社員向けメッセージングアプリで急成長を狙うドイツのFlipが4.3億円を調達

私たちは複数の人とのグループメッセージに慣れている。自分がWhatsAppTelegram、Facebook Messengerでいくつのグループに参加しているか、もうわからなくなってしまった。Threemaなどのアプリはビジネスの現場で使われ始めているし、Staffbaseなどのスタートアップは本格的な「社員向けメッセージング」プラットフォームになろうとしている。投資家たちは、メッセージングはあらゆる分野で爆発的に伸びつつあり、大きなチャンスがあると考えている。

こうした状況の中、ドイツのシュツットガルトを拠点とする社員向けメッセージングアプリのFlipが、360万ユーロ(約4億3000万円)を調達した。投資したのはLEA PartnersとCavalry Venturesで、Plug and Play Venturesも参加した。また、BASFの監査役会会長であるJürgen Hambrecht(ユルゲン・ハンブレヒト)氏、Magna Internationalの監査役会会長であるKurt Lauk(クルト・ラウク)博士、Starface創業者のFlorian Buzin(フロリアン・ブジン)氏、HRビジネスエンジェルのAndreas Burike(アンドレアス・ブリケ)氏などのビジネスエンジェルも投資した。この資金でチームの拡大とさらなる市場の開拓を加速させる。

Flipは2018年に創業し、あらゆるレベルの社員を結んで情報を知らせるプラットフォームを法律に準拠したかたちで提供している。

「法律に準拠したかたちで」というところが重要だ。同社のアプリはGDPRに準拠したデータおよび従業員保護の概念に基づいている。この概念は、専門家やドイツの株価の主要30銘柄の数社で構成された協議会で認められたものだ。また、既存の多くの企業ITインフラとも統合されている。

Flipは、ポルシェ(自動車)、バウハウス(教育機関)、エデカ(スーパーマーケット)、ユンゲIGメタル(金属系労組)、ヴュステンロート&ヴュルテンベルギッシュ(金融グループ)などの顧客をすでに獲得している。金融機関では、シュパーカッセ銀行やフォルクスバンク銀行で一部利用している。通信大手のドイツテレコムもFlipのパートナーだ。

Flipの創業者でCEOのBenedikt Ilg(ベネディクト・イルク)氏は発表の中で「Flipはあらゆる規模の企業で社内コミュニケーションをとるための最も簡単なソリューションだ」と述べている。

LEA PartnersのBernhard Janke(ベルンハルト・ヤンケ)氏は次のように述べている。「Flipは創業したばかりだが、すでに一流のクライアントを獲得している。リーンなソリューションで、大きな組織でも既存のITシステムやコミュニケーションのプロセスと統合できる。我々は今回の資金調達でチームとプロダクトをさらに拡大してほしいと考えており、あらゆる企業の従業員がデジタルを利用できるようにするというビジョンを持つ創業者を支援している」。

Cavalry VenturesのClaude Ritter(クロード・リッター)氏は次のように述べている。「Flipはこの若い市場において安全で軽量で驚くほどパワフルな製品を提供し、新しいスタンダードを確立しつつあると、我々は確信している」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

「キャリアメール」まだ4割のスマホユーザーが使用──MMD調査

eng-logo-2015かつては主要な連絡手段だった「キャリアメール」。スマホの普及後はLINEなどのメッセージアプリに押され、存在感が薄くなった印象も受けます。一方、MMD研究所の調査によると、スマホユーザーの約4割は、未だにキャリアメールを使い続けていることが明らかになりました。

MMD研究所はスマホユーザー2718人を対象に『メールやメッセージを1日にどれくらい送信するか』のアンケートを実施。その結果、全体の42.5%のユーザーは1日に1回以上、キャリアメールでメッセージを送信していることが明らかになりました。

●最も利用されているのはLINE

また「LINE」「SMS」「キャリアメール」のうち、最も利用されているのは「LINE」で、84.8%のスマホユーザーは、1日に1回以上LINEでメッセージを送信しているとのこと。

▲メッセージの種類別、スマホでメッセージを送信する回数のグラフ

なおSNSの利用割合もキャリアメール並となっていますが、今年5月には3キャリア共通のメッセージアプリ「+メッセージ」がリリースされており、その普及によって今後は利用割合の向上が見込めるかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

GoogleはSamsungからRCSメッセージングへのより強い協力をとりつけた

Googleは、長らく推進している次世代メッセージング標準に対して、Samsungからのさらなる協力をとりつけた。

Android OSメーカーであるGoogleが、リッチコミュニケーションサービス(RCS:SMSが提供できるものをよりリッチなコミュニケーションとコンテンツ交換へと強化することができる技術)へ抱いている期待は、分断されてしまっているAndroidのエコシステムに対して、よりリッチなネイティブメッセージングを提供する方法を与えてくれることだ −− そう、AppleのiOS上のiMessageのように。

しかし、世の中に一体どれだけの数のAndroid端末があるかを考えると、それはとてつもない大仕事である。そしてGoogleにとっては、もし周辺で細々とやること以上のことを成し遂げようとするなら、(デバイスメーカーだけではなくキャリアも含んだ)業界全体がRCSのサポートで足並みを揃えることが必要だ。

ちょっと大きな観点から眺めてみよう。さらに大きな問題はメッセージング船が既に航海しているということだ。WhatsAppやTelegramのような、大規模で人気の高いプラットフォームが既に数十億人のユーザーをそれぞれの庭に囲い込んでいて、重心をSMSから引き離してしまっているのだ。

だが、戦略的に混乱しているにも関わらずGoogleが努力を止めてしまった訳ではない。そのメッセージングを普及させようとする相当な努力は続けているのだ(失敗したAlloのように)。

4月にGoogleはRCSへの倍賭けを行った。Alloメッセージングアプリからリソースを引き上げて、その代わりに次世代SMSへの進軍に集中する決断を行ったのだ。

また、RCSの背後のささやかな応援の動きも作り上げることに成功した。今年のMobile World Congressで、同社は40以上のキャリアがRCSをサポートすることを発表したのだ。これは1年前の27から増加している。最新のサポート数では、そのキャリア数は55になった。

しかしRCSの専門会社Jibe Mobileを買収してから3年目を迎え、そして「未来のメッセージング」の構築を語る野心的な発言にも関わらず、その発展の兆候はほとんど見えない。

