マスク氏、テスラ事業を「極限サイズ」まで拡大する計画を明かす

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)初の欧州工場の開所を翌日に控えた現地時間3月21日、Twitterで同社の「マスタープラン・パート3」の発表を予告し、同社の事業を「極限」まで拡張する計画を示唆した。

マスク氏は同日、同社の長期計画の次の内容を支えるテーマ、すなわち人工知能と自動車メーカーの事業規模の拡大をTwitterで明らかにした。

「Teslaの主なテーマは、人類を化石燃料から解放するために必要な極限規模への拡大とAIです」とマスク氏はツイートした。「しかし、SpaceX(スペースエックス)、Tesla、The Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー)に関する項目も盛り込む予定です」。

この計画は、Teslaにとって「極限サイズ」がどのようなものかを詳述し、世界的なパンデミックとサプライチェーン逼迫の中で製造とサプライチェーンを拡大するための同社の戦略を概説する可能性がある。

同社は3月22日に欧州初の工場を開設し、そこで生産された初の量産車を引き渡す予定だ。50億ドル(約5970億円)を投じて建設したベルリンの工場では、欧州最大の自動車メーカーVolkswage(フォルクスワーゲン)と同社の1000億ドル(約11兆9500億円)ものEV投資に対抗するために、年50万台超の電気自動車を生産する予定だ。

Teslaは先週、中国のオミクロン新規感染者数の増加とサプライチェーンの制約を受けて、24時間稼動の上海ギガファクトリーを2日間閉鎖した。同工場は1日あたり約2000台を生産し、相当数のModel 3とModel Yを欧州に輸出している。

「マスタープラン」の第1章と第2章は、同社の製品と技術の開発に関する正確なロードマップであることが証明された。第1章は「The Secret Tesla Motors Master Plan(秘密のTesla Motors マスタープラン」と題した2006年のブログ投稿でTeslaの概念実証の概要を示した。

その10年後、「パート2」として更新されたマスク氏のマスタープランは、バッテリーストレージの開発、バッテリー電動ピックアップトラックとSUVを含む新モデルの発売の計画についてだった。第2章が終わりに近づいた今、マスクはTwitterでテスラの次の章を予告し始めた。

また、マスタープランがマスク氏の各会社に焦点を当てるのは今回が初めてで、同氏が親会社を作ってすべての会社を1つ屋根の下に置くつもりではないかとの憶測を呼んでいる。しかし、ツイートでのSpaceとThe Boring Companyへの言及は、将来における両社のコラボレーションを暗示している可能性もある。

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

学生向けジョブマッチングマーケットプレイスのZenjobが約57.5億円を獲得

欧州のカジュアルなジョブマッチングにさらなる資金を。小売、物流、接客などの分野で副業を探す学生を対象とし、一時的な労働力を必要とする雇用者と結びつけることを約束するマーケットプレイス・プラットフォームのZenjob(ゼンジョブ)は、5000万ドル(約57億5100万円)のシリーズDラウンドの資金調達を完了した。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、3000万ドル(約34億5100万円)のシリーズCを調達して以来、わずか2年弱の間に、このような資金調達を行った。

他の多くの「現代的人材派遣会社」と同様、Zenjobは派遣社員を直接雇用し、給与や事務処理など関連する管理業務を請け負い、派遣社員の経験をさらに簡易化する。また、シフト終了後72時間以内に給与の半額を支払うという約束もあり、従来の派遣会社に比べて送金が早くなる可能性がある。

一方、雇用主はZenjobと契約を結び、必要に応じて短期・長期の仕事を含む派遣社員を予約することができる。

Zenjobは配送、小売、物流、eコマース、接客、サービス業などの「大手」企業と取引をしているというが、顧客名は明らかにしていない。

現在、欧州の2つの市場で1万カ所以上の場所にある2500社以上が、オンデマンドで派遣社員を確保するために同社のプラットフォームに登録しており、毎月4万人以上の労働者が副業を予約するためにこのプラットフォームを使っているという。

2015年に設立されたこのスタートアップによると、これまでにドイツとオランダで100万件以上の仕事をマッチングしているとのことだ。

今回のシリーズD調達はAragon(アラゴン)が主導し、Acton Capital(アクトン・キャピタル)、Atlantic Labs(アトランティック・ラボ)、Forestay(フォーステイ)、Axa Venture Partners(アクサ・ベンチャー・パートナーズ)などZenjobの既存の全投資家が参加している。

この新しい資金調達は、2022年夏に立ち上げを予定している英国市場を含む欧州内での事業拡大と、新しく「ホワイトカラー」タイプの職種のサポートなど、拡大する顧客基盤のニーズに対応するための、データに基づく新たな自動化機能を含む製品開発に当てられるという。

「当社は2022年、英国でZenjobの販売を開始し、欧州の新規市場に対する投資を継続します。また、ドイツとオランダでも事業を拡大しています」と、同社は説明している。「技術チームを増強し、プラットフォームのスケーリングと新しい自動化機能に多大な投資を行う予定です」とも付け加えた。

「需要が多いので、ナレッジワークとオフィスワークのオファーを拡大する予定です」と語る。

Zenjobは、スペインのJobandtalent(ジョブアンドタレント)CornerJob(コーナージョブ)、ルクセンブルグのJob Today(ジョブ・トゥディ)など、増加する、技術者を対象とした派遣社員のジョブマッチングを行うプラットフォームと競合している。

ギグプラットフォームのUber(ウーバー)もこの分野に注目しており、パンデミック時のロックダウンで乗り合いタクシーが需要の打撃を受けたため、2020年に英国のドライバー向けにWork Hubを立ち上げ、2019年には米国でUber Worksという、シフトを見つけるためのアプリを発表している。

欧州連合(EU)では、ギグプラットフォームにおける偽りの自己雇用に対処することを目的とした規制が導入され、プラットフォームワーカーに関する最低基準を定めた汎EU的な法的枠組みが設けられる予定だが、これにより、オンデマンド労働の需要が直接雇用する人材仲介業者に流れ、エージェント型の人材派遣プラットフォームの需要が加速される可能性がある。これにより、ギグプラットフォームは、何千人もの配達員やその他の非正規労働者を雇用する必要がなくなる。

競合状況について話すと、Zenjobは、人材派遣市場、ジョブマッチング、プラットフォームに関しては、テクノロジーが最大の差別化要因になると主張している。

「この市場に目を向けると、人材派遣と仕事探しを面倒で時間のかかるものにしているタスクを処理するためのテクノロジーを利用することに関して、私たちは表面を削ったにすぎません」と指摘する。「そのため、私たちは、プラットフォームと必要なすべてのプロセスの内部技術開発に多くの重点を置いています。現在、約75%のプロセスが完全に自動化されていますが、近い将来、95%以上にすることを目指しています」と語っている。

「私たちのモデルがうまく機能しているのは、技術に重点を置くことで、(高度な自動化により)高品質の人材を使った非常に迅速なサービスを、取引先の企業に提供することができるからです。私たちのビジネスの残りの半分は、人材に最高の経験と利益を提供することだけに集中しているので、高い成就率と信頼できる人材を提供することができるのです。提供する仕事には相場以上の報酬を支払い、現在アプリを使っていつでも仕事を予約できる4万人以上の人たちの体験と満足度をとても大切にしています」。と語る。

また、Zenjobは、まだ開拓されていない大きな成長があると主張している。例として、ドイツを挙げ、人材派遣の95%以上はまだほとんどオフラインで行われているという。

「そのため、私たちは、非常に伝統的な方法でジョブマッチングや人材派遣に取り組んでいる大企業と競合しています」と同社は述べている。「私たちのアプローチは100%デジタルで、私たちを通して仕事を予約してくれる人たちに提供できる利点を常に改善するよう努力しています。迅速な支払い、24時間365日いつでも仕事の予約が可能です」と語った。

画像クレジット:Zenjob

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

欧州のReventが気候・健康・インパクトに特化したファンドで約78億円のハードキャップを達成

2021年、ベルリンに拠点を置くReventという「インパクト」に焦点を当てた欧州の新しいアーリーステージの立ち上げを取材した。その目的は、気候変動対策、健康と福祉、経済的エンパワーメントに焦点を当て「目的と利益」の両方を持つスタートアップを支援する5000万ユーロ(約65億1100万円)のファンドを立ち上げることだった。

このたびReventは「強い関心により応募超過」で6000万ユーロ(約78億1400万円)のハードキャップに達し、最終クローズを発表した。

Reventの創業パートナーであるOtto Birnbaum(オットー・ビルンバウム)氏は、声明で次のように述べている。「今日の膨大な気候変動や社会的課題は、テクノロジーを駆使し、持続可能で大きなインパクトをもたらす、スケーラブルな商業ビジネスを構築する世界の優秀な創業者たちの努力なくしては解決できません。私たちは、目的と利益は互いを増幅するものであり、企業が社会や地球に大きなプラスの影響を与えることを目標としているからこそ、トップクラスの経済的リターンが得られると確信しています」。

「欧州は、テクノロジー主導で地球や社会にポジティブなインパクトを与える方法をリードするユニークな立場にあると確信しています」と、Reventの創業パートナーであるLauren Lentz(ローレン・レンツ)博士は付け加えた。

このファンドのLPには、グローバルに事業を展開する小売・サービス企業であるOtto Group(オットーグループ)が含まれている。

Reventのアドバイザーを務めるBenjamin Otto(ベンジャミン・オットー)氏は、Otto Groupを創業したドイツの有力一族オットー家の一員だ。

その他のLPには、ニベアやEucerinブランドで知られる多国籍スキンケア企業のBeiersdorf(バイヤスドルフ)、機関投資家では欧州投資基金(EIF)が2000万ユーロ(約26億円)を出資している他、NRW.BANK、LfA Förderbank Bayernなどが名を連ねている。さらに、Heraeus(ヘレウス)、Hymer(ハイマー)、Wepa(ヴェーパ)といったドイツの起業家ファミリーのメンバーもReventを支援している。また、Fox & SheepのVerena Pausder(ヴェレナ・パウザー)氏、ContentfulのSascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Project AのFlorian Heinemann(フロリアン・ハイネマン)氏、HeadlineのLuis Hanemann (ルイス・ハーネマン)氏など、著名なテック創業者や投資家がこのファンドに出資している。

Reventはこれまでに、英国のSylvera(カーボンオフセット評価プラットフォーム)、英国のNet Purpose(投資ポートフォリオのインパクト評価)、米国のAvelios(モジュール式病院ソフトウェアプラットフォーム)など、9社に投資している。

Reventのパートナーチームには、ビルンバウム氏とレンツ博士の他、Beryl(ベリル)の創業者で発明家のEmily Brooke(エミリー・ブルック)氏や、Partech(パーテック)のレイトステージファンドで働いていたHenrik Grosse Hokamp(ヘンリック・グロス・ホーカンプ)氏が参加している。

画像クレジット:Revent

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

サーバーレスのデータ基盤ツールで非構造化データセットを解決する独Tiloがプレシード調達

一般的に企業内で使用されるデータセットは、ほとんどの場合さまざまなソースから、さまざまな非構造化形式で提供されている。それらを結びつけることは、非常に大きな頭痛の種になり得る。しかしそれができれば、特に金融分野では、不正行為の検知やKYC/AMLチェックなど、さまざまなメリットがある。これは特に金融機関が直面する問題だが、新型コロナウイルスの接触者追跡調査や一般的なビジネスインテリジェンス分野でも役に立つ可能性がある。

