軽量かつ安価な12.4インチSurface Laptop Goが登場、価格は約8.4万円から

Microsoft(マイクロソフト)は、増え続けるSurfaceシリーズのラインアップにいくつかの重要なプロダクトを追加した。米国時間10月1日朝に、新しいアクセサリーやSurface Pro Xへのアップデートが発表されたが、最大のニュースはSurface Laptop Goの登場だろう。

このデバイスは、Surface Goから命名規則を借りており、 Surfaceシリーズの軽量かつ安価なエントリーモデルの位置付けになる。Surface Goよりは高いものの非常に手ごろな価格帯だ。

ただし、スペックについては特筆すべき点はない。インテルの第10世代の4コアCore i5プロセッサ、4GBもしくは8GBメモリーと、 64/128/256 GBのストレージを搭載する。税別価格は、4GBメモリー/64GBストレージの下位モデルが8万4480円、8GBメモリー/128GBストレージの中位モデルが10万2080円、8GBメモリー/256GBストレージの上位モデルが12万6280円だ。アプリをバンドルするとそのぶん価格は上昇する。

ディスプレイは、12インチのSurface Go 2よりも1インチ半ほど大きく、Surface Laptop 3の13.5インチまたは15インチよりは小さい12.4インチだ。画面解像度はSurface Laptop 3に比べるとかなり低スペックとなる。下位モデルは1536✕1024ドットで148 PPI、フラッグシップモデルで2256✕1504ドットで201 PPIだ。もちろん、これは価格が半分程度の製品としては当然のことだろう。

マイクロソフトは、Surface Laptop Goが1.3mmのキーピッチを備えたフルサイズキーボードを搭載していることを強調している。同社は間違いなく、タブレット端末とキーボードケースとの対比を意図している。アップルがここ数年ノートパソコンのキーボードで直面している問題はいうまでもないだろう。

本体の重さは2.45ポンド(約1.1kg)で、Surface Laptopの中で最軽量だ。ポートは当然ながらかなり限られている。USB-AとUSB-C、そして独自のSurfaceポートを備える。Surfaceポートは、既存の付属品のために外せないだろう。内蔵バッテリは高速充電が可能で、同社によると連続駆動時間は約13時間。

Surface Laptop Goは、新しいSurface Pro Xと同時に予約受付が始まり、10月13日に出荷が開始される。また同社は、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアを含む欧州の多くの国でSurface端末を発売する。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

マイクロソフトが11月10日にXbox Game Pass Ultimate加入者にEAのサブスクゲームサービスEA Playを無料プレゼント

今月初め、マイクロソフトはXbox Game Pass Ultimate加入者が追加料金なしで、EA Playを利用可能なることを発表した(マイクロソフトリリース)。EA Playは、Electronic Arts(エレクトロニック・アーツ)のサブスクリプションベースのビデオゲームサービスだ。米国時間9月30日、同社はこの詳細を明らかにした(マイクロソフトリリース)。Xboxのゲームコンソール所有者は11月10日にEA Playの無料サブスクリプションを有効化することができる。

既報のとおり、Xbox Series XとXbox Series Sを11月10日に発売する。ちなみにEA Playには、Fifa 20、Madden NFL 20、Battlefield V、Mass Effect、Dead Spaceなど、EAの各種ゲームが含まれている。

画像クレジット:Mircrosoft

Xbox Game Pass Ultimateサブスクリプションには、同社のゲームライブラリ、Xbox Live Goldサブスクリプション、同社のクラウドゲームサービスxCloud、そして11月にEA Playへのアクセスが含まれる。これが月額1100円で手に入る。なお、月額850円のXbox Live GoldではEA Playを利用できない。

画像クレジット:Microsoft

Windowsでは、Xbox Game Pass、およびXbox Game Pass Ultimateの加入者は、12月にEAのゲームをダウンロードすることができる。少し手間なのは、EAのアカウントを作成する必要があることだ。 EAクライアントアプリをダウンロードし、XboxとEAアカウントをリンクしなければならない。

なお、すでにEA Playの料金を支払っていて、EA Playへのアクセスを許可しているXbox Game Pass Ultimateサブスクリプション利用者は、EA Playのサブスクリプションはキャンセルされ、残りの契約期間はXbox Game Pass Ultimateに充当される。そして、残りの期間が50日から3カ月の間であれば1カ月ぶんの、残りの期間が4カ月から6カ月の場合は2カ月ぶんのXbox Game Pass Ultimateを受け取ることができる。詳細はFAQで確認してほしい。

マイクロソフトはこの機会に、一部のBethesda(ベセスダ)のゲームがサブスクリプションサービスに追加されることを明らかにいている。例えば「Doom Eternal」は10月1日に同サービスでプレイ可能になる。またXboxのリリースでは、Bethesdaが開発中の宇宙を舞台にしたオープンワールドRPG「Starfield」もXbox Game Passに入ることが記載されている。

画像クレジット:the blowup / Unsplash

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(翻訳:TechCrunch Japan)

マイクロソフトがビジネス向けCortana新機能を発表、iOS版Outlookはメール音声読み上げや各種操作が可能に

Cortana(コルタナ)はコンシューマー向けの音声バーチャルzアシスタントとしては失敗したかもしれないが、Microsoft(マイクロソフト)はMicrosoft 365の一部として「パーソナル・プロダクティビティ・アシスタント」として再ブランド化し、ビジネスの現場ではCortana、あるいは少なくともそのブランドが存続することになった。そんな中の米国時間9月22日、マイクロソフトはIgniteカンファレンスで、ビジネスユーザー向けのCortanaの新サービスを発表した。

その中には、同社が複数のハードウェアベンダーと提携して販売する、新しいMicrosoft TeamsのディスプレイMicrosoftTeamsリリース)でCortanaを利用できるようになることも含まれている。これらはTeams専用のスマートディスプレイで、いわばGoogleアシスタントに対応したスマートディスプレイのようなものだが、会議に特化したものだと考えていいだろう。最近では、このようなデバイスは音声アシスタントをサポートしていないと有用性を示すことは難しい。なおこのディスプレイは、米国で9月に発売され、オーストラリア、カナダ、英国、インドでは今後数カ月のうちに展開される予定だ。

同社はこれらの 「Teams」 デバイスに加え、近いうちに 「Teams Rooms」 デバイスにもCortanaが搭載される予定だ。オフィスや会議室に戻って共有ハードウェアに触れたいと思う人はほとんどいないと思われるので、タッチレス体験は必須だ。

さらにマイクロソフトは、しばらく前からメールを中心としたCortanaサービスも発表している。米国ではすでにiOSとAndroidで提供されている、メールを読み上げてくれるサービスであるPlay My Emailsは、オーストラリア、カナダ、英国、インドでも今後数カ月のうちに提供される。それ以上に注目なのは、iOS向けのOutlookユーザーは今月下旬に、音声で受信トレイと対話したり、メール送信者への通話を開始したり、特定の送信者からのメールを再生したりすることができるようになるということだろう。

またCortanaは、Microsoft 365 Enterpriseユーザーであれば、毎日のブリーフィングメールを送信できるようになった。この機能は現在一般に利用できるようになっており、今後数カ月のうちに会議の準備やMicrosoft To Doとの統合、その他の新機能が強化される予定だ。

そして、もしWindows 10でCortanaを使用している場合、このチャットベースのアプリでは、少なくともあなたが英語を話し、米国にいる場合は電子メールを作成することができるようにある。また、必要に応じて、ウェイクワードを使って起動することも可能になった。

Microsoft Ignite

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Microsoft EdgeのLinux版プレビューが10月登場

Microsoft(マイクロソフト)は、EdgeブラウザをChromiumエンジンに切り替えると発表したとき、あらゆる人気のあるプラットフォームにEdgeブラウザを提供することを公表していた。当時、Linuxはそのリストに含まれていなかったが、昨年末には同社がLinux版に取り組んでいることが明らかになっていた。今年のBuildでは、マイクロソフトのプレゼンターがプレゼンテーションの中でChromiumエンジンを使っていた(Windows Central記事)ことも記憶に新しいだろう。

画像クレジット:Microsoft

10月から、LinuxユーザーはEdge Insiderのウェブサイトから、またはネイティブのパッケージマネージャからブラウザをダウンロードできるようになる。WindowsやmacOSのユーザーと同様のEdge体験を得られるだけでなく、内蔵されているプライバシーやセキュリティ機能にもアクセス可能だ。ほとんどの場合、Linuxでの体験はほかのプラットフォームと同等のものになると思われる。

また同社は本日、開発者がこれまでに3700人以上のChromiumプロジェクトへのコミットを行ったことを発表した。この作業のいくつかはタッチスクリーンのサポートに関するものだが、チームはブラウザの基本的な部分に加えて、アクセシビリティ機能や開発者ツールなどの分野にも貢献している。

現在、Microsoft EdgeはWindows 7、8、10、macOS、iOS、Androidで利用可能だ。

Microsoft Ignite

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

マイクロソフトが量子計算機プラットフォームを限定プレビュー

米国時間5月19日、Microsoft(マイクロソフト)はパートナー主体の量子コンピューティングプラットフォームであるAzure Quantumの限定プレビューを、量子コンピューティングの利用を開始したいと考えているデベロッパーに対して開始したと発表した。

画像クレジット:Xinhua / Sylvia Lederer via Getty Images / Getty Images

Azure Quantumは、当初Microsoft Ignite 2019で発表された。このAzure QuantumはIonQ、Honeywell、QCI、マイクロソフトのハードウェアと、1QBitなどのサービスを従来からあるAzureクラウドのコンピューティング機能に統合するものだ。今回の限定プレビューへの移行にともなって、マイクロソフトは選定された少数のパートナーと顧客にサービスの提供を開始した。

現段階では、ほとんどのビジネスにとって、まだ量子コンピューティングは文字通り不可欠な機能とはいえない。しかし物事が速く移り変わること、そして数年以内にこの技術が成熟したときにそれがどれほど強力なものになるかを考えると、着手すべき時は今だと多くの専門家が指摘している。特に量子コンピューティングと従来のコンピューティングとの違いを考慮し、デベロッパーが実際に開発するのにかかる時間を考えればなおさらだ。

Microsoft Igniteでは、マイクロソフトはQuantum Development Kit、コンパイラー、シミュレーターもオープンソース化した。

このようなマイクロソフトのアプローチは、他のどんな競合企業とも異なっている。また現状においては、マイクロソフトは他の量子ハードウェア企業と提携する必要がある。その理由は単に同社の量子ハードウェアへの取り組みが、まだ実用可能なレベルに達していないからだ。マイクロソフトは、マシンのコアにある異なる種類の量子ビットの開発に関して、IBMやRigettiなどとはまったく異なるアプローチを取っている。この数カ月で、いくつかのブレークスルーはあったものの、まだ動作可能な量子ビットは実現できていない。もしかすると、公表していないだけで、既に実現しているのかもしれないが。

関連記事:Honeywell says it will soon launch the world’s most powerful quantum computer

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトがVisual Studio Live Shareに音声とテキストのチャット機能を追加

Microsoft(マイクロソフト)のVisual Studio Live Share(ビジュアルスタジオ・ライブ・シェア)はVisual Studio IDEとVisual Studio Codeエディターでリアルタイムのコラボレーションコード作成をするための新しいツールだ。同社はこのツールのブラウザーバージョンを既に公開している。リアルタイムの共有コードエディターはすばらしいツールだが、ユーザーは実際の作業内容について議論するために、別のツールを立ち上げる必要があった。しかしそれが変わる。Build 2020カンファレンスで、Microsoftはこのサービスに音声およびテキストのチャット機能を追加すると発表した。

現在のさまざまな状況を踏まえると、オンラインの共同作業を便利にするものは何であれ、デベロッパーにとって歓迎だろう。スクリーン共有など他の共同作業ツールと異なるLive Shareの大きな特徴は、各デベロッパーが使い慣れた、時には一風変わった自分専用の設定を使えることだ。最近の共同ドキュメントエディターのほとんどがそうだが、Live Shareでも全員がそれぞれのカーソルを使える。

現時点ではテキストと音声チャットは、Teamsなど他のMicrosoftのコミュニケーションツールと連携していないようなので、当面Live Shareで起きていることはLive Share内に留まることになる。

上記の新機能は、現在公開プレビュー版として利用できる。

画像クレジット:AleksandarNakic / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オンライン版BuildカンファレンスでMicrosoft Teamsの強化を発表、ブロード/プライベートキャストがさらに容易に

Mircrosoft(マイクロソフト)のデベロッパー・カンファレンスであるBuildが米国時間5月19日にオンラインで開幕。ここでリモートワークのプラットフォームとして人気を集めているMicrosoft Teamsにも多数のアップデートが予定されていることが発表された。

同社は現在Teams、を通話、チャット、音声ないしビデオ会議によるチームワークと共同作業の中心と考えいている。当然ながら本日のTeamsに関する発表でもコラボレーションを支援する側面が強調された。同社がTeamsに搭載予定の新機能は大部分が順当なものだと言える。

多くのユーザーに直接影響があるアップデートは、おおむねオンラインミーティングに関するものだった。例えば、オンラインミーティングのスケジューリングや実施を、予約機能(Bookingsアプリ)から手軽に管理できるようになる。スケジューリングの面では、チームはシフトアプリの新機能も提供している。スケジューリングについては、Shiftsアプリにトリガー条件の設定機能などが加わる。ミーティングの日時変更にはいちいち管理省の承認が不要な場合も多い。どのような場合にスケジュール変更が自動的に承認されるか設定ができるようになる。また新しいミーティングのテンプレートも用意される。

これよりは搭載時期は遅くなるが、Teamsの新ユーザー向けに自由にカスタマイズできるテンプレートも近々リリースされるという。ここには各種のイベントの管理や突発的事態への対応などの標準的なビジネスシナリオのほか、医療関係者やミュージシャン向けなど業界別のテンプレートが含まえる。同社は「テンプレートにはチャンネル、アプリ、利用方法など事前に設定されている」と述べた。

さらに同社は、はプログラミングなしでチャットボットを作成できるPower Virtual AgentsをTeamsアプリストアで近日公開する。質問に答えを返してくるボットの内容を書いて管理することが誰でも簡単にできるようになる。

また同じくノンプログラミングの業務アプリ作成ツールのPower Appsやワークフローの自動化ツール、Power AutomateをTeamsに簡単に統合できる機能も準備されている。ビジネス・インテリジェンスを提供するPower BIのユーザーはアイコンをクリックするだけでレポートをTeamsで公開できるようになる。

こうしたメジャーアップデートに比べるとやや地味だが、NDI(Network Device Interface)のサポートも重要だ。これはイーサーネットを介して動画を作成、配信するためにNewTekが開発した無料のプロトコルだ。これが採用されたことは大いに歓迎されるだろう。たとえば現在、Skypeにはこれに似た機能がある。SkypeビデオをOBS、Wirecastなどのポピュラーなソフトウェアに流し、Skypeの映像や音声を多数の視聴者向けにストリーミングすることができる。ただし、理由は不明だが、ビデオとオーディオのストリーミングが分離しているあめ、画面と音のズレに対処することは非常に難しい。

この機能が導入されれば、リモートワークにTeamsを利用している会社はTeams上のチャットを一般公開(ブロードキャスト)できるほか、社内向けに限定配信(プライベートキャスト)することが簡単になる。TeamsはさらにSkype TXとも統合される。これはリモートインタビューを実行するために多くのテレビ局が使っているハードウェアを含んだ放送用Skypeソリューション」だ。なおTeamsは来月にもNDIのサポートを開始する予定だ。

画像: Akio Kon/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

画面がちょっと大きくなったSurface Go 2はWindows PCサブ機の有力候補

初代のSurface Goは、2018年後半にシリーズに加わった。概ね好意的に迎えられたのは、サイズも小型で、セカンドマシンとしてぴったりだと感じる人が多かったからだろう。確かに2通りの使い方ができ、持ち運んで使う際にも便利だ。ただしそれ以外の点では、特にパフォーマンスや柔軟性に不満が残るものだった。

今回のSurface Go 2の発売タイミングは、ちょうど新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの最中で、時機を得たものとはいい難い。つまるところ、このシリーズはポータビリティを重視し、他の部分では妥協を強いるという性格のもの。つまり、必要ならどこにでも持っていけるというメリットのために、いろいろな欠点も喜んで受け入れることができる人のためのデバイスということになる。自宅の机の上でタイプ入力しようとすれば、そうした欠点の数々が気になってくる。

関連記事:マイクロソフトがSurface Go 2とSurface Book 3を正式発表

もちろん、それはMicrosoft(マイクロソフト)の落ち度というわけではない。これはこれでアリなのだ。このデバイスの仕様と399ドル(日本仕様、税込6万5780円)からという価格を考えれば、Surface Go 2はやはり持ち運び用のセカンドマシンとしてぴったりの位置付けということになる。画面サイズが若干拡張されてスペックも向上しているが、もちろんそれが問題になるはずはない。そのあたりを追求してもしかたがないが、念のためにいっておけば、ほとんどのユーザーに対して、これをメインマシンとして薦めることはできない。

実際に399ドル(日本仕様、税込6万5780円)のモデルを購入した場合、そこに何が含まれているかを明らかにしておこう。まず、キーボードは付属しない。それでもキーボードは不可欠だろう。言ってしまえば、キーボードを付けたり外したりできるところが、そもそもSurfaceを購入しようという動機の大部分を占めている。Windows 10の機能をフルに活用するため、そして生産性を向上させるためには、やはりキーボードが必要なのだ。オプションのキーボードは、129ドル(日本仕様、税込1万6940円)となっている。

ちょっと納得しにくいのは、プロセッサーのアップグレードだ。私が少し前にレビューしたMacBook Airと同様、プレス向けの資料に書かれているような最上位の仕様を実現するには、決して手軽とはいえないアップグレードを選択する必要がある。マイクロソフトは、Surface Go 2をまともなラップトップとして使えるものにした要因として、第8世代のIntel Coreプロセッサの採用を大々的に宣伝している。ただし、エントリーレベルのモデルは、Intel Pentium 4425Yチップを採用する。これは初代Goの同4415Yの延長線上にあるものだ。初代のGoの大きな問題点の1つとして、多くのレビュアーが指摘していた部分だ。

関連記事:Microsoft Surface Go review

Intel Core m3を搭載したモデルの価格は630ドルから(日本版、税込10万7580円)となっている。その場合、RAMとストレージも、エントリーモデルの4GB/64GBから、8GB/128GBに増強される。LTEはオプションになったが、選択すると730ドルとなる(日本仕様はLTEが標準で上記の価格)。こうして、価格はどんどん跳ね上がっていく。確かにLTEは、多くのユーザーにとって必須のオプションではないだろう。ただし本当に最小限の性能で満足できるのでない限り、CPUはCore m3を強く薦めたい。

Core m3モデルでは、Geekbench 4のシングルコアおよびマルチコアのテスト結果として、それぞれ739と1540を記録した。これは前世代のモデルと比較して、かなりのパフォーマンスの向上となる。それなりの出費は必要だが、日常的に使用するデバイスとして、大きな違いが感じられるはずだ。Core m3モデルなら、毎日の仕事をこなすためのマシンとして頼もしい存在だと感じられるユーザーも少なくないはずだ。

画面が10インチから10.5インチに拡大されたのは、もちろん歓迎すべきことだ。このようなコンパクトなサイズでは、0.5インチの意味はかなり大きい。称賛すべきなのは本体サイズをほとんど変えずに、画面サイズだけを拡大できたことだろう。もし本体サイズが大幅に大きくなるようだと、このデバイス本来の魅力が消え失せてしまうからだ。

Surface Go 2もこのシリーズならではの特徴として、本体背面のキックスタンドを引き続き装備する。キーボードケースなどにセットしなくても自立する。このタブレットをキーボードを付けずに使いたい人にとって、これは理にかなっている。デバイス自体にスタンドが内蔵されているので、例えば映画を観るような場合も、何もアクセサリー類を使わずにそのまま画面を正面に向けることが可能だ。

ただし、このスタンドに対する以前からの不満は解消されていない。例えば自分の膝の上で使おうとすると、このスタンドでは頼りない。キーボードはふわふわと落ち着かず、このタブレット本体もなかなかまっすぐに立たない。最適な配置を見つけるまでに、かなりの時間を要する。とはいえ、タイピングの感触自体は悪くない。Surfaceの専用キーボード自体の出来はかなり良いほうだ。ノートパソコンのものほどではないが、十分に使いものになる。ややピッチが狭くソフトな感触だが、しばらく使っていれば慣れる範囲だろう。

ポート類に関しては改良の余地がいろいろありそうだ。備えているのはUSB-Cが1つ、ヘッドフォンジャックそれに独自のSurface Connectポートだ。この専用ポートは、廃止しても構わないものだろう。旧モデルとの互換性を保つためだとは思われるが、これを廃止して2つ目のUSB-Cポートを追加して、そこにドックを接続する方がいい。ちなみに、新しいSurface Dock 2は259ドル(日本仕様、税込3万2340円)で購入できる。

こうしてCPUをアップグレードしたりアクセサリー類を加えていくと、価格はかなり高いものになる。Core m3 Wi-Fiモデル(日本での公式販売予定はないもよう)の場合は、キーボードとドックを追加すると、1017ドル(日本仕様の場合、税込15万6860円)にもなる。エントリーの399ドルとはかけ離れた価格だ。ここまでの金額を出すなら、競合メーカーの製品を検討する意味も増してくる。とはいえ、いくらか機能を犠牲にしても価格が安い方がいいというのなら、2in1のWindows PCサブ機として、Go 2はやはり有力な選択肢と言える。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトがSurface Go 2とSurface Book 3を正式発表

派手な製品発表イベントが開催されるようになるまでには、もう少し待たなければならない。それまでは、ブログ投稿が大きな役割を果たす。Microsoft(マイクロソフト)が、デュアルスクリーンデバイスにはそれほど注力していないことを明らかにした翌日、最高製品責任者のPanos Panay(パノス・パナイ)氏は、同社のDevicesブログで多くの新製品を発表した。

その中で最も注目すべきものは、Surface BookとSurface Goの最新モデルだ。またヘッドフォン製品シリーズのアップデートもある。よりコンパクトになったGoは、Surfaceファミリーに加わった最も魅力的な新製品の1つだ。まずは、以前から人気が高いGoの新モデルの話から始めよう。

Goの当初の目標は、Surfaceに手軽なエントリーレベルの製品を加えることだった。よりポータブルな本体を、小型で安価な製品として提供した。今回発表されたGo 2は、前任機と設置面積は同じだが、画面サイズを10インチから10.5へと、わずかに増やしている。プロセッサーも、Pentiumから、第8世代のIntelチップ(Core m3またはPentium Gold)にアップグレードされた。内蔵マイクと前面カメラも改良され、Surface Penに対応した新しいアプリもいくつか追加されている。Go 2は5月12日に発売予定で、価格は399ドル(日本仕様は6万5780円)からとなっている。

一方、Surface Bookのアップグレードは、主に内部に関するものとなっている。第10世代のIntel Coreプロセッサーを採用し、最大32GBのRAMを実装可能、グラフィックスも強化されている。マイクロソフトによれば、このSurface Book 3は1回の充電で最長17.5時間使用できるという。これは5月21日に発売予定で価格は1599ドルからとなる(日本仕様は6月5日発売予定で価格は20万9880円)。

関連記事:マイクロソフトのワイヤレスイヤフォンはOfficeと連携する

Surface Headphonesもアップグレードされ、バッテリー寿命が延長された。1回の充電で最大20時間聴くことができる。音質も改善され、調整可能なアクティブノイズキャンセレーションも強化されている。また、イヤーカップ部分の回転の自由度が増し、より使いやすくなるよう再設計されている。このSurface Headphones 2は、249ドル(日本仕様は税込3万2428円)で、オンラインでは5月12日(日本では6月5日)に発売予定となっている。

待望のSurface Earbudsも登場した。Surfaceファミリーにとっては異色の存在となるだろう。もちろんアップルのAirPodsと競合するものだが、Word、Outlook、PowerPointなどで利用可能な音声ディクテーション機能など、Office関連のさまざまな機能を組み込むことで差別化を図っている。ワイヤレス充電ケースも付属し、価格は199ドル(日本仕様は税込2万3980円)となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトが無料開催のオンライン版Build 2020の登録を開始

Microsoft(マイクロソフト)は、5月19日から20日まで、今年はオンラインのみで開催するBuild 2020デベロッパー・カンファレンスへの参加登録を開始した。

通常なら、このイベントには6000人以上のデベロッパーが参加する。しかし新型コロナウイルスのパンデミックのため、いつも通りの開催はできない。今年はGoogle I/Oデベロッパーカンファレンスを完全に廃止したGoogleとは対照的に、マイクロソフトは仮想イベントとして開催することにした。これは非常に異例のBuildとなるが、オンラインのみの開催だからというだけではない。

まず基調講演が短くなる。ただし、第1日と第2日に、それぞれ基調講演の枠は確保されている。もう1つの違いは、デベコンの参加者のみに焦点を合わせることにしたこと。これは、以前に参加したデベロッパーからのフィードバックに、マイクロソフトのチーム応えたものだ。過去数年間、マイクロソフトは、Buildを消費者向け製品を発表する場としても利用してきた。GoogleがI/Oでそうするのと同じだ。しかし今年はそれはない。さらに基調講演でも、半年以上経っても利用できないような機能に先走ってスポットライトを当てるのではなく、デベロッパーがすぐに利用可能なもの、あるいはすぐに登場するか、数ヶ月のうちにはデベロッパーの手に渡る新機能について取り上げることになる。

マイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、引き続き基調講演に登場するとしても、企業哲学についての大局的な話は減り、デベロッパー向けのツールやAPIについての話が増えることになるはずだ。

基調講演とデモの一部はライブで配信されるが、その他のコンテンツは事前に録画されたものとなる。それでも全体的に、Buildのルックアンドフィールは、これまでにリモートで視聴したことのあるデベロッパーの体験から、そう大きくかけ離れたものとはならないはずだ。とはいえ、期間は短くなり、これまでよりも集約されたものとなる。それは必ずしも悪いことではない。

米国ワシントン州シアトルで2018年5月7日月曜日に開催されたMicrosoft Developers Build Conferenceで、参加者がポッドの中に座っている様子。Buildカンファレンスは、シアトルで2年連続で開催され、同社のクラウドテクノロジーと、クラウドサービスとして提供される人工知能関連の機能に重点を置くものとなった(写真:Grant Hindsley/Gtty Images経由のBloomberg)

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトが新型コロナの元患者に血漿提供の可否を問うボットを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)から回復した元患者の血液から取り出す血漿は、世界的パンデミックをコントロールしようと展開されている取り組みの中で、差し当たって活用できる有効な手法となる可能性を秘めている。米食品医薬品局(FDA)はすでに対象となる個人に献血を広く呼びかけている。そして今度はMicrosoft(マイクロソフト)がCoVIg-19 Plasma Alliance(ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金の一部を拠出している)の代理でオンラインスクリーニングツールを構築した。

マイクロソフトが財団のために開発した「CoVIg-19 Plasma Bot」は同社がテクノロジーを駆使して作った新型コロナ関連の最新ボット事例となる。同社が米疾病予防管理センター(CDC)向けに手がけた症状自己チェックサイトは、米国で初期に大規模展開されたものの1つだ。Plasma Botは個人が生物学上、そして健康上、血漿提供の条件に合致するか、個人が貢献したいかどうか、献血センターでの血漿回収に参加できるかどうかを判断するために、いくつかの簡単な質問をする。

新型コロナに感染し、完全に回復した人の血液から分離される液体である回復期血漿の使用は、多くの科学者や研究者が模索している治療方法だ。血漿の使用方法は主に2つある。1つは、予防や素早い回復のための免疫アップを目的に新型コロナ患者やリスクの高い人に直接血漿を注入するというもの。もう1つは高度免疫治療と呼ばれる治療法の開発だ。容易かつ効率的に大規模展開できるかもしれない治療法を開発するために提供された血漿から抗体を集める。

回復期血漿にかかる開発の試験や療法研究で最大のボトルネックが、血漿そのものだ。新型コロナウイルス感染症の元患者で完全に回復し、献血に必要な条件をクリアした人からしか集められない。

新型コロナウイルスを克服するために研究や開発が進められている他の多くの治療法と異なり、回復期血漿は他の呼吸器感染症の治療で既に効果が確かめられており、長く活用されてきた歴史がある。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

一般ユーザー向けMicrosoft Teamsが登場するが用途がカブるSkypeは継続

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間3月30日、2020年の後半にMicrosoft Teams(以下、Teams)の一般ユーザー向けともいえるバージョンをリリースすると発表した。Slackなどと同様にテキスト、オーディオ、ビデオによるチャットが可能なアプリとなる。マイクロソフトは、これを個人の生活に密着したTeamsと位置付けようとしている。家族や小グループがイベントを調整し、情報を共有し、ビデオ通話も可能にするなど、多くのツールを備えている。

画像クレジット:Jeenah Moon / Getty Images / Getty Images

Google(グーグル)が長い間実証してきたように、メッセージングアプリが、これでもう十分だという状態になることはない。それでも、マイクロソフトがTeamsをこの方向に発展させようとしているのは興味深いことだ。というのも同社は、ずっとSkypeを、個人ユーザー向けのチャット、および音声、ビデオ通話用として推奨してきたからだ。マイクロソフトのモダンライフ、検索、デバイス担当副社長のYusuf Mehdi(ユスフ・メディ)氏は、Skypeがなくなるわけではない、と私に語っている。同氏によれば、現在では実際に5億人以上が、Skypeのようなツールを使っているという。

Skypeの将来について尋ねると「Skypeは続けます」と、同氏は答えた。「私たちは、Skypeに注力し続けます。今日Skypeは、月間ベースで1億人が利用しています。私としては、Skypeは今日の個人向けのソリューションとして、非常に優れていると考えています。多くの放送局も利用しています。一方のTeamsはより堅牢なサービスです。チャットやビデオ通話機能だけでなく、リッチなコミュニケーション機能やテンプレートも用意しています。ダッシュボードのようなものもあるので、さらに豊富なツールを導入することも可能です」。

つまり、より個人向けのTeamsが2020年後半にリリースされるというだけで、Skypeは当面の間、マイクロソフトとしてメインの一般ユーザー向けチャットサービスであり続ける。実際、現在毎日約4000万人がSkypeを使っている。その背景には、新型コロナウイルスのパンデミックもある。Skype間の通話時間は、220%ほど増加していると同社は見ている。

マイクロソフトでは、この新しい個人向けのTeamsを、別のブランドにすることも考えていた。しかし同社は、Teamsがすでにかなり幅広いブランド認知度を獲得していると判断した。また今回のアップデートは、仕事と家庭生活のギャップを埋めることにかなりの重点が置かれたものとなっている。というわけで、企業向けと個人向けの両機能を、同じアプリケーションに統合するというのは理にかなったことだといえる。

関連記事:Microsoft brings Teams to consumers and launches Microsoft 365 personal and family plans

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトが顔認証スタートアップから撤退、海外の顔認証技術への投資を終了

Microsoft(マイクロソフト)は、顔認証を研究・開発するスタートアップの株式の一部保有を取り止めるという大きな方針転換の一環として、イスラエルの顔認証技術を開発する企業への投資を引き上げることにしたと先週発表した。

顔認証技術を開発するイスラエルの企業であるAnyVision(エニービジョン)から投資を引き上げるという決断は、AnyVisionの技術がイスラエル政府によるヨルダン側西岸地区住民の監視に使われているという報道を調査したうえでのことだ。

元米国検事総長のEric Holder(エリック・ホルダー)氏が、法律事務所Covington & Burling(コビントン&バーリング)のチームと行ったこの調査で、AnyVisionの技術は、ヨルダン側西岸とイスラエルの境界を超える人間の監視に使われたことを確認したが、「ヨルダン側西岸での大規模監視には使われていない」という。

マイクロソフトのベンチャー投資部門M12は、2019年6月にクローズした7400万ドル(約80億円)の資金調達ラウンドのひとつとして、AnyVivisonを支援していた。今もAnyVisionを支援している企業には、DFJ Growth、OG Technology Partners、LightSpeed Venture Partners、Robert Bosch GmbH、Qualcomm Ventures、Eldridgeなどがある。

同社は、2018年、顔認証技術への取り組みに関して最初に立場を明らかにし、Brad Smith(ブラッド・スミス)社長は米政府に対して顔認証技術の明確な規制を求める声明を発表している。

昨年末、同社が顔認証に対する独自の立場を示す声明を発表すると、規制と監視の強化を求めるスミス社長の声はさらに大きくなった。

スミス社長は以下のように書いている

私たちも他のハイテク企業も、顔認証技術に対処する安全措置を講じる必要があります。この技術は、私たちのお客様に重要な形で、また幅広く貢献でき、単に可能性を示すだけでなく、私たちのお客様が展開する数多くの顔認証技術の応用製品から、ますます刺激を受けるようになるものと確信しています。しかし、他の技術にも増して、この技術の開発と利用には慎重さが求められます。非常にたくさんの論議と調査の末、私たちは、この問題に対処するためのMicrosoftの6つの原則を打ち立てました。ここにその原則を公開し、2019年第1四半期の末までにこれを実践することを約束し、計画を示します。

同社のその6つの原則では、公正、透明、説明責任、無差別、通知と同意、合法的な監視を優先させることとなっている。批評家たちは、マイクロソフトがAnyVisionによる監視活動に加担していると非難した。イスラエル政府に協力して大規模な監視を行う企業を支援することは、自ら打ち立てた原則に反するというのだ。そして今、株式の一部取得では顔認証技術の使い方まで口出しするのは難しいと判断し、この技術を持つ海外企業への投資を凍結したというわけだ。

「マイクロソフトにとって危険性をはらむ技術を販売する企業の株式の一部保有は、その技術の利用に関して同社による一定程度の監視や管理が及ばないことが一般的です。内部監査の強化に伴って投資を続けるのが困難となりました」と、M12 Venturesのウェブサイトに掲示された声明で同社は述べている。マイクロソフトは、危険をはらむ技術の利用に関して同社の監視と管理が大きく及ぶ商業的関係に重点を移しました」。

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(翻訳:金井哲夫)

アマゾン、アップル、マイクロソフト、新型コロナウイルス対策への3社三様の取り組み

IT業界は、かなりのリソースを投入して、拡大を続ける新型コロナウイルスの世界的な大流行に対する取り組みをサポートしている。先週末、アマゾン、アップル、マイクロソフトの各CEOは、それぞれの会社の継続的な貢献について、さまざまな方面におよぶ最新状況を公開した。そこには、最前線の医療従事者に向けて医療用品や個人用保護具(PPE)を寄付することから、感染の世界的な広がりを追跡し分析することを支援するソフトウェアプロジェクトなどが含まれている。

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アップルCEOのTim Cook(ティム・クック)氏はTwitterで、同社は米国とヨーロッパの両方で、医療従事者が必要としている必需品の調達を試みており、そのために「数百万枚のマスク」に参加していることを明らかにした。またアップルは、以前のリリースに関してもアップデートして詳細も説明した。その中には、1500万ドル(約16億6000万円)の寄付に加えて、すべての従業員の寄付に対して2対1のマッチングで寄付額を上乗せすることも発表した。いずれも新型コロナウイルス対策として使われる。

アマゾンの創立者兼CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、米国時間3月21日に同社の公式ブログを更新し、アマゾンの倉庫と物流業務における優先順位の変更に関する詳細を説明した。現在では、日常の家庭用の食料、ベビー用品や医療用品、といった必需品を優先的に処理するようにした。またベゾス氏は、10万人を新たに雇用するとともに、フルフィルメント労働者の時給を上げるという同社の約束を改めて確認している。

