政治コミュニティアプリ「PoliPoli」がリニューアルし“議論の場”から“課題解決”のサービスへ

政治コミュニティアプリ「PoliPoli」運営のPoliPoliは1月16日、UIやデザインを大幅にアップデートした同アプリのリニューアル版をリリースした。

2018年7月にベータ版がリリースされたPoliPoliは良くも悪くも政治コミュティらしくお堅くかしこまった印象だった。だがリニューアル版はピンクを基調としており、柔らかで優しそうだ。ロゴもカチッとしたものから角張っていないソフトなものに切り替わっている。

PoliPoli代表取締役社長の伊藤和真氏はロゴに関して、以前のものよりも「よりゲーム感覚で楽しくまちづくりに参加できるといったイメージ」にしたかったと話す。またロゴに使われている丸は完全な丸ではないが、これに関しては「政治は丸ではない。色んな人がいるから政治なのだと思う」と同氏は説明した。

“議論の場”から“課題解決”のサービスへ

このリニューアルには伊藤氏が率いるPoliPoliチームの同アプリを“より建設的なモノにしたい”といった想いが詰まっているのだろう。それもそのはず、リニューアル版には主な機能として「プロジェクト」機能があり、PoliPoliは単なる“議論の場”に止まらず“課題解決型”のサービスを目指していく。

スローガンも以前は「政治をエンターテインする」と若干抽象的だったが、「政治家と、まちづくり」というかなり具体的なものとなった。

プロジェクト機能ではユーザーは身の回りの課題をプロジェクトとして投稿できる。例えば、「息子を入れられる保育園がなくて困っています」「深夜の渋谷の警察の職務質問が度を越している」「田園都市線の満員電車をなんとかしてほしい」など。プロジェクトに共感が集まるとPoliPoliに登録している政治家を招待し、課題の解決に向けて他のユーザーや政治家と話し合うことが可能だ。

PoliPoliでは2018年11月22日から12月22日の間、神奈川県と連携し行政へのアイディアを同アプリ上で募集していた。パブリックコメント制度があることを把握していない“政治と距離”のある人の意見を集めようという試みだった。

伊藤氏いわく、以前、「渋谷の喫煙所の位置が悪い」という議論がPoliPoli上で盛り上がり、そこに渋谷の区議が参加し、課題を区議会に提出することで行政に伝わるといったケースもあったそうだ。

「僕たちのコアバリューは政治家が参加しているというところ。政治家と一緒に議論することが大事だ」(伊藤氏)

PoliPoliのベータ版には2018年7月1日から11月19日の間に9000名以上のユーザーと120人以上の政治家が集まり、550ものトークルームが作られた。

プロジェクト機能が実装されることで、以前にもまして上記のような“課題解決に向けた建設的な議論”が活性化されるのではないか。

政治イヤー2019年、PoliPoliの“これから”

PoliPoliは1月17日、第三者割当増資により総額約6000万円の資金調達を実施したと発表。引受先はNOW、ベンチャーユナイテッド、F Venturesとインキュベイトファンド。調達した資金は開発とPRに使われる。

写真中央が伊藤氏

2019年は地方統一選挙や参議院選挙などの政治イベントが多数あるいわば“政治イヤー”だ。PoliPoliは、この勝負の年で「PoliPoliコミュニティの質・量の成長に全力を注ぐ」のだという。3月には選挙用web版の公開、その後にはAndroid版のリリースを予定している。

伊藤氏が以前の取材でも話していたとおり、同社の目標は“ブロックチェーンを使ってトークンエコノミーを構築することで良質な政治コミュニティを作る”こと。

だがまずは3月くらいまでにクレジットカード経由での献金機能を4月の地方統一選挙に間に合うような形で実装することを目指す。伊藤氏いわく2015年の政治資金収入は2286億円で、そのうちの200億円ほどを個人献金が占める。この個人献金仲介機能が実装されれば政治家たちをPoliPoli上でよりアクティブにする強力なインセンティブとなるだろう。

ユーザーにとってのインセンティブはまだ具体的にはなく、課題を投稿し共感を集めることによってスコアが上がるなどのゲーミフィケーション要素などにより“楽しくまちづくりをすること”が参加のメリットとなる。

しかし長期的には「プラットフォームが株主の利益を最大化するためだけでなく、ユーザーもプラットフォームを保有し参加インセンティブを受けられるいう文脈からも」トークンエコノミー化も視野に入れ事業を進めて行く。

「ゆくゆく暗号通貨市場が整ってきたら全てをトークン化したい。理由は色々とあるが、インセンティブになるというのが大きい。今はSNSは承認欲求を満たすために使われているところが大きい。だがインセンティブがあり、まちづくりに参加したらトークンがもらえる、という世界観が今後出てくるのでは。それが今、一番やりたいことだ」(伊藤氏)