電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルも

電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルもLuupは2月15日、電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」(Android版iOS版)の新ロゴとともに、視認性を向上させた新しい電動キックボードを発表した。電動キックボードの新機体への移行は東京から開始し、他エリアへの導入に関しても順次検討する。またこれを記念し、「LUUP for your City」と銘打ち、電動キックボードの安全な社会実装に向けたLuupのこれまでの取り組みと目指す未来をまとめたコンテンツを展開する。

さらに、今回のロゴの刷新と合わせ、小型電動アシスト自転車のデザインを一新したモデルを開発中と明らかにした。機体の小型化に引き続きこだわって開発している他、サドルの安定性の向上やスマホホルダーの装着など、ユーザーから得られた様々なフィードバックを参考に、全体的なバージョンアップを施しているという。2022年の夏までの導入を目指して開発中しているそうだ。

電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルも

Luupが新しく開発中の小型電動アシスト自転車の新モデル イメージ

Luupは、「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」をミッションに、マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を展開している。電動アシスト自転車や電動キックボードのみならず、電動・小型・1人乗りのマイクロモビリティを包括的に取り扱い、将来的には高齢の方も乗ることができる新しい機体の導入を見据え、すべての人が自由に移動できる未来を目指している。

会社設立から3年半を迎えたLuupは、より身近な存在として、日々のファースト・ラストワンマイルの移動を支える次世代のインフラ的存在になるために歩みを進めるべく、コーポレートロゴおよびサービスロゴを刷新し、電動キックボードのデザインの視認性を向上させたという。電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルも

新ロゴについては、LUUPのもたらす移動に関する価値を基に、「expand you」というコンセプトでデザイン(制作 : kern inc.)。交通工学分野で採用されている緩和曲線(線路や道路などで、直線部と円曲線部をなめらかにつなぐために設ける曲線)から着想を得て、複数の曲率で「U」を描きなだらかなフォルムを作ることで、LUUPに乗った人々の身体性が拡張され、軽やかで自由な移動が実現するさまを表現しているという。を指す。また、ロゴを囲む枠線は、LUUPの機体が置かれるポートの線を元にしているそうだ。電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルも

また電動キックボードについては、「LUUPがもたらす価値をロゴだけではなくサービスの顔である機体でも表現し届けたい」「次世代のインフラ的存在を目指すにあたり、電動キックボードの視認性を向上させる必要がある」と考えたことから、デザイン変更に至った。

機体の色は、インフラとして街にやさしく馴染みつつ、どこか先進性や高級感を感じられるようなオリジナルのブランドカラーであるLUUP GREEN・白・黒によって構成。今回のリニューアルでは、機体上部を白、下部をLUUP GREENにすることで、開放感や自由さを感じさせながらブランドカラーが印象付けられるよう設計した。なおLuupは、現在に至るまで、安全に乗れるよう、電動キックボードの安定性や各種パーツの操作性の向上など11回のアップデートを重ね、改善を進めているという。電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルも

LUUP for your Cityでは、電動キックボードの走行ルールと安全な利用方法を案内する「電動キックボードのご利用ガイドブック」、Luupが目指す未来、実施してきた実証実験の背景と、安全への取り組みについてまとめたウェブページ、交通ルールについて解説した動画を公開する。また一部ポートでは、スタッフが乗り方や走行ルールのレクチャーを行い、「電動キックボードのご利用ガイドブック」を配布するという。

韓国のマイクロモビリティスタートアップSwingが成長と日本への進出を目指し約27.6億円を獲得

韓国のeスクーターおよびマイクロモビリティのスタートアップ企業であるSwing(スイング)は、現地時間2月7日、同社の成長と日本への進出に拍車をかけるため、シリーズBラウンドで2400万ドル(約27億6600万円)を調達したことを発表した。

今回の資金調達は、ベルリンのTier Mobility(ティア・モビリティ)にも出資しているWhite Star Capital(ホワイト・スター・キャピタル)が主導し、既存の出資者であるHashed(ハッシュド)なども参加した。今回の新たな資金により、Swingは2019年の創業以来、合計約3300万ドル(約400億ウォン/約38億円)を調達したことになる。

Swingの創業者兼最高経営責任者(CEO)のSan Kim(サン・キム)氏はTechCrunchに対し、同社はこの資金をマイクロモビリティの車両を増やし、日本市場にさらに浸透させるために使う予定だと語った。Swingは2022年に、互いに交換可能なバッテリーを搭載した10万台のeスクーター、eバイク、eモペットを配備し、自社使用とオプションとして他社用の充電ステーションを200基設置する予定だ。Swingは現在、eスクーターやeモペットを含む3万5000台の電気車両を運営している。

Swingのアプリとは別に、このシェアマイクロモビリティスタートアップは最近、配達ライダーが充電の手間なく1日か2日だけeモペッドやeスクーターをレンタルできる「Dayrider」という新しいアプリを発表した。

ソウル市は9月、温室効果ガス削減のため、2025年までにeモペットを含むeバイクを6万2000台増やし、電動充電スタンドを20万台追加設置すると発表した。ソウル市はまた、配送業務に使用する3万5000台のオートバイを100%電気モーターに置き換えるとも発表した。

Swingが目指すのは、市場の奪取だ。同社によると、韓国には必要な需要を満たす適切なeモペットのモデルがなく、販売、修理、再販ができるサプライチェーンもなく、eモペットの潜在的ユーザーにサービスを提供するための充電ステーションもないとのことだ。

そこで、同社はフランチャイズ方式を採用したのだ。Swingの最高執行責任者であるJason Shin(ジェイソン・シン)氏は、同社がフランチャイズモデルを採用することで、同業他社よりも小資本で迅速に車両を拡大することができると述べている。Swingは、ブランド化した車両をフランチャイズ加盟事業者に販売する。そして、そのフランチャイズ加盟事業者はSwing独自のソフトウェアを使って、eスクーターの充電とメンテナンスを行う。現在、同社のフランチャイズ・パートナーは50社以上にのぼるという。

「市場の可能性を疑う者はいませんでした。問題は、誰が競争に勝つかということです。投資家の資金をつぎ込むよりも、社内に強力な運営チームを作って、スクーター1台1台を確実に収益につなげるという戦略をとり、それが功を奏しました」とシン氏は語る。

Swingは創業2年目から純利益を出しているが、狙った数字を期待通りに達成することはできなかったと、同氏はいう。さらに、2021年のeスクーター規制強化の影響で、新規ユーザーの利用が減少していることも付け加えた。

韓国では、eスクーターに関する規制が改正され、国内のeスクーター会社が打撃を受けているのだ。2021年5月に施行された改正道路交通法では、eスクーターのライダーは16歳以上で、有効な運転免許証を持ち、ヘルメットを着用することが義務づけられている。利用者がこの新しい規制に従わない場合、罰金が課されることになる。また、eスクーター利用者は自転車専用道路を使用し、人や車から離れた場所に駐車しなければならない。ソウル市は7月、違法駐車されたeスクーターをレッカー移動し、罰金を課すと発表している。

韓国では現在、20社以上のeスクーターレンタル会社が営業をしており、この分野では運行台数や会社数に制限はない。業界関係者はTechCrunchに対し、eスクーター業界では2021年から統合が始まったと語っている。2年前に韓国市場に参入したベルリンのeスクーター・プラットフォームWind Mobility(ウィンド・モビリティ)は、2021年10月にソウルでの事業を停止している。

日本への進出

2021年、同社は日本に子会社を設立し、現在2022年前半に東京でサービスを開始することを目指している。

キム氏は、日本の顧客と都市は、スマートフォンの普及率が高く、eバイクの利用も多く、駅間距離があるためラストマイルの移動に大きな需要があり、eスクーターに最適だと述べた。

「2021年、日本政府は概念実証を通じて、合法的にeスクーターのシェアリングを開始する扉を開きました。ソウルのスタートアップであるSwingは、非常によく似た環境での優れたオペレーションと蓄積されたデータにより、日本でのマイクロモビリティ導入をリードすることができます」とキム氏は語る。

「日本市場では、政府がガイドラインや規制の微調整を行うために実証実験を行っており、eスクーターの普及に向けたエキサイティングな時期に来ていると思います。White Star CapitalとSwingのパートナーシップは、Swingの技術力と韓国で長年培ってきたオペレーションノウハウを利用できる日本のステークホルダーにとって非常に有益なものとなるでしょう。日本ではラストワンマイルのロジスティクスが依然として課題となっていますが、Swingがこうした問題に対処し、ユーザー、ライダー、企業、公共部門に優れたモビリティ体験を提供できるよう支援できることを楽しみにしています」とWhite Star Capitalのベンチャー・パートナーである長尾俊介氏は述べている。

White Star Capitalのベンチャーパートナーである同氏は「欧州のTier Mobility(ティア・モビリティ)やFinn Auto(フィン・オート)といったリーディングカンパニーと提携する幸運にも恵まれ、モビリティは私たちにとって大きなフォーカスとなっています。大手企業との緊密なパートナーシップにより開発された強固なガイドラインと規制は、欧州が技術革新的なモビリティとその環境に対するプラスの影響を受け入れるための舞台を提供します。我々は、韓国と日本がこのトレンドに密接に追随し、マイクロモビリティが今後数年で重要な変曲点に達すると予想しています」とWhite Star CapitalのパートナーであるEddie Lee(エディ・リー)氏は述べている。「White Star Capitalは、サンと彼のチームと密接に協力し、日本への進出と新しいDayrider事業による物流能力の拡大を通じて、Swingのグローバル企業への野心的なビジョンを支援していきます」。

Swingは、韓国で100人以上、日本で4人の従業員を抱えてる。

画像クレジット:Swing

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

CESに登場したEV充電企業は家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

EV充電企業各社はここ数年間、CESで自社商品を展示してきた。2022年は、利害関係、そしてオポチュニティの度合いが若干高まっている。

数年以内に数十車種もの電気乗用車や商用車が市場に投入されると予想されており、EVはメインストリームになりつつある。より大きな市場には価格がついてくる。メインストリームの消費者は、ガスの燃料補給時間に匹敵する充電時間を期待し、優れたユーザーエクスペリエンス設計には慣れている。そしておそらく、ピーク時とオフピーク時のエネルギーグリッド時間について考える必要性はなかったであろう。

2022年のCESに登場した充電企業や小規模スタートアップはこのシフトを認識しているようで、迅速性、コネクティビティ、利便性、設置の容易性、電力網との連携において向上が図られたプロダクトのピッチを行った。特筆すべき点として、この大きな顧客基盤へのリーチに注力するEV充電企業各社は、商用車の充電から家庭での充電、Vehicle-to-Grid技術から充電器の広告スペースの収益化に至るまで、あらゆるユースケースに対応できるように設計されたプロダクトを披露している。

世界のEV充電器市場は2020年の32億3000万ドル(約3721億円)から2025年には110億ドル(約1兆2671億円)近くに成長すると予測されている。業界にはまだ新規参入者のためのスペースが残されているものの、その多くはデモやニュースでCESを飾ることはなかった。CESで技術を顕示した小規模企業は、独自のソリューション、豊富なコネクティビティ、充電速度のアップグレードという点で際立っている。

Blink Charging(ブリンク・チャージング)

Blinkは2022年、4つの新しい充電プロダクトを発表した。1つはDC高速ウォールマウント充電器であり、残りの3つはレベル2充電器で、フリートおよびマルチユニット用、家庭用、広告ディスプレイの統合用にそれぞれ設計されている。すべての充電器には、4G LTEおよびWi-Fi接続に加えて、フリート管理統合、負荷共有技術、エネルギー使用管理などのスマート性能が備わっている。

Blink MQ 200、フリートEV充電ステーション用

フリート、ワークプレイス、マルチファミリー向けに特別に設計されたこの50アンペアの充電器は、プラグアンドチャージ機能が搭載されており、車両から充電ステーションへの一意かつ暗号化された情報の流れを通じて車両の識別を自動的に行う。この機能は、その名前が示すように、ドライバーがプラグインするだけで充電セッションを開始できることを意味する。

2022年の第1四半期末までに利用可能になる「MQ 200」には、複数の充電器にまたがる直接ユーティリティ通信およびローカル負荷管理のためのスマートグリッド機能が付属しており、一回線に2〜20台の充電器を設置することができ、夜間のフリート充電に理想的である。また、Blink充電器をクラウドに接続するソフトウェアであるBlink Network(Blinkネットワーク)や、CESでローンチされたBlink Fleet Management Portal(Blinkフリート管理ポータル)とも通信する。同ポータルでは、フリート管理者向けに、充電および負荷管理、充電器、車両、ドライバーを追跡するダッシュボードを提供している。

Blink HQ 200、次世代家庭用充電器

「HQ 200」はBlinkの最新の家庭用充電器で、前世代の30アンペアから50アンペアのレベル2充電器にアップグレードされた。他のEV充電企業でも見られるように、家庭での付加的な電力供給は、各社が充電時間を短縮する方法を求めて競い合う中、2022年のトレンドとなっている。

消費者は基本的な充電器を選ぶ傾向にあるとはいえ、このスマートなWi-Fi対応バージョンは、実に私たちを魅了するものである。HQ 200はBlink初のV2G(Vehicle-to-Grid)技術搭載充電器の1つであり、ピーク以外の時間帯にはEVを充電し、ピーク時にはEVのバッテリーに蓄えられたエネルギーを電力網に戻すことができる。

HQ 200はさらに、Blink Mobile App(Blinkモバイルアプリ)に接続することで、即時の充電開始、充電時間のスケジュール設定、リマインダーの設定も可能になる。2022年の第1四半期末までに利用可能になる予定である。

同時に2台充電できるDC高速ウォールマウント

50キロワットのDC高速ウォールは、壁に取り付けたり、台座に設置したりすることができ、さらに同時に2台の車を充電することが可能で、車両、小売店、街角での充電、交通量の多い場所での使用に最適なものとなっている。最大出力150アンペア、V2G技術、10インチのタッチスクリーンディスプレイ、そして時間、キロワット時、あるいはセッションごとに課金する機能を備えている。また、Blink Networkを介したリモート管理とエネルギー使用量レポートが可能となっている。メンバーカード、RFIDクレジットカード、またはモバイルアプリを持つユーザーは、RFIDリーダーを使用して充電を開始することもできる。

「DC高速充電の予算がないと感じている店舗にとって、プライスポイントも魅力的になるでしょう」とBlinkの広報担当者はTechCrunchに語っている。「現在の既存の機器は通常3万5000ドル(約400万円)からですが、DCウォール50キロワットのコストは2万ドル(約230万円)未満です」。

Vision IQ 200(ビジョンIQ 200)、広告用

このレベル2充電器には、ダイナミックデジタルメディアディスプレイ用の30インチLCDスクリーンが1つまたは2つ付属している。小売店、ホスピタリティ事業、自治体施設や交通量の多い場所に理想的なフルサービスの広告性能を備えている。不動産保有者には充電と広告収入の両方の収益分配機会が提供され、後者はサードパーティーベンダーを通じて管理される。

「Vision IQ 200」は、80アンペアのIQ 200の充電器を1つか2つ搭載しており、RFID、Apple Pay、Google Walletおよびすべての主要クレジットカードによる支払いが簡単にできる他、リモート管理やリアルタイムのエネルギー使用状況レポートなどのスマート機能も備えている。

Blinkによると、DC高速ウォールは年内に利用可能になる予定である。

E-Lift(Eリフト)

E-LiftはCESで、カスタマイズ可能な新しいポップアップ式充電ステーション「E-LIFT GS」を発表した。このオランダの会社は、近くこれを北米でローンチすることを目指している。この小さなステーションには同時充電用のプラグが最大4つ付属しており、E-LiftのSustainable and Smart Energy Management System(SENSE、持続可能でスマートなエネルギー管理システム)に接続するセンサーを装備することができる。

SENSEプラットフォームは、ユーザーのモビリティとエネルギーのニーズを管理するシステムとして機能する。同社は声明の中で、顧客は遠隔地からログインして、モビリティとエネルギー消費データのモニタリングと管理を行うことが可能で「費用対効果の高いエネルギー転換が実現し、再生可能エネルギー資源の利用によって将来を再構築しようとしている政府や企業にとって有益なものとなる」と述べている。

JuiceBar(ジュースバー)

コネチカット州を拠点とし、Made in America基準を本格的に推進しているEV充電会社JuiceBarは、CESで同社初の家庭用充電器「Cheetah(チーター)」を発表、この名称は迅速さに由来すると同社は述べている。

Cheetahは2022年中に販売される予定で、同社によると、新しい充電器と交換される古い充電器すべてに対して1000ドル(約11万4600円)ずつ支払われるという。JuiceBarは米国とカナダで数百台の商用充電器を取り扱っており、この新しい家庭用充電器も同じ市場に投入される。

Cheetahは16、32、40、48アンペア構成で、入力電圧は120、208、240ボルトとなっている。Blinkの出力を見る限り、JuiceBarは市場で最速のレベル2にはならないが、近いところにある。CheetahはBluetooth、イーサネット、Wi-Fi、クラウド接続にも対応しており、スマートグリッドの充電に役立つ。25フィート(約7.6m)のコードが付属しており、絡まないコードリトラクターもオプションで用意されている。

家庭で充電するときの安心のために、Cheetahは二重のセーフティリレーを装備している。第1のリレーが閉じてヒューズが切れた場合に、第2のリレーが回路を開閉する。JuiceBarによると、充電器の電力は、充電器のカーボンフットプリントをオフセットする、100%認証済みのカーボン削減プロジェクトによって支えられているという。同社は初年度分のカーボンオフセットを購入することになっている。購入者はその後も、週1ドル(約115円)未満の会費でカーボンオフセットを購入できる。

Cheetahは第2四半期の終わりか第3四半期の初めに消費者向けに提供されると広報担当者はTechCrunchに語っている。当初は米国やカナダにおいて、自動車ディーラー、住宅建設業者、電力会社などの第三者を通じて販売される。

Wallbox(ウォールボックス)

Wallboxは、2022年のCESで「Quasar 2(クエーサー2)」を発表した。これは電気自動車の所有者が自宅や送電網に電気自動車を充電したり、放電したりすることを可能にするだけではなく、停電時に、それが自然災害によるものであっても、自宅を送電網から隔離し、EVをバックアップ電源として使用できる機能を提供する。Wallboxによると、Quasar 2は停電中でも3日間以上家に電力を供給できるという。

Vehicle-to-Home(V2H)機能は、特に電力料金が需要に関係する州で、EV所有者が家庭のエネルギーコストを節約するのに役立つはずだと同社は述べている。ユーザーは、レートが低いときに充電セッションが実行されるようにスケジュールを設定できる。また、太陽光発電を設置しているユーザーは、使用率が低いときにEVに余剰のエネルギーを蓄えることができる。

Quasar 2は48アンペアの電力を供給し、Jaguar I-PaceやBMW i3などの急速充電車に対応するCCS互換で、Wi-Fi、Bluetooth、イーサネット、4G経由でmyWallbox app(マイWallboxアプリ)に接続する。

Wallboxは、Quasar 2の価格を明らかにしなかったが、約4000ドル(約46万円)のQuasar 1相当になると説明した。2022年末までにローンチする予定である。

Meredot(メレドット)

この市場に出回るクルマは電気自動車だけではない。マイクロモビリティのクルマにも愛が必要だ。それこそが、Meredotが電動スクーター、電動モペッド、そしてフードデリバリーロボットや車椅子などの乗り物向けに設計された初の商用ワイヤレス充電器を発表した背景にある。この充電器は、地面の上または下に設置できる物理的なパッドの形態をとっており、受信機を搭載した車両がその上に駐車したときに充電が行われる。

Meredotは、同社のワイヤレス充電器において、マイクロモビリティOEMとフリート事業者をターゲットにしている。同社は、車を充電するための斬新で手間のかからない方法を提供したいと考えている企業向けに、自社の技術を市場に出してライセンス供与する準備が整っている。特にマイクロモビリティのフリートにとって、交換可能なバッテリーを持っていたとしても、スクーターやバイクの充電は大きなコスト削減要因の1つであり、この種の技術はゲームチェンジャーになる可能性がある。

「Meredotのワイヤレス充電器は新しい分散アーキテクチャを提供し、サイトの資本効率とスケーラビリティを向上させ、エネルギーとコストを節約します」とMeredotのCEOで共同創業者のRoman Bysko(ロマン・ビスコ)氏は声明の中で述べている。「Meredotのワイヤレス充電器は、新しいマイクロモビリティ充電エクスペリエンスのインフラ基盤となり、オペレーターとライダーの双方にメリットをもたらします」。

同社によると、従来のケーブル充電システムに比べて、同じ表面で電動スクーターを50%多く充電できるため、充電サイトのコストを大幅に削減できるという。

画像クレジット:Blink Charging

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

マイクロモビリティ2022:さらに洗練され、成熟し、テクノロジーを満載に

2021年は、コンセプト、ソリューションそして生き方としての「マイクロモビリティ」が定着し始めた年だった。

シェア式マイクロモビリティの増加と新型コロナ禍中の公共交通機関は、人びとに小型電気車両を自分で購入する可能性を考えさせることになった。その結果、2021年は電動自転車の年となり、7月までの12カ月間で売上高は240%増加した。この新しい習慣によって、都市は10年前なら本当に信じられなかったインフラストラクチャ計画を採用することとなった(パリを見て欲しい!)。

2021年は、人びと、特に都市の人びとが、電気自動車の登場よりも間違いなく大きいマイクロモビリティの炭素排出量削減への影響について、オープンに話し始めた年でもある。

2021年、シェア式マイクロモビリティ企業たちは、このような電動スクーターや電動自転車に向かい始めた考え方の変化を受け、市場での支配的な地位を利用して、その運用効率を高め、ハードウェアをより適切なものにしようとしてきた。

