と、データ保護の失敗や怠慢に対する罰則が制定された。

そのGDPRフレームワークは、データをコントロールしたり処理したりする者たちにセキュリティシステムの改良を勧奨するために、彼らにはさらに重い罰を課している。

法律や罰則の強化によってセキュリティへの投資が増えたとしても、それが実際に侵犯の減少として効果が実っていくためには、時間がかかるだろう。どれだけ法が、その効果を期待していたとしても。

でもGDPRの初期の功績のひとつは、企業に侵犯の開示を義務付けたことだ。そのため今後は、このようなセキュリティツールが利用する侵犯情報も、より多く、そしてより最新のものになるだろう。一般ユーザーのためにも、この法律はポジティブな効果を上げているようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Firefoxの実験部門Test Pilotから価格追跡とリンクをメールでさっと送れる実験プロジェクトがローンチ

Firefoxのさまざまな新しいアイデアを実験しR&Dしている部門Test Pilotが今日(米国時間11/12)、二つの新しいプロジェクトを発表した。それらは、オンラインストアのアイテムの価格を追跡するPrice Wiseと、友だちなどにリンクを簡単にメールで送れるEmail Tabsだ。

Price Wiseはその名のとおりのサービスで、Best BuyやeBay, Amazon, Walmart, Home Depotなどにおける価格の変化をFirefoxを使いながら調べられる。そういうエクステンションは前からいろいろあるが、今回のはひもつきでないことが、すばらしい。Mozillaによると、すべての処理がどっかのサーバーではなくユーザーのマシン上で行われ、サードパーティのツールは使わない。またアフィリエイトなどを通じてMozillaが収益を得ることもない。

ちょっとおもしろそうなのは、Price Wiseが機械学習を使っていることだ。Mozillaのスポークスパーソンは曰く、“機械学習は個々のエクステンションの中にあるのではなく、今後いろんな仕事をプライバシーを犠牲にせずにやらせるために、汎用ツールのような形でエクステンションの外にある”。

一方Email TabsはPrice Wiseと違って新しいコンセプトだ。家族や友だちなどとリンクの共有をメールでやってる人は今でも多いが、そのためのコピペという作業はあまりエレガントではない。そこでEmail Tabsのボタンを押すと、共有したいタブと、そのリンクと一緒に送りたいわずかなコンテンツを指定して送信できる。つまり、リンクだけでも送れるし、ページのスクリーンショットやテキストの全文コピーなども送れる。

そのために使うメールアプリケーションは目下Gmailだけだが、すべての情報をクリップボードへコピーしてどこかへペーストしてもよい。

これら二つの実験的プロジェクトは、Test Pilotにサインアップして誰でも利用できる。

Firefox Email Tabs

Mozillaはさらに今日、実験から本番に昇格した三つのプロジェクトを発表した。まず、最大1GBまでのファイルを暗号化してシェアできるSendは、年内にアップデートして再ローンチする。そしてFirefoxのルックスをカスタマイズできるColorは、エクステンションとして独立する。そしてさらに、二つのブラウザーウィンドウを一つのFirefoxウィンドウの中に横並びにできるSide Viewも、独立のエクステンションになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chromeにモバイルの会員登録詐欺(キャリア課金!)を防ぐ警告機能が登場

Googleが今日(米国時間11/8)、近くChromeブラウザーにモバイルの会員登録詐欺を防ぐ機能を設ける、と発表した。それは、ユーザーに電話番号を入力するよう求め、それに応じると勝手に月額の会費が発生し、それがキャリアへの毎月の支払額に自動的に含まれてしまう。12月のChrome 71より、そのサイトが、モバイルの会員登録であることを明示しない場合、警告をポップアップする。

ユーザーに会員登録をさせようとするサイトが一律にこの仕組みに引っかからないようにするために、Googleはデベロッパーのためのベストプラクティスを今日公開した。それによると一般的にデベロッパーは、課金情報をユーザーの目につきやすい場所・形で表示しなければならない。具体的な金額と料金体系も、表示すること。

その情報がない場合、Chromeはフルページの目立つ警告を表示する。それがユーザーにとって問題のないサイトなら、先へ進めばよい。Googleは警告表示をする前にSearch Consoleで詐欺の可能性をWebマスターに通知するが、もちろんそれが擬陽性である場合もある。

