Daybreak Healthが十代向けオンラインメンタルヘルス治療を開始

Y Combinator(Yコンビネーター)が支援するスタートアップのDaybreak Health(デイブレイク・ヘルス)は、訓練を受けた10人のメンタルヘルスの臨床医チームと協力し、サンフランシスコ・ベイエリアの高校の十代の若者にメンタルヘルスサポートを行っている。

Daybreak Healthの3人の共同創業者であるAlex Alvarado(アレックス・アルバラド)氏、Siddarth Cidambi(シダース・シダンビ)氏、Luke Mercado(ルーク・メルカド)氏は、スタートアップを新しく立ち上げると決める前は、ヘルスケア業界のスタートアップで働くか、ヘルスケア業界に関するコンサルティングに数年間従事していた。

弟が12歳の時からうつ病に悩まされているアルバラド氏は、問題は個人的なものだとインタビューで述べた。同氏が電話で、弟が数十年にわたる長い闘病の末に自死を図ろうとしたと聞いたのは、ほんの2年前のことだった。

現代の治療の方法論がいかに破綻しているか、アルバラド氏が気づいたのはその時だった。彼の家族は弟のために一貫したケアを見つけようとしたが、セラピストは高額で近くにおらず、順番待ちは数週間におよび、十代の若者(特に非白人の十代)が受診するのは難しかった。

アルバラド氏の弟だけの問題ではない。同氏は「米国の十代の若者の5人に1人はメンタルヘルスの問題を抱えているか抱えると見込まれている。新型コロナウイルスの流行に対する国の効果のない対応は、問題を悪化させているだけだ」と語る。統計では、米国には何らかのメンタルヘルスの問題を抱える青少年が現在700万人おり、うつ病や不安の割合は上昇(US News記事)している。

Daybreak Healthと協働する10人の臨床医チームは、エビデンスに基づくケアの深い経験がある。アルバラド氏は、チームが相談を受ける患者のほとんどに臨床医が指導する行動療法を受けてほしいと考えている。それほど深刻でないメンタルヘルスの問題を抱える十代の若者向けに、同社が「訓練されたリスナー」と呼ぶ支援チームがある。

アルバラド氏とシダンビ氏は2人ともコンサルティング会社のOliver Wyman(オリバー・ワイマン)で働いていた。メルカド氏とアルバラド氏はヘルスケアスタートアップのJiff(ジフ)で知り合った。Jiffは会社勤めの従業員に福利厚生を提供する企業で、Castlight Health(キャストライト・ヘルス)によって買収された。

真のメンタルヘルスのために、同社はメンタルヘルスのイノベーションに力を入れるスタンフォード大学のBrainstorm Lab(ブレインストームラボ)からNeha Chaudhary(ネハ・チョーダリー)博士を招いた。「実際には彼らが当社の臨床プログラムをゼロから設計する」とアルバラド氏は言う。

画像クレジット:Daybreak Health

同社は現在、ベイエリアの20の学校と小児科グループと協働し、13~19歳の十代の若者の治療を行っているとアルバラド氏は述べた。現在、学校と小児科の両方から同社に患者が紹介されている。ケアの費用は週89ドル(約9500円)の料金か保険のいずれかでカバーされる。

「これは総合的な治療プログラムだ」と同氏。「我々は従来の治療法を改善したと考えている。1対1の治療だけでなく、いつでもカリキュラムを受けることもできるからだ」。「十代の若者にとって、特定の行動を防ぐ介入だけが重要なわけではない」とシダンビ氏は言う。「十代の若者が対処法を身につけ、大人と同じようにメンタルヘルスのプレッシャーに適切に対応できるようになることも大切だ」。

アルバラド氏は「このプログラムは少しストレスを感じている十代や、子供の成績を心配する保護者向けではない」と強調する。十代の若者がプログラムに参加する前に、本人と保護者を交え1時間の面談を行う。同社が治療不要と判断し、断った顧客もいる。「当社の目標は、誰かを治療することだけではない」。

同氏は、現在ベイエリアの提携校の生徒の何人が治療を受けているかについては明らかにせず、学校にはベイエリアの公立と私立の両方が含まれると述べた。「当社と学校との主な接点は、スクールカウンセラーかウェルネスコーディネーターになる」とシダンビ氏。Daybreak Healthは紹介料を支払わないが、サービス宣伝のため学校のカウンセラーにコンタクトする。

十代の若者にオンラインカウンセリングサービスを提供しているのは同社だけではない。TeenCounseling(ティーンカウンセリング)は5000人のセラピストを擁し、週80~100ドル(約8600~1万0700円)でサービスを提供する。

「当社がしていることの素晴らしい点は、臨床プログラムとテクノロジーの融合だ」とアルバラド氏は語る。「当社は常にセラピストを関与させたいと考えている。当社はモバイルアプリも開発している。つまり、アプリを通してコミュニケーションを行い、患者が自分でエクササイズを行えるようにするためだ。だがそれがスタンドアロンアプリになるとは思っていない」。

画像クレジット:Scar1984 / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

メンタルヘルスをタブー視するアジアの文化に挑むIntellect

精神面の健康管理は、体の健康管理と同じくらい重要だ。しかしアジアではメンタルヘルスはタブー視されている。シンガポール拠点のスタートアップIntellect(インテレクト)はアプリによってメンタルヘルスにアプローチしやすくしたいと考えている。アプリでは、認知行動療法のテクニックに基づく自分で取り組めるエクササイズを提供している。

同社は消費者向けと企業向けのアプリを手掛けていて(企業向けアプリでは雇用主が従業員に厚生として提供する)、シンガポールやインドネシア、インド、中国にユーザーを抱える。