では以上のような背景を踏まえて、2022年のマイクロモビリティ分野の今後の展望を見ていこう。

みんなの電動自転車

特に米国などの国々では、新しい電動自転車の購入に対して最大900ドル(約10万3000円)の補助金が出されていることから、電動自転車のトレンドは2022年も続くと予想されている。しかし、このブームは個人消費者にとどまるものではない。Segway(セグウェイ)のグローバル・ビジネス開発担当副社長のTony Ho(トニー・ホー)氏によれば、マイクロモビリティ企業からの電動自転車の需要も大きく伸びているという。Segwayは、Lime(ライム)やBird(バード)といったシェア式マイクロモビリティの巨人たちに、電動キックボードや電動自転車を供給していることで知られている。

「Limeは当初、シェア自転車の会社でしたが、キックボードを始めるまではうまく行っていませんでした。キックボードの方が安価で、導入しやすいという理由もあります」とホー氏はTechCrunchに語っている。「今では、電動自転車の人気が高まっているようで、構成比が平準化し始めているようです。それに伴いシェア向け電動自転車の注文が多くなっています。また都市にとっても、もともとシェア自転車プログラムを持っていたわけですから、問題ありません」。

新しいVCマネーは枯渇する

BirdやHelbiz(ヘルビズ)のような大手企業が上場し、Limeも2022年の上場を約束しており、業界は全体として数社の大手企業に集約されてきた。そのため、VCの資金や新規参入者が増えるのではなく、現在の市場が成熟していくことが予想される。

ホー氏は「BirdとLimeのブームの後、投資家たちは、Coco(ココ)の歩道ロボット配達員のような、別のものに移ったと思います」という。「このビジネスに参入するにはまだかなりの資金が必要ですし、個人的には、小規模な事業者にとっては、特に都市部ではライセンス料を払い保険に加入する必要があるため、より困難だと思います。実はもう、小さなスタートアップ向けのゲームではないのです。最後の波を生き延びた者が、おそらくここに留まることになるのでしょう」。

残っている企業は、コストを下げ、より効率的で持続可能なものにして、市の規制に準拠するために全力を尽くしている。

だが……ライドシェア企業が再び登場するかもしれない。

ホー氏は「私たちが得ている注文と引き合いは、多くの企業が戦いに戻ってきていることを示しています。ですから、人びとがパンデミックから抜け出す来年には、マイクロモビリティが優先課題になるでしょう」という。「ライドシェア企業のような大手企業を含め、いくつかの企業が戻ってきています」。

2020年の夏は、パンデミックによるロックダウンの影響でマイクロモビリティは不調だった。たとえばUber(ウーバー)はマイクロモビリティのJump(ジャンプ)をLimeに売却し、その後両社の統合が進んだ。2020年5月には、Lyftも手を付けていた電動キックボードプログラムの多くを終了したが、もしホー氏の観察が正しければ、UberとLyftはすべての市場シェアを失う前に、ゲームに復帰しようとするかもしれない。

より多くAIが利用され、よりスマートな自動車の登場が期待される

都市は、キックボードが歩道に乗り入れたり、駐車したりするのをとても嫌がる。あまりに嫌がられるので、多くの企業が技術革新を行い、非常にスマートなスクーターを生み出している。Spin(スピン)、Helbiz、Voi(ボイ)などの企業は、カメラを使ったシステムをすでにテストしており、ライダーが歩道を走っていたり、歩行者にぶつかりそうになっているのを検知し、リアルタイムで走行を停止する機能まで備えている。Superpedestrian(スーパーペデストリアン)やBirdのように、高精度な位置情報を利用したアプローチを利用して、同様の高度なライダーアシスタンスシステムを実現しているところもある。企業がコストを抑える方法を見つけ、世界中の都市がこの楽しさを奪うテクノロジーの匂いを嗅ぎつけるようになれば、このトレンドはますます一般的になるだろう。

マイクロモビリティのADAS(先進運転支援システム)は、シェア市場を超えて広がっていくだろう。すでにStreetlogic(ストリートロジック)やTerranet(テラネット)などが、一般消費者市場で電動自転車ライダーがより安全に走行できるようにするために、潜在的な危険性を検知して衝突警告を出す機能持つコンピュータービジョンベースのシステムの製造に取り組んでいる。こうしたシステムは、自動車での移動を電動自転車での移動に置き換えたいと考えている一般的な人びとに、安心感と安全性を提供する。

「マイクロモビリティ」という言葉を生み出した業界アナリストHorace Dediu(ホレス・デディウ)氏は、マイクロモビリティの車両にセンサーを追加することが、企業にとってデータの収益化への道を開くことにもなるという。

デディウ氏は、TechCrunchの取材に対し「今後は、より多くのセンシングが行われるようになるでしょう。それは基本的にドライブレコーダーで行われ、多くのイメージングが行われることになるでしょう」と語った。「これが自動車の世界にやってくることは明らかですが、自動車の世界で起こることはすべてマイクロの世界でも起こりますし、多大な投資をしなくても1億台の車両に展開できるので、より早く起こることが多いのです」。

マイクロモビリティの車両の前後にカメラを設置することで、現在のドライブレコーダーのように全周囲を撮影することができます」とデディウ氏はいう。もしこれらのシステムがすでに歩道や歩行者専用道路を検知できているなら、路面状況を検知して、道路のメンテナンス問題に関する共有データベースを通じて都市行政側に知らせることができるだろう。あるいは、マイクロモビリティ企業がその情報をGoogleのような地図会社に売って、世界をもう少し良く映像化できるようにするかもしれない。

ユーザーからの動きを計測するトルクセンサなど、現在のマイクロモビリティができる他の機能を考えると、企業はウェアラブルデバイスに連携する「Peloton(ペロトン、オンラインフィットネス)のようなサービス」を提供できる可能性があるとデディウ氏は予測している。

マイクロモビリティとメタバース

「Meta(メタ)つまりFacebook(フェイスブック)や、Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)は、頭に何かを装着している人とどうやって対話するかを探究するために、何十億ドル(何千億円)もの投資をしてきました」とデディウ氏は述べている。「私は、この2つの考えを単純に組み合わせて、どうせヘルメットをかぶるなら、スマートなヘルメットにしたらどうだろう?と言いたいのです。そして、せっかくスマートヘルメットをかぶるのであれば、そうしたくなるような刺激的でおもしろいものにしたいですよね?」。

街を移動する際に現実を拡張してくれるスマートバイザー付きのヘルメットは、ライダーが周囲の環境をより意識して安全を高められる可能性があるだけではなく、さまざまな体験を解放して人びとが外に出て動きたくなるようにすることができると、デディウ氏はいう。

「マイクロモビリティとメタバースは、お互いのために作られているのです」と彼はいう。「それは『見上げること』です。一方、車の体験の拡張は、下を向いて孤立していくことに他なりません。では、上を見るのと下を見るのとどちらがいいでしょうか?」。

注意:この組み合わせは2022年には起こらないかもしれないが、デディウ氏は今後数年の間に何らかの形で起こることを確信している。

新しく、より頑丈なフォームファクター

毎日キックボードや電動自転車、電動バイクに乗って仕事に向かう上で唯一の問題は、雨が降ったらどうなるかということだ。戦略アドバイザーでエンジェル投資家でもあり、ディウ氏と「Micromobility Podcast」(マイクロモビリティポッドキャスト)を共同ホストとして提供しているOliver Bruce(オリバー・ブルース)氏は、この問題を解決し、さまざまなユースケースに対応するために、消費者市場とシェア市場の両方で、新しい、よりヘビーデューティーで、閉じた屋根のある形状が登場する可能性があると述べている。

ブルース氏は、最近Tilting Motor Works(ティルティングモーターワークス)を買収したArcimoto(アーキモト)やNimbus(ニンバス)のような企業が、傾斜電気三輪車(方向転換の際に車体が傾く三輪車)の開発に取り組んでおり、2022年には市場に投入される予定だと語っている。

ブルース氏は、TechCrunchの取材に対し「COP26で話し合った気候変動に関する目標を真剣に達成するためには、新しい電気自動車が登場し、急速に普及する必要があります」と語った。「しかし、現在の状況で電気自動車を普及させようとすると、本当に大変なことになります。私たちにはその余裕がないのです」。

交通システムに組み込まれたマイクロモビリティ

ブルース氏は「2022年には、公共交通機関の一部にマイクロモビリティが組み込まれるようになり始めると思っています」という。「例えば地下鉄を降りて電動自転車に乗るようにすれば、お互いにメリットのある移動となります」。

ブルース氏によると、これは、世界中の都市(主にヨーロッパ)で私たちが目にしている、より多くの自転車専用道路を建設するインフラ事業の副次的影響の一部になるという。しかし、それはマイクロモビリティ企業が車両1マイルあたりのサービスコストを大幅に削減することにもつながる。

「マイクロモビリティ事業者が輸送機関に大量に移動距離を販売することで、その経済性はますます大きなものとなっていきます。そうした輸送機関は、地下鉄カードやアプリを使ってキックボードのロックを解除することができるのです。世界の都市の中には、これを公共交通機関に組み込むところも出てくるでしょう」。

マップとの連携強化

「おそらく2022年から先は、ソフトウェアの年になるかもしれません」とデディウ氏はいう。

今日、GoogleマップやMoovit(ムービット)のような移動計画や地図アプリは、ユーザーに提供する目的地までの複数の方法の中に、マイクロモビリティのオプションを統合し始めていている。このような統合により、マップが検索エンジンの役割を果たし、移動手段の上位ヒットを数秒で確認できるようになるはずだ。

「現在は、AからBに行きたいと指定すれば3つか4つの選択肢が出てきます、しかしそこに乗車に対する入札結果は提示されません」とデディウ氏はいう。「わたしはそこに15件の入札結果を見たいと思っています。乗車依頼をするたびにオークションが開催されるようになって、Google検索の結果のよう表示されて欲しいですね。こんな当たり前の話にもかかわらず、2022年を目の前にしてまだ実現されていないことにショックを受けています」。

「でもその主たる原因は仲介するプラットフォームがないからです。適切なAPIが欠けているのが原因なので、もしそれが実現すれば、シェアオペレーターがGoogleマップ上で入札する機会が爆発的に増えるはずです。そうなればマイクロモビリティから莫大な収益が発生するでしょう。こうして、マイクロモビリティの収益化は、発見を通して行われるようになるのです」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

激しい資金調達レースが続く欧州のマイクロモビリティ、Voiは約130億円調達し新都市参入とIPOの準備を進める

ヨーロッパのeスクーター市場は現在、マイクロモビリティ分野で活躍する企業の主戦場となっており、ヨーロッパの比較的コンパクトな都市と、より持続可能な交通手段に移行したいという人々の願望を活かしている。2021年には、Tier(ティア)、Voi(ボイ)、Dott(ドット)などの企業がVCの支援を受け続けている。

