NVIDIAが自動運転業界向けマッピング製品を発表

NVIDIA(エヌビディア)は、2024年までに北米、ヨーロッパ、アジアの30万マイル以上の道路をカバーするグランドトゥルースマッピングを自律走行車業界に提供する新しいマッピングプラットフォームを立ち上げたと、創業者でCEOのJensen Huang(ジェン・スン・フアン)氏が米国時間3月22日の同社のGTCイベントで述べた。

「Drive Map(ドライブ・マップ)」と名づけられたこのプラットフォームは、高度な自律走行を可能にすることを目的としている。Drive Mapは、NVIDIAの既存顧客だけのものではなく、AV業界向けの同社の既存のソリューションを補強するものだ。

同イベントでは、さまざまなスマートドライビングや高度な運転支援機能を提供するために、Mercedes(メルセデス)、Volvo(ボルボ)、JiDu、そして3月22日の時点では、BYDとLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)によって使用されているNVIDIAのセンサーおよびコンピュート自動運転ツールキットであるDrive Hyperion(ドライブ・ハイペリオン)の次世代版を発表した

TuSimple(ツー・シンプル)、WeRide(ウィーライド)、Zoox(ズークス)、DeepRoute.aiなどのAV企業もHyperionの顧客である。

Drive Mapは、NVIDIAが2021年買収した高精細マッピングのスタートアップDeepMap(ディープマップ)の成果を表している。このツールは、DeepMapの正確な測量地図と、NVIDIAのHyperionアーキテクチャを使用するすべての車両からクラウドソースされた匿名の地図データを組み合わせることで、センチメートルレベルの精度を提供する。このマッピングツールはカメラ、ライダー、レーダーの3つのローカライゼーションレイヤーを備えており、自律走行に必要な冗長性を提供する。

NVIDIAの顧客から引き出されたすべてのデータは、車両の走行中に常にクラウドにアップロードされている。そして、仮想コラボレーションとリアルタイムの物理的に正確なシミュレーションのために構築されたNVIDIAのオープンプラットフォーム、Omniverseに集約されており、車両が適切な定位を達成できるように地図を更新するために使用される。この過程で、NVIDIAはより迅速にマッピングの範囲を拡張することができる。

さらに、Omniverseは詳細なマップを構築するために、自動コンテンツ生成ツールを使用し、それを自律走行車のエンド・ツー・エンド・シミュレーション・プラットフォームであるNVIDIA Drive Simで使用できる走行可能なシミュレーション環境に変換している。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Yuta Kaminishi)

MobileyeとZeekrが中国向けにレベル4の自律走行型EV製造を計画

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、中国の自動車ブランドZeekr(ジークロ)と提携し、消費者向けの完全電動自動運転車を開発する。この車両は2024年から中国で販売され、最終的には他の市場にも展開されると、特定の国や時期を明言することなく両社は米国時間1月4日に発表した。

MobileyeとZeekrはラスベガスで開催中のテック見本市「CES 2022」でこの発表を行った。Mobileyeはまた、Ford(フォード)およびVolkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)と、同社のマッピング技術を使用してそれぞれの先進運転支援システムをサポートする契約を締結したことも発表した。

計画中のZeekr自律走行車は、MobileyeのチップとZeekrの親会社であるGeely Holdings(浙江吉利控股集団)の電気自動車アーキテクチャを組み合わせ、ブレーキ、ステアリング、パワーの冗長化が図られている。同社は、その車両がどのようなものになるかは示していない(この記事で紹介しているメインの写真は、Mobileyeの技術を搭載した「Zeekr 001 EV」だ)。

今度の車両は、いわゆるレベル4、つまりL4の能力を持つことになる。この言葉は、特定の条件下で人間に代わって運転のあらゆる局面を処理できるようになることを意味する。これは、特定の道路や都心部、あるいは気象条件が理想的な場合にのみ、この技術が機能するということを意味するのかもしれない。

Mobileyeの技術には、同社のEyeQ5(第5世代)システムオンチップが6個搭載され、センサーからの受信データの処理に加え、同社ブランドの「ロード・エクスペリエンス・マップ」マッピング技術や責任感応型安全論(RSS)をベースとした運転ポリシーが組み込まれる予定だ。

Mobileyeはまた、中国での研究開発活動を拡大し、現地にデータセンターを開設し、従業員を増強する計画であることも発表した。

MobileyeとZeekrのニュースは、Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(ウェイモ)が、中国の自動車メーカーであるGeelyと提携して、全電気式の自動運転ライドヘイリングカーを製造すると発表してから1カ月もたたないうちに発表されたものだ。両社は、WaymoのAVシステムをGeelyのZeekr車両に統合し「今後数年のうちに」米国市場で使用する予定だと述べた。

高度運転支援システムをサポートするチップで知られるMobileyeも、数年前から自動運転車技術の開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックは、REMマッピングシステムおよびRSS運転ポリシーと組み合わされている。

MobileyeのREMマッピングシステムは、先進運転支援システム(ADAS)や自律走行システムをサポートするために使用できる高解像度マップを構築するために、システムオンチップを搭載した消費者やフリート車両を利用することでデータをクラウドソーシングしている。そのデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10キロビットを収集する圧縮されたテキストだ。このマッピング技術にクラウド経由でアクセスすることで、前方の走行可能な経路の最新情報をリアルタイムで提供する。

MobileyeはすでにBMW、Nissan(日産)、Volkswagenと契約を結び、ADASに使用される最新のチップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車に関しては、Mobileyeは商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集している。現在では、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルを超えている。同社は、このクラウドソーシングによる匿名化された情報をすべて利用して、精密で高精細な地図のデータベースを作成し「Mobileye Roadbook」というブランドを立ち上げた。

同社は現在、Volkswagen Group との関係を拡大し、収集した地図データを同社の運転支援システム「トラベルアシスト2.5」に適用している。この提携拡大もCESで発表された。

この契約により、Mobileye Roadbookは、VolkswagenのADASの機能拡張に利用されることになる。例えば、同社によると、利用可能な場合は、目に見える車線標識のない多くの地域で車線維持のアシスト機能が提供されることになるだろう。

両社は1月4日、Mobileye Roadbookで強化されたトラベルアシスト機能が、VolkswagenのMEBプラットフォームをベースにしたVolkswagen、Škoda(シュコダ)、Seat(セアト)の電気自動車モデルでまもなく利用できるようになると述べた。

Mobileyeはまた、Fordのハンズフリー先進運転支援システム「ブルークルーズ」の将来のバージョンにMobileyeのREMマッピング技術の使用を開始することも発表している。両社は、このマッピング技術がFordのADASシステムに統合される時期については共有していない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

自律型潜水機とクラウドベースのデータでBedrockは海底マッピングを近代化

再生可能エネルギーの推進により、多くのエネルギー会社の最重要課題となっている洋上風力発電。これを実現するには設置場所となる海底を詳細に調査する必要があるのだが、幸いなことにBedrock(ベッドロック)が自律型水中ロボットと最新のクラウドベースのデータサービスを用いてそのマッピングプロセスを21世紀にもたらそうとしている。

「大きな船に大きなソナー(音波探知機)を」という一般的なアプローチに代わり、より速くよりスマートで、よりモダンなサービスの提供を目指している同社。ウェブサイトをホストするためにサーバーを立ち上げるのと同じくらい簡単に、企業が超高精度の海底画像を得られるようにしたいと考えている。

BedrockのCTOであるCharlie Chiau(チャーリー・チャウ)氏と共同で同社を設立したCEOのAnthony DiMare(アンソニー・ディマーレ)氏は次のように話している。「当社はおそらく、海底データのための初のクラウドネイティブ・プラットフォームです。これはビッグデータの問題であり、そのソリューションをサポートするためのシステムをどのように設計できるかというのが鍵です。私たちは巨大な海洋事業のようなものではなく、最新のデータサービスとして考えています。海に浮かぶ巨大なインフラに縛られることもありません。ソナーを海中で移動させる方法から、エンジニアにデータを届ける方法まですべてを見直しました」。

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同社が顧客に提供する製品は、海底の高解像度マップだ。これは解析やホスティングをすべて代行してくれるウェブサービスのMosaic(モザイク)を介して提供される。「データ移行」というといまだに「ハードディスクの箱を発送する」ことを意味するこの業界にとって、これは大きな前進だ。

通常、これらのデータは船上で収集、処理、保存されていたとディマーレ氏は説明する。港湾検査から深海調査まですべてをこなすように設計されていたが、インターネット接続環境が整っているとは言えず、ローデータでは何の役にも立たない。他の巨大データと同様、データを可視化し文脈を整理する必要があるのだ。

画像クレジット:Bedrock

「これらのデータセットは、数十テラバイトという非常に大きなサイズです。一般的なクラウドシステムは、ソナーからの2万個のファイルを管理するのには適していません」とディマーレ氏は話す。

現在の市場では、成長中の風力発電市場に参加するため、深海よりも詳細な近海のデータに焦点が当てられている。そのため通常のインターネットインフラに近いところでデータが収集され、以前よりも簡単にクラウドでの処理や保存ができるようになった。需要が高まったちょうど良いタイミングで、より早くデータを処理して提供することができるようになったわけである。

過去数十年にわたって設置候補地を見つけるための海底調査が行われているが、これは単なる最初の一歩に過ぎないとディマーレ氏は話す。何年も前の地図を確認し、詳細な情報を追加するために地図作成を行い、その後、環境アセスメント、エンジニアリング、建設、定期検査のための許可申請を行う必要がある場合もある。これが自動化されたターンキープロセスによって、乗組員のいる船よりもさらに優れた結果をより少ない費用で実現できるのであれば、従来の方法に頼っていた顧客にとっては大きなメリットとなるだろう。また、業界が期待通りに成長し、米国のすべての海岸沿いの海底をより積極的に監視する必要が出てくれば、当然ながらBedrockにとってもメリットとなるわけだ。

画像クレジット:Bedrock

当然そのためにはデータを収集するための機体が必要である。「AUVは、データを取得するために開発された技術です」とディマーレ氏はいうが、もともとは「こういった技術を作りたかったわけではない」と話している。

「既製のシステムを使用することを想定した仕様を検討し始めていました」と同氏は振り返る。「しかし、とてつもなくスケーラブルで非常に効率的なシステムを構築し、1平方メートルあたりのコストを最大化しようとすると、特定の機能、特定のソナーや計算スタックなどが必要になってきます。これらをすべてリストアップし終わった頃には、すでに自分たちで設計した基本的なシステムができあがっていました。より速くより柔軟な運用が可能で、より良いデータ品質が得られ、より信頼性の高いものとなっています」。

船が必要ないというのも驚きである。バンのバックドアから出して、桟橋やビーチから打ち上げるだけである。

「最初から、ボートは使わないという制約を自分たちに課していました。それが私たちのアプローチを完全に変えました」とディマーレ氏は話している。

画像クレジット:Bedrock

AUVは小さな機体の中に多くのものを詰め込んでいる。センサーの搭載量は作業内容によって異なるが、この機体を特徴づけるものの1つに高周波ソナーがある。

ソナーの周波数は数百から数十万ヘルツと広範囲にわたる。残念ながらこの周波数帯の音を聞き分けることができる海洋生物は、騒音にさらされることになり、時には有害であったり、このエリアに近づくことができなくなったりすることがある。200kHz程度のソナーであれば生物にとっても安全だが、周波数が高ければ信号の減衰が早く、到達距離は50〜75メートル程度と限られてくる。

明らかに、海面に浮いている船では意味がない。深さ75メートル以上の場所の地図を作る必要があるわけだが、常に海底から50メートル以内にとどまる機体を作ることができれば、そのメリットは十分にある。BedrockのAUVはまさにそのために設計されているのである。

ソナーの周波数を上げることでより詳細な情報を得ることができるため、観測機器が描く画像は大きな波形で得られるものよりも優れたものになる。また、動物の周りで使用しても安全なので、野生動物保護局でのお役所仕事(とても重要なことだが、時間がかかってしょうがない)を省くことができる。より良く、より早く、より安く、より安全にという、これ以上にないピッチである。

米国時間8月19日はMosaicの公式発表日となっており、Bedrockはプロモーションのため50GBの無料ストレージを提供する。

世の中には、厳密には「パブリック」であっても、見つけるのも使うのも非常に困難なデータがたくさん存在する。20年前に行われた詳細な調査や、研究グループが調査したエリアの超詳細なスキャンデータなど、もしそれらが1カ所に集められていたらもっと便利になるだろうとディマーレ氏はいう。

「最終的には全海域を1年単位で調査できるようにしたいと考えています。やるべきことはたくさんあります」と同氏は語っている。

画像クレジット:Bedrock

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)