さらなる問題は、キャリアたちもまた、単にサポートする意思を表明するだけでなく、積極的にRCSの普及を行わなければならなかったのだが、どれだけのキャリアが実際にそうしたのかは明らかではない。

またRCSのユーザーが現時点でどれくらいいるのかもはっきりとはしていない(2016年の時点では、キャリアたちはただ10億人のユーザーへの「道筋」をつけると語っていただけだ。その時点ではSMSには数十億人のユーザーがいたため、彼らは標準化を通して何らかの次世代メッセージングシステムの普及を行うことができるとはほとんど考えていなかったと思われる)。

Googleが支援する最新のRCS開発は、プレスリリースの発表によれば、マウンテンビュー(Google)とSamsungの間の「拡大コラボレーション」である。それぞれが提供するメッセージクライアントが「クラウド並びにメッセージングプラットホームも含み、シームレスにそれぞれの企業のRCS技術の上で動く」と言われている。

両者は以前はRCSのサポートを「選り抜きのSamsungデバイス」に追加していたが、現在はRCS機能は既存のSamsung製のいくつかのスマートフォンたちに搭載されると述べている。例えばGalaxy S8とS8+はもちろん、S8 Active、S9、S9+、Note8、Note9、そしてAndroid 9.0もしくはそれ以降が搭載された選ばれたA並びにJシリーズなどだ。

それを聞くとかなりの数のデバイスのように思える。しかしそれも、さらに不明瞭なのだ。なぜなら、やはりサポートが、キャリアと市場での可用性にかかっているからだ。よって、たとえSamsungのAndroid携帯電話のサブセットであったとしても、普遍的なものではないのだ。

彼らはまた、(選ばれた)新しいSamsung Galaxyスマートフォンが、RCSメッセージングをネイティブにサポートすると言っている。しかし、これもやはり、キャリアがその標準をサポートしている場合に限られるのだ。

以上のような一連の注意を述べた後に、彼らは「これは、消費者たちとブランドたちが、Android MessagesとSamsung Messagesユーザーの両者とよりリッチなチャットを楽しむことができるようになることを意味しています」と付け加えている。

両社の声明文が「Androidエコシステム全体に強化されたメッセージング体験」を持ち込むという、景気の良い調子で締めくくられているにも関わらず、明らかにその可能性は見えていない。Android生態系の豊富な「生物多様性」から導かれる明白な結果は、デバイス間標準に対する普遍性の低下である。

それでも、もしGoogleが十分なフラッグシップデバイスとRCSをサポートすることに協力する市場を確保することができるなら、AppleのiMessageに十分対抗できるだけの臨界メッセージ量を確保したと考えることだろう。なので、そのハイエンド端末が、iPhoneとの間でしばしば消費者たちの現金の奪い合いを繰り広げるSamsungからの協力のとりつけは、もちろんその戦略のための大いなる助けとなるのだ。

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(翻訳:sako)

メッセージング企業のLINEが暗号通貨に特化したファンドを立ち上げ

メッセージング企業のLineは暗号通貨の世界への深入りを続けており、今回は1000万ドルの投資ファンドの立ち上げを発表した

このファンドを運用するのはLineの韓国にあるブロックチェーン子会社Unblock Corporationで、ここはブロックチェーン関連の研究調査や教育などのサービスを担当している。ファンドはUnblock Venturesと呼ばれ、最初の資本プールは1000万ドルだが、Lineによると今後徐々に増加するだろう、という。

同社によるとこのファンドは主に初期段階のスタートアップへの投資を対象とするが、それ以上の詳細は提供されていない。

Lineは東京とニューヨーク証券取引所で上場している。このファンドにより同社は、暗号通貨に特化した投資ビークルを作った最初の上場企業になる。その目的は、“暗号通貨とブロックチェーン技術の開発と採用を推進するため”、という。

Lineによると、そのメッセージングアプリのユーザーは2億に近くて、とりわけ日本、台湾、タイ、そしてインドネシアで人気がある。同社は、決済、ソーシャルゲーム、ライドシェア、フードデリバリーなど、そのほかのインターネットサービスも提供している。

今回のファンド創設は、先月のBitBox取引所の開設に次ぐ同社の今年二度目の、暗号通貨関連の大きな動きだ。それはまだアメリカや日本を対象にしないが、Lineは今後、メッセージングサービスなどそのほかの機能との緊密な結びつきを作っていきたいようだ。

今年は1月にBitcoinが記録的高値の2万ドル近くまで上がり、Ethereumなども上げたが、その後多くの暗号通貨が深刻に落ち込んでいる。にもかかわらずの、Lineの今回のファンド立ち上げだ。今週はEthereumが300ドル以下まで下がって、初めての大きな危機を経験した。Bitcoinは長年乱高下を経験しているが、1月の価格はまるでゲームが大きくレベルアップしたみたいだった。

注記: 筆者は、少量の暗号通貨を保有している。それは勉強のためには十分な量だが、自分の人生を左右するほどの量ではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

複数のメッセージング上のコミュニケーションを統一するMessageBirdの仮想APIは企業への顧客の感度を良くする

アメリカのAccelとヨーロッパのAtomicoが投資しているアムステルダムのクラウドコミュニケーションプラットホームMessageBirdが今日(米国時間8/8)、企業が顧客たちと、彼らが選んださまざまなチャネルを横断して容易にコミュニケーションできるための、新しいプロダクトを発表した。

“Programmable Conversations”(プログラマブルな会話)、というすごい名前がつけられたこのプロダクトは、単一のAPIのような形をしているが、実際には複数のチャネルにまたがる顧客の対話を、単一の会話スレッドに統一する。製品の現状では、その‘複数のチャネル’は、WhatsApp, WeChat, Facebook Messenger, Line, Telegram, SMS, そして音声による対話だ。Programmable Conversationsの仮想APIからは、これらを単一の会話チャネルのように扱える。それにより企業は、顧客とのコミュニケーションの履歴を統一された形で見ることができ、カスタマサポートやそのほかの顧客対面部門では、つねに最新最先端の顧客サービス体制を維持できる。それはもちろん、顧客の満足や企業への好感度につながる。

別の言い方をすると、コミュニケーションのチャネルが多いと会話は断片化しがちだ。しかもそこに、複数のサポートスタッフが関与していると、サービスの質は必然的に低下するだろう。Programmable Conversationsは、この問題を解決しようとする。