この新しい機能はモバイルとデスクトップの両方で提供され、AndroidのWebView(アプリ内Webブラウザー)にも表示される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Mozillaは寄付の全額をTor Projectへのマッチングファンドに、Firefoxへの内蔵も開発中

Firefoxの生みの親であるMozillaが、その長年の盟友Tor Projectに再び目を向け、寄付の全額をTorの資金として提供することになった。オンラインのプライバシーを強化するオープンソースのプロジェクトTorは、今年も年末恒例の資金集め活動を開始したばかりだ。

TorはMozillaのサポートを今日(米国時間10/24)発表し、両者のパートナーシップがさらに続くことになった。昨年Torが調達した40万ドルあまりには、Mozillaの貢献も含まれている。これはテクノロジー系のスタートアップなら小額のシードラウンドにすぎない額だが、しかし2015年に政府の補助金への依存をやめて、資金源をクラウドファンディングに切り替えたTorにとっては、重要な収入源だ。

その2015年には、Torは330万ドルという記録的な額の寄付を受領した。それは2014年の250万ドルを上回り、今だにTorの年収の最高額だが、しかしその86%は国の補助金だった。それは、これまでで最高の額だが、Torの研究部長で社長のRoger Dingledineは当時、もっと頑張ってその比率を減らすべきだ、と認めていた。

Torは2016年以降の決算報告をまだ出していないが、昨年はプロダクトの面では大きな飛躍があった。Torは今でも、NSAの内部告発者Edward Snowdenが使ったことが、いちばんよく知られている。大きな飛躍というのは、今年の9月にAndroid用のモバイルブラウザーをローンチしたことと、同じ月にTor Browser 8.0をリリースしたことだ。後者は、これまででいちばん使いやすいTorのブラウザーで、Firefoxの2017 Quantumがベースだ。TorをFirefoxに内蔵するために、Firefoxとの密接な協働が続いた。Mozillaの元CEO Brendan Eichが作ったブラウザーBraveは、すでにTorを内蔵している

Torはブラウザーと、盗聴や監視のおそれを最小化するTorネットワーク本体のほかにも、いろんなプロジェクトを抱えている。Tor自身のデータによると、Torの推定ユーザー総数はおよそ200万人だ。

Tor Foundationで資金調達を担当しているSarah Stevensonはこう語る: “Tor Projectには大胆なミッションがある。ネットワークに対する侵入や制限に抗して世界中のインターネットユーザーのプライバシーと自由を守ることだ。でもそれは、一人ではできない”。

“エジプトやベネズエラなどの国には表現の自由に対する制約があり、オープンなWebへの自由なアクセスができない。また企業サイドでは、GoogleやAmazonなどが人びとのデータを濫用し、監視経済を肥大させている。反対意見を封じ込めるために、インターネットアクセスを全面的に禁じている国すらある”。

というわけで、Tor Projectの果敢なミッションに賛同される方は、同団体にここで寄付できる。

参考記事

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ユーザーのコンピューターに暗号通貨の採掘マルウェアを植え付ける偽のFlashインストーラーが急増

かつて人気者だったWebのプラグインFlashが、まだなかなか死なないとお嘆きのあなた、実はそれは、あちこちに出没するFlashのインストーラーに寄生しているマルウェアも、すぐには死なないことを意味しているのだ。というよりむしろ、彼らの手口はますます陰険になっている。

Palo Alto Networksの最新の調査によると、最近急増しているFlashインストーラーは、暗号通貨を採掘するマルウェアをセキュリティの弱いコンピューターに投下するだけでなく、Flashがすでにあっても、また新たにインストールする。

研究者たちによるとそれは、本物のFlashインストーラーだと思わせるための、騙(だま)しの手段だ。

そのインストーラーを開くと、こっそりとXMRigがインプラントされる。それはオープンソースの暗号通貨採掘プログラムで、コンピューターのプロセッサーとグラフィクスカードを使って採掘を開始する。生成された通貨はすべて、Moneroのウォレットへ吸い上げられ、追跡はほぼ不可能になる。採掘マルウェアがインプラントされたら、次にインストーラーはAdobeのWebサイトから本物のFlashインストーラーをダウンロードして、Flashをインストールする。

研究者たちは今年の3月だけでも、100あまりの偽のFlashアップデーターを見つけた。

Flashという、長年バグの多い、攻撃されやすいプラグインが、今でも頭痛の種になっていることは、皮肉な現象だ。被害者候補のコンピューターにFlashがなくて、マルウェアをプッシュすることができなければ、ハッカーはそのイミテーションを使って、攻撃の足がかりにする。Flashが大きな問題になってからGoogleは、10年近く前に、Flashやその他のプラグインをサンドボックスに囲った。当時もFlashを利用するマルウェアが、蔓延していた。

でもその後、普遍的にサポートされていてFlashより使いやすいHTML5の普及とともに、Flashの利用は急速に衰退した。

Adobeは2020年に、Flashを引退させる予定だ。そのあとは、偽のFlashインストーラーも影を潜めるだろうか?