現時点で使用されている主なプラットフォームは、Neo4j、Senzing、またはAWSのNeptuneなどだ。あるいは、企業はElasticsearch(エラスティックサーチ)を使って独自のソリューションを構築しようとしている。だが、解決すべき大きな問題であることに変わりはない。

大企業からスピンアウトして理論を検証してきたベルリンの新しいスタートアップが、この難しい問題を解決しようとしている。

Tiloのデータ基盤ツール「TiloRes」は、サーバーレスでありながら、ほぼリアルタイムで大規模なデータマッチングを可能にすることで、企業が異なるソースやフォーマットのデータポイントをマッチングさせるのに役立つとしている。

Tiloは今回、欧州のVCであるPeak Capitalが64万ユーロ(約8300万円)を出資してリードしたプレシードラウンドで、120万ユーロ(約1億5500万円)のプレシード資金を調達した。今回の資金調達には、ベルリンを拠点とするTiny VC(Philipp Moehring、フィリップ・モエリング氏)、First Momentum Ventures、Enduring Venturesの他、Algoliaの創業者やContentfulの元CMOなどのエンジェル投資家が参加している。

Peak Capitalの投資先には、グローバルオークションマーケットプレイスのCatawiki、ヘッドレスコンテンツ管理システムのGraphCMS、オムニチャネルコミュニケーションプラットフォームのTrengoなどがある。

Tilo は、KYC/AML用のアプリケーションに加えて、新型コロナの接触者追跡調査に携わるすべての組織に、同社のソリューションを無料で提供する予定だ。

2021年11月に設立されたTiloは、企業やスタートアップとともにパイロットプロジェクトを開始した。Tiloのビジネスモデルは、企業がTiloResで処理するデータ量に応じてライセンス料を徴収するというもの。サーバーレスであるため、使用量に応じてコストが変動し、サーバーベースのソリューションよりも安価に利用できる。

Gartner(ガートナー)によると、Tiloが挑戦する市場は大きく、650億ドル(約7兆4740億円)の規模があると言われている。

TiloのSteven Renwick(スティーブン・レンウィック)CEOはこう述べている。「当社の最大の強みは、データがどれだけ増えても、エンティティがどれだけ複雑になっても、データの検索、照合、評価(例:オンライン決済プロセスにおける不正行為のチェック)がほぼリアルタイムで行われることです。これは、ほぼ常にリアルタイムの応答速度が求められる現代のニーズにとって重要なことです」。

Tiloの創業チームであるCEOのレンウィック氏、CTOのHendrik Nehnes(ヘンドリック・ネネス)氏、CDOのStefan Berkner(ステファン・ベルクナー)氏は、以前はドイツの消費者信用調査機関であるRegis24の技術チームだった。しかし、Regis24は彼らのソリューションをスピンアウトさせ、このスタートアップに戦略的に出資することに合意した。

PeakのDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイスのドイツ語圏)責任者であるMadeline Lawrence(マデリン・ローレンス)氏は次のようにコメントしている。「正直なところ、最初は Tiloが何を解決しようとしているのか分かりませんでした。そして、私たち自身がデータマッチングに苦労していることに気づきました。CRMの重複やスペルの違いが私たちの頭痛の種になっているとしたら、さらにリスクが高く、ニーズがリアルタイムで、問題となるデータの規模が桁違いに大きい場合の苦痛を想像してみてください」。

画像クレジット:Tilo Team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

「ノーコード」ブームの継続を感じさせるSoftrのシリーズA資金調達

テクノロジー系市場では数年前、ローコードやノーコードのアプリケーションやサービスの増加について議論があった。世界的に開発者の人材が不足していることもあり、より簡単にソフトウェアを作成できるようにするためのソフトウェアの開発が進んだが、ノーコードやローコードの開発ツールは、新たにエキサイティングな技術的負債を増やすための非常に優れた方法に過ぎないと考える人もいた。

しかし、ここ1年ほどはそんな議論も影を潜め、技術者ではない人々に力を与えるローコードの可能性を十分に備えた製品を開発している企業は、順調に成長していることに気づいた。

Softr(ソフター)はその好例で、同社は先日、シリーズAラウンドで1350万ドル(約15億円)の資金を調達したことを発表した。TechCrunchでは2021年初頭に、Softrが220万ドル(約2億5000万円)の外部資金を集めたシードラウンドを実施したことを報じている

関連記事:ノーコードでAirtableを利用したウェブサイト・アプリの作成を簡単にするSoftrが2.3億円調達

今回のシリーズAラウンドは、FirstMarket Capital(ファーストマーケット・キャピタル)が主導し、テクノロジー業界から多くの個人が参加した。筆者は少し前にこの案件の気配を、Box(ボックス)やGlossier(グロッシアー)に在籍していたAshley Mayer(アシュレイ・メイヤー)氏から聞いていた。前回、Softrに出資したAtlanticLabs(アトランティックラボ)も、同社のシリーズAに参加している。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップ企業は、顧客がAirtable(エアテーブル)のデータベース上に簡単にアプリを構築できるようにするプラットフォームを提供している。しかし、同社は現在の任務にとどまらず、かなり大きな野望を持っている。

TechCrunchは、SoftrのMariam Hakobyan(マリアム・ハコビアン)CEOとのインタビューで、同社がそのソフトウェアを使ってアプリを作成するために利用できるデータベースの種類を増やす予定であることを知った。また、同社ではコンポーネント(Softrができることを公式の機能よりも拡張するためのもの)とテンプレート(我々の理解では、箱から出してすぐに使えるアプリ)の両方のマーケットプレイスを開設することも計画しているという。

ハコビアン氏によれば、Softrはやがて1つのエコシステムになることを目指しているという。Googleスプレッドシートやその他のデータソースのサポートを追加することは、その取り組みに役立つだろう。

同社では、ノーコードのサービスが「ただ引き継がれていくだけ」で、同社はその下流に向かって泳いでいると考えていると、ハコビアン氏は語る。

ハコビアン氏は、現在のソフトウェア市場において、なぜノーコードサービスや、さらにいえばより一般的なローコードサービスが好調なのかということに関して、いくつかの傾向を挙げている。1つ目は、需要に見合うだけの開発者が市場にいないということ。これはよく理解されている。彼女のもう1つの主張は、世代論的なものだ。ハコビアン氏によると、Z世代はそれ以前の世代に比べて技術的な知識が豊富で、伝統的な本業を確保することにはあまり興味がなく、自分でツールなどを作る方法を探しているという。

Z世代がノーコードを促進させるというのは、理由をはっきり指摘できなくても、頭では理解できる。次の四半期に向けて注目していきたい。

次に、市場におけるSoftrの実績について見ていこう。この会社は製品を市場に投入してからまだ日が浅いので、前年同期比の成長率を厳しく評価することは難しいが、初期のデータをいくつか紹介すると、同社の登録ユーザー数は現在3万人で、有料会員数は1000人を超えているという。同社の主な顧客は、中小企業であることを明らかにしている。これは、現在の競争が激しい開発者市場に、中小企業ではなかなか手が出せなくなっていることを考えると、理に適っている。

Softrがどれだけ早く自社サービスにより多くのデータソースを追加できるか、そして計画中のマーケットプレイスをどれだけ早く展開できるかに注目したい。Softrがエコシステムになるかどうかは、その時点で市場が決めることだろう。

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

IPOは中止になったが、Babbelの語学学習サービスは急成長中

ベルリンを拠点とする語学学習サービスのBabbel(バベル)は、2021年9月下旬にフランクフルト証券取引所でIPOを行う予定だった。しかし、IPOのほんの数日前に、上場は中止された。当時、世界の株式市場を非常に神経質にした中国「恒大集団」の債務危機の状況を嫌ったためだ。新しいIPOの日付はまだ発表されていいないが、BabbelのCEOであるArne Schepker(アーネ・シェプカー)氏が私にいうように、同社は引き続き市場を観察している。

しかしIPOの中止は誰にとっても予想外だった。「取り組んでいたチームにとってはがっかりするできごとでした。長く熱心に働いていたからです。私たちは本当によくやっていました」とシェプカー氏は語った。「私たちは予定をこなし、正しい軌道に乗り、100人以上の関心の高い投資家に出会い、すばらしいフィードバックを得ていたのです、その最中に恒大集団の状況が明らかになり、IPO市場のほとんどが止まってしまいました。進むべきか、退くべきか。私たちは、その市場に参入すべきか否かという非常に意識的な決断に直面したのです」。

シェプカー氏は、Babbelが十分な資金を持っていて、銀行に十分な現金を保有していることに加え、必要ならば製品への投資や買収を続けるための他の資金調達の選択肢があることから、同社が正しい決断を下したと確信している。

画像クレジット: Babbel

同社の最も急成長しているビジネスの1つは、サービスのアプリベースの語学学習ツールを強化する「ライブ」クラスだ。2021年初めにリリースされたBabbel Live(バベル・ライブ)は、2021年の後半には上半期と比較してサブスクリプションでは300%、収益では400%増加した。数万人の学習者を抱えるBabbel Liveは、毎月1万5000のクラスを提供しているが、シェプカー氏によれば、学習者の約25%が、ライブプラットフォームを導入ポイントとしており、残りの75%がアプリから使い始めているという。

Babbel Liveと同社のB2B Babbel for Business(バベル・フォー・ビジネス)サービスは、現在、同社の収益の9%を占めている。また、ビジネス全体も好調で、11月の請求可能な売上高は2020年から30%増加して2000万ドル(約22億8000万円)を超えている。

シェプカー氏によれば、そのことと、質の高い製品で定評があることが重なり、同社は優秀な教師を採用できるのだという。「私たちはイノベーションのフロンティアを押し広げ、人間の知性と人工知能を、常に最大限に活用しようとしています。このように、私たちは完全に人間依存でもなく、完全にテクノロジー依存でもないために、それが私たちのライブ教室の教師の方々にとって魅力的なのだと思います」と彼はいう。

画像クレジット:Babbel

同社のB2B側をみてみると、Babbelは11月には5000人の新規企業学習者を登録し、現在1000社を超える企業と協力している。Babbelがこちらのビジネスを構築するのにはある程度の時間がかかっている、このビジネスは長い間ドイツでしか利用できず、最近イタリアに拡大したばかりだ。すぐに他のヨーロッパ市場、そして米国にも拡大することが計画されている。シェプカー氏は、企業の語学学習は語学学習市場全体の約3分の1を占めているため、これは同社にとってかなりの成長の機会であると述べている。

今後のことを見るなら、Babbelチームは、さまざまなプラットフォーム間でより良い統合を行う手段を具体的に検討している。これにより、Babbel Liveの教師は、例えばクラスとクラスの間で生徒がアプリで何を学んだかを確認できる。Babbelのポッドキャスト、アプリ内ゲーム、その他の導入ポイントに加えて、同社はすでに言語学習ツールの非常に豊富なエコシステムを提供している。現在の問題は、それらすべてをよりまとまりのあるプラットフォームにするにはどのようにすればよいかということだ。

「ユーザーの方々は独自の学習方法のエコシステムをつなぎ合わせる傾向がありますが、私はその状況をクリエイティブな混沌と呼んでいます。なぜなら私たちはそれを実際に行う手法を学んではいませんし、実際に統合もされていないからです」とシェプカー氏は述べている。「例えば異なる学習方法は、私が教室に足を踏み入れたときに、私がアプリで何をしていたかを知って活用することはできません。それは、学習者にとっても教師にとっても、そして語学学習会社としての私たちにとっても、エコシステムの中に見出すことができる付加価値なのです。私たちが学習者のエコシステムをまとめてあげることで、学習の旅を実際に進めて行くことができるのです」。