MessageBirdのファウンダーでCEOのRobert Visによると、ますます多くの企業や、急成長しているスタートアップには、顧客が企業との会話に使用するチャネルを一方的に指定する贅沢が許されない。これまでのカスタマーサービスは専用の電話番号を使うだけだったが、昨今の、オンラインメッセージングやそのほかのコミュニケーションチャネルの相次ぐ出現と氾濫により、顧客がコミュニケーションに使用する方法の選択肢が爆発的に増えている。

しかし、企業が既存のCRMやビジネスプロセスにそれらすべてを統合しようとすると、開発時間が膨大になるだけでなく、複数のチャネルに対応するためにスタッフの増員が必要になる。

このたいへん重い重量挙げを、MessageBirdのProgrammable Conversationsがお手伝いする。複数のチャネルに分散している会話を一本化することは、企業自身の手に負える技術課題ではない。しかしProgrammable Conversationsの仮想APIを使えば、実装の初期費用と時間が節約できるだけでなく、今後のメンテナンスや必要なアップデートも容易になる。

Visによると、Programmable Conversationsはグローバル企業のコミュニケーション管理にも向いている。あるいは、今後グローバル化していく企業の、その過程を支えることができる。多様なメッセージングプラットホームへの対応だけでなく、地球規模での複数キャリアの統合も可能だ。

“その企業とのコミュニケーション体験が良かったら、顧客の満足度とブランドロイヤリティがアップする。しかもこの二つの要素は、今日の企業の生命線だ。今日の顧客は企業と、友だちや家族と同じように会話したいと思っている。自分の好きな時間に、好きなチャネルで、しかも相手がこれまでの会話の文脈を完全に分かっている状態でだ。Programmable Conversationsを使えば企業は、そのような現代的なコミュニケーション体験を容易に構築できるし、しかもデベロッパーたちを過負荷にすることもない”、とVisは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleはAndroidユーザー向けにWeb上のMessagesを提供

メッセージングに関するGoogleの多様な努力は、最近Alloを“休止”してMessagesに一本化されたようだが、そのMessagesが今日(米国時間6/18)からWebでも使えるようになる、と同社は発表した。全ユーザーへの展開は来週いっぱいかかるようだ。GIF検索やスマートリプライなど、GoogleがiMessageに対抗するために盛り込んだ機能は、すべて揃っている。

同社は今年初めにAlloのチームをAndroid Messageへ移し、そしてそのアプリはメッセージングのスタンダードRCSを使っている。世界中のモバイル企業の多くが採用しているそのスタンダードは、iMessageより機能が多く、開封確認やタイピングインジケーター、高解像度の写真共有、便利なグループチャットなどの機能もある。

今回Messagesは、iMessageにない機能をさらに増やした。それは、Webのサポートだ。

Appleのユーザーは今でも、専用のアプリケーションを使ってMacからiMessageの会話にアクセスできる。GoogleのMessages for Webもそれと似ていて、メッセージへのクロスプラットホームなアクセスを提供する。Androidユーザーは、スマートフォンを使っていなくても、メッセージを見たり、チャットに応答できる。

ただしMessages for Webの実装はWhatsAppのデスクトップと似ていて、スマートフォンと同期するためにはMessageのWebサイトでコードをスキャンしなければならない。

Googleによると、Messages for Webはローンチ時からすでに、ステッカー、絵文字、画像の添付などもサポートする。

来週中にサポートされる機能は、内蔵のGIF検索や、スマートリプライ(英語と絵文字による返事のみ)、会話中のWebリンクのプレビュー、タップしてワンタイムパスワードをコピーする、などだ。

ワンタイムパスワードのコピー機能は、iOS 12のiMessageにもある。ワンタイムパスワードを要求するアプリやサイトにログインするときは、それを入力すべき欄に一回のタップだけでコピーできるようになる。Googleのは一回じゃなく、コピーとペーストで計二回のようだ。それでも、十分便利だけどね。

試してみたい人は、Google PlayからMessagesアプリの最新バージョンを入手すること。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、スティッカーのようなカメラエフェクト、フィルター、Memoji機能をメッセージに追加

Appleは、メッセージのカメラで撮るものを飾るという新機能でもってSnapchatの領域に侵攻しつつある。今日WWDCで、iOS 12のメッセージ機能のカメラではたくさんのスティッカーや“コミック風”フィルターといったスタイルトランスファー、変な形、Animoji、自分のアバターをつくれる新登場のMemojiが利用できるようになると発表した。

これらのエフェクトは、最大32人までのグループビデオ会話をサポートするFaceTimeでも利用できる。この新機能は、グループビデオチャットに特化しているHousepartyやFacebookのBonfire、またこれらよりさらに利用者の多いSnapchatのようなアプリにとって脅威となりえる。

コミュニケーションをもっとビジュアル化したいと考えている人は、こうしたエフェクトの追加により、SnapchatやInstagram Direct、Facebook messengerよりAppleのネイティブメッセージアプリを使いたいと思うかもしれない。この新機能は、今秋正式にリリースされる前に、今日ローンチされたiOS 12デベロッパーベータ版で使える見込みだ。

スティッカーは、以前は背景が白色のメッセージスレッドのみで使用できた。しかし今では写真やビデオ、FaceTimeに重ねることができる。サングラスや帽子、ひげ、衣類など、これというものをセルフィーに重ねられるようにすることは、新たなファッションとしてのスティッカーという道を切り開くものとなる。

これらの新機能の発表は、Appleにとって遅い出だしとなる。Snapchatはすでに2013年からクリエイティブな機能を展開し、Instagramは2016年にStoriesにそうした機能を追加、そしてFacebookも昨年追随している。これらのメディアは全てGIFやカラーフィルター、ARなどに対応している。メッセージのカメラがこうしたメディアと最も差別化を図れるのが、AnimojiとMemojiだ。だから、AppleがSnapやFacebookよりも注意を引きたいのなら、AnimojiやMemojiをオーバーレイできることを積極的にアピールする必要があるだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)

iOS版Telegramのアップデートが再開――Appleが凍結を解除

一日のあいだに物事は良い方向にも悪い方向にも変わるものだ。6月1日、TelegramのCEO Pavel Durovは、6週間におよぶ凍結期間を経てiOS版Telegramのアップデートを再開すると発表した。凍結期間のあいだ、Appleは世界中のApp Storeに登録されたTelegramには手をつけず、すでに同アプリをインストールしたユーザーに対するプッシュ通知も許可していたが、アップデートは受け付けていなかったのだ。弊誌が確認したところ、現在ではTelegramのアップデートを許可していることをAppleも認めた。

