健康指向で食事の計画と食材確保を代行するKitchenfulがドイツでテストマーケティングを開始

Kitchenfulにようこそ。Y Combinatorで育ったこのドイツのスタートアップは、メニューのアイデアと食材の買い物を担当して、家での料理を楽にしてくれる。このサービスは現在まだアーリーアクセスで、ドイツのベルリンとミュンヘン地区で営業している。

Kitchenfulにユーザー登録するときは、好みや目標を申告する。ヴィーガンやベジタリアン、牛乳乳製品不使用、グルテンフリーなど健康条件が絡む明確な指定のほかに、糖質が少ないとか、健康に良い脂質など、ダイエット的な指定もできる。

すると、一週間分の食事企画書がやってくる。それらを検討して、個々の食事をカスタマイズできる。たとえば来客の予定があるなら、その日の夕食の人数を増やせる。野菜は、農家直販を買っているならオーダーから外せる。

そうやってオーダーが決まると、バーチャルショッピングカートではなくバーチャル買い物かごがユーザーに提供される。その中身を見て、要らないものや足りないものを加減する。日用品なども指定できる。最後に、確認をする。

Kitchenfulは、品物のリストをユーザーの近くのスーパーマーケットに転送する。同社自身は、ユーザーからのオーダーのフルフィルメントをやらない。その部分は、パートナーにやってもらう。そこでKitchenfulは自分のことを、食品コンシエルジュサービスと呼んでいる。

Kitchenfulの共同創業者でCEOのChristian Schiller氏は、こう語っている: 「うちの主な収益源はユーザーが各週の個人化されたメニューと、買い物かごの処理と、個人化された調理方法とやレシピー、残り物対策などに対して払う会費だ。また食材の買い物に関しては、パートナーのスーパーマーケットからの歩合がある」。

Schiller氏は、前にもフードデリバリーをトライしたことがある。彼は、人気の高いミールキットサービスHelloFreshで、4年間副社長だった。

Kitchenfulはまだ、スタートしたばかりだ。同社は、Y Combinatorと、モバイルのチャレンジャーバンクN26の共同創業者でCEOのValentin Stalf氏、中東のeコマースSouqの共同創業者Samih Toukan氏、スニーカーの専門サイトHighsnobietyのDavid Fischer氏、デリバリーのDurstExpressのマネージングディレクターMaik Ludewig氏、そして文献管理Mendeleyの共同創業者Victor Henning氏らから100万ドルを調達している。

KitchenfulはドイツではREWE、米国ではウォルマートとクローガーとパートナーしている。スーパーマーケットとパートナーすることによって、多様な品物をスーパーマーケットの価格で顧客に提供できる。

同社は、ミールキットというビジネスの新しいやり方であり、ロジスティクスの方式も従来とは違う。だから今後Kitchenfulが食料品のデリバリーとミールキットサービスの両方で、消費者にとって魅力的な新しい形になれるか、注目に値する。

関連記事: Startups have never had it so good(未訳、有料記事)

(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Leonie Wise/Unsplash

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料理を学びたい人向けミールキット宅配「シェフレピ」がレシピと動画のみ版「#シェフレピアーカイブ」を期間限定で提供

料理を学びたい人向けミールキット宅配「シェフレピ」がレシピと動画のみ版「#シェフレピアーカイブ」を期間限定で提供

本格的な料理を学びたい人向けのミールキット宅配サービス「シェフレピ」を展開するefoo(イフー)は7月12日、レシピと動画のみを販売するサービス「#シェフレピアーカイブ(β版)」を期間限定で開始すると発表した。購入できるのは「シェフレピ」で過去に発表した全10品と、正式公開前の9月に発売されたレシピ10品の計20品。

シェフレピは、家事労働の軽減やメニューの質の向上を目的とした「家事改善型」とは異なり、「シェフのテクニックや食材の知識といった知的財産」の習得に特化した「スタディ型」のミールキット・サービス。2021年4月からサービスを開始したが、5月は売上げ前月比1.35倍(販売初日から20日間の売り上げで算出)、6月は前月比1.93倍(月初から月末の売り上げで算出)と大きく成長しているという。しかし、相次ぐ緊急事態制限で内食需要が高まり、またミールキットの配達区域外の人から、レシピと動画だけでも販売してほしいとの要望を受け、食材のつかない「#シェフレピアーカイブ(β版)」をスタートさせた。