今年初めにベータ版を立ち上げて以来、ユーザー1万人と、スタートアップから大企業までさまざまな規模の企業10社がサインアップした、とIntellectの共同創業者でCEOのTheodoric Chew(セオドリック・チュー)氏は話す。同社は北京語とインドネシア語のバージョンの立ち上げを計画していて、ローカル版エクササイズを開発すべく現在研究者と取り組んでいる。ローカル版エクササイズには、日記づけや習慣に関するエクササイズが含まれる。ストレスや自己管理の甘さ、精神面でのバーンアウト、睡眠問題などをテーマとするショート音声クリップの「レスキュー・セッション」もある。

同社はプレシードラウンドで資金調達し、起業をサポートするシンガポール政府機関のEnterprise Singaporeも出資した。

米国や欧州では、一般的なメンタルヘルス問題にいかに対処すべきかをユーザーに一指南する自助アプリが増えている。新たに加わったものをいくつか挙げると、Headspace、MoodKit、Moodnotes、Sanvello、そしてHappifyなどがある。しかし自助アプリを展開する動きはアジアではまだ初期にある。

Intellectを立ち上げる前、チュー氏は2015年に楽天に買収された旅行予約マーケットプレイスVoyaginでアフェリエイト成長とコンテンツマーケティングの責任者を務めていた。そして同氏は自身の経験からメンタルヘルス分野に興味を持つようになった。

「私は不安の症状で一時期セラピーに通っていた。アジアでは(メンタルヘルスのセラピーを受けることに対し)社会的にマイナスのイメージがかなりあり、ツールはさほど多くない。米国や欧州ではすでに数多くあるが、アジアではまだまだだ」とTechCrunchに語った。

そして「ほとんどの人がメンタルヘルスについて話そうとしない。アジアではそうした傾向が強いが、メンタルヘルスという枠組みではなく個人の問題に取り組む、自己管理力や自信のなさに取り組むというふうにとらえ方を変えると、人々は態度をかなり変える」と付け加えた。

メンタルヘルスケア専門家のフィードバックをもとにIntellectは開発されたが、チュー氏は専門家のセラピーに取って代わるものではない、と強調する。その代わり、メンタルヘルスの話題が避けられる傾向が強い文化において、自身のメンタルヘルスを管理しやすい方法を人々に提供することを意図している。アプリにあるエクササイズは、気分の落ち込みや不安の解消だけでなく、自己主張の展開や批判対応といった職場や人間関係に伴う問題の解決にも使える。アプリの企業向けバージョンは、産業に合わせてエクササイズをカスタマイズできる。これはスタートアップや、大企業が提供できるような従業員サポートプログラムを持っていない中小企業のためのものだ。大企業が提供する従業員サポートプログラムには往々にして相談電話やメンタルヘルスケアサービス案内などのリソースが用意されている。

消費者向けアプリは月払いの定額料金ですべての機能が無制限に利用できる。ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのいまは無料で提供している。

ゆくゆくは、アプリ内でユーザーが利用できるメンタルヘルス専門家のネットワークを開発したい考えだ。

「当社は、セラピーは鬱と診断された人だけでなくみんなが利用できるもの、というアプローチをとっている」とチュー氏は語る。「3〜5年内に、毎日の悩みを解決できるセラピーコモンプレイスをつくりたい。また、より医療的な問題にも取り組みたいと考えているが、認知行動療法に基づくメソッドを使って日々の問題に取り組む方法としてとらえれば、ほとんどの人がメリットを得られると思う」

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(翻訳:Mizoguchi

催眠術で健康に、Mindset Healthの主張に投資家が1.2億円を賭ける

Chris(クリス)とAlex(アレックス)のNaoumidis(ナオウミディス)兄弟は、洋服販売の世界から催眠療法にやってきた。

2019年に、ニューヨーク・タイムズが伝えたところによると、2人はもともと女性向けのP2P(ピアツーピア)方式のドレスシェアリングアプリでスタートアップ起業家の道を歩み始めた。オーストラリア生まれの兄弟は、スタートアップの世界で成功する能力に自信が持てずに気落ちしていたのだが、アプリがうまくいかなくなったとき、父親から催眠療法を試すよう勧められた。

その治療を受けたのをきかっけに、兄弟はMindset Health(マインドセット・ヘルス)を創設し、Fifty Years、YC、Gelt VC、Giant Leap VCさらに米国とオーストラリアのエンジェル投資家たちから110万ドル(約1億1800万円)の資金を調達した。

2019年12月にクローズしたこのラウンドは、小規模ながら数多くの投資家が参加しているわけだが、それは近年の精神的健康への投資家たちの関心の高まりを表している。

現代社会での生活に付きものともいえる精神障害の治療アプリは、この市場に大量に出回っている。セラピストとのマッチングをしてくれる企業もあれば、認知行動療養などの形で心の健康を支えるツールを提供する企業もある。マインドフルネスや瞑想を指導してくれる10億ドル規模の企業もあれば、催眠療法を提供する企業もある。

アレックスたちは、兄弟で受けた催眠療法からヒントを得た。「瞑想のようにできないだろうか。それを人々の役に立つ形で市場に送り込めないだろうか」とアレックス・ナオウミディス氏は私に話してくれた。

瞑想は数百万ドル(数億円)規模のビジネスだ。Calm(カーム)やHeadspace(ヘッドスペース)といったアプリは、何百万ドルものベンチャー投資をかき集め、数十億ドルの評価額を得ている。

アレックス・ナオウミディス氏は、彼らのアプリは治療用ではないと強調する。現在の規制では治療用として宣伝することができないのだ。「むしろ、自己管理ツールのようなものです」と彼はいう。「不安や『過敏性腸症候群』を持つ人たちが、家庭でそれらの症状を管理できるよう手助けして、治療努力を補完するのです」。

目標は、さまざまな症状に対処できる数多くのアプリをMindsetの傘下に揃えることだと、アレックス・ナオウミディス氏はいう。最初は、ごく標準的なメンタルウェルネスアプリとしてスタートしたが、今ではその汎用的なメンタルウェルネスMindsetツールキットに、過敏性腸症候群(IBS)に特化した製品であるNerva(ナーバ)も加わった。

