Microsoft Edge、Chromiumベースに――旧Windowsでも作動、macOS版も登場へ

噂は事実だった。 Microsoft EdgeはオープンソースのChromiumをベースにしたブラウザに生まれ変わる。 Chromiumはその名が示唆するとおり、GoogleのChromeブラウザを動かしているプラットフォームだ。同時にMicrosoftはEdgのmacOS版を開発している。MicrosoftはEdgeをWindowsから切り離し、これまでより頻繁にアップデートを行っていくという。新しいEdgeはWindows 7、8でも作動する。

Windowsのデフォールト・ブラウザの変更にはある程度時間がかかる見込みだ。現在まだベータ版は出ていないし、一般向けプレビュー版が公開されるのは数ヶ月先になるだろう。しかし2019年中にMicrosoftの独自のレンダリング・エンジン、EdgeHTMLとChakraはBlinkV8に切り替えられる。デベロッパー向けベータ版は来年早々に発表されるものとみられる。

当然ながら細部はまだ不明だ。しかしMicrosoftがChromeとChromiumがユーザー、デベロッパー双方にとって現在のブラウザのデファクト標準だと認めたことははっきりしている。

数年前、Microsofは問題を数多く抱えたInternet Explorerを捨ててEdgeに切り替えた。Edgeの機能はモダン・ブラウザとして十分使えるものに仕上がっていたがMicrosoftも認めるとおり、互換性の問題は解決していなかった。あるサイトでEdgeの作動に問題があることは発見されるとMicrosoftはリバースエンジニアリングで問題の所在を突き止めねばならなかった。Microsoftはこうした努力に膨大なリソースを割り当てる意味がないと見きったようだ。

microsoft edge on surface

こうした互換性問題が起きる原因としてはEgdeの市場シェアが低いままだったことが大きい。サイトのデベロッパーはChrome、Firefox、Safariといった主要なブラウザについては十分にコードの作動をテストするが、下位のブラウザでのテストはおざなりになりがちだ。ウェブサイトの総数を考えれば、互換性問題を起こすサイトの数も膨大なものになるのは理解できる。

さらにものごとを複雑にしてきたのは、サイトを開発するデベロッパーの多くがMacを使っているため、Edgeが作動しないという点だ。これがますます互換性問題を悪化させた。Internet Explorer for Macを中止してから15年後にEdgeをMacに移植しても意味があるほどのシェアは獲得できないだろう。しかしMicrosoftはEdgeがMacでも動くようになればデベロッパーがEdgeでの作動を確認しやすくなるだろうと考えている。

またEdgeがWindows 10でしか作動しないのも不利な要素だったとMicrosofは認めている。EdgeはWindows 10にバンドルされており、アップデートはWindowsのアップデートの一部として行われてきた。Windowsの古いバージョンを使っている何千万ものユーザーはEdgeから取り残されていた。またWindows 10のユーザーも常に最新の状態にアップデートしているとは限らない。するとEdgeのアップデートも行われていないことになる。

善悪は別として、Chromeはブラウザの事実上の標準の地位を確立している。Microsoftはこのトレンドに逆らわないことにした。もちろんMicrosoftは逆の道、つまりEdgeHTMLとJavaScriptエンジンをオープンソースにする(一部はすでにそうなっている)こともできた。このオプションも検討されたようだが、結局のところ、実行されないことになった。Microsoftによれば、EdgeはWndows 10とあまりに密接に連携しているためオープンソース化してWindows 7やMacで作動させることは困難であり、メリットも少ないと判断されたという。Edgeのオープンソース化などは無駄足に終わった可能性が高い。これは正しい決断だったと思う。

逆にEdgeをChromiumベースにすることはオープンソース・コミュニティーにおけるMicrosoftの存在感を高めるはずだ。たとえば、Edgeの大きな強みである優れたタッチスクリーン・テクノロジーがChromiumコミュニティーに輸入される可能性も出てくる。9to5Macも報じているようにMicrosoftはGoogle、Qualcommと協力して ChromeブラウザをARMデバイス上のWindows 10でネイティブに動かすための努力を始めている。現在はエミューションを多用しているため電力消費量が大きく、作動も十分速くできていない。

MicrosoftではEdgeの互換性不足問題を過去のものにできれば、ユーザーは自ずとEdgeの機能に引き寄せられると期待している。 Windows OS、Office、Cortanaなどのプロダクトに対する親和性を高くできるし、今後は新しいサービスや機能が追加されることもあり得る。たとえば大企業内での使用に際してIT管理部門の負担を軽減するようなツールなどだ。

数日前にEdgeがリニューアルされるといいう情報が流れたとき、一部の専門家はChromiumプロジェクトが力を持ちすぎることになるという懸念を示した。

この懸念には理由があることは認めるものの、MicrosoftはどのみちEdgeのシェアは低いのでChromium化がオープンソース・コミュニティーにドラスティックな影響を与えることはないという説得力のある反論をしている。MicrosoftがChromiumコミュニティーに参加してウェブの標準化を推進する側に回り、Chromiumにイノベーションを吹き込むことになればメリットは大きいだろう。

読者の多くが現在頻繁に作動させているソフトウェアの中で、ウェブ・ブラウザはサイズ、複雑性でトップクラスのアプリケーションの一つだ。Windows 10のデフォールト・ブラウザの心臓部であるレンダリング・エンジンを一新するというのは大事件だ。Microsoftはまだ詳細を発表していないものの、同社は新しいバージョンに残すべきEdgeのテクノロジーはどれかを検討しており、そうした機能はChromiumコミュニティーに還元されることになるという。

MicrosoftはEdgeを見捨てるわけではないと強調している。Edgeが消えるわけではない。現在Edgeを利用しているユーザーは使用感がさらに快適になったと感じるだろう。まだ使っていないならChromiumベースの新しいEdgeを試してみることをMicrosoftは期待している。Microsofのこれまでの独自路線とまったく異なるオープンソースの新しいブラウザだとなれば使ってみようと考えるユーザーも多いだろう。

画像: Bryce Durbin

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滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、Chromiumベースの新ブラウザ開発中か――薄幸のEdgeは消えていく

残念ながらMicrosoft Edgeは2015の発表以来、十分な数のユーザーを集めることができなかった。Microsoftが新しい手を打たねばならないと考えても責められまい。Windows Centralの最新の記事によれば、Edgeに残された時間はほとんどないという。Microsoftは今週中にも新しいブラウザの計画を発表するかもしれない。

報道によれば、Windows 10のデフォールトとなるブラウザに関してMicrosoftはGoogleの助けを得ることになる。 MicrosoftはEdgeと同時にそのEdgeHTMLレンダリング・エンジンを放棄し、新ブラウザではChromiumを採用するという。