しかし、この資金調達競争は、最終的には、最も多くの資金を調達することによって市場を支配し、競合他社に圧力をかけ、あるいは競合他社を買収することによって、この憧れの市場で誰が勝利するのかということだ。

この壮大な物語における新たな章の始まりを告げるのが、欧州のマイクロモビリティ事業者であるこのVoi Technologyが、1億1500万ドル(約130億円)のシリーズD資金を調達したというニュースである。この資金調達は、新たな市場への拡大の原動力となると同社は述べている。Voiはすでに英国と欧州の70都市でスクーターを販売している。今回の資金調達は、2021年8月に調達した4500万ドル(約51億1700万円)に続くものだ。2021年の総資金調達額は1億6000万ドル(約181億9000万円)に達し、Voiの創業以来5億ドル(約568億4400万円)を調達したことになる。

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今回の調達は、拡大だけでなく、将来のIPOを視野に入れたものでもある。広報担当者は「今回の資金調達を受けて、VoiはIPOの準備を開始する予定です。準備は開始しますが、現段階ではスケジュールを確定することはできません」と語っている。

Voi Technologyの共同創業者兼CEOであるFredrik Hjelm(フレドリック・ヒェルム)氏は、声明で「マイクロモビリティの登場は疑う余地もありません。Voiは、住民や訪問者に統合されたスマートな移動手段を提供したいと考える都市にとって、ヨーロッパにおける主要なモビリティプラットフォームとなることを考えています。都市と密接に協力することで、公共交通を高度に補完する都市交通の新しいビジョンが形成されつつあるのを目の当たりにしています。私たちは交通の未来を築いており、すべてのVoi都市をより住みやすい場所にすることを約束します」と述べている。

都市が規制を導入し、認可を付与し始めたため、マイクロモビリティ事業者が規模を拡大する方法は、都市の役人から承認を得て、消費者へのアクセスを確保するということになる。そのため、この軍資金は、そのような認可に対応できるような規模にするためのものでもあるのだ。

また「マイクロモビリティの需要はかつてないほど高まっており、その結果、人々が必要とするサービスを確実に提供できるようにしたいと思っています。この資金で、駐車場、歩道走行、2人乗り走行の修正、eスクーターのより良いモデルの展開、研究開発への投資など、乗り物や街のためのソリューションに投資するつもりです」。と広報担当者は述べている。

このラウンドは、Raine Group(レイン・グループ)とVNV Global(VNVグローバル)(前回の資金調達ラウンドを主導)が主導し、Inbox Capital(インボックス・キャピタル)、Nordic Ninja(ノルディック・ニンジャ)、Stena Sessan(ステナ・セーサン)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)および新規投資家のIlmarinen(イルマリネン)、Nineyards Equity(ナイアード・エクイティ)およびICT Capital(ICTキャピタル)などが参加した。King(キング)、Avito(アビート)、BCGなどからの起業家・経営者も参加した。

Voiは、2021年に前年比140%の収益成長を達成し、同時にマージンや収益性を高めたとしている。また、同社は2021年、多くの都市の入札を獲得し、競合他社にプレッシャーをかけている。

もちろん、マイクロビリティ企業は、自家用車への依存を減らし、渋滞を緩和し、二酸化炭素排出量を減らし、汚染を削減するという都市間のニューストレンドと新型コロナウイルスのために公共交通機関の混雑を避けたいという個人の願望を利用し、オープンドアでプッシュしている。

また、Voiは、これまでで最も安全なeスクーターのモデルになるという「Voiager 5」を発売する予定だ。その登場は時宜を得たものだろう。

Vioのユーザーの自宅で1台の車両が燃え始めたため、一部のレンタル車両の撤去を余儀なくされたことを受けて、英国では最近、eスクーターのバッテリーパックが原因で火災が発生する可能性が指摘されている。

Voi U.K.のゼネラルマネージャーであるJack Samler(ジャック・サムラー)氏は、TechCrunchに次のようにコメントしている「2021年12月初め、ブリストルで当社の長期レンタル用eスクーターの1台から煙が出るという事例がありました。これは、当社の長期レンタルスクーターの1台が起こした、孤立した、1回限りの事故でした。厳重な予防措置として、状況を確認する間、スクーターを外に出しておくようユーザーにお願いしました。12月の間、すべてのユーザーに不便をかけた分の返金も行いました」。

同氏は、この喫煙スクーターの結果、サービスは一時的に停止しただけで、調査後、すぐに再開したと述べている。「大半のユーザーはすでにサービスを再開しており、すべてのライダーが持続可能な方法で移動するための長期レンタルサービスをすぐに楽しみ続けられると期待しています」。

これらのバッテリーがより安全なものになると仮定すると、Voiは2023年初頭までに、中国から輸入しないヨーロッパ製のバッテリーセルだけを使用し、結果として二酸化炭素排出量を50%削減することを約束している。

Raine GroupのパートナーでEMEAの責任者であるJason Schretter(ジェイソン・シュレッター)氏は「安全で持続可能なマイクロモビリティを欧州の市場に提供するVoiを引き続き支援できることをうれしく思います。1年前に初めて投資して以来、Voiの製品革新、業務効率化、地域パートナーシップへの取り組みにより、同社はこの地域におけるリーダー的地位を拡大しています」と述べている。

VNV GlobalのCEOであるPer Brilioth(ペル・ブリリオス)氏は「我々はマイクロモビリティの転換期を迎えつつあり、住民に導かれた都市が、この新しい交通手段の可能性に目覚めつつあります」と述べている。

一方、ヨーロッパでは、eスクーターの競争が続いている。ベルリンを拠点にヨーロッパ全域に急速に拡大しているeスクーター会社Tierは、最近Wind Mobility(ウィンド・モビリティ)のイタリア子会社Vento Mobility(ヴェント・モビリティ)を買収した。

しかし、スクーター会社は、この注目すべき分野のイメージを損ねかねない悲惨な事故や衝突による悪評とも戦い続けている。

画像クレジット:Voi scooters

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

コンピュータービジョンを利用するStreetlogicの電動自転車用衝突警告システム

Streetlogic(ストリートロジック)は、電動アシスト付きスポーツ自転車のライダーがより安全に道路を走行できるようにしたいと考えている。同社は、210万ドル(約2億3800万円)のプレシード資金を調達するとともに、主力製品であるサラウンドビューカメラの発売を発表した。このサラウンドビューカメラは、前方、側方、後方からの衝突を予測してライダーに知らせ、事故を未然に防ぐというものだ。

米国、カナダ、欧州では、2021年11月23日より、Streetlogicの電動自転車用先進運転支援システム(ADAS)の先行予約を30ドル(約3400円)の頭金で開始した。Streetlogicの創業者でありCEOでもあるJonathan Denby(ジョナサン・デンビー)氏によると、最終的な小売価格は300ドル(約3万4000円)から400ドル(約4万5000円)程度になる予定で、同システムの最初の量産ロットは2022年末までに納品される予定だ。Streetlogicの拠点であるサンフランシスコの購入者は、2022年初頭から招待制の限定的なベータ展開プログラムを通じて、いち早く同システムを試すことができる。

マイクロモビリティのADASシステムを考案したのは、Streetlogicが最初というわけではない。2020年、イスラエルのスタートアップであるRide Vision(ライドビジョン)は、同様のAIベースのシステムを発表した。このシステムは、ライダーの周囲の交通状況をリアルタイムに分析し、前方衝突警告、ブラインドスポットモニタリング、後方からの近接車両の警告などを提供する。Streetlogicと同様に、ライドビジョンのシステムは、走行を記録するだけでなく、安全に関わる事故の記録を保存して後から見直すことができるドライブレコーダーとしても機能する。

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最近では、Luna(ルナ)やDrover AI(ドローバーAI)などのコンピュータービジョン企業が、同様のテクノロジーをVoi(ヴォイ)やSpin(スピン)などのシェアマイクロモビリティ事業者が運用するeスクーター向けに開発している。このテクノロジーは似通っているが、ターゲットとする市場が異なる。

デンビー氏はTechCrunchに対し「違いは、当社がビジョンシステムをカスタマイズして、電動自転車のライダーにスマートな安全機能を提供しているのに対し、LunaやDrover AIはビジョンシステムを使って、eスクーターのライダーが街中をより快適に走行できるようにしていることだ」と説明する。また「それらの機能は、歩道の検知や駐輪システムのルールを守ってもらうためのものであり、eスクーターのライダーが適切にシェアシステムを利用していることを示すために必要なものだ。一方、当社のADASシステムの機能は、ライダー自身の安全を重視している。例えば、交通量の多い道路を走っているときに、自分と衝突する恐れのある車を検知した場合には、早期の警告によりライダーは安全を確保できる」と述べる。

もう1つの大きな違いは、ライダーが歩道を走るなど不適切な走行をしていると、LunaやDrover AIのシステムはスクーターのOSに接続し、減速して停止させることができることだ。Streetlogicの製品は、厳密には衝突警告システムだが、特に都市部では非常に有用なツールとなる。

「安全の面では、常に周りを見ているわけではありません。無理ですよね。また、通勤途中は、自分のめい想時間のようなもので、よく考え事をしてしまいます。少なくとも私の場合、安全については考えていません。仕事に行くことや、その日にすべきことに思いを巡らしています」と、Streetlogicの初期のベータテスターの1人で、毎日電動自転車で通勤しているTaylor(テイラー)氏は、同社のウェブサイトに掲載されている体験動画の中で述べている。

米国における回避可能だった自転車の死亡者数は、2010年の793人から2019年には1089人と6%増加しており、そのうち843人は自動車との事故で亡くなっている。電動自転車の販売が伸びても、自転車に関わる死亡事故の78%が発生する都市部では、自動車は依然としてマイクロモビリティの導入を妨げる脅威だ。自動車から電動自転車への乗り換えを検討している消費者は、ADASシステムのような安全機能が備わっているかどうかを確認するとよいだろう。

デンビー氏はTechCrunchに対し「道路や都市部に自動車よりも多くの電動自転車が走っているようなすばらしい世界、ユートピアのようなビジョンを持っている」と述べる。そして「ある程度の自動車は必要だが、大部分は自転車に置き換えることができるはずだ。電動自転車を日常生活における主要な移動手段として、より頼りになるツールにすることが、ユートピアを実現するための鍵になると考えている」と続ける。

Streetlogicのシステムは、自転車の前部と後部の両方に実装されており、すべてデバイス上で処理されるコンピュータービジョンに基づいている。ライダーを取り巻く車両の動きを追跡し、ライダーが車両と衝突する可能性がある場合には早期に警告を発する。これらの処理や警告は、完全にローカルなデバイス上のシステムで行われるため、クラウドへ接続する必要はない。また、サービスが提供されていない地域にいても機能する。

ライダー目線で見たStreetlogicのコンピュータービジョン製品。自動車との衝突を警告している(画像クレジット:Streetlogic)