Nervaのサブスクリプションは安くはない。99ドル(約1060円)の前払い金に加えて、3カ月のサブスクリプション料金として88ドル(約9400円)かかる。Mindsetのサブスクリプション料金は、ニューヨーク・タイムズの記者Nellie Bowles(ネリー・ボウルズ)氏が初めてこの製品を試したときは64ドル(約6850円)だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行期間中の価格として、今は11ドル(約1180円)に値下げされている。

バウルズ氏は、こう伝えている。

最初のステップとして、アプリは友だちにメールかTwitterで「自分自身に打ち勝った者は最強の戦士である」という格言を伝えるよう私に進言する。次の19分間は、優しい男性の声で、私の心はスローダウンできると聞かされる。それにより不安は決意に変換される。この行程は日常の習慣にもなる。そうなれば、私は行動的な人間になれる。行動的な人間だ。

私は他にも生産性の向上のモジュールも試した。こちらは、はつらつとした若者の声だ。イケイケな感じで私の耳の中で、「私は自分に、自分が何になりたいか、何をしたいかを知ることと、そしてそれを効率的にやることの許可を与えた」という彼の言葉を繰り返すよう言ってくる。

こうした精神的健康のためのアプリは(どんなアプリもサプリも事業も同じだが)、その健康上の効能を裏付けるためには臨床研究が必要になる。Mindsetの製品開発にも医師が参加している。最初のMindsetアプリは、Michael Japko(マイケル・ジャプコ)博士との共同開発であり、IBSアプリはSimone Peters(シモーヌ・ピータース)博士とともに制作された。

どちらの博士も、治療コース開発の代償として同社から分配収益を受け取ることになっている。

共同創設者の1人は、彼らはこのサービスが成功をもたらすと非科学的に信じているのだと話す。プログラムの始めと終わりに、利用者は自分の症状を自己申告するのだが、プログラム修了者のうち90パーセントの人の症状が軽減されたという(登録者の中のどれだけの人が修了したかは不明)。

「私たちの考えは、このようなすばらしいプログラムを開発した研究者を助けて、デジタルで提供するということです」とアレックス・ナオウミディス氏はいう。「より使いやすくするために、私たちは世界でも有数の研究者たちと協力してきました」。

画像クレジット:Scar1984 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Netflixがメンタルヘルス関連の若者向けインスタライブシリーズを開始

世界的に新型コロナウイルスの感染が広がる中、Netflixがインスタグラムでメンタルヘルスをケアする新しいシリーズを始める。このシリーズはインスタライブで配信される。初回は太平洋標準時の4月9日午後7時、日本時間の4月10日午前11時からの配信で、Netflixで人気のヤングアダルト向け番組や映画のスターが登場する。

このシリーズは太平洋標準時の5月14日まで、毎週木曜日にNetflixのインスタグラムアカウントで配信され、健康を脅かしている今の時期に若者が直面する課題を取り上げる。

具体的には「眠れないときはどうするか」「ソーシャルディスタンシングをとりつつ、ほかの人とのつながりを保つには」「不安をマネジメントする方法」「セルフケアとは何なのか」といったトピックが予定されている。

登場するスターは、ノア・センティネオ(「好きだった君へのラブレター」に出演)、ジョーイ・キング(キスから始まるものがたり)、ロス・バトラー(13の理由)、ケイレブ・マクラフリン(ストレンジャー・シングス 未知の世界)、ラナ・コンドル(好きだった君へのラブレター)、ジェリー・ハリス(チアの女王)、アリーシャ・ボー(13の理由)など。

全米精神疾患患者家族会(NAMI)、Mental Health America、トレバープロジェクト、Crisis Text Line、全米自殺防止財団などの組織が協力しており、登場するスターはこれらの組織の信頼できるメンタルヘルスの専門家とともに話をする。

配信の初回には「好きだった君へのラブレター」に出演したノア・センティネオが登場し、全米精神疾患患者家族会(NAMI)の最高メディカル責任者、Ken Duckworth(ケン・ダックワーズ)博士とともに、セルフケアについて語る。

Netflixはこれまでにもインスタグラムでマーケティングをしてきたが、この新しいライブシリーズはNetflixの番宣の要素は薄く、人気スターのパワーを借りて役に立つことをしようというものだ。

家族などよりも友達とのつながりを大切にしがちな若者にとっては、パンデミックで生活が一変した。卒業パーティーや卒業式など、子供から大人へと成長する重要な節目も混乱している。COVID-19に関して若者が直面する困難は、大人が直面している仕事や収入、家族の健康などの問題とは違うとも言える。

Netflixはこのシリーズのコンセプトと登場するスターを紹介する予告編を公開した。同社は今後約1カ月間、エピソードの詳細もインスタグラムで共有していくとしている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)

2020年版メンタルヘルステックカオスマップをemolが公開

メディテーションアプリの「Calm」や、オンラインセラピーの「Talkspace」など、米国で先行する“メンタルヘルステック”関連のサービス。日本でも、働き方改革やストレスチェックの義務化など、政府の施策も相まって、そろそろ花開こうとしているようだ。

AIとのチャットを利用した個人向けの感情ログアプリ「emol(エモル)」や法人向けのメンタルケアプラットフォーム「emol work(エモルワーク)」を提供するemolは1月14日、「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2020年版」を公開した。