販売期間は7月12日12時から8月22日23時59分まで。購買者には、レシピのPDFデータと調理動画のURLを記載したメールが送られてくる。販売レシピは次のとおり。価格はそれぞれ1500円(税込)。

煮込み特集

  • 米沢豚のトムセップ風|h.b.(フリーランス料理人)
  • 牛ホホ肉の赤ワイン煮込み|大森雄哉(TOYO Tokyo)
  • ウサギ肉のバスク風シードル煮込み|清水和博(エチョラ)
  • ブランケット・ド・ヴォー(仔牛肉のクリーム煮込み)|白竹俊貴(ペルティカ)

ラム肉特集

  • 水煮羊肉片(スイジュウユイロウピェン)|東浩司(AUBE)
  • ラム肩ロースのラグーと手打ちカバテッリ パスクア(復活祭)風 グリーンピースと木の芽添え|田淵拓(サッカパウ)
  • ごまとクミンで香りを付けたラムチョップのロースト ひよこ豆のピュレ添え|福田浩二(プルマン東京)
  • 仔羊背肉のローストと骨つきバラ肉のブレゼ|宮島由香里(フランス料理人)

スパイス×肉特集

  • スパイスをまぶした鴨ムネ肉のエギュイエット 焼きリンゴとゴボウのチップス|h.b.(フリー料理人)
  • 石黒農場ホロホロ鳥のバロティーヌ馬告とスモークパプリカ|小泉敦子(フランス料理人)

また同時に、正式リリース前の9月に販売していた、以下の「幻」のβ版レシピも販売。価格はそれぞれ1400円(税込)。

「幻」のβ版レシピ

  • 海水のフィロ|竹矢匠吾(フリー料理人)
  • 季節の果物とオレンジのグラニテ|竹矢匠吾(フリー料理人)
  • 蟹のグラタン~バスク風~|清水和博(エチョラ)
  • 鶏肉のバスク風煮込み|清水和博(エチョラ)
  • 豚肩ロースとムール貝のフヌイユ風味|h.b.(フリーランス料理人)
  • 羊肉のクスクス|h.b.(フリーランス料理人)
  • 麻婆豆腐|yuccho(フリーランス料理人)
  • 四川風ごまだれ雲呑(ワンタン)|yuccho(フリーランス料理人)
  • ラザニア|表原平(ペルトナーレ)
  • ネチっと食感のパンナコッタ~季節の果物のソース~|表原平(ペルトナーレ)

今回の取り組みは、緊急事態宣言で苦しむ料理人たちを応援する目的もあり、レシピが1つ売れるごとに、それを考案したシェフに1000円が還元される仕組みになっている。以前にミールキットを購入した人が、シェフを応援する目的で再度購入する場合は500引き(β版は400円引き)クーポンが発行される。この場合も、考案シェフには1000円が還元される。

「お力をお借りしているシェフのみなさんに『いつか』お返しをしなければ」と思い続けてきた共同創設者・代表取締役の山本篤氏は、今こそ応援すべきときだと、まだ準備が不十分ながらβ版として「#シェフレピアーカイブ」の販売に踏み切ったという。シェフレピには、本格的な料理を指導するという目的以外に、「シェフのレシピで料理をする」文化を創出してシェフの存在感を高め、「シェフの知的財産」に価値が付けられるような未来を創造することも掲げていると、山本氏は話している。

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日本人起業家がラーメンECで米国市場に挑む、「Ramen Hero」の挑戦

RamenHero創業者でCEOの長谷川浩之氏

近年日本でもスタートアップの支援を行う“アクセラレーター”プログラムが複数立ち上がり、業界を盛り上げるのに一役買っている。それでは「世界的に有名なアクセラレーターと言えば?」と聞かれて何を思い浮かべるだろうか。

日本人だと「Y Combinator」をイメージする人が多いかもしれない。TechCruchでもしばしばこの名前は登場するし、2013年には書籍にもなった。ただ、日本国内での地名度はそこまで高くないかもしれないけれど、米国にはこのY Combinatorに匹敵するほど著名なアクセラレーターがある。