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Chrome 70ではHTTPS証明の不具合をめぐって数百もの人気サイトがアクセス不能になる

Google Chromeの次のバージョン(v70)では、多くの安全なサイトがエラーメッセージを表示して停止する。それはこのブラウザーが、一連のセキュリティ事故のあと、メジャーなHTTPS証明プロバイダー一社の、信用を外したからだ。

Chrome 70は10月16日にリリースの予定だが、2016年6月よりも前に発行された、古いSymantecの証明を使ってるサイトはブロックされるようになる。それらは、Thawte, VeriSign, Equifax, GeoTrust, RapidSSLといったレガシーなブランドの証明だ。

対策を講じる時間は1年以上もあったのに、人気サイトの多くが対応を怠っている。

セキュリティ研究家のScott Helmeによると、Alexaがランク付けした上位100万のサイトのうち、1139ものサイトが、古い証明を使っている。それらは、Citrus, SSRN, Federal Bank of India(インド国立銀行), Pantone, Tel-Aviv city government(テルアビブ市庁), Squatty Potty, Penn State Federalなどなどだ。

FerrariOne IdentitySolidworksも彼のリストに載っていたが、最近新しい証明に切り替えたので今後のダウンはない。

Chromeでコンソールを表示すると、どんなWebサイトでもチェックできる(画像提供: TechCrunch)

HTTPS証明は、コンピューターとWebサイトやアプリとの間のデータを暗号化し、公開Wi-Fiホットスポットなども含めて、誰もデータを傍受できないようにする。それだけでなく、HTTPS証明はサイトの真正性の証明にもなり、ページが誰かによって書き換えられていないことを保証する。

多くのWebサイトが証明機関から証明を入手する。それらの証明機関は、一定のルールと手続きを守ることにより、長期間、Webブラウザーから信用される。

事故が起きたりしてブラウザーの信用を失うと、その機関からの証明のすべてをブラウザーは拒否する。

Googleが昨年、Symanecの証明を認めないと宣言したのも、そのためだ。Googleなど数社が、不正な証明を発行しているとしてSymantecを非難した。さらにその後Symantecが、必要な厳しい監督もせずに、信用のない機関に証明の発行をさせていたことが分かった。そのため数千のサイトが、彼らが金を払っていた証明を破り捨て、新しい証明に切り替えて、Chrome 70の期限が過ぎたときにエラーメッセージが出ないようにした。

しかし、ブラウザーは認証機関を信用しなくなるだけでなく、新しい機関を信用することもある。

たとえば無料のHTTPS証明を提供しているLet’s Encryptは今年初めから、Apple, Google, Microsoft, Mozillaなど、メジャーなブラウザーメーカーのすべてから信用されている。この非営利機関はこれまで、3億8000万あまりの証明を発行した

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Opera TouchブラウザーがiPhoneに来た; ホームボタンのない大画面の片手操作に最適

ブラウザーの専門企業であるOperaが、その得意技で戻ってきた。その美しいデザインのブラウザーで、GoogleやAppleなどのありふれたブラウザーからシェアを奪う気だ。今週同社はその‘Opera Touch’ブラウザーをiOSに持ち込み、iPhoneのオーナーたちに標準装備のSafariブラウザーに代わるものを提供しようとしている。

このアプリは最初4月にAndroidに登場し、モバイルの上、とくにホームボタンのない大型画面のためにすでに確立されていたパラダイムの多くを踏襲していた。それらは今日の市場では、高級機の標準になりつつある。

iPhone用のOpera Touch(ここでダウンロードできる)は、片手操作用に最適化されているから、iPhone Xや最新のiPhone XS, iPhone XS Max, (今後の)iPhone XRのオーナーはとくに関心を持てるだろう。ユーザーインタフェイスはAndroidアプリと変らず便利で、タブの開閉や検索への切り替え、画面下のメニューバーからの前進後退などができる。ブックマークのもっと全体的な管理ができるといいのだが。