いまのところ、新ブラウザは開発の初期段階にあり、部内コード名はAnaheimだという。IEの後継のそのまた後継となるわけだが、願わくばEdgeより信頼性が高いものであってもらいたいものだ。Chromiumの採用が事実であれば、Edgeの普及の障害になっていた安定性や互換性に関する問題はかなり解決されるだろう。ARMチップのWindowsマシンでの動作にも好影響を与えるはずだ。

Chromiumをレンダリング・エンジンに採用した新ブラウザは柔軟性が高く高機能になるはずだ。もしMicrosoftがWindows 10の縮小版ではなく本気でChromebookの対抗製品を出すつもりならこの新ブラウザがベースとなるはずだ。Microsoftの新ブラウザがEdgeブランドを継承するのか、またGoogle Chromeとどう違うのかといった点は現段階では情報がない。

いずれにせよMicrosoftがブラウザのシェア争いに復帰するには思い切った手段が必要だろう。最近のstatcounterの調査によれば、Google Chromeは世界のブラウザ市場の6割を押さえている。

〔日本版〕statcounterの統計によればIEのシェアは2.8%。これは5位Operaを下回る6位、Samsung Internetが7位、Edgeは8位だった。

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滑川海彦@Facebook Google+

Chrome、誕生10周年でメジャーアップデート――v69ではタブが角丸になり、検索対象も拡大

GoogleがChromeをリリースしてから10年経った。当時Googleの新しいブラウザは福音だった。Firefoxは重くなる一方でMicrosoftのIEは、つまりIEだった。マイナーなブラウザは多数出ていたが(おそらくOperaを例外として)どれ一つとして意味あるシェアを獲得することができなかった。そこにGoogleが軽快なモダン・ブラウザとして登場したわけだ。

その後10年経ち、今やGoogleは既成勢力となり、Chromeは挑戦を受ける立場だ。これにはFirefoxの復活のようなテクノロジー上の要素もあるし、大きくなりすぎ、強力になりすぎたGoogleに対する反感も後押ししている。しかしこれもGoogleがChromeの10周年を祝う大きな妨げにはなっていない。今日(米国時間)、Googleはすでにプレビュー版が広く用いられていたChrome(v69)を安定版としてリリースした。単にデザインが変わっただけではなく、オムニボックスを始め、Chriomneを特徴づける各種のパーツも改善されている。

読者がブラウザに関する情報に詳しければ新しいデザインに違和感は少ないだろう。いつものとおり、Googleは安定版のアップデートに先立って各種のチャンネルを通じて公開ベータテストを行ってきた。.またベータ版を利用していなかったとしてもChromeは見間違えるほど変わってはいない。

新Chromeのユーザー・インターフェイスは、デスクトップ、モバイルのすべてのプラットフォームでGoogleのMaterial Design 2ガイドラインに従ったデザインとなっている。タブは角丸になり、動作には控え目なアニメーションが加えられているなど、スマートでモダンなデザインだ。またカラースキームやアイコンも新しくなった。

Chromeの機能面では、パスワード・マネージャーが改良されており、ログインが必要なサイトでは自動的に強いパスワードを生成し保存してくれる。また配送先住所やクレジットカード情報などをそのつど聞いてくるしつこいサイトに対応して自動補完能力も改善されている。

しかしいちばん重要な改良はオムニボックス(URLや検索語句を入力する窓)に関するものだろう。新しいオムニボックス検索ではユーザーが開いている(開こうとしている)タブやGoogleドライブ内のファイルも検索対象になる。

また新しいChromeではタブごとにページの背景の色を変えたり、ショートカットを作成したりできる。

プロダクト・マネージメント担バイスプレジデントのRahul Roy-ChowdhuryはChromeの将来の方向について、「開発チームはAIベースの機能を付加しようと努力している」と述べた。

Chowdhuryは「Chromeがいっそう賢くなれば、単にウェブページを閲覧する以上のことができる。たとえば今聞いた歌の歌手を検索するところを考えてみよう。
Chromeは歌手の経歴を表示するばかりでなく、ユーザーの住む地域で近々開催されるコンサートやそのチケットの購入方法も教えてくれる。AIを利用すればChromeはユーザーが何を求めているか、何をしようとしようとしているか、より正確に判断できるようになる。しかも処理速度もアップする」と書いている。

言うまでもなくこれはMicrosoftもEdgeブラウザとCortanaの統合によって実現しようとしている目標だ。 私自身はいつもEdgeを使っているわけではないが、ブラウザへのAIの組み込みの効果には驚かされることが多い。たとえば付近のレストランを検索すると自動的に関連情報も表示される。GoogleがAIをどのように利用するのか興味が持たれる。

Roy-ChowdhuryはまたAR(拡張現実)機能の充実も準備中だと述べた。残念ながらこの種のテクノロジーは記事では素晴らしく聞こえるが、実装されてみると失望させられることが多い。しかしGoogleではこれはギミックではなく本当に役立つものになると期待しているようだ。どういうことになるのか、ライブで試せる日が楽しみだ。

〔日本版〕日本向けバージョンも公開中。タブが角丸になっているのが特徴。メニューから「Google Chromeについて」を開き、バージョン番号が69で始まっていればアップデートずみ。

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Firefoxの実験プロジェクトに二つのタブを横並びに表示できる機能が登場、テーマエディターも

最近のアップデートで性能をアップしたMozillaのFirefoxは、GoogleのChromeなどと並んでブラウザーのシェア競争の最前線に復帰した。そのFirefoxの最大の特長がたぶん、つねに何かの実験に挑戦していることだ。近年、Mozillaはそれらの実験の多くをそのTest Pilotプログラムで取り上げ、そして今日は、そのプロジェクトから二つの新しい機能をローンチした。それらは、Firefox ColorとSide Viewだ。

Firefox Colorはその名のとおりの機能で、基本的にはテーマエディターだ。ユーザーがブラウザーの色を指定したり、背景のテクスチャを選んだりできる。

とくにすごい機能でもないが、Firefoxは前からカスタマイズには熱心で、これもユーザーによるブラウザーのカスタマイズ能力をさらに充実させる。ぼくの場合は、Firefoxのテーマにいろいろ凝った挙句に結局デフォルトに戻る、というパターンだったが、そうでない人はFirefox Colorを十分楽しめるだろう。

でも、もうひとつの実験Side Viewは、なかなかすごいし、役に立つ。最近の、画面が横長のモニタを使ってる人ならとくに便利だろうと思うが、二つのタブの画面をブラウザーをもうひとつ開かずに、一つのブラウザー画面に横並びに表示できるのだ。新しくできた[Side View]ボタンをクリックして、オープンしたい第二のタブを選ぶ、それだけだ。最初に開いていたタブをもっと自由にドラッグできるとさらに便利だが、今後の進化に期待しよう。

Test Pilotで試した実験のすべてが今後のFirefoxに実装されるわけではないけど、最近ではブラウザーのスクリーンショットコンテナアクティビティストリームなどがFirefoxに本番実装された。今回の二つのうち、Side Viewはぜひ採用してほしいね。

二つの実験はここで試せる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MozillaがFirefoxのVR/AR専用バージョンのデモを公開、Web上にまったく新しいメディアが出現か?