従業員のメンタルヘルス支援領域にサービス多数

カオスマップでは、国内で展開される70あまりのメンタルヘルステックサービスが、7つのカテゴリに分けて紹介されている。

このうち、とりわけ多くのサービスが取り上げられているのが“HR”で括られた、企業の人事部門向けの分野だ。emol workのほかにも、従業員のメンタルヘルス分析・ケア支援を行うもの、エンゲージメントや離職リスクを可視化するもの、2015年から義務化が始まったストレスチェックを活用して組織のメンタルヘルスケアを行うものなど、健康経営を意識した、さまざまなソリューションが並ぶ。

emolは「働き方改革や健康経営に関心を持つ企業が増えているという背景から、企業向けメンタルヘルスサービスへのニーズが高まっている」として、「従業員のメンタル状態は組織へのエンゲージメントにも深く関わっており、さまざまなHRサービスが展開されている」と企業のメンタルヘルスを取り巻くサービスの傾向を説明する。

emol自体も、当初リリースした個人向けアプリに加えて、2019年12月に法人向けのemol workのベータ版をリリースしたばかり。emol workは、従業員のメンタルケアを通じて組織の生産性向上をサポートするためのプロダクト。簡単なアンケートを通じて従業員のメンタル状態を可視化し、アプリを通じて個々の従業員にパーソナライズしたメンタルケアのトレーニングメニューを提案するというものだ。

また、カオスマップ公開と同時に同社は、emol work内に組織内のメンタリングを支援する「emol team」をリリース。従業員のメンタル状態に合わせて、適切なタイミングで任意のメンターに1on1ミーティングの申請ができるようになった。メンターには、emol workの管理者向けトレーニングを履修済みの管理者のみが登録でき、emol workを通じてメンター育成もサポートする形となっている。

ロボティクス分野などソリューションの多様化も進む

カオスマップには、そのほかに“CCBT(コンピュータ認知行動療法)”、“カウンセリング”、“体調管理”といった分野に分けて、日本で展開中のサービスが紹介されている。

“CCBT(コンピュータ認知行動療法)”の分野にはemolのほか、「KibunLog」や「selport」といった感情ログをベースにしたメンタルケア支援アプリや、睡眠データ測定・支援の「O:Sleep」、瞑想・マインドフルネスをサポートする「MYALO」や「cocorus」などのアプリ/サービス群が含まれる。

“カウンセリング”のエリアにあるのは、オンラインカウンセリングの「cotree」、AIとチャットで対話する「SELF」、ホログラフィーによるバーチャルアシスタントがADHD当事者を支援する「Holoash」などのサービス。

“体調管理”のエリアでは、女性向けアプリの草分け的存在「ルナルナ」や、スマホカメラで指先を撮影してストレスチェックする「COCOLOLO」、音声からその日の気分をチェックする「じぶん予報」などが挙げられている。

マップ中でちょっと面白いカテゴリとしては“ハードウェア・ロボティクス”の分野がある。ここにはCESでも話題になったしっぽロボの「Qoobo」“温かい”小型ロボの「LOVOT」も掲載されている。

そのほかマップでは、うつ病患者や家族のためのコミュニティを含む“コミュニティ”カテゴリ、体調に合わせてAIがハーブティーをブレンドする「herbox」などを含む“ハーブ”カテゴリが掲載されている。

カオスマップを発表したemolは「幸せの定義が画一的であった時代は終わり、人それぞれに幸せな人生の定義がある。人のライフスタイルに合わせたさまざまなソリューションが必要とされている時代に変遷している傾向が見られる」とメンタルヘルステック領域でのソリューションの多様化について説明している。

メンタルヘルスのスタートアップeQuooのアプリが英国国保公認に

英国を拠点とするメンタルヘルスのスタートアップeQuooは、英国のNHS(National Health Service=国民健康保険)アプリライブラリに、ゲームとして唯一登録された。シード資金調達ラウンドも間もなく完了する予定だ。このアプリは、健康的な心理スキルを教えることを目的とした感情フィットネスのためのゲームとなっている。

今回のNHSの発表は、英国の医師が、患者の精神的健康と幸福感を増進するためにeQuooを正式に紹介できるようになったことを意味する。

また、このアプリは健康関連のアプリを評価する主導的なプラットフォーム、ORCHAで最高の評価を獲得した。さらに、ドイツ最大の保険会社、Barmer(バールメール)などのクライアントも獲得している。

創立者でCEOのSilja Litvin(シリア・リトビン)氏は、メンタルヘルスの危機に対処するために、このスタートアップを立ち上げたと言う。「摂食障害や気分障害を持った人に対応するため、NHSトラストで働いていました。その際、若いクライアントの多くが、たった6回のセッションのために、数カ月も待たなければならないという事実に落胆していました。心理学者を自由に増やすことはできませんが、アプリならいくらでも配布できます。そこで、アプリを作ることにしたのです。エビデンスに基づいて鬱に対処するアプリ、PsycAppsを開発した後、メンタルヘルスアプリは、最初の1週間で最大90%の人が脱落してしまうものだということを手痛い経験として学びました。そこでeQuooを立ち上げて、ゲームにすることに方向転換したのです。カジュアルゲームは、メンタルヘルスの増進に有効で、本質的にプレイヤーを引き付ける力があります」

NHSの広報担当者は「イギリス全土の約58%の一般開業医は、すでにEMISアプリライブラリに登録されたeQuooを、直接患者に紹介できます。EMISアプリライブラリは、IQVIAのAppScript®プラットフォームによって運営されています。それにより、EMIS Web臨床システムのユーザーとなっている臨床医は、既存のワークフローを利用して、高品質のデジタル健康アプリを見つけ、テキストメッセージやメールで直接患者に推奨できます。そのプラットフォームにリストされているすべてのアプリ(eQuooを含む)は、NHS DigitalのDAQ(デジタル評価基準)によって、臨床安全性、データ保護、セキュリティ、使いやすさに関して評価済となっています」と述べている。

2019年初め、eQuooはBosch UK(ボッシュUK)と協力して、350人以上の参加者を集めて5週間の無作為対照化された「3群試験」を実施した。それにより、アプリの科学的裏付けも認められた。これは、人気の高いメンタルヘルスチャットボットのスタートアップ、Woebot(ウォボット)が、70人の参加者を対象に、わずか2週間の試験を実施したのと対照的だ。