ライダーはまず、デバイスが発する音声による警告を聞くことになる。これは、例えばライダーの後ろにクルマが急接近してきた場合に「Car Back(後方にクルマ)」といった内容のものだ。ライダーのスマートフォンには、障害物となる可能性のある方向がひと目でわかるシンプルな視覚的警告が表示される。ただし、この機能は、ライダーがハンドルバーのホルダーにスマートフォンを装着している場合にのみ有効になる。

LunaやDrover AIは、すでに歩行者や車線などの物体を検知するシステムを持っているが、eスクーターのライダーに衝突の可能性を積極的に警告することはない。しかし、両社のテクノロジーを持ってすれば、不可能ということはないだろう。

ドローバーAIのCEOであるAlex Nesic(アレックス・ネシック)氏は、TechCrunchに対し、電動自転車の警告システムは、ハイエンド市場における「次のレベル」の機能としては意味があるものの「当社が現在注力しているシェアマイクロモビリティ用途に必要な低いコストに抑えることは難しい」と述べる。

Streetlogicにとってはまだ始めたばかりだが、デンビー氏によると、アルファテストではこのテクノロジーは「驚くほどうまく機能した」という。また、サイクリストにとって自動車との衝突やニアミスが最も多い問題であるため、今のところシステムは自動車のみを追跡しているとのことだ。

「しかし、コンピュータービジョンの良いところは、後から機能を追加できることだ」と同氏はいい「例えば、他の自転車や歩行者、道路にできた穴やひび割れ、道路に飛び出す動物などを追跡することができるようになるだろう。これらはすべて、そのうち組み入れることができる。自動車の追跡だけでも、大部分の事故を防ぐことができた」と述べる。

Streetlogicでは、これらの検知機能を組み入れるために、さらに多くのデータを収集して機械学習モデルを学習させる必要がある。今回の資金調達の主な目的はそのためだ。同社によると、プレシードラウンドには、LDV Capital(LVDキャピタル)、Track Venture Capital(トラック・ベンチャー・キャピタル)、およびLyft(リフト)の元自律走行担当副社長であるLuc Vincent(リュック・ビンセント)氏などのエンジェル投資家らが参加し、調達した資金はチームの規模拡大のために使用されるという。先週、2名のチームメンバーを新たに雇用し、現在はフルタイムの従業員6名で構成されているが、予約注文に対応することに加え、システムの成熟度向上に向けた生産性確保のために、従業員を拡充したいと考えている。

「ハードウェア面ではApple(アップル)とUber(ウーバー)から、ソフトウェア面ではCruise(クルーズ)から、精鋭が集まっている」と、デンビー氏は語る。

デンビー氏自身もUberの出身で、後にLime(ライム)に買収された同社のスクーター「Jump(ジャンプ)」のコンピュータービジョンシステムのアドバイザーを務めた他、360度アクションカメラ「Rylo(ライロ)」の開発チームを率いていた。

Streetlogicは、早期に軌道に乗せるためにB2C製品として立ち上げたが、将来的には自転車メーカーとの統合を進めていきたいと考えている。

画像クレジット:Streetlogic

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

欧州で急速に拡大、電動キックボード大手の独TierがWind Mobilityのイタリア子会社を買収

ドイツ・ベルリン拠点のeスクーター(電動キックボード)会社でヨーロッパ全域で急速に拡大しているTier(ティア)は、Wind Mobility(ウィンド・モビリティ)のイタリア子会社、Vento Mobility(ベント・モビリティ)を買収した。

Tierは2021年11月、ドイツの自転車シェアリングプラットフォームNextbikeを買収したばかりであり、サービスの多様化を図り、マイクロモビリティ帝国の足場をさらに固めようとしている。創業以来Tierは製品戦略、デザイン、経営、エンジニアリング、試験、品質管理、教育、サポート、スタッフ支援などのデジタルサービスを提供するMakery(メーカリー)や、バッテリー交換のスタートアップ、Pushme(プッシュミー)も買収している。

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一方、Windの側を見ると、最近イスラエルの事業をロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)に売却しており、避けられない業界統合にWindが徐々に屈服していると見ることもできる。同社はこれまでに計7200万ドル(約81億8000万円)を調達しており、最後の調達ラウンドは2019年のシリーズAだった。ちなみに、Tierは10月にシリーズDラウンドの一部として2億ドル(約227億4000万円)を調達し、調達総額を6億4700万ドル(約735億8000万円)とした。

Windは今後の戦略に関するTechCrunchの追加質問に答えなかった。

米国時間12月14日、Tierの最初の電動キックボードがバリとパレルモで利用できるようになり、今後数日数週間のうちにイタリアの他の都市も続く予定だ。Tierはすでに18カ国165都市で運用中で、同社の電動キックボードは組み込みヘルメット、ハンドルバーとリアウィングの方向指示器、大型前輪ホイールとトリプル・ブレーキなどを備えている。

Windはイタリアの11都市で4500台の電動キックボードを展開していた。Tierによると、同社はWindの車両を置き換えるのではなく、自社の電動キックボードを投入するつもりだと語ったが、既存の車両をどうするかについての質問には答えなかった。Tierは、Windの現地スタッフを引き継ぐことは明言した。

画像クレジット:Tier Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

大林組と古河電気工業がLuup協力のもと電動キックボードのワイヤレス充電ポートを開発・実証実験、2025年の製品化目指す

古河電気工業は12月7日、大林組と共同で電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを開発し、実証実験を開始したことを発表した。このシステムは、電動キックボードのシェアリングサービスにおいて、機体コストの低減と人件費の削減につながるという。2025年の製品化を目指している。

電動キックボードのシェアリングサービスでは、充電の管理が重要になる。現在は、人が巡回してキックボードの電池を交換しているが、これには多くの電池を用意し、回収した電池を充電するといった労力と人件費がかかる。電池を大容量化して手間を省こうとすれば、機体が重くなり、価格も上がってしまう。ワイヤレス充電システムなら、送電装置の上にキックボードを置くだけで充電が始まるため、そうした問題が解決される。

このシステムは、古川電気工業の再生プラスチックを利用した樹脂製ケーブルトラフ(ケーブル敷設用のU字溝)「グリーントラフ」に収めた送電装置、受電機を搭載したキックボード、電源ボックスで構成されている。ワイヤレス給電には、2枚の電極を近づけて電力を伝える電界結合方式が使われている。磁界を発生させる方式と異なり、近くにある導電体が熱を持ったりしないため、安全性が高い。

実証実験は、2022年3月まで、大林組技術研究所で行われる。また、東京・大阪・横浜・京都で電動マイクロモビリティーのシェアリングサービスを展開しているLuup(ループ)が技術協力している。

マイアミ市が電動キックボードのパイロットプログラム中止をすぐに撤回

米国時間11月29日、フロリダ州マイアミ市委員会は、安全の懸念から一時的に禁止していた電動キックボードのパイロットプログラムを再開させることを決定した。Lime(ライム)、Bird(バード)、Hlebiz(ヘルビズ)、Spin(スピン)などの会社が提供するシェア電動キックボードは、1月15日から新しい厳格な安全基準に沿ってマイアミの路上に帰ってくる。

新プログラムは、運営者および利用者にいくつかのルールを課すことをCBS Miamiが伝えている。利用者はヘルメットを着用し、歩道で時速10マイル(16km)の速度制限を守らなくてはならない。並走は禁止され、1つのブロックに運営者は2社のみ(以前は4社だった)、利用者は18歳以上に限られる。

11月18日、マイアミ市議会は2018年以来実施されていた電動キックボードのパイロットテストを、歩道での走行および混雑した路上での不慣れな利用者の危険を理由に中止する投票を行い、4対5で中止が決まった(先のThe StationでTechCrunchは、他にもっとずっと危険で環境に優しくない車両が走る街から、控えめなキックボードを追い出すことのかすかな偽善を指摘した)。

11月19日深夜までに、マイクロモビリティ運営者たちは、車両の利用を停止し、午後5時までに、市が没収する前に収容しなければならなかった。

電動キックボードパイロット擁護派は、プログラムは自転車専用道路の建設に使用された240万ドル(約2億7000万円)の収益をもたらしただけでなく、最初と最後の1マイル移動手段を市民に提供することで、自動車利用全般と排出量を減少させてきたことを指摘した。

市委員会は11月29日、3対1で中止の撤回を決議した。

「変化はやってくる。遅かれ早かれ。規制すればいい」とAlex Diaz de la Portilla(アレックス・デ・ラ・ポーティラ)委員は述べ、警察官が速度制限などのルールを執行することもできることを付け加えたことをWPLG Local 10は伝えた。

「このニュースは、安全、安価で持続的な移動手段として長年電動キックボードに頼ってきたマイアミ市民を安心させるでしょう」とLimeの政府交渉担当シニアマネージャーであるBruno Lopes(ブルーノ・ロペス)氏が声明で語った。「今後、市の委員やFrancis Suarez(フランシス・スアレス)市長と密に連携して、利用者と歩行者両方の安全を優先する恒久的プログラムを構築することを楽しみにしています。特に期待しているのが、Limeや他の運営者が支払う数百万ドルの電動キックボード費用を、今後も市が自転車専用道路の建設に投資することです。これはあらゆる道路利用者の安全を確保する最も確実な方法です」。

画像クレジット:City of Miami

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】電動スクーター事業者は34.6兆円規模の産業でどう収益化していくのか?

自動車に比べて、電動スクーターは、都市部のモビリティと環境にポジティブな影響を与えることができる低炭素で静か、かつ安価な交通手段だ。しかし、その有望な可能性にもかかわらず、都市住民の大多数は、電動スクーターをおもちゃか、公共の安全を脅かすものと認識している。

それにともない、この業界へのベンチャー投資の額もわずかなものとなっている。2010年以降、共有型マイクロモビリティは世界全体で90億ドル(約1兆円)の投資を受けたのだが、それに比べて2021年の第3四半期だけで米国のスタートアップ企業が調達したのは723億ドル(約8兆3400億円)だ。人々が一斉に自動車ではなく低炭素マイクロモビリティを選択するような、真に持続可能な都市環境を目指すのであれば、このビジネスを収益化する方法を見つけなければならない。

当初、電動スクーター事業者は、できるだけ多くの電動スクーターを市場に投入することで利用者の注目を集めようとしており、物理的な存在が成功を意味していた。都市が規制を導入してライセンスを付与するようになると、事業者の関心は市当局からの承認を得ることに移った、なぜならライセンスはエンドコンシューマーへのアクセスを確保し、長期的な計画を立てるための信頼感を与えるからだ。

このライセンスは、投資家の負担を軽減し、ライセンスを取得したスタートアップは資金調達が急増した。例えば2021年には、Tier(ティアー)、Voi(ヴォイ)、Dott(ドット)などの企業が累計4億9000万ドル(約5652億円)の資金を調達した

この事実は、市場での競争を目指す他の電動スクーター事業者に、投資を集めて成長したいのであれば、まず都市部での地位を確立しろという明確なメッセージを送っている。現在のところ、これは主に、インフラが整備されており、マイクロモビリティの輸送やビジネスモデルのテストサイトとして機能しているヨーロッパに当てはまる。

しかし、マイクロモビリティが都市コミュニティにとって効率的であることが証明されれば、これらの手法は、主要都市ですでに自転車レーンの整備が進んでいる米国など、他の地域にも広がっていくだろう。2030年には、世界のマイクロモビリティは3000億〜5000億ドル(約34兆6000億〜57兆6842億円)規模の産業になると予想されていることを考えると、努力する価値は十分にある。

しかし、単に入札に勝っただけでは十分ではない、なぜならライセンスを取得した事業者は次の競争に進むからだ。事業者は、エンドコンシューマーと投資家の両方の期待に応えなければならない。つまり、最高の製品と製品体験を提供しながら、収益性を達成しなければならない。

これまでのところ、電動スクーターのシェアリングビジネスは収益性が高いとはいえず、既存のビジネスモデルには改善の余地がたくさんある。最も顕著な問題は、コストの60%を占めるといわれる高額な充電とオペレーションであり、ここを少しでも最適化することだけでも有益になる。

では、なにができるだろうか?

オペレーションは会社によって異なるかもしれないが、充電のシナリオはほとんどない。マイクロモビリティ事業者は、1日の終わりに手作業で車両を回収して充電倉庫に持ち込むか、死んだバッテリーを手作業で新しいバッテリーに交換している。どちらも人手を要し、このコストを削減することを目的としたソリューションを提供するプレイヤーが現れている。

台湾の電動スクーターメーカーGogoro(ゴゴロ)は、充電作業をライダーに引き継ぐスワッピングステーションを展開した。今のところ、それは2つの電動スクーターブランドにしか対応していない。ドイツのTierも同様のアプローチを選択し、最近Tier Energy Network(ティア・エナジー・ネットワーク)を開始した。これにより、Tierの利用者は、地元のパートナーショップに設置されたPowerBox(パワーボックス)を使って、自分でバッテリーを交換できるようになった。しかし、バッテリー交換を行うには、自社で保有する電動スクーター1台につき最低2個のバッテリーを用意しなければならず、バッテリーセルは最も高価なハードウェア部品だ。

また、そのブランドのバッテリーがある場所での電池交換のためにルートを変更しなければならないことは、一部の消費者にとって商品体験を悪化させる可能性があり、競争が厳しいときに極めて重要な事業者のユーザー数を制限することになる。

さらに、マイクロモビリティへの需要が高まると、ステーションには同時に多数の車両を収容できることが求められるようになる。それにより、ユニバーサルなインフラの需要が生まれる。Kuhmute(クムート)やPBSC Urban Solutions(PBSCアーバンソリューションズ)などの企業は、この問題に部分的に取り組んでおり、さまざまなeモビリティ車両のタイプやブランドに対応したユニバーサル充電器を開発しているが、そのようなソリューションの多くは電気接触式であるため、一度に対応できる車両の数は限られている。その上、ステーションは2〜3カ月で接触酸化しやすく、街の景観を変えてしまう。

そうなると、次のステップとしては、駐車スペースを大幅に拡大したワンタッチ充電器を展開するのが自然だ。しかし、駐車スペースの話になると、都市が重要なステークホルダーとして登場する。都市はすでに多くの住宅用地を自動車用の駐車スペースに転用する必要があるのに、電動スクーターの充電用にも転用する必要がある。スワップステーションも充電ドックも地上に設置する必要があるからだ。

この問題に取り組み始めているプレイヤーもいるし、電気自動車の分野ではすでにそのような製品が存在している。例えば、米国のWiTricity(ワイトリシティ)は、その上に駐車すると、無線で充電することができる地上用充電パッドを開発している。この充電器には地上のハードウェアがないため、通常の道路や歩道と同じように使用することができる。また、破壊可能な部品がないため、破壊行為への対策にもなる。

この技術を電動スクーターの分野に応用すれば、余分なバッテリーや交換・接続のための手作業を省くことができ、ユニットエコノミクスの向上につながる。このような標準化は、エンドコンシューマーにとっても、マイクロモビリティ企業にとってもメリットがある。

編集部注:本稿の執筆者Roman Bysko(ローマン・ビスコ)氏は、次世代の電気充電ステーションを開発するモビリティ・インフラストラクチャ企業Meredotの共同創立者兼CEO。

画像クレジット:Inside Creative House / Getty Images

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(文:Roman Bysko、翻訳:Yuta Kaminishi)

電動キックスクーター独TierがNextbikeを買収、マイクロモビリティ業界統一を予見させる大型買収

ドイツ・ベルリンを拠点とするヨーロッパ最大級の電動キックスクーター運営会社Tier Mobility(ティア・モビリティー)は、ドイツの自転車シェアプラットフォームNextbike(ネクストバイク)を買収した。この動きは、TierがライバルのLime(ライム)やVoi(ボイ)などと同じく既存の市場シェアを利用する複合アプローチの採用を示唆するものだ。またこれは、将来マイクロモビリティ業界がさらに統一されることを予見させる大型買収でもある。

2020年、LimeはUber(ウーバー)のマイクロモビリティ子会社であるJump(ジャンプ)を、UberのLimeへの1億7000万ドル(約194億1000万円)の投資の一環として、Jumpが所有するすべての電動自転車、電動キックボードとともに獲得した。そして2021年11月、Limeは5億2300万ドル(約597億3000万円)を調達し、上場を控えた最後のラウンドになるだろうと語った。

TierとNextbikeは契約条件を明らかにしていないが、Tierはこの買収に、2021年10月、同社が世界で複合市場企業としての存在感を高め、戦略的投資と買収を追究するためにSoftbank Vision Fund 2のリードで実施した2億ドル(約228億4000万円)のシリーズDラウンドで得た資金を充てたかもしれない。シリーズDの前には、2021年夏の6000万ドル(約68億5000万円)の債券による調達と2020年11月にやはりSoftbankがリードした2億5000万ドル(約285億5000万円)のシリーズCを実施している。

Tierは他にe-moped(電動スクーター)の車両も所有しており、6カ国への事業拡張の一環としてロンドンとストックホルムでサービスを開始するなど、ここ数カ月間電動バイクに大きく力を入れている。最近Nextbikeは、所有する車両の半数以上が盗難と破壊の被害に遭い、ウェールズのカーディフおよびヴェール・オブ・グラモーガンの運営を中止せざるを得なかった。現在の公共バイクシェア事業を2004年から運営している同社は、破壊された車両を修理、交換する必要に迫られており、状況が改善しなければ当地での事業を恒久的に中止するかもしれない。しかしこの問題は明らかにTierの手に余っている。

ヨーロッパと中東16カ国、160以上の都市で運営しているTierは、ウェールズにはまだ進出していない。Netbikeと合わせると、Tierは400以上の都市で25万台以上の車両を展開することになる。同社の車両には自転車、電動自転車、貨物自転車、電動キックボード、電動スクーターがあり、シェア方法はフリーフロート型、ステーション型、およびハイブリッド型があると同社は言っている。

「Netbikeと同社の数百都市にわたる類を見ない経験と関係性を獲得したことは、当社がバイクシェア事業を次の段階へと進め、より多くの人たちをクルマから降ろし、最も持続可能なモビリティソリューションを提供するまたとない機会です」とTierのCEOで共同ファンダーのLawrence Leushner(ローレンス・ルーシュナー)氏が声明で語った。「2組の強力な経営チームに共通する持続可能性と都市への敬意とTierの財務基盤と資本効率に支えられ、モビリティを永遠に変えるための飽くなき合同ミッションを追究していきます」。

画像クレジット:Tier Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

東京理科大学が効率的なバイクシェアリングの自転車再配置のための数学的手法を提案

電動キックボードシェア「LUUP」が京阪電気鉄道・京阪宇治駅にポート導入、京都府初のサービス提供開始
東京理科大学が効率的なバイクシェアリングの自転車再配置のための数学的手法を提案

配送車が自転車の回収と補充を行う際の例

東京理科大学は10月27日、バイクシェアリングで使われる自転車の再配置を効率的に行うための数学的手法の提案を発表した。バイクシェアリングでは、各ポートに置かれる自転車の数の偏りが問題になっている。それに対処したこの研究結果は「便利で快適なバイクシェアリングシステムの構築と運用を可能にする重要な基礎となる」とのことだ。

バイクシェアリングのポートでは、自転車が往復だけでなく片道だけで利用されることも多く、どうしても置かれる自転車の台数に偏りが出る。ポート数が少ない場合は、これまでにも適切な再配置を可能にするアルゴリズムが提案されていたが、ポート数が増えると、それが使えなくなるという問題があった。

そこで研究グループは、「これまで解決されなかった再配置作業の時間的制約や実行可能性などを踏まえ」、この問題をバイクシェアリングシステム・ルーティング問題(mBSSRP)として定式化し、ポート数が大きく増えても「現実的な時間内に最適解を求めることができないか」を考えた。

そして、これまで提案されていた「メタヒューリスティックな手法」を用い、mBSSRPの実行可能な解空間と、不可能な解空間を動的に探索する制御手法を導入したアルゴリズムを提案。これにより、mBSSRPの最適解を現実的な時間内で求めることに成功した。

東京理科大学工学部情報工学科の池口徹教授は「配置が偏った自転車に対して配送車の最適配置問題を効率よく解くための手法を開発することは、我々の現実社会における実課題としても解決すべき重要な課題と考えています。今回提案した手法により、便利で快適なバイクシェアリングシステムの構築・運用が可能となります」と話している。

この研究は、池口教授、博士後期課程2年の對馬帆南氏、日本工業大学先進工学部情報メディア工学科の松浦隆文准教授からなる研究グループによるもの。

マイクロモビリティシェア大手Birdの日本展開に向け、国内プラットフォームパートナーのBRJが4億円調達

電動キックスクーターシェアリングサービス「Bird」(バード)の日本展開を予定しているBRJが10月28日、4億円の資金調達を実施したことを発表した。調達した資金は、運営メンバーの確保と車体数の拡充、そしてさらなるテクノロジー検証の強化に投資する。

Birdは、Bird Ridesが世界250以上の都市で提供している、電動キックスクーターによるマイクロモビリティサービス。「特定エリアでの最大速度制限」「走行可能エリア外での自動停止機能」「車体に複数のセンサー搭載でのデータ連携」「車両不備検知機能」「自動緊急ブレーキ機能」などを備えており安全・安心で快適な利用が可能という。今回の資金調達は、これら安全・安心を最優先とした、移動課題解決の将来性を評価され実現した。

2020年12月に発足したBRJは、Bird Ridesとライセンス契約を締結している日本のプラットフォームパートナー企業。Birdで利用されている「機体」「テクノロジー」「運営ノウハウ」「戦略支援」の提供を受け日本でのマイクロモビリティーサービス展開を予定している。これにより地域住民の移動課題を解決し、人々の生活向上を目指す。