インターネットの次の挑戦課題は混成現実(mixed reality)だ、とMozillaは予想している。そこで同社は今日、ヘッドセット専用のブラウザー“Firefox Reality”を披露した。Mozillaはこれまで、A-FrameとかWebVR/WebARといったスタンダードを作ることによってこの動きにとても重要な貢献をしているから、それもとくに意外ではない。

Mozillaがこの、クロスプラットホームでオープンソースなプロジェクトに注力していることは、これまでそれぞれ独自の方法で従来的なWebのコンテンツにアクセスしていたヘッドセットメーカーたちにとって歓迎すべき変化のはずだ。

Firefox Realityはまだ主流的メディアに採用されるほどの完成度ではないが、チームはとりあえず短いデモを公開した(上のビデオ)。

このデモはブラウザー上の仮想現実としてそれほどの説得力はないと思うけど、VRをWebで体験することに伴う大きな問題が反映されている。Webという2Dの世界に、なぜVRを持ち込むのか? わざわざヘッドセットのユーザーのためにコンテンツを3D化することに、どれだけの投資価値があるのか?

結局のところこのようなブラウザーは、本誌TechCrunchのような既存のサイトがそのコンテンツを仮想化しておもしろくするためにあるのではなくて、Webの上にまったく新しいユーザー体験を作りだすためにあるのだ。やや長めの短期としては、それはゲームだろう。しかしFirefoxのブログ記事は分野を特定せず、どこから始めてもいい、と言っている。“これは、エキサイティングな新しいプラットホームでまったく新しい体験を提供していく、私たちの長期的なプランの第一歩だ”、とその記事は言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chromeの暗号通貨マイニング拡張機能は全面禁止――Google、Chrome Web Storeの規約改定

今日(米国時間4/2)、GoogleはChrome Web Storeで暗号通貨マイニングを行うブラウザ拡張機能(エクステンション)を公開することを全面的に禁止すると発表した。

ブラウザを利用して暗号通貨マイニングを行うことは手っ取り早く金持ちになる方法とはいえない。しかし運用者がデベロッパーで、何千台ものマシンに密かにアクセスできるなら話は別だ。GoogleのChrome Web Storeではこれまで長い間、暗号通貨マイニングを目的とする拡張機能の公開をを許していた。しかしChrome Web Storeに登録できる拡張機能は単一の機能の実行を目的とし、かつその目的を明示したものなければならない。

ところが暗号通貨マイニングを実行する拡張機能の90%はこのルールに従っていなかった。金持ちになれるという誘惑はあまりに大きく、一部のデベロッパーは一見まともと見える拡張機能にマイニングのスクリプトを紛れこませていた。こういう拡張機能は発見されて即座にストアから削除されることもあれば、首尾よくストアで公開されることもあった。マイニング機能はバックグラウンドで動作し、勝手にCPUパワーを大量に使う〔下図〕。こうした拡張機能はユーザーによって個別に削除される必要があった。当然ながらGoogleはユーザー体験を悪化させるこうした拡張機能を快く思っていなかった。

そこでChrome Web Storeでは暗号通貨マイニングを行う拡張機能の新規登録が今日から禁止され、既存の拡張機能についても6月以降削除されることになった。ただしブロックチェーン関連であってもマイニングを行わない拡張機能は引き続き許可される。

Chromeの拡張機能プラットフォームのプロダクト・マネージャー、James Wagnerは、ブログに「Chromeの拡張機能プラットフォームはデベロッパーが各種の有用な拡張機能を開発することを可能にし、ユーザーにとってChromeの価値を高めるために大いに貢献してきた。残念ながら、これまでこの機能が悪意あるソフトウェアを開発するデベロッパーを引き寄せ、ユーザーを不当に利用することを可能にしていた。今回の措置はChromeユーザーが知らないうちにリスクにさらされることを防ぎ、安心して拡張機能を利用できるようにするわれわれの努力の一環だ」と書いている。

画像:matejmo

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Firefoxであの迷惑な通知リクエストをブロックできるようになった

最近はどのサイトも、プッシュ通知の受信を迫る。それはオープンなWeb上のちょっとした迷惑だが、でも嬉しいことに、Firefoxのユーザーならあのポップアップを出ないようにできる。デスクトップ向けのFirefox 59では、Webサイトに、通知の送信を求めることを、やめさせることができる。

この同じ設定ダイアログ(下図)で、Webサイトがユーザーのデバイスのカメラやマイクロフォンや位置情報へのアクセスを求めることも、やめさせられる。ただし、ブラウザーを使用するビデオ会議にように、カメラやマイクが必要なWebアプリケーションもある。また、一部の地図アプリは、ユーザーの位置を知る必要があるだろう。しかしプッシュ通知だけは、たいていの人が、どこからの通知でもいいから欲しい、とは思わない。

今のところ、この新しい設定は設定メニューの中にやや埋もれている。見つけるためには、FirefoxのOptionsメニューからPermissions > Notification Settings > Blockへ行き、通知許可を求める今後のリクエストをブロックする。〔v58でも、個々のサイトごとに通知(やカメラなど)を不許可にすることはできる。〕

多くのサイトは、Webのスタンダードを利用してプッシュ通知を送り、これらの通知リクエストをポップアップしている。しかし一部のサイトはHTML5のオーバレイ機能を利用して通知をリクエストするから、いろんな用途のあるオーバレイを一律にブロックすることはできない。ただしMozillaは今、この問題の対策にも取り組んでいるそうだ。

最近の数か月でFirefoxはメジャーなアップデートがいくつかあったが、今回のv59は相対的にマイナーだ。そのほかの新しい機能としては、Macにおけるグラフィクスのレンダリング(描画)の高速化、FirefoxのHomeページの改良、アノテーションやスクリーンショット、ペンやタッチによる入力機能の改良などがある。Private Browsing Modeにもやや改良があり、リファラ(リンク元)のパス情報が削除される。これにより、ユーザーを追跡することがやや難しくなる。

Firefoxは遅くて面倒、と思ってこのところ使ってなかった人も、今なら試してみる価値がある。今のFirefoxは、あなたが知っていたFirefoxとは違う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Samsungがデータ節約型モバイルブラウザーOpera Maxを閉鎖の瀬戸際で救う

Opera Maxは、Samsungがこのモバイルブラウザーを買収したため、消滅を免れた。

このブラウザーは、初期のいわゆるデータフレンドリーなモバイルブラウザーのひとつで、のちにプライバシーのための設定が加わった。たとえばそれは、安全でないWi-Fi接続に対する防御やVPNだ。人気は高く、50万以上インストールされたが、しかしそれでも、中国企業のコンソーシアムに買収されたOperaは昨年、その閉鎖を発表した

