ブティックホテルテックプラットフォームNUMAがポストパンデミックでのノマドな労働力ニーズに応える約51.9億円調達

米国を拠点とするSonderは、テクノロジーを駆使したホスピタリティを提供する企業だ。同社は5億2960万ドル(約611億8500万円)を調達した。リモートワークにより人口の移動が圧倒的に多くなったポストパンデミックな世界で、このグローバルでノマドな労働力ニーズに応えるため、同様の事業者が資金調達を行っている。

私たちがNUMA Group(NUMAグループ、当時の社名はCosi)を取りあげたのは、2019年に同社がブティックホテルに代わる「フルスタック」のホスピタリティを提供するために500万ユーロ(約6億5800万円)を調達したときだった。その後、2000万ユーロ(約26億3400万円)を調達したときにも取り上げた。

今回、NUMA GroupはDN Capital Group(DNキャピタル・グループ)(以前はAuto1、HomeToGo、Shazamも支援していた)が主導するラウンドで成長資本として4500万ドル(約51億9800万円)を追加調達した。この投資の共同リードはHeadline(旧eventures)である。また、Cherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)、Soravia(ソラヴィア)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)、TruVenturo(トゥルーベンチュロ)、Scope Hanson(スコープ・ハンソン)が参加している。

NUMAはベルリン、ミュンヘン、ローマ、ミラノ、マドリッド、バルセロナ、ウィーンで約2500室のブティックホテルを提供。投資家、不動産所有者、デベロッパー、ホテル経営者と提携し、テクノロジーを駆使した部屋を構築している。このプラットフォームは、ビジネスプロセスの自動化、インテリジェントな価格設定、稼働率の向上を通じて、ホテル経営者の利益を増大させるように設計されている。ドイツに本拠を置くNUMAグループは、2021年にスペイン、イタリア、オーストリア、チェコ共和国に進出した。

NUMAグループのCEO、共同創業者であるChristian Gaiser(クリスチャン・ガイザー)は「私たちの明確な目標は、NUMAをヨーロッパのまったく新しいホテルの時代における、圧倒的なテクノロジーと創造的なソリューションのプロバイダーとして確立することです。NUMAは、パンデミックを利用して、ビジネスモデルの回復力を証明しました。NUMAのコンセプトと独自の技術を使って、新型コロナにもかかわらず500%の収益増と85%の予約占有率を達成したのです」と述べている。

NUMAがSonderと大きく異なる点は、宿泊客から見て、NUMAはより幅広い層を対象としていること(Sonderはより高い価格帯にフォーカス)だ。さらに「NUMA go」という「技術フランチャイズ」ソリューションを開始し、売上の一定割合を条件に、NUMAの技術スタックをサードパーティのホテル経営者に提供していることだ。

DN Capital Groupの創設者兼マネージングパートナーであるNenad Marovac(ネナド・マロヴァチ)氏は「我々はNUMAの戦略、業績そして非常に厳しい市場環境下での一貫した拡大に非常に感銘を受けています。NUMAを支えるチームは、新型コロナにもかかわらず、一貫して高い稼働率と部屋の持続的な収益性を達成しています。NUMAのビジネスモデルは、不動産パートナーやオペレーターにとって魅力的なリスクリワードプロファイルを提供し、そして最も重要なことは、現代の旅行者にまったく新しい旅行体験を提供することです」と述べている。

画像クレジット:NUMA Group

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

任天堂旧本社屋を改装したホテル「丸福樓」が4月開業、7つのスイート含む全18室の調度品が異なり1泊10万円から

任天堂旧本社屋を改装したホテル「丸福樓」が4月オープン、7つのスイートを含む全18室の調度品がすべて異なり1泊10万円から

任天堂旧本社社屋を改装したホテルが2022年4月に開業し、正式名が「丸福樓(まるふくろう)」になることが発表されました。

グランドオープンに先がけ、1月20日より公式Webサイトにて宿泊予約が開始されました。客室料金は1室2名利用で1泊10万円(税込)から(朝食・夕食・飲物・軽食含む)。

もともと任天堂の創業は1889年、京都の平安神宮近くの「京都市下京区正面通り大橋西入る」の地でした。

今回話題となっている旧本社ビルは京都市下京区鍵屋町にあり、竣工は1930年のこと。1947年に設立された「株式会社丸福(任天堂の前身)」が1950年から本社として使っており、正確には「創業から2代目の社屋」となります。

そんな旧本社社屋は2020年初め、ホテルに改装される計画が発表。当時は2021年夏に開業予定とされていましたが、ようやく実現にこぎ着ける見通しです。

この「丸福樓」は既存の建物と世界的建築家・安藤忠雄氏が設計監修した新しい建物が融合した、全18室のホテルです。ホテル名は上記の通り、1947年当時の屋号「丸福」を含めたもの。

建物エントランス(工事前)

建物エントランス(工事前)

改装された建物にも、山内任天堂時代に花札などの製造・販売や、創業者山内家が居住する場所として利用された当時の趣が残されています。緑色の瓦屋根や外壁のタイルなどの外観はもちろん、創業以来の歴史が刻まれた「かるた・トランプ製造元 山内任天堂」の看板が出迎えてくれます。

任天堂旧本社屋を改装したホテル「丸福樓」が4月オープン、7つのスイートを含む全18室の調度品がすべて異なり1泊10万円から
客室は、7つのスイートを含む全18室。既存棟(旧本社社屋)は当時の建築様式や内装を活かした空間、新棟(安藤忠雄氏設計監修)はシンプルでスタイリッシュな居住性の高い空間となっています。

さらには全室で調度品が異なっているため、宿泊コンプリート欲をそそられるかもしれません。

任天堂旧本社屋を改装したホテル「丸福樓」が4月オープン、7つのスイートを含む全18室の調度品がすべて異なり1泊10万円から
宿泊プランはオールインクルーシブで、夕食、朝食、客室ミニバー、ラウンジでの飲物や軽食が宿泊料金に含まれているというもの。また食事は料理家・細川亜衣氏が監修し、季節の食材を活かした体に優しい無国籍料理を、夕食・朝食ともにコース仕立てで提供されます。

任天堂旧本社屋を改装したホテル「丸福樓」が4月オープン、7つのスイートを含む全18室の調度品がすべて異なり1泊10万円から
ホテルのある鍵屋町正面通は京都駅から車で6分、鴨川と高瀬川の間に位置しています。河原町などの繁華街から少し離れた穏やかな場所で、花札からイカやどうぶつ達など、任天堂の過去と現在や未来に想いをはせてみたいところです。