電動キックボードシェア「LUUP」が京阪電気鉄道・京阪宇治駅にポート導入、京都府初のサービス提供開始

電動キックボードシェア「LUUP」が京阪電気鉄道・京阪宇治駅にポート導入、京都府初のサービス提供開始

電動キックボード・小型電動アシスト自転車など「電動マイクロモビリティ」を取り扱うシェアリングサービス「LUUP」(ループ。Android版iOS版)を展開するLuupは10月14日、京阪電気鉄道が運営する京阪宇治駅(京都府宇治市)にLUUPのポートを導入し、京都府で初めてサービスを開始すると発表した。

LUUPアプリ内においては、2021年10月15日14時から京都府エリア追加となっている。同サービスは、京阪宇治駅のポート・5台からの展開となり、12月5日までの土日祝日限定で宇治市内で利用可能。なお、一部電動キックボードに乗って走行できないエリアがある(走行禁止道路は、アプリの「手押しゾーン」で確認可能)。またサービス対応エリア外をまたいだ利用は不可。

Luupは、「街じゅうを「駅前」化するインフラをつくる」をミッションに、電動・小型・1人乗りのマイクロモビリティのシェアリングサービスを展開。電動アシスト自転車や電動キックボードのみならず、電動・小型・1人乗りの電動マイクロモビリティを包括的に取り扱い、ファースト・ラストワンマイルの移動手段を確立し、全ての人が自由に移動できる未来を目指しているという。

京阪電鉄では、今回の電動キックボードのシェアリングサービスの導入を通して、京阪宇治駅を起点に快適に移動できる範囲を広げ、宇治の魅力を更に高めていきたいと考えているとした。

Luupは、同実証実験を通して、宇治市内における短距離移動ニーズ検証に加え、電動キックボードの安全で便利な社会実装に向けたルールづくりの検討と、そのためのデータ収集を継続する。

電動キックボード利用可能ポート

  • 京阪電気鉄道・京阪宇治駅 駐輪センター付近:住所:京都府宇治市宇治乙方18-5
  • ポート数:1ポート。安全性の段階的な検証のために、まずは京阪宇治駅のポートにて電動キックボードが利用可能となる
  • 電動キックボードの台数:5台
  • 電動キックボードの最高速度:15km/hに制限
  • 電動キックボードの最高速度:15km/hに制限

「LUUP」サービス詳細

  • 利用可能エリア(都内):京都府宇治市全域。
    一部電動キックボードに乗って走行できないエリアがある。走行禁止道路は、アプリの「手押しゾーン」で確認可能。またサービス対応エリア外をまたいだ利用は不可
  • 利用料金(実証実験特別価格):110円/初乗り10分、16.5円/分(税込)
  • 利用条件:電動キックボードの利用条件は、アプリから「運転免許証登録」と「走行ルールの確認テスト」の満点合格となっている。小型電動アシスト自転車のみの利用の場合は、これら対応は不要
  • 保険:対物賠償、対人賠償、利用者のケガが保険の対象
  • 電動キックボードに関する利用ガイドhttps://support.luup.sc/hc/ja/sections/1500001008561

注意事項

  • 歩道の走行は禁止
  • 普通自転車専用通行帯(自転車レーン)が設置されている道路では、当該通行帯を走行
  • 車両通行帯の設けられた道路では、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行する必要がある
  • 小型特殊自動車は2段階右折は禁止されている
  • 今回の実証実験では、電動キックボードを押し歩きする場合には歩行者とみなされる。走行量の多い道路などを右折する場合には、交差点で電動キックボードをいったん降り、横断歩道を押し歩いて渡ることを推奨

「LUUP」サービスと電動キックボード

今回LUUPアプリ内に導入される電動キックボードは、電動マイクロモビリティとして以下の特徴を備え、さらにコロナ禍においては密を避ける新しい移動手段としている。

・またぐ、こぐ必要がないため、スカートやスーツの方でも乗車できる
・地面と足が近いため、危険を感じたら足をついてすぐに止まれる
・IoTデバイス搭載のため、将来的にはエリア別・ユーザー別の安全運転のための制御が可能

ただ電動キックボードは、日本の現行法上「原動機付自転車」に位置付けられるため、ヘルメットの着用、ナンバープレート・ミラーの装着、免許の帯同、車道のみの走行などの条件が課されている。

このため、規制の適正化とルール作りに向けて、Luupは「マイクロモビリティ推進協議会」という業界団体を立ち上げ、関係省庁との議論や様々な条件下での実証実験を重ねてきた。今回、Luupの実証実験の計画が産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」に2021年4月23日に認定されたことを受け、シェアリングサービスの開始に至ったという。申請を行い認可を受けた事業者に対して、以下の特例措置が適用される。

  • 道路交通法における区分:小型特殊自動車(※道路運送車両法上は、現行法と同様「原動機付自転車」の扱い)
  • 速度制限:最高15km/hに制限
  • 走行場所:車道に加えて、前回と同様「普通自転車専用通行帯」(通称「自転車レーン」)の走行が可能。さらに、「自転車道」と「一方通行だが自転車が双方向通行可とされている車道」も走行可能になる
  • 走行時のルール:新たにヘルメットの着用が任意(安全の観点から着用は推奨)となる。免許の帯同や自賠責保険の加入などは引き続き義務となっている
  • 機体要件:引き続き、ナンバープレートやミラーの装着など原動機付自転車に求めれる保安基準を満たす必要がある

これらの特例措置は、認定を受けた新事業活動計画のもと実施される実証実験にのみ適用される。認定を受けていない事業者や個人所有の電動キックボードの走行に関して、上記の特例措置は適用されない。

なおLuupでは、電動キックボードに乗車するすべての方に、事前の免許登録と走行ルールの確認テストの満点合格を義務付けるとともに、同意書への同意、禁止事項に関する注意喚起の画面をご利用の度に表示している。

また、実証実験中の走行ルールや道路交通法に対する違反行為が認められた際には、アカウントの無期限停止を含む厳正な対処を行っている。

 

【コラム】シェアードマイクロモビリティは住民に健康的で公平なコミュニティを構築する

20年前、私たちの多くは「シェアードマイクロモビリティ(共有型の小型移動手段)」という言葉を聞いたことはなかったし、ましてやそれがより健康的で公平なコミュニティを発展させるためのツールであるとは考えもしなかった。

しかし、2020年現在、北米の200以上の都市では、少なくとも1つのシェアードマイクロモビリティシステムが運用されており、合計16万9000台の車両が利用されている。この業界が成長するにつれ、人の移動手段のような一見小さなものでも、生活の質に大きな影響を与えるということを多くの人々が認識するようになった。

最近、マイクロモビリティが果たしている役割の中で、最も驚くべきものの1つは、人種的正義への取り組みやイベントのサポートだ。

North American Bikeshare & Scootershare Association(北米バイクシェア&スクーターシェア協会)の2020年シェアードマイクロモビリティ業界の現状レポートによると、代理業者や運営機関は、デモ参加者がイベントに参加するために無料または割引で移動手段を提供し、多くが人種的正義を訴える非営利団体に寄付や募金を行ったという。

重要なのは、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包含)への関心が高まったことで、至らない点がさらに浮き彫りになり、業界全体の組織改革につながったことだ。例えば、シェアードマイクロモビリティを運営する企業の71%が、2020年には多様性の観点がすべての採用決定の要素に含まれていると述べ、69%が、組織のすべてのレベルで女性と有色人種の社員が管理職を勤めていると報告している。

もちろん私たちはみんな、まだ望んでいる状態、あるいはあるべき状態には到達していないことを理解している。しかし、これらの指標は、彼らの意思を表しており、シェアードマイクロモビリティ業界におけるエクイティ、ダイバーシティ、インクルージョンの改善に向けた進歩を示している。

シェアードマイクロモビリティの業界では、低所得者向けの割引プログラムの提供や、身体能力の異なる人のための柔軟な車両の提供など、サービスを提供するコミュニティのニーズに合わせて、ポリシーやその実践を継続的に適応さえてきているが、移動というのはすべての人における権利であるということを理解している。

それ以上に、代理業者や運営機関は、人々やコミュニティがより健康的な習慣を身につけるために、アクティブな移動手段を提供することの重要性と、それが最終的には経済的、社会的、環境的にプラスの効果をもたらすこととなることを認識している。

2020年には、シェアードマイクロモビリティを利用したことで、北米の人々は1220万時間も多くの身体活動を行い、結果的に約2900万ポンド(約1,315万kg)の二酸化炭素削減に繋がった。

さらに、コロラド州立大学の研究者は、平均的な年では、バイクシェアの利用者によって米国の医療機関は3600万ドル(約39億5500万円)以上節約したと計算している。また、別の研究では、スクーターの利用者が、飲食店でスクーター1台あたり921ドル(約10万円)の予定外支出を行ったと結論づけている。

コミュニティの利益を最大化し、真の機能的な都市を構築するためには、シェアードマイクロモビリティを公共交通ネットワークの一部として考慮する必要がある。多様型通勤手段はより一般的になってきており、都市部の移動者にも多く求められている。2020年には、利用者の50%が公共交通機関への接続にシェアードマイクロモビリティを利用したと報告しており、同年に利用された8340万回のシェアードマイクロモビリティによる移動のうち16%が公共交通機関への接続を目的としたものだった。シェアードマイクロモビリティのオープンデータ標準であるGBFS(General Bikeshare Feed Specification)の使用と必要性が増えてきているのは、統合型移動手段のユーザー体験の重要性がより高まっていることを明らかにしている。

シェアードマイクロモビリティは、十分に活用されれば、都市をより良い方向に変えてくれる強力なツールだ。都市、州、省、国が公平性や社会問題、気候変動の問題に直面している今こそ、変革のための重要な要素として、シェアードマイクロモビリティに取り組む必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Samantha Herr(サマンサ・ハー)氏は、North American Bikeshare & Scootershare Associationのエグゼクティブ・ディレクターで、2012年からマイクロモビリティの分野で活躍している。Destinie Hammond(デスティニー・ハモンド)氏はNorth American Bikeshare & Scootershare Associationのコミュニケーションマネージャーで、以前はJUMP by Uberのコミュニティ・エンゲージメント・マネージャーを務めていた。

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画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Samantha Herr、Destinie Hammond、翻訳:Akihito Mizukoshi)

電動キックボードシェアの「Luup」が森トラストやESG特化型ファンドなどから約20億円調達

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電動キックボードや小型電動アシスト自転車など「電動マイクロモビリティ」のシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)を展開するLuupは8月17日、合計約20億円の資金調達を発表した。引受先は、森トラスト、Open Network Lab・ESG1号投資事業有限責任組合(DGインキュベーション)をはじめとする新規の投資家、VC・事業会社を含む複数の既存投資家。また今後のさらなる事業拡大に向けて、複数の投資家候補との協議を継続する。

調達した資金により、持続可能な社会の構築に向けマイクロモビリティ事業の開発を強化する。プロダクトが持つデータをより活用し、素早い仮説検証ができる開発体制の構築、LUUP開発の加速にとどまらないマイクロモビリティ事業の研究開発を進めるという。