当時の発表声明はこうだった: “Operaはこのたび、Opera Maxの開発中止を決定した。このプロダクトの価値命題は弊社のブラウザープロダクトと大きく異なり、Operaにとって別のフォーカスを表していた。したがってこれからの弊社は、弊社のブラウザーと、今後のそのほかのサービスに注力していく”。

そこにSamsungが登場し、今日(米国時間2/23)、同社がそのサービスを拾い上げ、名前を“Samsung Max”にする、と発表した。— VentureBeatの特ダネ記事だ。

Samsung Max for Androidのスクリーンショット

Opera Maxのユーザーはアップデートにより、Samsungのバージョンに移行する。そのほかのユーザーはAndroidのアプリを入手したり、Galaxy Appsのストアへ行けばよい。ただし残念なことに、Androidアプリとは言っても前のOpera Maxと違って、Samsungのスマートフォンでしか使えない。

またAmazonは、新興市場向けにはデバイスへのプリロードを計画している。それらは、アルゼンチン、ブラジル、インドネシア、メキシコ、ナイジェリア、南アフリカ、タイ、そしてベトナムの市場だ。

Samsung R&D Institute IndiaのVP Seounghoon Ohは、声明の中でこう述べている: “Samsungで私たちは、すべてのデバイスで、全体的なデータ節約とプライバシー保護にコミットしてきた。そのために今回私たちは、弊社のミッドレンジのデバイスに独自のユニークなサービスとしてSamsung Maxを導入し、スマートフォン市場でSamusungのデバイスを優位に立たせようとしている”。

SamsungがOpera Maxの買収にいくら払ったのかは、明らかでない(買収なのかも)。しかし閉鎖に追い込まれていた製品だから、高い買い物ではなかっただろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chromeの広告ブロッカーはこう作動する――いよいよ明日からビルトインされる

Chromeのビルトイン広告ブロッカーはいよいよ明日から作動し始める。 GoogleがChromeに内蔵で自動的に作動する広告ブロッカーを導入するのはこれが始めてだ。一部のオンライン・パブリッシャーや広告主には恐慌を来しているものもいるが、ほとんどのユーザーはそもそも新機能に気づかなかい可能性が高い。

まず重要なのは、ビルトイン広告ブロッカーはAdBlock PlusuBlock Originのようなアドオンの代わりになるものではないという点だ。これはChromeからもっとも目障りな広告を除去しようとするGoogleの努力の一環だ。つまりすべての広告をブロックするのではなく、オンライン広告の改善を目指す業界団体、Coalition for Better Adsのガイドラインに従わない広告をブロックする。

また、あるサイトがガイドラインに反する広告を掲載しているとGoogleが判断した場合、そのサイトでは問題の広告だけでなくすべての広告がブロックされ、表示されなくなる。たとえば、コンテンツを表示する前に掲出されるカウントダウン表示つきプレスティシャル広告音が出るビデオを自動再生する広告などの不快な広告がターゲットとなる。

以下はChromeの新しい広告ブロッカーの対象になる可能性がある広告の例だ。

訪問したサイトでChromeが広告をブロックした場合、小さいポップアップが現れる(ポップアップ広告をブロックしたことを知らせるためにポップアップが現れるというのは…?)。このときユーザーは広告ブロックを解除して広告を見ることもできる

この広告ブロッカーにはコミュニティーによってキュレーションされるEasyListフィルターのルールが用いられている。Googleはこのリストに多少の変更を加えているが、自社の広告ネットワークからの広告を除外していない。つまりAdSenseとDoubleClickからの広告であっても、ルールに反している場合はブロックされる。

広告ブロックによって表示のパフォーマンスは若干アップするかもしれない。もちろんこれは広告ブロックの目的ではないが、Googleによれば副次的にそういう効果もあるかもしれないという。初期の広告ブロッカーの中にはメモリー消費量が大きくパフォーマンスを低下させるケースがあった。Googleによれば「広告ブロックのリストを保持するために多少のメモリーを使用するが、たとえモバイル・デバイス上のChormeであっても影響は無視できる程度だ」という。

ただしCoalition for Better Adsが主として対象とするのは北米と西欧のサイトだ。またChromeに広告ブロッカーが最初に導入されるのもこれらの地域だという。ただし Googleでは個々のユーザーの居住地によってサイトの広告表示を変えることはしないという。たとえば、インドのサイトではまだ広告ブロックが実施されていなくても、インドのユーザーがドイツのサイトを訪問した場合、そのサイトの広告がガイドラインに違反していれば、広告はブロックされる。

GoogleのChromeウェブプラットフォーム担当プロダクト・マネージャーのRyan Schoenが私に語ったところでは、ガイドラインに違反していたパブリッシャーの42%はすでに広告手法を変更したという。しかしもちろん残りの58%はGoogleの警告にもかかわらず何の対策も講じていないということでもある。しかしSchoenは「ひとたび〔広告ブロックが実施されて〕その影響が明らかになれば、彼らも広告手法を変えるだろう」と述べた。広告ブロッカーというのはブラウザーの拡張機能の中でももっとも人気があるジャンルだが、ブラウザーそのものにはプレインストールはされていなかった。今回Googleが有無を言わさずすべての違反広告をブロックすることになるのは相当のインパクトをもたらすだろう。

すべての違反広告だけでなく、サイトの広告すべてをブロックするのは厳しすぎるという議論もある。しかしSchoenは「現実的に効果のある方法はこれしかない」という。Googleはパブリッシャーに表示する広告に責任をもたせ、適切に管理させようとしている。Googleでは最終的に重要なのはサイトを訪れて広告に反応するユーザーであり、サイトのオーナーはこの関係に責任を持つべきだと考えている。

現在予想されるところでは、新しい広告ブロッカーによってブロックされるのは全広告の1%以下のようだ。安堵のため息をつくパブリッシャーもいるだろうし、右往左往するものもいるだろう、しかし長期的にみて、この動きはユーザーにとっては朗報というしかない。

画像: Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleがChromeの今のペアレンタルコントロールを閉鎖して年内に新しい機能を立ち上げ

GoogleはChromeブラウザー用の新しいペアレンタルコントロールを準備中だ。現在のシステムは親子以外のそのほかの規制も含む“Chrome Supervised Users”と呼ばれる機能で、これは近く閉鎖される。この機能の現在のユーザーには、今週中にシステム切り替えを通知するメールが行く。

Chrome Supervised Usersがベータでローンチしたのは2013年で、特定のWebサイトへのアクセスをブロックしたり、SafeSearch機能で検索結果をフィルタしたり、訪問したWebサイトの履歴を保存したりできた。

ユーザーに送ったメールでGoogleは、その機能が今や非推奨だ、と言っている:

