SpaceXが初めて2つのフェアリングの回収に成功、再利用で1回の打ち上げにつき約6.4億円節約に

SpaceX(スペースエックス)は、Falcon 9(ファルコンナイン)の打ち上げに使用された2つに分裂したフェアリングを両方とも回収したと、CEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は発表した(Twitter投稿)。フェアリングは、ロケットが地球の大気圏を抜けて宇宙に到達するまでの間、積荷を保護するためのカバーで2つに割れるようになっている。これまでSpaceXは、落ちてくるフェアリングを特別なネットを備えた2隻の船で回収しようと何度も試みていたが、成功したのは今回が初めて。しかも片方だけでなく、両方とも回収できた。

SpaceXは、できるだけ部品を再利用することで打ち上げコストを削減しようと努力を重ねている。逆噴射で地上に軟着陸するロケットの第1段(ブースター)を開発したのも、整備を行い、次の打ち上げにまた使えるようにするためだ。今ではこの方法は洗練され、信頼性もずいぶん上がってきた。SpaceXは、今回の打ち上げを含め、これまでに役割を果たしたブースターの着陸を57回成功させている。

しかしフェアリングの回収は、これまで失敗続きだった。海に落ちた片方だけを回収し、それを再利用することもできた。だが、これまで船で回収できたのは半分だけで、最初は2019年の6月のSTP-2ミッションで、もう1回は2020年1月のミッションでのことだった。

SpaceXは、フェアリングを回収して再利用すれば、1回の打ち上げにつき最大で600万ドル(約6億4000万円)を節約できると見積もっている。そうなれば、再利用型ブースターの上にさらに大きな節約分が上乗せされる。落下速度を制御しながら軟着水させたフェアリングを海中から回収する方法に比べて、ネットで捕まえる方法は、落ちてくるフェアリングを船のネットが確実にキャッチできた場合、時間、労力、コストそして人的な危険を大幅に削減可能で、フェアリングの再利用がずっと効率化される。

フェアリングには、Falcon 9のブースターのように着陸を制御できる推進装置は備わっておらず、パラシュートで落下速度を弱める仕組みになっている。そのため、行き先をコントロールできないフェアリングの落下地点を正確に予測して、船をそこに配置することが非常に重要になる。しかしマスク氏とSpaceXには、ロケットのフェアリングをどうしても正しく回収したい別の理由がある。マスク氏は以前、このフェアリング回収船を、地球に帰還したCrew Dragon(クルー・ドラゴン)のカプセルの回収に転用する可能性に触れていた。今は海に落下したカプセルを回収する方式をとっているが、船でキャッチできれば、宇宙飛行士と回収要員のリスクを低減することができる。

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画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがFalcon 9ブースターの3度目の飛行に成功、フェアリングも洋上キャッチ

SpaceXはFalcon9で同一のブースターで3回衛星を打ち上げることに成功した。用いられた1段目ブースターは今年6月と昨年11月の2回の飛行を経験しおり、今回が3回目の飛行だった。

ペイロードはSpacecommのAMOS-17通信衛星でアフリカ上空の静止軌道に投入される。6.4トンと大重量の衛星のため、SaceXでは「使い捨てモード」で打ち上げた。つまり回収のための燃料を積む余裕がなく、噴射を終えたブースターはそのまま大気圏に落下する。

しかし3回の飛行ができたというのはSpaceXにって大きな成果だ。飛行済み機体が再利用できることは打ち上げコストの削減に寄与したはずだ。飛行ミッションそのものものも万事計画どおりに進行したようだ。AMOS-17衛星は静止遷移軌道に投入された。今後サハラ砂漠付近の赤道上空に静止し、中東とアフリカ大陸に複数バンドでテレビ放送を行う計画だ。
 
SpaceXは今回、大気圏でペイロードを保護するフェアリングの回収に成功した。何回か失敗に終わったが、今回は回収船、Ms. Treeに設置された巨大ネットが無事にフェアリングをキャッチする様子がビデオに収められている。今回、回収されたのは2分割のフェアリングの片方で、他方は洋上に落下したが、SpaceXではこちらも2隻目の専用船で回収を試みる予定という。

spacex fairing catch amos 17

SpaceXがMs. Treeの回収ネットで最初にフェアリング回収に成功したのは今年6月だった。上のビデオはFalcon Heavyの打ち上げで用いられたフェアリング回収の模様。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook