監視委員会、Metaにエチオピアでの暴力を広める役割を検証するよう求める

Facebookが自社の方針決定を見直すために設立したグループである監視委員会は、現地時間12月14日、紛争地エチオピアで起きた誤報の事例を取り上げ、紛争地域でヘイトスピーチや検証されていない情報が自由に広がることを許容することの危険性について警告を発した。

監視委員会は、エチオピア在住のFacebookユーザーがアムハラ語で投稿した、ラヤコボや同国アムハラ州の他の人口密集地での殺人、レイプ、略奪はティグライ人民解放戦線(TPLF)が行っており、ティグライ人の民間人がそれを助けていると主張した記事を検証した。

「このユーザーは、情報源がこれまでの無名の報告書や現場の人々であると主張しているが、その主張を裏付ける状況証拠すら提供していない」と、監視委員会はその評価の中で書いている。

「この投稿に見られるような、ある民族が集団残虐行為に加担していると主張する噂は危険であり、差し迫った暴力のリスクを著しく高めるものです」。

この投稿は当初、Facebookの自動コンテンツ修正ツールによって検出され、プラットフォームのアムハラ語コンテンツ審査チームがヘイトスピーチに対するプラットフォームの規則に違反していると判断し、削除された。この件は監視委員会にエスカレーションされた後、Facebookは自らの決定を覆し、コンテンツを復活させた。

監視委員会は、ヘイトスピーチに関する規則ではなく、暴力と扇動に関するFacebookの規則に違反するとして、投稿を復活させるというFacebookの決定を覆した。その決定の中で、エチオピアのような暴力に満ちた地域で検証不可能な噂が広まることは「ミャンマーで起こったような重大な残虐行為につながる 」と懸念を表明している。

同月には、米国のロヒンギャ難民のグループが、Facebookの参入がロヒンギャ民族の大量虐殺の「重要な変曲点」として機能したとして、Metaを相手に1500億ドル(約17兆円)の集団訴訟を起こしている。ミャンマーでは民族暴力を煽る誤った情報がFacebook上で広く拡散し、しばしば軍関係者によって蒔かれ、同国の少数イスラム教徒を標的とし、排除しようとする民族暴力がエスカレートしたと広く信じられている。

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏は、ミャンマーやエチオピアといった国々でアルゴリズムによって増幅された民族暴力と、それに適切に対処しなかったMetaの失敗を、このプラットフォームの最大の危険性の1つとして挙げている。「ミャンマーで見たこと、そして今エチオピアで見ていることは、とても恐ろしい物語の序章に過ぎず、誰もその結末を読みたくありません」と、ホーゲン氏は10月に議会で述べていた。

監視委員会はまた、エチオピアの民族暴力のリスクを悪化させるFacebookとInstagramの役割について、独立した人権評価をするよう命じ、同国の言語でのコンテンツをどの程度抑制できるかを評価するようMetaに指示した。

2021年11月、Metaは、誤報やヘイトスピーチに対するルールの一部の適用範囲を拡大したことを強調し、同国に対して行った同社の安全対策を擁護した。同社はまた、過去2年間に同国での行使能力を改善させ、現在では最も一般的な4言語であるアムハラ語、オロモ語、ソマリ語、ティグリニャ語のコンテンツを審査する能力を備えていると述べている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米国が対ミャンマー貿易協定を停止、同国でのインターネットアクセスも不透明に

ミャンマー国軍が同国の大統領と事実上の指導者Aung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏率いる政権を転覆させるクーデターを起こしてから2カ月、ミャンマー国軍の攻撃に反対する抗議者少なくとも200人が殺された事態を受け、米政府はミャンマーとの貿易協定を停止した。

声明の中で、米通商代表部の代表Katherine Tai(キャサリン・タイ)氏は、貿易停止は「すぐに発効し」「民主的に選ばれた政府が復帰するまで」続くと述べた。

「米国は、ビルマの経済成長と改革の基礎だった民主的に選ばれた政府を取り戻そうとしているビルマの人々を支援します」とタイ氏は述べた。「米国はビルマの治安部隊の市民に対する残忍な暴力を強く非難します。平和的な抗議者、学生、労働者、労働運動の指導者、医師、子どもの殺害は国際社会の良心に衝撃を与えました。こうした行動は国の民主主義への移行、ビルマの人々が平和で豊かな未来を成し遂げるための取り組みに対する直接的な攻撃です」と声明にはある。

ミャンマー(ビルマとしても知られる)と米国は、スー・チー氏の党が選挙で圧倒的勝利を収め、米国が経済制裁が緩めたのちの2013年に貿易を開始した

貿易停止は独裁軍事政権をターゲットとしているが、米クラウド・インターネット企業が米政府の命令と争っているなかで、ミャンマー中の何百万人というインターネットユーザーを不確実な状態に陥れている。抗議者たちは軍事政権が国中のインターネットを遮断したことを受けてネット接続を確保するのに苦労している。

