移動するだけでお得なポイントゲット、環境に優しい方法ならさらに倍々なアプリ「Miles」が日本上陸

米国シリコンバレー発のアプリ「Miles(マイルズ)」が本日、日本でもローンチされた。2019年に米国でサービスが正式にスタート、現在、140万人以上がアプリに登録したという「Miles」は、1マイル(1.609km)の移動に対して1マイルのポイントを貯めるサービスだ。

「Miles」の特徴として、移動手段で貯まり方に違いがあるという点がある。徒歩やランニングは10倍、自転車は5倍、バス・電車・スキーは3倍と、環境に優しい方法ほどよりより多くポイントが貯まる(ちなみにクルマの相乗りは2倍、クルマは1倍、飛行機は0.1倍)。ユーザーの移動手段はスマホのデータに基づきAIが自動で判定する。

貯まったマイルはギフトカードや割引クーポン(ファミリーマートやJALグループのアンカーやGarminでのプレゼントや割引。Amazonギフトカードへの交換など)や各種サービスの抽選(DAZNの6カ月ギフトコードなど)、そして寄付(森林保護や日本赤十字社などへ)として使うことができる。本稿執筆時で108も用意されている。

また、今後、一定期間内に「徒歩」「ランニング」「自転車」のいずれかで移動を一定距離移動した人を対象に特典を提供するイベントなども予定しているとのこと。さらに自治体と連携、渋谷区の清掃活動参加者にボーナスを付与する取り組みなども行うとのことだ。

新型コロナの流行による緊急事態宣言も解除され、十分な注意は必要であるものの外出しやすくなってきた。リモートワークになり、通勤の機会は少なくなったものの健康のためウォーキングをする人も増えている。「Miles」はその都度アプリで設定しなくても、インストール、登録さえしていれば、スマホを持って移動するだけでマイルを貯めることができるのはうれしい(バックグラウンドでの更新をオンにしている場合)。知らず知らずのうちに貯まることになる。

また、「Miles」はいつ、どこに、どのように行ったのか、トラッカーとしても使うことができる。

アプリはiOSAndroidともに配信中。誰でも無料で利用できる。

急成長中の「ポイ活」アプリ、進むビジネスでの位置情報活用

近年、ビジネスにおける位置情報活用が進んでいる。位置情報関連サービスの中で特に成長著しいのが、移動に応じてユーザーがポイントを貯める「ポイ活」関連のサービスだ。スマホアプリ市場でも注目を集めている。地図DXサービスを提供するData InsightでCAOを務める伊達慶明氏は「主要なポイ活アプリのユーザー数は増え続けています」という。同氏がポイ活アプリの市場動向と主要プレイヤーの動きを解説する。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

「ポイ活」とは何か?

位置情報を活用したサービスは数多くある。BtoBではGoogleやゼンリンによる地図提供サービス、広告ソリューション、位置情報の分析 / 解析ソリューション、位置情報で顧客を誘導するOMOソリューション、ビーコンを使ってユーザーにプッシュ通知を送るようなIoTソリューションがある。BtoCでは地図サービス、乗り換えをサポートする交通案内サービス、行った場所を記録する記録サービス、IngressやポケモンGOのようなゲーム、チェーン店の位置情報を提供するマッピングサービス、ユーザーの移動に応じてポイントを付与するポイ活サービスがある。

ポイ活サービスは大きく2つに分けることができる。1つ目は「ショッピングのポイント還元を求める活動」。2つ目は「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」だ。伊達氏は今回、後者を中心にポイ活を解説する。

主要ポイ活アプリのMAU(月間アクティブユーザー)の過去2年ほどのCAGR(年平均成長率)は299%と高い

さまざまな種類があるポイ活アプリ

「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」のポイ活アプリだが、さらに2つのパターンに分かれる。「ユーザーに移動してもらうポイ活アプリ」と「ユーザーにデータを提供してもらうポイ活アプリ」だ。

前者は移動した距離に応じてポイントを稼ぐものと、店舗などの特定の場所に行ってポイントを稼ぐものがある。後者はレシートやイラスト用の画像を投稿することでポイントを集めるもの、アンケートに回答してポイントを集めるものなどがある。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリでは、広告動画視聴やヘルスケア情報の利用でマネタイズを行い、店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリは店舗からの送客フィーでマネタイズし、画像を投稿するポイ活アプリではレシートデータやイラスト用写真を企業に売却することでマネタイズを行う。また、アンケート型のポイ活アプリでは回答を企業に売却したり、マーケティングに活用する。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリには、トリマやaruku&がある。ユーザーには30〜50代の男性が多く、アクティブ率が高い傾向にある。休眠ユーザーは30%程度だ。ユーザーは類似のアプリを併用することが多い。

店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリの例は、楽天チェックだ。こちらもユーザーは30〜50代の男性が多い。しかし、移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリに比べ、アクティブ率が低い。

画像を投稿するポイ活アプリには、ONEやCODEがある。ユーザー層の中心は30代女性。アクティブ率は高く、ユーザーは類似アプリを併用する傾向がある。

アンケート型のポイ活アプリの例としてはマクロミルが挙げられる。中心的ユーザーは40代男性と30代女性。アクティブ率が高く、ヘビーユーザーが30%と多い。こちらもユーザーは類似アプリを併用する傾向が強い。

成功に必要な差別化と併用による共存共栄

伊達氏はポイ活アプリの重要成功要因として「ついで感」と「高還元」を挙げる。中でも成功しているのが「トリマ」と「マクロミル」だ。

同氏によると、トリマはポイントが貯まっていることを視覚的に感じられるタンクのデザインが生かされており「移動中にお金を稼げている」という感覚を感じやすくなっているという。さらに、広告動画視聴でもポイントを付与しており、これが高いアクティブに繋がっていると考えている。また、マクロミルはアンケートに回答するたびに10円分のポイントが付与され、高還元になっている。

伊達氏は「ポイ活アプリ市場は一見魅力的ですが、後発参入者はアプリの差別化が必須になります。とはいえポイ活アプリ市場は急成長しており、主要5アプリの直近1年のMAUは計1000万人以上増えています。また、多くの場合、ユーザーはあるアプリをインストールすると同様のアプリはインストールしませんが、ポイ活アプリユーザーは類似のアプリを併用することが多いので、新規参入者にとっても『共存共栄』できる環境です。成功するポイ活アプリを目指すのであれば、先ほど挙げた『ついで感』と『高還元』を重視し、ユーザーがストレスフリーにポイントを集められる仕組みが重要になるでしょう。主要ターゲットは30代、40代なので、それを意識したUI設計も必要です」と分析する。

これからポイ活アプリに参入するには、差別化が重要になるが、具体的には何が差別化要因になり得るのだろうか。伊達氏は「データと地図の組み合わせ」が鍵になると見ている。その根拠は食べログとInstagramだ。

食べログは2020年、アップデートを行い、地図上で飲食店を検索できるようにした。これにより、ポジティブなレビューが増えてきた。一方Instagramはこれまでハッシュタグが主な検索が方法だったが、人気の飲食店などを地図上で検索できるように2021年5月からベータ版が実装された。この機能はまだ一部でしか利用できないが、話題になっている。これからポイ活アプリに参入しようとしている企業は参考にしてみると良いかもしれない。

関連記事
プライバシーに配慮し家族全員は良い信頼関係を築ける位置情報アプリ「Life360」を著名人投資家も支援
ゼンリンCVCと第1号投資先レイ・フロンティアが創る「地図と位置情報データで住み良い街」
ゼンリンCVC子会社出資第1号の「レイ・フロンティア」とゼンリンが移動最適化や位置情報ビジネスで提携

カテゴリー:ネットサービス
タグ:位置情報地図ポイ活アプリ