宿泊予約は、こちらのオフィシャルWebサイトにある「BOOK NOW」ボタンから。ただし記事執筆時点では「空き室が見つかりませんでした」と無情なメッセージが出ています。

【追記】

正式オープンの4月以降、日によって3~4の空き部屋がある模様です。1月21日0時時点では、開業記念特別プランとして10%オフが提示されている部屋もあります。任天堂旧本社屋を改装したホテル「丸福樓」が4月開業、7つのスイート含む全18室の調度品が異なり1泊10万円から

(Source:PR TimesEngadget日本版より転載)

数百のホテルで提供されるゲスト用Wi-Fiシステムにセキュリティ上の欠陥発見

あるセキュリティ研究者によると、世界の何百ものホテルがゲストにWi-Fiネットワークを提供し、管理するために利用しているインターネットゲートウェイには脆弱性があり、ゲストの個人情報を危険にさらしている。

Etizaz Mohsin(エティザズ・モーシン)氏が語ったところによると、Airangel製のHSMX Gatewayにはプレーンテキストなどハードコードのパスワードがあり、それらは極めて簡単に推測できるものだ。そのパスワードをここでご紹介することはできないが、攻撃者はそれらを使ってゲートウェイの設定と、Wi-Fiを使っているゲストの記録があるデータベースにリモートでアクセスしている。それによりゲストの記録を盗んだり、ゲートウェイのネットワーキングの設定を変えて知らぬ間にゲストを悪質なウェブページへリダイレクトしたりするという。

2018年、モーシン氏は彼が泊まっていたホテルのネットワークが使っているゲートウェイの一部でそれを発見した。そのゲートウェイは、インターネットを介してファイルを別のサーバーと同期するために使われており、モーシン氏によると世界中の有名高級ホテルの一部が数百ものゲートウェイのバックアップファイルをそこに置いていた。またそのサーバーには「数百万」のゲストの名前やメールアドレス、到着と出発の日付が保存されていた。

モーシン氏はそのバグを報告し、サーバーは保護されたが、そこからある考えが浮かぶ「このたまたま1つのゲートウェイに、何百もの他のホテルを危険にさらす、その他の脆弱性はなかったのか?」

そしてそのセキュリティ研究者は、顧客情報の窃盗行為などゲートウェイの侵犯に使われる可能性がある他の5つの脆弱性を見つけた。彼が見せてくれたスクリーンショットでは、あるホテルの脆弱なゲートウェイの管理インターフェースが、ゲストの名前やルームナンバーやメールアドレスを暴露していた。

モーシン氏は新たに発見した欠陥のキャッシュをAirangelに報告したが、それから数カ月が過ぎても英国のネットワーキング機器メーカーはバグを修正していない。同社代表者は、その機種は2018年以降販売しておらず、すでにサポートしていない、とモーシン氏に告げた。

しかしモーシン氏によると、その機器は世界中のホテルやモール、コンベンションセンターなどで今でも広く使われている。インターネットをスキャンしてみると600以上のゲートウェイがインターネットだけからアクセスできる状態だが、本当の脆弱なデバイスの数はもっと多いだろう。被害を受けたホテルの多くが英国、ドイツ、ロシア、そして中東全域にある。

「この脆弱性の連鎖が攻撃者に提供するアクセスのレベルを見るかぎり、彼らにできることの限界はないようです」とモーシン氏はいう。

モーシン氏は彼の発見を、2021年11月にサウジアラビアで行われた@Hackカンファレンスで提示した。Airangelにコメントを求めているが応じていない。

画像クレジット:Jeff Greenberg/Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルがApple Walletでホテルの鍵のサポートを開始、まずハイアットと提携

Apple(アップル)は6月に開催したWWDCで、自宅、オフィス、ホテルの鍵や、州の運転免許証をApple Walletでサポートする計画を予告した。そして12月8日、同社はHyatt(ハイアット)がこの新技術を活用する最初のホテルパートナーになることを発表した。ホテルチェーンのHyattは、宿泊客がApple Walletで部屋の鍵を使用できるようにするため、まず米国内の6つのホテルでサポートを開始し、将来的にはさらに多くのホテルで導入する予定だ。

6つのホテルはAndaz Maui at Wailea Resort、Hyatt Centric Key West Resort & Spa、Hyatt House Chicago/West Loop-Fulton Market、Hyatt House Dallas/Richardson、Hyatt Place Fremont/Silicon Valley、Hyatt Regency Long Beachとなる。

新システムは、モバイルアプリ「World of Hyatt」と連動する。アプリで予約をすると、ルームキーをウォレットに追加するオプションを提供する画面が表示される。この体験は、チケットやパスを予約した後、ボタンをタップしてそれらのアイテムをApple Walletに追加し、後でアクセスできるようにするオプションがあるのと似ている。また、他のパスと同様に、予約後すぐにホテルのルームキーを追加することができる。もちろん、チェックイン時にならないとドアが解錠されることはない。

Apple Walletにキーが追加されると、メイン画面に予約日、施設名、チェックイン予定日が表示されるようになる。また、右上の3つのドットメニューをタップして、予約番号や施設の詳細情報など、宿泊に関する情報を確認することができる。さらに、Apple Wallet内から直接Hyattのアプリを起動して、予約を管理することもできる。

ホテルのキーは、iPhoneだけでなく、ペアリングしたApple WatchのWalletアプリにも自動的に追加される。

このシステムでは、プラスチック製のホテルキーカードを持つ必要がないという利便性に加えて、ロビーの列に並んでチェックインする手間を省くことができる。部屋の準備が整ったことをアプリが通知し、宿泊客は携帯電話でチェックインすることが可能だ。そのプロセスが完了するとルームキーが有効になり、部屋番号が表示されるので、そのまま部屋に向かうことができるようになる。これにより、宿泊客はチェックインのために他の宿泊客と列に並んで待つ必要がなくなり、新型コロナウイルスへの露出を減らすことができる。

Appleによると、複数の部屋を持っている宿泊客は、滞在中すべての部屋を同じルームキーとウォレットに追加することができるので、どのバーチャルキーをタップするかを覚えておく必要はない。また、交通機関のパス保持者が使用するエクスプレスモードのように、ホテルのキーもデバイスのロックを解除しなくてもドアを開けることができるエクスプレスモードで機能する。また、このキーは、ジムやプールなどのホテルのアメニティへのアクセスを解除するためにも機能する。

Apple Walletに登録されたハイアットのルームキー:2021年10月27日、シカゴ(画像クレジット:Jean-Marc Giboux/AP Images for Hyatt)