「素晴らしいニュースだ。たった今、Appleが最新のiOS版Telegramのアップデートのレビューを無事終え、ようやく待ち望まれた修正や改善を含む新バージョンのアプリをApp Storeにアップロードできるようになった」とDurovは同日語った。

このAppleによる方針変更のたった一日前には、iOS 11.4のリリース後TelegramのiOS向けのアップデートが世界中のApp Storeでブロックされたため、アプリに一部不具合が生じているとDurovが発言したところだった。なお、アップデート版をユーザーのもとに届けられなかったため、TelegramはEU一般データ保護規則(GDPR)にも準拠できないままでいた。

しかし依然、そもそもなぜAppleがTelegramのアップデートをブロックし、そしてこの段階でアップデートの再開を許可したのかはわかっていない。

ロシア政府がTelegramを取り締まろうとしていることと、この度の凍結には何か関係があるとDurovは主張する。というのも、ロシア連邦通信局(RKN)がAppleに対してTelegramをApp Storeから削除し、すでに同アプリを利用しているユーザーに対してはプッシュ通知を停止するよう求めたという報道の直後にアップデートが凍結されたからだ(実際のところ、RKNは本件について数日前に声明を出していた)。

しかし結局Appleはアップデートを受け付けなくなったものの、TelegramをApp Storeから削除することはなく、プッシュ通知もそのままだった。

「ロシア当局がAppleにTelegramをApp Storeから削除するよう求めて以降、Appleは世界中のApp StoreでTelegramのアップデートを受け付けなくなった」とDurovは5月31日の時点で記している。なお、GoogleやMicrosoftさらにMacのアプリストアに登録されたTelegramは何の影響も受けていない。

弊誌はTelegramに何がこの方針転換の背景にあるのか確認しているが、Appleは本件に関するコメントを控えている。

Telegram上の暗号化されたメッセージを復元する手段を求めるRKNに同社が応じなかったことから、RKNがTelegramの利用を禁じて以降、同アプリをめぐってはさまざまな争いが巻き起こっている。

ロシアでは、国内で利用できるいかなるアプリやサービスの運営者も、政府がデータにアクセスできるようサーバーを現地に置いたり、バックドアを作成したりしなければならないと法律で定められている。政府は安全保障という大義名分のもとにこのような制度を設けているが、多くの企業は同法に異論を示しており、Telegramのように(イデオロギー的な反対は別にして)政府の要請を叶えるようなキーを提供することは不可能だと主張する企業も存在する。

Durovは、以前立ち上げたソーシャルサイトVkontakte.com上での表現の自由をめぐっても当局と衝突した経験があり、それが現在Telegramに導入されている仕組みを作るきっかけのひとつとなった。

ここ数週間のあいだ、Telegramはこの問題に対する一時的な解決策として、ユーザーにVPNを使って同アプリにアクセスするよう勧めると同時に、当局にデータを渡さずにサービスを継続しようとするTelegramに共感するホスティング企業のサービスを利用し、IPアドレスを次々に変えながら生きながらえてきた。

かつてRKNがTelegramのIPアドレスホッピングを阻止しようとした結果、一時は合計1900万件以上ものIPアドレスがブロックされ、Googleを含むさまざまなサービスがダウンしたことがあった。そのときは多くの人々がデモに参加し、結果的にTelegramと事件に関する報道が世界中に広まっていった。しかし、これまでのところAWSやGoogle Cloud Platformは、TelegramにIPアドレスホッピングをやめるようには要請していない。

Telegramは世界中に2億人ものユーザーを抱えており、そのうち約1400万人がロシア国内のユーザーとされている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Image Credits: Thomas Trutschel/Photothek via Getty Images

GoogleがG SuiteのユーザーをHangoutsからMeetへ強制移行

Googleが今日(米国時間5/29)、同社の推奨スケジュールに従うG Suiteのユーザー全員を、Hangoutsのビデオチャットサービスから、よりエンタープライズ向けのHangouts Meetに移す、と発表した。移行にはほぼ1か月を要する。

これにより、新たに作られるCalendarのインバイトはすべて、Meetのビデオミーティングへのリンクになるが、ただしそれまでに作られたミーティングは変わらない。

当面アドミンはこの移行をオプトアウトできるし、MeetがInternet ExploreやSafariをまだサポートしていない(Firefoxは先週からサポート)からそうしたい人もいるだろう。しかし2018年の後半からはMeetはHanguoutsと完全に同等になり、これらのブラウザーもサポートして、一部の異論者に対してもMeetがデフォルトになる。

Googleのメッセージングに関する戦略は全体的にいつも混乱している。最初の計画では、消費者向けのテキストとビデオチャットがそれぞれAlloとDuo、そしてMeetと、Slackに似たHangouts Chatがエンタープライズユーザー向け、となっていた。

でもAlloは完全な失敗だった。そして今では同社のおすすめメッセージングアプリはChatになったようだ。こちらはRCSをサポートしているし、AndroidのユーザーにiMessage的なユーザー体験を与える…と少なくともGoogleは期待している。ただし、それでもしかし、Hangoutsは消費者向けアプリとして残っており、よく使われている。Duoに関しては、ぼくはそれを使ってる人を見たことがないけど、今でもあることはある。

でも、企業ユーザーなら話はかなり簡単だ。ビデオチャットならMeet、そしてふつうのチャットサービスならHangouts Chatだ。そして家に帰ったら、iMessageでもFacebook MessengerでもWhatsAppやWeChat、Viber、Signal、Telegramなど、なんでもよろしい。Hangouts一筋(ひとすじ)でもよい。

(関連記事: Google goes after Slack and splits Hangouts into Chat and Meet)–未訳

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MacでSignalを使っているユーザーは通知を無効にしてメッセージのセキュリティの確保を

安全なメッセージングのためにSignalを使っている方は、ご用心を。このアプリケーションは最良の暗号化メッセージングツールと見なされているが、しかしSignalを使っているMacのユーザーは、そのプライバシーが知らない間に危険にさらされるかもしれない。