それが先日“全米一と評価されるアクセラレーター”として紹介した「AngelPad」だ。

これまでPostmatesやMopubを始めとする有力スタートアップを輩出してきたこのアクセラレータープログラムは、Seed Accelerator Rankings Projectにおいても常にトップクラスの評価を受けてきた。

先日の記事は、まさにこのプログラムに直近で参加(卒業)したスタートアップ19社を取り上げたものだったのだけれど、実はその中に1社だけ日本人が起業したスタートアップが含まれている。

RamenHero」という社名からも想像がつくように、ラーメンに特化したEC事業を米国で展開しているチームで、創業者兼CEOの長谷川浩之氏によると日本人起業家としてAngelPadを卒業するのは彼らが初めてとのことだ。

今回TechCrunch Japanでは長谷川氏に話を聞くことができたので、彼が米国で起業しラーメン×ITで勝負を挑むことになった背景や、具体的なプロダクトの中身について紹介していきたい。

ラーメン特化のミールキットを米国で展開

そもそもRamenHeroとはどんなプロダクトなのか。簡単に言えばラーメンに特化したミールキットだ。

「Blue Apron」を知っている人であれば、そのラーメン版をイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれない。自宅に冷凍の本格的なラーメンキット(麺やスープ、具が同梱)を配達してくれるサービスで、ユーザーは味噌や醤油、豚骨など約10種類のメニューから好きなものを注文できる。

単価は1杯あたり15〜17ドルほど。現地のインスタントラーメンなどに比べると高く、店舗のラーメンとだいたい同じくらいの料金なのだそう。2018年より本格的にサービスをスタートして、同年の合計売上高は約10万ドル、注文数は1900件を突破。直近ではサブスクリプション型のプランも始めた。

日本と米国におけるラーメン事情の違いにチャンス

正直日本でずっと暮らしていると、このサービスがどこまで重要があるのかわからないという人がいても不思議ではない。日本国内ならば、ある程度の規模の町には複数のラーメン屋があって、1000円前後で十分に美味しいラーメンが食べられる。

最近ではカップ麺や冷凍ラーメンのクオリティも上がり、僕がよく購入している某コンビニチェーンの冷凍ラーメンは200〜300円とは思えない味だ(もちろん人それぞれ評価は異なるだろうけれど)。

ただ長谷川氏によると、米国の状況は日本とかなり違うらしい。そもそも米国でラーメンを食べようと思うと、店舗に行くかインスタントの乾麺を買うかの2択が主流。乾麺は安さがウリで大学生が箱買いするようなもののため、基本的にちゃんとしたラーメンを食べようと思うと飲食店に行くことになる。

現在全米ではだいたい2.6万店舗の飲食店がラーメンを提供しているそうで、そのうち専門店は全体の5%ほど。その専門店ですら「正直美味しくないお店が多い」(長谷川氏)状況だ。一部では本格的なラーメンを食べられるお店もあるが、人気店は1〜2時間並ぶのが普通でそこに課題とチャンスがあるという。

「本格的なラーメンをもっと気軽に食べたいというニーズがあることは、去年1年間サービスを運営する中で確信をもった。加えて、現在米国のラーメン市場はちょうどトレンドの変わり目。ニューヨークを中心に本格的なラーメン店が少しずつ増える中で、今まで身近にあったラーメンとは全然クオリティが違うという認識が広がり始めている」(長谷川氏)

RamenHeroではいわゆるD2Cのモデルを採用し、麺は専門の業者、スープとトッピングは自社で製造。今は東京の名店で修行したメンバーがチームに加わりメニューの監修をしているという。

そのようにして出来上がった製品を自社サイトで販売。オンラインのサーベイや販売データを基に“データドリブン”でメニューを調整できるのも、ECならではの特徴だ。

先輩起業家から言われた一言が米国で創業するきっかけに

もともと長谷川氏は東京大学在学中に仲間と共同でスタートアップを創業。ところが卒業のタイミングでクローズすることが決まり、挫折を経験した。

「以前からゆくゆくはアメリカで挑戦したいという気持ちはあったので、一旦ゼロになったこともありアメリカに行ってみようと渡米を決めた。当初は長期滞在するなんて全く考えてなくて、東京で3年ほど修業した後でエンジニアとして戻って来れたらいいなと思っていた」(長谷川氏)