画像クレジット:Babbel

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(文: Frederic Lardinois、翻訳:sako)

フードテックPerfeggtが植物由来の代替卵販売に向け3.2億円調達

世界市場では、乳製品や肉などの植物由来の代替品の売上が急増しており、Perfeggtは卵でも同じことをしたいと考えている。

ベルリン拠点のフードテック企業Perfeggtは、2022年第1四半期にドイツ、スイス、オーストリアでニワトリが存在しない卵製品をデビューさせようとしている。まず製品を立ち上げ、その後2022年後半にヨーロッパで事業を拡大すべく、同社は現地時間11月25日、初のラウンドで280万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表した。

このラウンドの出資者は、EVIG Group、Stray Dog Capital、E2JDJ、Tet Ventures、Good Seed Ventures、Sustainable Food Ventures、Shio Capitalだ。

PerfeggtのCEOであるTanja Bogumil(タンジャ・ボグミル)氏は、Lovely Day Foods GmbHの傘下にあるPerfeggtを、EVIGの創業者でCEOのGary Lin(ゲーリー・リン)氏、ドイツのベジタリアン・ビーガン食肉メーカーRügenwalder Mühleで長年R&D責任者を務めたBernd Becker(ベルント・ベッカー)氏と2021年初めに共同で設立した。

Perfeggtの共同設立者、左からベルント・ベッカー氏、ゲーリー・リン氏、タンジャ・ボグミル氏(画像クレジット:Patrycia Lukaszewicz)

「私たちはもっと良い食べ物を食べるべきだと心から信じています」とボグミル氏は話す。「私の母方の家系は小規模な農業を営んでいたので、私たちが食べるものがどこからくるのかを常に意識してきました。12歳のときにベジタリアンになったのは、叔父が屠殺場に連れて行ってくれて、自分が食べていたソーセージが正しい方法で作られていないことを教えてくれたからです。そこで起こっていることを完全に理解していたわけではありませんが、正しいとは思えませんでしたし、人道的とも思えませんでした」。

すでにサステイナビリティが確立されている乳製品とは異なり、卵はまだ未開発の部分が多いとボグミル氏は考えている。確かに、Simply Egglessや、2021年夏の初めに2億ドル(約230億円)を調達したJust Eatなど、同様の植物性代替品を製造する企業はある。しかし、世界では年間1兆3000億個以上の卵が生産されており、つまり成長の余地があり、用途も多様だとボグミル氏はいう。

Perfeggtの最初の植物性卵製品は、空豆から作られたタンパク質が豊富な液体の代替品だ。この製品は、フライパンでスクランブルエッグやオムレツのように調理することができる。同社はまず、外食産業向けに製品を発売する予定だ。

他の食品と同様、味が肝心だ。この製品では、口当たり、感覚、風味、食感が似ているものを目指したが、これらの要素はすべて、人々が植物性の代替品に切り替えるために必要だとボグミル氏は話す。

「これは、私たちが時間をかけて見つけ出したものです。私たちの製品は、これらの用途に必要な機能性を模倣するのに非常に適した空豆を中心に作られています」と同氏は付け加えた。

そのため、ドイツのエムスランドにあるPerfeggtの研究開発拠点では、生命科学の研究で知られるワーヘニンゲン大学・研究機関と緊密に連携し、動物性食品の栄養的・機能的特性に最も近い植物性タンパク源とその組み合わせを検証している。

今回の資金調達により、同社は本社と研究開発施設のチームを増強する。同社では現在、食品科学者、マーケティング、研究開発を担う人材を募集している。

一方、ボグミル氏は、卵の代替品の分野に参入する企業が増えることは、人々を植物性食品にシフトさせるというPerfeggtの使命につながると考えている。

「これは1人勝ちの市場ではありません」と同氏は話す。「代替タンパク質がこれほどまでにメインストリーム市場に近づいたことは、歴史上初めてのことです。明らかに、これは資本市場に反映されており、ニッチ市場の開拓だけでなく食の未来にも影響を与えています」。

E2JDJの設立パートナーであるStephanie Dorsey(ステファニー・ドーシー)氏は、声明文で次のように付け加えた。「私たちは、次世代の代替タンパク質を開発し、人間や地球、動物の健康を向上させるソリューションを見つけたPerfeggtの急速な技術進歩に、非常に感銘を受けています。卵市場は巨大な機会であり、これは始まりにすぎません」。

画像クレジット:Patrycia Lukaszewicz

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

キーワード検索を超える「ニューラル検索プラットフォーム」開発のJina.aiが約34億円調達

ベルリンを拠点とするJina.ai(ジナエーアイ)は、ニューラル検索を利用して、ユーザーが非構造化データ(動画や画像を含む)から情報を見つけ出すことをサポートしているオープンソースのスタートアップだ。同社は現地時間11月22日、Canaan PartnersがリードしたシリーズAで3000万ドル(約34億円)を調達したことを発表した。このラウンドには、新規投資家のMango Capitalの他、既存投資家のGGV Capital、SAP.iO、Yunqi Partnersも参加し、Jina.aiの資金調達総額は3900万ドル(約44億円)となった。

Nan Wang(ナン・ワン)氏、Bing He(ビン・ヘ)氏とともにJina.aiを創業したCEOのHan Xiao(ハン・シャオ)氏は、深層学習ニューラルネットワークを使って、従来のキーワードベースの検索ツールを超えるというのがニューラル検索だと説明する。伝達学習表現学習などの比較的新しい機械学習テクノロジーを利用することで、同社の中核のJinaフレームワークはデベロッパーが特定のユースケースに応じた検索ツールを迅速に構築するのに役立つ。

「画像、音声、動画などの場合、まずディープニューラルネットワークを使って、このデータフォーマットを普遍的な表現に変換します」とシャオ氏は説明する。「ここでは、ほとんどが数学的なベクトル、つまり100次元のベクトルです。そして、マッチングアルゴリズムでは、一致する文字数を数えるのではなく、数学的な距離、つまり2つのベクトル間のベクトル距離を数えます。このようにして、基本的にこの種の方法論を使って、あらゆる種類のデータ検索問題や関連性の問題を解決することができるのです」。

シャオ氏は、Jinaが検索のためのTensorFlowに似ていると表現した(TensorFlowはGoogleのオープンソースの機械学習フレームワークだ)。人々がAIシステムを設計する際のデザインパターンをTensorFlowやPyTorchが定義したように、Jinaは人々がニューラル検索システムを構築する方法を定義し、その過程で事実上の標準となることを目指している。

しかしJinaは、同社が現在展開する製品の1つにすぎない。Jinaベースのニューラル検索アプリケーションの構成要素を開発者が共有・発見できるマーケットプレイスであるJina Hub、あらゆるディープニューラルネットワークを微調整するためのツールである、最近立ち上げたFinetunerなども提供している。

「この1年半、我々は巨大なニューラル検索タワーの基盤となる中核インフラの構築に多大な労力を費やしてきましたが、その作業は終えました。今、我々はこの大きな建物の1階と2階を少しずつ構築しており、エンド・ツー・エンドの開発体験を提供しようとしています」とシャオ氏は話す。

同社によると、Jina AIの開発者コミュニティには現在約1000人のユーザーがいる。ビデオゲーム開発者がゲームエディターの右クリックメニューに関連するゲームアセットを自動入力するために使用したり、リーガルテックのスタートアップがPDF文書のデータを利用したQ&A体験をチャットボットで提供できるようにするために使用したりと、さまざまな用途がある。

オープンソースのJinaフレームワークには、2020年5月の発表以来、すでに200人近くの外部貢献者が参加していて、同社はこのプロジェクトに関するSlackコミュニティもホストしている。

「我々がオープンソースを採用している大きな理由は、オープンソースの速度にあります。私は開発の速度がソフトウェアプロジェクトの成功の鍵を握ると考えています。多くのソフトウェアは、この速度がゼロになってしまうことでダメになるのです」とシャオ氏は説明する。「我々はコミュニティを構築し、高速に反復するためにコミュニティを活用してフィードバックを集めています。我々のようなインフラソフトウェアにとってこれは非常に重要なことです。すばやく改善するには、使いやすさやアクセシビリティなどについて、一流の開発者たちにフィードバックしてもらう必要があります」。

Jina.aiは、今回調達した資金でチームを倍増させ、特に北米での事業を拡大する計画だ。増強したチームで、Jinaエコシステム全体を広げるための研究開発に投資し、新しいツールやサービスを立ち上げる。

「テキストデータ用に構築された従来の検索システムは、画像や動画、その他のマルチメディアがあふれる世界では機能しません。Jina AIは、企業をモノクロからカラーに変え、高速で拡張性があり、データにとらわれない方法で非構造化データを解き放ちます」とCanaan PartnersのJoydeep Bhattacharyya氏は話す。「オープンソースのフレームワークを使った初期のアプリケーションでは、意思決定の改善や業務の改善、さらには新たな収益源の創出などの機会をニューラル検索が支えており、未来の兆しがすでに見えています」。

画像クレジット:Jina.ai

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

データサイエンスでストーリーを分析・編集し人気作品を生み出す自費出版プラットフォームの独Inkitt

パンデミック渦、本の売り上げが上昇した。それにともない人々の読書量も増えているInkitt(インキット)は誰もがストーリーを書いて公開できる同名の無料プラットフォームを運営しているスタートアップだ。同社はさらにデータサイエンスを用いてそこに掲載されたストーリーを分析し、選ばれたストーリーを別の有料アプリGalatea(ガラテア)で長編作品として発表するという仕組みをとっている。この絶好の時期を捉え、同社は5900万ドル(約66億円)の資金調達を達成した。シリーズBでの評価額は公表されていないが、筆者が信頼できる情報源から得た情報によると、3億9000万ドル(約436億円)程度だという。

ベルリンを拠点とするInkitt。今回の資金調達はアルゴリズムとテクノロジーの構築を継続するために使用される予定だ。無料アプリから有料アプリに飛躍させる長編作品の選択、ストーリーの方向性のバリエーションのA/Bテストを行う「編集者」としての役割など、ストーリーのキュレーションは人間ではなくすべてアルゴリズムによって行われるため、アルゴリズムとテクノロジーの構築はとても重要な要素になる。また今回の資金は、特に北米市場へのさらなる進出に向けたより多くの人材雇用のために使用される予定だという。さらに、長期的にプラットフォームを拡張する方法についても検討をすすめている。そのためには読書以外のフォーマットも含まれる可能性があり(例えば現在オーディオにも着手し始めている)、またAPIやSDKを構築し、他の出版社などがこのツールを使って書籍化の可能性のある短編作品をテストできるようにするというようなことも考えている。

Inkittはここ数年間著しい成長を続けている。同社は現在700万人のユーザー(つまり読者)と30万人のライターのコミュニティを抱えており、筆者が前回の資金調達ラウンドを取材した2019年の時点では、160万人の読者と11万人のライターだったので、約3倍に増えていることになる。一方、有料のGalateaアプリのランレートも3800万ドル(約42億5000万円)を超えている。2年前はわずか600万ドル(約6億7000万円)だったため、この数字は6倍以上である。