Opera独自の‘Flow’機能も実装されていて、これによりリンクや画像やメモなどを、“安全かつプライベートな”接続でスマートフォンからコンピューター上のOperaに渡せる。

前と同じくOperaブラウザーは広告ブロック内蔵で、暗号通貨採掘の阻止機能もある。あなたのCPUが誰かによって暗号通貨の採掘に使われてしまうのを、防ぐのだ。

全体としてこのブラウザーは、Appleの最新のホームボタンのないデバイスを持っていて、最初からあるSafariブラウザーに代わるものを探していた人なら、試す価値がある。Safariに代わるものと言えばGoogle Chromeもあるが、こいつは最近10周年でデザインを変えた。そのほかに、Mozilla, UC Web, Dolphin, Braveなどのブラウザーもある。

[関連記事: Operaが新しいモバイルブラウザーをローンチ(未訳)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleがChromeのエクステンションを安全にするために来年から制限を厳しくする

Googleが今日(米国時間10/1)、Chrome側からのエクステンションの扱い方がいくつか変わったことを発表した。中でもとくに、多くのパーミッションを要求するエクステンションへの対応が変わり、さらに、デベロッパーがChrome Web Storeで公開するエクステンションには、新たな要求が加わった。

今や公然の事実として、どんなブラウザーでも、ユーザーデータにアクセスするための仕掛けを悪者のデベロッパーが仕込むのは、エクステンションの上であることが多い。Googleは長年、ストアに並ぶ前に悪意あるエクステンションを自動的に検出する努力を積み重ねてきた。またブラウザー本体にもいくつか改良を加え、エクステンションがいたずらできないようにしてきた。今回は、これらの努力をさらに数歩前進させる。

Chrome 70からは、ユーザーが制限サイトのリストを作り、それらのサイトにはホストアクセスができないようになる。デフォルトでは、ほとんどのエクステンションが、ユーザーが訪ねるどんなWebサイトでも見たり操作したりできるから、この制限は重要だ。ホワイトリスト(無害者のリスト)はメンテナンスが困難だから、エクステンションがクリック後の現在ページにのみアクセスできるようにも指定できる。

Googleはこう説明している: “ホストのパーミッションにより、何千もの強力でクリエイティブなエクステンションのユースケースが可能になったが、それらはさまざまな誤用に導きがちだ。それらの中には、悪意的なものもあれば、意図せざるものもある。それらのエクステンションは、Webサイト上のデータを自動的に読んだり変えたりするものが多いからだ”。

Googleが“強力なパーミッション”と呼ぶものをリクエストするエクステンションはどれも、今後はより詳細なレビュープロセスを経なければならない。さらにGoogleは、リモートでホストされているコードを使うエクステンションを仔細に調べる。そのコードが、いつ変えられたか、それとも変えられてないか、分からないからだ。

パーミッションに関してGoogleは2019年に新しい仕組みを導入し、より狭いスコープのAPIにより広いパーミッションの必要性を減らし、またエクステンションに対するユーザーのコントロールを大きくして、エクステンションに対するアクセスの許可をより厳しくできるようにする。2019年からGoogleは、Chrome Web Storeのデベロッパーアカウントへのアクセスに、二要素認証を必須にする。悪者がデベロッパーのアカウントを乗っ取って、ハックされたエクステンションをストア上に公開したりできないようにする。

これらの変更はまだ数か月先だが、今日(米国時間10/1)からデベロッパーは、難読化コード(obfuscated code)の公開ができなくなる。難読化コードだから悪い、とは言えないが、デベロッパーがJavaScriptのソースコードをわかりにくくするために利用することもあり、そうするとレビューする側にとって、そのコードが一体何をしているのかわかりづらくなる。そして悪役エクステンションの70%は、難読化コードでGoogleの目をかいくぐろうとしている。Googleは、既存のエクステンションでも、難読化コードで書かれているものは90日以内にすべて削除する。

ただし、ホワイトスペースやコメントや改行を省いてコードを小さくするのは、許される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MozillaのVR用ブラウザーFirefox Realityが完成、VRがWebのふつうのコンテンツになる日も近い?

Mozillaが構想したVRファーストのWebブラウザーがついに完成し、一般消費者のダウンロードと判定を待っている。

そのFirefox Realityは、完全に仮想現実のために作られたブラウザーだ。デスクトップのFirefoxやChromeにWebVRのサポートを加える、という話は読んだことがあると思うが、Firefox RealityはVRヘッドセットの中だけで使うブラウザーだ。いろんなURLを訪ねたり、何かを検索したり、そのほか2Dや3Dのインターネットをこの新しいブラウザーの中で、マウスを使わずに閲覧できる。VRの手動コントローラーを使うだけだ。

関連記事: MozillaがFirefoxのVR/AR専用バージョンのデモを公開、Web上にまったく新しいメディアが出現か?

Firefox Realityが使えるのはOculus, Viveport, そしてDaydreamのプラットホームで、最新の単品のモバイルヘッドセットOculus GoやLenovo Mirage Soloに向けて最適化されている。

これはバージョン1.0で、まだこれから使い方をめぐる質問や問題をかき分けかき分け、前へ進まなくてはならない。なにしろVRだから、完成度が高いことが、当然追求すべきスタンダードだ。実験作ならUXの不安定も許されるかもしれないが、ユーザーにかなり奇妙なものを与えてもよい、ということにもなる。

このブラウザーの第一作は、ユーザーがコントローラー上でテキストをタイプしなくてもすむための音声検索など、クールな機能がいくつかある。

MozillaはWebVRのスタンダードに心血を注ぎ、おかげでかなりの数のVRデベロッパーたちが、このスタンダードを良く知るようになった。

VRはWebに似合うコンテンツだが、残念なことにこれまでは、仮想現実のコンテンツの多くが各プラットホームに限定されていて、それらの各サイトにユーザー登録したり、ダウンロードしたり、それをWebからでなく自機ローカルから立ち上げる、という面倒がつきまとっていた。このプラットホーム限定主義は、利益を追う企業やコンテンツを開発するデベロッパーには都合が良いかもしれないが、ユーザーにとっては、WebVR用のヘッドセットだけで、もっとシンプルなコンテンツを楽に見たいだろう。

そういう、VRの中のWebが実現するためには、多くのことを再検討しなければならない。今は当然のように、2DのWebコンテンツが圧倒的に多いけど、MozillaやGoogle、Appleなどのブラウザー提供者がもっとAR/VRに力を入れるようになり、多くの3Dモデルやライブのレンダリングが日常的に見られるようになれば、ずっとおもしろいだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Tor Projectが匿名ブラウザーTorのAndroidバージョンをリリース

匿名ブラウザーTorを作っているTor Projectが、その匿名ブラウザーのAndroidバージョンをリリースした

このリリースにより、Tor Projectが長年承認していたAndroid用のブラウザーアプリOrfoxは、2019年に閉鎖する、と言っている。両方のアプリを使うためには、Tor ProjectのプロキシアプリOrbotをダウンロードする必要がある。

Tor Projecの匿名ブラウザーは、ユーザーが見たいデータが、あちこちに分散しているリレー役を経由してやってくるから、目的のサイトから本物のユーザーを知ることができない。そのときのリレー径路の情報は、どこにも残っていない。個人化広告も位置追跡も政府の監視も、目的の本人に辿りつけない。Torがドラッグの違法取引や武器の売買に利用されることもあるが、反体制の活動家やジャーナリスト、あるいは単純に匿名でいたい人にとっての避難所だ。

このリリースの数日前には、Firefoxの2017年のQuantumブラウザーをベースとするTor Browser 8.0がリリースされた。このメジャーアップデートには、新規ユーザーの登録ページや、サポートする言語の増、ブリッジングメソッドの改良により、トルコのようにTorが禁じられている国でもブラウザーにアクセス可、などの機能が加わった。

このサービスは、匿名ブラウジングの最高水準と見なされているが、まだ脆弱性が残っているので、政府の調査官がアクセスしてユーザーを見つけることができる。Firefox Quantumを使ったことにより、Tor 8.0はどれだけ堅固になっただろうか。でもユーザーはTorを使う前に、匿名性保護のためのガイドラインを読むべきだ。

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Firefoxが近くデフォルトでトラッカー(ユーザー情報の収集)をすべてブロックする

Mozillaが今日(米国時間8/30)、そのFirefoxブラウザーがデフォルトでは自動的にすべてのクロスサイトトラッキングをブロックする、と発表した

この戦略には、3つの部分がある。まず、今ナイトリーリリースでテストしているバージョン63では、Firefoxはすべての遅いロードのトラッカー(広告に多い)をブロックする。遅いとは、ロードに5秒以上かかる、という意味だ。次にFirefox 65では、サードパーティのトラッカーからのすべてのクッキーとすべてのストレージアクセスを取り去る。そしてさらに今後は、暗号通貨の採掘をするスクリプトと、ユーザーの個人識別情報を取るトラッカーをブロックする。ただしこれらはいずれも、最初のテストの結果次第で提供が遅れることもある。