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ミャンマーはすでにFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)を「次に通知するまで」閉鎖する措置を取った。

制裁は他国への商品、金、特定のサービスの提供を防ぐためのものだ。米国で事業を展開している企業は米国の制裁に従うか、厳しい罰金に直面する。ZTEは2017年に、故意にプロダクトをイランに出荷して米国の対イラン制裁に違反したことを認め、10億ドル(約1098億円)近くの罰金を払うことに同意した。

しかしクラウド企業はグレーゾーンで、異なるルール解釈がある。Quartzは2016年、IBMが米国の制裁対象国シリア、キューバ、イランからのビジターは自社のサービスにアクセスできないようにしたため、そうした国のインターネットユーザーはIBMがホストするサイトにアクセスできなかった、とレポートした

他の大手クラウドプロバイダーRackspace(ラックスペース)とLinode(リノード)は制裁対象国のユーザーへのインターネットトラフィックをブロックはしていないが、その代わり制裁対象国のユーザーが自社サービスにサインアップできないようにした。

ミャンマーのインターネットユーザーは同国の人口の30%ほどの約1700万人だ。

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画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ミャンマーの新軍事政権がFacebookに続きTwitterの遮断も命令

ミャンマーの新軍事政権は国内の通信会社、インターネットゲートウェイ、他のインターネットサービスプロバイダー(ISP)にTwitter(ツイッター)とInstagram(インスタグラム)を遮断するよう命じた。この数日前には、国の「安定」を確保するために同様の措置をFacebook(フェイスブック)にも取っていた

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ミャンマーで事業を展開する最大の通信会社の1社であるノルウェーの通信大手Telenor(テレノール)は、政府がISPに「追って通知するまで」TwitterとInstagramを遮断するよう命じたと述べている。

ミャンマーの一部のユーザーは、Twitterにアクセスできないことを確認した。世界のインターネット使用状況を追跡しているNetBlocksは、ミャンマーの複数のネットワークが米国のソーシャルネットワークを遮断し始めていると明らかにした。

ミャンマーの運輸・通信省は現地時間2月5日、TwitterとFacebook所有のInstagramは公衆へのプロパガンダと誤情報の流布で悪用されており、これは国の安定にとって脅威だと主張した。同省は今週初め、2月7日深夜までのFacebookの一時的禁止を命令したときも同様の説明を行った(NetBlocksによると、ミャンマー最大の通信事業者である国営のMPTは、すでにInstagramとWhatsAppのネットワークを遮断しているという)。

2月5日の命令は、民間人指導者Aung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏や先の選挙で大勝した国民民主連盟の民主的に選出されたリーダーたちを拘束することで権力を掌握した新軍事政権に抗議するために、何千人というミャンマー人がTwitterの利用を2021年2月第1週に始めたことを受けてのものだ。

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タグ:ミャンマーSNSTwitter

画像クレジット:Aung Kyaw Htet / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ミャンマー軍事政権が通信事業者にフェイスブックの一時的ブロックを命令

ミャンマーの新たな軍事政権は、現地通信事業者に対しFacebook(フェイスブック)を現地時間2月7日深夜まで一時的にブロックするよう命じた。軍がこの東南アジア国家を軍事クーデターで掌握した後の数日間だ。

Myanmar subredditの一部ユーザーは、Facebookが少し前から自分たちの携帯電話からアクセス不能になっていると報告し、サービスプロバイダーがすでに命令に従い始めていることを示唆した。命令は2月3日深夜までに従うことが要求されていた(本校執筆時点のミャンマー時間は4日午前4時30分頃)。

ミャンマー新政府は、Facebookが国の不安定さに寄与していると主張し、大衆と国の利益を守るための数多くの行為を正当化する現地通信法を停止命令で引用した。

世界のインターネット利用を追跡しているNetBlocksは、ミャンマーで市場を支配している国営通信事業者であるMPTが、FacebookのほかMessenger(メッセンジャー)、Instagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)を同ネットワーク上でブロックしたことを報じた。国内通信事業4社の1つであるTelenorは、「人権侵害に関わる深刻な懸念」を表明しながらもミャンマー軍事政権に従ったと語った。

Facebook広報担当者は、「一部の人たちのFacebookへのアクセスが妨げられていることを承知しています」と語った。広報担当者はさらに、「当社は当局に対し、ネットワークを再開してミャンマーの人々が家族や友達と連絡を取り重要な情報をアクセスできるようにするよう強く要請します」と付け加えた。