宿泊客がモバイルアプリで滞在延長やレイトチェックアウトを決定すると、ホテルキーも更新される。ただし、ホテルキーを友人と共有することはできない。ホテルキーは、モバイルアプリにログインしているHyattのアカウント所有者にのみ有効だ。チェックアウト後、ホテルキーはApple Walletに記録保存され、削除はされない。

この新しいシステムでは、ホテル側は部屋の鍵のインフラをNFC技術に対応するように更新する必要がある。これにより、対応するPOS端末でApple Payを利用する際に現在行っているように、宿泊客はタップするだけでホテルのドアを開けることができるようになる。HyattはAssa Abloyと共同でソリューションを開発しているが、Appleはホテルが選択したベンダーとの協力に前向きだ。同社はこの技術の導入に取り組んでいる他のホテルチェーンについては明らかにしなかったが、Hyattは世界各地のホテルにアクセスを拡大する計画がある、と話す。

ホテルキーのサポートは、iOS 15を搭載したiPhoneとwatchOS 8を搭載したApple Watchを対象に12月8日から始まる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

旅行業界の再活性化に向け、ホスピタリティ管理ソフトウェアのCloudbedsにソフトバンクが投資

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

2021年夏、米国のホテル稼働率は新型コロナウイルス流行前の水準に達した。ホスピタリティ業界は、人々が旅行を再開することによる活動の活発化に備えているところだ。

このような状況には追い風も吹いている。「今後増える旅行者で最大の母集団は1979年以降に生まれた人々であり、この10年間により多くのお金を貯めたことで、自由裁量の支出が増え、それを旅行に使いたいと考えている」と、Cloudbeds(クラウドベッズ)の共同設立者兼CEOであるAdam Harris(アダム・ハリス)氏は述べている。

「新型コロナウイルス流行は誰もが歓迎しない状況でしたが、旅行業界は1兆ドル(約114兆円)規模の産業であり、世界でトップ5に入る規模です」と、同氏は付け加えた。「2019年にあった需要は、それから1年半も家に閉じ籠もらざるを得なかったことで、今はさらに強くなっています」。

Cloudbedsのプロダクト(画像クレジット:Cloudbeds)

ハリス氏と共同創業者のRichard Castle(リチャード・キャッスル)氏が、2012年にサンディエゴで設立したCloudbedsは、独立系ホテルからバケーションレンタル(民泊)まで、宿泊事業者向けのホスピタリティ管理ソフトウェアを提供している。このソフトウェアは、運営、収益、流通、グロースマーケティングなど、これまで別々に行われていたビジネスの機能を、1つのクラウドベースのツールに統合する。

人々の蓄積されてきたエネルギーにより、今までにない数の旅行が実施されるようになると、ハリス氏は確信している。このチャンスを活かすため、同社は新たな投資家であるSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導した資金調達で、1億5000万ドル(約170億円)を確保した。

Cloudbedsとソフトバンクとの関係は2年前に始まったが、ハリス氏はこの投資会社が「世界で最も優れた旅行投資家の1つ」だと述べている。最近では、Yanolja(ヤノルジャ)、GetYourGuide(ゲットユアガイド)、Klook(クルック)などの旅行関連企業に、ソフトバンクは資金を提供している。

今日の市場では、ホテルが競争力を高めるためにテクノロジーを導入することが「重要」であり、世界的な新型コロナウイルス流行がその導入を加速させる要因になっていると、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のディレクターであるAndrew Zloto(アンドリュー・ズロト)氏はメールで述べている。

「Cloudbedsは、この機会を利用して、ホスピタリティ業界におけるテクノロジーの利用方法を根本的に変えたと、我々は確信しています」と、ズロト氏は語る。「これまでサイロ化され、複雑に絡み合っていたテクノロジーサービスを、Cloudbedsは単一のプラットフォームに統合し、あらゆる規模の宿泊施設に最適なソリューションを提供しています。重要なビジネスツールを統合して簡素化することによって、同社は独立系ホテル経営者が活躍できる場を広げ、絶えず進化する市場で成長するための支援を行っています」。

今回の投資ラウンドでは、ソフトバンクに加え、Echo Street(エコー・ストリート)とWalleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)が新たな投資家として加わった。さらに既存投資家として、Viking Global Investors(バイキング・グローバル・インベスターズ)、PeakSpan Capital(ピークスパン・キャピタル)、Counterpart Ventures(カウンタパート・ベンチャーズ)も参加。これにより、Cloudbedsがこれまでに調達したベンチャー資金の総額は、2億5300万ドル(約287億円)となった。

この資金を武器に、Cloudbedsは研究開発の拡大、教育およびアドボカシー活動への投資、エンジニアリング、プロダクト、セールスの各チームの拡大を進めていく。さらにプレIPOに向けてチームを整えることに重点を置き、リーダーシップを強化していくと、キャッスル氏は述べている。

ハリス氏は成長指標を公表しようとはしなかったものの、Cloudbedsは2020年、新型コロナウイルス流行にもかかわらず成長を遂げた、ほんの一握りの企業の1つであると語っている。同社は現在、157カ国で2万2000人以上のグローバルな顧客にサービスを提供している。

「私たちは、この会社が200億ドル(約2兆3000億円)規模の企業になれると信じています」と、ハリス氏は付け加えた。「競合他社との競争を見れば、当社はリードしています。しかし、現金を投入する必要があり、そのために私たちは夜も眠れません。現在、当社のビジネスモデルには予測可能性があり、目標はIPO候補となり組織を成熟させることです」。

画像クレジット:num_skyman Shutterstock

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

宿泊日を決めずに宿泊チケットを購入できるECサイト「Stay by Tripi」を運営するトリピ(旧アリアン)は10月28日、J-KISS型新株予約権の発行および融資による総額3800万円の資金調達を発表した。引受先・融資元はSkyland Venturesとみずほ銀行。調達した資金は、プロダクト開発と改善、長期運転資金にあてられる。

Stay by Tripiは、ECにおける最重要要素のひとつとされる「欲しいと思ったときに即買える」を宿泊チケットにおいて実現したサービス。「いつでも泊まれる宿泊チケット」を販売することで、ユーザーの泊まりたいという気持ちを即時に購買行動へと変化させられるとしている。

また、購入後に宿泊日を決めるという特徴により、宿泊チケットをギフトとして活用することも可能。登録は無料で、チケット購入における支払いはクレジットカードのみ対応。

トリピは、2019年7月に設立された旅行系スタートアップ。Stay by Tripiの運用・開発のほか、SNSを中心としたマーケティング戦略立案・アカウントの運用サポートを行なうSNSマーケティング事業なども行なっている。