“Chrome Supervised Usersをベータでローンチした4年前に比べると、Chromeも、そしてコンピューター機器の使い方も大きく進化した。私たちもこの4年間に多くを学び、ユーザー自身やそのご子弟のユーザー体験の改善を求めるフィードバックもいただいた。そのフィードバックに基づいて今私たちは、家族のニーズに応えるChrome OSの新しい監督機能を作っており、本年後半のローンチを予定している。”

2018年1月12日(金曜日)よりユーザーは、監督対象ユーザーを新たに作ったり、インポートすることができなくなる。ただしChromebook, Windows, Mac, およびLinux上では既存のChrome Supervised Usersの利用は継続できる。

そして2018年1月15日には、chrome.com/manageによるリモート監督が使えなくなる。それにより、子どもたちなどの現在の閲覧制限を変えることはできなくなる。

メールはさらに、Family Linkによるペアレンタルコントロールを紹介している。9月に一般公開でローンチしたこのサービスでは、親が子どものGoogleアカウントを作り、Chrome for Androidの閲覧履歴を管理できる。

つまりそれはモバイルのみの機能だが、Chrome Supervised Usersはデスクトップが対象だった。

2018年の後半に登場する新しいペアレンタルコントロール機能は、Family Linkをデスクトップに拡張したものかもしれない。それについてメールは何も言っていないけど。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Operaのニューバージョンはユーザーのマシンで勝手に暗号通貨がマイニングされるのを防ぐ

Operaブラウザーが今日(米国時間1/3)、そのデスクトップブラウザーのバージョン50に達した。お祝いのケーキは小さなカップケーキすらないけど、でもこの最新リリースには、このブラウザーを使って暗号通貨のマイニングすることは誰にもできない、という新しいセキュリティ機能がある。

ブラウザーとJavaScriptは、コインをマイニングする効率的な方法ではないが、しかしブラウザーのユーザー数は圧倒的に多いから得られる量はすごい。しかもあなたのコンピューターとブラウザーを利用する犯人自身は、電気代ゼロだ。でも多くの場合、そうやってマイニングされるMoneroなどのコインはきわめてCPU集約的なアルゴリズムを使うので、CPUが、本来ならGPUを使うような方法と競争することになる。また、報道によると、北朝鮮のハッキング部隊はときどき、ハイジャックしたマシンを使ってコインをマイニングするそうだ。

なお、ChromeFirefoxの拡張機能にも、同様の機能がある。Operaの新しいcryptojacking対策機能は、ユーザーがブラウザーの広告ブロック機能をonにすると、自動的に有効になる。

OperaのデスクトップブラウザーのトップKrystian Kolondraはこう語る: “暗号通貨は好きだが、Webサイトが人のコンピューターを無断で使ってコインをマイニングすることは許されない。Opera 50では、人びとが自分のコンピューターのコントロールを取り戻すためのシンプルな方法を提供して、2018年の良いスタートを切りたい”。

Operaは、暗号通貨をどれぐらい好きなのか? Bitcoin, Ethereum, Bitcoin Cash, それにLitecoin用の通貨両替機能を、わざわざブラウザーに実装したぐらいだもんねー。

Opera 50のそのほかの新しい機能は、Chromecastのビデオストリーミングをサポートしたこと、そしてOculus Riftのユーザーがそのヘッドセットで360度ビデオを楽しめるVRプレーヤーを内蔵したことだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ブロックチェーン活用のブラウザ「Brave」、ユーザーがサイトにチップする機能を提供

ブロックチェーンを基盤とするブラウザを制作するBraveは、今年の初めイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で3500万ドルを調達した。そのBraveが今回、新しい方法でパブリッシャーに報酬を提供するエコシステムの確立に向け、一歩を踏み出した。

Braveの特徴の1つは、独自の通貨であるBAT(Basic Attention Token)を使い、従来のオンラインパブリッシングにおける資金の流れを大きく変えようとしている点だ。Braveはブラウザを使用するユーザーに対して報酬を与え、同時に目障りな広告を抑制し、より関連性の高い広告を促進する。もう1つのBraveの特徴は、読者がBATを使って、アクセスするウェブサイトのコンテンツ製作者に対し、報酬を提供できるようにすることだ。

今回のBraveの取り組みは、そのような施策だ。Braveは、合計30万BATトークン(約6万ドル相当)を今後30日間でユーザーに提供する。ユーザーは通常Braveを使用することでトークンを獲得する。しかし、今回のプロモーションでは追加のクレジットがユーザーのウォレットに配布され、ユーザーはそのクレジットをパブリッシャーやYouTubeチャンネルの運営者らに直接提供することができる。

Braveは月間100万人のユーザーを持ち、パブリッシャーには1100以上のウェブサイトと600以上のYouTubeチャンネルがあるという。この数字を考慮すると、これはかなり大きな動きと言えよう。YouTubeは先月Braveに加わった

トークンを提供する通知

今後30日間(もしくは割り当てられたトークンの配布が終了するまで)で、ユーザーは最大5ドル相当のBATを獲得し、Braveウォレットに追加される。ウォレット残高は、ウェブサイトで費やした時間に基づき、訪問したウェブサイトに対する「チップ」として使用できる。

デフォルトでは、Braveのユーザーが同社公認のウェブサイトやYouTubeチャンネルを閲覧した時間に基づき、チップを付与する。この設定を変えることも可能で、ユーザーは好きなウェブサイトにチップを多く割り当てることができる。

Brave Paymentsのデフォルト設定では、同社公認のウェブサイトで費やされた時間に基づき、ウォレットが配分される。

Braveはこの施策で、ユーザーのウォレット残高を底上げする。これによりユーザーはコンテンツ制作者により多くチップを提供することができるようになる。コンテンツ製作者は得たBATを法定通貨に換金できる。

「これは、公平な取引に向けてユーザーを支え、有害な中間業者を排除するために必要な多くの段階の1つだ」。Mozilla前CEOで現在BraveのCEOを務めるBrendan Eichは、声明の中でTechCrunchにそう述べた。

「我々は、善意の貢献からユーザー助成金、そして広告収入の大半をユーザーと共有するプライベート広告へと移行しており、外部関係者(Braveを含む)によるターゲット設定や追跡は行わない」とBrendanは付け加えた。

その他多くのICOプロジェクトとは異なり、Braveはブラウザというプロダクトを提供することができている。しかし、プロジェクトの全面的な展開には時間がかかるだろう。支払いのオプションやYouTubeは2ヶ月前に追加されたばかりだ。だがBraveは、トークンの販売を通して資金調達を行った多くのプロジェクトよりは進んだ段階にある。

ICOに先立ち、Braveは通常のベンチャーキャピタルからの投資により600万ドルを調達している。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / LinkedIn / Facebook