ベゾス氏によれば、同社は「数百万枚のマスクを発注しました」という。それらは、自宅作業ができない正社員や契約社員に配られることになるが、世界的な供給不足により「まだほんのわずかしか納品されていません」ということだ。さらに同氏は、そうした製品は、まず最初に最前線の医療従事者に届けられることになり、同社の従業員に対しては、納品されしだい、優先順位に従って供給されると説明している。

マイクロソフトCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、米国時間3月21日にLinkedInに、同社のさまざまな取り組みについて長い説明を投稿した。そこでは、同氏がマイクロソフトの全従業員に送信したメールの内容も公開している。ナデラ氏は、同社の遠隔医療のためのソフトウェアプラットフォームについて触れ、ジョン・ホプキンス大学(John Hopkins University)の世界的な新型コロナウイルス感染状況トラッカーなど、いくつかの共同データプロジェクトについても説明している。CDC(Centers for Disease Control and Prevention、米疾病対策センター)も、マイクロソフトの医療チャットボット技術を基盤フレームワークとして利用した、チャットボットによる新型コロナウイルス判定ツールをリリースした。

またマイクロソフトは、Microsoft TeamsとMinecraftが、世界中の学校の閉鎖を補うために設計された、リモート学習の新たな取り組みに利用されていることを確認している。さらに世界的な研究活動をサポートするため、機械学習とビッグデータのプロジェクトにも取り組んでいることも報告している。今週のはじめ、マイクロソフトの最高科学責任者、Eric Horvitz(エリック・ホービッツ)氏は、世界中の学術機関と共同で、オープンな研究データセットを提供すると発表した。これには、ホワイトハウスの科学技術政策局や、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブも一枚噛んでいる。この、COVID-19 Open Research Data Setと呼ばれるデータセットには、同ウイルスに関する2万9000件を超える学術論文が含まれており、新たなものが公開されれば、逐次追加されることになっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ビル・ゲイツ氏がマイクロソフト取締役を辞任

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、より多くの時間を慈善活動にあてるためにMicrosoft(マイクロソフト)の取締役を辞任した。同社が13日午後に発表している。ゲイツ氏はCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏のテクノロジーアドバイザーは継続するが、今回の辞任によってゲイツ氏のマイクロソフトとの関わりはこれまでで最も小さくなる。

80年代からビル&メリンダ・ゲイツ財団により専念することを決めた2008年まで、ゲイツ氏はマイクロソフトを率いた。その後は巨大な富を投じて、世界の健康問題に取り組んでいる。

ただその後もゲイツ氏は役員会に残り、実際2014年まで取締役会長を務めていた。しかし今日から彼はマイクロソフトのラッキー・チャームのような存在となり、ときどきナデラ氏や他の役員のブレイン役を補助的に務める。

「何年にもわたってビルととともに働き、そして彼から学べたのは大変名誉で特別なことだった」とナデラ氏は同社のプレスリリースで述べた。「ビルとの友情に感謝している。さらに多くのことを達成するため、地球上のあらゆる人や組織に活力を与えるというミッションの具現化に向けて今後も彼とともに取り組むことを楽しみにしている」

ここでゲイツ氏とマイクロソフトを回顧するつもりはないが、少なくともかなり興味深い来歴だったことだけは言っておく。マイクロソフトはテクノロジーのベストとワーストを、時にはそれらを同時に体現してきた。その多くはゲイツ氏の影響力によるものだ。

ゲイツ財団もかなり大きな影響力を持つ存在ではあるが、よりひそやかで人道的なものだ。最終的にはこのゲイツ氏にとって2つめの遺産となるゲイツ財団が、彼の最も輝かしい業績となるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

AzureとiRobotで実現するJR渋谷駅構内の無人ラーメン店、利用者の行動をカメラで追跡・分析

エースコックは2月14日、マイクロソフトのMicrosoft Azureを基盤にした無人店舗システムのSmart StoreやiRobotの床拭き掃除ロボットの「ブラーバジェットm6」を活用した、駅ナカ無人ラーメン店「モッチッチ ステーション」をJR渋谷駅の外回りホーム上にオープンした。2月28日までの期間限定オープンとなる。

モッチッチ ステーションで食べられるのは、その名のとおりモチモチした食感が特徴のインスタント食品「モッチッチ」シリーズの焼きそばとラーメン(ワンタン麺)。店内には立食用のテーブルが5席用意されており、5人が入店して満員になると自動ドアが開かなくなる仕組みだ。店内の客が誰か一人退店しないと、6人目の客は店内に入れない。

モッチッチの貯蔵庫は計量器メーカーであるイシダの計測器を内蔵しており、客が商品を手に取って貯蔵庫の扉を閉めると、全体の重量から減少したぶんを計算して、客が手に取ったモッチッチの個数を算出する。

価格はいずれも212円で、交通系ICカードもしくはクレジットカードで決済する。内蔵の液晶パネルに決済金額が表示されたら決済方法を選んで、決済端末にICカードをかざせばいい。クレジットカードの場合は残念ながらタッチ決済(コンタクトレス決済)には対応しておらず、決済端末の下部に備わっているカードリーダーにクレジットカードを差し込んで暗証番号を入力する必要がある。ちなみに、決済端末はCoiny(コイニー)製。Coinyは決済サービスを提供するスタートアップで、現在は事業持株会社であるヘイの傘下企業だ。

決済終了後は、モッチッチ貯蔵庫の左側のテーブルに設置されている、電気ポットもしくはウォーターサーバーからモッチッチのカップにセルフサービスでお湯を入れる。割り箸などもこちらに用意されている。このテーブルを注意深く見ると、それぞれの置き場がテーブルとは独立していることがわかる。

実はここにもイシダの計量器が仕込まれており、モッチッチの調理に必要なお湯の量である320mlを計測している。具体的には、お湯が減ったぶんの総重量の変化を認識する。計測器が320mlのお湯が注がれたと判断すると、自動的にモッチッチの標準調理時間である5分のタイマーがスタートする仕組みだ。なお割り箸置き場の計測器は、補充の目安を判断するためのもの。

あとは、お湯を投入したモッチッチを持って5席ある立食スペースのいずれかに移動すると、各スペースに設置されている液晶パネルに先ほどの5分のカウントダウンタイマーが表示される。

出来上がったらモッチッチを味わい、食べ終わったら返却口にカップを返すとともに、液晶パネルに表示される掃除ボタンをタップすることで、立ち食いスペース奥に設置されているiRobotの床拭き掃除ロボットのブラーバジェットm6が自動起動し、テーブルをまんべんなく拭いてくれる。

入店から退店までは以上のような流れになる。この店舗でAzureのSmart Storeがなにをやってるかというと、来店直後に客がモッチッチ貯蔵庫の前に立つと、設置されているカメラで性別や年齢を判別。

上部に設置されている超指向性スピーカーからモッチッチ貯蔵庫の前に立っている客だけに聞こえる音声で店内システムを解説してくれる。

店内に入って天井をを見上げると、モッチッチ貯蔵庫以外にもさまざまな場所にカメラが取り付けられていることがわかる。これらは来店者の移動経路を追跡・分析しており、お湯を入れて客がどの立食テーブルに移動するかをSmart Storeが判別し、その客が選んだテーブルの液晶パネルにモッチッチにお湯を入れてからの正確な時間を表示する仕組みだ。前述のように320mlのお湯を入れた直後からカウントダウンは始まっているので、席に着いたタイミングで表示される残り時間は数秒経過した4分55秒や4分50秒などになっている。

もちろんAzureのSmart Storeは、専用端末を使った決済処理も担っている。さらには冒頭で紹介した自動ドア制御による入店人数の制限もSmart Storeの役回りだ。

今回は試験店舗なので、モッチッチ貯蔵庫に異物が入ったり、モッチッチがスペースに正しく並べられていないと正確な計算処理ができない、自動ドア制御による入店制限を周知するために人員が必要など、完全な無人化とは言えない。しかし、飲食業界の人手不足を解消するソリューションとして進化する期待感は高い。

実際のレストランで電子レンジや電気ポッドを使って調理するのは、味的にも見映え的にも顧客満足度が低いと思われるが、客が退店したあとのテーブル掃除はコミュニケーション不要なのでロボットでの自動化余地が大いにあると感じた。

なお、下膳についてはすでにグーグル出身のエンジニアが創業したスマイルロボティクスが開発を進めているほか、職人顔負けの技術でたこ焼きを作るコネクテッドロボティクスのアームロボ「オクトシェフ」もある。さらには、弁当工場などで活躍する協働ロボットとしてはアールティの「Foodly」も実際に導入されている。人手不足が深刻化している飲食業界にとって、人と一緒に働く協働ロボットは今後さらに重要な存在になっていくだろう。

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マイクロソフトは現在攻撃にさらされているIEのセキュリティバグを修正へ

Microsoft(マイクロソフト)は、IE(Internet Explorer)に影響を与えるセキュリティ上の欠陥が、現在ハッカーによって悪用されているいることを認めたが、修正する緊急の計画はないという。

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米国国土安全保障省の1部門で、大きなセキュリティ欠陥の報告を担当しているUS-CERTは、深夜のツイートで、そのバグについて詳細に説明しているセキュリティ諮問機関へのリンクを共有し、「野放しにされ、悪用されている」と述べた。

Microsoftは、現在サポートしているすべてのバージョンのWindowsが、この脆弱性の影響を受けることを明らかにした。そこには、今週以降セキュリティ更新プログラムを受け取らなくなるWindows 7も含まれる。

問題の脆弱性は、IEのメモリの扱い方に潜んでいる。攻撃者は、この欠陥を利用して、対象のコンピューターで悪意のあるコードをリモートから実行することができる。たとえば、ユーザーが検索したり、電子メールで送られてきたリンクを開こうとする際に、騙して悪意のあるウェブサイトを開かせたりする。

この脆弱性は、Firefoxブラウザーの開発元、Mozillaが先週の始めに公開したものと同様のものと考えられている。MicrosoftもMozillaも、この実際に攻撃にさらされている欠陥を発見したのは、中国に本拠を置くセキュリティ研究チーム、Qihoo 360だと認めている。ただしQihoo 360は、週の初めにInternet Explorerの欠陥に関するツイートを削除したと伝えられている

Qihooも、Microsoftも、Mozillaも、攻撃者がそのバグをどのように悪用しているのか、攻撃者は誰なのか、誰が標的にされているのかなど、何も述べていない。一方、米国政府のサイバーセキュリティの諮問機関は、現状の悪用に関する警告を発行した。

MicrosoftはTechCrunchに対して、「限定的な標的型攻撃を認識していて、修正に取り組んでいます」と述べたが、次回は2月11日に予定されている毎月のセキュリティ修正までにパッチをリリースする可能性は低いようだ。

Microsoftは、このバグに、共通脆弱性識別子CVE-2020-0674を割り当てたが、まだバグの具体的な詳細はリリースしていない。

TechCrunchの問い合わせに対して、Microsoftの広報担当者はコメントを返していない。

(関連記事:MozillaFirefoxの新セキュリティバグが攻撃を受けていると報告

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトのログインシステムのバグによるアカウント乗っ取りの危機

Microsoft(マイクロソフト)は、ログインシステムの脆弱性を修正した。イスラエルのサイバーセキュリティ会社であるCyberArkの研究者が、同社がうっかり抜け穴を開いたままにしていたことを発見した。それが悪用されればアカウントトークンを吸い出され、まったく気付かれないようユーザーのアカウントにアクセスするために使われる可能性もあったという。

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このバグは、攻撃者に、ユーザーのアカウントトークンをこっそりと盗むことを許してしまう。アカウントトークンとは、ユーザーが毎回パスワードを入力しなくても、ウェブサイトやアプリを使えるようにするためのもの。こうしたトークンは、ユーザーがログインすると、アプリまたはウェブサイトによって作成され、以後はユーザー名とパスワードの代わりに使われる。これによって、ユーザーはサイトに永続的にログインしたままになる。さらにユーザーは、パスワードをいちいち入力しなくても、サードパーティのアプリやウェブサイトにもアクセスできるようになる。

CyberArkが、TechCrunchにのみ明かした最新の調査結果によれば、マイクロソフトが開発したいくつかのアプリには、数十もの未登録のサブドメインが接続されていた。そうした純正のアプリは堅く信用されているため、それらの関連付けられたサブドメインを使えば、ユーザーの明示的な同意を得ずに、自動的にアクセストークンを生成できてしまう。

攻撃者がそうしたサブドメインを所有していれば、疑いを持たせずにユーザーをだまし、特製のリンクを電子メールまたはウェブサイトの中に置いてクリックさせ、簡単にトークンを盗むことができる。

研究者によれば、場合によっては「ゼロクリック」の手法を使うことも可能だという。その名前が示すように、ほとんどユーザーの操作を必要としない方法だ。埋め込まれたウェブページを隠すような悪意のあるウェブサイトは、電子メールに記述するのと同様の悪意のあるリンクを、こっそりとトリガーにして、ユーザーのアカウントトークンを盗むことも可能だったという。

幸いなことに研究者たちは、脆弱なマイクロソフトアプリから見つけたサブドメインを可能な限り登録し、悪用されるのを防ぐことができた。しかし、他にも同様のサブドメインがある可能性を警告していた。このセキュリティ上の欠陥は、10月下旬にマイクロソフトに報告され、その3週間後に修正された。

「このレポートで言及されたアプリケーションの問題は、11月に解消しました。お客様は、引き続き保護されています」とマイクロソフトの広報担当者は述べている。同社が、ログインシステムのバグを修正するために行動したのは、今回が初めてではない。ちょうど1年ほど前も、同社は同様の脆弱性を修正している。その際は、不適切に構成されたMicrosoftのサブドメインのレコードを研究者が変更し、Officeアカウントのトークンを盗むことができてしまうというものだった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Minecraft Earthアーリーアクセスがようやく日本でもスタート

マイクロソフトは11月21日、「Minecraft Earth」のアーリーアクセス版が日本でも利用可能になったことを発表した。Minecraft EarthとはポケットサイズのARゲームで、プレイヤーはどこにいてもブロックや生き物を集めたり、友達と一緒に冒険をしたり、城を建てたりすることができる。

利用料金は基本的に無料で、iOSAndroidでプレイできる。同社としては、Minecraft Earthを日々改善する目的でアーリーアクセスとしてリリースし、年末にかけて毎週、プレイできる国を追加していく予定とのこと。各国で集めたアーリーアクセスの評価や要望などを踏まえて、正式版につなげていく狙いだ。

なお、アーリーアクセスでは、クローズドベータ版では実装されていなかった以下の機能が利用できる。

  • アドベンチャーモード :友達や周りの人と一緒に遊べるマルチプレイヤー向けに最適化されたモード。自動生成され、限られた時間のみ出現するMinecraftの小さな世界を、ARを活用して実物大でプレイできる。
  • 新しいモブ/精錬およびクラフト要素:泥だらけの豚、ムーブルーム、ジャンボウサギやきのコッコのような、新しい友好的、敵対的なモブを追加。そのほか、精錬により鉱石をインゴットに加工したり、アイテムを収集する代わりに適切な素材がある場合にはクラフトで必要なアイテムを作成したりすることもできる。

ちなみにアドベンチャーモードのバックエンドには、マイクロソフトの2つの技術が使われている。1つ目はAzure PlayFab。これはライブ ゲームを構築して運用するためのバックエンド プラットフォームだ。Azure PlayFab専用サーバーが、ビルドプレートとアドベンチャーの両方をホストすることで、Minecraft Earthのマルチプレイヤーモードを可能としている。2つ目はAzure Spatial Anchors(ASA)。空間認識機能を備えたマルチユーザー対応の複合現実エクスペリエンスを作成できるシステムで、ARコンテンツの持続や体験の共有を実現。例えば、地元の公園に出かけて宝物のある廃坑を見つけたとき、Minecraft EarthはASAサービスを使用して異なるプレイヤーを同じ冒険に導ける。

マイクロソフトがインドでAIによる子宮頸がん診断の迅速化を支援

インドで子宮頸がんにより死亡する女性の割合は他国より高い。予防可能な病気だが、インドでは毎年約6万7000人の女性が死亡している。世界全体の死亡数26万人の25%以上を占める。

効果的な検査による早期発見によって死亡率は下げられるものの、当面の課題は発症を検出する検査に耐え難いほど時間がかかることだ。細胞病理医が採用する既存の検査方法では時間がかかる。その上国内に細胞病理医がほとんど存在しない。AIでもっと迅速に検査できないのか?

インドで病理学および放射線学の診断サービスを提供する最大のチェーンであるSRL Diagnosticsでは、早くからこの状況を注視していた。昨年、Microsoft(マイクロソフト)がSRL Diagnosticsと提携して、病理学向けAIネットワークを共同で構築し、細胞病理医と組織病理医の負担を軽減した。

SRL Diagnosticsには、毎年10万を超えるPAP検査(細胞を顕微鏡で調べる検査)の検体が送られてくる。検体の約98%は正常で、残りの2%のみが詳細な検査などを必要とする。「細胞病理医が2%の異常な検体をいち早く見つける方法を探していた」とSRL Diagnosticsの新企画・ナレッジマネジメント担当技術責任者であるArnab Roy(アーナブ・ロイ)博士は説明する。

SRL Diagnosticsの細胞病理医が、デジタルスキャンしたホールスライドイメージング(WSI、病理標本全体のデジタル画像)を観察し、注目点などのマークをつけて、同社の子宮頸がん画像検出APIの教師データとして使う。WSIには約300〜400個の細胞が含まれる。

ホールスライドイメージングのデジタルスキャン画像。AIモデルの教師データとして使う

主観性をどう扱うかという問題がある。「異なる細胞病理医がそれぞれ独自の方法で塗抹標本の異なる部分を検査しても、全体として診断結果が同じになることがある。これが診断過程全体に関わる主観的要素で、細部病理医の経験によって変わる」とロイ博士は説明した。

SRL Diagnosticsのチームと連携しているMicrosoft Azureグローバルエンジニアリングの主任応用研究者であるManish Gupta(マニシュ・グプタ)氏によれば、構想中のAIアルゴリズムは、誰もが着目する領域を識別し、「その領域を評価した結果、コンセンサスを形成できる」ものだと述べた。

複数の研究室の細胞病理医が、子宮頸部塗抹標本の数千枚をタイル状に分割した画像にアノテーション(機械学習アルゴリズムに学習させるため、対象の色や形などの属性にタグをつけて教師データを作成すること)行った結果、各サンプル画像に同じタグがつく場合もあれば、異なるタグがつく場合もあった。

「アノテーションが一致しない画像、つまり3人のチームメンバーの見方が割れた画像は、最終分析のため上席の細胞病理医に送られた」とマイクロソフトはブログに投稿している。

両社は今週、協働の結果が出始めたことを明らかにした。SRL Diagnosticsは、子宮頸がん画像検出APIの内部プレビューを開始した。Microsoft Azure上で動く子宮頸がん画像検出APIは、液体ベースの細胞診スライド画像を短時間でスクリーニングして早いステージの子宮頸がんを検出し、病理医の診断に役立つ情報を提供することができる。

AIモデルは塗抹標本の正常・異常を正確に区別できるようになっており、3〜6か月間の予定で現在検証中だ。「子宮頸部細胞病理学の7つの小分類に塗抹標本のスライドを分類することもできる」と両社はブログ記事に書いている。

内部プレビューの間、匿名化した50万以上のデジタルタイル画像を使用する。内部検証に続いて、APIは病院や診断センターなどの子宮頸がん診断機関で評価される予定だ。

「現在、細胞病理医が見直さなければならない領域は、液体ベースの細胞診では20程度まで減っている。細胞病理医が陽性症例を検証することで、初期スクリーニングプロセスの速度と効率が向上する」

「我々のAPIによって細胞病理学分野の生産性が約4倍高まるとみている。将来、AIを使って病理標本作製の自動化が進めば、細胞病理医は従来8時間かかったいた仕事を2時間でこなすことができる」とロイ博士は述べた。

SRL Diagnosticsとマイクロソフトが組むコンソーシアムは、腎臓病の診断や口腔がん、膵がん、肝臓がんなどの病理分野でのAPI利用を期待していると述べた。民間企業や政府との提携による顧客の拡大や、組織病理医が少ない遠隔地での利用も目指している。

今週の発表は、インドでマイクロソフトが進めている研究活動の最新例だ。世界で2番目に人口の多い同国は、米国の多くのテクノロジー企業にとって実験場となっている。この地域で新しい製品やサービスを開発し課題を解決できれば、世界展開も視野に入ってくる。

マイクロソフトは先週、自社のAIプロジェクトがインドにおける運転免許取得試験の改善に貢献していることを発表した。 同社は、過去2年間にインド市場でさまざまなツールを発表してきた。農家が収穫量を増やすツールの開発や、回避可能な失明を防ぐための病院との協業などだ。また昨年、同社はアポロ病院と提携して、インドにおける心臓病のリスクを予測するAIベースのAPIを作成した。

さらに昨年、同社はクリケットの伝説的プレーヤーであるAnil Kumble(アニル・カンブル)氏と協力して、若者のバッティング技術を分析する追跡装置を開発した。保険会社ICICI Lombardとの提携では、AIで顧客からの修理の請求を処理したり、失効した保険を更新するシステムを開発している。

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(翻訳:Mizoguchi)