アパートメントホテルの開発・運営を通しホスピタリティコミュニティを創造するSection Lが1.1億円のシード調達

アパートメントホテルの開発・運営を通してホスピタリティコミュニティを創造するSection Lは10月26日、シードラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権方式による1億1000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先は国内外のエンジェル投資家。


調達した資金は、ホテル事業とSasS事業拡大のための新規採用など体制強化にあてる。今後は、自社施設の軒数拡大に加え、SaaS事業として同業他社への運営ソリューサービスの拡大を予定。将来的にはSection Lブランドと運営ソリューションのフランチャイズ展開を国内外で実施し、日本発のパイオニア的ブランドを目指す。

Section Lでは、東京都中央区に自社ホテルの1棟目であるSection L Ginza Eastを2020年7月に開業した。開業日は、コロナ禍により都内宿泊施設の平均稼働率が14.2%という状況だったものの、同ホテルでは月次平均稼働率7割以上を維持しており、平均客室単価(ADR)も周辺競合施設の2倍以上を保っているという。

この要因について同社は、国内において供給不足になっていたミドル~アップスケールの長期滞在需要を満たす施設であったこと、プレミアム北欧家具メーカーとコラボレーションしたデザイン性の高い客室、質の高いサービス提供によって高評価とリピート客の獲得に成功したことによると見ているそうだ。

さらにSection Lは、非対面・無人化チェックインを可能とするソフトウェアを自社で開発・実装。従来は約50%でも良好とされていた施設の運営利益率(GOP)を約70%まで向上させることに成功したという。

Section Lは2020年2月に設立されたホスピタリティーカンパニー。創業チームの過半数がアメリカでのホテルスクールを卒業し、一流ホテルチェーンでの経験を持ち合わせるホテル経営のプロフェッショナル集団という。自社ブランドのアパートメントホテル運営と、省人化ソリューション・ソフトやコミュニティー・プラットフォームの開発を事業としている。

ソフトバンク出資のインドの格安ホテル予約サービス「Oyo」がIPO申請、最大約1290億円調達へ

Oyo(オヨ)は公開市場を探索する準備が整ったようだ。創業8年のインドの格安ホテル大手である同社はインド証券取引委員会にIPO申請の書類(PDF)を提出した。書類によると、同社は11億6000万ドル(約1290億円)の調達を模索する。

グルガーオンに本社を置くOyoは、ホテル経営者にデジタル予約・決済の導入、部屋の最適価格の決定、サードパーティ予約サービスの統合をサポートするオペレーティングシステムを提供している。同社は新規株式の発行で9億4200万ドル(約1045億円)を調達することを目指していて、残りは既存株の販売(セカンダリー取引)で調達する。

SoftBank(ソフトバンク)は1億7500万ドル(約194億円)超相当の株式を売却する計画だとOyoはIPO申請書類で説明した。同社は3億3000万ドル(約366億円)を借金返済にあてる。同社はつい最近、負債で6億6000万ドル(約732億円)を調達していた。

主な投資家にSoftBank、Airbnb、Lightspeed Venture Partners、Sequoia Capital India、Microsoftなどを持ち、直近の評価額が96億ドル(約1兆650億円)だったOyoは、個人投資家から何を得ようとしているのか詳細を明らかにしていない。しかし今週初めにTechCrunchが報じたように、わかっていることがある。OyoはIPOで評価額120億ドル(約1兆3312億円)を目指している。そして同社の若い創業者、Ritesh Agarwal(リテッシュ・アグルワール)氏は自身の持分を売却しない。

10月1日の仮目論見書提出は、近年海外マーケットでかなり野心的に事業を拡大してきたものの、そうした取り組みにブレーキをかけて方向を修正したOyoにとって大きな転換だ。

他のホスピタリティー・旅行業界の企業と同様、Oyoもパンデミックで大打撃を受けた。新型コロナウイルスの拡散を抑制しようと、一部の国はロックダウン措置を取ったため、売上高が60%減った時期もあったと同社は明らかにした。

同社の2021年3月までの会計年度の総収入は6億ドル(約665億円)で、5億2800万ドル(約585億円)の赤字だった。

ただ、同社の主要マーケットがここ数四半期に経済活動を再開したため、同社は直近の数カ月で急速な回復の兆しを見せている。仮目論見書の中で、4つのマーケット(インド、インドネシア、マレーシア、欧州)が同社の総売上高の約90%を占めると明らかにした。

Oyoはまた、このところホテルとの関係を簡素化してきた。同社は現在ホテルを所有せず、その代わり15万7000を超えるパートナーと協業し、そうしたパートナーがホテルやリゾート、住宅を運営するのをサポートしている。パートナーに最低保証も約束していない。

ソフトバンクが現在45%超の株式を保有するOyoのストーリーは、アグルワール氏がラージャスターン州でより良い教育を受けようと故郷を後にしたところから始まる。同氏は頻繁にデリーに住む友人を訪ね、友人の家や安いホテルに宿泊した。そして10代後半で通っていた学校を退学したとき、同氏は格安ホテルが毎晩部屋を埋めるのに苦労しているのに気づいた。

そしてアグルワール氏は、ホテルのリノベーションを自身にさせるようホテル経営者を説得し、将来の手数料と引き換えに企業に販促を始めた。これは同氏が過去の会話で語ったことだ。

この取引は、成功したことがすぐさま証明された。そして、マーケットで無視されてきた部門にフォーカスするために、アグルワール氏がテクノロジーを使ってサービス拡大を模索することにつながった。

Oyoのサービス

これがOyoの始まりだ。同社はすぐに成功し、PayPal共同創業者Peter Thiel(ピーター・ティール)氏の財団からの共同出資をひきつけるほど急速な成長だった。

Oyoはまず市場をリードする地位を築き、それから事業を拡大した。東南アジア、欧州、中国、米国から始めた。同社の積極的な拡大は部分的には成功で、部分的には失敗でもあった。欧州と東南アジアではいうまくいっているが、中国と北米のマーケットに参入するのは同社が思った以上に難しいことがわかった。

事業拡大の最中に、27歳のアグルワール氏は同社に7億ドル(約776億円)を投資した。同氏は、この投資に先立って、自身の持分を10%から30%に引き上げるためにRA Hospitality Holdingsという企業を通じて20億ドル(約2219億円)を使う計画だと発表した。アグルワール氏と同氏の持ち株会社のOyoの持分はいま32〜33%だと仮目論見書にはある。

Oyoのアプリは1億回超ダウンロードされ、従業員の70%がインド国内居住だと同社は仮目論見書に書いた。そして同社は、2019年12月時点で獲得可能な最大市場規模は短期滞在施設5400万軒だととらえている。