その結果、5週間にわたってアプリを使用した場合、「統計的に有意な幸福感指標の増加」と不安感の大幅な減少が認められた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Pinterestに心の健康のためのアクティビティが表示される

Pinterest(ピンタレスト)は心の健康に関するトピックを検索する多くのユーザーに向けて、心の健康のためのアクティビティを紹介するサービスを開始する。

アクティビティは、Brainstorm: Stanford Lab for Mental Health Innovation(メンタルヘルスの研究所)、Vibrant Emotional Health(ニューヨークのメンタルヘルスサービス)、National Suicide Prevention Lifeline(米国の自殺防止電話相談サービス)の協力を得て作られた。ユーザーが不安や悲しみ、ストレスを感じたときに、深呼吸やセルフ・コンパッション(自分を受け入れて思いやる)のエクササイズをするように促す。

Pinterestのユーザーが「stress quotes(ストレスに関する言葉)」「work anxiety(仕事の不安)」など気持ちが落ち込んでいるかのような言葉を検索すると、アクティビティが表示されるという。

アクティビティはほかの項目とは異なる外観で表示される。同社は、アクティビティは個人的なものでありユーザーのアカウントとは関連づけられないことをユーザーに理解してもらいたいという。アクティビティの利用をもとにおすすめや広告が表示されることはなく、同社は利用を追跡しない。アクティビティは他社のサービスによって匿名で保存される。同社はそのサービスの名前を明らかにしなかったが、「分析において定評のあるトップ企業」だという。

PinterestのプロダクトマネージャーであるAnnie Ta(アニー・ター)氏は次のように述べている。「人々は、アイデアを見つけ、刺激を受け、自分自身や自分の興味、将来を見つめるためにPinterestを使っている。検索はインスピレーションに出あう重要な方法だ。夏の楽しみ方から自分をクリエイティブに表現する方法まで、さまざまなことを見つけられる。しかし人生はいつも素晴らしいことばかりではないし、インターネットもそうだ」。

同社は今後数週間以内にこの新しいプロダクトを全面的に展開する。

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(翻訳:Kaori Koyama)

英ハリー王子がApple TV+向け番組を制作、メンタルヘルスを話題に

先月正式に発表されたAppleの来たるストリーミングサービスApple TV+にビッグネームが加わった。英国のハリー王子だ。ハリー王子とメーガン・マークル妃のオフィシャルInstagramアカウントでの発表によると、ハリー王子と米国で有名な司会者・俳優であるオプラ・ウィンフリーは共同で、メンタルヘルスにフォーカスしたApple TV+ドキュシリーズの制作にあたる。

「良いメンタルヘルス(メンタルフィットネス)は強力なリーダーシップ、実りの多いコミュニティ、自己の存在意義にとって鍵となると確信している」とハリー王子は声明文で述べた。

「このところ身近な問題となっているこのテーマの事実や科学、わかっていることなどをみなさんに正しく届けるのは責任重大だ。深い暗闇から戻ってくるという無比の精神ストーリーを共有し、私たちが自己や周囲の人たちをよく理解できる機会になるよう、このシリーズがポジティブで啓発的、包括的なものになることを願っている。この重要なシリーズにオプラと共に取り組めることをとても光栄に思っている」と記している。

オプラがApple TV+に取り組むことは、当時はまだ名称が付いていなかったAppleのストリーミングサービス向けのオリジナルコンテンツの制作でAppleと複数年の契約を結んだとして、2018年6月に発表された。

3月のプレスイベントでAppleはオプラ・ウィンフリーをステージに登場させて、彼女がどんな番組にしたいと考えているのか詳細を語らせた。そこでは、職場でのセクハラの影響を検証するドキュメンタリー「Toxic Labor」と、タイトルはまだ付いていないメンタルヘルスに関するマルチパートシリーズが明らかにされた。

その際、ハリー王子が関わるとの言及はなかった。

しかし今日の発表では、ハリー王子はここ数カ月関わってきたと述べられている。

ウィンフリーによると、シリーズでは鬱や不安、外傷後のストレス、依存症、トラウマ、喪失という悩みがいかに世界中で毎日命を奪っているかを取り上げる。「狙い通りにいけばの話だが、この番組はメンタルヘルス問題に伴う恥や汚名を『同情や誠実さ』に変えることを目的としている」と彼女は語った。

メンタルヘルスは、このシリーズの共同制作に同意する前からハリー王子自身もフォーカスしてきたものだ。

声明文では次のように説明されている。

私たちそれぞれが直面している課題に関する率直な対話を促し、そして単に生き延びるためだけでなく成長するためのツールをいかに身につけるか。ダイナミックなマルチパートのドキュメンタリーシリーズでは精神の病と、精神の健全性の両方にフォーカスし、視聴者を励ますものとなる。

こうした内容は、サセックス公爵のメンタルヘルスにかかる長い取り組みやイニシアチブの上に成り立っている。今までの取り組みの中でサセックス公爵は自身の体験を共有し、密かに苦しんでいる人を擁護し、そうした人たちが真に必要としている助けやサポートを受けられるよう力づけてきた。

ウィンフリーはまた、「CBS This Morning」に出演し、メンタルヘルスやシリーズ、そしていかにハリー王子とこのプロジェクトを共同で行うようになったのか語った。

ウィンフリーがハリー王子に世界が直面している重要な問題は何だと思うか尋ねたところ、ハリー王子は2つ挙げた。気候変動とメンタルヘルスだ。

「ご存知のように、ハリー王子は自身が抱えた問題や、母親を亡くした後に体験したこと、それについて話すことが自身にとっていかに救いになったかを語ってきた」とウィンフリーはCBSで述べた。「これは彼の情熱。そして会話の最後に私は『このことを私はAppleと取り組もうとしているの』と言って、私にとってもこれは大きな関心事だと話した。そしてハリー王子にこのAppleプラットフォームについて伝えたら、ハリー王子は最後に『私に手助けできることが何かあれば』と。そして私は『実際のところ…』と続けたの」。

このドキュシリーズはまだ名称は付いていないが、今秋に予定されているApple TV+のサービス提供開始の翌2020年に始まる予定だ。

イメージクレジット: Samir Hussein/Samir Hussein/WireImage / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

英ハリー王子がApple TV+向け番組を制作、メンタルヘルスを話題に

先月正式に発表されたAppleの来たるストリーミングサービスApple TV+にビッグネームが加わった。英国のハリー王子だ。ハリー王子とメーガン・マークル妃のオフィシャルInstagramアカウントでの発表によると、ハリー王子と米国で有名な司会者・俳優であるオプラ・ウィンフリーは共同で、メンタルヘルスにフォーカスしたApple TV+ドキュシリーズの制作にあたる。

「良いメンタルヘルス(メンタルフィットネス)は強力なリーダーシップ、実りの多いコミュニティ、自己の存在意義にとって鍵となると確信している」とハリー王子は声明文で述べた。

「このところ身近な問題となっているこのテーマの事実や科学、わかっていることなどをみなさんに正しく届けるのは責任重大だ。深い暗闇から戻ってくるという無比の精神ストーリーを共有し、私たちが自己や周囲の人たちをよく理解できる機会になるよう、このシリーズがポジティブで啓発的、包括的なものになることを願っている。この重要なシリーズにオプラと共に取り組めることをとても光栄に思っている」と記している。

オプラがApple TV+に取り組むことは、当時はまだ名称が付いていなかったAppleのストリーミングサービス向けのオリジナルコンテンツの制作でAppleと複数年の契約を結んだとして、2018年6月に発表された。

3月のプレスイベントでAppleはオプラ・ウィンフリーをステージに登場させて、彼女がどんな番組にしたいと考えているのか詳細を語らせた。そこでは、職場でのセクハラの影響を検証するドキュメンタリー「Toxic Labor」と、タイトルはまだ付いていないメンタルヘルスに関するマルチパートシリーズが明らかにされた。

その際、ハリー王子が関わるとの言及はなかった。

しかし今日の発表では、ハリー王子はここ数カ月関わってきたと述べられている。

ウィンフリーによると、シリーズでは鬱や不安、外傷後のストレス、依存症、トラウマ、喪失という悩みがいかに世界中で毎日命を奪っているかを取り上げる。「狙い通りにいけばの話だが、この番組はメンタルヘルス問題に伴う恥や汚名を『同情や誠実さ』に変えることを目的としている」と彼女は語った。

メンタルヘルスは、このシリーズの共同制作に同意する前からハリー王子自身もフォーカスしてきたものだ。

声明文では次のように説明されている。

私たちそれぞれが直面している課題に関する率直な対話を促し、そして単に生き延びるためだけでなく成長するためのツールをいかに身につけるか。ダイナミックなマルチパートのドキュメンタリーシリーズでは精神の病と、精神の健全性の両方にフォーカスし、視聴者を励ますものとなる。

こうした内容は、サセックス公爵のメンタルヘルスにかかる長い取り組みやイニシアチブの上に成り立っている。今までの取り組みの中でサセックス公爵は自身の体験を共有し、密かに苦しんでいる人を擁護し、そうした人たちが真に必要としている助けやサポートを受けられるよう力づけてきた。

ウィンフリーはまた、「CBS This Morning」に出演し、メンタルヘルスやシリーズ、そしていかにハリー王子とこのプロジェクトを共同で行うようになったのか語った。

ウィンフリーがハリー王子に世界が直面している重要な問題は何だと思うか尋ねたところ、ハリー王子は2つ挙げた。気候変動とメンタルヘルスだ。

「ご存知のように、ハリー王子は自身が抱えた問題や、母親を亡くした後に体験したこと、それについて話すことが自身にとっていかに救いになったかを語ってきた」とウィンフリーはCBSで述べた。「これは彼の情熱。そして会話の最後に私は『このことを私はAppleと取り組もうとしているの』と言って、私にとってもこれは大きな関心事だと話した。そしてハリー王子にこのAppleプラットフォームについて伝えたら、ハリー王子は最後に『私に手助けできることが何かあれば』と。そして私は『実際のところ…』と続けたの」。

このドキュシリーズはまだ名称は付いていないが、今秋に予定されているApple TV+のサービス提供開始の翌2020年に始まる予定だ。

イメージクレジット: Samir Hussein/Samir Hussein/WireImage / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

スクウェア・エニックスも利用、職場向けメンタルヘルス・プラットフォーム「Unmind」

「この社会におけるメンタルヘルスのサポートは不十分だ、特に職場では」

そう話すのはイギリスのメンタルヘルス領域のスタートアップUnmind(アンマインド)の共同創始者でCEOのニック・テイラー。彼は臨床心理士でもある。

2016年創業のUnmindが提供するのは職場向けメンタルヘルス改善プラットフォームの「Unmind」。従業員のメンタルヘルスを改善するためのツールやトレーニング、精神状態のアセスメントなどを提供する。Unmindのスマホアプリではストレス発散、睡眠改善、集中力アップのための特別なプログラムも用意されている。

「誰にだってメンタルヘルスがあり、健康な精神状態を保つためのサポートは労働者の活躍に不可欠」(テイラー)だが提供されるサポートの多くは問題が起きてから対応し、かつ、“好印象”とは言い難いため、従業員の理解を得ることは難しい。

一方で、Unmindは誰もがメンタルヘルスを改善そして悪化を予防するために使える“ポジティブ”なソリューションとなっている。テイラーいわく、“匿名”で利用できる同プラットフォームを提供することで、従業員たちは自らのメンタルヘルスを積極的に計測、管理、そして改善することが可能だ。

「従業員はいつでもどこでも、匿名で、Unmindを使うことができる」(テイラー)

Unmindは現在、Square Enix、John Lewis & Partners、Made.com、William Hill、Yorkshire Building Society、Thomsons Online Benefits 、そしてPentland Brandsなどをクライアントとして抱えている。

「我々はまだ若い会社だが、Unmindはすでに世界中で使われている」(テイラー)同氏いわく、同社は1000人以上の従業員を抱える企業にUnmindを提供することに重点をおいているという。

そんなUnmindはロンドンのFelix Capitalに加え、Thomsons Online Benefitsの創業者であるMichael WhitfieldとChris Bruceから合計で300万ポンドの資金調達を実施したと明かしていた。

同社は調達した資金を元に、プロダクトを改良し、コンテンツを増やしていくという。同社のより大きな目標は、メンタルヘルスに関し「深く理解し、教育され、尊重される」職場作りに貢献することだ。

【原文】

(TechCrunch US版の記事を翻訳、編集しました)

CES 2019の主役はメンタルヘルスだった

先週ラスベガスのコンベンションセンターでは今年最大の新製品の数々が展示された。しかしここ数年、サンズ・ホテルが本当の魔法の起こる場所になった。ショウの中でユーレカ・パークと呼ばれる場所には、スタートアップやアクセラレーターが集結し、まだ数年先と思われる製品を披露するも多い。

ざっと見渡した限りでも、業界最大のトレンドが大きく取り上げられていた。昨年からの持ち越しも多かったが——スマートホームとウェアラブルが今回も支配的だった——今後数年間にテクノロジーが向かう先を予感させるものもあった。

この一年間に急上昇した大きなトレンドのひとつが、メンタルヘルスだ。睡眠、くつろぎ、集中、瞑想などの製品が立ち並び、5フィート歩く間に売り込みに合わないことは難しい。なかには、Museの瞑想・睡眠ヘッドセットのように見慣れた顔(少なくともわれわれには)もあったが、山ほどの新顔がそろった。

こうした製品の多くは、数年前大流行したフィットネス・トラッカーの拡張ともいえる。スタートアップたちは、まずわれわれに体を鍛えさせ、次に睡眠を監視し、ついには人の精神状態を追跡しようとしている。基本的脳活動などを追跡するセンサーの利用が容易になったことが、精神健康のコンセプトを推進する後押しになっている。

もちろんこれは価値ある大義である。この数年間、さまざまなテクノロジーの増殖によって、われわれの体と脳はかなり手荒い扱いを受けてきた。テクノロジーがそれを改善できたらすばらしいと思わないだろうか?

多くのケースで効果は明白。長年にわたる研究の結果、静かに座って瞑想しているだけで、ストレスレベルやメンタルヘルスが改善させることがわかった。そういう製品を使って習慣づけができるのはよいことだ。しかし、そこにはフィットネスよりもいっそう多くの詐欺商法が蔓延している。

ここは当然FDAが役割を果たし、検証されていない医学的効果を謳ってはならないことを徹底すべきだが、結局ほとんどの負荷は結局ジャーナリストと消費者にかかってくる。この分野では、プラセボ効果が重要な要素になってくる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITの研究者たちが、ニューラルネットワークにうつ病の検知方法を教えている

MITの研究者たちによる新しい技術は、患者が書いた文章や口頭での反応を分析することで、うつ病を検知することができる。MITのCSAILグループによって開発が始まったこのシステムは「ニューラルネットワークモデルを使用することで、生のテキストやインタビューの音声から、うつ病を示すパターンを発見することができる」のだ。

「新しい被験者が与えられると、この技術はその個人がうつであるか否かを正確に予測することが可能である、その際に質問と答え以外の情報は何も必要とししない」と研究者らは書く。

システムの最も重要な部分は、文脈自由であることだ。すなわち、特定の質問や回答の種類を必要とはしない。ソースデータとして、日常的なやりとりを使用するだけなのだ。

研究者のTuka Alhanaiは「行おうとする質問の種類や、それらの質問に対する回答の種類に制約を課すことはないので、私たちはそれを『文脈自由』であると呼んでいるのです」と語る。

「患者の話し方はそれぞれ異なります。そしてもし私たちのモデルがその話し方の中に変化を見つけたら、医師に対して注意を促すのです」と語るのは論文の共同執筆者であるJames Glassだ。「これは臨床家を助けるために、何らかの手助けをできるか否かを見るための一歩なのです」。

リリースより:

研究者たちは、そのモデルを、メンタルヘルスに課題を抱える患者へのインタビュー(音声、文章、そして動画が含まれる)と、人間によってコントロールされる仮想エージェントのコンテンツを含む、Distress Analysis Interview Corpus(苦痛分析インタビューコーパス)の142件の対話データセットを用いて訓練し、テストを行った。各被験者は、Personal Health Questionnaire(パーソナルヘルスアンケート)を使用して、0〜27の尺度でうつ病に関して評価されていた。中程度(10〜14)と中の上程度(15〜19)の分画より上のスコアはうつ病と考えられ、それより低いものはうつ病とはみなされない。データセット内のすべての被験者のうち、28人(20%)がうつ状態にあると診断されていた。

実験では、精度と再現率のメトリクスを使用してモデルが評価された。ここで言う精度とは、モデルによってうつと判断された被験者のうち、うつと診断されていたものは何人だったのかを測ったもの。また再現率とは、全部のデータセットの中でうつ病と診断された全ての被験者に対して、モデルの出す正確さを測ったものだ。今回のモデルは、精度では71%を獲得し、再現率では83%を獲得した。エラーを考慮したこれらのメトリクスの合計平均スコアは77%だった。大部分の試験で、研究者たちのモデルは、他のほとんどすべてのモデルより優れていた。

もちろん検出は全体プロセスの一部に過ぎないが、このロボセラピストは、実際のセラピストが長い時間をかけて行う分析に対して、問題を見つけて分離することを助けることができる。それはメンタルヘルスにおける、魅力的な一歩だ。

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(翻訳:sako)

Image Credits: Bryce Durbin

Provataが瞑想アプリをローンチ、VR空間でマインドルフネスを実践できる

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VRの利点は一体何か?VRはまだ誕生したばかりであり、この命題の答えは今のところ異世界での体験で人生を良くするといった曖昧なものだ。「格別な没入感」を約束するこのテクノロジーが一般に受け入れられ、メインストリームのものになるかはまだ分からない。

現段階でVRを使ったコンテンツにはいくつかのゲームがあるが、ニッチな層にしか訴求できていない(VRを動かすのにプロ仕様の機材が必要だからだ)。他には、実験的なものや教育コンテンツに近いものもある。 バーチャルツアーや医療セラピー、あるいは他者の目線で物事を体験することにより共感を呼び起こすコンテンツなどだ。この分野には、もう一つ別の用途がありそうだ。VRで落ち着いた場所を訪れ、毎日のマインドフルネスを実践するというものだ。

アメリカのデジタルヘルス企業Provata Healthは現実から離れる媒体とするテクノロジーを活用し、瞑想指導を試みている1社だ。Provata Healthは今回、VR用のiOSアプリをローンチした。

モバイルVRヘッドセットを着用してアプリを起動すると、ビーチや滝の近くに座っているかのような360度の落ち着いた環境が現れる。そこで瞑想の指導を受けることができる(iPhone用のVRヘッドセットを持っていなくても、Provataのアプリ単体で瞑想指導を受けることも可能だ。画面に同じ風景が表示され、スワイプして周りを見ることができる)。

また、このアプリはApple Watchといったヘルス情報をトラックするウェアラブルと連携可能で、例えば心拍数の変化などから瞑想セッションの効果を確認することができる。あるいは瞑想に時間を使うことで睡眠にどのような影響があるかを知ることが可能だ。フィットネス用のウェアラブルを持っていない場合は、瞑想の前後にスマホのカメラで心拍数を測ることができると同社は言う。

Provata VR

マインドフルネス分野のアプリやデジタルサービスは増えている。例えば、HeadspaceCalmSimple Habitなどだ。AppleもWatchウェアラブルにBreatheというリラクゼーションアプリを搭載している。

Provataはこれ以外にもデジタルヘルスサービスを展開している。従業員に健康的な活動を勧めたい雇用主を経由して従業員向けの健康指導プログラムを販売している。Provataにとって今回のVRアプリは、初のコンシューマー向けのマインドフルネスを促進するサービスだ。CEOのAlex Goldbergは、「デジタルヘルスで新たなカテゴリーを切り開きたいと考えています。仮想空間での予防ケアという分野です」と話す。

TechCrunchに「瞑想の指導セッションは自社で制作しています」とGoldbergは話す。「瞑想を始める時、瞑想をするのに最適な状態にするため、ユーザー自身が周囲を見渡してリラックスし、心を落ち着けられる場所を選びます。私たちはユーザーが没入的な環境に訪れるたびに異なる位置を試してほしいと考えています。瞑想セッションによっては、周囲の環境も関係してくるからです」。

GoldbergはProvataがすでに提供するウェルネスプログラムには運動を促進したり、食事の栄養バランスを向上させるコンテンツがあり、それらはNIHやCDCが出資する臨床試験を通過しているという。ただ、現時点でこの新しいVR瞑想アプリは、他の多くのVRカテゴリーのサービス同様、効果は検証されていない。

「ピアレビュー研究を行う予定です。アプリで瞑想の前後の心拍数をトラックするといった瞑想のバイオフィードバックを得られる機能の実装ができ、準備ができました」とGoldbergは言う。「心拍数の推移の比較やユーザーのストレスや抑うつスコアなどを調査します」。

「私たちのデジタルヘルスプログラムのピアレビュー研究(Healthy Team Healthy U)は、参加者のメンタルヘルスと身体の健康の両方に良い影響があることが証明された最初のデジタルヘルスプログラムです。このプログラムで抑うつとストレスを減らすことができる理由の1つは、プログラムにメンタルヘルス向上の一環として瞑想を取り入れ、参加者に提供したためです。プログラムを受ける前、特に仕事のストレスが高く検出された参加者のストレスと抑うつスコア(7段階のリッカート尺度を使用)が低減していることが研究結果から分かりました。

「Provata VRは瞑想指導の認知を広め、活用を促促進し、より多くの人に良い効果をもたらすことができると考えています」。

ストレスと対抗するために自分の心に集中し、自己認識を高めたり、落ち着いたりするためにVRヘッドセットで人工的に平穏を得るということに関しては議論の余地があるかもしれない。誰にとってもVR瞑想が最適な方法ということでもないだろう。しかし、補助なしで日常生活から考えを離すことに苦労している人にとってこのVRアプリは、ストレスを減らすアクティビティを行うための手段にはなるかもしれない。

このアプリの瞑想時間は「意図的に短く」しているとGoldbergは言う。2分、5分、10分の瞑想時間が選べる。理由はVRであまりに長い時間過ごすことを防ぐためという(気分の悪さ、あるいは私個人の場合には眼の疲れといった体調に悪影響を及ぼす可能性もあるためだ)。また、数多くの研究で毎日の瞑想時間が数分だったとしても効果があることが示されているとGoldbergは主張する。

「精神的に悪影響があったという報告はまだありません。高品質な4K動画も役立っているのかもしれません」と彼は言う。

アプリは無料でダウンロードできるが、いくつかのコンテンツは有料だ。サブスクリプションサービスも提供している。月額3.99ドルか年間35.99ドルで、多くの「日常から離れた風景」の中で瞑想を楽しむことができる。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website