Firefox、 軽量高速のQuantumブラウザ公開――Chromeに対して巻き返しを狙う

この5年ほどブラウザ戦争でFirefoxの旗色は悪かった。市場シェアでChromeがこのMozilla製ブラウザを追い越したのは2011年後半だ。StatCounterによればChromeのシェアは現在55%前後だ。しかし 苦闘の末、Mozillaは復活を目指している。そのカギになるのが新しいQuantumブラウザだ。これが他のブラウザからFirefoxへユーザーを呼び戻すことが期待されている。

今日(米国時間11/14)、2か月間のベータテストを経て、Firefoxのv57安定版が公開された。57というバージョン番号は有名な食品会社を思いださせるが、Mozilla財団によれば、最新ビルドは Windowsで作動させたとき、ライバルに比べてメモリ使用量が30%少ないという。

Mozillaチームはまったく新しいエンジンを作ったためSurfaceノートでのベンチマークによれば、最近公開されたFirefox 52(月日が経つのは速い)に比べても2倍のスピードだ。またタブの切り替えもスムーズで快適になった。新しいブラウザには Photonと呼ばれるUIが搭載されている。デザインはミニマリスト的で非常にシンプルだ。これはモバイル・デバイスでのブラウジングにおける快適さを狙ったのだろう。

これに加えて「後で読む」やブラウジング履歴から判断された記事のオススメなど多彩な機能が搭載されている。

Mozillaの上級バイス・プレジデント、Mark Mayoはブログ記事で、「われわれは現在市場にあるディスプレイを詳しく検討し、どんな環境でも美しく表示されるように努力した。新しいバージョンはユーザーがどんなデバイスを利用していても常にFirefoxらしく快適に表示される。われわれのデザイン・チームはFirefoxを単に現在の各種デバイスに対応させただけでなく、将来の拡張にもスケールできるようにした」と述べている。

これらはすべて正しい方向に向けた動きだ。最初のFirefoxが2004年に登場したときには革命的と感じられたものだ。しかしその後余計な機能を削ぎ落としてできるかぎり高速化したChromeとSafariが市場の主導権を奪う一方でFirefoxのシェアは大きく低下した。

一度離れたユーザーを取り戻す(あるいは今となっては初めて使うユーザーも多いだろう)というのは全く別の話になる。それにブラウザのように毎日使うツールに変化を持ち込むのも大変な作業だ。だが興味あるユーザーはWindows、Mac、Linuxを試してみることができるようになった。ほぼ同様のデザインのiOS版、Android版もすぐに公開される。

画像: Johnathan Nightingale/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

〔日本版〕Firefox Quantumのダウンロードはこちらから。インストール時にワンタッチでChrome他主要ブラウザからブックマーク、設定をインポートできる。右上隅のアイコンは右からメニュー、サイドバー表示、履歴となっている。サイドバー表示アイコンをクリックするとインポートされたブックマークがサイドバーに表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AR/VRのWeb上の標準的なサポートとは?…Mozillaがそれを独自のJSライブラリWebXRで実験中

現時点ではVRやARの有用性を疑問視する声もあるが、開発とデプロイをもっと容易にしろ、という意見では全員が一致するだろう。とくに問題なのが、Web上だ。そこでMozillaは、総合的なフレームワークに取り組むことによってデベロッパーに、ユーザーが選んだ(多様な)混成現実のプラットホームにアクセスするための、標準的でドキュメンテーションの充実したツールを提供しようとしている。

Web上では基本的に何でも、デスクトップブラウザーとモバイルの両方に容易にデプロイしようとすると、難しくなる。これにVRやARのヘッドセットなど混成現実の要素が加わると、さらに難しい。だからWeb上でVR/ARが本格化するためには、容易なデプロイが必須条件だ。

Mozillaは以前、Googleなどと共にWebVR APIを作った。それにより昨年は、ブラウザーが面倒なプラグインなしでVR体験を提供することができた。上述の‘総合的なフレームワーク’仮称WebXRは、そのAPIの拡張で、WebVRに拡張現実(AR)の要素を加える。だからここでは、‘総合的’とは‘混成’という意味だ。

つまり、AR/VRのいろんな概念、たとえばオブジェクトのアンカーリングなどの実装が、ARCore, ARKit, Hololensなどプラットホームごとに異なっていても対応できる共通言語を作ろう、というのだ。けっこう、たいへんな仕事である。今回Googleはパートナーしていないが、しかしMozillaのこの仕事は、ほかの企業の既存のデモに対する補完および互換性をねらっている。

Mozillaの主席研究サイエンティストBlair MacIntyreは、こう説明する: “WebでARをどうやって実装するか、前にGoogleの連中と話し合ったことがある。そのときは彼らがWebARでやった実装例に対するフィードバックを彼らに見てもらったが、そのときの経験から、今作っているJavaScriptのライブラリWebXRは、彼らのアプリでも使えて、また一般的にデベロッパーが自由に自分の好きなアプリで、これらのWeb上の新しい技術〔AR+VR on Web〕を実験できるものでなければならない、と思っている”。

WebVRを完全にリプレースするものではないが、今後のことはまだ分からないから、そのスタンダードでARの実装が相当変わったりしたら、その実用性が危ういのではないか。

MacIntyreはこう語る: “長期的には、WebVRが進化してARもできるようになることが、最良の結果かもしれない。それほど大きな変更にはならないし、APIはそのままWebVRと呼ばれるだろう。あるいはコミュニティが、もっと広範な抜本的な変化を望めば、それがWebXRあるいはWebMRと呼ばれるかもしれない”。

というわけで現状のそれは、本格的な提案というより、デベロッパーたちによる自発的な実験だ。それはデスクトップのFirefoxをサポートしており、iOSのApp StoreにはWebXR Viewerがある。それらを試してもよいが、でもデベロッパー以外の人は単純に待つべきかもしれない。

提案および、わずかばかりの実験は、GitHubでチェックできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Firefoxにもう一度チャンスを与えるべきときが来た…v57はMozillaの最高の自信作

あなたもぼくみたいな人なら、デフォルトのブラウザーを何年も前にChromeに替えて、それきりだろう。そしてその前にはきっと、Firefoxや、あの悪名高きInternet Explorerを使っていただろう。当時のChromeの強みは、そのスピードと単純性だった…対照的にFirefoxは、アップデートを重ねるたびに遅くて鈍重になっていた。でも、時代は変わった。今は、Firefoxにもう一回チャンスを与えるべきときだ。

今週の初めに、Firefoxを支える非営利団体Mozillaが、Firefox 57の最初のベータをローンチした。重要なニュースとは思えないかもしれないが、実はバージョン57は近年ではいちばん重要なFirefoxのリリースだ。それは、ユーザーには見えない部分の多くの可動部品を何年もかけてチューンナップしてきた成果であり、それによりGmailの受信トレイやYouTubeまたの名‘猫のフォーラム’が、一瞬でさっと表示されるようになった。Mozillaは今回のリリースの重要性を強調するために、このバージョンを“Firefox Quantum”と呼んでいる。