「インド、インドネシア、マレーシアでは、2018年と2019年にOYOプラットフォームに加わったホテルの2019年の業績は、同規模の他の独立経営ホテルを上回りました。OYOプラットフォームに加わってから12週間後、OYOで稼働しているホテルの2019年の売上高は、インド、インドネシア、マレーシアにおける同規模の独立経営ホテルの推定平均売上高の1.5〜1.9倍でした。欧州では、OYOで稼働している民泊施設の売上高は2019年に、個人で運営している施設の推定平均売上高の2.4倍でした」と仮目論見書にはある。

Oyoの事業についての知見が得られる2枚の興味深いスライドが仮目論見書にあった。

OYOで稼働しているホテルと比較対象の独立経営ホテルのコロナ前の平均売上高(米ドル、2019年)

Oyoはフード、小売、ホテル、旅行事業においてインドで2番目に大きいロイヤルティプログラムを展開している

この記事にはCatherine Shu氏も協力した。

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

リモートワークが当然のものになる中、一等地のプレミアムな長期賃貸物件を提供するUkioが約9.9億円調達

多くのスタートアップ企業がこの10年間、Airbnb(エアービーアンドビー)に似た、思いつく限りあらゆるバリエーションのサービスを提供しようとしてきた。しかし「Ukio(ウキォウ)」は、リモートワークが一般的になってきた今、増え続ける賃貸住宅の競合他社と規制当局の間をすり抜ける方法を見つけたと考えている。

Ukioは、地元の不動産オーナーと協力して、都市の一等地でターンキー方式(すぐに入居できる出来上がり物件)のプレミアム体験を提供し、1カ月以上のレンタルサービスを提供している。初期の結果は期待できる。

スペインのバルセロナを拠点とするこの会社は、2020年初めに設立され、現在、バルセロナとマドリッドの間に100戸以上のアパートメントを所有し、95%の稼働率を維持している。

米国時間9月23日、ヨーロッパのトップ投資家から900万ドル(約9億9300万円)の大規模なシードラウンドを発表し、2022年には大陸の6つの首都に700以上のアパートメントを展開する計画だ。まずは次にリスボンに展開し、続いてロンドン、ベルリンがその候補地となる。

共同設立者でCEOのStanley Fourteau(スタンレー・フォーチュ)氏によると、Ukioのこれまでのゲストは、2種類のユースケースにほぼ均等に分けられるという。1つは、現地で仕事を見つけ、最終的には永住目的の住宅へ移る予定の長期滞在者だ。今のところ、このグループは6カ月以上滞在する傾向にある。

Airbnbで長年ディレクターを務めたフォーチュ氏によると、リモートワークや分散型の仕事が主流になったことで、短期賃貸以上のものを求めるデジタルノマドタイプのグループも増えてきたという。もう半数のこのユーザーグループは、これまで2〜3カ月程度の滞在が多い傾向にある。

その市場機会を示すために、彼はGartner(ガートナー)のレポートを引用し、リモートワーカー層が2021年末までに全労働者の31%にまで拡大する可能性があると述べている。しかし、TechCrunchの読者はこの数字を少し控えめだと感じるかもしれない。例えば、私が3月にExtra Crunchのために調査したプロップテックの投資家たちは、将来的にはオフィススペースは贅沢なものになり、より多くのワーカーが好きな場所に住み、ヨーロッパの多くの都市で知られているような、娯楽やコミュニティのための楽しい「第3の居場所」がある拠点に住むようになると述べている。

関連記事:近隣小売り店舗への回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

Ukioは、このような人口動態の変化に対応しようとする唯一のスタートアップというわけではない。「Blueground(ブルーグラウンド)」「Sonder(ソンダー)」「Sentinel(センチネル)」「Zeus(ゼウス)」など、数多くの著名なスタートアップが存在する。では、Ukioは何が違うのだろうか?

「Ukioは、物件のレンタル、家具の設置、管理を行い、ゲストの体験全体を監督しています。私たちの垂直統合型アプローチにより、Airbnb(ピアツーピア・マーケットプレイス)のようなプラットフォームへの供給を専門化させることができます。これは、グローバルなホテルチェーンがBooking.comへの供給を専門化させるのと同様です」とフォーチュ氏は説明している。

このアイデアは、Airbnbに在籍していた時に、長期レンタルに対するユーザーのニーズが同社のプラットフォームモデルに合わなかったことから生まれた。「Airbnbでは、ホストコミュニティとの関係を強化し、そのコミュニティを成長させることに重点を置いています」と同氏は語る。もしAirbnbがUkioのような垂直統合型の賃貸事業を作るとしたら「既存のコミュニティと競合することになり、彼らとの関係が損なわれる可能性がある」という。

今日では、都市で最も魅力的な長期賃貸物件は、Airbnbに掲載される前に借りられてしまったり、需要が満たされる前にプラットフォームから取り上げられてしまったりするそうだ。一方、Ukioが運営するアパートメントは「今後もずっとそのコミュニティの一部であり続けるでしょう」と述べている。

Ukioは、不動産オーナーとの関係も、重要な拠点に堀を作るための手段だと考えている。「私たちは、7年から10年の賃貸契約を結び、テナントを完全に管理します。これらの契約は、空室率を回避し、管理コストを削減することで、オーナーの収益を最適化します。また、Ukioは利回りを保証し、煩わしさのないソリューションを提供しています。ビジネスとしては、ターゲットを絞った働きかけよりも、Ukioとの提携を希望する家主からのインバウンドリクエストの方が多く、来年の成長に向けた強力な供給パイプラインを持っています」と語る。

ここで、彼が長期的な差別化につながると考えている点について、より詳細に説明しよう(簡潔に言い換える)。Ukioは、200項目におよぶプロセスを経て候補となるマンションを選び、一等地にある最高のマンションオーナーとのみ取引を行っている。その多くはシングルユニットで、Sentinelのようにビル全体を利用するスタートアップよりも、都市全体でより多く組み合わせ展開が可能になる。また、Bluegroundなどのようなテンプレート化されたアプローチではなく、各ユニットが独自のデザインを採用している。多くの競合他社は、ホストが自分のユニットを提供・管理するプラットフォームが中心だが、Ukioはすべての物件を管理する社内チームを持っている。また、Zeusのような最も直接的な競合他社の多くが米国に焦点を当てているのに対し、Ukioはヨーロッパに焦点を当ててスタートしている。