Luupによると、東京・大阪エリアにおいて多くのポートを獲得し、街なかでLUUPを見つけるチャネルが増えたものの、機体をシェアして利用することや、電動キックボードの走行は概念が新しく、まだハードルが高いのが現状という。今後はよりスムーズに走行できる機体の開発や、利用者が不安のない状態でLUUPの利用し始めらえる体験の構築に注力するとしている。

また、LUUPの存在が利用者の移動のハードルを下げ、これまで気づいていなかった街の魅力に気づくきっかけとなることを目指すという。そのため例えば、グループ走行への対応や、目的地に合わせて最も効率のよいポートを推薦する機能にも挑戦する。

海外には路上で貸し出し・返却をするモデルが多くある一方、Luupは路上ではなく決められたポートを利用するモデルを採用している。特に都市部では人々の移動に偏りがあり、時間帯によって機体の配置密度に偏りが生まれることから、今後は、需給データのさらなる分析を通して、機体の最適配置・最適充電のためのオペレーションモデルの構築やダイナミックプライシングなどの構築を行うという。

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歩道走行の防止と安全性の向上を目指すマイクロモビリティのVoiが50億円を調達

マイクロモビリティのスタートアップであるVoi(ヴォイ)が4500万ドル(約50億円)を調達した。同社はこの資金を、ユーザーが歩道を走らないようにしたり、スクーターが適切に駐車されるようにするなど、安全性を向上する技術の研究開発に使うと述べた。

VoiはアイルランドのスタートアップであるLuna(ルナ)と共同で、英国ノースハンプトンにおいて、駐車場や歩道走行の問題解決にコンピュータービジョン技術をどう使うかをテストするための試験運用を開始していたが、今回の資金調達はその1カ月後に行われた。今回の研究開発費には、「歩道走行を防止するためのコンピュータービジョン・ソフトウェアの使用に関する先駆的な取り組み」が含まれると、同社は発表した。

「当社はこの技術をリードしています。来年にはLunaのような技術を採用し、当社のフリートに搭載して広く提供したいと考えています」とVoiの広報担当者はTechCrunchに述べた。また、同社のe-bikeにコンピュータービジョン技術を搭載することに前向きであることも明らかにした。

Voiの広報担当者はTechCrunchに、同社はこれまでの進捗に満足しており、Lunaの買収も含め独自の技術を模索していると語った。今のところ意思決定や買収は行われていないが、Voiは次世代スクーターにも投資している。次期車両では、コンピュータービジョンをステムに後付けするのではなく、内蔵する可能性がある。

すでに英国や欧州の70都市でスクーターを展開しているVoiは、さらなる拡大を目指している。また、駐車場、安全性、歩道の混乱を解決する技術は、都市との提携を獲得し、すでにある提携を維持する鍵だとVoiは考えている。

Voiは、今回の資金により物理的な駐車ラックを増やし、歩道の駐車問題にも取り組む。8月4日、同社はストックホルム市との合意のもと、100台の駐車ラックを設置した。英国ではすでに300台以上の物理的な駐車ラックを設置している。

Voiは、LimeやSpinなどの事業者に人気のある交換可能なバッテリーシステムを採用しているため、ラックは単にスクーターを公道から遠ざけるためのものだ。Voiは、物理的なラックを設置することで、「都市とそこに住む人々にとって持続可能なサービスを生み出す」ことができると述べている。

今回のラウンドで、Voiの資金調達総額は2億500万ドル(約226億円)に達した。今回のラウンドは、The Raine Groupがリードし、VNV Globalなどの既存投資家が新規投資家とともに参加した。同社は、新規投資家が誰であるかは明らかにしていない。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

セコムは6月28日、トヨタ自動車と連携して、トヨタが開発中の「歩行領域EV(警備実証用モデル)」を使用した巡回警備の実証運用を、東京都江東区青梅のテレコムセンターと青梅フロンティアビル周辺の公道(車道と歩道・横断歩道)で開始した。

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

セコムでは、警備業界の負担軽減、労働環境の改善における解決策の1つとして、広域エリアの巡回警備を効率化する「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の活用検討を行っている。これまで、大型商業施設や空港など、道路交通法の適用外となる私有地での実証実験を重ね活用実績とノウハウを蓄積してきたものの、法律の制約により「公道での巡回警備の実情に沿った形での走行」ができないことが課題だった。

これに関連して東京都は、セコムの事例を含む「公益的な事業等における搭乗型移動支援ロボットの活用」という規制改革提案を国に提出。2020年12月には警視庁から「『搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験』等に係る取扱いについて(通達)」が出され、2021年5月には国土交通省が「公道実証実験事業に用いる搭乗型移動支援ロボットの基準緩和認定要領について」の一部改正を行ったことから、国家戦略特区内での「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の公道走行が、一定の条件下で可能となった。

条件は、警備員資格を保有し、あらかじめ乗車訓練を受けた警備員で、原動機付自転車の運転に必要な運転免許を保有している者のみが運転すること。また事前に許可を得たエリアに限定し、最高速度は時速6キロ以下などとなっている。

「歩行領域EV」の利点は、広域の移動が容易になることばかりではなく、視点が高くなることから視野が広がり、目立つことから犯罪抑止効果が期待できるという。また、AEDや拡声器などの装備品を携帯して移動できるといった長所もある。

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の主なスペックは以下のとおり。

  • 全長:700mm
  • 全幅:450mm
  • 全高:1200mm
  • ステップ高さ:160mm
  • 最高速度:時速2/4/6/10km ※切替可
  • 連続走行距離:約14km
  • 連続走行時間:2.5時間
  • 充電時間:2.5時間
  • 乗員要件:身長130~185cm、体重100kg以内

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電動マイクロモビリティシェアの「LUUP」アプリが大阪梅田・難波・天王寺で電動キックボードシェア導入

電動マイクロモビリティシェアの「LUUP」アプリが大阪の梅田・難波・天王寺で電動キックボードシェア導入

Luupは5月20日、電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)内において、電動キックボードシェアの提供を開始した。利用可能エリアは、大阪キタ(梅田)・ミナミ(難波、天王寺)の2エリア。2021年4月2日より大阪で展開している小型電動アシスト自転車のシェアサービスに加えて、電動キックボードが導入される形となる。利用料金(税込)は、110円/初乗り10分、16.5円/分(実証実験特別価格)。

また、同サービスは新しいモビリティの実証実験でもあることから、西日本旅客鉄道(JR西日本)と共同で安全講習会を開催する。安全講習会の詳細は、Luupサイトにおいて告知する。

今回LUUPアプリにおいて導入する電動キックボードは、世界で唯一普及している電動マイクロモビリティという。以下の特徴を備え、さらにコロナ禍においては密を避ける新しい移動手段として世界各国で普及が進んでいる。

  • またぐ、こぐ必要がないため、スカートやスーツの方でも乗ることができる
  • 地面と足が近いため、危険を感じたら足をついてすぐに止まることができる
  • IoTデバイス搭載のため、将来的にはエリア別・ユーザー別の安全運転のための制御が可能

また電動キックボードは、日本の現行法上「原動機付自転車」に位置付けられている。そのため、ヘルメットの着用、ナンバープレート・ミラーの装着、免許の帯同、車道のみの走行など普及しにくい走行条件が課せられているという。

規制の適正化とルールづくりに向けて、Luupは「マイクロモビリティ推進協議会」という業界団体を立ち上げ、関係省庁との議論や様々な条件下での実証実験を重ねているとした。

サービス詳細

  • 内容:電動キックボードと小型電動アシスト自転車のシェアアプリ
  • 利用条件:アプリ上から「運転免許証登録」を行い、「走行ルールの確認テストで満点合格」となること。小型電動アシスト自転車のみ利用の場合は、これら対応は不要
  • 利用ガイド:「電動キックボード」利用ガイド
  • 利用可能エリア:大阪キタ(梅田)・ミナミ(難波、天王寺)の2エリア
  • 利用料金(税込):110円/初乗り10分、16.5円/分(実証実験特別価格)
  • ポート数:約100ポート。安全性の段階的な検証のために、まずはそのうち7ポートで電動キックボードを利用可能
  • 電動キックボード利用可能ポート:大阪駅中央北口(大阪府大阪市北区梅田3丁目1-1)、天王寺駅(大阪府大阪市天王寺区悲田院町10-45)、森ノ宮駅北口(大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1丁目1-45)、森ノ宮駅南口(大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1丁目1-45)、大阪城公園駅(大阪府大阪市中央区大阪城3)、桜ノ宮駅(大阪府大阪市都島区中野町5丁目1)、南海なんば西口(大阪府大阪市中央区難波5丁目1-60)
  • 電動キックボードの台数:10台(安全性が段階的に確認でき次第夏には増加予定)
  • 電動キックボードの最高速度:15km/hに制限
  • 保険:保険の対象は、対物賠償、対人賠償、利用者自身のケガ

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「街中を『駅前化』するインフラをつくる」とのミッションのもと電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)を展開するLuupは5月19日、第三者割当増資による7億5000万円の資金調達を2021年4月に実施したと発表した。引受先は、Spiral Capital Japan Fund 2号投資事業有限責任組合をリード投資家に、ANRI3号投資事業有限責任組合、ENEOSイノベーションパートナーズ、アダストリア、非公開の投資家複数名。このラウンドは2021年夏に最終クローズの予定で、現在も投資家候補との協議を続けている。同時に、LUUPの設置を希望する全国の企業の募集も開始した。

LUUPは現在、東京の渋谷、新宿、六本木(赤坂から虎ノ門も含む)、大阪のキタ、ミナミの計5カ所でサービスを運営。街中を「駅前化」とは、駅からちょっと遠いなと感じる場所へ楽に行ける交通インフラの構築を意味しているそうだ。Luupの取締役兼CEOの岡井大輝氏によれば、同社は創設からこれまで2年半の間、アライアンス、省庁、自治体との協議が先行し、プロダクト開発とオペレーションがそれに続く形だったが、4月23日、電動キックボードのヘルメット着用義務を免除する政府の特例制度の認可を受け本格的なシェアリングサービスを開始したことで、次のフェーズに入ったという。今後は、プロダクト開発を先行させ、アライアンスやオペレーションがそれに続く形になる。

今回の投資を受け、同社はサービスエリア拡大とともに、安全で便利な新しい機体の開発も進めてゆく。将来的には、高齢者も簡単に安全に乗ることができるモビリティーの導入も目指すとのこと。そのための、営業部長とテックリードの募集も行っている。

また、今ラウンドに参加したENEOSイノベーションパートナーズとアダストリアとは、将来の協業も視野に入れている。ENEOSとは電動マイクロモビリティーのエネルギー供給体制の構築を、カジュアルファッションのSPAブランドを展開するアダストリアとは、移動手段までを含めた店舗展開で協力してゆく予定だ。

画像クレジット:Luup

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