Motherboardの記事によると、セキュリティ研究家のAlec Muffettが、Macに送られたSignalのメッセージが、アプリケーションの設定でそれらの削除を指定していても、通知センターに残存することを発見した。

これは、プライベートなメッセージがオペレーティングシステムの中に残る、ということだが、そのほかの研究者たちも今この問題を調べている。

MacでSignalを使っている方には深刻な問題だが、しかしハッカーがこの欠陥を悪用するためには、まずMacを乗っ取らなければならない。そしてその時点でたぶん、ゲームオーバーになるだろう。

設定をoffにするには…そうすることをお勧めするが…SignalアプリケーションのSettingsメニュー(上図)で“Neither name nor message”または“Disable notifications”をセレクトし、プライベートメッセージがSignalの外で迷子にならないようにする。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

フランス政府のすべての省庁がTelegramやWhatsAppなどの利用を禁じられ国営メッセージングアプリの使用を義務付け

フランス政府によると、一般的に人気のある暗号化メッセージングアプリTelegramやWhatsAppなどが政府職員間でも使われているが、それらには外国からの盗聴等のリスクがありうるため、今年の夏以降、フランス政府が独自に開発した暗号化メッセージングサービスに全員が移行する。

Reutersの記事によると、大臣たちには、外国製でしかもサーバーがフランス国内にない暗号化アプリが使われることに対して懸念がある。デジタル省のスポークスウーマンは、こう語る: “アメリカやロシアなど外国によって暗号化されるのではない暗号化メッセージングサービスを見つける必要がある。Facebookの例にも見られるように、侵害の危険性はつねにあるのだから、われわれ自身が主体的に選択や開発をする必要がある”。

TelegramのファウンダーPavel Durovはロシア人だが、今は外国に亡命している。そして彼のメッセージングアプリは、暗号鍵をロシア当局に渡さなかったために、彼の母国ではブロックされている

WhatsAppはTelegramと違って、そのプラットホームの全域にわたってエンドツーエンドで暗号化されている。しかも、尊敬されているオープンソースのSignal Protocolを使っているが、しかしWhatsApp自身はアメリカのテクノロジー大手Facebookがオーナーであり、開発もアメリカで行われている(Signalも開発はアメリカ)。

その親会社Facebookは現在、大々的なデータ誤用事件の渦中にあり、その事件では何千万ものFacebookユーザーの情報が、ユーザーがそれを知ることも同意することもないまま、問題の多い政治コンサルタントに渡された。

デジタル省のスポークスウーマンによると、フランス政府内の約20名の閣僚と一般公務員が、その新しいメッセージングアプリを試しており、夏までには政府内の全員の使用が義務化される。

最終的には全国民が利用できるようになる、と彼女は付け加えた。

Reutersによると、スポークスウーマンはさらに、国が雇ったデベロッパーがそのアプリを、ネットからダウンロードして無料で使えるコードを使用して設計した、と述べた(すなわちオープンソースのソフトウェアを使ったようだ)。しかし彼女は、使用されたコードやそのメッセージングサービスの名前を挙げることを拒(こば)んだ。

先週の終わりごろZDNetが、フランス政府はTelegramのようなアプリの使用を別のもので置き換えたがっている、と報じた。しかしTelegramは、大統領のEmmanuel Macronも大ファンらしい。

その記事は、フランスのデジタル大臣Mounir Mahjoubiの発言を引用している: “今、安全な公共的メッセージングを開発している。それは私権のある提供物に依存しないものになる”。

報道によるとフランス政府はすでに、国防関連とIT関連のサプライヤーThalesが作った安全なメッセージングプロダクトを一部で使用している。ThalesのWebサイトには、スマートフォンのインスタントメッセージングアプリCitadelが載っていて、“プロフェッショナルたちが信頼しているメッセージング”であり、“多くの消費者向けメッセージングアプリのものと同じと分かる機能”を提供するとともに、“スマートフォンやコンピューター上の安全なメッセージングサービスと、エンドツーエンドの暗号化された音声通話やファイル共有など多くの関連機能がある”、と説明している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleのビデオチャットアプリDuoに留守電ビデオ/ボイスメール機能がついた

メッセージングに関するGoogleの戦略は今も混乱してる、と感じる人が多いと思うが、Hangouts, Hangouts Meet, Hangouts Chat, Allo, Duoとたくさん並べたGoogleが考えているのは、Allo/Duoは消費者用、Hangouts Meet/Chatは企業ユーザー用、という分け方なのだ。Hangoutsそのものはどうなるのか、それは今やぼくにも分からないが、たぶんGoogle自身にも分からないだろう。しかしはっきりしているのは、AlloとDuoは立派なメッセージングとビデオチャットのアプリなのに、ユーザー数が伸びないことだ。でも、もしかしてDuoのユーザーかもしれない読者には、今日(米国時間3/7)良いニュースがある。電話をして相手がいない(または出ない)ときには、音声とビデオでメッセージを残せるのだ。

Duoのユーザーは30秒のメッセージを残せるし、相手はそれをDuoアプリで見られる。そして折り返し相手がかけてきたときには、ふつうに出てもよいし、ビデオメールを送らせてもよい。

Googleによるとすべてのメッセージはエンドツーエンドで暗号化されており、今回のアップデートは今日からAndroidとiOSのユーザーへ展開され、数日後には全世界のユーザーに行き渡る。

GoogleのAllo/Duoという二本立て戦略が有効だとは思わないし、メインストリームのユーザーはそもそも無関心だと思うが、ビデオチャットアプリとしてはDuoは良くできており、おもしろい機能もいくつかある。しかし、Alloと同じく、ぼくの友だちはだれ一人として使っていないし、ビデオチャットならHangoutsにすでに完璧なオプションがある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

40以上のキャリアとデバイスメーカーがGoogleのプラットホームを使ってRCSサービスを提供している

Rich Communication Services(RCS)はテキストメッセージングの次世代スタンダードで、今ではWhatsApp, Facebook Messenger, LINEなども、携帯〜スマホを買ったら必ずあるふつうのSMSよりも、多様で高度な機能を提供している。AppleとiMessageだけは別だけど。

Googleの今日の発表によると、今では40以上のキャリアとデバイスメーカーが同社のRCSプラットホームを使っている(RCSをサポートしているのは合計で約60社)。これは昨年Googleが言った27より、かなり増えている。

RCSはGSM(2G)の規格だが、最大の実装者はGoogleだ。同社はAndroidプラットホームでAppleのiMessageに負けない機能を提供するために、このサービスに目をつけた。

来週はMobile World Congressがあるので、当然ながらGoogleは、このイベントが始まる前にRCSについて何か言っておきたい。今日の発表で同社は、新しいサービスではBusiness Messaging(企業用メッセージング)が重要な機能のひとつだ、と言っている。これを使って企業はたとえば、証明されたリッチメッセージで搭乗券や、クレジットカードの悪用アラート、荷物の配達などの通知を送れる。メッセージに、リプライの提案やアクション(席替え、エアラインに電話、など)を含めることもできる。

標準のAndroid Messagesアプリがこれをサポートしたのは1年前からで、GoogleはRCSサービスを立ち上げて管理するためのプラットホームJibeも提供している。

昨年はヨーロッパとラテンアメリカのキャリア数社が、GoogleのJibe RCSクラウドのユーザーになった。それらは、America Movil, AT&T, Celcom Axiata, Freedom Mobile, Oi, Telia, Telefonicaなどのキャリアだ。

パートナーの中には通信APIの人気企業Twilioもいて、同社は今日、そのサービスにRCSを加えたことを発表した。Twilioのメッセージングプロダクト担当VP Patrick Malatackはこう語る: “消費者が自分のデフォルトのメッセージングアプリで、リッチな対話的メッセージング機能を利用できるようになると、それは今のSMSみたいに遍在的(ubiquitous, どこでも誰でも)になるだろう。今日の弊社の発表により、うちのAPIを使うデベロッパーも、このメッセージングサービスを実装できる。RCSのためにだけ、別のAPIを使ったりする必要がないから、開発工程はシンプルで簡単だ。顧客が作るものを、早く見たいね”。

そのほかGoogleは、3C, CM.com, Mobivity, OpenMarket, Smoochなどともパートナーしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Slackベースの使いやすいタスク管理プラットホームWorkastがシード資金を獲得してSlack以外にも対応へ

Slackを利用するタスク管理ツールとして評判のWorkastが、サポートするメッセージングプラットホームを増やそうとしている。

Asanaなど、そのほかのタスク管理アプリケーションにうんざりしていたユーザーの願いに応えたWokastは、このほどGreycroft Partnersがリードするシードラウンドで185万ドルを調達し、Slack以外のメッセージングプラットホームへの対応を目指している。

WorkastのCEO Guillermo Getteによると、同社の成功の鍵は会話的インタフェイスにフォーカスしたことにあり、その成功の上に機能を拡張してきたからだ。その便利で使いやすいタスク管理の機能が、これからはGoogle HangoutsやMicrosoft Teams, Stripe, それにCiscoのチャットプロダクトでも使えるようになる。

“Slackがベースだから、ユーザーの獲得も早かった”、とGetteは語る。“Slackのユーザーの7社に1社はWokastを使っているね”。

Getteによると、現在の月間アクティブユーザーはおよそ10万で、彼らはWorkastのツールを使ってタスクを割り当て、その完了までの過程をモニタしている。

そんなアイデアは、ExpediaにいたころのGetteにひらめいた。そして2015年には彼一人が夜や週末にタスクの統合の部分をプログラミングしていたが、今ではかなりの成長を目指せるようになった、とGetteは語る。

今年前半にはリポートやアナリティクス、無制限の統合、ゲストアカウント、テンプレート、カスタムフィールドなどの機能を盛り込んだ上級バージョンをリリースするつもりだ。

“ワーク管理ツールは10年一日のごとく変わっていないし、今の製品でもその多くは、仕事の現場における個人やチームのコミュニケーションのやり方に合わせようとしていない”、とGetteは声明の中で言っている。“Workastでは、個人とチームの継続的な対話を効果的かつ効率的に追跡できる。そのカバー範囲はすべてのチャンネル(Slackの)であり、メッセージングもメールも音声もビデオもそこに包含できる。有意義な、そして管理可能な方式で”。

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Webが人間性を取り戻すとき、これまでのWebサイトとeコマースはすべて死ぬ

筆者: Rob LoCascioLivePersonのファウンダーでCEO)

あなたは私の会社LivePersonをご存じないかもしれないが、そんなあなたでも私の発明を使ったことはあるはずだ。1995年に私は、Webサイトの画面にポップアップするあのチャットウィンドウを発明した。今では世界中で2万近くの企業が、わが社のソフトウェアを使って彼らの何百万という顧客とコミュニケーションしている。その中にはT-Mobile, American Express, Citibank, Nikeなどの有名大企業もいる。1990年代の半ばにインターネットの誕生を目撃した多くのスタートアップのファウンダーたちと違って、私は今でも自分の会社のCEOだ。

長いことCEOの椅子に座っていると、これまでの20年間に起きた変化に対する、独自の見方を持つようになる。そして今私に見えている現在進行形の変化は、インターネットの姿をラジカルに変えるだろう。

90年代半ばにWebサイトを作ったときは、eコマースへの大きな夢があった。基本的に実店舗は消えてしまうであろうし、何もかもドットコムが支配するだろう。でもeコマースは、惨めにもその夢を打ち砕いた。今日、Webサイトやアプリから生じている商行為は全商業の15%足らずであり、しかも企業として成功しているeコマースはAmazon, eBay, Netflixなど数えるほどしかない。Webサイトをだめにした大きな構造的問題は二つある: それはHTMLとGoogleだ。

Webサイトは、これまで図書館に閉じ込められていた人類の大量のコンテンツの集まりを、デジタルなユーザー体験、すなわちWebサイトによって、多数の大衆的オーディエンスに開放するはずだった。最初のころ私たちは、“閲覧する”(browsing, ブラウジング)とか“索引を作る”(indexing, インデクシング)などのように図書館の用語を使い、そして多くの点でWebサイトの中核的技術であるHTML(Hypertext Markup Language)も、静的コンテンツを図書館の本のように表示するために設計された。

しかし小売店は図書館ではないし、図書館の形式をオンラインストアに適用することもできない。消費者は、買い物をするときのいろんなダイナミックな質問や会話ができる方法を必要とした。しかし今日のモデルでは、一連の静的なページを読んで質問への答を見つけなければならない。でもふつうは、店員や店主と質問と答の一連のやり取りをしてから、そのお店を信ずる気になり、いろんな物を買いたくなる。HTMLのWebサイトには、そんな、人間同士のリアルで動的な対話がない。