そんな長谷川氏の転機となったのが、米国滞在中に以前TechCrunchでも取り上げたAnyplaceの内藤聡氏の紹介で小林清剛氏(ノボット創業者)に出会ったこと。当時小林氏から言われた言葉に大きな影響を受けたそうだ。

「『従業員と起業家では使う筋肉が全く違うし、起業するにしても日本と米国ではやはり使う筋肉が違う。もし本当に米国で起業家として挑戦したいなら、すぐにでもその筋肉を鍛えた方がいいよ』と言われて。最初は驚いたし、覚悟も決まっておらず迷いもあった。それでも小林さんは日本でエグジットを経験し、米国市場の理解もある起業家。その考え方には納得できたので、覚悟を決めた」(長谷川氏)

こうして長谷川氏は米国に留まることになった。当時の様子は彼のブログに詳しく書かれているので詳細はそちらに譲るが、その後は内藤氏らと日本人×スタートアップをコンセプトにしたシェアハウスなどを運営。並行して自身でも会社を立ち上げ、試行錯誤を続けることになる。

「ラーメン好きの自分が、米国ではほとんど食べていない」

いくつものアイデアを試しては壊す。起業後しばらくはそんな日々を繰り返したという長谷川氏。その過程で生まれた「海外旅行者向けのチャットコンシェルジュアプリ」ではIncubate Campに参加し、出資をしてくれるという投資家にも出会った。

しかしながら、そのアイデアもシビアに見ればGoogleやFacebookなどデータを握るプレイヤーの方が上手くやれる余地が大きく「この領域で本気で一番を目指すのは難しい。自分でやる意義もないのではないか」という結論に至り、最終的には方向転換を決める。

「その経験を通じて学んだのが、自分が欲しいものであることに加えて、『なぜ自分がやるのか』という問いに対して明確に答えられる事業をやるべきだということ。他の企業と戦うことになっても勝てる確信が持てる領域じゃないと、長く続けられないのではないかと考えた」(長谷川)

そんな考えのもと、ゼロベースで次の事業アイデアを探していた時に行き着いたのが、子供の頃から大好きな「ラーメン」だったという。

「子供の時から家族で外食する際は毎週のようにラーメンを希望し、学生時代には毎日のようにラーメンを食べ歩いていた。そんな自分が、米国に行ってからはラーメンを食べる機会がほとんどなくなっていることに気づいて。結局のところ、行きたいと思えるような美味しいお店が少なく、あったとしてもたくさんの人が並んでいるのが原因。もっと気軽に食べれるようにできないかと思ったのがきっかけだった」(長谷川氏)

ラーメンの事業を本気でやるなら、そもそも自分がラーメンを作れないことには始まらない。長谷川氏は香川県のラーメン専門学校に通い、ラーメンに関する基礎スキルを磨くことに時間を注いだ。自分で作れるようになってからは米国に戻り、少しずつ検証を始めたという。

最初は知人のホームパーティなどで振る舞うところからスタート。思っていた以上に反響がよく、この体験をなるべく多くの人に届ける方法を考え、ECで展開することを決めた。

試験的に立ち上げた「Kickstarter」のプロジェクトは、小規模ではあるもののすぐに支援が集まり成功。本格的に事業化して以降の実績については、上述した通りだ。

AngelPadを卒業、今後はB2Bの展開も視野

長谷川氏も参加した、第12回目となるAngelPadのスタートアップアクセラレーラーコース

ラーメン版ミールキットのポテンシャルは、今回参加していたAngelPadからも評価された。

「印象的だったのは、最初の面談でラーメン市場の伸びや事業の特徴を必死で伝えようとした際に『いずれラーメンが、次の寿司やピザのような存在になることはわかっているから心配するな』と言われたこと。ニューヨークにもほんの数年前には全然ラーメン屋がなかったのに、ここ5年ほどで一気に増えた。彼らはその変化を体験していたので、市場や事業の可能性をわかってくれていた」(長谷川氏)

今後もプロダクトを改良しつつ多くの顧客にキットを届けることを目指しながらも、次の展望としてBtoBビジネスの展開も見据えている。

「全米でラーメンを提供している店舗に対して自分たちの商品を販売する。多くの店舗ではノウハウがないので業務用のタレを買ってお湯で薄めて作ったりしているが、流通している商品自体が限られているので味が似通ってしまう。専門店だけでなく、中華料理店などにも広げるチャンスがある」(長谷川氏)

C向けのラーメンキットとB向けの製品展開の両輪で熱狂的なファンを作ることができれば、このモデルを米国以外の国にも拡大していく計画。「ゆくゆくは『好きなラーメンのブランドは?』と尋ねられた時に、多くの人が思い浮かべるようなブランドを作り上げたい」という長谷川氏たちの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

食材宅配のBlue Apron、ウォルマート傘下のJet.comとの提携で株価アップ

敵の敵は味方。今日(米国時間10/29よJet.com が発表した両スタートアップの提携はそれで説明がつく。同社は窮地に立つBlue Apronに手を差し伸べ、ニューヨークの同社顧客に食材セットを販売する

この提携により、Blue Apronの食材キット4種類がJet.comの「City Grocery」サービスの一部として利用可能になる。キットは6週間毎に循環し、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、ジャージーシティー、およびホーボーケンで当日あるいは翌日配達される。

Blue Apronにとって初めてのEコマースパートナーとなるJetは、このキットは同社顧客が何を食べたいか、どう作りたいかという「大規模なフィードバック」に基づいて作られたと言った。その狙いの一環として、キットはすべて30分以内で調理できる。

初回のメニューセレクションは以下の通り:

  • 牛肉のたたきステーキ、フレゴラサルタパスタのペパロナータ、グラナパダノチーズ(2人前、28 oz/794 g)——22.99ドル
  • デュカスパイスビーフ、タヒにドレッシングかけクスコ(2人前、41 oz/1162 g)——20.99ドル
  • トウガラシポップコーンチキン・スイートチリスロー添え、ジャスミンライス(2人前、32 oz/907 g)——18.99ドル
  • イタリアンファロサラダ・焼き野菜添え、モッツァレラ(2人前、32 oz/907g)——16.99ドル

「Blue Apronのオンデマンド料理キットを取り扱う最初のEコマース店舗としてニューヨークでスタートできることを大変喜んでいる」とJetのSimon Belsham社長が声明で述べた。「当社が最近開始したCity Grocery体験にこのオンデマンド商品が加わることで、人々の生活を便利にするわれわれのサービスや製品に新たなレイヤーを提供できる。これはJetが差別化を続けていくやり方を示す好例だ」

昨年遅くにBlue ApronのCEOになったBrad Dickersonも同調した。Dickersonは同社が「チャンネル拡大戦略」に力を入れていることを示唆した。

2017年は上場を果たしたにも関わらずBlue Apronにとって苦難の年だった。

当初15~17ドルと期待していた株価は10ドルで公示された。しかしもっと大きかったのは、AmzaonがBlue Apronの株式公開直前にWhole Foodsを買収したことだ。投資家はこの買収がBlue Apronに悪影響を与えることを懸念し、同社の顧客維持戦略の実効性に対してさらに疑問が募った。

それ以来Blue Apronの状況は悪化するばかりで、金曜日(米国時間10/26)の終値はわずか1.14ドルだった。しかしJetとの取引を巡ってプラスの要因が働いたのか、株価は時間外取引で22%近く上がったことをYahoo Financeが示している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ヴィーガン・ミールキットのPurple Carrotに大手食品系Fresh Del Monteが$4Mを投資

Purple Carrotが今朝(米国時間5/7)、Fresh Del Monte Produceからの戦略的投資で400万ドルを調達したことを発表した。

2014年に創業された同社は、完全に植物性の(ヴィーガン(vegan)の)ミールキットを会員に届ける。同社は最初、フードライターのMark Bittmanをチーフ・イノベーション・オフィサー(chief innovation officer)として迎え(その後Bittmanは2016年に去る)、またフットボールのスター選手でいちご嫌いで悪名高いTom BradyとパートナーしてTB12ミールキットを立ち上げるなど、セレブを起用するマーケティングを展開した。