技術面では、供給獲得ツールに加えて、高い稼働率を維持するためのダイナミックな価格設定モデルや、設置や導入のコストを削減するための社内設計システムとカタログを使用している。Ukio製品に特化した共同設立者であるスタンリー氏の弟、Jeremy(ジェレミー)氏は、Zynga(ジンガ)、EA、Headspace(ヘッドスペース)、そして最近ではKnotel(ノッテル)での重要な役割を担ってきた過去10年の経験を持っている。

物理的な製品を中核とする企業として、Ukioは、新型コロナ関連の規制だけでなく、現地の規制強化のリスクに直面している。フォーチュ(スタンリー)氏は、この問題を認めながらも、Ukioの会社の特殊なモデルは、長期滞在の地元の人々に多用されているため、対処するのに適していると主張している。この段階で大きな問題となるのは、Ukio社の他にも資金力のある競合他社がいることだ。彼らは将来のリモートワーカーを惹きつけるために、何度もビジネスモデルを調整するに違いない。

このように、迅速なスケールアップの必要性が、今回の大規模なシードラウンドの背景にある。このラウンドには、フランスのベンチャー企業Breega(ブリーが)がリードし、Heartcore(ハートコア)とPartech(パーテック)が参加し、エンジェル投資家としてCoverwallet(カバーウォレット)の創業者であるIñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)氏やTravelperk(トラベルパーク)の創業者であるAvi Meir(アヴィ・メイル)氏などが参加した。

画像クレジット:Ukio

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(文:Eric Eldon、翻訳:Akihito Mizukoshi)

インドの格安ホテルチェーンOyoが来週にもIPO書類を提出か

インドの格安ホテルチェーンスタートアップOyo(オヨ)は早ければ来週にも新規株式公開の書類を提出する。この件に詳しい人物がTechCrunchに明らかにした。世界第2位のインターネット市場であるインドで株式公開に取り組んでいるひと握りの企業に仲間入りする。

まだ秘匿事案であることから匿名を希望した複数のバンカー情報筋によると、27歳のRitesh Agarwal(リテッシュ・アグルワール)氏が興した創業7年のOyoはIPOで12億ドル(約1320億円)を調達しようとしている。

この内容は今後数日で若干変わる可能性はあり、IPO書類の提出も追加でもう数日かかるかもしれない、と情報筋は話した。

Zomato(ゾマト)、そして Paytm(ペイティーエム)やPolicyBazaar(ポリシーバザール)などを含むいくつかの会社と同様、Oyoはインドの証券取引所に上場する計画だと情報筋の1人は話した。

投資家にソフトバンク、Lightspeed Partners(ライトスピードパートナーズ)、Airbnb(エアビーアンドビー)などを抱え、直近の評価額が96億ドル(約1兆570億円)だったOyoは、3カ月前の時点で銀行口座に7億8000万ドル(約860億円)〜8億ドル(約880億円)を持っていて(このほど開かれた会議でのアグルワール氏の公のコメントによる)、7月にデットで6億6000万ドル(約730億円)を調達した。

Microsoft(マイクロソフト)からの戦略的投資で最近約500万ドル(約5億5000万円)を調達したOyoは約36カ国で事業を展開している。インドで最も評価額の大きな企業の1つである同社は、ホテル経営者がデジタルで予約や支払いを受けられるようにするオペレーティグシステムのようなものを開発した。このテクノロジースタックを使って、同社はホテル経営者が部屋の最適な価格を決めたり、インターネット上でホテルを見つけやすくしたりするのをサポートしている。Booking.comやMakeMyTripといったサードパーティのホテル予約サービスの統合も手伝っている。

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旅行やホスピタリティ産業の大半の企業と同じく、Oyoはパンデミックで大打撃を受けたが、ここ数カ月でかなり回復した。

同社の売上高の大半は、ワクチン接種が進むにつれてロックダウン規制を緩和したインドやマレーシア、インドネシア、欧州などを含む一握りのマーケットからきている。

7月のBloomberg TVとのインタビューの中で、アグルワール氏はOyoが「すでに上場企業のように事業を展開している」と述べたが、すぐに上場するつもりなのかどうか明言は避けた。同社はこれまでのところIPO計画についてはコメントしていない。

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Microsoft(マイクロソフト)は、インドのOyo(オヨ)と「複数年にわたる戦略的提携」を締結し、協力して「次世代」の旅行・ホスピタリティ製品および技術を共同開発することとなった。

米国時間9月9日の発表は、7月下旬のTechCrunchの報道を裏づけるものだ。TechCrunchは、MicrosoftがOyoへの投資を交渉中であり、南アジア市場で最も価値のあるインドのこのスタートアップ企業に自社の技術を提供する方法を検討していると報じていた。

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Microsoftは報道発表の中で、Oyoに対しても戦略的な株式投資を行ったことを確認したが、金額については明らかにしていない。2021年8月の規制当局への提出書類によると、MicrosoftはOyoに500万ドル(約5億4900万円)を投資していた。この投資により、Oyoの評価額は96億ドル(約1兆550億円)となる。

Oyoは、クラウドベースのニーズに対応するためにMicrosoft Azureに切り替え「中小規模のホテルや家庭用の店舗を運営する愛用者に利益をもたらす」ソリューションを共同開発するとしている。「この提携の一環として、Oyoは、Oyoプラットフォームを利用する旅行者向けに、プレミアムでカスタマイズされた室内体験などのスマートルーム体験を開発していきます。MicrosoftのAzure IoTを利用したこの体験には、IoTで管理されたスマートロックやバーチャルアシスタンスに加えて、到着・出発のデジタル登録やセルフのKYC(Know Your Customerの略、本人確認)でサポートされたセルフチェックインが含まれています」。と同社は語る。

Microsoftインドの社長であるAnant Maheshwari(アナント・マヘシュワリ)氏は「Azureのパワーと、Oyoが開発した技術と製品スタックを組み合わせることで、旅行とホスピタリティにおけるイノベーションを加速できることを楽しみにしています。どのようにMicrosoftのクラウドが、Oyoのようなデジタルネイティブに力を与え、業界の変革とイノベーションを加速させ、パンデミック後の時代の課題を未来のチャンスに変えていくのかを見るのは刺激的です」と述べている。

Oyoは、インド、東南アジア、ヨーロッパ、米国に展開する世界最大級のホテルチェーンとして台頭してきたが、積極的な拡大を追求する中で「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長に傷をつけてしまった。

ホテルオーナーとの関係を改善することを誓った矢先、パンデミックが到来。これを受けてOyoは成長を鈍化させ、2021年初めには世界各国でロックダウンが実施される中、世界中で数千人の従業員をレイオフした。