誰もが知ってるようにMozillaは、さまざまな実を結ばないプロジェクトに大量の時間と労力を浪費してきた。モバイルのOSも作ったし、IoTサービスや、ブラウザー内蔵のビデオチャットなども作った。内部的なもめごともあったし、その回復には時間がかかった。でも、こんなことを長々と取り上げても意味がない。重要なのは、Mozillaがやっと自分のツボを見つけて、再び集中できるようになったことだ。そしてその効果が、現れ始めている。

最近の数年間Mozillaの技術者たちは二つのプロジェクト〔エンジンとインタフェイス〕に心血を注ぎ、そしてついに、その成果が見えてきた。それには予想外に、というか必然的に、長い時間を要したが、このQuantumリリースによってMozillaは再び、インストールする価値のあるブラウザーを提供しようとしている。

Quantumに見られるアップデートの多くは、Mozillaの実験的なブラウザーエンジンServoに由来している。Servoは独立のプロジェクトとしてはリリースされず、あくまでも未来のFirefoxを育てる培養器だった。そのエンジンは、Mozillaがまさにこのようなユースケースのために作ったプログラミング言語Rustで書かれている。〔Rust参考記事

そのためFirefox Quantumは、マルチコアのCPUをフルに利用でき、それはとくにCSSエンジンで威力を発揮する。そもそもWebページの表示が速いことはほぼイコール、CSSのレンダリングが高速であることだ。またそれによってメモリの使用量も少なくなり、スピードアップに貢献している。実際にメモリの使用量がChromeよりも少ない場合が、多いそうだ。

このリリースで、インタフェイスも新しくなった。たとえば、角の丸いタブはなくなった。新しいインタフェイスは、スピードと単純性を重視している。これまでのバージョンと同じく、インタフェイスのカスタマイズは可能だが、今度のインタフェイスは高密度の画面でも見栄えが良く、タッチスクリーンのあるラップトップでも反応が良い。

Pocketのサポートは継続するから、ぼくのようなPocketのヘビーユーザーにはありがたいが、そうでない人もいるだろう。またブラウザー画面をスクリーンショットする機能や、もっぱらテキストだけを読みたい人のために、レイアウトが簡素化されるリーディングモードもある。

ぼくはこのバージョンのナイトリーリリースを今日まで数週間使って、毎朝毎晩、Firefoxの前のバージョンとの違いを体験的に確認している。そして、これだけ速くて軽ければ、安定版が出たらChromeに替えて再びデフォルトのブラウザーにしてもよい、と感じている。

もちろん、不満もある。たとえば、TweetDeckのスクロールバーが醜い。LastPassのFirefox 57 beta対応バージョンがない(Mozillaのせいではないが、不満は不満)。

Firefox QuantumはChromeよりも大幅に良いか? それはない。でも、再び互角になった。ブラウザーの選択には個人の好みもあるが、ぼくは非企業という点が気に入っている。これまでは、Firefoxの遅さを前に、企業製のChromeを捨てる気にはなれなかった。でも今や両者は横並びだから、その比較は成り立たない。しかも、Mozillaがもたもたしている間(かん)に、VivaldiBrave(Mozillaを追われた元CEO Brendan Eichの作)などのコンペティターが出現したし、Operaもまだ健在だ。多くの選択肢の中での、比較ができる。

Firefox 57の公式リリースは11月14日の予定だ。それまでは、ベータデベロッパーリリースで、新しい機能をすべて体験できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AppleがSafariの新しい広告追跡防止機能(クッキーに対する制限など)を擁護

Appleには、Webの訪問者たちがオンラインの広告主たちに追跡されるのを制限する新しいやり方を、今さら引っ込める気はない。

Safariのその新しい機能はIntelligent Tracking Preventionと呼ばれ、最初は、6月に行われたAppleのカンファレンス、Worldwide Developers Conference(WWDC)で発表された。それは、広告主がユーザーを追跡する(調べる)のを防ぐための、複数の方法を組み合わせていて、たとえば広告のターゲット変えにクッキーを利用することを24時間だけに制限し、それ以降30日間そのクッキーを発行したサイトをユーザーが再訪しなかったら、クッキーを完全に削除する。

今週の初めに広告業界の6つの業界団体(Interactive Advertising BureauやAmerican Association of Advertising Industriesなど)が、Appleのこのやり方を“透明性を欠き恣意的”と批判する公開書簡を発表した。

“Appleの一方的で強引なやり方は消費者の選択権を奪い、広告に支えられているオンラインコンテンツやサービスとそれらを愛する消費者にとって有害である”、と彼らは書いている。

そしてAppleの答は? どうやら同社はこのまま前進を続け、消費者のプライバシーのための正しいやり方だと自分を擁護するようだ。以下が、同社の声明だ:

Appleは、人間にはプライバシーの権利があると信ずる。Safariはデフォルトでサードパーティのクッキーをブロックする初めてのブラウザーであり、 Intelligent Tracking Preventionはユーザーのプライバシーを保護するさらに進んだ方法である。

広告の追跡技術がこれほどまでに蔓延しているからには、広告追跡企業が人びとのWeb閲覧履歴を記録して保有していることもありえる。その情報は無許可で集めたものであり、広告のターゲット変えに利用されている。それによって広告が、インターネット全域で人びとを追尾しているのだ。新たなIntelligent Tracking Prevention機能は、このクロスサイト追跡に使われているクッキーなどのデータを検出して排除し、個人の閲覧をプライベートに保つ。この機能は広告をブロックせず、また人びとが実際にクリックして訪れるサイトの正当な追跡を妨害しない。サイトの機能と対話するために設計されているクッキーや、Webのパブリッシャー自身が置いた広告は、正常に表示される。

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Firefox for WindowsがWebVRをサポート、VRコンテンツの作り方を学べるハブもオープン

今日(米国時間8/8)Mozillaが、Firefox for Windowsの最新のアップデートをローンチする。そしてその最大の目玉であるWebVRのサポートにより、デスクトップのVRユーザー(ヘッドセットを持ってる人)がWebベースのVR体験を容易にエンジョイできる。

ブラウザーがWebVRをサポートしていれば、ユーザーはVRコンテンツのリンクをクリックするだけで、それらを体験できる。アップデートされたFirefoxでは、VRゴーグルの描かれているボタンをクリックし、ヘッドセットを装着すれば、もうあなたは仮想現実の中にいる。

デスクトップのFirefoxブラウザーではHTC ViveとOculus Riftがサポートされ、モバイルのヘッドセットのサポートは今準備中だ。今モバイルでは、ChromeブラウザーのモバイルバージョンでGoogleのDaydreamとCardboardのヘッドセットがサポートされ、またデスクトップではChromiumの実験的ビルドがヘッドセットをサポートしている。

AppleはMacのオペレーティングシステムの次のアップデートmacOS High SierraでVRがサポートされるが、その登場は今年の秋になる。

Mozillaは今日、WebVRの使い方を教えるハブを立ち上げた。そこでクールなVR体験の見つけ方や、同社のWebVRコンテンツ制作プラットホームA-Frameを使っての、VRコンテンツの作り方も学べる。

WebVRのサポートと併せて今回のFirefox for Windowsのアップデートではさまざまな改良が行われ、中でも、ユーザーがプロセス数を制限したり、大量のタブを一瞬で復旧出来たりする‘パフォーマンスパネル’はユニークだ。Mozilla自身の実験では、なんと同時に1691個のタブを開き、そしてそれらを15秒で復旧できたそうだ。それまでのビルドでは、8分を要した。

このほか、Windows用の64ビットリリースの安定バージョンもあり、Moaillaによると、めったにクラッシュしなくなったそうだ。機能のアップデートでは、アドレスバーからどんなWebサイトでも検索できるようになった。ツールバーの上を行き来しなくても、Google, YouTube, Wikipediaなどの検索もアドレスバーからできる。

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Firefoxブラウザーが音声検索、大型ファイル共有、そしてノート取り機能を実験的に実装

Firefoxは、再起を期している。ブラウザーの中核的部分に注いできたリファクタリング努力がようやく報われようとしているし、マーケットシェアの減少はまだ(とくにデスクトップで)続いているものの、今のFirefoxは、これまでの長年の鈍重さから抜け出てダイエットに成功し、快速になっている。そして今日(米国時間8/1)は、そんなFirefoxを試してみるのによい日だ。というのも彼らは今日、音声検索ノートを書く機能、そして大きなファイルの転送/共有機能という三つの新しいテストパイロットの実験をローンチしたからだ。これらの実験的事業は、Test Pilotと呼ばれている。

これらはすべて実験段階だから、まだ正式バージョンのFirefoxに載る保証はない。むしろこれらのパイロット事業の目的は、新しいコンセプトのテストにある。前には、サイドタブやアクティビティストリームの実験があった。しかもこれらの新しい機能を試すためには、Test Pilotアドオンをインストールする必要がある。

音声検索は、今GoogleやYahooやDuckDuckGoのホームページにあるようなやつだ。またノート機能は、プラグインとして提供される。そしてファイル転送共有機能SendはWeb上の機能として提供されるので、使用するブラウザーの種類を問わない。ファイルの最大サイズは1GBで、送信時に暗号化され、ファイルのリンクを友だちや同僚と共有できる。ファイルは、一回ダウンロードされたり、一日経ったら自動的に削除される。斬新なアイデアではないし、Mozillaはよく道草を食うと批判されたりもするが、ファイルが暗号化され、ツールがオープンソースであることには、好感を持てる。

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Adobe、2020年末でFlashのサポートを終了と発表

今日(米国時間7/25)、Adobeはその昔インターネットの世界で普遍的だったFlashのサポートを終了する計画を発表した。多くの人々がFlashプラグインでYouTubeのジャスティン・ビーバーのビデオを初めて見たり、KongregateのDolphin Olympics 2をプレイしたりしたはずだ。 しかしAdobeは2020年の年末をもってFlashのアップデート及び配布を終了する。

それまではAdobeはAppleMozilla,、MicrosoftGoogle等々と提携してFlashのブラウザ・プラグインの配布とサポートを続ける。ただしセキュリティー・アップデートを行うのみでFlashに新機能を追加することはしない。

また、ライセンスを受けていない古いバージョンのFlashが広く使われている地域では、AdobeはFlashのサポート終了を一層強力に進めるという。

もちろんFlashのサポート終了は予想されていた事態だ。きわめて広い範囲で使われている(かつ時代遅れになったバージョンがそのままになっている)ため、Flashは世界中でハッカーの攻撃のターゲットになっている。そうしたFlashプラグインは穴だらけで、ハッカーがコンピューターを乗っ取るために無数の方法を提供している。

そうたことがあってAppleはFlashをモバイルでは一度もサポートしなかった(ジョブズがFlashを批判した2010年の公開書簡が有名だ)。新世代のブラウザとHTML5の普及もFlashの死期を早めることとなった。最近のブラウザにはFlashの機能が組み込まれており、Adobeのプラグインを必要としない。実はAdobe自身も他のプレイヤーにも増してFlashを厄介払いしたがっていた。実際、2015年以降、Adobeはその意味のことを言っている。

同様にブラウザのベンダーもここ数年Flashのサポートを終了させる努力をしている。GoogleはChromeのFlashプラグインをクリックして作動するタイプに切り替えた。つまりユーザーはFlashを使うために明示的な意思表示をすることが必要となった。他の主要なブラウザの場合もほぼ同様だ。

こうした新世代ブラウザの場合、HTML5にできなくてFlashにのみできることというのはほとんどない。Adobeもプレス会見で「Flashに依存している会社の数はここ数年着実に減少している」と述べている。にも関わらず、Flashは教育とゲームの分野でまだ利用者が残っており、たとえばFacebookはゲームのデベロッパーがオープンなウェブ規格に準拠することを助けるプロジェクトを発表している。【略】

画像: Bryce Durbin

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Chromeブラウザーの企業採用を増やしたいGoogleがアドミンのためのChrome Enterprise Bundleをローンチ

Googleが、企業内でのChromeブラウザーの展開と管理をより容易にしようとしている。今日(米国時間5/23)発表されたChrome Enterprise BundleはアドミンにChromeブラウザーの単一のインストーラーを提供し、またChrome Legacy Browser SupportエクステンションはActivXウィジェットの使用をサポートし、このほかにも、いくつかのアドミン用ポリシーテンプレートが提供される。

Chrome 58からはCitrixの仮想化プラットホームXenAppと、ターミナルサービスのWindows Serverがサポートされる。Chrome 58はさらに、Citrix環境でGPUアクセラレーションをサポートし、ローミングプロファイルとWindows Server自動検出のサポートを提供する。今後は、このバンドルの提供ツールをさらに増やしていく、とGoogleは言っている。

これらのアップデートにより、企業内でのChromeのデプロイがより容易になる。現状ではまだ、企業におけるChromeの採用は…大企業ほど…本格化していない。代わりにInternet Explorer(Windows 10採用企業ではEdge)が彼らのスタンダードだ。

でも今日のGoogleによると、過去二年間でChrome採用企業は倍増した。しかし実数を明かさないところを見ると、まだごく少ないのだろう。なお、Googleの“企業ユーザーの定義”は、コンピューターの構成の属性に基づいている。たとえばマシンがActive Directoryドメインに加わっていて、アドミンが構成ないしデプロイするポリシーでChromeが管理されていることだ。

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