事態はミャンマーの数日続いた混乱の後に起きた。今週、軍部は国を制圧し文民指導者のAung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏と同氏の与党国民民主連盟の民主的に選ばれた幹部らを拘束した後、1年間の非常事態宣言を発出した。クーデター後、ミャンマーのさまざまな地域の市民から、インターネットや携帯通信が数時間停止したという報告があった。

ミャンマー国民にとってインターネットと同義語となっているFacebookは、国内の現実世界の暴力を誘発する誤情報の拡散防止に十分な対策をとっていないことを長年指摘されてきた。

2018年の人権報告書は、Facebookは5400万人以上が住むミャンマーで「オフライン暴力を助長と誘発に利用されている」と書いている。同年、Facebook幹部らは対策が十分でなかったことを認めた。

BuzzFeed Newsは今週、複数のFacebook幹部がミャンマーで予防的コンテンツ管理を実施することを約束し、同社が当地を「一時的ハイリスク地域」と称したことを報じている

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タグ:ミャンマーFacebook

画像クレジット:Shwe Paw Mya Tin/NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ミャンマーでインターネット接続が急速に低下、国軍がスー・チー氏ら与党幹部を拘束

ミャンマー国内のインターネットへのアクセスは、ミャンマー国軍がAung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏を含む与党、国民民主連盟(NLD)の幹部らを拘束し、非常事態宣言を出した後、急激に低下した。NLDは2020年11月の総選挙で単独過半数の議席を獲得し圧勝したが、国軍は不正行為の結果であると主張している。国軍所有テレビでの声明で、軍はミャンマーで1年間の非常事態を宣言するとともに、全権をMin Aung Hlaing(ミン・アウン・フライン)国軍総司令官が掌握すると述べた。

世界中のデジタル権利、サイバーセキュリティ、インターネットガバナンスを監視する非政府組織であるNetBlocksによると、インターネットの混乱は、現地時間2月1日月曜日の朝3時頃から始まり、全国的な接続性は通常のレベルの75%に低下し、午前8時頃には約50%に達したという。データによると、遮断は国有のミャンマー郵政通信(Myanma Posts and Telecommunications、MPT)やTelenorを含む複数のネットワークオペレーターに影響を与えたという。NetBlocks は「暫定的な調査結果は、携帯電話と一部の固定回線サービスを対象とした中央からの命令による混乱のメカニズムを示しており、オペレーターが準拠するにつれて、時間の経過とともに進行している」と述べている。

米国大使館の米国市民サービスはTwitterで、旧首都ヤンゴンと首都ネピドー全域でインターネットと電話の接続性がともに制限されていると述べた。

ロイター通信の元特派員で、現在はヤンゴンを拠点とするテックアクセラレーター、PhandeeyarのTech for Peaceプログラムマネージャーを務めるAye Min Thant(アイ・ミン・タント)氏は、一晩中SignalとTelegramからログアウトされ、携帯電話のサービスが停止しているため、認証コードを取得できず、再度ログインできないとツイートした

ミャンマー国軍は、主張していた11月の選挙での不正投票疑惑にもかかわらず、国の現行憲法を擁護し順守するとの声明を発表し、クーデターへの懸念を一蹴していた。スー・チー氏と他のNLD幹部らの拘束は、そのたった数日後に起こった。

ミャンマーは、1962年の軍事クーデターの後、文民政府にとって代わった軍事政権下に置かれた。1990年には自由選挙が行われ、NLDが勝利したが、国軍は権力の放棄を拒否し、スー・チー氏は自宅に軟禁された。2011年以降、徐々に民主的な統治への移行が始まったが、依然として軍が政府の大部分を支配していた。

その一方でNLDも、イスラム教徒少数民族のロヒンギャに対する国軍の民族浄化運動に加担し、反対派の人々の権利を奪ったとして非難されてきた

ミャンマー政府はインターネットコンテンツの直接検閲を実践していないが、自由と民主主義を監視する国際NGO団体であるFreedom House(フリーダム・ハウス)は、国軍とNLDの両方によるオンラインコンテンツの操作や、個人に自己検閲を強要する検察当局を挙げ、2019年には100点満点中36点しか与えなかった。2019年6月、政府はミャンマー軍とアラカン軍の間で継続的な戦闘が行われている紛争地域であるラカイン州とチン州の一部でインターネット接続を遮断した。Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)をはじめとする人権状況をモニターする団体は、インターネットの停止によって、これらの地域の人々が家族とのコミュニケーションや新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報を得たり、援助にアクセスすることができなくなっていると述べている。

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タグ:ミャンマー

画像クレジット:AFP/SAI AUNG MAIN / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)