Webの第二の問題は、Googleだ。90年代にWebサイトを作り始めたときは、誰もが仮想ストアを自分独自のデザインでやろうとした。それによりストアはおもしろくてユニークになり、しかし一方ではスタンダードがないので見て回ることが難しく、それらを普遍性のあるカードカタログにインデクシングすることは、とてもむずかしかった。

Googleは、1998年ごろにやってきた。Googleは世界の情報を見つけやすくし、またそのPageRankアルゴリズムにより一種のルールを定めた。そのルールのせいで企業は自分のWebサイトを、それがGoogleの検索結果のトップに来るための、何らかの方法でデザインしようとした。でもそのルールの画一的な構造は結局、eコマースにとって有害だった。

今では、ほとんどすべてのWebサイトが同じに見えるし、成績(ビューワー数、集客力、等々)も不振だ。オフラインでは、各ブランドが自分たちのストア体験をユニークなものにして自己を差別化しようとする。オンラインでは、どのWebサイトも、…GucciからGapに至るまで…同じ体験を与える。トップからのナビゲーション、説明的テキスト、少々の画像と、そのほかの互いに似たような要素。Googleのルールは、ユニークなオンライン体験からその生命(いのち)を抜き取った。そしてeコマースが困れば困るほどGoogleはさらに強力になり、ひどいeコマース体験を強制して、ブランドと消費者の仲を冷たくし、無味乾燥にしつつある。

大胆な予想をしてみよう: 2018年には有名ブランドのWebサイトの最初の閉鎖が起きるだろう。

Webサイトの良くないデザインには、隠れた連鎖反応がある。今、企業のカスタマーセンターにかかってくる電話の90%は、そのWebサイトが原因だ。その典型的な旅路は: 消費者が答を求めてWebサイトを訪れる→混乱して電話をする。今やそれはまるで疫病だ。カスタマーセンターは1年に2680億件の電話に対応し、1兆6000億ドルの費用を発生させている。

比較のために全世界の広告費支出を挙げると、それは5000億ドルだ。だからカスタマーセンターは、企業のマーケティング支出の3倍のコストを生じさせている。しかも、混み合っていてお客を待たせるカスタマーセンターが多いから、さらにひどい消費者体験を与えている。Webサイトとアプリは、電話を減らすどころか増やしており、コストも大きくしている。暮らしが楽になるというデジタルの約束は、あっさり破られる。

質問に親切に答えてもらったら、喜んでお金を払う気になる、という私たちの心理は、人間に生まれつきあるものだ。今ボットやAIが話題になっているのも、そのためだ。現実世界で何かが実現し完了するのは、何の力に依(よ)っているのか。会話に依ってだ。ロボットやAIが人間の仕事を壊す、とメディアは力説するが、Webに人間性が大きく欠けている今ではむしろ、その欠陥を補い、本当に暮らしを楽にするインターネットやWebを探究すべきだ。可能なら、AIやロボットもその探究に活用して。

今改めてeコマースの現実を知ってみると、初期に私が抱いた希望や夢も錯誤だった、という気がしてくる。しかし今の私は、私が“会話的コマース”(conversational commerce)と呼んでいるものに大きな希望を抱(いだ)いている。メッセージングや、Alexaのような音声、それにロボットを、生きた、人間的な会話に活用できれば、われわれがかつて夢に見たような普遍的で大きな規模で、強力なデジタルコマースの約束を、ついに実現できるだろう。

これまで、およそ18000社の顧客企業の仕事をし、最近、会話的コマースの探究を開始した私が大胆な予想をするなら、2018年には有名ブランドのWebサイトの最初の閉鎖が起きるだろう。ブランドは、これまでのように単に顧客とコネクトすることから、会話することへと力点を移す。それはボットと人間の共同作業になり、SMSやFacebookなどのメッセージングがフロントエンドになる。私たちはすでに数社の著名ブランドと、その実現努力を開始している。

(上記予言の)最初のWebサイトが終わると、ドミノ現象が始まる。しかしそれは多くの企業にポジティブな効果を与え、eコマースと顧客ケアのやり方を抜本的に変える契機になる。でもそれは、Googleに壊滅的な打撃を与えるだろう。

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Slackのプライベート共有チャンネルを使うと複数の会社が非公開会員制で会話できる

数か月前にSlackがベータで立ち上げたShared Channelsという機能は、複数の組織(会社や団体)が共有できるチャンネルだった。たとえばあなたのスタートアップは、PR会社や法律事務所とチャンネルを共有できるだろう。

しかし二つの会社の会話が互いに全社に見られては困ることもあるので、今日(米国時間1/17)同社はPrivate Shared Channelsというものを、やはりベータで立ち上げた。これは、共有チャンネルだけれど招待制で文字通りプライベート、非公開だ。

この機能は、二つの企業が、合併とか買収とか投資とか、まわりに知られたくないことを議論するのに適しているだろう。

招待されてない社員は、そんなチャンネルがあることすら知らないし、その内容は検索に拾われない。しかもこのプライベートチャンネルは、会話のどちらか一方だけをプライベートにすることもできる。たとえば合併の話は両者でプライベートにし、法律事務所との話は会社側では全社公開、法律事務所側ではプライベートにできる。

プライベート(非公開)とパブリック(一般公開)の分け方は、下図でお分かりいただけるだろう。

そしてアドミンのチャンネル管理機能には、これらの共有チャンネルの状況を見る能力が加わった。たとえば、我が社のどの部課の連中がどこの会社のどの部課と共有チャンネルで会話しているか、なんてことが分かる。

目下、共有チャンネルは有料ユーザーがベータを利用できるだけだが、すでに有料ユーザーの1/3はベータに参加しているそうだ。また有料ユーザーの2/3は、ゲストアカウントを利用して、他の会社のユーザーが一時的に自分の会社にアクセスできるようにしている。つまり、複数の会社間でSlackを使いたい、という複数企業のコラボレーションニーズは、とても強いのだ。

Slackはベータ終了時期をまだ明らかにしていないが、有料ユーザーなら今でも全員が利用できる。

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セキュリティ重視のメッセージングアプリSignalにスタンドアローンのデスクトップアプリケーションが出た