Crunchbaseによると、Purple Carrotはこれまでに600万ドルを調達している。同社によると今回の新たな資金はサプライチェーンの改良と小売チャネルの拡大、そして製品種別の多様化に充てたい、としている。

Purple CarrotのファウンダーでCEOのAndy Levittは、資金調達の発表声明の中でこう述べている: “Fresh Del Monteから戦略的投資を得たことは弊社のビジネスモデルのしっかりとした正当性を表している。菜食の普及努力は、この惑星とその上に住む人間をどちらもより健康にしていくための、弊社独自の目的指向の活動努力だ”。

Fresh Del Monteはパイナップルなどで有名なDel Monteの子会社だが、既存の食品企業がミールデリバリのスタートアップに投資する例は、これまでにもいくつかある。たとえば昨年は、Unilever(ユニリバー)がSun Basketを支援し、NestléはFreshlyの7700万ドルのラウンドをリードした。

画像クレジット: Purple Carrot

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

人気シェフ監修のミールキット「Chefy」提供元が数千万円規模の資金調達

料理に必要な素材や調味料とレシピが一体になったミールキット。近年このミールキットを自宅にデリバリーするサービスが注目を集めている。6月末に上場したBlue Apronを筆頭に、関連するサービスも多い。直近ではベルリンに拠点を置くHelloFreshが上場間近と話題だ。

日本でも情報番組でミールキットの特集が組まれたり、新規でサービスをリリースする企業もでてきたりと少しずつ盛り上がり始めている。

人気シェフが手がけるミールキットを宅配する「Chefy(シェフィ)」を提供するシェフィも、この市場でサービスを展開する1社。同社は10月16日にKLab Ventures Partnersとエウレカ共同創業者の赤坂優氏から資金調達を行ったことを明かした。金額は数千万円規模だという。調達した資金をもとに人材の拡大を進める。

Chefyは2017年6月にリリースされたミールキットサービスで、全てのレシピを都内有名店のシェ
フが考案していることが特徴。素材や調味料など厳選された食材をレシピ通りに調理すれば、自宅でもレストランのようなメニューが楽しめる。「楽しく作って美味しく食べる」がChefyのコンセプトであるため、カット野菜は不使用。珍しい部位の肉など普段扱う機会が少ない食材も提供している。

料金プランは1回あたり1メニュー×2人前で3500円のプランと、2メニュー×2人前で6000円(いずれも税別)のプランの2種類。頻度は毎週、隔週、月1回の定期宅配がベースとなるが、定期宅配はキャンセル可能で特定のメニューのみ宅配することもできる。現在の配送エリアは北海道、四国、九州、沖縄を除く各都道府県で離島は対象外となる。

冒頭でも紹介した通り、国内でも少しずつミールキットサービスを手がける企業の数が増えてきた。食品ECの大手ではオイシックスドット大地が「Kit Oisix」を、らでぃっしゅぼーやが「私が仕上げる10分キット」を提供。スタートアップでは5月に7000万円を調達したブレンドの「TastyTable」がある。

加えて直近でも「ごちクル」運営のスターフェスティバルから「ごちレピ」、紀ノ国屋から「グルマンセット with KINOKUNIYA」、シャープから「ヘルシオデリ」が公開。セブン&アイとアスクルが11月28日からスタートする生鮮EC「IYフレッシュ」でもミールキットを扱う予定だ。

ただしシェフィ代表取締役の川野秀哉氏によると、国内でミールキットとして紹介されているものでもそのコンセプトは大きく異なるという。「日本では料理の手間を削減したり、簡単で手頃なことを売りにしているサービスも多い。Chefyの場合は時短などではなく食事をより楽しむ体験や、ライフスタイルを提供したいというのがコンセプトだ」(川野氏)

川野氏自身が前職でレストランプロデュースに関わっていたことに加え、シェフィにはフランスの星付きレストランで修行していたメンバーもいる。その知識やネットワークも生かして、スーパーなどではなかなか手に入らないような食材も提供できるそうだ。

「(リリースから4ヶ月ほど経つが)普段はあまり料理をしない男性にも使われるなど、新しいライフスタイルを提供できるのではという手応えはある。時短目的でミールキットを検討している人には合わないかもしれないが、毎日ではなくても特別な日にミールキットを活用するという新しい価値観や市場を作っていきたい」(川野氏)