MozillaのNick Nguyenが、こう書いている: “物理的な世界では、いろんな店の何百人もの店員が店から店へとユーザーをつけ回して、見た物や買った物をスパイしたりしないだろう。でもWebでは、ユーザーがそんなことを予想しなくても、どこへ行ってもつけ回されている。それに対して、ユーザーがプライバシーのレベルを設定できるブラウザーは、まだ多くない”。

これらの新しい機能を今すぐ試したい人は、安定に達していないFirefox Nightlyリリースをインストールすればよい。それのプライバシー設定には、トラッカーをブロックする“Content Blocking”という項目がある。それを有効にすると、説明のメッセージと、‘厳しい設定にすると閲覧できなくなるサイトもある’、という警告が出る。

なお、この、トラッキングを防ぐプライバシー設定は、Firefox for iOSにはすでにある。

というか、AppleのSafariブラウザーには、すでに昨年からこのようなプライバシー機能がある。ただし、Appleが機械学習を使っているのに対してFirefoxは、従来的なブロックリストを使っている。もちろん、ねらいは同じだが。

このブロック機能は、ユーザーの選択権を奪わない。サイトが事前にユーザーに、データ収集の可否を尋ねて、ユーザーがOKしたら、そのサイトのトラッカーはブロックされない。Nguyenは書いている: “2004年にFirefoxがポップアップ広告をブロックしたときも、広告主にはユーザーに尋ねるオプションを与えた。2018年には、それと同じ考え方でユーザーに可否決定の権利を与えたい”。

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MozillaがFirefoxのユーザーデータを公表…ユーザー数は減少傾向が続く

組織としてのMozillaは、つねに透明性を擁護してきた。そして今日、同団体はそれをさらに一歩進めて、Firefoxを何人の人が定常的に使っているか、そのブラウザーをどのように使っているか、などの内部データの公開に踏み切った。

そのレポートFirefox Public Data Reportには、1年および1か月のアクティブユーザー数、一日の中でFirefoxを使用する時間、最新バージョンにアップグレードするまでの時間(日数)、アドオンをインストールしているユーザー数、人気のあるアドオン、などなどのデータがある。データは、Firefoxのユーザー数がもっとも多い10か国については国別に分類されている。

今日そのレポートに載っているデータは、1年前のものであり、今後は少なくとも週に1度はアップデートする予定だ。データを得るにあたってリアルタイムのモニタリングシステムのようなものは使っていない、とMozillaは強調するが、全数データでありながら実際には、一部のユーザー集合のデータから敷衍したものだ。あなたがFirefoxのユーザーなら、about:telemetryへ行けばMozillaに送られているデータの種類が分かる。

このデータによると、Firefoxの月間アクティブユーザー数は減少傾向で、しかもそれは意外ではない。全ユーザー数は昨年4月には3億、しかし今や約2億5000万だ、

今回Mozillaが公表したデータの種類のその一部を、下のスライドでご覧いただこう。

  1. MAU

  2. DAU

  3. Top_AddOns

  4. Seaonality


今回のレポートは、デスクトップユーザーのみだ。Mozillaによると、モバイルのユーザーからのデータ取得はやや難しいが、次のバージョンからは含めたい、という。しかしハードウェアに関するレポート(後述)は5月以降アップデートされていない。

今回のレポートの前身となるFirefoxのデータプロジェクトが、2年前のFirefox Hardware Reportで、それを見ると例えば、ユーザー機が使っているプロセッサーやグラフィクスカードなどが分かる。

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FirefoxがユーザーのWeb世界を拡張する提案機能‘Advance’エクステンションをテスト中

MozillaのFirefox Webブラウザーが今日(米国時間8/7)、Advanceと呼ばれる実験的なエクステンションを発表した。それは機械学習を利用して、ユーザーがもっと文脈的かつ直感的な広がりのあるWebサーフィンをできるようにする。このエクステンションは、Firefoxが今行っているTest Pilotプログラムの一環で(ユーザーはこれにいつでも オプトインできる)、Laserlikeの機械学習バックボーンを利用して、ユーザーのWeb閲覧習慣を理解しようとする。

その仕組みはこうだ: Test PilotでAdvanceを有効にすると、Webの閲覧はふつうにできるが、Advanceはユーザーが閲覧するサイトの種類について記録と学習を開始する。そしてその学習に基づいて、その人のWeb閲覧を補完するようなページや、その人が好きになりそうなページをサイドバーで推奨する。そしてユーザーは、Advanceが正しくないと感じたら、推奨されたページに「退屈」「的外れ」「スパム」などのフラグをつけて、エクステンションの推奨能力を鍛えていく。

この機能は同社のContext Graphイニシアチブの一部で、それは“インターネット上の次世代のWeb発見”を探求し、ユーザーのWeb世界をこれまでの日常よりも広くしようとする。そしてもちろん、Firefoxブラウザーの上で彼/彼女が過ごす時間を長くしたい。このイニシアチブの最初の機能Activity Streamは、ユーザーの閲覧履歴やブックマークの情報をより有効利用する試みで、今ではTest Pilotを卒業してFirefoxブラウザー本体に装備されている。

Advanceの導入は、最近閉鎖したStumbleUponが遺したギャップを填める試みでもある。インターネットという広大な大陸の上で途方に暮れているユーザーに16年間も、珍しいサイトやおもしろいページを紹介し続けてきたStumbleUponの仕事を、Advanceが引き継ごうというのだ。“偶然の出会い”という要素が大きかったStumbleUponと違って、Advanceにはユーザー履歴の学習に基づくお利口なオプションもあるが、インターネット上をさまようユーザーのための案内役、という点では共通している。

しかし、人生を楽にすると称する機械学習の技術が、インターネット上のWeb閲覧を助けられるためには、Advanceも、そしてバックボーンのLaserlikeも、ユーザーの閲覧履歴を大量に知る必要がある。AIが学習するためには大量のデータが必要だが、Mozillaも認めるように、個人情報の悪用や誤用への懸念も、最近のFacebookEquifaxの事故を契機として高まっている。

この不安に応えるためにAdvanceには、閲覧履歴の収集をさせないオプションや、見たら消すことをLaserlikeに求めるオプションがある。

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Firefoxが新しいロゴを制作中…ロゴというより“ロゴセット”だ

“Firefox”という言葉からは、たぶんこんなものが思い浮かぶだろう:

あるいは、これかもしれない:

小さな変化はあったけど、Firefoxのロゴは2002年のローンチ以来ずっと同じだ(上の下の図が初期のころ、参考ページ)。そろそろ変わるべきだ、とMozillaは言っている。

“evolving the Firefox brand”と題するブログ記事で、MozillaのクリエイティブディレクターTim Murrayが、同社の考え方を述べている: Firefoxは今や、一つのブラウザーではない。Firefox Rocket(低帯域用)やFirefox Reality(仮想現実用)のようなサイドプロジェクトもある現状では、デザインもその多様性を反映すべきだ。

そこで同社は、目下検討中のロゴデザインをいくつか公開したが、最終決定はまだだ。これらの原案も今後変わるだろうし、また外部からのフィードバックも期待している。あるいは、これらを捨てて白紙に戻すことも、ありえる。

というわけで、現状はまだ何も決まっていないようだが、わざと今の段階で公開したようだ。まだきわめて初期の段階だが、でも最後には、Firefoxの新しいロゴが決まるし、しかもそれは単数形(logo)ではなくて、複数形(logos)になるらしい。

候補作は二つの“システム”に分かれていて、そのそれぞれに、一つ“マスターブランド”と11のの補助的ロゴがある。マスターブランドはメインのロゴで、ブランド全体を表す。その下の補助的ロゴは、個々のプロダクトを表す。

アイコンは二つの“システム”へと編成される:

二つのシステムからどっちかを選ぶのなら、ぼくならSystem 2だね。Firefoxの今のロゴが好きだし、それが残っているので完全な置換ではなくてアップデートのようだ。System 1はFox(狐)を強調しているが、System 2はずっとFirefoxだ。

Firefoxによると、新しいロゴが決まるのは“数か月後”だ。元のロゴが好きな人も、あとしばらくは一緒にいられる。

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GoogleがChromeブラウザーを仮想現実(Daydream)対応にした…VRの新時代か?

Googleの今日(米国時間7/30)の発表によると、同社はVRプラットホームDaydreamにChromeブラウザーを持ち込み、そのヘッドセットからWebを閲覧できるようにするつもりだ。デスクトップとモバイルのChromeにおける、GoogleのWebVRの実験はもうかなり長いから、ついにそのときがきたという感じだ。

同社の発表によると、その実験が始まったのは2017年のGoogle I/Oカンファレンスからというから、確かにかなり長い。

Daydreamの大型アップデートの歩みが遅いのに対してFacebookのOculusは、新たに登場したスタンドアローンのヘッドセットを中心に、とくにモバイル方面で大きな発表が相次いだ。Daydreamは夏の初めに位置追跡機能のあるヘッドセットをLenovoと共に発表したが、コンテンツの不足がその足を引っ張っている。しかしWebの一部をDaydream対応にできたら、その問題も解消し、しかも多くのモバイルデベロッパーの関心をWebVRに向けることになるので、コンテンツの発見をもっと単純化しようとしているGoogleにとってさらに追い風が吹く。

昨年同社はWebVRのコンテンツをスマートフォン上のChromeで開き、それをCardboard(ボール紙製)ヘッドセットで見られるようにした。それによって、VRの中で何かをローンチしたり、探検したり、ほかのところへ移動したりが、できるようになった。

デスクトップのWebページをVRヘッドセットにロードできるようになったからといって、何かすごいことが起きるわけではないが、Googleが行なう最適化によって、WebVR対応ではないふつうのページでも、“シネマモード”と呼ばれる特殊効果をつけられる。ほかにも、匿名モードや音声検索、ユーザーが保存したブックマークへのアクセス、などの効果・機能がある。

[VRでWebを閲覧するとどうなるか]

そのブラウザーはLenovoのMirage Soloや、Google自身のDaydreamヘッドセットViewで利用でき、またAndroid上でChromeをアップデートしてもアクセスできる。

Webは仮想現実にとって、まだまだ未開の大陸だ。ヘッドセットは大衆的普及にはほど遠いし、最近はVRそのものがやや沈滞している。でもWebという要素が加われば、ソーシャル環境の仮想化などで面白いことができそうだし、VRに熱心な各社の中で今回Googleがブラウザーをヘッドセットに持ち込んだことは、デベロッパーの関心を再び呼び覚ますのではないだろうか。

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Operaがモバイルブラウザーに暗号通貨のウォレットを装備、決済機能も

OperaのAndroid用ブラウザーでもうすぐ、暗号通貨を保存できるようになる。そのシステムはまだベータだが、ユーザーが自分のブラウザーに暗号通貨とERC20トークンを保存でき、暗号通貨の送受をオンザフライでできる。そしてウォレットのセキュリティを、ユーザーのフォーンのバイオメトリクスやパスワードで守る。

ベータを試したい人は、ここで登録する。

この機能はCrypto Walletと呼ばれ、同社によると、これにより“Operaはメジャーなブラウザーとしては初めて、暗号通貨のウォレットを内蔵する”。この機能によりブラウザーの中で小額決済ができるようになり、他のブラウザーが同様の機能で後続するための道を拓(ひら)く。

プレスリリースより:

今日のWebは、明日の分散化したWebへのインタフェイスになる、とわれわれは信じている。そのためにわれわれは、われわれのブラウザーを、両者をつなぐ橋として選んだ。暗号通貨のウォレットを内蔵することによって、情報にアクセスするツールとしてのブラウザーの役割を刷新し拡張できると考えている。その刷新と拡張により、ブラウザー上でオンラインのトランザクションができるようになり、ユーザーのオンラインのアイデンティティを、彼らにより多くのコントロールを与える形で管理するだろう。

ウォレット間で送金できたり、Dapps(分散型アプリケーション)と対話することに加えて、これからのOperaは暗号通貨によるオンラインの決済を、商業者がそれをサポートしている場合にはサポートする。Coinbase Commerce対応の商業者への支払いを暗号通貨で行いたいユーザーには、画面に決済リクエストダイアログが表示され、ユーザーの署名を求める。それにより決済にはサイン(署名)がつき、ブラウザーから直接送信される。

この技術はまだきわめて初期的段階だが、でもメジャーなブラウザーがこの分野に参入してくるのはおもしろい光景だ。SafariやEdgeが暗号通貨をサポートするのはまだまだ先だが、Chromeをはじめオープンソースのブラウザーなら、需要さえ十分にあればこの機能をすぐにでも実装できるだろう。

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