EFFが高く評価し、あの、国家による国民の盗聴をあばいたEdward Snowdenも推奨する‘もっとも安全な’メッセージングサービスSignalは、本誌読者にも愛用者が多いと思われるけど、このほどついに、デスクトップアプリケーションが出た。というか、前からあった“デスクトップアプリケーションもどき”は実はChromeアプリなので、使うにはGoogleのChromeブラウザーが必要だった。しかし今日(米国時間10/31)、その悪夢も終わった。今回Signalがリリースしたスタンドアローンアプリケーションは、巨大テクノロジー企業に依存している不安感がないのだ。

今日から提供されるそのアプリケーションは、64ビットのWindows 7以上、MacOS 10.9以上、そしてLinuxの人気ディストリビューションの多くで使える。

Chrome Appをこれまで使っていたユーザーは、データをこのアプリケーションのセットアップの時点でインポートできる。ただし、認証ID等が両者で同じであることを、確認しよう。

この夏の本誌主催Disruptカンファレンスに、Signalを作ったMoxie Marlinspikeが登場した。そのとき彼は、もうすぐ重要なアップデートがある、と言っていたが、詳細を明らかにしなかった。それが、これなのだ!

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WhatsAppにやっと誤送信メッセージを送信先で取り消せる機能が実装された(7分以内)

WhatsAppでやっと、メッセージの送信先を間違えた場合の取消ができるようになった。

それは、相手との会話中にメッセージを削除できる方法だ。

これまでの削除機能は、メッセージの送信者のところで削除するだけだから、ほとんど意味がない*。相手はふつうの受信メッセージとして、それを読めてしまう。しかし今度のアップデートでは、“delete for everyone”(みんなに対して消す)機能が加わり、そのメッセージをすべてのチャットから消せる。そして、メッセージが削除されました、という通知が表示される。〔*: LINEの削除機能も現状では送信元削除のみ。〕

この機能は目下展開中なので、全員には行き渡っていない。ぼくはまだだが、本誌編集部では少なくとも一人がアップデートされている。詳細はWhatsAppのFAQ ページに書かれている:

みんなに対してメッセージを削除するには

全員に対しメッセージを削除することにより、チャットのグループや個別のチャットに送った特定のメッセージを削除できます。関係ないチャットにメッセージを送ったときや、誤記のあるメッセージを送ったとき、この機能は便利です。

削除されたメッセージは、相手のスマホ上で“This message was deleted”(このメッセージは削除されました)と表示されます。あなたのチャット画面上でこの表示が出たら、メッセージの送り手が全員宛にそのメッセージを削除したことを意味します。

この全員削除機能が有効なのは、メッセージを送ってから7分以内です。7分を超えたら、誰のスマホ上からも、そのメッセージを消すことはできません。

これは新しいアップデートで提供される機能なので、相手もWhatsAppの最新バージョンを使っていないと、この機能は使えない。現時点ではこのことは大きな障害物だが、時が経つにつれてアップデートが広まり、さまざまな会話で、まずいorやばいメッセージをアンドゥーできるようになるだろう。

でも、多くのWhatsAppユーザーが、遅すぎだよ!、と言いたくなるだろうね。

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チャットやメッセージングを営業とマーケティングのツールにしたいHubSpotがチャットボット制作のMotion AIを買収

営業支援とインバウンドマーケティングの今や古参で大手HubSpot日本)が、チャットボット制作のスタートアップMotion AIを買収したことを、今朝(米国時間9/20)発表した。

Motion AIは2015にローンチし、チャットボットを作るためのエディターを提供している。そのチャットボットは、WebサイトやFacebook Messenger、SMS、Slackなどで動作し、ユーザーはコーディング不要で作成できる。実は、HubSpotのFree CRMにはMotion AIがすでに統合されている。

Motion AIのファウンダーでCEOのDavid Nelsonを含め、全員がHubSpotに加わる。さらに詳細は、来週(9/26)行われるHubSpotのイベントINBOUNDで発表するそうだ。

買収の発表声明の中でHubSpotのCEO Brian Halliganはこう述べている: “今やチャットとメッセージングのインパクトを無視することはできない。それはB2Bで重要なだけでなく、社会全体として重要だ。今はどの企業も大きな転換期にあり、それを好機として乗り切るためには、このような新しいプラットホームを積極的に導入して、ブランドからのより密接で常時つながってる状態のコミュニケーションを求める消費者を、前向きに受け入れて行かなければならない”。

数か月前にAIのKemviを買収したHubSpot は、そのときと同じく、買収の条件等を公表していない。Motion AIはCharge VenturesやCrush Venturesなどから資金を調達している。

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Slackが評価額50億ドルで$250Mを調達中、ラウンドのリーダーはSoftBankほか

本誌TechCrunchが確認したところによると、エンタープライズメッセージングサービスのSlackが、50億ドルの評価額で2億5000万ドルの資金調達ラウンドを行っている。SoftBankおよびAccel Partnersのほか、既存の投資家たちも参加しているらしい。

2億5000万ドルという額を報じたのはBloombergで、ラウンドの協同リーダー(SoftBank, Accel Partners)の名を最初に挙げたのはAxiosだ。Recodeは先月、5億ドルのラウンドを報じていたが、その額が2億5000万ドルに落ち着いたのが、今回のラウンドのようだ。

これまで、買収の話いろいろあり、しかし某直接の情報筋は、どこでもその話は前進していない、と言っている。

でも投資家たちは確実に、Slackには強力なエグジットのポテンシャルがある、と信じている。これまでの、公表されている資金調達額は5億ドルを超えており、50億ドルの評価額は、一部の投資家たちが同社がそれを大きく上回る額で買収ないし上場される、と考えていることを意味している。

本誌TechCrunchでも、社内のコミュニケーションの多くにSlackを使っている。とくにその現代的なインタフェイスが、多くの人に好まれている。(それにGIF!!、Giphyの統合をすごく気に入っている人たちもいる。)

Slackはシリコンバレーで、ほとんどスーパーアイドルなみのファンを獲得している。でも今後の課題は、世界中の大企業が進んで採用する気になることだ。Slackは、メールよりも便利という売り込みで成功したが、しかし会社の外の人たちとのコミュニケーションのためのプラットホーム、とは言えない。

Yammerもかつて、同様の人気を獲得したが、Microsoftに買われてからは生彩をなくした。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))