同スタートアップは出版業界のさまざまな企業からも注目されており、今回のラウンドに投資する企業の顔ぶれがそれを物語っている。

NEAのマネージングジェネラルパートナーであるScott Sandell(スコット・サンデル)氏と、ドイツの出版大手Axel Springer(アクセル・シュプリンガー)が今回の投資を共同で主導。これまでにPenguin Books(ペンギン・ブックス)のCEOを務め、Disney Publishing(ディズニー・パブリッシング)を立ち上げたこともあるDisney(ディズニー)の元上級幹部で現在Snap(スナップ)の会長であるMichael Lynton(マイケル・リントン)氏の他、Macmillan(マクミラン出版社)などを所有し、自身の名を冠した出版大手の会長を務めるStefan von Holtzbrinck(ステファン・フォン・ホルツブリンク)氏、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、HV Capital(HVキャピタル)、Redalpine(レッドアルピン)、Speedinvest(スピードインベスト)などが参加している。ちなみにKleinerはInkittのシリーズAを主導している。

このプラットフォームに参加している作家(少なくとも最初の章がInkittのアルゴリズムに合致し、それを読者に響くような長編作品に仕上げた作家)も、かなり大きな数字を達成しており、その中にはおとぎ話のようなサクセスストーリーもいくつか含まれている。

インドの中でも貧しい州の1つであるオディシャ州出身のSeemran Sahoo(シームラン・サフー)氏は、スマートフォンのみを使用してInkittに発表した小説「The Arrangement」でこれまでに270万ドル(約3億円)を稼いでいる。イスラエルのSapir Englard(サピア・エングラード)氏は、当初Inkittで発刊した「The Millennium Wolves」の収益を、ボストンのバークリー音楽院の学費に充てたいと考えていた。米国の高等教育機関の学費は高いものの、それでも彼女はその目標には十分すぎるほどの額を達成、これまでに小説で800万ドル(約9億円)を稼いだという(注:いずれもInkittの前回の資金調達ラウンドの前に出版されたものであり、彼らはその後も売り上げを上げ続けている)。

この2人は異例の成功だが、Inkittの創業者兼CEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏(下記写真)は、Galateaに選ばれた人のほとんどが、他の出版環境に比べて非常にうまくいっていると話している。

「Galateaの作家の大半は10万ドル(約1100万円)以上の売り上げを記録しています」と同氏はいう。しかし、今は書籍、それも特に超大作がInkittの活動の中心にあるわけだが、同社の今後の大きなビジョンは単なる読書に留まらないとアルバザズ氏は話している。同社はオーディオブックの開発にも着手し始めており、映画、テレビ番組、マーチャンダイジング、ゲーム、さらにはテーマパークの開発も計画しているという。「21世紀のディズニー」というのは同氏の言葉である。

Inkittの創業者兼CEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏(画像クレジット:Inkitt)

同社の道のりは一貫して順調だが、猛スピードでことが進んでいるわけでもない。これはアルバザズ氏が2019年に語ってくれた通りのシナリオである(しかし当初のプランから変わってきたものもいくつかある。例えば当初Galateaのユニークなセールスポイントには、本に付加する一連の「エフェクト」、つまり読書体験をより没入的にするための音や揺れがあった。これらエフェクトは今でも存在はするが、もはやすべての中核的な存在ではないようで、今回の我々の会話の中でアルバザズ氏もエフェクトについては後付けの要素としか言わなかった)。

なぜディズニーのビジョンがまだ実現されていないのかというと、パンデミックがあったから、というのが公平な言い分である。それに「Move fast and break things(すばやく行動し破壊せよ)」という考えがいつも正解なわけではない。

アルバザズ氏によると、同社には「テレビや映画、制作会社からGalatea / Inkittの本に対するコンテンツベースの依頼が毎週2〜4件きている」とのことだが(出版社であるInkittは映画化などの権利を保有している)、まだどれも契約には至っていない。その理由の1つはこのディズニーのアイデアにある。Inkittは次なるステージでも大きな役割を果たしたいと考えているからだ。

「何がベストなのかを検討中です。我々はGalateaに動画を設置するという選択肢を残しておきたいのです」と同氏。ちなみに、Sony Pictures Entertainment(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)のCEOを務めたこともあるマイケル・リントン氏がこの分野でも力を発揮してくれそうだ。

2021年初めに韓国のNaver(ネイバー)に約6億ドル(約671億円)で買収されたWattpad(ワットパッド)のような他の自費出版プラットフォームと同様に(Wattpadも彼らなりの「ディズニー」ビジョンを持っており、プラットフォームで芽を出した作品から、動画などさまざまなコンテンツを生み出していた)、Inkittは文章で生計を立てたいと夢見ているクリエイティブな人々や、自分の作品を世に送り出したいと思っている人々のために市場への新しいルートを開拓した。もちろん、FanFiction(ファンフィクション)のようなサイトからAmazon(アマゾン)やその他あらゆるサイトまで、同様のことができる場所はすでにたくさん存在する。

後者についてアルバザズ氏は、書籍の「マージンをすべて奪い、利益を押し下げ」、Kindle(キンドル)によって読書体験を台無しにした巨大eコマースサイトへの嫌悪感を露わにしている。この気持ちが、Inkittに加えてGalateaを作った理由だと同氏はいう。以前は、Inkittアプリの短編フォーマットを超えた書籍をAmazonに移行させていたからだ。しかし、Inkittには皆が必ずしも納得するわけではない独自のひねりがあることも指摘しておきたい。

ある著名な作家(名前は非公表)は、新作がInkittマシンでどのように評価されるかに興味を持ち、そこに掲載するための章を提出した。

Inkittのデータサイエンスエンジンは誰が書いているかには無頓着で、何が「うまくいくか」だけを重視する。結果その本は「読者はこのストーリーに興味を持たず、すぐに読むのをやめてしまう」と測定されてしまったのだ。

アルバザズ氏によると、その著者は「激怒」し、著者の出版社も激怒したという。著者が「彼らの」本に対して勝手にそんなことをしたから尚更である。著者はフィードバックを無視して著者が書いたとおりの本を出版した(その章が提出されたときにはすでに本全体が書き終えられていた)。結局この本は100万部の販売を達成。まずまずの結果だが、著者のこれまでの大ヒット作には到底及ばない。

「その100万人は、作者の名前を見て買っただけです」とアルバズ氏は断言する。

長期的に見て、Inkittが今の成長を維持できるかどうかだけでなく、より大きなメディアプレーに活用していけるかどうかが見どころである。おそらく、Inkittの今後の実行方法だけでなく、より広い市場で何が起こるかにもかかっているのだろう。

読んだ記事から他のコンテンツのアイデアが生まれることが多いため、AmazonやByteDance(出版業界の一部ではすでに話題になっている)のような企業も今後この分野を掘り下げていきたいと考えていることは間違いない。Amazonは事業の他の部分にも広範なA/Bテストを行っており、またデータサイエンスとAIの強力な武器を事業のあらゆる部分で活用している。しかしこれまでのところ、これらすべてを自費出版の取り組みに活かせるような大きな進展は起きていない。

しかしポジティブに捉えれば、これは投資家が好きなビッグチャンスと現在の牽引力を表しているのではないだろうか。

スコット・サンデル氏は声明の中で次のように述べている。「Inkittには、ストーリーテリングの未来を担うための体勢が整っています。すでに従来のコンテンツ形式を超え、何百万人もの読者にとって革新的で魅力的な新形式に移行しています。人々の物語の消費方法に重要な変化が起きており、Inkittはそれをきちんと理解しています。アリ氏をはじめとするInkittの役員と緊密に連携し、エキサイティングで飛躍的な成長を遂げるであろうこの時期を後押しできることを大変うれしく思います」。

「Inkittの技術は並外れており、同社の成功はストーリーテリングの未来を如実に描いています。Inkittの多くの作家たちが商業的にここまで大きな成功を収めていることを見れば、同社が人々の本の消費方法をいかに深く変革しているのかがよくわかります。私たちは彼らのさらなる発展の一翼を担い、彼らの旅路をともに歩んでいけることに胸を躍らせています」とデフナー氏(Axel SpringerのCEO)は話している。

更新:Inkittは匿名の著者に別のプロットラインを提案しておらず、そのままでは読者の興味を引くことができないと著者に伝えただけである。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

営業の「Salesforce疲れ」を解消、アップデート高速化ツールのWeflowがプレシード資金獲得

Salesforce(セールスフォース)のユーザーは、記録の更新にかかる時間に同じような不満を抱きがちだが、Weflow(ウィーフロウ)はこのような「Salesforce疲れ」を克服することを目指している。

ベルリンに本社を置くWeflowは、Salesforceの更新時間を短縮し、営業担当者の時間を奪うような忙しい仕事を減らすツールを開発している(まだプライベートベータ版だ)。

フォーチュン500社のうち83%の企業が営業の生産性向上のためにSalesforceを利用しているが、多くの営業担当者は営業以外の業務に時間の大半を費やしている

シリアルアントレプレナーのHenrik Basten(ヘンリック・バステン)氏とJanis Zech(ジャニス・ゼック)氏はFyber(ファイバー)でともに働き、収益チームを管理しながらこのことを身をもって体験した。彼らは、営業担当者がSalesforceの記録内の情報をすばやく追加してパイプラインを管理できるよう、Saleforceのデータベース上に構築された収益ワークスペースになるべく、2020年末にWeflowを立ち上げた。

「パイプライン管理のためのAsanaのようなソリューションを作りたいと人々は考えています」とCEOのゼック氏はTechCrunchに語った。「しかし、Salesforceはオープンなエコシステムで、その上に構築することができます。私たちは、営業担当者がパイプラインに入り、30ものタブを開いてメモを散らかしているのを観察しました。もし営業担当者が楽しんで使っていないのであれば、アップデートしやすい、よりモダンな体験を作ろうと考えていました」。

Weflowのパイプラインテーブル(画像クレジット:Weflow)

その仕組みはこうだ。ユーザーはSalesforceアカウントにサインアップしてパイプラインにアクセスし、数回クリックするだけで案件、タスク、メモ、アクティビティを更新することができる。すべてのデータはSalesforceに残る。営業担当者は通常、週に1回、2〜3時間かけてこの作業を行うが、Weflowを使えば20分に短縮できるとゼック氏は見込んでいる。

さらに同社は、Salesforce用に作られたモダンなメモ帳を作成し、ユーザーがテンプレートを構築することで、営業担当者が同じ質問をし、同じフィールドに書き込むことができるようにした。また、タスクマネージャーも用意されている。

そして米国時間11月12日、Weflowはそのツールを一般公開するために、Cherry Venturesがリードしたプレシードで270万ドル(約3億円)を調達したことを発表した。Christian Reber(クリスチャン・レバー)氏、Sascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Chris Schagen(クリス・シャゲン)氏、Alexander Ljung(アレクサンダー・ユング)氏、Eric Quidenus-Wahlforss(エリック・キデナス・ウォルフォルス)氏、Andreas Bodczek(アンドリアス・ボドゼック)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Cherry VenturesのパートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は、創業者たちとはFyberの頃からの知り合いで、Weflowの話を持ちかけられたとき「この旅のサポートができてうれしかった」と話した。

デイムス氏は、Weflowのポートフォリオを見渡したとき、ほとんどのスタートアップが営業から始まっていて、営業ツールが「高価で不便」な場合は特に、そのプロセスを強化することは困難であることを指摘した。

そして「Salesforceの上に何かを構築することができれば、会社がどのような方向に進むことができるか、広いキャンバスが広がります」と付け加えた。「ジャニスとヘンリックは、ベンチャー企業のリターンを生み出すのに十分な大きさの分野で、ミッションを遂行しています。Salesforceは200億ドル(約2兆2780億円)の売上を上げており、それによって多くの新しいビジネスが生み出されています。インターフェイスを、これまで以上に使うのが楽しいものにすることで、顧客との時間をより長くとることができます」。

バステン氏とゼック氏はここ数カ月で10人のチームを結成した。現在、15社の共同開発パートナーが製品を試用中で、毎週数社ずつ追加されている。ゼック氏によると、この製品は来年初めに展開される見込みだ。

今回調達した資金は、マーケティングと製品開発への投資に充てる。Weflowは製品主導型で、ゆくゆくは無料版を提供する予定だとゼック氏は付け加えた。

「Salesforceについて誰と話しても、この問題は非常によく理解されています。ですので、私たちはこの問題を解決することに関心があり、良い出発点を持っているため、みんなを助けたいと思っています」とゼック氏は話した。

画像クレジット:Weflow / Henrik Basten and Janis Zech

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

Atlantic Labsが「気候」と「健康」に取り組む約130億円規模のフードテックファンドFoodLabsを設立

FoodLabsのクリストフ・F・メア氏とパトリック・フーバー氏(画像クレジット:Viktor Strasse)

テック業界が気候と持続可能性に軸足を移しつつあることを示す最新の兆候として、長年のテック投資家であるChristophe F. Maire(クリストフ・F・メア)氏が率いるベルリンのファンドAtlantic Labs(アトランティック・ラボ)の分社であるAtlantic Food Labs(アトランティック・フード・ラボ)が、食品、健康、持続可能性に関わるスタートアップに投資する1億ユーロ(約130億円)規模のフードテック専用ファンド「FoodLabs(フードラボ)」として再出発することとなった。

2016年に設立されたAtlantic Food Labsは、Infarm.com(インファーム.com)、SanityGroup.com(サニティグループ.com)、Formo.bio(フォルモド.bio)、Mushlabs.com(マッシュラボ.com)、Mitte.co(ミッテ.co)、Choco.com(チョコ.com)、Stenon.io(ステノン.io)、Gorillas.io(ゴリラ.io)などのスタートアップへの投資を行ってきた。FoodLabsは、この新しいファンドで、この分野にさらに力を入れていく。

知的財産と「農業、生産、流通、人の健康から廃棄物ゼロの分野まで、地球から地球へ、より効率的で持続可能な食品産業に向けたスケーラブルなデジタルビジネスモデル」に焦点を当てている。

メア氏は「食品産業は世界最大の産業であり、世界の温室効果ガス排出量の4分の1以上を占めています。食品の生産と消費の方法を、より効率的で持続可能なものへと変革することは、地球と人々に大きな影響を与えます。私たちは、テクノロジーと起業家精神が、現代の重要な課題に取り組むための鍵を握っていると強く信じています。フードファンドでは、より健康的な栄養価、持続可能な農業、食料へのアクセス改善への道を切り開く革新的な企業を作る最も野心的な創業者を支援します」と述べている。

私との電話で、彼はこう語っている。「5年前にFoodLabsを立ち上げたのは、食品産業は人間の健康に最も関連する産業の1つである一方、気候に最も無関係な産業の1つでもあると感じたからです。私は、今日の重要な問題を解決するために、起業家が力を貸してくれると信じています。当初の投資額は約1500万ドル(約16億9300万円)と比較的小規模なものでしたが、その過程で、私が想像していたよりもはるかに大きな可能性を秘めていることがわかりました。そこで今回、1億ユーロ(約130億円)のファンドを立ち上げました。私にはすばらしいチームと、このミッションに本気で取り組んでいる人たちがいます。これは、私のキャリアの中でも最高の活動だと思っています。ここはすばらしい空間で、とても魅力的です」。

新ファンドの最初の出資企業は以下の通りだ。

  • Foodji(ドイツ):新鮮で健康的な食品の持ち帰りを可能にするデジタルソリューション
  • Habitual(英国): デジタルヘルス関連のスタートアップで、糖尿病の改善を消費者に直接提供する
  • Kitch (ポルトガル):デリバリーサービスのためのソフトウェアを提供する
  • Klim (ドイツ):炭素農法で農業をより持続可能なものにすることを使命とする
  • getVoila(ドイツ): ヨーロッパのベストレストランの高級料理を我々のリビングルームに届ける
  • Microharvest(ドイツ)持続的に生産される栄養素やタンパク質へのアクセスを提供する
  • Myota(スイス):男性の健康に対する新たなアプローチを提供
  • Yababa(ドイツ):東洋料理のファストデリバリー企業
  • The Plate:料理創作プラットフォーム
  • Airfarm(ドイツ):農家向けにデジタルプラットフォームを提供するアグリテック企業

また、科学者を対象とした現地起業家プログラムの立ち上げも発表している。

メア氏は「私たちは、ヨーロッパがフードテック&アグテックのイノベーションの中心地になると強く信じています。ヨーロッパは、科学研究やエンジニアリングの専門知識では常に強みを持っていますが、起業家支援システムでは遅れをとっています。私たちの使命は、起業家精神、大学や研究機関の科学的ノウハウ、そして業界の主要企業を結集し、食品業界におけるイノベーションと持続可能性のための国際的なプラットフォームを構築することです」と述べている。

FoodLabsのゼネラルパートナーであるPatrick Huber(パトリック・フーバー)氏は次のように述べている。「ここ数年、私たちは、優れた企業を作るために参加してくれた科学者たちに感銘を受けてきました。科学者と起業家のコラボレーションが、フードバリューチェーンに抜本的なイノベーションをもたらす鍵になると強く信じています」。

メア氏は「私たちはまず、より多くの炭素を回収できる農業や農法から始めます。例えば、パーマカルチャーに力を入れている会社がありますが、これは一般に想像されているよりもはるかに大きなことだと思います。また、水産養殖、新たなタンパク質、新たな生産方法、新たな流通方法にも注目しています。その他クイックコマース、現地調達、新しい消費者行動など、食と健康についてです。というのも、この分野の魅力は、起業家側からの働きかけだけではなく、消費者側からの働きかけが非常に大きいからです」。と語ってくれた。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

テスラがベルリンのギガファクトリーで巨大イベント、12月の生産開始を発表

Tesla(テスラ)CEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間10月9日、ベルリンの新しいギガファクトリーで大パーティーを開催し、まばゆい照明とテクノミュージックから観覧車、回転木馬、アーケード、ベジタリアン・フード・トラックまでを揃えた会場で、環境保護団体による訴訟で紛争中の工場における生産開始を発表した。

「私たちは数カ月以内、基本的に11月か12月の生産開始を目指しており、最初の12月中に最初の車両を出荷できることを願っています」とマスク氏がイベントで話し、数千人のファンの喝采を浴びた。「ただし、生産の開始はどちらかというと簡単な部分です。難しいのは大量生産につなげることです」。

量産は週に5000台か「願わくば1万台」とマスク氏はいう。同工場ではModel Y、およびバッテリーセル数百万個を生産する予定だ。Teslaは、300ヘクタールの施設に隣接する50GWh(ギガワット時)のバッテリー工場に58億ドル(約6520億円)を投資する計画を提示しており、マスク氏は年内のバッテリーセル量産開始を約束した。Volkswagen(フォルクスワーゲン)が計画するザルツギッター工場の生産能力は40GWhを予定している。

ベルリン-ブランデンブルクのTeslaギガファクトリー建設は、2年前に例外的な手続きによって当局の承認を得たのち、環境の懸念から最終承認を妨げていた地元の反対にも関わらず、ほぼ完成している。マスク氏の法外なイベントからは、現地の人々を取り込もうとする意図が感じられ、 「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」で、新たな別世界の扉を開くために、独立記念日の祭典を行って土地を貸しているロシア人たちの票を獲得し注意をそらそうとしたクライン市長の漫画的な行動を思い起こさせる。

2021年6月、フィンランドの政党である緑の同盟とブランデンブルク自然生物多様性保護連合は、環境破壊の懸念から工場の塗装部門、鋳造部門、プレス部門の機械試験の即時中止を求める訴訟を起こした。 2020年、複数のNGOが近隣の絶滅危惧種のトカゲとヘビの自然生息地を保護するために差止命令を要求した。

地元民は、オンライン住民協議プロセスで検討されている800件以上の苦情を提出しており、10月14日に締め切られる、とBloomberg(ブルームバーグ)は伝えている。それが過ぎてから環境当局による最終決定が下される。

こうした反対にも関わらず、Teslaの工場が認可される可能性は95%だとブランデンブルク州経済相は言っている。このTesla工場は、現在ヨーロッパ全体から広く雇用しており、ドイツ東部の主要な景気刺激策であると見ている多くの政党が賛成している。

マスク氏は批判派に対し、工場の水の使用は「比較的少なく」、バッテリー生産は「持続可能」であると言って工場を擁護した。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

写真とボイスチャットを組み合わせた「話す写真」のメッセージアプリZebraが約1.2億円調達

Clubhouseからヒントを得て開発された音声ベースのソーシャルアプリ「Zebra」は、親しい友人や家族と連絡を取るための新しい方法となる。Zebraは、動画を使わずに、その場で写真を撮って、それに音声を付けて送ることができる。

Zebraは、非同期型の共有に重点を置いている、ユーザー同士がすでにアプリ上でつながっている場合は、お互いに電話をかけることもできる。つまり、友達に近況を伝えたいときに、Instagramの広告だらけで際限のないフィードに辟易することなく、楽しくカジュアルに連絡を取ることができるだ。

現在、Zebraはベルリン在住のプロダクトデザイナーであるCEOのDennis Gecaj(デニス・ゲカイ)氏と、Zebraのエンジニアリング責任者でありSnapchatでSnap Mapsを担当していたAmer Shahnawaz(アメル・シャナワズ)氏の2名によるものだ。今回のプレシード資金は、Redditの共同創業者であるAlexis Ohanianが2021年6月に発表したフレッシュなアーリーステージのベンチャー企業Seven Seven Sixが主導した。

Ohanianは「オーディオ革命の真っ只中にあることは周知の事実であり、オーディオファーストのソーシャルプラットフォームやコンテンツが次々と登場しています」と述べ、Zebraの写真と音声のユニークな融合に注目しているとしました。

ゲカイ氏は音声ベースのソーシャルネットワーキングは、テキストが主流のプラットフォームよりもはるかにリッチな選択肢だ。Instagramなどでは音声メッセージが可能で、技術的にはカメラを無効にして音声通話ができるが、通常、音声は動画の脇役になる。しかし、ビデオ通話はより負担が大きく、また画面の前から動くことができないという点もある。パンデミックが長引くにつれて多くのZoomカメラがオフラインになっていったのは偶然ではない。

ゲカイ氏が「大きなインスピレーション」と呼ぶClubhouseとは異なり、Zebraは身の回りの人たちのために作られたソーシャルオーディオです。GecajはTechCrunchの取材に対し「元通りの生活になっていく中で非同期型のフォーマットにはすばらしい可能性があると考えました」と述べている。

ゲカイ氏によれば、Zebraの「話す写真」により、集合的想像力が掻き立てられ、早期成長を自然な形で実現できる可能性があるとされている。また、Zebraをダウンロードすれば誰でも、連絡先リストを共有せずして友人を招待することができる(もちろん、誘う友人がいなければアプリの意味はないが)。Zebraのインターフェイスはクリーンかつわかりやすく、プロセスはスムーズで、メニュー画面を掘り下げていくような煩わしさもない。

Zebraのアイデア、つまりZebraをZebraたらしめることとは、自分たちが話していることを見るのは楽しいということだ。別のメッセージアプリを見てみると、写真を送ってそれからすぐにボイスメッセージを送る必要がある。しかしZebraなら、写真の送信がメインとなる。アプリは写真を撮りたいと思ったときにカメラにアクセスし、写真を撮って、それと一緒にちょっとしたボイスメッセージを録音し、これを友人や家族に送信することができる。

Zebraでは、別のアプリのダウンロードをユーザーに勧めることについての心配もありません。ゲカイ氏は、友人同士が連絡を取り合うために作られたソーシャルプラットフォームであっても、クリエイターやオーディエンスが徐々にソーシャルプラットフォームの注目を集めるようになれば、自然に分化が起こるとしている。

ゲカイ氏はTechCrunchの取材に対し「エンターテインメントを楽しむためのクリエイター向けプラットフォームと、友人と過ごすためのプラットフォームが分かれているのがトレンドだと思います」と述べています。

その上で、Zebraが焦点を当てている音声と写真の2つはプラットフォームが重視していないかまたは意識的に切り捨てているSNSの2つの側面であるとしており、このために、動画にそれほど興味がない人にとってZebraが魅力的なものになる可能性があるとしている。

「テキストメッセージには、声のような感情が感じられないのではないでしょうか。そして声は、これまでとても蔑ろにされてきたものでもあります。声は本当は情報量の多いリソースであり、他の媒体では語れないことを声にできることは、大いなる可能性を秘めているのです」とゲカイ氏はいう。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

ベルリンの電動自転車サブスクDanceがサービス開始から数週間で約21.6億円を調達

ドイツのスタートアップ企業「Dance(ダンス)」は、新たに1940万ドル(約21億6000万円)の資金を調達した。このニュースは、同社がベルリンで電動自転車のサブスクリプションサービスの展開を開始してからわずか数週間後に発表された。

今回の資金調達では、Eurazeo(ユーラゼオ)が主導している。HV Capital(HV キャピタル)とBlueYard(ブルーヤード)も出資しており、Offline Ventures(オフライン・ベンチャーズ)のDave Morin(デイブ・モリン)氏とJames Higa(ジェームス・ヒガ)氏、Nicolas Berggruen(ニコラス・ベルグリューン)氏、Roxanne Varza(ロクサーヌ・ヴァルザ)氏、Verena Pausder(ヴェレナ・パウザー)氏も参加している。

関連記事:独Dance、初期費用ゼロでeバイクが欲しい人向けに修理・メンテナンス込みサブスクサービスを開始

なお、知らない人のために、Danceは「Dance One(ダンス・ワン)」という独自の電動自転車をデザインしている。カーボンベルト、油圧ディスク、スマートフォン用マウント、取り外し可能なバッテリーを搭載しており、見込み走行可能距離は55kmだ。

顧客は自転車を直接購入することはできない。その代わりに、月額79ユーロ(約1万280円)で加入することができる。その後は、何の心配もなく利用することが可能だ。自転車がパンクしたり、その他の問題が発生した場合は、Danceが技術スタッフを派遣して修理もしてくれる。

長期の契約はない。つまり、Danceの自転車は、数カ月または数年でも、レンタルすることができるということだ。普段あまり自転車に乗らないという人にとっては、とてもありがたいサービスだろう。自分の自転車を購入する前に、長い目で見て自転車に乗りたいと感じるかどうかを確認することができるのだから。

自転車のデザインが完成した今、同スタートアップはサービスを展開開始しなければならない。現在、ベルリンの街中には「数百台」のDanceの電動自転車が走っており、これはまだ始まりに過ぎない。

しかし、今日の資金調達は、オペレーションとエンジニアリングの分野で新たな人材を採用し、チームの規模を2倍にすることを計画しているDanceにとって有益なものとなるだろう。Danceは、2022年からヨーロッパのより多くの都市に進出する予定だ。

画像クレジット:Dance

画像クレジット:Dance

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

独Xaynが広告を表示させずにプライバシーを保護できる検索ツールのウェブ版を発表

ベルリンを拠点とするスタートアップ企業Xayn(ゼイン)は、Googleのようなアドテック大手のトラッキングやプロファイリングを利用せずに、プライバシー保護とパーソナライズを両立させた広告のない検索サービスを提供している(2020年のTechCrunchの記事を参照のこと)。同社はその製品の提供範囲を拡大し、ウェブ版(現在はベータ版)を発表した。

関連記事:オンデバイスAIでプライバシー保護とパーソナライズを両立させる検索エンジン「Xayn」

同社がモバイルアプリと同様の機能を持つ「light web version」と説明しているウェブ版「Xayn WebBeta」は、あるコンテンツに「興味がないことを意思表示するためにスワイプ」できないといった点がXaynのモバイルアプリとは異なる。

ブラウザのように見えても、Xayn自体はブラウザとも少し違う。同社が「ブラウジングエンジン」と称するXaynでは、プライベート検索だけでなく、ディスカバリーフィード(ニュースフィード)の形でコンテンツを整理して表示することで、アプリ内でブラウジングすることができる。

デスクトップのブラウザでXaynを読み込むと、XaynのAIがフィードで何を表示するかを判断するために、短いタイムラグが発生する(モバイルでも同様)。Xaynを最初に起動したとき(すなわち、AIがゼロからコンテンツをユーザーの地域に合わせてローカライズしているとき)は、すでにユーザーが何回かXaynにアクセスしてユーザー固有の閲覧シグナルをAIが利用できるときを比べて、わずかに長く時間がかかるようだ。

ウェブ版のXaynでは、コンテンツの左右に緑(好き)またはピンク(嫌い)のバーが表示されている。そのバーの横にカーソルを合わせるとホップアップ表示される、上向き(または下向き)の親指のアイコンをクリックすることで、特定のコンテンツに対する「評価する」または「評価しない」のシグナルを送ることができる。左クリックだけで「いいね!」できる、という仕組みだ。

また、フィードを増やしたくない場合は、フィードをオフにして、起動時に検索バーだけを表示させることもできる。

デフォルトでは、検索結果はコンテンツペインに、ニュースフィードと同じような長方形のグリッドで表示される。情報を求めているユーザーにとっては、少しばかり情報密度が足りないだろうか。

Xaynウェブ版(ベータ版)の検索結果ページのサンプル(画像キャプチャー:Natasha Lomas / TechCrunch)

Xaynの学習AIは、右上の「脳」のアイコンをクリックすれば、いつでもオフにすることができる。オフにすると、ユーザーが閲覧しているものが、ユーザーに表示されるコンテンツ(フィードのコンテンツと検索結果の両方)を決定するAIの学習に使用されないようになる。

全体をまっさらな状態に戻したい場合は、手動で閲覧データを消去して学習をリセットすることもできる。

ユーザーに魅力的なもう1つの要素はXaynには広告が表示されないことだ。DuckDuckGoやQwantのような他の非追跡型プライベート検索エンジンは、コンテクスト広告を表示することで収益を上げているが、Xaynには広告がない。

さらに同社は、検索業界の常識にとらわれずに、Xayn AIの検索アルゴリズムをオープンソースで提供している。

他にもウェブ版のXaynには、クリック1つで関連コンテンツが表示される「ディープサーチ」や「コレクション」というブックマークのような機能がある。ユーザーは「コレクションを作成、コンテンツを追加、管理することで、お気に入りのウェブコンテンツを集めて保存することができる」という。

Xaynは広告を表示しないだけでなく、広告ブロッカーを搭載し、第三者のサイトに表示される広告をブロックして「ノイズのない」ブラウジングを実現している。

Xaynのウェブ版は、ChromiumベースのブラウザとFirefoxにのみ対応しているので、Safariユーザーはサポートされたブラウザに切り替えてXaynを使用する必要がある。

同社によると、2020年12月に発表されたXaynのモバイルアプリは、その後世界中で25万回以上ダウンロードされている。

Xaynのモバイルアプリでは、発表から3カ月後には毎日10万以上のアクティブ検索が行われ、Xaynはブラウジングデータとユーザーの興味を示すスワイプを取り込み、このツールの価値提案の中核であるパーソナライズされたコンテンツの検索のためのAIをトレーニングし、改善している。この学習と再評価はすべてデバイス上で行われ「Xaynはユーザーごとの検索結果のプライバシーを保護している」とアピールできる材料になっている。

また、フィルターバブル(泡の中にいるように、自分の見たい情報しか見えなくなること)効果を避けるために、Xaynの検索結果には意図的な変化が加えられ、アルゴリズムが常に同じものばかりをユーザーに提供しないようにしている。

Xaynのウェブ版もモバイル版も、Masked Federated Learning(保護されたフェデレーテッドラーニング(連合学習))と呼ばれる技術を用いて、ユーザーのプライバシーを損なうことなく、ユーザーにパーソナライズされたウェブエクスペリエンスを提供している。

もちろんGoogle(グーグル)も独自の広告ターゲティング技術の改善に取り組んでいて、現在、広告ターゲティングのためにブラウザユーザーをインタレストバケットに分類するFloC(コホートの連合学習)と呼ばれる技術を試験的に導入し、トラッキングクッキーを廃止しようとしている。しかし、Xaynとは異なり、Googleのコアビジネスはユーザーをプロファイリングして広告主に販売することだ。

共同創業者でCEOのLeif-Nissen Lundbæk(レイフニッセン・ルンドベーク)氏は声明で次のように述べる。「私たちは、誤ったプライバシーと利便性のジレンマへの直接的な対応としてXaynを開発しました。このジレンマを解決できることはすぐに証明されました。ユーザーはもはや敗者ではありません。実際、私たちのすばらしいエンジニア&デザイナーチームは、アップデートのたびに、プライバシーや品質、優れたユーザーエクスペリエンスがいかに密接に結びついているかを繰り返し実証してくれます」。

「私たちは既存のものをコピーするのではなく、じっくりと検討して新しいものを作りたいと考えました。Xaynでは、積極的にウェブを検索したり、インターネット全体からパーソナライズされたコンテンツを提案するディスカバリーフィードを閲覧したりして、インターネット上のお気に入りのサイトを見つけることができます。どちらの方法でもユーザーのプライバシーは常に保護されます」。

デザイン部門の責任者であるJulia Hintz(ジュリア・ヒンツ)氏も、別の声明で次のように付言している。「Xaynのウェブ版を開発するにあたり、Xaynアプリの成功につながったすべての要素をデスクトップのブラウザウィンドウで利用できるようにしました」。

「ウェブ版にもプライバシーを保護するアルゴリズム、直感的なデザイン、スムーズなアニメーションが採用されています。ユーザーは、慣れ親しんだ環境から切り離されることなく、モバイルとデスクトップを簡単に切り替えることができます。これこそが、シームレスで強いインタラクションの鍵となる、Xaynのすばらしい利点です」。

ウェブ版のXaynでは、ユーザーの個人情報はブラウザ内に保存されるという。

ウェブ版のセキュリティについては、広報担当者が次のように話す。「デスクトップパソコンは、一般的にスマートフォンよりも安全性が低いといわれています。Xaynはプライバシー保護のために、分散型の機械学習と暗号化を組み合わせて個人データを保護しています。純粋に技術的な観点から見ると、Xaynはデスクトップデバイス上のブラウザの中のブラウザです。Xaynはそれぞれのブラウザのサンドボックス内で動作し、個人データを第三者の不要なアクセスから保護します」。

Xaynは今後、プライバシーを保護しながらパーソナライズされたブラウジングを同期する機能を追加する予定で、オンラインであればどこからでも、モバイルとデスクトップの複数のデバイスでAIの学習結果を享受できるようになる。

ブラウザでwww.xayn.comにアクセスすれば、Xayn検索エンジンのウェブ版(ベータ版)をデスクトップパソコンで確認できる。

Xaynは2021年8月、日本のベンチャーキャピタルGlobal Brain(グローバル・ブレイン)とKDDIが主導し、ベルリンのEarlybird VC(アーリーバードVC)などの既存の支援者が参加したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達。累計調達額は2300万ドル(約25億円)を超えた。同社が日本をはじめとするアジアに注目しているのは確実だ。

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画像クレジット:Xayn

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

ノーコードで非技術者でも使えるコンピュータービジョンを提供するMobius

ベルリンのMobius Labsが、同社のコンピュータービジョン訓練プラットフォームの需要増に応えるために、520万ユーロ(約6億8000万円)の資金調達を完了した。このシリーズAの投資ラウンドをリードしたのはVentech VCで、これにAtlantic LabsとAPEX Ventures、Space Capital、Lunar Ventures、および一部のエンジェル投資家が参加した。

ユーザーは同社が提供しているSDKにより、若干の訓練データのあるカスタムのコンピュータービジョンモデルを自分で作ることができる。一般的な類似製品として売られているソフトウェア製品には、ユーザーの特殊なユースケースに応じた細かいカスタム化ができないものが多い。

また同製品は「ノーコード」を謳っており、非技術系のユーザーでも使えるという。

Mobius LabsのプラットフォームはSDKであり、オンプレミスでもオンデバイスでもどちらでもデプロイできる。顧客がクラウドサービスに接続してAIツールを利用する、というタイプの製品ではない。

CEOでチーフサイエンティストのAppu Shaji(アップ・シャジ)氏は、次のように語る。「弊社のカスタム・トレーニング・ユーザー・インターフェースは、極めてシンプルで使いやすく、事前に何らかの技術知識を必要とすることはまったくありません。このところ私たちの目に入ってくるトレンドは、AIから最大の価値を引き出せるのは技術系の人間ではない、ということです。むしろ多いのは、報道やクリエイティブエージェンシーで仕事をしているコンテンツマネージャーや、宇宙企業のアプリケーションマネージャーなどです。日常的に、視像(ビジョン)の最も近いところにいるのが彼らであり、彼らはAIのエキスパートやデベロッパーチームが助けに来るのを待たずに仕事をしています」。

2018年に創業したMobius Labsでは、現在、30社の顧客企業がそのツールを使ってさまざまなユースケースを実装している。その用途は、カテゴリー分類やリコメンデーション、予測、そして一般的に「ユーザーやオーディエンスを彼らのニーズに合った視覚的コンテンツに接続する」ことだ。当然のことながら、報道や放送、ストックフォトなどの利用が多いが、実際には同社ユーザーの業界はもっと多様で、それぞれが同社の成長に寄与している。

ユーザー企業の規模も多彩で、スタートアップや中小企業もいる。ただしメインは、大量のコンテンツを扱うグローバルなエンタープライズだ。そのため、今でもメディアやビデオ関連の利用が最も多い。しかしながらそれでも、現在の同社は地理空間情報や地球観測といった多様な業種をターゲットとして狙っている。

現在の社員数は30名だが、過去1年半で倍増している。今度の資金で、今後1年以内にさらに倍増し、特にヨーロッパと米国を中心に地理空間情報方面の顧客を開拓したい、という。売り上げも前年比で倍増しているが、顧客をより多分野に広げることにより、さらなる増大を狙っている。

「主な対象業種はビジュアルデータの扱い量が多い業種です。ビジュアルデータの扱い量が多いという点では、地理空間情報の分野を逃すべきではありません。しかし、彼らが持つ膨大な量の生のピクセルデータは、写真などと違って他の役には立たないものだけどね」とシャジ氏はいう。

「彼らが私たちのプラットフォームを利用する例として、川に沿った地域の広がりを調べたければ、衛星からデータを集めて、それらを整列しタグづけして分析するだろう。今はそれを、手作業で行っている。私たちが開発した技術を、いわば軽量級のSDKとして使えば、それを衛星上に直接デプロイして、機械学習のアルゴリズムで分析できる。現在、実際に私たちはそのような観測画像分野の衛星企業と一緒に仕事をしています」。

シャジ氏が主な競合他社として挙げるのは、ClarifaiGoogle Cloud Vision APIだ。「どちらも大きくて強い相手ですが、彼らにできないことが私たちにはできます。彼らのソリューションと違い、私たちプラットフォームはコンピュータービジョンの専門家でない人が利用できる。機械学習のモデルの訓練を、技術者でない人が誰でもできるようになれば、コンピュータービジョンに誰もがアクセスでき、理解できます。仕事の肩書はなんでもいい」とシャジ氏はいう。

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「もう1つの重要な差別化要因は、クライアントデータの扱い方です。私たちはソリューションをSDKの形で提供するため、オンプレミスで完全にローカルにクライアントのシステム上で動作します。データが、当社に戻ってくることはありません。私たちの役割は、人々が自分でアプリケーションを構築し、自分たちのものにできるようにすることです」。

コンピュータービジョンのスタートアップはここ数年、買収のターゲットとして人気がある。一部のITサービス企業は「コンピュータービジョン・アズ・ア・サービス」を看板に掲げるスタートアップを買って自分のメニューを増やそうとしている。またAmazonやGoogleのような巨人は、自前のコンピュータービジョンサービスを提供している。しかしシャジ氏によると、この技術は今までとは異なる段階にあり、「大量採用」の準備が整っていると指摘している。

「私たちが提供しようとしているのは、技術者に力をつけるソリューションではなく、クライアント自身がアプリケーションを自分で作れるためのソリューションです」とシャジ氏は現在の競合状況についていう。「私たちのソリューションはオンプレミスで動き、私たちがクライアントデータを見ることはないため、データのプライバシーも完全です。しかも軽量級の使いやすいソリューションであるため、スマートフォンでもラップトップでも、あるいは衛星上でも、さまざまなエッジデバイスにデプロイできます」。

投資家を代表してVentech VCのパートナーStephan Wirries(ステファン・ウィリーズ)氏は次のように語っている。「Mobius LabsのAppuと彼のチームは、コンピュータービジョンの分野では他に類のないものです。そのSuperhuman Visionと呼ばれるプラットフォームは、感動的なほど革新的であり、新しいオブジェクトを見つけるための訓練が比較的簡単にできるし計算効率もいい。今後さまざまな産業がAIによって変わっていく中で、Mobius Labsはヨーロッパのディープテクノロジーの革新的なリーダー兼教育機械にもなることができるだろう。

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画像クレジット:Yuichiro Chino/Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

独Dance、初期費用ゼロでeバイクが欲しい人向けに修理・メンテナンス込みサブスクサービスを開始

ドイツのスタートアップ企業Dance(ダンス)は、地元ベルリンでサブスクリプションサービスを開始する。月々79ユーロ(約1万260円)の定額料金で、ユーザーは自分専用のカスタムデザインeバイク(電動アシスト自転車)を借り、オンデマンドの修理・メンテナンスサービスを利用できる。

SoundCloud(サウンドクラウド)とJimdo(ジンドゥー)の元創業者たちによって設立されたこの会社は、サービス開始前に多額の資金調達に成功した。同社のシードラウンドはBlueYardがリードし、HV Capital(旧社名:HV Holtzbrinck Ventures)が1500万ユーロ(約19億5000万円)のシリーズAラウンド(当時の金額で1770万ドル)をリードした。

Danceがこれほど多くの資本を必要とした理由は、同社が独自のeバイクを社内で設計したからである。「Dance One」と名付けられたこの電動自転車は、アルミフレームを採用し、重量は約22kg。シングルスピードで、電動モーターの力で0〜25km/hの速度で走行できる。

一番いいところは、リチウムバッテリーを取り外して家の中で充電できる点だ(VanMoofのeバイクではできない)。これにより、自転車ごと階段を上る必要がない。アパートに住んでいる人にとってはありがたい機能だ。ユーザーは、目安として55km走行したあとはバッテリーを充電することになる(フル充電で約65kmの走行が可能)。

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画像クレジット:Dance

Dance Oneはカーボンベルトを採用しているため、メンテナンスがほぼ不要だという。自転車の前方にはスマートフォン用のマウントが組み込まれており、このタイプのマウント用に設計された一般的なケースに対応している。電動アシストのレベルは、ハンドルバーのボタンで操作できる。高アシスト、低アシスト、アシストなしの3種類のモードがある。

バイクの前後にはライトが装備されており、こちらもボタンで操作できる。ブレーキには油圧ディスクを採用している。オプションで、自転車の後ろにバスケットやサドルバッグを付けることもできる。

VanMoofやCowboyのような他の人気eバイクと同様に、Danceのeバイクもモバイルアプリからロック・アンロックが可能だ。同社では、GPSとBluetoothチップを自転車のフレームに組み込んでいる。もちろん、スマートロックに加えて従来のロックも使用するべきだが。

理論上は、街乗りに適したeバイクのように見える。ユーザーは月々79ユーロ(約1万260円)を支払うことで、自転車を利用できるようになる。契約期間のコミットメントや初期費用はない。夏の間だけ利用したい場合は、そうもできる。また、自転車にトラブルが発生した場合には、同社がメカニックを派遣して修理してくれる。

Danceは数百人のベータユーザーとともにサービスを試してきたが、現在は「数千台」の自転車が新規ユーザーのために用意されているという。今のところベルリンを中心に展開しているが、将来的にはドイツやヨーロッパの他の都市にも拡大していく予定だ。

Danceは、SwapfietsやパリのVéligoなど、ヨーロッパ各地にあるいくつかのサービスと競合していく。また、Lime(ライム)のようなオンデマンド型のシェアサイクルや、ヨーロッパの各都市が主導する官民一体のバイクシェアリングサービスとも間接的に競合することになる。もちろん、最終的には自分でeバイクを購入する人もいる。

それを考慮してもDanceは、魅力的な自転車とエンドユーザーにとっての柔軟性を備えた、よくできた製品だと思う。シームレスなエンド・ツー・エンドの体験を求めているユーザーを、このスタートアップは問題なく見つけられることだろう。

画像クレジット:Dance

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画像クレジット:Dance

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

情報通(informed.)になりたい?欧州メディアのベテラントリオがニュースメディア業界の問題に挑む

ニュースは社会にとって欠かせないものだが、その制作には驚くほど費用がかかる。広告料金が業界全体で低下しているため(今夏は明るい兆しがない)、パブリッシャーは収支を合わせるためにペイウォールに頼るところが増えている。唯一の問題は、読者が人類全体の思考を渡り歩くことを可能にしたオープンなインターネットが、怒れる番人によって閉ざされた塀で囲まれている庭の連なりに変化したことだ。筆者が3年前に語ったサブスクリプションの地獄は、実際に加速する一方だ。

地獄の修復にはそれなりの努力が必要だが、欧州のニュースやメディアに精通した3人のベテランが、これに挑戦しようとしている。

Benjamin Mateev(ベンジャミン・マテフ)氏、Martin Kaelble(マーティン・ケイルブル)氏、Axel Bard Bringéus(アクセル・バルド・ブリングェウス)氏が共同でinformed.(公式ブランディングは大文字なし、ピリオド必須)をローンチした。ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、著名な有料ニュースサービスの上位レイヤーになりたいと考えている。Read Listと呼ばれる、ニュースやオピニオン記事のキュレートされた「プレイリスト」と読者を結びつけ、オリジナルのサマリーで補強する。同社は1月に設立され、現在はベータ版だ。ローカルショップの468 Capitalから「現代の標準ではかなりのプレシード」を調達している。

興味深いのはそのチームである。ブリングェウス氏は以前Spotifyに6年間在籍し、同社の急速な海外展開の中で最終的にはグローバルマーケットの責任者を務めた。直近では、欧州の有名企業EQT Venturesのディールパートナーを務めている。一方、マテフ氏は、Microsoftの買収によってToDoリストプラットフォームWunderlistのリードエンジニアとなり、オピニオンニュースサイト The Europeanの製品責任者を務めた。ケイルブル氏はCapitalなどで長年にわたりビジネスジャーナリストを務めてきた。

informed.の創業者マーティン・ケイルブル氏、ベンジャミン・マテフ氏、アクセル・バルド・ブリングェウス氏(画像クレジット:informed.)

さまざまなキャリアで成功を収めてきたこのトリオは、一歩離れた視点で、2021年付近のニュース業界の多様な課題を解決する方法を模索した。彼らは「ダイアリースタディ」を実施し、人々にニュースの中で何を読んだかを追跡するよう求め、何千人もの人々を対象に調査を実施した他、メディア幹部や投資家とも話し合いを持った。

その結果、メディア企業のペイウォールはここ数年ほぼ成功しているが、コア読者がサブスクリプションを購入しているため、その成長は鈍化していることがわかった。「新型コロナウイルス以降、そしてトランプ政権以降、ほぼすべてのパブリッシャーがペイウォール戦略で壁に直面しています」とブリングェウス氏はいう。「彼らの多くは自社のコンテンツを自分たちのコア地域で直接収益化することができているので、私たちのような非競合的なサードパーティと協力することに非常に前向きです」。

同時に、Z世代の若者たちは質の高いニュースを熟読したいと思うようになっているが、有名サイトのいくつかで法外な購読料を支払うための手段を欠いている。「彼らは読みたいと思っていますが、経済的に余裕がありません」とマテフ氏。筆者は幾分懐疑的に、私たちの華々しい子孫たちがバイラルなTikTokで質の高いニュースを読みたいと思っているかどうか尋ねたが、マテフ氏は、同社のエビデンスはイエスを強く示していると語った。「そこに興味深いものがあります【略】古いパブリッシャーは、若い人たちの間で高い評価を得ています」。

Informed.はThe Washington Post、The Economist、Financial Times、Bloombergと協力しており、これらの情報源からの記事をRead Listにまとめ、独自のニュースサマリーをイベントに追加する。例えばある日のプラットフォームには、カブール空港からの最新ニュースだけでなく、この中央アジアの国の危機の歴史と展望を語る厳選された深堀り記事やオピニオン記事が含まれた、アフガニスタンに関するRead Listがあると想像できるだろう。「スナック程度でもいいし、望むなら食事としても味わうことができます」とブリングェウス氏はその設計について表現した。

同氏の馴染み深いSpotifyのプレイリストとの類似点はあるが、ニュースは音楽のような性質を持つものではないと指摘する。「ニュースでは、すべてのニュースが必要というわけではありません。また、ニュースは傷みやすいので、クラスタ化する必要があります」。

informed.のロゴとブランディングデザイン(画像クレジット:informed.)

同社はモバイルファーストのプロダクトを年内にローンチする予定だが、ベータテストには今すぐ登録可能だ。最終的に同社は、自社のニュースサマリーを無料で提供する一方で、すべてのライセンスコンテンツを有料で提供するフリーミアムモデルを追求しようとしている。チームは価格設定をテスト中で、現時点ではローンチ価格を決定していない。

これは、過去のスタートアップたちや、あらゆるiOSデバイスに足がかりを持ちながらほとんどユーザーの支持を得られていないApple News+のような大規模企業のイニシアティブの墓石が乱立する領域に挑む、大胆なイニシアティブだ。その痛ましい歴史はさておき、ここでの希望はタイミングが味方をしていることだ。新世代のニュース読者は品質を強く求めており、パブリッシャーはトランプ後のニュース界での成長と引き換えに、オーディエンスに対するコントロールを手放す準備ができている。成功すれば、同社は間違いなく第一面のニュースになるだろう。

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画像クレジット:fpm / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

コロナ禍でも4〜12歳の子どもたちに少人数で質の高いオンライン教育を提供するbina、孫泰蔵氏も投資

新型コロナウイルス感染流行の影響で学校が閉鎖され、初等教育への深刻な被害が懸念される中、この分野に続々とEdTech(教育テクノロジー)企業が参入してくるのは当然と言える。しかし、それは同時に、初等教育の惨状を浮き彫りにするものでもある。World Bank(世界銀行)によると、全世界で約4000万人の教師が教育現場から離れているという。15億人の初等教育課程にある子どもたちのうち、質の高い教育を受けられる子どもはごくわずかであり、世界には約5800万人の初等教育を受けられない子どもたちがいて、そのほとんどが女児である。

だから、このような幼少期にオンラインで教育を受けられる機会を広げ、状況を変えることは非常に大きな意味がある。なぜなら、オンラインではクラスの人数を減らし、授業の質を向上させることが可能だからだ。

これが、自ら「デジタル初等教育エコシステム」を謳うbina(ビナ)という企業の元になる考え方だ。ドイツのベルリンを拠点とする同社はこの度、4歳から12歳までの児童にオンライン教育を行うことを目的に、140万ドル(約1億5300万円)の資金を調達した。

今回の資金調達ラウンドは、日本の億万長者の1人である孫泰蔵氏が主導した。他の投資家やアドバイザーには、分散型プロトコルのPolkadot(ポルカドット)を開発したParity Technologies(パリティ・テクノロジーズ)の創業者Jutta Steiner(ユッタ・シュタイナー)氏や、英国の元教育大臣のLord Jim Knight(ジム・ナイト卿)などが名を連ねている。

Binaの特長は、6人という非常に少人数のオンラインクラスの規模(経済協力開発機構のデータによる世界平均の3分の1)であることだ。

さらに同社は、国際標準をカバーする「適応性の高い学習方針」、8年以上のデジタル教育経験を持つ教師、データに基づいた教育的アプローチの決定などを誇る。

binaの創業者でCEOを務めるNoam Gerstein(ノーム・ガーシュタイン )氏は次のように述べている。「私は世界中の生徒、教師、保護者に長年インタビューしてきましたが、新しいシステムのデザインが必要であることは明らかです。当社の創業家とともに、私たちはすべての子どもが質の高い教育を受けることができ、教育者のスキルが評価され、それを継続的に発達させることができ、親が仕事と家庭生活のどちらかを選ぶ必要のない世界を築いていきます」。

また、ガーシュタイン氏によれば、同社は学校とともに成長する児童に、会社の株式(RSU)を付与しているという。現在は中央ヨーロッパ時間の英語を話す児童向けに授業を提供しているbina Schoolは、政府、NGO、学校組織向けのSaaS製品を計画している。

「私たちは現在、Outschool(アウトスクール)、Pearson Online Academy(ピアソン・オンライン・アカデミー)、Primer(プライマー)、Prisma(プリズマ)といった企業と競合しています」とガーシュタイン氏は電話で話してくれた。「これらの大手企業とは2020年からの第1段階で競合しています。しかし、私たちは戦略を2つの段階に分けて構築しています。第1段階は実際にスクールを構築し、それを『実験的』スクールとして運営すること。そして第2段階は、私たちが『サービスとしてのbina』と呼んでいるもので、SaaS、つまり『サービスとしてのスクール』です。これはNGOや政府と協力して、授業システムや教師の認定、トレーニング、ライセンス供与を行うというものです。この2つ目の部分では、私たちは実際に大規模な学校認可システムと競合するわけです」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:binaベルリン子ども教育資金調達

画像クレジット:bina team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

サブスクで好きな都市へ気軽に移り住める、職場と住居一体シェアハウス「コリビング」の独Habytが約26.2億円調達

WeWorkが登場したとき、他の起業家たちはそのモデルを見て「コワーキングを不動産に適用できるなら、コリビング(職住一体型のシェアハウス)にも適用できるのではないか」と考えた。その結果、米国ではCommon(コモン)が登場し、アジアではHmlet(ハムレット)が現れた。一方EUでは「Habyt」が立ち上げられ、すでに競合のQuarters、Goliving、Erasmo’s Roomを吸収している。

今回Habytは、2000万ユーロ(約26億2000万円)のシリーズBラウンドをクローズし、2016年にSebastian Wuerz(セバスチャン・ウエルツ)氏によって設立されたもう1つの競合企業「homefully」と合併した。このラウンドには、HV Capital(旧Holtzbrink Ventures)、Vorwerk Ventures、P101、Picus Capitalが参加した。

2017年にLuca Bovone(ルカ・ボヴォーネ)氏がベルリンで設立したHabytは、これにより6カ国、15都市で5000以上のユニットを持つことになる。合併後の会社は、仕事や都市を頻繁に移動する20歳から35歳までの若いプロフェッショナル向けに、テクノロジーを駆使したユーザーエクスペリエンスとコミュニティへの注力とともに、家具とサービスが完備された居住ユニットを提供する。

Habytの創業者兼CEOであるルカ・ボヴォーネ氏は次のように述べた。「この1年半、当社はすばらしい旅をしてきました。完璧とはいえない市場環境にもかかわらず、M&A戦略の成功により大きな成長を遂げることができました。その結果、当社はヨーロッパにおけるこの分野のリーダーの地位を獲得し、まだまだ多くの可能性を秘めています。今回の2000万ユーロ(約26億2000万円)のシリーズBラウンドは、有機的な成長とさらなるM&Aの両方を通じてHabytを構築し続けるための扉を開くものです。我々は現在、ヨーロッパ、特にフランスとイタリア、そして他の大陸、特にアジアでの戦略的ターゲットを検討しています」。

homefullyの創業者であるセバスチャン・ウエルツ氏は次のように述べている。「コリビング市場は統合フェーズにあり、Habytはこの機会を迅速かつ効果的に捉え、世界規模でこの分野のリーダーになるための最良の道を歩んでいます。力を合わせることは、この方向に向けての重要なステップであり、私は当社チームがこの旅の一部になることを非常に楽しみにしています」。

HVのパートナーであるFelix Kluehr(フェリックス・クルーア)氏はこう述べた「Habytが欧州コリビング市場でトッププレイヤーとして台頭してきたことをうれしく思います。また、HVは、ヨーロッパを代表するコリビングカンパニーを構築するという同社チームの野心的な計画をサポートできることを楽しみにしています」。

インタビューの中で、ボヴォーネ氏はこう語った。「これはメンバーズクラブのようなものです。当社はサブスクリプションモデルを採用しており、メンバーは月々の料金を支払い、それが家賃となります。もちろんそれから、どこか他の場所に部屋を申し込むこともできます。当社はヨーロッパ全土で相当な規模を持っており、いずれは南ヨーロッパにも展開します。当社のモットーは『どこでも住める』ことです」。

同氏はまた、パンデミックの影響で人々はコワーキングスペースを利用しなくなったことを指摘し「人々は、月に50〜100ユーロ(6500円〜1万3000円)多く出しても、自宅で快適に仕事ができるようなより良い住宅環境を手に入れたいと考えている」と述べた。

「当社の顧客ベースの中には、ベルリンに6カ月、マドリッドに3カ月滞在した後、再びベルリンに戻ってくる、というようなケースがすでに見られます。従来の住宅市場では、切ることができない光熱費などの契約があり、そのようなことはできませんでした。そうした慣習は時代遅れの商品でしかないと考え、当社はその問題に取り組もうとしています」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Habyt資金調達コリビングベルリンサブスクリプション買収

画像クレジット:Habyt Room

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)