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パンデミックは、創業7年目のスタートアップに「サイクロン」のように襲いかかったと、CEOのRitesh Agarwal(リテシュ・アガーワル)氏は7月にBloomberg TVに語っている。「何年もかけて作ったものが、たった30日で60%以上も崩れてしまったのです」と述べ、株式公開を検討するかどうかは決めていないと付け加えた。

Airbnb(エアビーアンドビー)に支えられたOyoは、7億8000万〜8億ドル(約857億〜878億9000万円)の資金を持っており、すべての事業の「月次損失」を400万〜500万ドル(約4億3900万〜5億4900万円)に抑えていると、アガーワル氏は最近のオンラインカンファレンスで述べた(同社は、2020年12月には約10億ドル[約1098億円2200万円]の銀行残高があった)。

7月、つまり前述のカンファレンスでアガーワル氏が発言した後、Oyoは6億6000万ドル(約724億8200万円)の負債を受けたと発表した。この件に詳しい人物によると、その負債は以前の負債の返済に充てられたという。

Microsoftとしては、Oyoは同社が国内で行ってきたいくつかの戦略的投資の中で最も新しいものだ。同社は南アジア市場において、ニュースアグリゲーターであり短編動画プラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、電子商取引大手のFlipkart(フリップカート)、物流SaaS企業のFarEye(ファーアイ)など、数多くのスタートアップ企業を支援してきた。

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画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

コロナ後のインバウンドをにらみホテルのDXを加速させる韓国と日本を拠点を置くH2O Hospitality

パンデミックは、接客業の非接触、スタッフレス運営への要求をいっそう高めた。無人ホテル管理会社のH2O Hospitality(エイチ・ツー・オー・ホスピタリティー)は、その追い風を受けて3000万ドル(約33億円)の調達ラウンドを完了した。韓国と日本を拠点とするスタートアップは、宿泊予約、客室管理、フロントデスク業務などのフロントエンドとバックエンドを自動化する。同社は新たな資金を得て事業の拡大を続けていく。

今回のシリーズCラウンドをリードしたのはKakao Investment(カカオ・インベストメント)で、Korea Development Bank(KDB、韓国開発銀行)、Gorilla Private Equity(ゴリラ・プライベート・イクイティー)、Intervest(インターベスト)およびNICE Investment(ナイス・インベストメント)も参加した。他に東南アジアのジョイントファンドであるKejora-Intervest Growth Fund(ケジョラ・インターベスト・グロース・ファンド)も参加していることから、H2O Hospitalityが東南アジア市場に特に焦点を当てていることがわかる。H2O Hospitalityは2020年2月にシリーズBラウンドで700万ドルを調達し、Samsung Ventures(サムスン・ベンチャーズ)、Stonebridge Ventures(ストーンブリッジ・ベンチャーズ)、IMM Investment(アイエムエム・インベストメント)、Shinhan Capital(シンハン・キャピタル)らが参加した。

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H2O Hospitalityは2021年と2022年に韓国と日本でさまざまなタイプの宿泊施設を追加して事業を拡大する予定で、2022年第4四半期には同社の東南アジア浸透戦略の一環としてシンガポールとインドネシアにも進出する計画だ、と同社の共同ファウンダーでCEO、John Lee(ジョン・リー)氏はいう。

「現在H2O Hospitalityは、いくつかの国際ホテルチェーン企業と、韓国、日本以外でのデジタルトランスフォーメーションと事業運用の提携について話し合っています」とリー氏がTechCrunchに語った。

H2Oは同社の顧客チャンネルソリューションと非接触チェックインシステムをアジア各国の顧客ニーズに合わせて進化させるために、研究開発に投資していくつもりだ。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後にも、ホテル・デジタル・トランスフォーメーションで成功しリードしていくためには、それぞれの宿泊施設と状況に合わせたシステム開発とカスタマイズが必要です」とリー氏がメールのインタビューに答えた。

H2O Hospitalityは、2015年にCEOのジョン・リー氏が設立し、そのご買収と拡大を繰り返してきた。たとえば2017年には日本に進出して宿泊管理会社をいくつか買収した。2021年、H2Oは自社のテクノロジーとESG(環境・社会・ガバナンス)の競争力を高めるために、非接触ホテルソリューション企業のImGATE(イムゲート)とローカル・クリエイターのスタートアップ、Replace(リペレース)の韓国企業2社を買収した。

現在同社は東京、大阪、ソウル、プサン、バンコクにホテル、旅館、ゲストハウスなど約7500の宿泊施設を運用している。

H2O Hospitalityの情報通信技術(ICT)ベースのホテル管理システムは、チャンネル管理システム(CMS)、設備管理システム(PMS)、客室管理システム(RMS)、施設管理システム(FMS)などを使ってホテル業務の自動化とデジタル化を可能にしている。

同社の統合ホテル管理システムは、ホテル業務の運営費固定分を50%縮小し、売上を20%上昇させることが可能だと同社の声明に書かれている。

「新型コロナウイルスは宿泊業界に最も強い打撃を与え、そのために多くのホテルが固定費を減らしたいと考えましたが、現在の運営フローでは不可能でした」とリー氏は語った。「デジタル・トランスフォーメーションが必要だったのです」。

新型コロナが未だに旅行業界の大部分を凍結している今、パンデミックがH2Oにどう影響を与えているかを質問したところリー氏は、パンデミック前、H2Oの売上は最大30%増加していたが、新型コロナ後は5~15%に落ちたと答えた。最近の売上拡大要因は、顧客の効率を改善するために同社が作ったツールによる。例えば自動ダイナミックプライシング(ADR)ツールや、オンラインとオフライン、国内、国外の旅行代理店の多様なセールスチャネルなどがある。

リー氏はさらに、H2Oに多くの施設が加入しており、それが最近18カ月間の売上増に貢献していることを指摘した。H2Oの事業はアジア唯一であり、このため2020年8月以来多くの施設所有者が加入し始めている、と同氏は説明した。

「パンデミック中に加入したホテルはすべて収支が改善し、財務損失を取り戻しつつあります」とリー氏は言った。

現在世界に1640万の客室があり、年間5700億ドル(約62兆5889億円)を生み出している、とリー氏はいう。H2Oは世界中の宿泊施設をデジタル化できると信じており、会社の主要目標はホテルブランドを作ることではなく、ホテルオーナーがよりよい方法で自分の施設を運用できるようにすることだと彼は言った。

リー氏は、現在のホテル運用プロセスは「2G携帯」とよく似ていて、スマートフォンに切り替わる前の状態であり、H2Oはすべてのホテル運用を「スマートフォン」にする、と説明した。

「これは(接客)業界にとってごく自然な変化であり、それは携帯電話ユーザーが2Gからスマートフォンに移行したのと同じことです」とリー氏は言った。

韓国と日本では、国内需要は高まりつつあるものの、残念ながら国境を越えるインバウンドツーリズム市場は未だに停止している。

「両国(韓国と日本)ともワクチン接種が進んでいるので、インバウンドツーリズム市場は1年以内に復活すると信じています」とリー氏は言った。

Kejora-Intervest Growth Fundのマネージングディレクター、Jun-seok Kang(ジュン・シュー・カン)氏はTechCrunchに次のように語った。「ホテルのデジタル・トランスフォーメーションに新しい波がやってくることはパンデミック以前からわかっていました。しかし、新型コロナ遷移を早めたことは間違いありません。H2Oがホテル市場の転換に成功すると私たちは信じています」。

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(文:Kate Park、翻訳:Nob Takahashi / facebook

IPOを控えたソフトバンク出資のインド発ホテルチェーン「Oyo」にマイクロソフトが出資

今週明らかになった規制当局への提出書類によると、Microsoft(マイクロソフト)はインドの格安ホテルチェーン「Oyo(オヨ)」に500万ドル(約5億5000万円)を出資した。この投資は、7月のTechCrunchのスクープを裏付けるものだ。

この新たな投資によりOyoの評価額は96億ドル(約1兆540億円)となり、インドのスタートアップである同社が2019年に行った前回の資金調達ラウンドでの暗示的な企業評価、100億ドル(約1兆980億円)をわずかに下回っている。パンデミックの影響でビジネスを大幅に失ったこのスタートアップは、最大の投資家のひとつであるソフトバンクから、最近の四半期ではわずか30億ドル(約3295億円)と評価されていた。

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TechCrunchは以前、この戦略的投資により、OyoがMicrosoftのクラウドサービスの利用にシフトする可能性もあると報じた。この件に詳しい2人の情報筋によると、同社は2021年後半にIPOを申請する予定だという。

インドで最も価値のあるスタートアップ企業の1つであるOyoは、近年、東南アジア、欧州、米国など多くの市場に積極的に進出している。しかし、「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長を傷つけた。

同社がホテルオーナーとの関係を改善すると誓約した矢先、パンデミックが発生した。それを受けてOyoは成長を減速し、世界各国でロックダウンが実施される中、2021年3月には世界で数千人の従業員を解雇した。

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Ritesh Agawal(リテシュ・アガーワル)CEOは2021年7月、パンデミックは創業7年のスタートアップである同社をサイクロンのように襲った、とBloomberg TVに語っていた。「何年もかけて作り上げてきたものが、たった30日の間に60%以上崩壊しました」と同氏は語り、株式市場への参入については何も決断していないと付け加えた。

Airbnbが支援するOyoは、銀行に7億8000万〜8億ドル(約856億〜878億円)の残高があり、全事業の支出を毎月400万〜500万ドル(約4億4000〜5億5000万円)に削減したと、アガーワル氏は最近のバーチャルカンファレンスで述べた(2020年12月時点で同社の預金残高は約10億ドル[約1098億円]だった)。

7月、アガーワル氏が上記のカンファレンスでコメントした後、Oyoは負債によって6億6000万ドル(約725億円)を調達したと発表した。本件に詳しい関係者によると、その借金は以前の負債の返済に充てられたという。

2社間の取引が実現すれば、Microsoftにとってインドのスタートアップへの最新の投資になる。同社はこれまでにも、ニュースアグリゲーターと短編ビデオプラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、eコマースの巨人Flipkart(フリップカート)、物流SaaSのFarEye(ファーアイ)など、南アジア市場のスタートアップをいくつか支援してきた。

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画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがインドのホテルチェーン「Oyo」に投資へ

Microsoft(マイクロソフト)はOyo(オヨ)への出資の最終検討段階に入り、インドのスタートアップを約90億ドル(約9850億円)と評価している、と本件に詳しい筋はいう。提案されている出資規模は不明。契約は7月30日にも締結される可能性がある、とある情報筋は言った。

Oyoは2019年に約100億ドル(約1兆950億円)と評価されたが、同社の主要出資者であるSoftBank(ソフトバンク)は、最近の四半期にインドのスタートアップの評価額を30億ドル(約3280億円)へと減額した。

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提案された取引条件には、OyoがMicrosoftのクラウドサービスに乗り換えることも含まれているという向きもある。いずれの情報筋も本件が非公開であることを理由に匿名を要求している。

MicrosoftおよびOyoのファウンダーでCEOであるRitesh Agawal(リテシュ・アガーワル)氏は 29日時点でコメントを拒んだ。

Oyoはインドで最も価値のあるスタートアップの1つであり、近年東南アジア、ヨーロッパ、米国をはじめとするさまざまな市場に積極的に進出している。しかし、 いくつかの間違い(「有害なカルチャー」、ガバナンスの遅れ、ホテルオーナーとの関係など)が成長に影を落としている。

同社がホテルオーナーとの関係を改善すると誓約した直後に、パンデミックがやってきた。それに対応してOyoは成長を減速し、世界の国々が都市封鎖する中、2021年3月に世界で数千人の従業員を解雇した。

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パンデミックは創業7年のスタートアップをサイクロンのように襲った、と2021年7月初めにアガーワル氏がBloombergTVに話した。「何年もかけて作り上げてきたものがたった30日の間に60%以上崩壊しました」と彼は語り、同社が株式上場の決断をしていないことを付け加えた。

Airbnbが支援するOyoは、銀行に7億8000万〜8億ドル(約854億〜876億円)の残高があり、全事業の支出を毎月500万ドル(約5億5000万円)に抑えていることを最近のバーチャルカンファレンスでアガーワル氏が言った(2020年12月時点で同社の預金残高は約10億ドル[約1095億円]だった)。

7月、アガーワル氏が上記のカンファレンスでコメントした後、Oyoは6億6000万ドル(約723億円)の借入を行ったことを発表した。その借金は以前の負債を支払うために使われたと本件に詳しい人物がTechCrunchに話した。

Oyoは30日の提出書類で、借入の条件に後日株式と交換するオプションが含まれていることを明らかにした。

2社間の取引が実現すれば、Microsoftにとってインドのスタートアップへの最新の投資になる。同社は東南アジア諸国でいくつかのスタートアップを支援しており、その中にはニュース収集と短編ビデオプラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、eコマースの巨人Flipkart(フリップカート)、物流SaaS会社のFarEye(ファーアイ)などがいる。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook